サシャ「味も匂いもたまりません!」
Part3
51 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:42:46 ID:wXp.VD8E
ジャン(普通だ……)
ジャン(これが現実ってもんだろうな……)
ジャン(俺は……夢か幻でも見ようとしてたのか?)
ジャン(俺は知ってたハズだ……現実ってヤツを)
ジャン(普通に考えれば、簡単にわかる……)
ジャン(こんなでけぇヤツが棒を振っても、スイカに届かないってことぐらい……)プルプルプルプル
ベルトルト「あれ? えっ?」 スカッ スカッ
52 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:43:36 ID:wXp.VD8E
ーー 数分後
クリスタ「んー♪ この果物おいしいね!」シャクシャク
ユミル「結構汁が垂れるな、川が近くでよかったよ」シャクシャク
アルミン「」シャクシャクシャクシャク
クリスタ「ふふっ。アルミンってば言葉もないみたい」ニコニコ
アルミン「ううっ……ミカサ、ありがとう……ありがとう……っ!」ポロポロ
ユミル「……感動しすぎて泣いてんじゃねえか」
ミカサ「どういたしまして、アルミン。これはこの前の、せめてもの罪滅ぼし」
クリスタ「? 何かあったの?」キョトン
ミカサ「海辺の」
アルミン「やめて言わないで!!」
53 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:44:24 ID:wXp.VD8E
アニ「……」シャリッ...シャリッ...
ジャン(すっげー怒ってる……)
ミーナ「おいしいねーアニ♪」ニコニコッ
ジャン(この状態でなんで普通に話しかけられるんだよ!?)
ジャン(そんでもって……)チラッ
ベルトルト(結局屈まないと割れなかった……)ズーン
ジャン「その……ベルトルト、悪かったな。俺が無理にすすめたせいで……」
ベルトルト「ううん、ジャンは悪くないよ、大丈夫……」ズーン
コニー「なーなー、この種って食っても大丈夫なのか?」シャクシャク
エレン「出すもんなんじゃねえの? そもそも種って食えるか?」シャクシャク
マルコ「植物の中には一応食べられる種もあるけどね。これはどうなんだろう……?」ウーン
54 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:45:15 ID:wXp.VD8E
サシャ「♪~」シャリシャリシャクシャク
ライナー「サシャ、隣いいか?」
サシャ「!! どうぞどうぞ!」
ライナー「どうも。ーーさっき言ってた知り合いの食堂って、いつものところか?」
サシャ「そうですそうです! ーー前にですね、肉とか野菜は直接卸してもらってるって話を聞いたことがあったので、ダメもとで聞いてみたら都合してもらえたんです」
ライナー「じゃあ、今度お礼に行かないとな」
サシャ「はい、ミカサともそういう話してたんですよ! 今度食事に行こうってーー」
ライナー「その時は俺もついていっていいか?」
サシャ「……いいんですか?」
ライナー「ああ。むしろお礼を言いに行かないと失礼だろ」
サシャ「そ、そうですよね、お礼は大事ですよね、はい」モジモジ
55 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:46:09 ID:wXp.VD8E
サシャ(なんというか……隣に座ると気になってきますね、匂い)ソワソワ
サシャ(ユミルに言われたからじゃないですけど、聞くくらいなら……)チラッ
サシャ「……あのですね、ライナー」モジモジ
ライナー「んー?」シャクシャク
サシャ「その、匂いが……」モジモジ
ライナー「匂い?」シャクシャク
サシャ「匂いが…………………………その、たまらないですよね。味も。このスイカ」
ライナー「ああ、そうだな。珍しい匂いと味だ」シャクシャク
サシャ(……あれ?)
56 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:47:08 ID:wXp.VD8E
サシャ(もう一回……『匂い嗅がせてください』って言うだけ……言うだけ……)
サシャ「…………スイカの種は消化されないみたいですけど、食べても問題ないらしいですよ」
ライナー「ほう……じゃあ食っちまうか。いちいち出すのも面倒だしな」シャクシャク
サシャ(…………あれー?)
サシャ(今更照れることなんてないですよね、そうですよ……!)グッ
サシャ「………………えと、似たような丸くて大きい果物でメロンっていうのもあったんですけど、みんなで食べるなら断然こっちだって店員のお姉さんに言われまして」
ライナー「メロンか……名前だけでもうまそうだな」シャクシャク
サシャ「ですよね……」
サシャ(………………あれれー?)
ライナー「今日はよく喋るな、サシャ。手が止まってるぞ?」シャクシャク
サシャ「そんなことないですよ……そんなことないですよ!!」クワッ!!
ライナー「? そうか?」シャクシャク
57 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:48:30 ID:wXp.VD8E
サシャ(くっ……キスの味は簡単に言えたのに、どうして……!!)ギリッ...
ライナー「ーーおい、顔に汁ついてるぞ」
サシャ「ふぇっ? どこですか?」ゴシゴシ
ライナー「そっちじゃない。……ほら、こっち向け」
サシャ「はぁい」クルッ
ライナー「口元ベタベタだな……お前な、子どもじゃないんだから気をつけて食えよ?」ゴシゴシ
サシャ「はぁ、すみません……」シュン
サシャ(……匂いは、今度二人きりになったときにお願いしてみましょう)ガックリ
ジャン「…………」メリィッ...!!
ベルトルト「わぁ、ジャンって握力すごいんだね」
ジャン「まあな……」メキ...ッ!!
58 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:49:17 ID:wXp.VD8E
ーー 数十分後 夕方
コニー「あー、遊んだ遊んだー!」
マルコ「もうすっかり夕方だね」
エレン「スイカの皮、これで全部か?」ズシッ...
ベルトルト「二つに分けたけど、結構な量だね……」ズシッ...
ミーナ「うわー……スイカの皮ってこんなにかさばるんだね……」マジマジ
アニ(……どこから持ってきたんだろ、あの麻袋)
ミカサ「ありがとうエレン、ベルトルト。ゴミの処分は私に任せて欲しい」
59 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:51:00 ID:wXp.VD8E
ジャン「……なあ、そのゴミってどうすんだ? 燃やすのか?」
ミカサ「そのままだと燃えにくいらしい。ので、干してから焼却炉で燃やす。証拠隠滅は大事」
ミカサ「その後は、麻袋もちゃんと洗う。……この前のような事態は避けなければならない」ギリッ
エレン「この前ってゴ」
ベルトルト「ダメだよエレン」クチフサギ
ジャン「なら、片付けは男子でやるよ。俺たち結局何もしてねえし、持って帰るのも大変だろ? その量だと」
ミカサ「……」キョトン
エレン「そうだな、こんなうまいモン食わせてもらって何もしないのはよくねえよな!」
コニー「交替で運べばそこまで疲れねえだろうしーーよーし、いっちょやるか!」
60 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:52:10 ID:wXp.VD8E
ミカサ「……」ジッ
ジャン「な、なんだよ?」
ミカサ「……ありがとう、ジャン」ニコッ
ジャン「」
アルミン「うん、忘れ物もないみたいだね」キョロキョロ
ジャン「……アルミン」
アルミン「どうしたの? ジャン。ーー!?」
ジャン「今日は……いい日だったな……!!」ブワッ
アルミン「う、うん、そうだね……?」
アルミン(なんで泣いてるんだろう……?)
61 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:54:47 ID:wXp.VD8E
ライナー「ーークリスタ、ユミル。もう帰っていいぞ」
クリスタ「うん、ありがとう……でも」チラッ
ユミル「そうしたいんだけどよ、サシャが寝ちまったんだよ」
サシャ「……zzz」スヤスヤ
ライナー「なんだ……遊び疲れて寝たのか?」
クリスタ「ううん、違うと思う。毎晩夜遅くまで起きてるから、その疲れが出ちゃったのかも」
ユミル「毎日毎日訓練にアニとの特訓に夕食後にミカサとお勉強だろ? よくバテねえよなーこいつ」プニプニ
サシャ「んー……」ムニャムニャ
クリスタ「ダメだよユミル、起こしちゃうでしょ?」
ユミル「起こさねえでどうすんだよ、このまま待ってるのか?」
62 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:55:42 ID:wXp.VD8E
ミカサ「……サシャはライナーが連れて帰るので大丈夫」スタスタ...
ライナー「いや……連れて帰るのはいいが、入れんだろう」
ミカサ「今日の夕方から、寮母さんはいない。だから入れる」
ミカサ「それに、先に帰ったアニとミーナに手引きを頼んである」
ライナー「……用意周到だな」
ミカサ「何事も、下準備は大事」ニンニン
ライナー「他の男子は?」
ミカサ「アルミンとあなた以外は、スイカの皮を担いで先に帰った」
ミカサ「私はもう少しこの辺りを見て回る。ので、クリスタとユミルは、サシャの機動装置を持って帰ってあげてほしい」
ユミル「……わかったよ。行くぞクリスタ」スタスタ...
クリスタ「うん……じゃあライナー、お願いね?」トテトテ
ライナー「ああ、任せとけ」
63 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:56:38 ID:wXp.VD8E
ライナー「スイカ……だっけか。高かったんだろ? あの果物」
ミカサ「あまりにも高いので、分割払いにしてもらった」
ライナー「……あとで男連中からいくらか集めて渡す」
ミカサ「そうしてあげてほしい。このままだとサシャの懐が半年ほど氷河期」
ライナー「そういえば、そのうちあそこにお礼に行くんだろ? その時は俺もついていっていいか?」
ミカサ「! ……その時は、エレンも連れて行っていい?」
ライナー「? 別に構わんが」
ミカサ(ダブルデートダブルデートダブルデートダブルデート!!)クワッ!!
ライナー「先に行くぞ?」ヨイショット
ミカサ「とても楽しみ」
ライナー「は?」
ミカサ「なんでもない。……それじゃあよろしく」
64 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:57:29 ID:wXp.VD8E
アルミン「スイカの種が何個か落ちてるけど……これくらいなら、まあバレないかな」ウーン
ミカサ「……アルミン」
アルミン「ミカサ? 女子は全員帰っ……!?」
ミカサ「いい人生だった……!!」ブワッ
アルミン「もしもしミカサ? 大丈夫?」ユサユサ
アルミン(ジャンといい、ミカサといい……そんなに楽しかったのかな……?)
65 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:58:24 ID:wXp.VD8E
ーー 数十分後 女子寮 ユミルたちの部屋の前
ミーナ「部屋はここね。ベッドの位置はわかる?」
ライナー「ああ、大丈夫だ。……ありがとな」
ミーナ「ううん、どういたしまして」
アニ「夕食まで時間があるから、私たちは少し空けるけど……一人で帰れるよね」
ライナー「あと少しでユミルたちも帰ってくるだろうからな、うまくやるさ」ガチャッ
ミーナ「それじゃ、ごゆっくりー」バタンッ
ミーナ「……ねえ、なんでライナーがサシャのベッドの位置知ってるの?」
アニ「さあね。ーーいいからお風呂行こうよ。結構身体冷えたし」スタスタ...
66 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 20:00:06 ID:wXp.VD8E
ーー 女子寮 ユミルたちの部屋
ライナー(……よく考えたらアニとミーナに任せたらよかったな)
ライナー「よっと……」ポスッ
サシャ「……zzz」スヤスヤ
ライナー(川から歩いて、立体機動装置で移動して、ここまで歩いてきて、これで起きないって相当だぞ……?)ジーッ
サシャ「んー……」モゾモゾ
ライナー(このままだと身体が冷えそうだな……布団だと暑そうだな。上着でいいか)バサッ
ライナー(しかし、こんなに熟睡するほど疲れてたのか……)ジーッ
67 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 20:01:14 ID:wXp.VD8E
ーー 肩を並べるのは無理かもしれませんが、寄りかかるような関係には、なりたくないんです
ーー ……同じ味を、一緒に知っていきたいですから」
ライナー(あの言葉、まさか本気だったとは……)
ライナー「……言えば、俺が教えてやるってのに」ボソッ
サシャ「……zzz」ムニャムニャ
ライナー「……」ジーッ...
ライナー(もう少しだけ、眺めてるかな……)
68 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 20:02:24 ID:wXp.VD8E
ーー 消灯後 女子寮 ユミルたちの部屋
サシャ「……」パチッ
サシャ「……?」ボンヤリ
サシャ(夜……真っ暗……消灯時間……!?)
サシャ(ああああああ夜ご飯食べ損ねました……!! もったいない……!!)ワナワナ
サシャ(スイカだけじゃ……っ! スイカだけじゃ物足りないです……っ!!)ゴロゴロ
サシャ(というか、川でスイカを食べた後から記憶がないんですが、誰がここまで運んできてくれたんでしょう……? ミカサですかね……?)モゾモゾ
69 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 20:02:54 ID:5v6o6RUs
甘いなぁ///
70 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 20:03:39 ID:wXp.VD8E
サシャ(あれ? 上着……私やミカサのにしては大きいような……?)
サシャ(取り敢えず広げてみましょうか……)ピロッ
サシャ(わっ……肩幅大きい……)マジマジ
サシャ(腕も太い……ということはこれって……)
サシャ(ライナーの上着……!?)ワナワナ
サシャ(ということは、ここまで送ってくれたんですかね……?)
サシャ(いやいやでもベルトルトかもしれませんし! 他にも背が大きい男子はいっぱいいますし!)ブンブン
サシャ(名前……は書いてない! イニシャルもない!!)ウラガエシ
サシャ(なんで書いてないんですか!? 洗濯しないんですか!? これ、一体誰に返したらいいんですか!?)ジタバタジタバタ
71 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 20:04:53 ID:wXp.VD8E
サシャ「……」ジーッ
サシャ(……匂いを嗅げば、わかったりしませんかね……?)
サシャ(……でも人としてどうなんでしょう!? 勝手に匂い嗅ぐのってどうなんでしょう!?)
サシャ(…………でもでも、ちょっとだけならいいですよね? だって男の人はああいう本読んでるんですから、おあいこですよね?)
サシャ(それに比べたら、全然変なことじゃないですよ、そうですよ)
サシャ(変じゃない、変じゃない、変じゃない……)
サシャ「……」ジーッ...
サシャ「……」
サシャ「……」 ...クンクン
72 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 20:05:48 ID:wXp.VD8E
ユミル(ふむふむ、今は方言女子が熱いのか……)ジーッ
ユミル(クリスタの方言……)
クリスタ『ユミル、おはよごす!』キュピーン☆
クリスタ『この風呂ずんぶあずましいな!』チャプチャプ
ユミル(……うん。ないな)
ユミル(ていうか男の好み毎月コロコロ変わりすぎだろ……ちゃんと調査してんのか? この雑誌)ペラッ
ユミル(先月は『本能のままに生き急げ! 彼の匂いで野性の勘を取り戻そう!』だったんだよなー……)
ユミル(これ全部こなせるなら超人だぞ……)ペラッ
\ドサッ!!/
「あいたぁっ!?」
ユミル「!? なんだぁ!?」バッ
73 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 20:07:22 ID:wXp.VD8E
ユミル「……何してんだ、サシャ。床に転がって」シャガミコミ
サシャ「ど、どうしましょう、ユミルぅ……///」
ユミル「ああ? 顔真っ赤だぞ、冷えて熱で出たか? ていうかその上着、誰の……」
サシャ「わ、私……おかしくなっちゃったのかもしれないです……///」
ユミル「……お前元からおかしいだろ」
サシャ「違うんです、そうじゃなくてぇっ……!///」
サシャ「ユミルの、言った通りでした……!///」
サシャ「味も、匂いも……たまらないです……///」ギュゥッ
ユミル「…………………………はぁ?」
おわり
74 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 20:08:37 ID:wXp.VD8E
終わりです。読んでくださった方ありがとうございました!あー妄想楽しい
いつも短い短いと言われるので色々盛り込んでみましたけど、やっぱり長めのはキツいので次回から短めに戻ります
75 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 20:10:00 ID:5v6o6RUs
乙
この上着は返ってこないなwww
76 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 20:10:47 ID:e8qiYCAA
乙でしたー
サシャかわええ
77 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 20:14:52 ID:wXp.VD8E
乙ありがとうございますー嬉しいです!
>>75 さん
借りた物は返すまでが一セットなので次回ちゃんとやります、お楽しみにー
78 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 21:02:48 ID:QgwcdUR.
ちゃんと上着、俺に返せよ
79 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 00:49:29 ID:X781KwfI
もえた
いつもありがとう
80 :イチゴ ◆Xe6kzkN9p.:2013/07/16(火) 22:40:03 ID:1KlW.yoE
このシリーズは安定して面白い
ジャン(普通だ……)
ジャン(これが現実ってもんだろうな……)
ジャン(俺は……夢か幻でも見ようとしてたのか?)
ジャン(俺は知ってたハズだ……現実ってヤツを)
ジャン(普通に考えれば、簡単にわかる……)
ジャン(こんなでけぇヤツが棒を振っても、スイカに届かないってことぐらい……)プルプルプルプル
ベルトルト「あれ? えっ?」 スカッ スカッ
52 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:43:36 ID:wXp.VD8E
ーー 数分後
クリスタ「んー♪ この果物おいしいね!」シャクシャク
ユミル「結構汁が垂れるな、川が近くでよかったよ」シャクシャク
アルミン「」シャクシャクシャクシャク
クリスタ「ふふっ。アルミンってば言葉もないみたい」ニコニコ
アルミン「ううっ……ミカサ、ありがとう……ありがとう……っ!」ポロポロ
ユミル「……感動しすぎて泣いてんじゃねえか」
ミカサ「どういたしまして、アルミン。これはこの前の、せめてもの罪滅ぼし」
クリスタ「? 何かあったの?」キョトン
ミカサ「海辺の」
アルミン「やめて言わないで!!」
53 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:44:24 ID:wXp.VD8E
アニ「……」シャリッ...シャリッ...
ジャン(すっげー怒ってる……)
ミーナ「おいしいねーアニ♪」ニコニコッ
ジャン(この状態でなんで普通に話しかけられるんだよ!?)
ジャン(そんでもって……)チラッ
ベルトルト(結局屈まないと割れなかった……)ズーン
ジャン「その……ベルトルト、悪かったな。俺が無理にすすめたせいで……」
ベルトルト「ううん、ジャンは悪くないよ、大丈夫……」ズーン
コニー「なーなー、この種って食っても大丈夫なのか?」シャクシャク
エレン「出すもんなんじゃねえの? そもそも種って食えるか?」シャクシャク
マルコ「植物の中には一応食べられる種もあるけどね。これはどうなんだろう……?」ウーン
54 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:45:15 ID:wXp.VD8E
サシャ「♪~」シャリシャリシャクシャク
ライナー「サシャ、隣いいか?」
サシャ「!! どうぞどうぞ!」
ライナー「どうも。ーーさっき言ってた知り合いの食堂って、いつものところか?」
サシャ「そうですそうです! ーー前にですね、肉とか野菜は直接卸してもらってるって話を聞いたことがあったので、ダメもとで聞いてみたら都合してもらえたんです」
ライナー「じゃあ、今度お礼に行かないとな」
サシャ「はい、ミカサともそういう話してたんですよ! 今度食事に行こうってーー」
ライナー「その時は俺もついていっていいか?」
サシャ「……いいんですか?」
ライナー「ああ。むしろお礼を言いに行かないと失礼だろ」
サシャ「そ、そうですよね、お礼は大事ですよね、はい」モジモジ
55 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:46:09 ID:wXp.VD8E
サシャ(なんというか……隣に座ると気になってきますね、匂い)ソワソワ
サシャ(ユミルに言われたからじゃないですけど、聞くくらいなら……)チラッ
サシャ「……あのですね、ライナー」モジモジ
ライナー「んー?」シャクシャク
サシャ「その、匂いが……」モジモジ
ライナー「匂い?」シャクシャク
サシャ「匂いが…………………………その、たまらないですよね。味も。このスイカ」
ライナー「ああ、そうだな。珍しい匂いと味だ」シャクシャク
サシャ(……あれ?)
サシャ(もう一回……『匂い嗅がせてください』って言うだけ……言うだけ……)
サシャ「…………スイカの種は消化されないみたいですけど、食べても問題ないらしいですよ」
ライナー「ほう……じゃあ食っちまうか。いちいち出すのも面倒だしな」シャクシャク
サシャ(…………あれー?)
サシャ(今更照れることなんてないですよね、そうですよ……!)グッ
サシャ「………………えと、似たような丸くて大きい果物でメロンっていうのもあったんですけど、みんなで食べるなら断然こっちだって店員のお姉さんに言われまして」
ライナー「メロンか……名前だけでもうまそうだな」シャクシャク
サシャ「ですよね……」
サシャ(………………あれれー?)
ライナー「今日はよく喋るな、サシャ。手が止まってるぞ?」シャクシャク
サシャ「そんなことないですよ……そんなことないですよ!!」クワッ!!
ライナー「? そうか?」シャクシャク
57 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:48:30 ID:wXp.VD8E
サシャ(くっ……キスの味は簡単に言えたのに、どうして……!!)ギリッ...
ライナー「ーーおい、顔に汁ついてるぞ」
サシャ「ふぇっ? どこですか?」ゴシゴシ
ライナー「そっちじゃない。……ほら、こっち向け」
サシャ「はぁい」クルッ
ライナー「口元ベタベタだな……お前な、子どもじゃないんだから気をつけて食えよ?」ゴシゴシ
サシャ「はぁ、すみません……」シュン
サシャ(……匂いは、今度二人きりになったときにお願いしてみましょう)ガックリ
ジャン「…………」メリィッ...!!
ベルトルト「わぁ、ジャンって握力すごいんだね」
ジャン「まあな……」メキ...ッ!!
58 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:49:17 ID:wXp.VD8E
ーー 数十分後 夕方
コニー「あー、遊んだ遊んだー!」
マルコ「もうすっかり夕方だね」
エレン「スイカの皮、これで全部か?」ズシッ...
ベルトルト「二つに分けたけど、結構な量だね……」ズシッ...
ミーナ「うわー……スイカの皮ってこんなにかさばるんだね……」マジマジ
アニ(……どこから持ってきたんだろ、あの麻袋)
ミカサ「ありがとうエレン、ベルトルト。ゴミの処分は私に任せて欲しい」
59 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:51:00 ID:wXp.VD8E
ジャン「……なあ、そのゴミってどうすんだ? 燃やすのか?」
ミカサ「そのままだと燃えにくいらしい。ので、干してから焼却炉で燃やす。証拠隠滅は大事」
ミカサ「その後は、麻袋もちゃんと洗う。……この前のような事態は避けなければならない」ギリッ
エレン「この前ってゴ」
ベルトルト「ダメだよエレン」クチフサギ
ジャン「なら、片付けは男子でやるよ。俺たち結局何もしてねえし、持って帰るのも大変だろ? その量だと」
ミカサ「……」キョトン
エレン「そうだな、こんなうまいモン食わせてもらって何もしないのはよくねえよな!」
コニー「交替で運べばそこまで疲れねえだろうしーーよーし、いっちょやるか!」
60 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:52:10 ID:wXp.VD8E
ミカサ「……」ジッ
ジャン「な、なんだよ?」
ミカサ「……ありがとう、ジャン」ニコッ
ジャン「」
アルミン「うん、忘れ物もないみたいだね」キョロキョロ
ジャン「……アルミン」
アルミン「どうしたの? ジャン。ーー!?」
ジャン「今日は……いい日だったな……!!」ブワッ
アルミン「う、うん、そうだね……?」
アルミン(なんで泣いてるんだろう……?)
61 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:54:47 ID:wXp.VD8E
ライナー「ーークリスタ、ユミル。もう帰っていいぞ」
クリスタ「うん、ありがとう……でも」チラッ
ユミル「そうしたいんだけどよ、サシャが寝ちまったんだよ」
サシャ「……zzz」スヤスヤ
ライナー「なんだ……遊び疲れて寝たのか?」
クリスタ「ううん、違うと思う。毎晩夜遅くまで起きてるから、その疲れが出ちゃったのかも」
ユミル「毎日毎日訓練にアニとの特訓に夕食後にミカサとお勉強だろ? よくバテねえよなーこいつ」プニプニ
サシャ「んー……」ムニャムニャ
クリスタ「ダメだよユミル、起こしちゃうでしょ?」
ユミル「起こさねえでどうすんだよ、このまま待ってるのか?」
62 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:55:42 ID:wXp.VD8E
ミカサ「……サシャはライナーが連れて帰るので大丈夫」スタスタ...
ライナー「いや……連れて帰るのはいいが、入れんだろう」
ミカサ「今日の夕方から、寮母さんはいない。だから入れる」
ミカサ「それに、先に帰ったアニとミーナに手引きを頼んである」
ライナー「……用意周到だな」
ミカサ「何事も、下準備は大事」ニンニン
ライナー「他の男子は?」
ミカサ「アルミンとあなた以外は、スイカの皮を担いで先に帰った」
ミカサ「私はもう少しこの辺りを見て回る。ので、クリスタとユミルは、サシャの機動装置を持って帰ってあげてほしい」
ユミル「……わかったよ。行くぞクリスタ」スタスタ...
クリスタ「うん……じゃあライナー、お願いね?」トテトテ
ライナー「ああ、任せとけ」
63 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:56:38 ID:wXp.VD8E
ライナー「スイカ……だっけか。高かったんだろ? あの果物」
ミカサ「あまりにも高いので、分割払いにしてもらった」
ライナー「……あとで男連中からいくらか集めて渡す」
ミカサ「そうしてあげてほしい。このままだとサシャの懐が半年ほど氷河期」
ライナー「そういえば、そのうちあそこにお礼に行くんだろ? その時は俺もついていっていいか?」
ミカサ「! ……その時は、エレンも連れて行っていい?」
ライナー「? 別に構わんが」
ミカサ(ダブルデートダブルデートダブルデートダブルデート!!)クワッ!!
ライナー「先に行くぞ?」ヨイショット
ミカサ「とても楽しみ」
ライナー「は?」
ミカサ「なんでもない。……それじゃあよろしく」
64 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:57:29 ID:wXp.VD8E
アルミン「スイカの種が何個か落ちてるけど……これくらいなら、まあバレないかな」ウーン
ミカサ「……アルミン」
アルミン「ミカサ? 女子は全員帰っ……!?」
ミカサ「いい人生だった……!!」ブワッ
アルミン「もしもしミカサ? 大丈夫?」ユサユサ
アルミン(ジャンといい、ミカサといい……そんなに楽しかったのかな……?)
65 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 19:58:24 ID:wXp.VD8E
ーー 数十分後 女子寮 ユミルたちの部屋の前
ミーナ「部屋はここね。ベッドの位置はわかる?」
ライナー「ああ、大丈夫だ。……ありがとな」
ミーナ「ううん、どういたしまして」
アニ「夕食まで時間があるから、私たちは少し空けるけど……一人で帰れるよね」
ライナー「あと少しでユミルたちも帰ってくるだろうからな、うまくやるさ」ガチャッ
ミーナ「それじゃ、ごゆっくりー」バタンッ
ミーナ「……ねえ、なんでライナーがサシャのベッドの位置知ってるの?」
アニ「さあね。ーーいいからお風呂行こうよ。結構身体冷えたし」スタスタ...
66 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 20:00:06 ID:wXp.VD8E
ーー 女子寮 ユミルたちの部屋
ライナー(……よく考えたらアニとミーナに任せたらよかったな)
ライナー「よっと……」ポスッ
サシャ「……zzz」スヤスヤ
ライナー(川から歩いて、立体機動装置で移動して、ここまで歩いてきて、これで起きないって相当だぞ……?)ジーッ
サシャ「んー……」モゾモゾ
ライナー(このままだと身体が冷えそうだな……布団だと暑そうだな。上着でいいか)バサッ
ライナー(しかし、こんなに熟睡するほど疲れてたのか……)ジーッ
67 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 20:01:14 ID:wXp.VD8E
ーー 肩を並べるのは無理かもしれませんが、寄りかかるような関係には、なりたくないんです
ーー ……同じ味を、一緒に知っていきたいですから」
ライナー(あの言葉、まさか本気だったとは……)
ライナー「……言えば、俺が教えてやるってのに」ボソッ
サシャ「……zzz」ムニャムニャ
ライナー「……」ジーッ...
ライナー(もう少しだけ、眺めてるかな……)
68 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 20:02:24 ID:wXp.VD8E
ーー 消灯後 女子寮 ユミルたちの部屋
サシャ「……」パチッ
サシャ「……?」ボンヤリ
サシャ(夜……真っ暗……消灯時間……!?)
サシャ(ああああああ夜ご飯食べ損ねました……!! もったいない……!!)ワナワナ
サシャ(スイカだけじゃ……っ! スイカだけじゃ物足りないです……っ!!)ゴロゴロ
サシャ(というか、川でスイカを食べた後から記憶がないんですが、誰がここまで運んできてくれたんでしょう……? ミカサですかね……?)モゾモゾ
69 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 20:02:54 ID:5v6o6RUs
甘いなぁ///
70 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 20:03:39 ID:wXp.VD8E
サシャ(あれ? 上着……私やミカサのにしては大きいような……?)
サシャ(取り敢えず広げてみましょうか……)ピロッ
サシャ(わっ……肩幅大きい……)マジマジ
サシャ(腕も太い……ということはこれって……)
サシャ(ライナーの上着……!?)ワナワナ
サシャ(ということは、ここまで送ってくれたんですかね……?)
サシャ(いやいやでもベルトルトかもしれませんし! 他にも背が大きい男子はいっぱいいますし!)ブンブン
サシャ(名前……は書いてない! イニシャルもない!!)ウラガエシ
サシャ(なんで書いてないんですか!? 洗濯しないんですか!? これ、一体誰に返したらいいんですか!?)ジタバタジタバタ
サシャ「……」ジーッ
サシャ(……匂いを嗅げば、わかったりしませんかね……?)
サシャ(……でも人としてどうなんでしょう!? 勝手に匂い嗅ぐのってどうなんでしょう!?)
サシャ(…………でもでも、ちょっとだけならいいですよね? だって男の人はああいう本読んでるんですから、おあいこですよね?)
サシャ(それに比べたら、全然変なことじゃないですよ、そうですよ)
サシャ(変じゃない、変じゃない、変じゃない……)
サシャ「……」ジーッ...
サシャ「……」
サシャ「……」 ...クンクン
72 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 20:05:48 ID:wXp.VD8E
ユミル(ふむふむ、今は方言女子が熱いのか……)ジーッ
ユミル(クリスタの方言……)
クリスタ『ユミル、おはよごす!』キュピーン☆
クリスタ『この風呂ずんぶあずましいな!』チャプチャプ
ユミル(……うん。ないな)
ユミル(ていうか男の好み毎月コロコロ変わりすぎだろ……ちゃんと調査してんのか? この雑誌)ペラッ
ユミル(先月は『本能のままに生き急げ! 彼の匂いで野性の勘を取り戻そう!』だったんだよなー……)
ユミル(これ全部こなせるなら超人だぞ……)ペラッ
\ドサッ!!/
「あいたぁっ!?」
ユミル「!? なんだぁ!?」バッ
73 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 20:07:22 ID:wXp.VD8E
ユミル「……何してんだ、サシャ。床に転がって」シャガミコミ
サシャ「ど、どうしましょう、ユミルぅ……///」
ユミル「ああ? 顔真っ赤だぞ、冷えて熱で出たか? ていうかその上着、誰の……」
サシャ「わ、私……おかしくなっちゃったのかもしれないです……///」
ユミル「……お前元からおかしいだろ」
サシャ「違うんです、そうじゃなくてぇっ……!///」
サシャ「ユミルの、言った通りでした……!///」
サシャ「味も、匂いも……たまらないです……///」ギュゥッ
ユミル「…………………………はぁ?」
おわり
74 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 20:08:37 ID:wXp.VD8E
終わりです。読んでくださった方ありがとうございました!あー妄想楽しい
いつも短い短いと言われるので色々盛り込んでみましたけど、やっぱり長めのはキツいので次回から短めに戻ります
75 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 20:10:00 ID:5v6o6RUs
乙
この上着は返ってこないなwww
76 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 20:10:47 ID:e8qiYCAA
乙でしたー
サシャかわええ
77 : ◆H4iwFNXQsw:2013/07/15(月) 20:14:52 ID:wXp.VD8E
乙ありがとうございますー嬉しいです!
>>75 さん
借りた物は返すまでが一セットなので次回ちゃんとやります、お楽しみにー
78 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/15(月) 21:02:48 ID:QgwcdUR.
ちゃんと上着、俺に返せよ
79 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/16(火) 00:49:29 ID:X781KwfI
もえた
いつもありがとう
80 :イチゴ ◆Xe6kzkN9p.:2013/07/16(火) 22:40:03 ID:1KlW.yoE
このシリーズは安定して面白い
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