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ベルトルト「新宿の巨人」ユミル「西口」

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Part4
85 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/26(金) 00:30:09 tl2KH8GU
ユミル「……指を噛みちぎるヤツは元気だろ」
ベルトルト「余裕がないと見た」
ユミル「あるさ」
ベルトルト「今にも倒れてしまそうだね」
ユミル「……洞察力、ですか」
ベルトルト「そんなところ」
ユミル「身長高けりゃなんでもお見通しだな……ずいぶんといい眺めだろうよ」
ベルトルト「君も同類でしょ。で、具合は?」
ユミル「……」
ベルトルト「……」
ユミル「……暑いのは、苦手なんだ」
ベルトルト「熱中症かな。それは大変だ」
ユミル「……」
ベルトルト「……例えばの話なんだけど。今君と僕が戦ったら、君は僕に勝てないと思わない?」

86 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/26(金) 00:37:13 tl2KH8GU
ユミル「……」
ベルトルト「……思わない?」
ユミル「……こんなときに例え話か」
ユミル「ああ思うよ。残念ながら私はお前に勝てないな……。くらくらする」
ベルトルト「だよね」
ユミル「だが“コニー”なら渡さない。お前の目的は、情報収集の阻止だろ」
ベルトルト「意味がわからないな。でももう“コニー”はいいよ」
ユミル「なぜだ?」
ベルトルト「僕はひとりじゃ何も決断できないんだ。今日は何もしないから、何もしないでくれるかな?」
ベルトルト「穏便にすませたい。……例え話だけど」

87 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/26(金) 00:39:08 tl2KH8GU
ユミル「……わかったよ」
ベルトルト「よかった。それじゃあ、どこか休憩できるところを探してあげるね」
ユミル「ありがとさん」フラ
ベルトルト「おんぶ?」サッ
ユミル「あるく」
ベルトルト「なんだ」
ベルトルト(……)

95 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/26(金) 12:20:36 vGmxYz.6
ーー
ベルトルト「着いたよ。……はい長椅子だ、横になって」
ユミル ドサッ
ユミル「ん……ベルさん」
ベルトルト「ん?」
ユミル「……ここはどこだ?」
ベルトルト「僕もわからないんだ。でもどうやら僕は選択に失敗した」
ユミル「はは、だよな」
ユミル「周りの歌声がうるさい」
ベルトルト「ごめん」
ーー東口 靖国通り カラオケ
ベルトルト「個室と言うから連れて来たんだけど、どうやらここは休憩場ではないみたいだね」
ユミル「騒がし」

96 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/26(金) 12:21:17 vGmxYz.6
ベルトルト(カラオケって個室で思い思いに歌うところなのか。勉強になったな)
ベルトルト(ご希望の騎手はございますか?って聞かれてとりあえず僕って答えたら変な顔された)
ベルトルト(ああ恥ずかしかった。機械の機種なら、そう言ってよ)
ユミル「……」
ベルトルト「……確かとなりの建物に薬屋があったから、見てくるよ」ヨイショ
ベルトルト「君に噛み千切られた指もどうにかしなくちゃいけないし」
ユミル「本当に……生えねえのか?」
ベルトルト「まだ言ってるの」


97 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/26(金) 12:24:11 vGmxYz.6
ユミル「……私はもしかして、ベルトルさんに悪いことをしたのか?」
ベルトルト「はぁ……。君はここで休みつつ、反省すること。いいね?」
ユミル「……ああ」
ベルトルト「じゃあね。いなくならないでよ」
ユミル「ああ。……ベルトルさん」
ベルトルト「ん」
ユミル「……ごめんな」
ベルトルト「……うん」
バタン
ユミル「……」ムクッ

102 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/26(金) 20:46:45 G6MtnuCU
ーー
ガチャ
ベルトルト「ただいま」
ユミル「おー」
ベルトルト「さあユミル。この錠剤を飲んで」
ユミル「……睡眠薬?」ゾ
ベルトルト「まさか。言っただろ、穏便にって」
ユミル「冗談だ」
ゴクゴク……
ユミル「ふう。ベルトルさんは頼りになるな」
ベルトルト「ありがとう」

103 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/26(金) 20:48:28 G6MtnuCU
ユミル「……」
ベルトルト「……」
ユミル「……眠い。盛ったな」
ベルトルト「心外だな。体調悪いときでも僕をいじめるの?」
ユミル「癖なんだ」
ベルトルト「膝枕する?」
ユミル「いらね」
ベルトルト「さっきだって結局おんぶしたじゃないか」
ユミル「……フン」
ボスッ
ユミル「……クリスタのと違う」
ベルトルト「当たり前だろ……ていうか、もっと奥に頭置いてよ。落としちゃう」
ユミル「股に近い。股臭そう」
ベルトルト「ひど」

104 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/26(金) 20:56:43 G6MtnuCU
ユミル「……」
ベルトルト「おやすみ」
ユミル「……歌声がうるさい」
ベルトルト「ごめん」
ユミル「……あ」
ベルトルト「?」
ユミル「この歌……ベルトルさんっぽい……フォーリン、ライクアッシズ……意味不明だな」ウトウト
ベルトルト「ちょっと陰鬱じゃない?」
ユミル「……陰鬱、ぴったりだ。……とても、かっこいい……私は好きだぞ」ムニャ
ベルトルト「やめてよ。勘違いしてしまう」
ユミル「はは……」ウトウト
ベルトルト「……」
ユミル「……」ウトウト

107 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/26(金) 21:51:37 azd7CEkg
ベルトルト「……」
ユミル「……」スー スー
ベルトルト「……」
ユミル「……」スー スー
ベルトルト「……」
ベルトルト *スッ
ユミル「指生えてるな」パチ
ベルトルト「……!!」

110 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/26(金) 22:28:45 G6MtnuCU
ユミル「私の首に気安く触るんじゃねえ。……ぺっ!吐き出すのは二回目だ」
ベルトルト「……」
ユミル「穏便にすませようっていったのはそっちだぞ……」
ユミル「やっぱり盛ってたってことだろ」
ベルトルト「ごめん……」
ユミル「……」
ベルトルト「君が脅威なんだ。想定外で、僕はどうしたらいいか……決められない」
ユミル「私を殺すと決断できてるじゃないか」
ベルトルト「僕は臆病者だから。これはただの正当防衛」
ユミル「過剰防衛はなはだしいな」

111 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/26(金) 22:29:33 G6MtnuCU
ベルトルト「まずは拘束する。君、体調悪いのは事実だろ?」
ユミル「……ああ」
ベルトルト「教えてくれる?」
ユミル「何をだ?」
ベルトルト「僕について、何を、知っているのか」
ユミル「さあな」
ベルトルト「教えてよ」
ユミル「また泣きそうな顔してるな」
ベルトルト「泣き虫なんだ。そして怖がりなんだ。だから君に消えてもらいたい」
ユミル「……」

112 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/26(金) 22:30:56 G6MtnuCU
ベルトルト「……君を拘束して、22時まで動かないでいてもらう。帰還の荷台には乗せない。ここでさよならだ」
ベルトルト「覚えているかい?ハンジ分隊長が言っていたこと」
ユミル「……」
ベルトルト「僕らが乗ってきたあれ以外の荷台は、この世界には繋がらなかったって」
ベルトルト「僕は帰還したらあの荷台を破壊する」
ユミル「疑われるぞ」
ベルトルト「上手くやるさ。だから君はここで、ここから新しい人生でもはじめてよ」
ユミル「殺さないとは優しいな」
ベルトルト「ありがとう」
ユミル「だがお前のためには死ねない」
ベルトルト「そっか……じゃあ最悪殺してしまうかもしれないな。縛るね?」
ユミル「だめってったってだめなんだろ」

113 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/26(金) 22:33:06 G6MtnuCU
ベルトルト「少しは抵抗してよ」
ユミル「ハッ……面白いこと言うな。私を気絶かなんかさせておいたほうがラクに縛れるはずだ」
ベルトルト「なんでだろうね。嫌がるのがちょっと見たい」
ユミル「穏やかな顔で言うな」
ベルトルト「はいじゃあまず手を貸して」
ユミル「腹立つ」
ベルトルト「ごめん」
ギュ
ベルトルト「うん。ちゃんと縛れている。こんなものかな」
ユミル「……」
ベルトルト「ついでに“コニー”は返してもらったよ」チャリン
ユミル「欲張り」
ベルトルト「この際もっと欲張ろう」ゴソゴソ

114 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/26(金) 22:38:50 DIStO8ZY
なにするつもりだよこええベルトルさん、
最初の穏やかな雰囲気がこんなシリアスに…
大好物です


115 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/26(金) 22:54:56 G6MtnuCU
カシャ
ユミル「おい。なんで私の写真を撮るんだ」
ベルトルト「記念に」
ユミル「は?」
ベルトルト「怖ろしい君を怖がりな僕が拘束していることに、とても高揚しているんだ」フィルムマキマキ
ユミル「変な趣味してるな」
ベルトルト「ごめん。でもあともう2枚くらいいいかな。大丈夫。現像しないから」カシャ
ユミル「……なあベルトルさん。私をここに置いて行くと言うのなら」
ユミル「せめてはなむけに、抱きしめてくれないか」
ベルトルト「……」
ユミル「……」
ベルトルト「は?……敵なのに?」
ユミル「私はさみしいんだ。ひとりぼっちだ」
ユミル「最期くらい、ひとりじゃないと思いたい」

116 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/26(金) 22:56:05 G6MtnuCU
ベルトルト「意外だな」
ユミル「ベルトルさんだってそうだろ。ひとりぼっちで、さみしいんだろ?」
ベルトルト「……何を言っているのユミル」
ユミル「お前にはライナーとアニがいたのにな」
ベルトルト「……!」
ユミル「ライナーは友情や恋慕に我を忘れ、アニとはさよならしちまった」
ユミル「そしてもうじき、きっとライナーも壊れてさよならだ。完全にひとりぼっちだよ。ベルトルさんは」
ベルトルト「……」
ユミル「……安心しろ。私の大義は調査兵団にはない。私の大儀はただ1人」
ユミル「今日私らがこうなったのは、互いのすべきことが偶然衝突したから。それだけだ」
ユミル「だから……お前らを悪だとは言わない」
ベルトルト「……」
ユミル「お前は間違ってないよ。よく頑張っている。だから頭をなでてやる」

117 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/26(金) 22:57:04 G6MtnuCU
ベルトルト「……」
ユミル「……」
ベルトルト「……本当?」
ユミル「……ああ。だから抱きしめてくれ」
ベルトルト「……危険だよ……おすすめしない。僕だって思春期なんだ」
ユミル「それ以上をしてしまうと?」
ベルトルト「君のこと、怖くて大嫌いなはずなんだけど」
ユミル「でも私はもう元の世界には戻れないんだろ?一度きりだ。私は構わないし、問題ないだろ」
ベルトルト「……」
ユミル「ただ……私はアニじゃないけどな」
ベルトルト「……そうだね」

118 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/26(金) 22:58:04 G6MtnuCU
ベルトルト「君はアニじゃない……アニと違って、僕は君が大嫌いだ」
ベルトルト「だから」
ドサッ
ベルトルト「君にまたがって、首をしめて……ときどき肌をひっかきながら……したいな」ググ
ユミル「はっ……もう……またがって……首、しめてるだろ」
ベルトルト「ごめん……」ウルウル
ユミル「泣くなよベルさん……もう、ひとりじゃないぞ……」
ベルトルト「嬉しいな」ニコ
ユミル「……いい笑顔だ……」
ベルトルト「あとは肌をひっかきながら、しようね……」ググ
ユミル「……お前の思春期は、少し……過激だな……っ……」
ベルトルト「人間がきらいでこわいんだ……特に君が」ググ
ユミル「は、ハハ……」

119 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/07/26(金) 22:58:56 G6MtnuCU
ベルトルト「本当に……いいの?」
ユミル「……ひっかく、ならっ……うま、く、やれよ……」
ベルトルト「もちろん……!大丈夫だよユミル!僕!優しいから……っ」
グググ…
ユミル「……っ!」
コンコン
ベルトルト「え」
オマタセシマシター ガチャッ
ベルトルト「ジ……ジンジャエール?」
ユミル「げほっ……けほっ……っ。なに……たった380円の、保険ってやつだ」

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