サシャ「後味悪すぎです……」
Part3
42 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:11:45 ID:rVHB9WWE
ライナー「……置いて行かれたな」
エレン「だな。……まあ、好きにさせとこうぜ。後ろからついていけばいいだろ」
ライナー「……なあ、お前ら普段も隣に座ってメシ食ってるよな」
エレン「ミカサとか? ……まあ、対面の時もあるけどな。アルミンもいるからその辺は適当だけど」
ライナー「……緊張しないのか? ミカサが隣に座って」
エレン「はぁ? なんで?」キョトン
ライナー「そりゃあ…………………………………………その、なあ? アレだよ」
エレン「? なんだよ、ちっともわかんねえぞ」
ライナー「……お前に聞いた俺が馬鹿だった」スタスタ...
エレン「??」
43 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:13:22 ID:rVHB9WWE
サシャ「あっ、こっち側はもう秋物に切り替わってますね」ヒョイッ
ミカサ「このボレロは着回せそう」ヒョイッ
サシャ「おおーっ! 似合うじゃないですか! かわいいですし!」
ミカサ「……でも、この服は着られない」モドシッ
サシャ「? サイズ違いなら店員さんに聞けば……」
ミカサ「違う。……どれも肩幅が合わない」ションボリ
サシャ「あー……」
ミカサ「こういう時は自分の体型が恨めしい……」ショボーン
サシャ「えっとじゃあ、こっちのカーディガンとかはどうです? フリーサイズですし、肩幅あまり関係ないですよ?」ヒョイッ
ミカサ「……おお」キラキラキラキラ
サシャ「ね? どうですか?」
ミカサ「……会計してくる」イソイソ
サシャ「はい、いってらっしゃい」クスッ
44 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:15:34 ID:rVHB9WWE
ミカサ「してきた。ーーサシャは何か買わないの?」ホクホク
サシャ「自分の服、選ぶの得意じゃないんですよね……あと、今日は単純に手持ちがありません」ショボン...
ミカサ「じゃあ、私が見繕ってプレゼントする」ヒョイッ
サシャ「えっ? いいですよそんな!」アセアセ
ミカサ「気にしなくてもいい。今度四人で遊びに行く時、見せてくれればいい」
サシャ「……今度、ですか」
ミカサ「?」
サシャ(今度って、次はいつなんでしょうか……)
サシャ(そもそも、次はあるのかな……)ズキズキ
サシャ(おかしいですね…………ご飯食べたのに、まだ痛いなんて)ズキズキ
45 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:17:03 ID:rVHB9WWE
ーー 数十分後 街中
エレン「……な? 荷物持ちだろ?」ズシッ...
ライナー「ああ。エレンの言った通りだったな……」ズシッ...
エレン「2人揃えば荷物は3倍、3人寄れば更に3倍だ。つまり6倍」
ライナー「3倍の更に3倍なら9倍だ。……普段のサシャは、あまりこういうものを買わないんだがな」
エレン「そりゃ、ミカサと一緒にいるからだろ。この前アルミンと3人で遊びに来てた時、ミーナと合流した後なんか更に酷かったぞ。アルミンなんか最後半泣きだったしな」
ライナー「……女って怖いな」
エレン「だよな。……ん? なあライナー、サシャの歩き方変じゃないか?」
ライナー「そうか? 俺にはわからんが……?」
エレン「ちょっと聞いてみるか。ーーミカサー、止まれ止まれ」
46 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:18:46 ID:rVHB9WWE
ミカサ「? エレン、どうかした?」キョトン
エレン「いや、ちょっとなー……」ジロジロ
サシャ「あの……なんですかエレン? 何か私についてます?」
ミカサ「……エレン? どうしてサシャを舐め回すように見ているの?」ジッ...
エレン「んー……? ーーあ、やっぱり。血が出てるな。踵」ユビサシ
サシャ「えっ? ……あ、本当ですね」
ライナー「靴擦れしてるな……しかも両足だ」
ミカサ「……皮がめくれてかなり痛そう」
エレン「そこまで酷いならハンカチじゃなくてガーゼかなんかあったほうがいいよな。ーーそういや、薬屋がこの近くにあったはずだ」
ミカサ「なら、私とエレンで行ってこよう。ライナーはサシャと荷物をお願い」ダッ
ライナー「わかった。この近くで待ってる」
サシャ「すみません、お願いします」
47 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:20:03 ID:rVHB9WWE
ーー 昼間 とある薬屋
エレン「ガーゼってこれでいいのか……? うーん……」ゴソゴソ
ミカサ「……今日のエレンは、いつも以上に気がきく」
エレン「? なんだよ突然」
ミカサ「踵。私も気づかなかった」
エレン「あれか……まあ、気づいたのはミカサのおかげだな」
ミカサ「……もう一回言ってほしい。できれば甘く囁くように耳元で」
エレン「やだ。……なんか比べちまうんだよな。違って当たり前なんだけど、歩き方とかさ」
ミカサ「歩き方?」
48 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:22:12 ID:rVHB9WWE
エレン「サシャとライナーの歩幅ってかなり違うのに、一緒に並んで歩いてたろ?」
エレン「だから注意して見てたらさ、サシャのほうがかなり速度あげて歩いてたんだよ。靴擦れはそのせいだな。歩く速度の上げすぎ」
エレン「で、午後になってミカサと歩き出したろ? そしたら少しずつだけどミカサから遅れ始めたからさ、こりゃ何かあるなーって思ったら案の定ってわけだ」
ミカサ「……ライナーは、何度か一緒にサシャと歩いているはずなのに気づかなかったの?」
エレン「近すぎてわかんなかったんだろ」
ミカサ「なら、気づいた時点でライナーに速度を緩めるよう、言えばよかったのに」
エレン「そりゃダメだろ。……俺だったら、そういう時に手なんか抜いて欲しくないし」
ミカサ「? ……よくわからない」
エレン「ミカサにはわかんないかもなー、……そう考えたら、サシャと俺って似てるかも」
ミカサ「!? エレンそれは聞き捨てならない!!」
エレン「すみませーんこれくださーい」
49 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:23:49 ID:rVHB9WWE
ーー 昼間 街中
ライナー「この石段なら日陰だな。……一人で座れるか?」
サシャ「はい、大丈夫です……よいしょっと」ポスッ
ライナー「……気づかなくて悪かったな。踵」
サシャ「いえ、私もエレンに言われるまで気づきませんでしたから。お互い様ですよ」
ライナー「無理してたんじゃないんだよな?」
サシャ「……そう見えました?」
ライナー「たまに無茶するからな、お前は」
サシャ「……」
ライナー「……サシャ?」
サシャ「……」ポロッ
ライナー「!? どうした、足が痛いのか?」
サシャ「ちがっ、ちがいます……っ! おなかが空いてっ、泣けてきただけ、ですっ」グスッ
ライナー「そんなわけ……」
サシャ「そんなわけあるんですっ、いまっ、今すぐ、ちゃんと、笑いますからっ、待って……っ」グスッ
50 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:25:41 ID:rVHB9WWE
サシャ(……聞かなきゃ)ズキズキ
サシャ(……違う、笑わなきゃ)ズキズキ
サシャ(こんなの、私らしくない)ズキズキ
サシャ(脳天気で、馬鹿で、食い意地の張ってる芋女でいいんです、私は)ズキズキ
サシャ(こうやって、隣にいられるだけでも、贅沢なのに)ズキズキ
サシャ(心配してもらえるだけでも、ありがたいのに)ズキズキ
サシャ(それ以上なんて、いらないんです)
サシャ(本当は……そういうこと、してもらえる立場じゃないんですから)
サシャ(……好きな人、いるくせに)
サシャ(これ以上、私に優しくしないでくださいよ……)ギュウッ...
51 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:26:43 ID:rVHB9WWE
ーー 夕方 街中
エレン「これでよしっと。……応急処置だから、あとでちゃんと医務室行って消毒してもらえよ?」
サシャ「はい、ありがとうございます……」グスッ
ミカサ「……何かあった?」ボソボソ
ライナー「……いや、今回ばかりは俺もわからん」ボソボソ
ミカサ「……」ジトッ...
ライナー「そんな目で見るな。……エレン、終わったか?」
エレン「ああ、終わったぜ。サンダルは踵潰して履けば兵舎まで歩けるだろ」
ライナー「そんなことさせるか。ーー荷物とサンダル頼む」ヒョイッ
サシャ「ひゃっ!?」
52 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:28:29 ID:rVHB9WWE
サシャ「お、下ろしてくださいっ、一人で歩けますよ!!」ジタバタジタバタ
ライナー「嫌だ」
サシャ「でもっ、おんぶなんて恥ずかしいですよ!!」
ライナー「怪我人に何か言う権利はない。おとなしく担がれてろ」
サシャ「……もう、わかりましたよぅ」ムー...
ミカサ「……エレン、突然私の膝に激痛が走ったので歩けない。よっておんぶを要求する」クイクイ
エレン「やだ」
ミカサ「……仕方がない。エレンの選択を尊重しよう」ヒョイッ
エレン「うわっ!? ミカサ、下ろせ下ろせ! 担ぐな!!」ジタバタジタバタ
ミカサ「エーレンのーせんたーくをーそんちょーしよー♪」スタスタ...
エレン「俺が悪かったってば!! ミカサ!!」ジタバタジタバタ
53 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:29:39 ID:rVHB9WWE
ライナー「サシャ」スタスタ...
サシャ「……なんですか? 怪我人に何か言う権利はないんじゃなかったんですか?」ムスッ...
ライナー「怪我人には自分の状態を話す義務がある」
サシャ「……」
ライナー「そうじゃないと適切な治療ができないからな」
サシャ「……」
ライナー「俺は無理に聞かない。……話したくなったら話せよ。いつでも聞くから
サシャ「……わかりました」ギュウッ...
54 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:30:42 ID:rVHB9WWE
ーー 夕方 女子寮前
ミカサ「ここまでで大丈夫。荷物もサシャも私が預かる」ヒョイッ
ライナー「ああ、後は頼む」
ミカサ「合点承知の助」ニンニン
ライナー「……なんだそれ」
ミカサ「了解という意味。それでは、また夕食の時にでも」スタスタ...
ライナー「ああ、後でな。……お前も寝っ転がってないで帰るぞ、エレン」
エレン「もう俺お婿に行けねえよ……汚れちゃったもん、俺……」グスグス
ライナー「……お前らはいいな、イチャイチャできて」ボソッ
エレン「? なんだよ突然」
ライナー「……ないものねだりしてるだけだ」
55 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:32:21 ID:rVHB9WWE
ーー 夕方 女子寮 ユミルたちの部屋
ミカサ「お届けものでぇーすっ☆彡 ハンコかサインお願いしまぁーすっ☆彡」ドサッ
ユミル「……何してんだミカサ」
ミカサ「……クリスタは?」キョロキョロ
ユミル「さっきミーナと一緒に出て行ったぞ」
ミカサ「……てっきりクリスタがいると思ったのに、恥ずかしい思いをした」チッ
ユミル「安心しろ、お前の痴態は私が女子寮全体に広めてやるよ」ニヤニヤ
ミカサ「……失礼する」ガチャッ バタンッ
56 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:33:21 ID:rVHB9WWE
ユミル「ちっ、逃げやがって……よう荷物。床に寝っ転がって何してんだ?」ツンツン
サシャ「おやユミル。珍しいですね、最近見なかったのに」
ユミル「ああ……すげー疲れた」
サシャ「私も疲れましたよ、今日は」ムクリ
ユミル「お前らダブルデートだったんだって? どうだった?」
サシャ「……楽しかったですよ」
ユミル「? そうか?」
サシャ「ええ、とっても。……着替えるので、ベッドのカーテン閉めますね」
ユミル「……好きにしろよ。私はメシまで寝る」ゴソゴソ
57 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:34:56 ID:rVHB9WWE
サシャ「……」モソモソ
サシャ(ガーゼから血が滲んでますね、後で医務室行かないと)ゴソゴソ
サシャ(キャミソールがミーナで、スカートがクリスタだから……こっちは洗濯に回して……)
サシャ「……あ」ピタッ
サシャ(……ミカサに選んでもらった、服)
サシャ(今度着る時は、四人で出かける時……)
サシャ「……」ギュゥッ...
サシャ(なんででしょう、楽しかったのに、なんか、モヤモヤする……)
サシャ(まだ、胸が……おなかが痛い……)ズキズキズキズキ
サシャ(……後味、悪すぎです)
おわり
58 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:36:01 ID:rVHB9WWE
終わりです。終わりですっていうか次回に続く! みたいな感じですが
読んでくださった方&レスくださった方ありがとうございました!
「好きな人発言」やっと回収しました! とは言ってもまだ半分だけですけどね!
ライナー側もそのうち出すのでしばらくお待ちください。ちなみに「キスの味」でのベルユミ会話もそのうち出てきます。どちらも終盤付近ですけどねー
というわけで次回、(予定通り書ければ)ミカサ無双!!
59 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 20:37:08 ID:4lmvMxf6
あなたの作品はすばらしい!!
みんな可愛くてキャラが輝いてる
乙
60 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 20:39:50 ID:sBWlzVmQ
乙!
サシャの乙女度がヤバイ 可愛いな
次回も期待してます
61 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 20:42:53 ID:HxZMUCJQ
エレンとミカサって付き合ってんのかな?
62 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:54:20 ID:rVHB9WWE
>>59-60 さん ありがとうございます! 嬉しいです、励みになります!!
>>61 さん 一応このSSではエレンとミカサは「家族だけどギリギリ恋人未満」の関係で書いてるつもりですが、
今回はいつもよりもかなり割り増しで仲よさげに書いたので、そう見えたかもしれません
63 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 20:57:40 ID:fGCNEp/Y
ミカサきゃわたん
64 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 21:12:50 ID:bLI//ewA
可愛かった!
続き気になるぜ!
65 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 21:44:43 ID:cigDJLwM
何だか切ねぇな
続き待ってるぞ!
66 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 22:00:05 ID:vKlzhgnc
ミカサかわいすぎ
67 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 22:10:45 ID:ElaOrs0M
切ないな、次も楽しみにしてる!
ライナー「……置いて行かれたな」
エレン「だな。……まあ、好きにさせとこうぜ。後ろからついていけばいいだろ」
ライナー「……なあ、お前ら普段も隣に座ってメシ食ってるよな」
エレン「ミカサとか? ……まあ、対面の時もあるけどな。アルミンもいるからその辺は適当だけど」
ライナー「……緊張しないのか? ミカサが隣に座って」
エレン「はぁ? なんで?」キョトン
ライナー「そりゃあ…………………………………………その、なあ? アレだよ」
エレン「? なんだよ、ちっともわかんねえぞ」
ライナー「……お前に聞いた俺が馬鹿だった」スタスタ...
エレン「??」
43 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:13:22 ID:rVHB9WWE
サシャ「あっ、こっち側はもう秋物に切り替わってますね」ヒョイッ
ミカサ「このボレロは着回せそう」ヒョイッ
サシャ「おおーっ! 似合うじゃないですか! かわいいですし!」
ミカサ「……でも、この服は着られない」モドシッ
サシャ「? サイズ違いなら店員さんに聞けば……」
ミカサ「違う。……どれも肩幅が合わない」ションボリ
サシャ「あー……」
ミカサ「こういう時は自分の体型が恨めしい……」ショボーン
サシャ「えっとじゃあ、こっちのカーディガンとかはどうです? フリーサイズですし、肩幅あまり関係ないですよ?」ヒョイッ
ミカサ「……おお」キラキラキラキラ
サシャ「ね? どうですか?」
ミカサ「……会計してくる」イソイソ
サシャ「はい、いってらっしゃい」クスッ
44 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:15:34 ID:rVHB9WWE
ミカサ「してきた。ーーサシャは何か買わないの?」ホクホク
サシャ「自分の服、選ぶの得意じゃないんですよね……あと、今日は単純に手持ちがありません」ショボン...
ミカサ「じゃあ、私が見繕ってプレゼントする」ヒョイッ
サシャ「えっ? いいですよそんな!」アセアセ
ミカサ「気にしなくてもいい。今度四人で遊びに行く時、見せてくれればいい」
サシャ「……今度、ですか」
ミカサ「?」
サシャ(今度って、次はいつなんでしょうか……)
サシャ(そもそも、次はあるのかな……)ズキズキ
サシャ(おかしいですね…………ご飯食べたのに、まだ痛いなんて)ズキズキ
45 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:17:03 ID:rVHB9WWE
ーー 数十分後 街中
エレン「……な? 荷物持ちだろ?」ズシッ...
ライナー「ああ。エレンの言った通りだったな……」ズシッ...
エレン「2人揃えば荷物は3倍、3人寄れば更に3倍だ。つまり6倍」
ライナー「3倍の更に3倍なら9倍だ。……普段のサシャは、あまりこういうものを買わないんだがな」
エレン「そりゃ、ミカサと一緒にいるからだろ。この前アルミンと3人で遊びに来てた時、ミーナと合流した後なんか更に酷かったぞ。アルミンなんか最後半泣きだったしな」
ライナー「……女って怖いな」
エレン「だよな。……ん? なあライナー、サシャの歩き方変じゃないか?」
ライナー「そうか? 俺にはわからんが……?」
エレン「ちょっと聞いてみるか。ーーミカサー、止まれ止まれ」
46 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:18:46 ID:rVHB9WWE
ミカサ「? エレン、どうかした?」キョトン
エレン「いや、ちょっとなー……」ジロジロ
サシャ「あの……なんですかエレン? 何か私についてます?」
ミカサ「……エレン? どうしてサシャを舐め回すように見ているの?」ジッ...
エレン「んー……? ーーあ、やっぱり。血が出てるな。踵」ユビサシ
サシャ「えっ? ……あ、本当ですね」
ライナー「靴擦れしてるな……しかも両足だ」
ミカサ「……皮がめくれてかなり痛そう」
エレン「そこまで酷いならハンカチじゃなくてガーゼかなんかあったほうがいいよな。ーーそういや、薬屋がこの近くにあったはずだ」
ミカサ「なら、私とエレンで行ってこよう。ライナーはサシャと荷物をお願い」ダッ
ライナー「わかった。この近くで待ってる」
サシャ「すみません、お願いします」
ーー 昼間 とある薬屋
エレン「ガーゼってこれでいいのか……? うーん……」ゴソゴソ
ミカサ「……今日のエレンは、いつも以上に気がきく」
エレン「? なんだよ突然」
ミカサ「踵。私も気づかなかった」
エレン「あれか……まあ、気づいたのはミカサのおかげだな」
ミカサ「……もう一回言ってほしい。できれば甘く囁くように耳元で」
エレン「やだ。……なんか比べちまうんだよな。違って当たり前なんだけど、歩き方とかさ」
ミカサ「歩き方?」
48 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:22:12 ID:rVHB9WWE
エレン「サシャとライナーの歩幅ってかなり違うのに、一緒に並んで歩いてたろ?」
エレン「だから注意して見てたらさ、サシャのほうがかなり速度あげて歩いてたんだよ。靴擦れはそのせいだな。歩く速度の上げすぎ」
エレン「で、午後になってミカサと歩き出したろ? そしたら少しずつだけどミカサから遅れ始めたからさ、こりゃ何かあるなーって思ったら案の定ってわけだ」
ミカサ「……ライナーは、何度か一緒にサシャと歩いているはずなのに気づかなかったの?」
エレン「近すぎてわかんなかったんだろ」
ミカサ「なら、気づいた時点でライナーに速度を緩めるよう、言えばよかったのに」
エレン「そりゃダメだろ。……俺だったら、そういう時に手なんか抜いて欲しくないし」
ミカサ「? ……よくわからない」
エレン「ミカサにはわかんないかもなー、……そう考えたら、サシャと俺って似てるかも」
ミカサ「!? エレンそれは聞き捨てならない!!」
エレン「すみませーんこれくださーい」
49 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:23:49 ID:rVHB9WWE
ーー 昼間 街中
ライナー「この石段なら日陰だな。……一人で座れるか?」
サシャ「はい、大丈夫です……よいしょっと」ポスッ
ライナー「……気づかなくて悪かったな。踵」
サシャ「いえ、私もエレンに言われるまで気づきませんでしたから。お互い様ですよ」
ライナー「無理してたんじゃないんだよな?」
サシャ「……そう見えました?」
ライナー「たまに無茶するからな、お前は」
サシャ「……」
ライナー「……サシャ?」
サシャ「……」ポロッ
ライナー「!? どうした、足が痛いのか?」
サシャ「ちがっ、ちがいます……っ! おなかが空いてっ、泣けてきただけ、ですっ」グスッ
ライナー「そんなわけ……」
サシャ「そんなわけあるんですっ、いまっ、今すぐ、ちゃんと、笑いますからっ、待って……っ」グスッ
50 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:25:41 ID:rVHB9WWE
サシャ(……聞かなきゃ)ズキズキ
サシャ(……違う、笑わなきゃ)ズキズキ
サシャ(こんなの、私らしくない)ズキズキ
サシャ(脳天気で、馬鹿で、食い意地の張ってる芋女でいいんです、私は)ズキズキ
サシャ(こうやって、隣にいられるだけでも、贅沢なのに)ズキズキ
サシャ(心配してもらえるだけでも、ありがたいのに)ズキズキ
サシャ(それ以上なんて、いらないんです)
サシャ(本当は……そういうこと、してもらえる立場じゃないんですから)
サシャ(……好きな人、いるくせに)
サシャ(これ以上、私に優しくしないでくださいよ……)ギュウッ...
51 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:26:43 ID:rVHB9WWE
ーー 夕方 街中
エレン「これでよしっと。……応急処置だから、あとでちゃんと医務室行って消毒してもらえよ?」
サシャ「はい、ありがとうございます……」グスッ
ミカサ「……何かあった?」ボソボソ
ライナー「……いや、今回ばかりは俺もわからん」ボソボソ
ミカサ「……」ジトッ...
ライナー「そんな目で見るな。……エレン、終わったか?」
エレン「ああ、終わったぜ。サンダルは踵潰して履けば兵舎まで歩けるだろ」
ライナー「そんなことさせるか。ーー荷物とサンダル頼む」ヒョイッ
サシャ「ひゃっ!?」
52 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:28:29 ID:rVHB9WWE
サシャ「お、下ろしてくださいっ、一人で歩けますよ!!」ジタバタジタバタ
ライナー「嫌だ」
サシャ「でもっ、おんぶなんて恥ずかしいですよ!!」
ライナー「怪我人に何か言う権利はない。おとなしく担がれてろ」
サシャ「……もう、わかりましたよぅ」ムー...
ミカサ「……エレン、突然私の膝に激痛が走ったので歩けない。よっておんぶを要求する」クイクイ
エレン「やだ」
ミカサ「……仕方がない。エレンの選択を尊重しよう」ヒョイッ
エレン「うわっ!? ミカサ、下ろせ下ろせ! 担ぐな!!」ジタバタジタバタ
ミカサ「エーレンのーせんたーくをーそんちょーしよー♪」スタスタ...
エレン「俺が悪かったってば!! ミカサ!!」ジタバタジタバタ
53 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:29:39 ID:rVHB9WWE
ライナー「サシャ」スタスタ...
サシャ「……なんですか? 怪我人に何か言う権利はないんじゃなかったんですか?」ムスッ...
ライナー「怪我人には自分の状態を話す義務がある」
サシャ「……」
ライナー「そうじゃないと適切な治療ができないからな」
サシャ「……」
ライナー「俺は無理に聞かない。……話したくなったら話せよ。いつでも聞くから
サシャ「……わかりました」ギュウッ...
54 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:30:42 ID:rVHB9WWE
ーー 夕方 女子寮前
ミカサ「ここまでで大丈夫。荷物もサシャも私が預かる」ヒョイッ
ライナー「ああ、後は頼む」
ミカサ「合点承知の助」ニンニン
ライナー「……なんだそれ」
ミカサ「了解という意味。それでは、また夕食の時にでも」スタスタ...
ライナー「ああ、後でな。……お前も寝っ転がってないで帰るぞ、エレン」
エレン「もう俺お婿に行けねえよ……汚れちゃったもん、俺……」グスグス
ライナー「……お前らはいいな、イチャイチャできて」ボソッ
エレン「? なんだよ突然」
ライナー「……ないものねだりしてるだけだ」
55 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:32:21 ID:rVHB9WWE
ーー 夕方 女子寮 ユミルたちの部屋
ミカサ「お届けものでぇーすっ☆彡 ハンコかサインお願いしまぁーすっ☆彡」ドサッ
ユミル「……何してんだミカサ」
ミカサ「……クリスタは?」キョロキョロ
ユミル「さっきミーナと一緒に出て行ったぞ」
ミカサ「……てっきりクリスタがいると思ったのに、恥ずかしい思いをした」チッ
ユミル「安心しろ、お前の痴態は私が女子寮全体に広めてやるよ」ニヤニヤ
ミカサ「……失礼する」ガチャッ バタンッ
56 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:33:21 ID:rVHB9WWE
ユミル「ちっ、逃げやがって……よう荷物。床に寝っ転がって何してんだ?」ツンツン
サシャ「おやユミル。珍しいですね、最近見なかったのに」
ユミル「ああ……すげー疲れた」
サシャ「私も疲れましたよ、今日は」ムクリ
ユミル「お前らダブルデートだったんだって? どうだった?」
サシャ「……楽しかったですよ」
ユミル「? そうか?」
サシャ「ええ、とっても。……着替えるので、ベッドのカーテン閉めますね」
ユミル「……好きにしろよ。私はメシまで寝る」ゴソゴソ
57 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:34:56 ID:rVHB9WWE
サシャ「……」モソモソ
サシャ(ガーゼから血が滲んでますね、後で医務室行かないと)ゴソゴソ
サシャ(キャミソールがミーナで、スカートがクリスタだから……こっちは洗濯に回して……)
サシャ「……あ」ピタッ
サシャ(……ミカサに選んでもらった、服)
サシャ(今度着る時は、四人で出かける時……)
サシャ「……」ギュゥッ...
サシャ(なんででしょう、楽しかったのに、なんか、モヤモヤする……)
サシャ(まだ、胸が……おなかが痛い……)ズキズキズキズキ
サシャ(……後味、悪すぎです)
おわり
58 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/31(水) 20:36:01 ID:rVHB9WWE
終わりです。終わりですっていうか次回に続く! みたいな感じですが
読んでくださった方&レスくださった方ありがとうございました!
「好きな人発言」やっと回収しました! とは言ってもまだ半分だけですけどね!
ライナー側もそのうち出すのでしばらくお待ちください。ちなみに「キスの味」でのベルユミ会話もそのうち出てきます。どちらも終盤付近ですけどねー
というわけで次回、(予定通り書ければ)ミカサ無双!!
59 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 20:37:08 ID:4lmvMxf6
あなたの作品はすばらしい!!
みんな可愛くてキャラが輝いてる
乙
60 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 20:39:50 ID:sBWlzVmQ
乙!
サシャの乙女度がヤバイ 可愛いな
次回も期待してます
61 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 20:42:53 ID:HxZMUCJQ
エレンとミカサって付き合ってんのかな?
>>59-60 さん ありがとうございます! 嬉しいです、励みになります!!
>>61 さん 一応このSSではエレンとミカサは「家族だけどギリギリ恋人未満」の関係で書いてるつもりですが、
今回はいつもよりもかなり割り増しで仲よさげに書いたので、そう見えたかもしれません
63 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 20:57:40 ID:fGCNEp/Y
ミカサきゃわたん
64 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 21:12:50 ID:bLI//ewA
可愛かった!
続き気になるぜ!
65 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 21:44:43 ID:cigDJLwM
何だか切ねぇな
続き待ってるぞ!
66 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 22:00:05 ID:vKlzhgnc
ミカサかわいすぎ
67 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 22:10:45 ID:ElaOrs0M
切ないな、次も楽しみにしてる!
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