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サシャ「この味だけは、譲れません」

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Part1
1 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 21:43:22 ID:6INNEWhI
・1『サシャ「キスの味、私に教えてください」』
 2『サシャ「この味は、ウソをついてる味ですね」』
 3『サシャ「二人だけの、秘密の味です」』
 4『サシャ「とくと味あわせてあげましょう!」』
 5『サシャ「同じ味を、知りたいですから」』
 6『サシャ「味気なくなんかないですよ?」』
 7『サシャ「……興味ないです」』
 8『サシャ「味も匂いもたまりません!」』
 9『サシャ「ありがとうの味、届きましたか?」』(ここまで過去ログ倉庫行き)
 10『サシャ「味も見ておきましょう」』
 11『サシャ「後味悪すぎです……」』の続きです
・いつも通りのご都合主義&展開です

2 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/06(火) 21:43:49 ID:KDuT7coc
待ってた

3 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/06(火) 21:44:06 ID:61jCegos
新作キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

4 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 21:44:29 ID:6INNEWhI
ーー とある昼下がり 大掃除前日 女子寮 ユミルたちの部屋
クリスタ「ユーミル! 何見てるの?」
ユミル「ああ、クリスタか。今度の大掃除の班割りだよ」
クリスタ「ずっと打ち合わせで忙しそうだったもんね。……やっと終わったんだ?」
ユミル「ああ、これが私の数週間の成果さ。見てくれよ」ペラッ
クリスタ「どれどれ……? えっと、私たちは第二会議室なんだね。他はミカサの班と、ライナーの班とマルコの班?」ペラッ
ユミル「ああ、大変だった……聞くか? どれだけ大変だったか」
クリスタ「ううんいらない」
ユミル「そうかそうか聞きたいか。……最初はな、そこはミカサとマルコの班、それと他二つの班が担当だったんだ」
クリスタ「聞いてるユミル?」
ユミル「ああ、聞いてるよ。それでな、他の教室は男女二班で一組なんだけど、会議室とかでかい教室は男女四班で一組なんだよな」

5 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 21:45:19 ID:6INNEWhI
ユミル「ていうか正直私らの班かライナーの班のどっちかにねじ込めればよかったんだけどよ、これがまた、どっちの班長もとんでもなく強情な奴でさあ」
ユミル「最初のうちは私もおとなしく条件呑んでたんだけど、終いにゃ『キース教官のパンツと引き替え』とか言い出すもんだからよ、大人げなくキレちまったよ」ハハハ
ユミル「困ったあげく第二会議室の班編成に気づいてな、時間もねえからそっちの班長さんに物理的な説得試みたらあっさり通ってさ、私の数日間なんだったんだろーなーって今考えてたところさ」
クリスタ「……うん。医務室行ってくるね? 医務官呼んでくるからおとなしくしてるんだよ?」ガチャッ バタンッ
ユミル「ああ。ーーそういやこの前寝てたらさ、サシャと荷物を担いだアッカーマンお届け便が来てな、私に言ったんだよ。『ハンコかサインくれ』ってさ」ブツブツ
ユミル「あはははははは、笑えるだろ? あのミカサがだぞ? なあ聞いてるかクリスタ? そういや宅急便と宅配便って違うんだってな、知ってるか? それでさぁ……」ブツブツ


6 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 21:46:55 ID:6INNEWhI
ーー 翌日 大掃除当日朝 第二会議室
クリスタ「……というわけで、ユミルは過労で医務室だよ。今日はここには来られないと思う」シュン
ミカサ「……やっぱり」
アニ「やっぱりってどういうこと?」
ライナー「いやな、掃除の役割分担はユミルに任せてたんだけどな……」
コニー「んー? どれどれ?」ペラッ

    「  高いとこ:でっかいやつ

       低いとこ:ちっさいやつ

        残り :あまったやつ  」
ジャン「……ざっくりしすぎだろ!!」バシーン!!
アルミン「ああっ、計画表がっ!」アワアワ
マルコ(こっちはみんなに見せないほうがいいだろうな……)チラッ

    「   手順 : がんばる   」

7 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/06(火) 21:47:47 ID:sEFcsMCU
待ってました!待ってました!!

8 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 21:48:07 ID:6INNEWhI
マルコ「まずは点呼を取ろうか。男子はライナー、ベルトルト、エレン、アルミン」
ライナー「それにマルコ、ジャン、コニーだな。全員いる。問題なしだ」カキカキ
クリスタ「ええっと、女子はミカサでしょ、アニでしょ、ミーナでしょ」
ミカサ「ユミルが休みで、クリスタはいる、サシャは……」キョロキョロ
サシャ「……」ドヨーン...
ミカサ「……いるから問題なし、っと」カキカキ
ジャン(いや問題あるだろあれ……)

9 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 21:49:19 ID:6INNEWhI
エレン「……コニー」ヒソヒソ
コニー「……ああ、わかってるよ」ヒソヒソ
ベルトルト「掃除道具は……ほうき三本ちりとり一つ、伸縮式の棒二本と水桶が四つに、雑巾が十三枚……つまり全員分か」
アルミン「今回は普段やらないところを重点的にやるんだよね?」
マルコ「うん。えーっと……窓ふきに蜘蛛の巣取り、机の落書き消しがメインだね」ペラッ
ミーナ「時間長い割にやること少ないね。……これは終わったら遊んでいいってこと?」キラーン
アニ「そんなわけないでしょ。いつもより丁寧にやれってことじゃないの?」
ライナー「そういうことだ。……さて、そろそろ役割振っていくか、ユミルのはアテにならんしな」
ミカサ「うん。まずは蜘蛛の巣取りだけどーー」

10 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 21:50:29 ID:6INNEWhI
コニー「よっしゃあ! 行くぞサシャ、俺たちは水汲みだ!」ダッ
サシャ「!? ーーえっ、なんですか!?」ビクッ
エレン「ほら、モタモタしてると置いてくぞ!」ダッ
サシャ「ま、待ってくださいよ!」ダッ
ジャン「おい待てって、まだ何も決めてねえだろ! ……ったく、あの三馬鹿め」
クリスタ「私、心配だから三人についていくね!」タッタッタッ...
ミーナ「はーい、いってらっしゃーい」フリフリ
マルコ「……エレン・コニー・サシャ・クリスタは机の落書き消し組っと」カキカキ
アルミン「じゃあ、他は残ったみんなで分けよっか」
ミカサ「後は蜘蛛の巣取りと窓ふきだから、じゃんけんで決めていいと思う」グーパー
ライナー「そのほうが後腐れがなくていいかもな。ーーよし、一回で決めるぞー?」グーパー

11 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 21:51:24 ID:6INNEWhI
ーー 水汲み場
クリスタ「もう、エレンもコニーもせっかちなんだから。まだ何も決めないまま先に行っちゃダメだよ?」プンスカ
コニー「悪い悪い、いちいち係決めとかまどろっこしくてよ」
エレン「そうそう、どうでもいいことでモメるのは嫌なんだよ。サシャもそう思うだろ?」
サシャ「……」
コニー「……」
エレン「……」
クリスタ「……サシャ?」
サシャ「……? 今、何か言いましたか?」キョトン
クリスタ「……エレン、コニー。二人とも先に行ってて? 私たちは後から追いかけるから」
コニー「お、おお! 悪いな、じゃあ先行ってるわ」ダッ
エレン「ゆっくりでいいからな! みんなにも言っておくから!」ダッ

12 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 21:52:25 ID:6INNEWhI
クリスタ(エレンとコニーも気づいてるんだ……サシャが元気ないの)
クリスタ(ねえサシャ、何かあったの? この前のお休みの日から何か変だよ?)
クリスタ(……って、直接的に聞くのはまずいよね。うーん……何か元気が出るようなことないかな……)キョロキョロ
クリスタ「! ーーねえねえサシャ、見てあそこ!」
サシャ「……? なんですかクリスタ」
クリスタ「お花咲いてるよ! ちょっと寄って行こうよ!」タタタッ
サシャ「えっ!? 水汲みの途中ですよ……って聞いてない! 待ってくださいよクリスタ!」ダッ

13 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 21:53:26 ID:6INNEWhI
クリスタ「ほらほら見て、たくさん咲いてる!」
サシャ「シロツメクサ……ですか。この前の草刈りで全部刈り取っちゃったかと思ってましたけど」
クリスタ「日陰だから花が咲くのが遅れたのかな? それで気づかれなかったのかもしれないね。ーーでも、これだけ咲いてると冠が作れそうだよね!」
サシャ「クリスタは作れるんですか? 花の冠」
クリスタ「下手っぴだけどね、編み方くらいはわかるよ? タンポポと組み合わせるとちょっとだけ豪華に見えるんだー」ホンワカ
サシャ「……そうですか」
クリスタ「うん、そうなの!」
サシャ「……」
クリスタ「……」
クリスタ(ううっ……うまくいかないなぁ、他に何か……)キョロキョロ

14 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 21:54:29 ID:6INNEWhI
クリスタ「……えっとね、シロツメクサの花言葉って知ってる?」
サシャ「? 花言葉があるんですか? 雑草なのに?」
クリスタ「雑草じゃないよ、シロツメクサだって立派なお花だよ? えっとね、意味は複数あるんだけど……代表的なのは『幸運』とか『約束』とか、他には『私を想ってください』っていうストレートな言葉があるよ」
クリスタ「それと四つ葉のクローバーにはね、『私のものになって』っていう意味もあるんだって!」
サシャ「へえ……クリスタ、物知りですね」
クリスタ「サシャはあんまり興味ない? こういうの」
サシャ「私は……お花見てるより、ご飯食べてるほうが幸せです」
クリスタ「花より団子かぁ……サシャらしくていい答えだよね、うん」
クリスタ(うーん……これでフォローできた、かなぁ……?)チラッ

15 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 21:55:33 ID:6INNEWhI
サシャ(花言葉、か……私には縁遠い言葉ですね)
サシャ(いちいち意味とか、考えたことなかったです)
サシャ(そういうこと考えるのが、普通の女の子ですよね……)
サシャ(……)
サシャ(クリスタは、私より、綺麗で、優しくて、おしとやかで、かわいくて……)
サシャ(私より素敵な人は、こんな近くにもいる……)
サシャ(私なんかじゃ、他の子には敵わない……)
サシャ(……)ズキズキ
サシャ(やだなぁ……まだ、おなかが痛いです……)ズキズキ

16 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 21:56:33 ID:6INNEWhI
ーー 第二会議室
エレン「ぴっかぴかにしーてやんよー」フキフキ
コニー「にじいーろのつくえーぴっかぴかにしようー」フキフキ
クリスタ「もうっ! 二人とも、真面目にやってよ!!」プンスカ
エレン「何言ってんだよクリスタ、俺たちちゃんと真面目にやってるぜ?」フキフキ
コニー「おう! 見てわかんねーのか?」フキフキ
クリスタ「それは……その、掃除してるってのは見てわかるけど!」
コニー「……あのなあクリスタ、掃除には愛が必要なんだ」ジッ...
クリスタ「……何の話??」キョトン
エレン「ところでクリスタ、今のお前の目の前には何が見える?」ポン
クリスタ「え? えっと、机、だけど……」

17 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 21:58:02 ID:6INNEWhI
コニー「そうだな。じゃあお前にとってこの机はなんだと思う?」
クリスタ「えっと、意味がわからないんだけど……?」
エレン「なあクリスタ。ーーお前はこの机に恋してるのか?」
クリスタ「恋……? 恋!? なんで!?」
コニー「例えだよ、例え。それくらい真剣に机磨きに勤しんでるのかって意味だ」
クリスタ「わ、私は真剣にやってるつもり……だけど……」オロオロ
エレン「ははっ、恋っていう表現は大袈裟だったな、悪い。ーーじゃあこの机が馬だと考えたらどうだ? もっと丁寧にやろうって気にならないか?」
クリスタ「この机が……馬……?」
クリスタ「……」
クリスタ「……」スッ
クリスタ「あーなたーがーなーんとーいおうともーわたしがーいーえばーそれがーすべてーよー♪」フキフキ
エレン「……」ニッ
コニー「……」ニッ
エレン・コニー「……」パァンッ!! (※ハイタッチした音)

18 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 21:59:15 ID:6INNEWhI
ジャン「……馬鹿が増えやがった」
ミーナ「あはは、楽しくやってるんだからいいんじゃない?」
ジャン「あいつら気を遣うにもわざとらしすぎんだろ、サシャがますます浮いてんじゃねえか」キュッキュッ
ミーナ「ふーん……ジャンったら、他の女の子を気にかける余裕があるんだ?」
ジャン「……あぁ? 何の話だ?」
ミーナ「彼女が欲しいんだって? ジャン」キュッキュッ
ジャン「……誰から聞きやがった」
ミーナ「たぶん、ジャンが思ってるよりは広まってるんじゃないかな? 女子の情報網舐めないでよねー」キュッキュッ
ジャン「どっから情報仕入れてくんだよお前ら……」

19 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:00:28 ID:6INNEWhI
ミーナ「ねえねえ、だったら私とかどうかな? 夏の間だけでもさ、お試しでもいいから」
ジャン「はぁ? お前とか? 嫌だっての」キッパリ
ミーナ「…………そんな強く言わなくてもいいのに」ボソッ
ジャン「お試しとかそういうこと、軽々しく言うんじゃねえよ。ちゃんと好きな奴に正面からぶつかって正面から付き合ってこい」
ミーナ「……」
ジャン「おい、上のほう拭き残しあるぞ? 拭くからな」キュッキュ
ミーナ「……ほんっと、もったいないなぁ」ボソッ
ジャン「? なんだよ、何か言ったか?」
ミーナ「ううん、別に? ーーいいから続きやろ?」キュッキュッ

20 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:01:40 ID:6INNEWhI
ベルトルト「よいしょっと……結構張ってるね、蜘蛛の巣」
アニ「そうだね」
ベルトルト「……ところでアニ、蜘蛛嫌いだっけ?」
アニ「そんなわけないでしょ。全然怖くないし」
ベルトルト「えっと……じゃあ、僕のシャツの裾を摘むのはやめてくれないかな、動きにくいし」
アニ「は? 掴んでないよ何言ってるの? それに全然怖くないから」ギューッ...
ベルトルト「アニ? 聞いてる?」
アニ「…………………………怖くないってば」ギュウッ...
ベルトルト「嫌なら誰かに交替してもらえばよかったのに……」
アニ「うるさいな、とっとと終わらせようよ」
ベルトルト「はいはい、わかったわかった」クスクス
アニ「……」ゲシッ
ベルトルト「痛い!」


21 : ◆H4iwFNXQsw:2013/08/06(火) 22:02:50 ID:6INNEWhI
アルミン「ねえライナー、サシャと喧嘩したの?」キュッキュッ
ライナー「……そう見えるか?」
アルミン「うん。お互い気まずそう」キュッキュッ
ライナー「……この前の帰り道に、突然泣き出してな」キュッキュッ
アルミン「サシャが? どうして?」キュッキュッ
ライナー「靴擦れが痛いからだと思ったんだが、どうやら違うらしい。……女心は難しいな、どうしたらいいのかわからん」
アルミン「難しいって……そんなことないよ。意外と考えてることは単純だよ?」
ライナー「ミカサと比べるなよ」
アルミン「違う違う。女の子はさ、何か考える時にいちいち理由を求めたがるから、僕たちにはややこしく見えちゃうだけだよ」
アルミン「そうだなぁ……例えば、花言葉とかはいい例かもね。『きれいだな』って感想だけで終わらないで、どういう意味がこめられてるのかあれこれ考えちゃうんだ、女の子って」
アルミン「だからね、そういう時にこっちも色々考えて動くと、またややこしくなっちゃうから……シンプルな方法を試したほうが、上手くハマる場合もあるよ」
ライナー「……参考にしておく」キュッキュッ

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