女「また混浴に来たんですか!!」
Part2
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/25(水) 22:19:52.86 ID:5nF5BaWm0
女「…………」
女「私も、こっちにきておばあちゃん以外に初めて話せる人ができてちょっと浮かれていたかもしれませんが」
女「だからって何ですか!!」
女「人の後ろ姿の裸も見たくせに全然気にもならないみたいな態度ですし!!!!」
女「キィいいい!!!むっかぁ!!!!」
女「もう知りません!!一人で無言で浸かってればいいじゃないですか!!」
女「実は女だの、人が苦手だの、今から寝るだの」
女「ミステリアスすぎるんだよぉ!!!!」
女「このねぼうすけーーー!!!」
女「でくのぼうーーー!!!」
女「肉の棒ーーー!!!」
女「ふんっ!!!!!」
女「…………」
女「…………」
女「…………」
女「だ、誰もいないよね」チラ…
女「ほ、よかった…」
女「我ながら最後のはないわ……」
女「少しお化粧して、大学に行こう」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/25(水) 22:37:34.37 ID:5nF5BaWm0
映画を観る時は、携帯電話の電源の切り忘れと同じくらいに、"朝のキス"のシーンに注意をしなければならない。
朝は、本物の時間だから。
おばあちゃんが言っていた。老人が朝早くに起きるのは、長年生きてきて朝が本物だとわかったからだと。
身体ではなく心の都合で生きる時間が変わるのだと。
映画が始まって、ベッドの上で朝日を浴びながら男女がキスをしているとしたら、それは本物の愛。
作り手にとって、物語の終盤に壊すにふさわしい愛。
こんなことなら、いっそ、朝なんてなくなってしまえばいいのにと、今後も私は思うことになるのである。
次回
「火のないところに煙は立たぬ。だが、湯気あるところに男はいきりタつ」
混浴では、"ワニ"の出現にもご注意。
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 11:36:38.79 ID:5Lm2bIQY0
幼い頃から見飽きていた花火に、目を奪われたことがある。
毎日さよならを告げることの出来る友達がまだいた夏。
蝉の鳴き声がやけに静かだと感じたあの夜。
物心ついたときから、誉められることも、認められることも多かった私は、性格こそひねくれてはいなかったけど。
目を伏せながら生きているような人間に、目を向けるようなことはしなかった。
『傷つくことで、人の痛みを知ることができる』
人の痛みを知らないまま、一生傷つかない人生をこのまま送ったほうが遥かに幸せだと思っていた。
浴衣姿の似合う綺麗な女友達に囲まれながら、大して好きでもないわたあめを舐めていた。
歩き疲れた私達は公園で一休みすることにした。
公園につくと、視界にはクラスの男子の集団と、冴えない女子の3人組、一人でベンチに座っているみすぼらしい男を同時に見つけた。
私の友達ははしゃぎだして、男子の集団に近づいていった。
冴えない女子がこちらに気づいてふろうとした手を、途中で下げた。
円になって男女で五月蝿く話している中、私は気恥ずかしくてわたあめを舐めるのに夢中なふりをした。
突然打ち上がった花火は、幼い頃から見飽きた花火だった。
けれど、このあと、非日常が訪れる。
女子に囲まれていた男子のうちの一人が私に近づいてきて。
私は少しドキドキして。
ベンチに座っていた男が立ち上がって。
私は、当然のように目もくれず。
私の思春期は、そこで。
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 11:38:20.71 ID:5Lm2bIQY0
女「わぁっ!!!!」
女「はぁ……はぁ……」
女「私、寝ちゃってたのかな」
女「やばい、今何時だろう!」
女「単位ぎりぎりなんだから自主休講なんてできないのに!」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 11:41:11.62 ID:5Lm2bIQY0
女「ぎりぎり電車に間に合った…」
女「今朝も、あの男は私より先に来ていて」
女「私はあの男に手前側に座って。お互い一言も喋らずにいて」
女「ごつい身体ですぐのぼせて、また私よりも早くあがって」
女「一言も話しかけない態度に私はイライラして、不貞腐れて、いつの間にかウト寝しちゃって」
女「嫌な夢を見たんだった…」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 11:56:28.09 ID:5Lm2bIQY0
女「大学に来る四年生なんて、リクルートスーツ着た就活中の人たちばっかり」
女「まぁ私には関係ない話だけど」
女「残りの半年間、私は老後を過ごすんだ」
女「文学の授業の教授がヘミングウェイの言葉を言ってた。『若者に知恵が、老人に力さえあれば』」
女「私は体力も気力のある若いうちに、自分の好きなことをして、見たいものを見て、浸かりたいものに浸かるんだ」
女「社会人になって、周囲の人が『老後にはこんなことをしたいな』って言ってる中で」
女「『私はもう老後を過ごしましたけど』ってこころの中でつぶやくんだ」
女「はぁ、自分が嫌いだな。お父さん、一生私の面倒見てくれないかな」
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 12:02:54.68 ID:5Lm2bIQY0
女「はぁ……」
女「…………」
友「あれ、女ちゃん!?」
女「あっ、友ちゃん!!」
友「何してんの!?授業!!」
女「授業だよ授業!!友ちゃんリクスーだね」
友「そうだよ就活だよー。私はもう内定持ってるんだけどね。女ちゃんは大丈夫そう?」
女「そうだなぁ…最高のニートになれそう」
友「うける!私もニートなる!」
女「なろなろ!」
友「なろうね。マラソンも一緒に走ってゴールして、飲み会は行けたら行くし、ニートもなれたらなろうね」
女「絶対裏切る気でしょ!」
友「あはは!!じゃあお互いがんばろうね」
女「うん!またね」
友「あっ、結局就活どうなの?」
女「……うーん、ぼちぼちかな」
友「そうなんだ!じゃあまた!」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 12:09:38.14 ID:5Lm2bIQY0
女「…………」ザバァ
男「…………」
女「…………」
男「…………」
女「…………」
男「…………」
女「…………」
男「…………」
女「…………」
男「…………」ザバァ
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 12:14:07.13 ID:5Lm2bIQY0
女「今日も一言も話さなかったな」
女「大学で友達にさりげなくマウンティングされた話とかしたかったのに」
女「海外に行ったり、おばあちゃんちに泊まったり。私はどこかに逃げ出したいだけなんだろうな」
女「はぁ……」
女「明日は授業ないし、どこかまた遊びに行こうかな」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 12:17:37.22 ID:5Lm2bIQY0
女「……んんん」
女「目覚まし無しで起きるのって最高」
女「いつも早起きしてるから8時に起きられたな」
女「おばあちゃん朝ごはん置いててくれてる。おいしそー」
女「ご飯食べたら、ちゃんとお化粧して、街中のおしゃれなカフェで読書でも決め込もうかしら」
女「それとも映画館にでも行こうかな」
女「それとも……」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 12:19:51.07 ID:5Lm2bIQY0
女「いつもの癖でまた混浴に来てしまった……」
女「お昼時に来るのって初めてかもしれないな」
女「男の人が入ってたらどうしよう……」
女「でも女の人が来てたら少しおしゃべりできるかもしれないな」
女「よし。ものは試しだ」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 12:29:05.64 ID:5Lm2bIQY0
ジー……
女「(えっ……)」
ジロジロ……
女「(おじさんが3人いる……)」
ジー…
女「(なんか視線を感じるような…)」
女「(しかもなんでだろ、ペットボトルが置いてある)」
女「(なんか怖いな。体流したらすぐ出ちゃおうかな……)」
男性1「おじょうちゃん、ここよく来るの?」
女「え、あ、あの、あまり…」
男性2「ここは良いよぉ。景色もきれいだし、お湯も身体の芯から温めてくれるし」
女「は、はい…」
男性3「おいおい、やめろって。いきなり話しかけられてお嬢ちゃんも嫌がってるじゃないか」
女「いや、そんな…」
男性1「わりぃわりぃ。俺達は釣り仲間でね。この付近の釣り場に来た帰りなんだ」
男性2「今日は坊主だったよ。昨日はけっこう釣れたんだけどなぁ」
男性3「ちなみにこいつは毎日ハゲだけどな」
男性1「がっはっは!」
男性2「うるせー!お前もそう変わらんだろ!」
女「(悪い人たちじゃなさそう?)」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 12:36:01.88 ID:5Lm2bIQY0
男2「でもまぁ、こうやって湯に浸かってると、どうでもよくなっちゃうね」
男1「お嬢ちゃんは釣りやったことある?」
女「いえ、ないです」
男1「今度おじちゃんが教えてやろうか?」
女「ええと…」
男3「お前らが喋りかけてばかりいるから困ってるだろ」
男1「ごめんごめん。身体流したらゆっくり話そうよ。俺も一人暮らしの娘の顔を最近見れていなくてね」
女「何年生なんですか?」
男1「高校二年生だよ」
女「高校生で一人暮らししてるんですか」
男1「あ、えーと、高校が遠くてね」
女「そうなんですか」
男1「まあ後でゆっくり話そうよ。身体洗っちゃいな」
女「はい」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 12:44:40.02 ID:5Lm2bIQY0
女「…………」ワシャワシャ
女「…………」ワシャワシャ
女「(なんか凄い静かな気がする……)」
女「…………」ザバァ
女「よし」
男2「あれ、身体は洗わないの?」
女「はい?」
男2「いや、ここはみんなで使う場所だからさ。頭だけ洗って、身体洗わないってのはちょっと…」
女「あの、普段なら、あの人も背中向けてるし、洗うんですけど、なんというか……」
男2「マナー違反はちょっとねぇ」
女「そうですよね、すいません…今日は失礼します…」
男3「おいおい。せっかくこんな山奥まで来てくれたのに可愛そうじゃないか」
男1「こんな潔癖野郎のいうことなんか気にせずきなよ。こいつの洗った身体より君の洗ってない体のほうが清潔に違いない」
男2「わ、悪かったよ…」
女「あの、今日は…」
男3「ほらほら、場所開けろ」
女「ちょっと……」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 12:53:51.01 ID:5Lm2bIQY0
女「そ、それじゃあお邪魔します…」
男1「…………」
男2「…………」
男3「…………」
ジィー……
女「(なんか気持ち悪い…)」
男3「ちょっと、それはさすがに」
女「はい…?」
男3「バスタオルつけたまま入るのはマナー違反でしょ。さすがにそれくらいは知っておいてよ」
女「あの、でも……」
男3「タオルの繊維が湯に浮かんじゃうでしょ!!」
女「ひっ!」ビクッ!
男3「おじさんたちだってタオル持ってないでしょ。ほら。つけてないでしょ」
女「嫌…」
男3「ほら。おじさんたちも見てみなって。バスタオルもとりなって」ニタニタ…
女「あの、わたしもう」
男2「もうのぼせちゃったの?早すぎでしょ。これだから今の若い人は」
ガラガラ…
男「…………」
女「っ!」
女「(私より、のぼせるのが早い人が来た)」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 13:00:19.00 ID:5Lm2bIQY0
男「…………」ザバァ
男1「おいなんだお前。身体も洗わずに入ってきて」
男「いつもこうだ」
男2「はぁ?」
女「ええっ!?」
男「外にまで下品な声が聞こえてきたぞ」
男1「なんだお前」
男2「男のくせにバスタオルつけて、長い前髪しやがって。顔見せろや」
男「だったらお前は男らしいかもな」
男2「てめぇ……」
男3「女男がのこのこ来やがって。邪魔なんだよ」
男「俺は男だ。そうだな、タオルを取るのがマナーだったな」
男「お前、ちょっとどけ」
女「え、いったい」
男「黙って出て行け」
バサリ…
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 13:04:40.44 ID:5Lm2bIQY0
女「キャッ!」
女「(バスタオル広げて、おじさんたちに、何見せつけてるんですか!!!)」
女「(後ろからは何も見えないけど…)」
男1「…………」ダラダラ…
男2「…………す、すまねぇ」アワアワ…
男3「……出ていく。出ていくって!!」
ザバァ!!ザバァザバァ!!
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 13:10:36.81 ID:5Lm2bIQY0
女「えっ、えっ。何が」
男1「け、けどな」
男1「あんたはもう二度と、ここには来れないぞ」
男「この場所はバスタオルをつけて入っても良いことになっている」
男1「はぁ?」
男「管理人のおばさんに直接確認した。ルールはそこの看板にも書いてある通りたった1つらしい」
男「『美しい景観を損ねることの無き様』」
男「わかったらさっさと出て行け。ここは俺と俺のお友達のお気にい入りの場所なんだよ」
男「また釣りにでも行ってこい」
女「…………」
女「私も、こっちにきておばあちゃん以外に初めて話せる人ができてちょっと浮かれていたかもしれませんが」
女「だからって何ですか!!」
女「人の後ろ姿の裸も見たくせに全然気にもならないみたいな態度ですし!!!!」
女「キィいいい!!!むっかぁ!!!!」
女「もう知りません!!一人で無言で浸かってればいいじゃないですか!!」
女「実は女だの、人が苦手だの、今から寝るだの」
女「ミステリアスすぎるんだよぉ!!!!」
女「このねぼうすけーーー!!!」
女「でくのぼうーーー!!!」
女「肉の棒ーーー!!!」
女「ふんっ!!!!!」
女「…………」
女「…………」
女「…………」
女「だ、誰もいないよね」チラ…
女「ほ、よかった…」
女「我ながら最後のはないわ……」
女「少しお化粧して、大学に行こう」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/25(水) 22:37:34.37 ID:5nF5BaWm0
映画を観る時は、携帯電話の電源の切り忘れと同じくらいに、"朝のキス"のシーンに注意をしなければならない。
朝は、本物の時間だから。
おばあちゃんが言っていた。老人が朝早くに起きるのは、長年生きてきて朝が本物だとわかったからだと。
身体ではなく心の都合で生きる時間が変わるのだと。
映画が始まって、ベッドの上で朝日を浴びながら男女がキスをしているとしたら、それは本物の愛。
作り手にとって、物語の終盤に壊すにふさわしい愛。
こんなことなら、いっそ、朝なんてなくなってしまえばいいのにと、今後も私は思うことになるのである。
次回
「火のないところに煙は立たぬ。だが、湯気あるところに男はいきりタつ」
混浴では、"ワニ"の出現にもご注意。
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 11:36:38.79 ID:5Lm2bIQY0
幼い頃から見飽きていた花火に、目を奪われたことがある。
毎日さよならを告げることの出来る友達がまだいた夏。
蝉の鳴き声がやけに静かだと感じたあの夜。
物心ついたときから、誉められることも、認められることも多かった私は、性格こそひねくれてはいなかったけど。
目を伏せながら生きているような人間に、目を向けるようなことはしなかった。
『傷つくことで、人の痛みを知ることができる』
人の痛みを知らないまま、一生傷つかない人生をこのまま送ったほうが遥かに幸せだと思っていた。
浴衣姿の似合う綺麗な女友達に囲まれながら、大して好きでもないわたあめを舐めていた。
歩き疲れた私達は公園で一休みすることにした。
公園につくと、視界にはクラスの男子の集団と、冴えない女子の3人組、一人でベンチに座っているみすぼらしい男を同時に見つけた。
私の友達ははしゃぎだして、男子の集団に近づいていった。
冴えない女子がこちらに気づいてふろうとした手を、途中で下げた。
円になって男女で五月蝿く話している中、私は気恥ずかしくてわたあめを舐めるのに夢中なふりをした。
突然打ち上がった花火は、幼い頃から見飽きた花火だった。
けれど、このあと、非日常が訪れる。
女子に囲まれていた男子のうちの一人が私に近づいてきて。
私は少しドキドキして。
ベンチに座っていた男が立ち上がって。
私は、当然のように目もくれず。
私の思春期は、そこで。
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 11:38:20.71 ID:5Lm2bIQY0
女「わぁっ!!!!」
女「はぁ……はぁ……」
女「私、寝ちゃってたのかな」
女「やばい、今何時だろう!」
女「単位ぎりぎりなんだから自主休講なんてできないのに!」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 11:41:11.62 ID:5Lm2bIQY0
女「ぎりぎり電車に間に合った…」
女「今朝も、あの男は私より先に来ていて」
女「私はあの男に手前側に座って。お互い一言も喋らずにいて」
女「ごつい身体ですぐのぼせて、また私よりも早くあがって」
女「一言も話しかけない態度に私はイライラして、不貞腐れて、いつの間にかウト寝しちゃって」
女「嫌な夢を見たんだった…」
女「大学に来る四年生なんて、リクルートスーツ着た就活中の人たちばっかり」
女「まぁ私には関係ない話だけど」
女「残りの半年間、私は老後を過ごすんだ」
女「文学の授業の教授がヘミングウェイの言葉を言ってた。『若者に知恵が、老人に力さえあれば』」
女「私は体力も気力のある若いうちに、自分の好きなことをして、見たいものを見て、浸かりたいものに浸かるんだ」
女「社会人になって、周囲の人が『老後にはこんなことをしたいな』って言ってる中で」
女「『私はもう老後を過ごしましたけど』ってこころの中でつぶやくんだ」
女「はぁ、自分が嫌いだな。お父さん、一生私の面倒見てくれないかな」
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 12:02:54.68 ID:5Lm2bIQY0
女「はぁ……」
女「…………」
友「あれ、女ちゃん!?」
女「あっ、友ちゃん!!」
友「何してんの!?授業!!」
女「授業だよ授業!!友ちゃんリクスーだね」
友「そうだよ就活だよー。私はもう内定持ってるんだけどね。女ちゃんは大丈夫そう?」
女「そうだなぁ…最高のニートになれそう」
友「うける!私もニートなる!」
女「なろなろ!」
友「なろうね。マラソンも一緒に走ってゴールして、飲み会は行けたら行くし、ニートもなれたらなろうね」
女「絶対裏切る気でしょ!」
友「あはは!!じゃあお互いがんばろうね」
女「うん!またね」
友「あっ、結局就活どうなの?」
女「……うーん、ぼちぼちかな」
友「そうなんだ!じゃあまた!」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 12:09:38.14 ID:5Lm2bIQY0
女「…………」ザバァ
男「…………」
女「…………」
男「…………」
女「…………」
男「…………」
女「…………」
男「…………」
女「…………」
男「…………」ザバァ
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 12:14:07.13 ID:5Lm2bIQY0
女「今日も一言も話さなかったな」
女「大学で友達にさりげなくマウンティングされた話とかしたかったのに」
女「海外に行ったり、おばあちゃんちに泊まったり。私はどこかに逃げ出したいだけなんだろうな」
女「はぁ……」
女「明日は授業ないし、どこかまた遊びに行こうかな」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 12:17:37.22 ID:5Lm2bIQY0
女「……んんん」
女「目覚まし無しで起きるのって最高」
女「いつも早起きしてるから8時に起きられたな」
女「おばあちゃん朝ごはん置いててくれてる。おいしそー」
女「ご飯食べたら、ちゃんとお化粧して、街中のおしゃれなカフェで読書でも決め込もうかしら」
女「それとも映画館にでも行こうかな」
女「それとも……」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 12:19:51.07 ID:5Lm2bIQY0
女「いつもの癖でまた混浴に来てしまった……」
女「お昼時に来るのって初めてかもしれないな」
女「男の人が入ってたらどうしよう……」
女「でも女の人が来てたら少しおしゃべりできるかもしれないな」
女「よし。ものは試しだ」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 12:29:05.64 ID:5Lm2bIQY0
ジー……
女「(えっ……)」
ジロジロ……
女「(おじさんが3人いる……)」
ジー…
女「(なんか視線を感じるような…)」
女「(しかもなんでだろ、ペットボトルが置いてある)」
女「(なんか怖いな。体流したらすぐ出ちゃおうかな……)」
男性1「おじょうちゃん、ここよく来るの?」
女「え、あ、あの、あまり…」
男性2「ここは良いよぉ。景色もきれいだし、お湯も身体の芯から温めてくれるし」
女「は、はい…」
男性3「おいおい、やめろって。いきなり話しかけられてお嬢ちゃんも嫌がってるじゃないか」
女「いや、そんな…」
男性1「わりぃわりぃ。俺達は釣り仲間でね。この付近の釣り場に来た帰りなんだ」
男性2「今日は坊主だったよ。昨日はけっこう釣れたんだけどなぁ」
男性3「ちなみにこいつは毎日ハゲだけどな」
男性1「がっはっは!」
男性2「うるせー!お前もそう変わらんだろ!」
女「(悪い人たちじゃなさそう?)」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 12:36:01.88 ID:5Lm2bIQY0
男2「でもまぁ、こうやって湯に浸かってると、どうでもよくなっちゃうね」
男1「お嬢ちゃんは釣りやったことある?」
女「いえ、ないです」
男1「今度おじちゃんが教えてやろうか?」
女「ええと…」
男3「お前らが喋りかけてばかりいるから困ってるだろ」
男1「ごめんごめん。身体流したらゆっくり話そうよ。俺も一人暮らしの娘の顔を最近見れていなくてね」
女「何年生なんですか?」
男1「高校二年生だよ」
女「高校生で一人暮らししてるんですか」
男1「あ、えーと、高校が遠くてね」
女「そうなんですか」
男1「まあ後でゆっくり話そうよ。身体洗っちゃいな」
女「はい」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 12:44:40.02 ID:5Lm2bIQY0
女「…………」ワシャワシャ
女「…………」ワシャワシャ
女「(なんか凄い静かな気がする……)」
女「…………」ザバァ
女「よし」
男2「あれ、身体は洗わないの?」
女「はい?」
男2「いや、ここはみんなで使う場所だからさ。頭だけ洗って、身体洗わないってのはちょっと…」
女「あの、普段なら、あの人も背中向けてるし、洗うんですけど、なんというか……」
男2「マナー違反はちょっとねぇ」
女「そうですよね、すいません…今日は失礼します…」
男3「おいおい。せっかくこんな山奥まで来てくれたのに可愛そうじゃないか」
男1「こんな潔癖野郎のいうことなんか気にせずきなよ。こいつの洗った身体より君の洗ってない体のほうが清潔に違いない」
男2「わ、悪かったよ…」
女「あの、今日は…」
男3「ほらほら、場所開けろ」
女「ちょっと……」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 12:53:51.01 ID:5Lm2bIQY0
女「そ、それじゃあお邪魔します…」
男1「…………」
男2「…………」
男3「…………」
ジィー……
女「(なんか気持ち悪い…)」
男3「ちょっと、それはさすがに」
女「はい…?」
男3「バスタオルつけたまま入るのはマナー違反でしょ。さすがにそれくらいは知っておいてよ」
女「あの、でも……」
男3「タオルの繊維が湯に浮かんじゃうでしょ!!」
女「ひっ!」ビクッ!
男3「おじさんたちだってタオル持ってないでしょ。ほら。つけてないでしょ」
女「嫌…」
男3「ほら。おじさんたちも見てみなって。バスタオルもとりなって」ニタニタ…
女「あの、わたしもう」
男2「もうのぼせちゃったの?早すぎでしょ。これだから今の若い人は」
ガラガラ…
男「…………」
女「っ!」
女「(私より、のぼせるのが早い人が来た)」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 13:00:19.00 ID:5Lm2bIQY0
男「…………」ザバァ
男1「おいなんだお前。身体も洗わずに入ってきて」
男「いつもこうだ」
男2「はぁ?」
女「ええっ!?」
男「外にまで下品な声が聞こえてきたぞ」
男1「なんだお前」
男2「男のくせにバスタオルつけて、長い前髪しやがって。顔見せろや」
男「だったらお前は男らしいかもな」
男2「てめぇ……」
男3「女男がのこのこ来やがって。邪魔なんだよ」
男「俺は男だ。そうだな、タオルを取るのがマナーだったな」
男「お前、ちょっとどけ」
女「え、いったい」
男「黙って出て行け」
バサリ…
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 13:04:40.44 ID:5Lm2bIQY0
女「キャッ!」
女「(バスタオル広げて、おじさんたちに、何見せつけてるんですか!!!)」
女「(後ろからは何も見えないけど…)」
男1「…………」ダラダラ…
男2「…………す、すまねぇ」アワアワ…
男3「……出ていく。出ていくって!!」
ザバァ!!ザバァザバァ!!
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/28(土) 13:10:36.81 ID:5Lm2bIQY0
女「えっ、えっ。何が」
男1「け、けどな」
男1「あんたはもう二度と、ここには来れないぞ」
男「この場所はバスタオルをつけて入っても良いことになっている」
男1「はぁ?」
男「管理人のおばさんに直接確認した。ルールはそこの看板にも書いてある通りたった1つらしい」
男「『美しい景観を損ねることの無き様』」
男「わかったらさっさと出て行け。ここは俺と俺のお友達のお気にい入りの場所なんだよ」
男「また釣りにでも行ってこい」
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同僚女「おーい、おとこ。起きろ、起きろー」
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妹「マニュアルで恋します!」
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きのこの山「最後通牒だと……?」たけのこの里「……」
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月「で……であ…でぁー…TH…であのて……?」
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彡(゚)(゚)「お、居酒屋やんけ。入ったろ」
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