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しんのすけ「かあちゃん…寝ちゃったの?」

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Part2
65 : ◆7TkPuG2Ma. :2009/02/25(水) 00:07:17.08 ID:TY9mRfRr0
「しんのすけーっ!しんのすけーっ!」
 
しんのすけを探し回るひろし
 
「やっぱり…あいつにはまだ早かったんだ…俺は馬鹿だ…大馬鹿だ…」
 
「んも~とうちゃんうるさいゾ、病院はしずかにしなきゃ~」
 
しんのすけがトイレから出て来る
 
「しんのすけ…!」
 
駆け寄り抱きしめるひろし
 
「しんのすけ…すまん!とうちゃんが悪かった!」
「んーん…とうちゃん」
「なんだ?」

68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/25(水) 00:09:28.37 ID:TY9mRfRr0
離ししんのすけの目を見るひろし
 
「オラ…かあちゃんを病気からお守りするぞ…!」
「しんのすけ…」
「オラ男だもん…かあちゃんは女だから男が守らなくちゃいけないんだゾ!ね?とうちゃん!」
「ああそうだ…!かあちゃんを守るのは俺達だ…」
「あとひまわりもだゾ!」
「そうだな…そうだな…」
 
しんのすけをきつく抱きしめるひろし
 
「とうちゃん苦しいゾ…」
 
しんのすけも堪え切れなかった涙を流す

69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/25(水) 00:11:38.78 ID:2C6vdN7YO
だめだ
俺も涙が止まらない

72 : ◆7TkPuG2Ma. :2009/02/25(水) 00:12:58.88 ID:TY9mRfRr0
翌朝
しんのすけとひろしとひまわりはみさえの病室でうたた寝していた
 
「ちょっとあなた!しんのすけ!」
 
跳び起きる三人
 
「なんでこんな所にいるの!?会社は?幼稚園は?」
「み、みさえ…」
「かあちゃん…」
 
みさえに抱き着く二人
 
「ちょちょっと!」
「みさえ!愛してるぞ!」
「かあちゃん愛してるゾ!」
「たいやい!」
 
しんのすけ、ひまわり、ひろしが抱き着き
 
「なにおバカな事言ってるの!」
「しんのすけ、父ちゃんはかあちゃんと話があるから…な?」
「ほ、ほい、ひま行くぞ」
 
ひまわりを抱っこして病室を出るしんのすけ
ひろしは昨日医者と話しみさえにも病気を告げることにした、これから長い闘病生活が始まる、途中で気付くより自分から伝えたいというのがひろしの気持ちだった

76 : ◆7TkPuG2Ma. :2009/02/25(水) 00:15:29.82 ID:TY9mRfRr0
「ひま…」
「たい?」
 
病室の廊下の椅子に座りひまわりに話し掛けるしんのすけ
 
「ひまもオラが絶対お守りするゾ、かあちゃんがいなくてもオラが居るからかあちゃんがいなくなっても泣いちゃ駄目だゾ?」
「うぇ…」
 
泣きそうになるひまわり
 
「…たい!」
 
しかし涙を堪えしんのすけの言葉がわかったように返事をする
 
「おぉっ!それでこそオラの妹だゾ、偉いゾひまわり」


86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/25(水) 00:28:46.39 ID:TY9mRfRr0
「みさえ…」
「やだなぁに、真面目な顔しちゃって~」
「真面目な話だいいな…?」
「う、うん…」
「おまえのな…病気…は」
「…」
「癌…だ…」
「!…」
「辛い宣告なのはわかってるでも!これは俺達家族四人が一体になって乗り越えなくちゃならないことだからおまえに話した…」
「…」
「みさえ…?」
 
押し黙っているみさえ

88 : ◆7TkPuG2Ma. :2009/02/25(水) 00:31:45.25 ID:TY9mRfRr0
「…のすけは」
「ん?」
「しんのすけは知ってるの?」
「…あぁ…かあちゃんはオラがお守りするって…」
「そう!」
 
顔を上げひろしに笑顔を見せるみさえ
 
「みさえ…おまえ…」
「しんのすけがあんなに明るく振る舞ってるんだもの…母親の私がうじうじしてられないわよ…!」
「みさえ…」
 
みさえを抱きしめるひろし
 
「みさえ…頑張ろう…生きよう、生きてしんのすけとひまを一緒に育てよう…みさえ」
「あなた…」

91 : ◆7TkPuG2Ma. :2009/02/25(水) 00:33:52.75 ID:TY9mRfRr0
「とうちゃん…もう入っていい?」
 
扉の外からしんのすけの声がする
 
「あ、あぁ…!」
 
入ってくるしんのすけとひまわり
 
「ほらしんのすけ!幼稚園行きなさい!あなたも会社!」
 
「あ、あぁ、また夜来るからな!」
「ひまは幼稚園に連れてってオラが見てるゾ!」
「あら、ひまはママと居ても大丈夫よ」
「え!?」
「ひまを面倒見られないほど疲れてないわよ」
「ひまだけかあちゃんといるなんてずるいゾ!」
「なぁにいってんの、ほらひまこっちいらっしゃい」

95 : ◆7TkPuG2Ma. :2009/02/25(水) 00:36:47.42 ID:TY9mRfRr0
ひまをしんのすけから受け取ろうとするみさえ
 
「や~ん!めっ!」
 
しんのすけの服を掴んで話さないひまわり
 
「いや~ん、ケダモノォ~」
「もしかしてひま、しんのすけと居たいんじゃないか?」
「おぉっ、そうなのかひま?」
「た~よた~よ」
 
そうだと言わんばかりにしんのすけにしがみつくひまわり
 
「ひまはオラが見るから、かあちゃんは早く病気をやっつけてよ!」
「しんのすけ…」
 
潤むみさえ
 
「わかった!まかせたぞ、おに~ちゃん」
「まかせとけだゾ!」

99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/25(水) 00:38:39.58 ID:TY9mRfRr0
「よし、とりあえず今日は父ちゃんと一緒に幼稚園行くぞ、色々園長先生やよしなが先生に説明しなきゃいけないから」
「よろしくねあなた」
 
「よし!行くぞしんのすけ!」
「ほい!」
 
病室を出るひろし
その後にしんのすけも続くが病室を出る直前に振り返り
 
「かあちゃん、病気なんかかあちゃんのでっかいおけつで潰しちゃえばいいんだゾ!」
「こら!しんのすけ!」
「でもかあちゃんがどうしてもって言うなら、オラと父ちゃんがかあちゃんをお守りするからね…」
「しんのすけ…」
 
「たいも!たいも!」
「おおっ、ひまもかあちゃんをお守りするって!」
「…ありがとう」
 
「それじゃかあちゃん、また来るゾ~」
 
元気良く走り去るしんのすけ
 
「いつの間にかおっきくなっちゃって…」
 
その後ろ姿に頼もしさを覚えたみさえだった

103 : ◆7TkPuG2Ma. :2009/02/25(水) 00:41:00.13 ID:TY9mRfRr0
一ヶ月後
みさえは今だ病室だ
しかし一つ大きな違いがある
みさえの髪は全て抜け落ちてしまっている
抗がん剤の副作用だ 
「かあちゃ~ん!」
「しんのすけ!病院では静かにしなさい!」
「まぁまぁ、しんのすけだってさびしいんだろう」
 
病室に幼稚園の制服を着たしんのすけ、スーツ姿のひろし、ひまわりが入って来る
 
「今日はかあちゃんにお土産があるゾ」
「あらなにかしら」
 
「キャン!」
 
「し、シロ!」
「シロもかあちゃんに会いたいって言ってたから…」
「しんのすけ…」
「くぅ~ん…」
 
みさえの頬を舐めるシロ
 
「シロ…ありがと、しんのすけをよろしくね」

110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/25(水) 00:44:42.01 ID:TY9mRfRr0
シロの頭を撫でるみさえ
気持ち良さそうなシロ
 
「あっ、やばい遅刻だ!」
 
ひろしが時計を見て叫ぶ
 
「しんのすけ!行くぞ!」
「ほい!ひまも行くぞ!」
「たい!」
 
慌ただしく病室を出る三人と一匹
 
「いってらっしゃ~い」
 
窓の外にいる三人と一匹に叫ぶみさえ
 
「いってきまぁす!」
 
それに答える三人と一匹

114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/25(水) 00:46:40.88 ID:TY9mRfRr0
幼稚園に着いたしんのすけ
そこには風間くん、ネネちゃん、まさおくん、ぼーちゃんが居る
 
「しんのすけ!おはよう!」
「おぉ!風間くぅん////」
「しんちゃん!おはよ!」
「しんちゃんドッチボールやろうよ!」
「よ~しやるゾ!」
「ボ~」
 
マサオの頭を掴むしんのすけ
 
「僕はボ~ルじゃないよぅ~」
「おおっ、違うのかぁ」
「ひまちゃんはネネとおままごとしましょ~」
 
ひまわりを抱き上げるネネ

116 : ◆7TkPuG2Ma. :2009/02/25(水) 00:48:45.85 ID:TY9mRfRr0
「おおっ」
 
ボ~ルが明後日の方向に飛ぶ
するとボールを拾う園児
 
「へっへっへ~」
 
あのお馴染みのいじめっ子二人組だ
 
「おいしんのすけ~」
「お前の母さんさぁ~」
「!?」
 
「おい!止めろよ!」
 
二人組に詰め寄る風間君
 
「お前の母さんは癌でさぁ」
「ハゲてるんだろ~?」
「…」
「ちょっと止めなさいよ!」
「ボー!」
 
仲間達が集まる
 
「お前達もしんのすけなんかと遊んでるとはげるぞ~」

118 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/25(水) 00:50:42.53 ID:TY9mRfRr0
 
「や、やめろよ!」
 
後ろから声がする
なんとマサオ君だ
「なんだよマサオ~」
「俺達に逆らうってのか~?」
「うるさい!しんちゃんが…しんちゃんが…」
「もういいゾマサオ君」
「しんちゃん…」
 
「オラのかあちゃんは…確かに髪の毛無いゾ…でも…でも」
 
プルプル震えるしんのすけ
 
「マサオ君だって無いんだゾ!!」
「…」
「……」
「………」
 
沈黙
 
「お、おいしんのすけ…」
「でもオラ、マサオ君大好きだゾ、ネネちゃんも、風間君も、ボーちゃんも、もし髪の毛が無くなってもオラは皆が大好きだゾ!」
「しんのすけ…」

123 : ◆7TkPuG2Ma. :2009/02/25(水) 00:52:41.56 ID:TY9mRfRr0
「それにオラのかあちゃんは病気と戦ってるんだゾ!それを馬鹿にするのはゆるさないゾ!」
「な、なんだよ…」
「俺達とやろうってのか?」
 
構える二人組
 
「やってやろうじゃないのよ!」
「ボー!」
「う、うん」
「かすかべ防衛隊ファイヤー!」
 
構える仲間達
 
「へ、へん!」
「行こうぜ!」
 
去る二人組

124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/25(水) 00:52:43.66 ID:zoMuCa+s0
おにぎりの男気に惚れた

125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/25(水) 00:53:46.41 ID:1Y3Zbi++0
最高に脳内再生されるから良いよな

126 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/25(水) 00:54:12.12 ID:Saib1+QR0
>>125
同意

127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/25(水) 00:54:31.19 ID:TY9mRfRr0
「みんな…」
「しんのすけ、安心しろよ、しんのすけのママだってかすかべ防衛隊皆で守からさ」
「そうよしんちゃん!大丈夫よ!」
「ボー!」
 
しんのすけを激励する風間君、ネネちゃん、マサオ君、ボーちゃん
 
「大丈夫だゾ!かあちゃんは病気なんかに負けないゾ!」
「その意気だしんのすけ!」
「よし!今日はぱーっとリアルおままごとよ!」
 
ネネちゃん大ハリキリ
 
「お、オラちょっとお腹が…」
「ぼ、僕も」
「ボー」
 
そそくさ去る三人
 
「ま、まってよ~」
「マサオ君は、やるわよね?」
「ぼ、僕もお腹が…」
 
ドスッ
うさぎのヌイグルミに一発
 
「やれ、オニギリ」
「うぇ~ん」
 
マサオの悲しい叫びがこだまする


130 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/25(水) 00:57:13.31 ID:TY9mRfRr0
そして幼稚園が終わりしんのすけとひまわりは病院へ幼稚園バスで送ってもらう
 
「ほっほ~い、かあちゃんおかえりぃ~」
「たったぁ~い!」
「帰って来たらただいまでしょ!」
「そうとも言う~」
「まったく…ゴホッゴホッ」
「かあちゃん?大丈夫?」
 
癌はみさえの身体を着実に蝕んでいた
頬はこけ、腕もかなり細くなった
 
「大丈夫?お医者さん呼ぶ?」
「大丈夫よ、ありがとうしんのすけ」
「ほ、ほい…」
「ほら…手を洗ってらっしゃい、今日隣のおばさんがプリンお見舞いに持ってきてくれたから食べよ」
「プリン?ほっほ~い」
 
元気良く病室を出るしんのすけ

133 : ◆7TkPuG2Ma. :2009/02/25(水) 01:00:01.82 ID:TY9mRfRr0
「ふっふ~ん、プリ~ン」
 
しんのすけが病室に戻ろうと歩いていると、病室からひまわりの泣き声が聞こえる
 
「んも~ひま、かあちゃんに心配かけちゃ駄目だ…ゾ…」
 
しんのすけが病室に入るとそこには血を吐いてうずくまるみさえの姿があった
 
「かあちゃん!」
「びぇ~ん」
「かあちゃん!かあちゃん!」
 
いくら呼び掛けても返事は無い

140 : ◆7TkPuG2Ma. :2009/02/25(水) 01:06:03.24 ID:TY9mRfRr0
そしてみさえはそのまま集中治療室に入った
 
「しんのすけ!」
「父ちゃん!」
 
ひろしが息を切らして走って来る
ひろしに抱き着くしんのすけ
 
「かあちゃんが…かあちゃんが…!」
「しんのすけ!大丈夫だ、父ちゃんが来たからな大丈夫だ…!」
「野原さん…」
 
医者が話し掛ける
 
「先生!みさえは…みさえは!」
「旦那さん…お子さんを…」
「しんのすけ…父ちゃん先生と…」
「やだ!」
「しんのすけ…」
「オラはかあちゃんをお守りするんだゾ!絶対絶対動かないぞ!」
「…先生、こいつにも…しんのすけにも聞かせて下さい…」
 
「わかりました…」

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