しんのすけ「アローラ地方を冒険するゾ」
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353 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 20:44:48.36 ID:FDGs4cRn0
1ヶ月前
エーテルパラダイス 医務室
リーリエ「ウツロイドさんの……毒ですか?」
ザオボー「はい、UB01……ウツロイドには、寄生能力があります。ですが、ウツロイドは寄生した対象を操るわけではありません」
ザオボー「対象の能力を極度に引き上げて、自分の身を守らせるのですよ。そのために、寄生する対象に神経毒を注入するのです」
ひろし「神経毒?」
ひまわり「たい?」
ザオボー「ウツロイドの毒には強力な覚醒作用があり、寄生された対象には、極度の興奮と自我の開放が発生ーーつまり、ウツロイドに寄生された対象は心身の能力を強制的に100パーセント引き出され、あるがままに、ありのままに振舞ってしまう……ということですよ」
グラジオ「母上がビーストに執着したのも、恐らくウルトラホールの実験中に偶然ウツロイドと出くわし、その時受けた毒が原因……とも考えられるな」
ひろし「……しんのすけを操ったのも、その毒と能力を代表が応用したってとこか。ウツロイドではなく、代表の身を守らせるためにしんのすけの自我を逆に抑えてたんだな」
リーリエ「……しんちゃんもみさえさんもウツロイドさんにとりつかれて……神経毒を注入されていましたが、なぜかあさまだけ意識を失ったのでしょう?」
ザオボー「代表が注入された毒の量は2人の比ではありませんからね。心身に影響が出てしまうのも明々白々でしょう」
354 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 20:45:50.96 ID:FDGs4cRn0
グラジオ「……母上はウルトラスペースで何度もウツロイドに寄生されてる可能性が高いな」
リーリエ「治療薬はないんですか?」
ザオボー「今のところはありません。ですが、代表がウツロイドをゲットしているおかげで、現在その個体から血清を精製中ですよ」
ひろし「血清はどのくらいで出来るんだ?」
ザオボー「わかりませんねえ。今はしぜんかいふくの特性を持つサニーゴやヒトデマンに、少量の毒を注入して抗体を作らせているのですが、個体によって抗体を作るスピードはまちまちですからね」
ザオボー「……ともかく、あなたのお子さんと奥さんについては、最低でも1ヶ月間ここに入院させて様子を見てみましょう」
グラジオ「オレもできる限り様々な方面へアプローチをかけるつもりだが、ザオボーも早めに頼む」
ザオボー「ええ、ええ、お任せを。必ずや、代表の意識を取り戻してみせましょう」
ザオボー(結局あの後ヒラに戻ってしまいましたが、イチからやり直してもう一度支部長に返り咲くチャンスです。アイシャルリターン、です)
ウィーン
ひろし「ビーストたちの残した爪あとはとてつもなく大きい、か」
リーリエ「かあさま……早く目を覚まして欲しいです」
グラジオ「今は血清が出来るのを待つしかないな……。一応、他にアテが無いとも言えないが……」
ひろし「本当か? どんな?」
グラジオ「それについてはいずれ話す。情報が不確かだからな……もう少し調べておきたいんだ」
355 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 20:47:14.01 ID:FDGs4cRn0
グラジオ「リーリエ、後でシークレットラボに来てくれないか。ククイ博士から大事な話があるそうだ」
リーリエ「博士から? わかりました」
ひろし「俺もしんのすけとみさえの見舞いに行くか。リーリエちゃんは代表のところへ行ったらどうだ?」
リーリエ「いえ、わたしもしんちゃんのお見舞いに……。ずっとかあさまに付きっきりでしたから、寂しがっているでしょうし」
ひろし「そっか、ありがとな」
リーリエ「いいえ、わたしも今までしんちゃんに助けてもらいましたから」
グラジオ「じゃ、オレが呼ぶまでの間、待っててくれ」
スタスタ
ひろし「よし、俺たちも行こうぜ」
リーリエ「はい。……でも、やっぱりしんちゃんもみさえさんも不安です。かあさまのように意識が失わないだけ、良い方なのは分かりますが……」
356 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 20:47:44.74 ID:FDGs4cRn0
ひろし「心配するなって。しんのすけもみさえも、普段から欲望丸出しだからな。もしもまた変になっちまったら、また靴のニオイを嗅がせてやるまでだ」
リーリエ「本当にあの時はびっくりしちゃいました。靴の臭いで記憶を取り戻して目を覚ますなんて、聞いたことありませんから……」
ひろし「世の中理屈だけじゃないってことさ。時に家族の絆は、不可能を可能にするんだ。リーリエちゃんにも、分かる時が来るって」
リーリエ「そう……ですね!」
ひまわり「たい!」
リーリエ(ただ、やっぱり臭いで解決ってなんだか不潔で釈然としませんが……)
357 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 20:49:13.02 ID:FDGs4cRn0
病室
ひろし「入るぜー!」コンコン
リーリエ「お邪魔します」
リーリエ(しんちゃん……容態はどうなのでしょうか……)
期待と不安が入り混じりながら、病室のドアを開ける2人。そこでひろしとリーリエが目撃したものとは……。
ビッケ「はい、しんのすけさん。あ~ん」
しんのすけ「あ~ん♪」パクッ
しんのすけ「ん~おいちーい」デレー
ビッケ「うふふ、それはよかったです」ニコニコ
みさえ「……」ハア
ひろし「し、しんのすけ……」
ひまわり「ケッ!」
リーリエ「……」ビキッ
358 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 20:50:05.74 ID:FDGs4cRn0
ビッケ「あら、ひろしさんにリーリエ様……」
しんのすけ「なーに? オラ今忙しいんだけど」ジロッ
ひろし「どこが忙しいんだよ! ビッケさんにあーんしてもらって迷惑かけてんじゃねぇよ! 羨ましいけどさ」
みさえ「あ?」ギロッ
ビッケ「いえいえ、いいんですよ。しんのすけさんには、ビーストのことがありますし……私もこれくらいでよければお役に立てますから」
しんのすけ「そうそう」
ひろし「そうそうじゃないだろ!」
リーリエ「ビッケさん……」ゴゴゴゴ
ビッケ「は、はい?」ビクッ
リーリエ「しんちゃんの面倒を見ていただいてありがとうございます。後はわたしがやるので、どうぞ休んでください」
ビッケ「え? ですが……」
リーリエ「休んでください。後は、わたしが、やりますので」
ビッケ「は、はい!」テクテク
しんのすけ「あーん! ビッケおねいさーん!」
359 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 20:51:25.49 ID:FDGs4cRn0
しんのすけ「んもう! なんでビッケおねいさん出て行かせたの!」
リーリエ「出て行かせたの、じゃないです! ビッケさんにもお仕事があるんです! しんちゃんのものじゃありません!」ムスッ
リーリエ「まったくもうっ、しんちゃんはわたしがいなきゃダメなんですから!」
しんのすけ「それ……オラに対する当て馬?」
リーリエ「……当てつけって言いたいんですか? 」
しんのすけ「ふーんだ! だいたい、オラ1人でも妖怪メノクラゲオババとビーストなんてへっちゃらだし。今回はたまたま、お尻の調子が出なかっただけだもん!」
リーリエ「へぇ? そうなんですか。わたしとカザマさんたちがいないと、ずっとしんちゃんはかあさまとビーストさんの息子になっていたんですよ?」
しんのすけ「あーもう! あっち行ってよ!」プイッ
しんのすけ(…………)
しんのすけ「……オラをお助けしてくれてありがと」ボソッ
リーリエ「ふふっ、どういたしまして。わたし、しんちゃんを守るって約束したでしょ? これからも、わたしが守っていきますからーー」ナデナデ
ひろし「みさえ、調子はどうだ?」
みさえ「えぇ、あなたとしんのすけのおかげですこぶる良くなったわ」
ひろし「わ、悪かったって……」
360 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 20:52:46.24 ID:FDGs4cRn0
みさえ「ところで、リーリエちゃん。ルザミーネさんの体調はどうなの?」
リーリエ「……ええ、まだかあさまはーー屋敷でずっと、眠っています」
みさえ「そうなの……」
リーリエ「はい、ですがザオボーさんもビッケさんも、かあさまが捕まえたウツロイドさんの毒から血清を作るみたいで……それで治ると良いのですが」
みさえ「早く目覚めるといいわね」
リーリエ「みさえさんとしんちゃんは、ここに入院してからお身体の体調はいかがですか? なにかおかしなところとかありませんか?」
しんのすけ「オラ、ビッケさんを見ると胸がキュンってなってぇ。こりゃ入院が必要ですなぁ」
ひろし「健康そうでなによりだよ……!」
みさえ「そうね……私もなんともないわ。でも、そのウツロイドっていうポケモンの毒で、私もしんのすけもどうなるかわからないものね」
リーリエ「ひろしさんも、もし2人になにかあったら、すぐにビッケさんとザオボーさんを呼んでくださいね。すぐに対応しますから」
ひろし「おう、ありがとな」
しんのすけ「ま、かーちゃんはなんとなく妖怪メノクラゲオババになってからただでさえ強い凶暴性がもっと増した気がするけどね」
みさえ「なんですってえぇぇっ! どこが凶暴性が増したっていうのよ!」ガバッ!
しんのすけ「ひいいっ! 今まさにそうじゃーん!」ダッ
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/19(月) 20:53:37.79 ID:984qwYyoO
描いた夢は叶わないことの方が多い
優れた人を羨んでは自分が嫌になる
浅い眠りに押しつぶされそうな夜もある
優しい隣人が陰で牙を剥いていたり
362 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 20:53:53.47 ID:FDGs4cRn0
マチナサァァィ!!
ウワァァァ!!
ひろし「……こうして見ると、本当になにも変わってねぇんだけどなあ」
リーリエ「そうですね。それがかえって怖いのですけれども」
トントン
ウィーン
グラジオ「リーリエ、いるか?」
リーリエ「にいさま?」
しんのすけ「おおっクジラくん!」
グラジオ「すぐにシークレットラボへ来てくれ。ククイ博士が呼んでいる」
リーリエ「わかりました」コクン
リーリエ「じゃあしんちゃん、野原さん、またお見舞いに来ますね」
みさえ「うん、ありがとね」
しんのすけ「次はなんかお土産持ってきてねー」
ウィーン
みさえ「……」
363 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 20:54:54.65 ID:FDGs4cRn0
ひろし「どうしたんだ? みさえ」
みさえ「あなた……あのね」
ひろし「ああ」
みさえ「さっきはリーリエちゃんの前で強がっていたんだけれども、本当は……」
ひろし「変なところでもあるのか?」
みさえ「不思議な気分なの。……今はあなたやしんのすけ達がいるから落ち着いていられるけれど……」
みさえ「1人でいると、すぐしんのすけを探したり、あなたに連絡しようとしたり……これがウツロイドの毒なのかしら? 私、なんだか怖いの」
ひろし「……そうか」
ーーウツロイドの毒には強力な覚醒作用があり、寄生された対象には、極度の興奮と自我の開放が発生ーーつまり、ウツロイドに寄生された対象は心身の能力を強制的に100パーセント引き出され、あるがままに、ありのままに振舞ってしまう
ひろし(……自我の開放って、こういうことを言うんだな)
364 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 20:55:26.05 ID:FDGs4cRn0
ひろし「みさえ、心配するな。今は俺もひまも、シロも、そしてしんのすけだっているんだ。俺も、できる限りお前のそばにいてやるからな」
みさえ「ありがとう、あなた……」ウルッ
ひろし「愛する妻のためなら、なんだってするさ。みさえ……」
しんのすけ「やれやれ、子供はお邪魔ですからどこか行ってますかな」
ひろし「意味知ってて言ってんのかよっ!」
しんのすけ「ぶりぶりざえもん、暇だからお散歩しに行こーよ」
ロトム図鑑「いいだろう。そろそろパズルゲーに飽きてきたしな」
みさえ「ちょっと、どこへ行くのよ?」
しんのすけ「ビッケおねいさんのとこー」
ひろし「おいおい、さっきリーリエちゃんに迷惑かけるなって言われたばかりだろうが」
しんのすけ「じゃ、そゆことでー」ウィーン
ひろし「お、おいっ、しんのすけ……」
365 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 20:56:51.12 ID:FDGs4cRn0
エーテルパラダイス シークレットラボ
グラジオ「連れてきたぞ」
ククイ博士「おぉ、来たね! リーリエ!」
リーリエ「博士。どうなさったのですか?」
ククイ博士「あぁ、実は2人の力を借りたいという人たちがいてね。もうそろそろ、ここにやってくるはずなんだ」
リーリエ「わたしとにいさまの力を……ですか?」
グラジオ「それはどんな人物なんだ……?」
ククイ博士「僕も詳しくは知らない。ただ、国際警察に所属する人物、とだけ聞かされているけれどもね」
リーリエ「こっ、国際警察ですか?!」
グラジオ「……まず間違いなく、ビーストの事に関わることだな」
リーリエ「どうして国際警察の方が、わたしたちの力を?」
ククイ博士「それは本人たちから直接聞くといいだろう。大丈夫、僕がついているから、ワイドガードを使った気分でいればいいよ!」
リーリエ「はぁ……」
コンコンッ!
グラジオ「……さっそく、来たようだな」
366 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 20:57:52.41 ID:FDGs4cRn0
???「ククイ博士、入室してもよろしいですか?」
ククイ博士「はい、どうぞ!」
ウィーン!
???「失礼します」
部屋の中に入ってきたのは、紫色の髪を結ったスーツ姿の女性と、くたびれたトレンチコートをスーツの上に羽織った男性だった。
???「……君がリーリエくんとグラジオくんだね? わたしの名は『ハンサム』。所謂、国際警察です。そしてこちらは私のボス……」
???「私は『リラ』と申します。国際警察特務機関「UB」対策本部部長です」
リーリエ「は、初めまして。リーリエです」
リーリエ(リラさん……綺麗な方です)
グラジオ「グラジオだ。今はエーテル財団の代表代理をしている。よろしく頼む」
ハンサム「自己紹介が互いに済んだところで早速だが質問だ、君たちがUBーParasiteと接触したのは事実だろうか?」
グラジオ「Parasite……ウツロイドのことだな」
リーリエ「かあさまと融合したビーストさんのことをおっしゃっているのなら……」
ハンサム「……!」
リラ「……やはりそうですか」
367 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 21:00:50.48 ID:FDGs4cRn0
リラ「ルザミーネが今回引き起こしたUB大量出現事件……。その影響で、今もなお、アローラには多くのビーストが蔓延っています」
ハンサム「もともと望まずしてこの世界に落とされたビーストは、攻撃的になり……その結果、アローラに与えた被害は甚大だ。それは、君たちもよく知っているだろう?」
グラジオ「ああ」
ハンサム「それに加え、ウルトラビーストはこの世界の理を越えた存在。ゆえに通常のボールでは捕らえることはできない。最高の捕獲性能を持つマスターボールでも不可能だ」
リラ「……我々に課せられた任務は3つ」
リラ「1つ目は未知なるUBの生態の調査をすること」
リラ「2つ目はUBを警戒し、その危険から人々を守ること」
リラ「3つ目はUBを保護……もしくは殲滅すること」
リーリエ「殲滅……?」
ハンサム「もしUBがこの世界に仇なす害獣であれば、存在を消すよう上層部から命令を受けているのだ」
368 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 21:02:17.39 ID:FDGs4cRn0
リーリエ「そんな……ビーストさんを殺してしまうなんて、ひどいです!」
ククイ博士「僕も同感だね。ビーストも生きる世界が違うとは言え、れっきとしたポケモンだよ。人間の勝手で存在を消す真似をするのはやぶさかではないね」
リラ「もちろん、私もハンサムさんもそのようなことは望んでいない……」
リラ「UBであれ、ひとつの命。保護し、救いたいと考えています」
ハンサム「だがUBの保護……。言い換えると、捕獲は殲滅よりも手が掛かる。我らには戦力もない状態だ」
リラ「長くなってしまいましたし、単刀直入に申し上げます……」
リラ「この事件に深く関わり、UBの知識と対策法を研究しているあなた方に手を貸して欲しいのです」
グラジオ「待て……ならば代表代理のオレに言えばいい話だ。なぜリーリエを巻き込む必要がある」
リーリエ「ほしぐもちゃん……いえ、ルナアーラさんのことですね」
グラジオ&ククイ博士「!」
369 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 21:03:33.47 ID:FDGs4cRn0
リラ「……はい」
リラ「ウルトラホールを作り出す力を持つアローラの伝説のポケモン、ルナアーラをゲットしたトレーナーであるリーリエさん。あなたの力が必要不可欠なのです」
ククイ博士「そうか、ルナアーラの力を使ってウルトラホールを作り出し、ビーストをウルトラスペースに帰してやる……ということだね」
リラ「UBを捕獲するためのウルトラボールを量産するにも、コストと時間がかかってしまいます。そのあいだにも、ビーストによる被害が広がってしまいます。ですから、ルナアーラの力を用いて、UBを元の世界へ帰して頂きたいのです」
リーリエ「ほしぐもちゃんの……」
リーリエはウルトラボールを取り出して、中にいるルナアーラを案じるようにボールを見つめた。
ふと、ルザミーネに利用されたコスモッグの光景が蘇ってくる
ーーケージの中のコスモッグをまるごと使えば、ウルトラホールもたくさん……。ふふっ、どれだけのビーストちゃんが来るのかしら?
ーーさぁ、おいでなさい! ビーストちゃん!
リーリエ「……」
リラ「どうかお願いします……。私たちはビーストを救いたい。そのためには、あなたの力が不可欠なのです」
しんのすけ「うんうん、話が弾んでおるようですな」
全員「!?」
ハンサム「ど、どこから声が?!」
370 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 21:04:28.13 ID:FDGs4cRn0
リラ「ハンサムさん、あなたの背中です」
ハンサム「ええっ?!」クルッ
ハンサムが後ろを向くと、しんのすけがハンサムの背中を掴んで貼り付いていた!
しんのすけ「よ!」
ククイ博士「しんのすけ……!」
リーリエ「しんちゃん!」
ハンサム「君は一体いつから私の背中に?」
しんのすけ「んっとねー、おじさんとおねいさんが外でアローラの美味しい飯どころの話ししながら部屋の中に入ってくるところからだゾ」
リラ「最初から聞いていた、ということですね……」ハァ
ハンサム(背中に子供がいたことに気がつかないまま話を進めていたとは。国際警察失格だ……)orz
リーリエ「勝手に入ってきたらダメですって!」
しんのすけ「いやぁビッケおねいさんのところへ遊びに行こうと思ったら、新しいおねいさんを見つけちゃいまして。5歳児としてほっとけないでしょ」
グラジオ「オマエのような5歳児がこの世に2人といるか……!」
しんのすけ「ねぇねぇおねいさん。警察なんでしょ? オラ恋泥棒だから逮捕してー」
1ヶ月前
エーテルパラダイス 医務室
リーリエ「ウツロイドさんの……毒ですか?」
ザオボー「はい、UB01……ウツロイドには、寄生能力があります。ですが、ウツロイドは寄生した対象を操るわけではありません」
ザオボー「対象の能力を極度に引き上げて、自分の身を守らせるのですよ。そのために、寄生する対象に神経毒を注入するのです」
ひろし「神経毒?」
ひまわり「たい?」
ザオボー「ウツロイドの毒には強力な覚醒作用があり、寄生された対象には、極度の興奮と自我の開放が発生ーーつまり、ウツロイドに寄生された対象は心身の能力を強制的に100パーセント引き出され、あるがままに、ありのままに振舞ってしまう……ということですよ」
グラジオ「母上がビーストに執着したのも、恐らくウルトラホールの実験中に偶然ウツロイドと出くわし、その時受けた毒が原因……とも考えられるな」
ひろし「……しんのすけを操ったのも、その毒と能力を代表が応用したってとこか。ウツロイドではなく、代表の身を守らせるためにしんのすけの自我を逆に抑えてたんだな」
リーリエ「……しんちゃんもみさえさんもウツロイドさんにとりつかれて……神経毒を注入されていましたが、なぜかあさまだけ意識を失ったのでしょう?」
ザオボー「代表が注入された毒の量は2人の比ではありませんからね。心身に影響が出てしまうのも明々白々でしょう」
354 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 20:45:50.96 ID:FDGs4cRn0
グラジオ「……母上はウルトラスペースで何度もウツロイドに寄生されてる可能性が高いな」
リーリエ「治療薬はないんですか?」
ザオボー「今のところはありません。ですが、代表がウツロイドをゲットしているおかげで、現在その個体から血清を精製中ですよ」
ひろし「血清はどのくらいで出来るんだ?」
ザオボー「わかりませんねえ。今はしぜんかいふくの特性を持つサニーゴやヒトデマンに、少量の毒を注入して抗体を作らせているのですが、個体によって抗体を作るスピードはまちまちですからね」
ザオボー「……ともかく、あなたのお子さんと奥さんについては、最低でも1ヶ月間ここに入院させて様子を見てみましょう」
グラジオ「オレもできる限り様々な方面へアプローチをかけるつもりだが、ザオボーも早めに頼む」
ザオボー「ええ、ええ、お任せを。必ずや、代表の意識を取り戻してみせましょう」
ザオボー(結局あの後ヒラに戻ってしまいましたが、イチからやり直してもう一度支部長に返り咲くチャンスです。アイシャルリターン、です)
ウィーン
ひろし「ビーストたちの残した爪あとはとてつもなく大きい、か」
リーリエ「かあさま……早く目を覚まして欲しいです」
グラジオ「今は血清が出来るのを待つしかないな……。一応、他にアテが無いとも言えないが……」
ひろし「本当か? どんな?」
グラジオ「それについてはいずれ話す。情報が不確かだからな……もう少し調べておきたいんだ」
355 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 20:47:14.01 ID:FDGs4cRn0
グラジオ「リーリエ、後でシークレットラボに来てくれないか。ククイ博士から大事な話があるそうだ」
リーリエ「博士から? わかりました」
ひろし「俺もしんのすけとみさえの見舞いに行くか。リーリエちゃんは代表のところへ行ったらどうだ?」
リーリエ「いえ、わたしもしんちゃんのお見舞いに……。ずっとかあさまに付きっきりでしたから、寂しがっているでしょうし」
ひろし「そっか、ありがとな」
リーリエ「いいえ、わたしも今までしんちゃんに助けてもらいましたから」
グラジオ「じゃ、オレが呼ぶまでの間、待っててくれ」
スタスタ
ひろし「よし、俺たちも行こうぜ」
リーリエ「はい。……でも、やっぱりしんちゃんもみさえさんも不安です。かあさまのように意識が失わないだけ、良い方なのは分かりますが……」
356 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 20:47:44.74 ID:FDGs4cRn0
ひろし「心配するなって。しんのすけもみさえも、普段から欲望丸出しだからな。もしもまた変になっちまったら、また靴のニオイを嗅がせてやるまでだ」
リーリエ「本当にあの時はびっくりしちゃいました。靴の臭いで記憶を取り戻して目を覚ますなんて、聞いたことありませんから……」
ひろし「世の中理屈だけじゃないってことさ。時に家族の絆は、不可能を可能にするんだ。リーリエちゃんにも、分かる時が来るって」
リーリエ「そう……ですね!」
ひまわり「たい!」
リーリエ(ただ、やっぱり臭いで解決ってなんだか不潔で釈然としませんが……)
357 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 20:49:13.02 ID:FDGs4cRn0
病室
ひろし「入るぜー!」コンコン
リーリエ「お邪魔します」
リーリエ(しんちゃん……容態はどうなのでしょうか……)
期待と不安が入り混じりながら、病室のドアを開ける2人。そこでひろしとリーリエが目撃したものとは……。
ビッケ「はい、しんのすけさん。あ~ん」
しんのすけ「あ~ん♪」パクッ
しんのすけ「ん~おいちーい」デレー
ビッケ「うふふ、それはよかったです」ニコニコ
みさえ「……」ハア
ひろし「し、しんのすけ……」
ひまわり「ケッ!」
リーリエ「……」ビキッ
ビッケ「あら、ひろしさんにリーリエ様……」
しんのすけ「なーに? オラ今忙しいんだけど」ジロッ
ひろし「どこが忙しいんだよ! ビッケさんにあーんしてもらって迷惑かけてんじゃねぇよ! 羨ましいけどさ」
みさえ「あ?」ギロッ
ビッケ「いえいえ、いいんですよ。しんのすけさんには、ビーストのことがありますし……私もこれくらいでよければお役に立てますから」
しんのすけ「そうそう」
ひろし「そうそうじゃないだろ!」
リーリエ「ビッケさん……」ゴゴゴゴ
ビッケ「は、はい?」ビクッ
リーリエ「しんちゃんの面倒を見ていただいてありがとうございます。後はわたしがやるので、どうぞ休んでください」
ビッケ「え? ですが……」
リーリエ「休んでください。後は、わたしが、やりますので」
ビッケ「は、はい!」テクテク
しんのすけ「あーん! ビッケおねいさーん!」
359 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 20:51:25.49 ID:FDGs4cRn0
しんのすけ「んもう! なんでビッケおねいさん出て行かせたの!」
リーリエ「出て行かせたの、じゃないです! ビッケさんにもお仕事があるんです! しんちゃんのものじゃありません!」ムスッ
リーリエ「まったくもうっ、しんちゃんはわたしがいなきゃダメなんですから!」
しんのすけ「それ……オラに対する当て馬?」
リーリエ「……当てつけって言いたいんですか? 」
しんのすけ「ふーんだ! だいたい、オラ1人でも妖怪メノクラゲオババとビーストなんてへっちゃらだし。今回はたまたま、お尻の調子が出なかっただけだもん!」
リーリエ「へぇ? そうなんですか。わたしとカザマさんたちがいないと、ずっとしんちゃんはかあさまとビーストさんの息子になっていたんですよ?」
しんのすけ「あーもう! あっち行ってよ!」プイッ
しんのすけ(…………)
しんのすけ「……オラをお助けしてくれてありがと」ボソッ
リーリエ「ふふっ、どういたしまして。わたし、しんちゃんを守るって約束したでしょ? これからも、わたしが守っていきますからーー」ナデナデ
ひろし「みさえ、調子はどうだ?」
みさえ「えぇ、あなたとしんのすけのおかげですこぶる良くなったわ」
ひろし「わ、悪かったって……」
360 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 20:52:46.24 ID:FDGs4cRn0
みさえ「ところで、リーリエちゃん。ルザミーネさんの体調はどうなの?」
リーリエ「……ええ、まだかあさまはーー屋敷でずっと、眠っています」
みさえ「そうなの……」
リーリエ「はい、ですがザオボーさんもビッケさんも、かあさまが捕まえたウツロイドさんの毒から血清を作るみたいで……それで治ると良いのですが」
みさえ「早く目覚めるといいわね」
リーリエ「みさえさんとしんちゃんは、ここに入院してからお身体の体調はいかがですか? なにかおかしなところとかありませんか?」
しんのすけ「オラ、ビッケさんを見ると胸がキュンってなってぇ。こりゃ入院が必要ですなぁ」
ひろし「健康そうでなによりだよ……!」
みさえ「そうね……私もなんともないわ。でも、そのウツロイドっていうポケモンの毒で、私もしんのすけもどうなるかわからないものね」
リーリエ「ひろしさんも、もし2人になにかあったら、すぐにビッケさんとザオボーさんを呼んでくださいね。すぐに対応しますから」
ひろし「おう、ありがとな」
しんのすけ「ま、かーちゃんはなんとなく妖怪メノクラゲオババになってからただでさえ強い凶暴性がもっと増した気がするけどね」
みさえ「なんですってえぇぇっ! どこが凶暴性が増したっていうのよ!」ガバッ!
しんのすけ「ひいいっ! 今まさにそうじゃーん!」ダッ
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/19(月) 20:53:37.79 ID:984qwYyoO
描いた夢は叶わないことの方が多い
優れた人を羨んでは自分が嫌になる
浅い眠りに押しつぶされそうな夜もある
優しい隣人が陰で牙を剥いていたり
362 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 20:53:53.47 ID:FDGs4cRn0
マチナサァァィ!!
ウワァァァ!!
ひろし「……こうして見ると、本当になにも変わってねぇんだけどなあ」
リーリエ「そうですね。それがかえって怖いのですけれども」
トントン
ウィーン
グラジオ「リーリエ、いるか?」
リーリエ「にいさま?」
しんのすけ「おおっクジラくん!」
グラジオ「すぐにシークレットラボへ来てくれ。ククイ博士が呼んでいる」
リーリエ「わかりました」コクン
リーリエ「じゃあしんちゃん、野原さん、またお見舞いに来ますね」
みさえ「うん、ありがとね」
しんのすけ「次はなんかお土産持ってきてねー」
ウィーン
みさえ「……」
363 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 20:54:54.65 ID:FDGs4cRn0
ひろし「どうしたんだ? みさえ」
みさえ「あなた……あのね」
ひろし「ああ」
みさえ「さっきはリーリエちゃんの前で強がっていたんだけれども、本当は……」
ひろし「変なところでもあるのか?」
みさえ「不思議な気分なの。……今はあなたやしんのすけ達がいるから落ち着いていられるけれど……」
みさえ「1人でいると、すぐしんのすけを探したり、あなたに連絡しようとしたり……これがウツロイドの毒なのかしら? 私、なんだか怖いの」
ひろし「……そうか」
ーーウツロイドの毒には強力な覚醒作用があり、寄生された対象には、極度の興奮と自我の開放が発生ーーつまり、ウツロイドに寄生された対象は心身の能力を強制的に100パーセント引き出され、あるがままに、ありのままに振舞ってしまう
ひろし(……自我の開放って、こういうことを言うんだな)
364 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 20:55:26.05 ID:FDGs4cRn0
ひろし「みさえ、心配するな。今は俺もひまも、シロも、そしてしんのすけだっているんだ。俺も、できる限りお前のそばにいてやるからな」
みさえ「ありがとう、あなた……」ウルッ
ひろし「愛する妻のためなら、なんだってするさ。みさえ……」
しんのすけ「やれやれ、子供はお邪魔ですからどこか行ってますかな」
ひろし「意味知ってて言ってんのかよっ!」
しんのすけ「ぶりぶりざえもん、暇だからお散歩しに行こーよ」
ロトム図鑑「いいだろう。そろそろパズルゲーに飽きてきたしな」
みさえ「ちょっと、どこへ行くのよ?」
しんのすけ「ビッケおねいさんのとこー」
ひろし「おいおい、さっきリーリエちゃんに迷惑かけるなって言われたばかりだろうが」
しんのすけ「じゃ、そゆことでー」ウィーン
ひろし「お、おいっ、しんのすけ……」
365 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 20:56:51.12 ID:FDGs4cRn0
エーテルパラダイス シークレットラボ
グラジオ「連れてきたぞ」
ククイ博士「おぉ、来たね! リーリエ!」
リーリエ「博士。どうなさったのですか?」
ククイ博士「あぁ、実は2人の力を借りたいという人たちがいてね。もうそろそろ、ここにやってくるはずなんだ」
リーリエ「わたしとにいさまの力を……ですか?」
グラジオ「それはどんな人物なんだ……?」
ククイ博士「僕も詳しくは知らない。ただ、国際警察に所属する人物、とだけ聞かされているけれどもね」
リーリエ「こっ、国際警察ですか?!」
グラジオ「……まず間違いなく、ビーストの事に関わることだな」
リーリエ「どうして国際警察の方が、わたしたちの力を?」
ククイ博士「それは本人たちから直接聞くといいだろう。大丈夫、僕がついているから、ワイドガードを使った気分でいればいいよ!」
リーリエ「はぁ……」
コンコンッ!
グラジオ「……さっそく、来たようだな」
366 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 20:57:52.41 ID:FDGs4cRn0
???「ククイ博士、入室してもよろしいですか?」
ククイ博士「はい、どうぞ!」
ウィーン!
???「失礼します」
部屋の中に入ってきたのは、紫色の髪を結ったスーツ姿の女性と、くたびれたトレンチコートをスーツの上に羽織った男性だった。
???「……君がリーリエくんとグラジオくんだね? わたしの名は『ハンサム』。所謂、国際警察です。そしてこちらは私のボス……」
???「私は『リラ』と申します。国際警察特務機関「UB」対策本部部長です」
リーリエ「は、初めまして。リーリエです」
リーリエ(リラさん……綺麗な方です)
グラジオ「グラジオだ。今はエーテル財団の代表代理をしている。よろしく頼む」
ハンサム「自己紹介が互いに済んだところで早速だが質問だ、君たちがUBーParasiteと接触したのは事実だろうか?」
グラジオ「Parasite……ウツロイドのことだな」
リーリエ「かあさまと融合したビーストさんのことをおっしゃっているのなら……」
ハンサム「……!」
リラ「……やはりそうですか」
367 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 21:00:50.48 ID:FDGs4cRn0
リラ「ルザミーネが今回引き起こしたUB大量出現事件……。その影響で、今もなお、アローラには多くのビーストが蔓延っています」
ハンサム「もともと望まずしてこの世界に落とされたビーストは、攻撃的になり……その結果、アローラに与えた被害は甚大だ。それは、君たちもよく知っているだろう?」
グラジオ「ああ」
ハンサム「それに加え、ウルトラビーストはこの世界の理を越えた存在。ゆえに通常のボールでは捕らえることはできない。最高の捕獲性能を持つマスターボールでも不可能だ」
リラ「……我々に課せられた任務は3つ」
リラ「1つ目は未知なるUBの生態の調査をすること」
リラ「2つ目はUBを警戒し、その危険から人々を守ること」
リラ「3つ目はUBを保護……もしくは殲滅すること」
リーリエ「殲滅……?」
ハンサム「もしUBがこの世界に仇なす害獣であれば、存在を消すよう上層部から命令を受けているのだ」
368 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 21:02:17.39 ID:FDGs4cRn0
リーリエ「そんな……ビーストさんを殺してしまうなんて、ひどいです!」
ククイ博士「僕も同感だね。ビーストも生きる世界が違うとは言え、れっきとしたポケモンだよ。人間の勝手で存在を消す真似をするのはやぶさかではないね」
リラ「もちろん、私もハンサムさんもそのようなことは望んでいない……」
リラ「UBであれ、ひとつの命。保護し、救いたいと考えています」
ハンサム「だがUBの保護……。言い換えると、捕獲は殲滅よりも手が掛かる。我らには戦力もない状態だ」
リラ「長くなってしまいましたし、単刀直入に申し上げます……」
リラ「この事件に深く関わり、UBの知識と対策法を研究しているあなた方に手を貸して欲しいのです」
グラジオ「待て……ならば代表代理のオレに言えばいい話だ。なぜリーリエを巻き込む必要がある」
リーリエ「ほしぐもちゃん……いえ、ルナアーラさんのことですね」
グラジオ&ククイ博士「!」
369 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 21:03:33.47 ID:FDGs4cRn0
リラ「……はい」
リラ「ウルトラホールを作り出す力を持つアローラの伝説のポケモン、ルナアーラをゲットしたトレーナーであるリーリエさん。あなたの力が必要不可欠なのです」
ククイ博士「そうか、ルナアーラの力を使ってウルトラホールを作り出し、ビーストをウルトラスペースに帰してやる……ということだね」
リラ「UBを捕獲するためのウルトラボールを量産するにも、コストと時間がかかってしまいます。そのあいだにも、ビーストによる被害が広がってしまいます。ですから、ルナアーラの力を用いて、UBを元の世界へ帰して頂きたいのです」
リーリエ「ほしぐもちゃんの……」
リーリエはウルトラボールを取り出して、中にいるルナアーラを案じるようにボールを見つめた。
ふと、ルザミーネに利用されたコスモッグの光景が蘇ってくる
ーーケージの中のコスモッグをまるごと使えば、ウルトラホールもたくさん……。ふふっ、どれだけのビーストちゃんが来るのかしら?
ーーさぁ、おいでなさい! ビーストちゃん!
リーリエ「……」
リラ「どうかお願いします……。私たちはビーストを救いたい。そのためには、あなたの力が不可欠なのです」
しんのすけ「うんうん、話が弾んでおるようですな」
全員「!?」
ハンサム「ど、どこから声が?!」
370 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/19(月) 21:04:28.13 ID:FDGs4cRn0
リラ「ハンサムさん、あなたの背中です」
ハンサム「ええっ?!」クルッ
ハンサムが後ろを向くと、しんのすけがハンサムの背中を掴んで貼り付いていた!
しんのすけ「よ!」
ククイ博士「しんのすけ……!」
リーリエ「しんちゃん!」
ハンサム「君は一体いつから私の背中に?」
しんのすけ「んっとねー、おじさんとおねいさんが外でアローラの美味しい飯どころの話ししながら部屋の中に入ってくるところからだゾ」
リラ「最初から聞いていた、ということですね……」ハァ
ハンサム(背中に子供がいたことに気がつかないまま話を進めていたとは。国際警察失格だ……)orz
リーリエ「勝手に入ってきたらダメですって!」
しんのすけ「いやぁビッケおねいさんのところへ遊びに行こうと思ったら、新しいおねいさんを見つけちゃいまして。5歳児としてほっとけないでしょ」
グラジオ「オマエのような5歳児がこの世に2人といるか……!」
しんのすけ「ねぇねぇおねいさん。警察なんでしょ? オラ恋泥棒だから逮捕してー」
しんのすけ「アローラ地方を冒険するゾ」
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