しんのすけ「アローラ地方を冒険するゾ」
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50 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:23:43.82 ID:31e3ztue0
カプの村 モーテル
クチナシ「なるほど……月の笛、ね。それで、この事件の親玉をどうにかするってわけかい」
プルメリ「そんなことが……まさかあの子が代表に狙われるなんてね……」
グラジオ「ああ、そのためにカプ・ブルルからかがやく石を貰えないだろうか」
クチナシ「……正直なところ、あいつが素直に首を縦に振るとは思えねぇけどな」
グラジオ「なぜだ?」
クチナシ「昔一度、この村の奴らがカプ・ブルルの怒りを買う真似をしたからだよ。それ以降、人間不信とまではいかねぇがよ、人に対して警戒しているっていうのはあるね」
マミ「リーダー、こいつら何話してるんすかね?」ヒソヒソ
おキン「カプのことが話題に出てますけど……」ヒソヒソ
ドラコ「さぁな……」ヒソヒソ
クチナシ「俺もしまキングだけど、あいつの姿……しまキングになったときの一度しか見たことねぇんだわ。なにせ、今回の大量発生前、この島の上空にウルトラホールが開かれた時も、カプ・ブルルは静観してたからな」
グラジオ「今は非常事態だ……。月の笛を完成させなければ、このアローラがビーストによって壊滅してしまう」
クチナシ「それもまた、ひとつの定めって奴じゃないのかい? 永遠に続くもんなんてありゃしないんだよ。アローラもまた、こうやって滅ぶ運命なのかもしれないぜ」
グラジオ「そんなものを受け入れられるほど、オレ達は自分の運命を悟ってなんかない。オレ達は最後までビーストたちに抗って、戦い抜く! ヌルと供に!」
51 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:24:48.83 ID:31e3ztue0
グラジオ「そういうクチナシさんこそ、もし諦めているなら、なぜオレたちを助ける? 本当はどこかで、アローラを救いたいという気持ちがあるんじゃないのか?」
クチナシ「……まいったねえ」フッ
コンコンッ
ガララッ
グラジオ「!」
マーレイン「すまないね、思ったより『LIGHTNING』の数が多くて、手間取ってしまったよ」
クチナシ「ま……ちょっとプルメリのねえちゃんとマーレインのあんちゃんと話してな。おれは外の様子、見てくるからよ」
マーレイン「お気をつけて、クチナシさん」
ガララッ ピシャッ!
グラジオ「……そういえば、なぜお前たちがここにいるんだ? さっき解散したといつていたが、スカル団はどうなったたんだ?」
プルメリ「……グラジオの言うとおり、スカル団は解散したのさ、一応ね」
52 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:26:08.60 ID:31e3ztue0
※修正
グラジオ「そういうクチナシさんこそ、もし諦めているなら、なぜオレたちを助ける? 本当はどこかで、アローラを救いたいという気持ちがあるんじゃないのか?」
クチナシ「……まいったねえ」フッ
コンコンッ
ガララッ
グラジオ「!」
マーレイン「すまないね、思ったより『LIGHTNING』の数が多くて、手間取ってしまったよ」
クチナシ「ま……ちょっとプルメリのねえちゃんとマーレインのあんちゃんと話してな。おれは外の様子、見てくるからよ」
マーレイン「お気をつけて、クチナシさん」
ガララッ ピシャッ!
グラジオ「……そういえば、なぜお前たちがここにいるんだ? さっき解散したと言ってたが、スカル団はどうなったんだ?」
プルメリ「……グラジオの言うとおり、スカル団は解散したのさ、一応ね」
53 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:29:27.63 ID:31e3ztue0
グラジオ「なに?」
プルメリ「この島とポニ島でね、まぁ色々あったのさ。グズマのことを、しんのすけとリーリエに頼んで、そのままあたいらはこの島に戻ったんだ」
プルメリ「だけど、その矢先にこれだよ。かわいい部下たちをビーストたちの手にかからせたくなかったし、グズマを探そうなんていうムチャもさせたくなかったからね。そのまま、解散したんだよ」
プルメリ「それでも、まだグズマに未練があるのか……それともこのアローラがやっぱり好きなのか、団員のほとんどが戻ってきてね、「自分たちにできることはないか」ってあたいに相談してきたんだよ」
プルメリ「だからあたいは、『グズマが帰ってきたら、みんなでアローラにしでかしたことを償わなきゃいけない。そのためにこのアローラを守りな』って言ってやったのさ」
プルメリ「それをどこで聞きつけたのか……クチナシとマーレインのおっさんコンビに言いくるめられて、こいつらと一緒にアローラの島を巡って、街の人たちの避難の活動と、ビーストの討伐をしていたのさ」
マーレイン「彼女らに償う意識があるなら、それをもっと多くの人に知ってもらうべきと思っただけだよ。それに、プルメリ自身戦力として申し分ないからね」
プルメリ「ありがとよ。それより……しんのすけが代表に連れ去られて、月の笛を直すために、ここへねぇ」
グラジオ「さっき連絡が入ったが……メレメレとアーカラのカプから、かがやく石は貰えたそうだ。残りはこことポニだけだ」
マーレイン「カプ・ブルルは温厚な分、ものぐさなところがあると聞くからね。Zリングを作る目的以外で、かがやく石を人間に渡すことに抵抗があるかもしれない」
グラジオ「どれかひとつでも石が欠けてしまえば、その時点で月の笛は直すことができない。……ビーストが現れたと同時にウルトラホールに飛び込むという案も考えたが、その先がどこに繋がっているかわからないからな……最悪、戻ってこれなくなるかもしれない」
マーレイン「そうだね……たぶん、月の笛を修復するうえでここが一番の山場だと思うよ」
グラジオ「ともかく今は……クチナシさんを説得して、なんとかカプ・ブルルに会わせてもらわなければ何も始まらないがな」
54 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:31:22.55 ID:31e3ztue0
プルメリ「グラジオ、ちょっといいかい?」
グラジオ「……なんだ?」
プルメリ「もしも、その月の笛とやらを直して、代表のもとへ向かうんなら、あたいも連れて行って欲しいんだ」
グラジオ「……本気か? そもそも、グズマを助けるのはしんのすけとリーリエに任せたんじゃなかったのか?」
プルメリ「最初はそうするつもりだった。弱いあたいらが出しゃばるより、2人に任せちまおうって考えてたよ」
プルメリ「でもね、しんのすけに「一緒に助けに行こう」「弱いなら強くなればいい。大事な人なんでしょ」って言われたよ」
プルメリ「悔しいけどね、あんな小さな子供の言葉でもズシンと来るものがあったよ。素直な気持ちに嘘をつき続ける自分がヤになっちゃうね」
プルメリ「グズマはホントバカ! だからね……あたいが引っ張ってでも、あいつは取り戻さなくちゃいけないんだ」
ドラコ「姉御! だったらあたいらも……」
プルメリ「アンタはここでマーレインとクチナシのおっさんの手伝いをしてな。心配すんな、アンタらの気持ちを背負ってグズマを迎えに行ってくるからさ!」
ドラコ「姉御……わかりました!」
グラジオ「もう一度言うが……本当にいいのか? ビーストの世界に行って、命の保証はないんだぜ。たとえあんたでもな」
プルメリ「くどいよ。女に二言はないってね。あいつはあたいが助けに行かなくちゃ」
55 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:32:28.57 ID:31e3ztue0
ガラララッ
クチナシ「グラジオのあんちゃん、いるかい?」
グラジオ「クチナシさん……」
クチナシ「……来なよ、カプ・ブルルに会いたいんだろ? あいつは今、実りの遺跡にいるみたいだからよ」
グラジオ「会わせてくれるのか?」
クチナシ「ああ……だが、プルメリの嬢ちゃん。そっちもついてきな」
プルメリ「あたいもかい? どうして?」
クチナシ「……案外、説得するのに役に立つかもしれないからな」ニヤッ
グラジオ&プルメリ「????」
56 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:35:34.08 ID:31e3ztue0
実りの遺跡
グラジオ「ここが実りの遺跡……」
プルメリ「カプの遺跡の中に入ったのは生まれて初めてだよ……なんだか重苦しい雰囲気だね」
グラジオ「だが……肝心のカプ・ブルルはどこにいるんだ?」
クチナシ「……」テクテク
クチナシは祭壇に上がると、石像にそっと右手を伸ばして触れた。
クチナシ「……聞こえるかい」
グラジオ&プルメリ「!」
クチナシ「ずいぶん久しぶりだね。……こうして語りかけるのはしまキングになって以来だよな」
グラジオ(カプ・ブルルに語りかけているのか?)
クチナシ「わかってるだろ? 外が今、どうなっているのか」
クチナシ「ビーストがわんさかだよ。これまで見てきたもんとは比べ物になんねぇ程にな」
クチナシ「キャプテンも出ずっぱりさ。アセロラに至っては、月の笛を直しているからねぇ」
クチナシ「……そうさ、月の笛、壊されちまったのよ。ビーストを従えてる奴の仕業さ。おかげで向こうにいる親玉をどうにかしようとしても、肝心の伝説のポケモンが呼べないんだわ」
57 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:37:15.34 ID:31e3ztue0
クチナシ「言いたいこと、わかるだろ? お前さんの力、借りたいんだよ」
プルメリ「……」
クチナシ「月の笛を直すために、かがやく石が必要なんだとよ。お前さんなら知ってるんじゃないのかい」
クチナシ「……お前さんが人間に抱く気持ち、わからんでもねぇんだ」
クチナシ「あそこにいる嬢ちゃん。元スカル団の幹部なんだとよ。今はアローラを救うために、スカル団を解散させて、命懸けでビーストと戦ってるぜ」
プルメリ「!」
クチナシ「別に例の件で許しを請うなんて気持ち、これっぽちもないんだわ。だけどよ、今はアローラの危機なんだ。善も悪も関係なしに、みんなが一丸となってビーストの驚異と戦っているんだ」
クチナシ「それでもお前さんは、ここでじっとしているつもりかい? このまま、滅びの運命を受け入れるつもりかい?」
クチナシ「……言いたいことは、それだけだよ。あとは、お前さんの判断に任せるぜ」
そしてクチナシは石像から手を離すと、祭壇から降りてグラジオたちと向き合った。
58 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:38:28.70 ID:31e3ztue0
グラジオ「……クチナシさん。カプ・ブルルはーー」
クチナシは肩をすくめた。
クチナシ「……どうだかね。ただ、向こうには向こうなりの考えってものがあるからさ」
プルメリ「おっさん、あたいは……」
チリンチリン!
グラジオ「なんだ……?」
プルメリ「鈴の音?」
ーーカ プ ゥ ブ ル ル !
祭壇内にカプ・ブルルの咆哮が轟く! 一瞬、グラジオたちが反射的に身構えるが、クチナシが手を上げてグラジオたちを制する。
クチナシ「……やっと、動いてくれたか」ニッ
グラジオ「?」
59 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:38:56.83 ID:31e3ztue0
再びクチナシは祭壇に上がると、一度身をかがめて立ち上がった。その手には、光り輝く石が握られていた。
グラジオ「それはーー!」
プルメリ「カプ・ブルルは……認めてくれたのかね」
クチナシ「どうだかね。だけど、嬢ちゃんたちの活躍、カプ・ブルルはちゃんと見てるみたいだぜ? だからこそ、考えを変えたのかもな」
プルメリ「……!」
クチナシ「ほら、かがやく石だ。持って行きな」つ かがやく石
グラジオ「クチナシさんーーすまないな」
クチナシ「……頼んだぜ」
グラジオ&プルメリ「ああ!」
60 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:40:34.14 ID:31e3ztue0
ポニ島 海の民の村(ひろし&ハウ)
メレメレ島でカプ・コケコからかがやく石を貰えたひろしとハウは、カプ・レヒレからかがやく石を貰うために、ポニ島へと船を走らせていた。
遠くから見たポニ島は、メレメレ島と比べてみると被害が少ないように見えた。しかし、島に近づいてみると、ビーストによる被害があらわになった。
桟橋が入り組んでいた海の民の村には、停泊しているほとんどの船が姿を消していた。桟橋もところどころが壊れてしまっていて、そのまま岸に船を止めてしまったほうが安全に降りれるという有様だ。
ひろし「よし、まずはハプウちゃんのところへ行ってみようぜ」
???「待ちや!」
ひろし&ハウ「!」
海の民の団長「君ら、何しに来たん? どこの島も今、ビーストっちゅうのがぎょうさん溢れて危険やぞ」
ハウ「おれたちーハプウさんに会いに来たんだー。カプ・レヒレから、かがやく石を貰うためにー」
61 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:41:28.15 ID:31e3ztue0
団長「ハプウちゃんにか? それに島の守り神にも用があるとは……」
ひろし「ハプウちゃんは今、どこに居るんですか?」
団長「今はたぶん、ポニの古道にある家で休んでるはずや。なんでも、戦闘中に怪我してしもうたとか言ってたが……」
ハウ「怪我ー?! だいじょぶなのかなー?」
ひろし「ともかく、まずはハプウちゃんの家に行こう。俺たちは今かがやく石が必要なことだけは話しておかないと」
団長「気を付けなはれや。この村も安全じゃあないし。島を歩けば、とんでもなく強いビーストに襲われてしまうで」
団長「わしも、この島にいるトレーナーさんたちを全員避難させたら、すぐによそへ逃げるつもりや。お前さんらも長居はせん方がええで!」
ひろし「俺たちも、今は一刻を争っている事態です。教えてくれてありがとうございます」
団長「いやいや、礼には及ばん」
ハウ「じゃー急ごー! ハプウさんの怪我も気になるしー」
ひろし「ああ!」
62 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:42:05.22 ID:31e3ztue0
ポニの古道
ひろし「確か……ここらへんだったよな? 島に家がひとつしかなくって、そこにハプウちゃんが住んでるって聞いたが……」
ハウ「あー! バンバドロだー!」
ハウが呼びかけると、畑の近くにいたバンバドロが2人の存在に気付いて、声を上げるとのっしのっしと重い足取りで近づいてきた。よく見るとあちらこちらに小さな傷跡が残っており、幾重にも渡るビーストとの戦いを乗り越えたことを物語っている。
バンバドロ「ムヒイウン!」
ひろし「このポケモン、確かハプウちゃんが連れていたポケモンだよな。ってことは、あの家がハプウちゃんの家か」
ハウ「そうだねー……」
ピーピーピー!
ヴ-ヴ-ヴ-!
ひろし「うおっ!?」
ハウ「わーわー! ビースト?!」アタフタ
63 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:43:16.43 ID:31e3ztue0
ひろし「どこだ? どこに現れるんだ?」
ハプウ「なんじゃ、外が騒がしいのう」ガチャ
家のドアが開くと、頭に包帯を巻いたハプウが出てきた。
ハプウ「おお! ハウとひろしか! 無事でなによりじゃ!」
ハウ「その前にこの近くにビーストがいるよー! 早く見つけて倒さないとー!」
ハプウ「ん? ビースト? ……ああ、あいつのことかもしれんな」
ひろし「あいつ?」
ハプウ「そう慌てるな。まずは家に上がれ。エーテルパラダイスに避難した後の話をゆっくり聞かせてもらおうかの」
64 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:44:21.44 ID:31e3ztue0
ハプウの家
ひろしとハウは、ポニ島から避難してエーテルパラダイスで月の笛の修復にかがやく石が必要なことが判明し、カプ・レヒレから石を貰いに来たことを話した。
ハプウ「なるほどなぁ……決してアセロラを侮っていたわけではないが、王朝の知識は脈々と受け継がれておるということか」
ハウ「ところでその頭はー?」
ハプウ「ん? これのことか? いや、実は情けない話じゃが、ビーストと戦っている時に……」
ひろし「戦いの巻き添えを食っちまったのか……?」
ハプウ「いや、ビーストの猛攻にびっくりしてバンバドロから落馬してのう! そのまま頭をぶつけてしまったんじゃ! いやぁ、わしとしたことが、間抜けなことで怪我してしもうたわ! 頭の皮擦りむいただけで幸いじゃ」
ハウ「……」
ひろし「ま、まぁ、無事でなによりだ……」
ハプウ「それにしても、2人はカプ・コケコから石が貰えてなによりじゃな」
ひろし「家に来る前、博士からカプ・テテフから石が手に入ったって連絡が入った。後はウラウラ島とここだけだ」
ハウ「ウラウラ島は今グラジオが行ってるからーおれたちがここに来たのー」
ハプウ「ふむう……」
65 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:45:00.93 ID:31e3ztue0
ハウ「だからハプウさんからカプ・レヒレに石を頂けるかどうか、お願いできないかなー?」
ハプウ「もちろん、お主たちのすることに協力を惜しまないつもりじゃ。ただ……」
ひろし「ただ……?」
ハプウ「カプ・レヒレはおそらく、お前たち2人ーーあるいはどちらかに試練を課すじゃろうな」
ハウ「試練ー? キャプテンがするようなヤツのことー?」
ハプウ「ま、そうじゃな。試練達成で手に入るのがZクリスタルではなく、かがやく石と言ったところかの」
ひろし「どうしてカプ・レヒレは俺たちに試練を?」
ハプウ「カプ・レヒレは、心身を癒せる特別な水を作り出せる能力をもっておる。かつてポニ島に住んでいた者は、その恩恵を受けていたのじゃ」
ハプウ「だがな、そのためには、カプ・レヒレが作り上げる霧の試練を受けねばならないのだ。その試練を乗り越えた者だけが、水の恩恵に預かることができるのじゃ」
ひろし「つまり、水を手に入れる人たちと同じように、俺たちがかがやく石を持つに値する人間かどうか、カプ・レヒレは試したいわけだな」
ハプウ「その通りじゃ」
66 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:46:10.52 ID:31e3ztue0
ひろし「しんのすけを取り戻せるなら、どんな試練だってこなしてみせるさ。具体的に、何をすりゃいいんだ?」
ハプウ「それはカプ・レヒレが決めることじゃ。まずば彼岸の遺跡に行かねばな」
コンコンッ
全員「!」
???「マツリカ、ただいま戻りましたー。エンドケイプ周辺は異常なしですよー」
ハプウ「おお、そうか。ご苦労じゃったな」
マツリカ「おー? お客さんですか?」
ひろし「誰だ?」
ハウ「キャプテンの証つけてるー」
ハプウ「このふたりがさっき話した人たちじゃ。こちらが島巡りしているハウ、そしてこちらがしんのすけの父のひろしじゃ」
マツリカ「あー、あたしマツリカ。ポニのキャプテンやってます! といっても、普段は絵を描くためフラフラしてて、あたしの試練はないんだけど……」
ハウ「試練が無いキャプテンってなんか新鮮ー」
67 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:48:52.61 ID:31e3ztue0
ハプウ「こんな性格だが絵とポケモントレーナーとしての腕前は確かじゃ。あのデカいビーストも、マツリカが追い払ったでな」
ひろし「あいつをか!?」
ハウ「すごいキャプテンなんだねー!」
マツリカ「いやーたまたまですよ! 相手がフェアリーに弱かっただけで」
ハウ「フェアリータイプのキャプテンなのかー」
ハプウ「弱点を突くだけで倒せるのなら、苦労はいらん。後はもそっとキャプテンである自覚を持てば言うことはないのだがな」
マツリカ「うーん。ハプウさんの言葉は耳が痛いですねー」
マツリカ「アローラも大変なことになっちゃいましたからねー。みんなの力を1つにして、この危機を乗り越えていきましょう!」
ハウ「うんー!」
68 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:49:30.06 ID:31e3ztue0
マツリカ「あ、そうでした! お近づきの印に、フェアリーZをどうぞ!」つフェアリーZ
ハウ「エー! いいのー?」
ひろし「……普通試練を達成してもらうもんなのに、いいのかな」
ハプウ「貰っておけ。しんのすけが帰ってきた時渡してやれ」
マツリカ「おーゼンリョク! ゼンリョク! 遠慮なくどーぞ。そもそもやる試練ないですしね」
ハプウ「マツリカ、わしはこの者たちを連れて彼岸の遺跡に行ってくる。その間、この家の留守を頼んだぞ」
マツリカ「分かりましたー! みなさんお気をつけてー!」
69 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:50:15.64 ID:31e3ztue0
ポニの古道
ハプウの家を出て歩き出すと、再びウルトラホールみっけマーク3のシグナルが鳴り響いた!
ピーピーピー!
ヴ-ヴ-ヴ-!
ハウ「わー! まただー!」
ハプウ「さっきもそれが鳴ってたのう。それはウルトラビーストを見つける装置かなにかなのか?」
ひろし「ああ、ウラウラのキャプテンが作ったらしいけど……ビーストはどこにいるんだ?」
ハプウ「それなら、あそこじゃ」
ハプウはのんびりと自分の畑を指さした。
彼女が耕している畑の上には、ウルトラビーストーーカミツルギがふわふわと浮いていた。
ハウ「あれがウルトラビーストー?」
ひろし「今まで見てきた奴らと比べると、ずいぶんちっせぇなぁ」
ハプウ「甘く見るでないぞ。あのビーストの全身は、まさしく魔剣そのものじゃ。なにせ、一太刀でバンバドロの身体に深い切り傷を負わせたからの」
カプの村 モーテル
クチナシ「なるほど……月の笛、ね。それで、この事件の親玉をどうにかするってわけかい」
プルメリ「そんなことが……まさかあの子が代表に狙われるなんてね……」
グラジオ「ああ、そのためにカプ・ブルルからかがやく石を貰えないだろうか」
クチナシ「……正直なところ、あいつが素直に首を縦に振るとは思えねぇけどな」
グラジオ「なぜだ?」
クチナシ「昔一度、この村の奴らがカプ・ブルルの怒りを買う真似をしたからだよ。それ以降、人間不信とまではいかねぇがよ、人に対して警戒しているっていうのはあるね」
マミ「リーダー、こいつら何話してるんすかね?」ヒソヒソ
おキン「カプのことが話題に出てますけど……」ヒソヒソ
ドラコ「さぁな……」ヒソヒソ
クチナシ「俺もしまキングだけど、あいつの姿……しまキングになったときの一度しか見たことねぇんだわ。なにせ、今回の大量発生前、この島の上空にウルトラホールが開かれた時も、カプ・ブルルは静観してたからな」
グラジオ「今は非常事態だ……。月の笛を完成させなければ、このアローラがビーストによって壊滅してしまう」
クチナシ「それもまた、ひとつの定めって奴じゃないのかい? 永遠に続くもんなんてありゃしないんだよ。アローラもまた、こうやって滅ぶ運命なのかもしれないぜ」
グラジオ「そんなものを受け入れられるほど、オレ達は自分の運命を悟ってなんかない。オレ達は最後までビーストたちに抗って、戦い抜く! ヌルと供に!」
51 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:24:48.83 ID:31e3ztue0
グラジオ「そういうクチナシさんこそ、もし諦めているなら、なぜオレたちを助ける? 本当はどこかで、アローラを救いたいという気持ちがあるんじゃないのか?」
クチナシ「……まいったねえ」フッ
コンコンッ
ガララッ
グラジオ「!」
マーレイン「すまないね、思ったより『LIGHTNING』の数が多くて、手間取ってしまったよ」
クチナシ「ま……ちょっとプルメリのねえちゃんとマーレインのあんちゃんと話してな。おれは外の様子、見てくるからよ」
マーレイン「お気をつけて、クチナシさん」
ガララッ ピシャッ!
グラジオ「……そういえば、なぜお前たちがここにいるんだ? さっき解散したといつていたが、スカル団はどうなったたんだ?」
プルメリ「……グラジオの言うとおり、スカル団は解散したのさ、一応ね」
52 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:26:08.60 ID:31e3ztue0
※修正
グラジオ「そういうクチナシさんこそ、もし諦めているなら、なぜオレたちを助ける? 本当はどこかで、アローラを救いたいという気持ちがあるんじゃないのか?」
クチナシ「……まいったねえ」フッ
コンコンッ
ガララッ
グラジオ「!」
マーレイン「すまないね、思ったより『LIGHTNING』の数が多くて、手間取ってしまったよ」
クチナシ「ま……ちょっとプルメリのねえちゃんとマーレインのあんちゃんと話してな。おれは外の様子、見てくるからよ」
マーレイン「お気をつけて、クチナシさん」
ガララッ ピシャッ!
グラジオ「……そういえば、なぜお前たちがここにいるんだ? さっき解散したと言ってたが、スカル団はどうなったんだ?」
プルメリ「……グラジオの言うとおり、スカル団は解散したのさ、一応ね」
53 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:29:27.63 ID:31e3ztue0
グラジオ「なに?」
プルメリ「この島とポニ島でね、まぁ色々あったのさ。グズマのことを、しんのすけとリーリエに頼んで、そのままあたいらはこの島に戻ったんだ」
プルメリ「だけど、その矢先にこれだよ。かわいい部下たちをビーストたちの手にかからせたくなかったし、グズマを探そうなんていうムチャもさせたくなかったからね。そのまま、解散したんだよ」
プルメリ「それでも、まだグズマに未練があるのか……それともこのアローラがやっぱり好きなのか、団員のほとんどが戻ってきてね、「自分たちにできることはないか」ってあたいに相談してきたんだよ」
プルメリ「だからあたいは、『グズマが帰ってきたら、みんなでアローラにしでかしたことを償わなきゃいけない。そのためにこのアローラを守りな』って言ってやったのさ」
プルメリ「それをどこで聞きつけたのか……クチナシとマーレインのおっさんコンビに言いくるめられて、こいつらと一緒にアローラの島を巡って、街の人たちの避難の活動と、ビーストの討伐をしていたのさ」
マーレイン「彼女らに償う意識があるなら、それをもっと多くの人に知ってもらうべきと思っただけだよ。それに、プルメリ自身戦力として申し分ないからね」
プルメリ「ありがとよ。それより……しんのすけが代表に連れ去られて、月の笛を直すために、ここへねぇ」
グラジオ「さっき連絡が入ったが……メレメレとアーカラのカプから、かがやく石は貰えたそうだ。残りはこことポニだけだ」
マーレイン「カプ・ブルルは温厚な分、ものぐさなところがあると聞くからね。Zリングを作る目的以外で、かがやく石を人間に渡すことに抵抗があるかもしれない」
グラジオ「どれかひとつでも石が欠けてしまえば、その時点で月の笛は直すことができない。……ビーストが現れたと同時にウルトラホールに飛び込むという案も考えたが、その先がどこに繋がっているかわからないからな……最悪、戻ってこれなくなるかもしれない」
マーレイン「そうだね……たぶん、月の笛を修復するうえでここが一番の山場だと思うよ」
グラジオ「ともかく今は……クチナシさんを説得して、なんとかカプ・ブルルに会わせてもらわなければ何も始まらないがな」
54 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:31:22.55 ID:31e3ztue0
プルメリ「グラジオ、ちょっといいかい?」
グラジオ「……なんだ?」
プルメリ「もしも、その月の笛とやらを直して、代表のもとへ向かうんなら、あたいも連れて行って欲しいんだ」
グラジオ「……本気か? そもそも、グズマを助けるのはしんのすけとリーリエに任せたんじゃなかったのか?」
プルメリ「最初はそうするつもりだった。弱いあたいらが出しゃばるより、2人に任せちまおうって考えてたよ」
プルメリ「でもね、しんのすけに「一緒に助けに行こう」「弱いなら強くなればいい。大事な人なんでしょ」って言われたよ」
プルメリ「悔しいけどね、あんな小さな子供の言葉でもズシンと来るものがあったよ。素直な気持ちに嘘をつき続ける自分がヤになっちゃうね」
プルメリ「グズマはホントバカ! だからね……あたいが引っ張ってでも、あいつは取り戻さなくちゃいけないんだ」
ドラコ「姉御! だったらあたいらも……」
プルメリ「アンタはここでマーレインとクチナシのおっさんの手伝いをしてな。心配すんな、アンタらの気持ちを背負ってグズマを迎えに行ってくるからさ!」
ドラコ「姉御……わかりました!」
グラジオ「もう一度言うが……本当にいいのか? ビーストの世界に行って、命の保証はないんだぜ。たとえあんたでもな」
プルメリ「くどいよ。女に二言はないってね。あいつはあたいが助けに行かなくちゃ」
ガラララッ
クチナシ「グラジオのあんちゃん、いるかい?」
グラジオ「クチナシさん……」
クチナシ「……来なよ、カプ・ブルルに会いたいんだろ? あいつは今、実りの遺跡にいるみたいだからよ」
グラジオ「会わせてくれるのか?」
クチナシ「ああ……だが、プルメリの嬢ちゃん。そっちもついてきな」
プルメリ「あたいもかい? どうして?」
クチナシ「……案外、説得するのに役に立つかもしれないからな」ニヤッ
グラジオ&プルメリ「????」
56 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:35:34.08 ID:31e3ztue0
実りの遺跡
グラジオ「ここが実りの遺跡……」
プルメリ「カプの遺跡の中に入ったのは生まれて初めてだよ……なんだか重苦しい雰囲気だね」
グラジオ「だが……肝心のカプ・ブルルはどこにいるんだ?」
クチナシ「……」テクテク
クチナシは祭壇に上がると、石像にそっと右手を伸ばして触れた。
クチナシ「……聞こえるかい」
グラジオ&プルメリ「!」
クチナシ「ずいぶん久しぶりだね。……こうして語りかけるのはしまキングになって以来だよな」
グラジオ(カプ・ブルルに語りかけているのか?)
クチナシ「わかってるだろ? 外が今、どうなっているのか」
クチナシ「ビーストがわんさかだよ。これまで見てきたもんとは比べ物になんねぇ程にな」
クチナシ「キャプテンも出ずっぱりさ。アセロラに至っては、月の笛を直しているからねぇ」
クチナシ「……そうさ、月の笛、壊されちまったのよ。ビーストを従えてる奴の仕業さ。おかげで向こうにいる親玉をどうにかしようとしても、肝心の伝説のポケモンが呼べないんだわ」
57 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:37:15.34 ID:31e3ztue0
クチナシ「言いたいこと、わかるだろ? お前さんの力、借りたいんだよ」
プルメリ「……」
クチナシ「月の笛を直すために、かがやく石が必要なんだとよ。お前さんなら知ってるんじゃないのかい」
クチナシ「……お前さんが人間に抱く気持ち、わからんでもねぇんだ」
クチナシ「あそこにいる嬢ちゃん。元スカル団の幹部なんだとよ。今はアローラを救うために、スカル団を解散させて、命懸けでビーストと戦ってるぜ」
プルメリ「!」
クチナシ「別に例の件で許しを請うなんて気持ち、これっぽちもないんだわ。だけどよ、今はアローラの危機なんだ。善も悪も関係なしに、みんなが一丸となってビーストの驚異と戦っているんだ」
クチナシ「それでもお前さんは、ここでじっとしているつもりかい? このまま、滅びの運命を受け入れるつもりかい?」
クチナシ「……言いたいことは、それだけだよ。あとは、お前さんの判断に任せるぜ」
そしてクチナシは石像から手を離すと、祭壇から降りてグラジオたちと向き合った。
58 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:38:28.70 ID:31e3ztue0
グラジオ「……クチナシさん。カプ・ブルルはーー」
クチナシは肩をすくめた。
クチナシ「……どうだかね。ただ、向こうには向こうなりの考えってものがあるからさ」
プルメリ「おっさん、あたいは……」
チリンチリン!
グラジオ「なんだ……?」
プルメリ「鈴の音?」
ーーカ プ ゥ ブ ル ル !
祭壇内にカプ・ブルルの咆哮が轟く! 一瞬、グラジオたちが反射的に身構えるが、クチナシが手を上げてグラジオたちを制する。
クチナシ「……やっと、動いてくれたか」ニッ
グラジオ「?」
59 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:38:56.83 ID:31e3ztue0
再びクチナシは祭壇に上がると、一度身をかがめて立ち上がった。その手には、光り輝く石が握られていた。
グラジオ「それはーー!」
プルメリ「カプ・ブルルは……認めてくれたのかね」
クチナシ「どうだかね。だけど、嬢ちゃんたちの活躍、カプ・ブルルはちゃんと見てるみたいだぜ? だからこそ、考えを変えたのかもな」
プルメリ「……!」
クチナシ「ほら、かがやく石だ。持って行きな」つ かがやく石
グラジオ「クチナシさんーーすまないな」
クチナシ「……頼んだぜ」
グラジオ&プルメリ「ああ!」
60 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:40:34.14 ID:31e3ztue0
ポニ島 海の民の村(ひろし&ハウ)
メレメレ島でカプ・コケコからかがやく石を貰えたひろしとハウは、カプ・レヒレからかがやく石を貰うために、ポニ島へと船を走らせていた。
遠くから見たポニ島は、メレメレ島と比べてみると被害が少ないように見えた。しかし、島に近づいてみると、ビーストによる被害があらわになった。
桟橋が入り組んでいた海の民の村には、停泊しているほとんどの船が姿を消していた。桟橋もところどころが壊れてしまっていて、そのまま岸に船を止めてしまったほうが安全に降りれるという有様だ。
ひろし「よし、まずはハプウちゃんのところへ行ってみようぜ」
???「待ちや!」
ひろし&ハウ「!」
海の民の団長「君ら、何しに来たん? どこの島も今、ビーストっちゅうのがぎょうさん溢れて危険やぞ」
ハウ「おれたちーハプウさんに会いに来たんだー。カプ・レヒレから、かがやく石を貰うためにー」
61 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:41:28.15 ID:31e3ztue0
団長「ハプウちゃんにか? それに島の守り神にも用があるとは……」
ひろし「ハプウちゃんは今、どこに居るんですか?」
団長「今はたぶん、ポニの古道にある家で休んでるはずや。なんでも、戦闘中に怪我してしもうたとか言ってたが……」
ハウ「怪我ー?! だいじょぶなのかなー?」
ひろし「ともかく、まずはハプウちゃんの家に行こう。俺たちは今かがやく石が必要なことだけは話しておかないと」
団長「気を付けなはれや。この村も安全じゃあないし。島を歩けば、とんでもなく強いビーストに襲われてしまうで」
団長「わしも、この島にいるトレーナーさんたちを全員避難させたら、すぐによそへ逃げるつもりや。お前さんらも長居はせん方がええで!」
ひろし「俺たちも、今は一刻を争っている事態です。教えてくれてありがとうございます」
団長「いやいや、礼には及ばん」
ハウ「じゃー急ごー! ハプウさんの怪我も気になるしー」
ひろし「ああ!」
62 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:42:05.22 ID:31e3ztue0
ポニの古道
ひろし「確か……ここらへんだったよな? 島に家がひとつしかなくって、そこにハプウちゃんが住んでるって聞いたが……」
ハウ「あー! バンバドロだー!」
ハウが呼びかけると、畑の近くにいたバンバドロが2人の存在に気付いて、声を上げるとのっしのっしと重い足取りで近づいてきた。よく見るとあちらこちらに小さな傷跡が残っており、幾重にも渡るビーストとの戦いを乗り越えたことを物語っている。
バンバドロ「ムヒイウン!」
ひろし「このポケモン、確かハプウちゃんが連れていたポケモンだよな。ってことは、あの家がハプウちゃんの家か」
ハウ「そうだねー……」
ピーピーピー!
ヴ-ヴ-ヴ-!
ひろし「うおっ!?」
ハウ「わーわー! ビースト?!」アタフタ
63 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:43:16.43 ID:31e3ztue0
ひろし「どこだ? どこに現れるんだ?」
ハプウ「なんじゃ、外が騒がしいのう」ガチャ
家のドアが開くと、頭に包帯を巻いたハプウが出てきた。
ハプウ「おお! ハウとひろしか! 無事でなによりじゃ!」
ハウ「その前にこの近くにビーストがいるよー! 早く見つけて倒さないとー!」
ハプウ「ん? ビースト? ……ああ、あいつのことかもしれんな」
ひろし「あいつ?」
ハプウ「そう慌てるな。まずは家に上がれ。エーテルパラダイスに避難した後の話をゆっくり聞かせてもらおうかの」
64 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:44:21.44 ID:31e3ztue0
ハプウの家
ひろしとハウは、ポニ島から避難してエーテルパラダイスで月の笛の修復にかがやく石が必要なことが判明し、カプ・レヒレから石を貰いに来たことを話した。
ハプウ「なるほどなぁ……決してアセロラを侮っていたわけではないが、王朝の知識は脈々と受け継がれておるということか」
ハウ「ところでその頭はー?」
ハプウ「ん? これのことか? いや、実は情けない話じゃが、ビーストと戦っている時に……」
ひろし「戦いの巻き添えを食っちまったのか……?」
ハプウ「いや、ビーストの猛攻にびっくりしてバンバドロから落馬してのう! そのまま頭をぶつけてしまったんじゃ! いやぁ、わしとしたことが、間抜けなことで怪我してしもうたわ! 頭の皮擦りむいただけで幸いじゃ」
ハウ「……」
ひろし「ま、まぁ、無事でなによりだ……」
ハプウ「それにしても、2人はカプ・コケコから石が貰えてなによりじゃな」
ひろし「家に来る前、博士からカプ・テテフから石が手に入ったって連絡が入った。後はウラウラ島とここだけだ」
ハウ「ウラウラ島は今グラジオが行ってるからーおれたちがここに来たのー」
ハプウ「ふむう……」
65 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:45:00.93 ID:31e3ztue0
ハウ「だからハプウさんからカプ・レヒレに石を頂けるかどうか、お願いできないかなー?」
ハプウ「もちろん、お主たちのすることに協力を惜しまないつもりじゃ。ただ……」
ひろし「ただ……?」
ハプウ「カプ・レヒレはおそらく、お前たち2人ーーあるいはどちらかに試練を課すじゃろうな」
ハウ「試練ー? キャプテンがするようなヤツのことー?」
ハプウ「ま、そうじゃな。試練達成で手に入るのがZクリスタルではなく、かがやく石と言ったところかの」
ひろし「どうしてカプ・レヒレは俺たちに試練を?」
ハプウ「カプ・レヒレは、心身を癒せる特別な水を作り出せる能力をもっておる。かつてポニ島に住んでいた者は、その恩恵を受けていたのじゃ」
ハプウ「だがな、そのためには、カプ・レヒレが作り上げる霧の試練を受けねばならないのだ。その試練を乗り越えた者だけが、水の恩恵に預かることができるのじゃ」
ひろし「つまり、水を手に入れる人たちと同じように、俺たちがかがやく石を持つに値する人間かどうか、カプ・レヒレは試したいわけだな」
ハプウ「その通りじゃ」
66 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:46:10.52 ID:31e3ztue0
ひろし「しんのすけを取り戻せるなら、どんな試練だってこなしてみせるさ。具体的に、何をすりゃいいんだ?」
ハプウ「それはカプ・レヒレが決めることじゃ。まずば彼岸の遺跡に行かねばな」
コンコンッ
全員「!」
???「マツリカ、ただいま戻りましたー。エンドケイプ周辺は異常なしですよー」
ハプウ「おお、そうか。ご苦労じゃったな」
マツリカ「おー? お客さんですか?」
ひろし「誰だ?」
ハウ「キャプテンの証つけてるー」
ハプウ「このふたりがさっき話した人たちじゃ。こちらが島巡りしているハウ、そしてこちらがしんのすけの父のひろしじゃ」
マツリカ「あー、あたしマツリカ。ポニのキャプテンやってます! といっても、普段は絵を描くためフラフラしてて、あたしの試練はないんだけど……」
ハウ「試練が無いキャプテンってなんか新鮮ー」
67 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:48:52.61 ID:31e3ztue0
ハプウ「こんな性格だが絵とポケモントレーナーとしての腕前は確かじゃ。あのデカいビーストも、マツリカが追い払ったでな」
ひろし「あいつをか!?」
ハウ「すごいキャプテンなんだねー!」
マツリカ「いやーたまたまですよ! 相手がフェアリーに弱かっただけで」
ハウ「フェアリータイプのキャプテンなのかー」
ハプウ「弱点を突くだけで倒せるのなら、苦労はいらん。後はもそっとキャプテンである自覚を持てば言うことはないのだがな」
マツリカ「うーん。ハプウさんの言葉は耳が痛いですねー」
マツリカ「アローラも大変なことになっちゃいましたからねー。みんなの力を1つにして、この危機を乗り越えていきましょう!」
ハウ「うんー!」
68 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:49:30.06 ID:31e3ztue0
マツリカ「あ、そうでした! お近づきの印に、フェアリーZをどうぞ!」つフェアリーZ
ハウ「エー! いいのー?」
ひろし「……普通試練を達成してもらうもんなのに、いいのかな」
ハプウ「貰っておけ。しんのすけが帰ってきた時渡してやれ」
マツリカ「おーゼンリョク! ゼンリョク! 遠慮なくどーぞ。そもそもやる試練ないですしね」
ハプウ「マツリカ、わしはこの者たちを連れて彼岸の遺跡に行ってくる。その間、この家の留守を頼んだぞ」
マツリカ「分かりましたー! みなさんお気をつけてー!」
69 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 20:50:15.64 ID:31e3ztue0
ポニの古道
ハプウの家を出て歩き出すと、再びウルトラホールみっけマーク3のシグナルが鳴り響いた!
ピーピーピー!
ヴ-ヴ-ヴ-!
ハウ「わー! まただー!」
ハプウ「さっきもそれが鳴ってたのう。それはウルトラビーストを見つける装置かなにかなのか?」
ひろし「ああ、ウラウラのキャプテンが作ったらしいけど……ビーストはどこにいるんだ?」
ハプウ「それなら、あそこじゃ」
ハプウはのんびりと自分の畑を指さした。
彼女が耕している畑の上には、ウルトラビーストーーカミツルギがふわふわと浮いていた。
ハウ「あれがウルトラビーストー?」
ひろし「今まで見てきた奴らと比べると、ずいぶんちっせぇなぁ」
ハプウ「甘く見るでないぞ。あのビーストの全身は、まさしく魔剣そのものじゃ。なにせ、一太刀でバンバドロの身体に深い切り傷を負わせたからの」
しんのすけ「アローラ地方を冒険するゾ」
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