女騎士「寝ていろ。勇者」
Part3
55 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:20:18.426 ID:N8Qe0WAA0
オーク「……。そっ……、そりゃあ……そうかも……しれないですけど」
女騎士「とても実戦で使う気になれん」
オーク「……」
女騎士「だから使わないことにした。みんな他の島民と一緒だ。私が守る」
オーク「……」
女騎士「分かってくれ」
オーク「……分かりません。士官の考えることは。下士官の自分には一生わからないでしょう。
……だから納得はしませんが、従います。それが務めですから」
女騎士「元気でな。新しい連隊長が来るまで、お前が指揮官だ」
オーク「……。ふう」
オーク「お世話になりました」びしっ
56 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:21:24.635 ID:N8Qe0WAA0
ーー30分後。連隊駐屯地、多目的ホール。
名誉連隊長「ずいぶん遅いのぉ」
勇者「どんな人たちなんでしょうかね?」
名誉連隊長「海軍所属じゃからのぉ……。
任務は特殊作戦司令部が出すこともあるが、派閥争いで直轄するには至っておらんし。……正直全然わからん。それに、儂のいた時代とはもう別物じゃろうな」
勇者「……何を言っているのか、まるっとさっぱり分かりません」
女騎士「……来たぞ」
57 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:23:35.279 ID:N8Qe0WAA0
ギイィィ。
「お待たせしました」
グルヌイユ隊長「お目にかかれて光栄です。閣下」ビシッ。
グルヌイユ隊員 ゾロゾロ
ビシッ。
名誉連隊長「んむ」
勇者(黒と灰色の、ごちゃごちゃした服……。真ん中の人以外顔を隠してる……。あとは分からないや……)
女騎士(10人ーーいや、エントランスにもまだ居るな。
つばのない軽量ヘルメット、バラクラバ{目出し帽}、黒とダークグレーの戦闘服、突起物の少ないタクティカルベスト。
〈エクスカリバーM-1ショーティー〉を左腰に装備しているが、反対側にはタクティカルホルスターにグロック。背中にはワンタッチオープンのライフルケース。中は恐らくM4系統。実質あれが主武装だろう。……ほとんど西暦世界の特殊部隊だ)
58 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:25:11.580 ID:N8Qe0WAA0
名誉連隊長「見ての通りじゃ。要求にはすべて従っておる。同じ軍人として、丁重に扱ってやって欲しい」
グルヌイユ隊長「ええ。勿論です閣下」
名誉連隊長「彼女にどういう嫌疑がかけられているか知らんが、お主らを使うほどのことかの?」
グルヌイユ隊長「さあ。正直私も同じ思いですが、任務ですから。ーー少佐、そろそろ」
女騎士「……では、私の身柄はそちらに。勇者は軍人でも無ければ、何かの嫌疑があるわけでもない。大陸の英雄だ。そのつもりで」
グルヌイユ隊長「分かっているよ。ーー腰の剣をこちらへ」
女騎士「……」カチャ
ずいっ。
グルヌイユ隊長「……大きな声では言えないが、私も君の無実を信じている。弁解の場まで必ず送り届けるよ」スッ
59 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:26:45.253 ID:N8Qe0WAA0
『たいちょぉおお!!!!』
『!』
勇者「オークさん、それに兵士さんの声!?」
グルヌイユ隊長「……これだ。作戦というのは予定通りいった試しがない」
ガチャッーー
オーク「たいちょっーーな、なんだこの連中っ!?」
兵士「わ、わけわかんねぇ格好のヤツがこんなに……」
グルヌイユ隊長「君たちは現在進行形で、見てはいけないものを見てしまっているんだよ。自覚はないだろうが」
オーク「う、うるせぇ! てめぇらだろっ! 名誉連隊長の家を荒らしたのはっ!?」
60 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:28:32.833 ID:N8Qe0WAA0
女騎士「なっ……」
グルヌイユ隊長「……さて」
兵士「とぼけんな! 飼い犬まで殺しやがってっ!」
名誉連隊長「……なんじゃと。レカが……」
グルヌイユ隊長「なにか誤解が生じているようだ」
名誉連隊長「黙れ!! この島に犬を殺すような者はおらんっ!! き、貴様らなんてことを」
グルヌイユ隊長「…………。ああ、諸君。残念だがプランBだ」
グルヌイユ隊員 ジャキッ、ガシャコッ、チャキ。
名誉連隊長「武器を収めんか! この島で狼藉は許さんぞ!」
勇者(あ、あれが武器?)
女騎士(サプレッサー付きのM4……。やはりな、これは厳しい……)
61 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:30:10.625 ID:N8Qe0WAA0
名誉連隊長「聞こえんのか! 武器をーー」
グルヌイユ隊長「閣下、いつまで大将気取りですか」チャキーー
タンッ。
名誉連隊長「っ……」ドサッ
女騎士「な、なんてことを……」
勇者(なにが!? 一体なにが!? なんなんだ今の!? 手に持ったあの小さな黒いやつが震えて、大きな音を立てて、連隊長さんがーーなんで倒れるんだ?
こ、こんなの知らない。剣から光の矢が出るのよりおかしいじゃないか)
オーク「……やばい」
兵士「そ、そりゃやべぇよ。あの爺さん、何かやられたんだ。すげえ音だった……」
オーク「ちげえよ。……さっきあの野郎が言ってただろ。"見てはいけないモノを見た"って。……俺たちゃよ、多分なんかこう……"世界の秘密"みたいなモンを見ちまってるんだ。たぶん隊長は前からそれを知っててーー」
グルヌイユ隊長「さ、邪魔者は居なくなった。続けよう。ーー剣をこちらへ」
女騎士「ふざけるな! 貴様らなんのために軍にいる! 租税回避地の利権がそんなに大事か!」
62 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:31:49.954 ID:N8Qe0WAA0
グルヌイユ隊長「あの総督と一緒にしないでもらいたい。奴は何も知らない我々の駒だった。まあ駒としても役立たずだったが」
女騎士「っ……。では何のために。これは反乱だっ」
グルヌイユ隊長 ニヤッ
グルヌイユ隊長「違う。これは革命だよ。少佐。そのために流れる血は神聖だ。ーー君のも」チャキ
パリンッーー
『!』
カランカランッーー
グルヌイユ隊長「くそ」
63 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:32:34.390 ID:N8Qe0WAA0
ーーカッ!!!
勇者「うっ!?」
(ーー眩しいっ! なにが!?)
女騎士「行くぞっ」グイッ
勇者「うわっ」
グルヌイユ隊長「逃すなっ! 構わん射殺しろ!」
グルヌイユ隊員 チャキーー
バスバスバスッ!
チュン! チュイン! バゴッ!
女騎士「くっーー」
勇者「あわわわっ!」
オーク「ーーい、一旦逃げるぞ!」
兵士「言われなくても!」
64 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:33:38.585 ID:N8Qe0WAA0
ーー多目的ホール、前側出入り口。
バンッ。
女騎士「っ……」ゴロゴロッ
勇者「ぐっーー」ゴロゴロッ
女騎士「立てっ! 走るぞ!」
勇者「っ、はいっ!」
グルヌイユ隊員「外に出たぞ!」
女騎士「兵舎のところで曲がれ!」
勇者「っ」
バスバスバスバスバスッ!
壁 ビシビシビシッ! チュイン! ビシビシッ! ーーボロボロ。
勇者「かっ、壁がーー」
女騎士「並みの遮蔽物で防ぐのは無理だ!」
勇者「あ、あんな武器知りませんよ!」
女騎士「説明は後だっ! 止まるな!」
65 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:34:44.407 ID:N8Qe0WAA0
勇者「ーーっ、前っ!」
グルヌイユ隊員 チャキ
バスッ、バスッ!
女騎士「っ、っこのぉおお!」シャキンッ
ドン!
グルヌイユ隊員「ぐはっ!」
勇者(剣の射撃魔法っ。溜めから発射が早いっ! やっぱり強いんだこの人!)
女騎士「私の魔法では吹き飛ばせても倒せはしない! 行くぞ!」
フッーー
勇者「ガス灯が消えたっ?」
女騎士「っ、多分マリアだ。ーーそこっ!」
ドンッ。
グルヌイユ隊員「う”あっ!」
女騎士「とにかく走れっ!」
66 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:35:44.869 ID:N8Qe0WAA0
ーーーー
ーー多目的ホール前。
グルヌイユ隊長「落ち着いて囲め。騒ぎを町に嗅ぎつけられたくない。グレネードは使うな」
グルヌイユ隊員「了解。行くぞ。北側から回る」ナイトビジョンーーカチャ
グルヌイユ隊員「了解」
カチャ
ビシッッ!
グルヌイユ隊員「ーーっ」ドサッ
グルヌイユ隊員「っ、おい! しっかりしろ!」
グルヌイユ隊員「くそっ、どこから!」
グルヌイユ隊長「狙撃……。フラッシュグレネード、ガス灯の消灯ーー
ネズミめ、無視できんな。ーー命令変更だ。何を使ってもいい。全力で狩れ。……私はいまの狙撃兵をやる」
マリア(ふー。位置変えなきゃ。それにしても、あの隊長さすがね。こっちの射線上に全然出てこない)
67 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:37:37.593 ID:N8Qe0WAA0
ーー練兵場の端。
女騎士「このままでは不味いっ……」ダッダッダッ
勇者「勝ち目はっ?」ダッダッダッ
女騎士「無いっ」
勇者「防げないんですかっ? アレはっ」
女騎士「防御魔法でかっ? 無理だっ。やる奴はいるが、とても真似できる芸当じゃない!」
ビシッ! ビシビシッ!
女騎士「くっ……段々追い立てられているっ」
女騎士(どうするっ。考えろっ。どうするっ)
ポンッ。
勇者「! なにか飛んでくるっ!」
女騎士「! 勇者っ」
バッーー
勇者(っ!? 女騎士さんーー僕に覆いかぶさってーー貴女はまたーー)
バンッッ!!
グルヌイユ隊員「派手にいったな」
グルヌイユ隊員「どんなもんだ」
ーー倉庫の上。
マリア(グレネードっ……少佐っ!)
68 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:39:21.409 ID:N8Qe0WAA0
ーーーー
ーー
勇者「う、ああ……」むくり
勇者「あ、ああ」よろっ
女騎士「……」
勇者「女騎士さん、起きて」
勇者「女騎士さん。……お願い」
勇者「…………」
グルヌイユ隊員「手を上げろ。あんたは出来るだけ殺さないように言われてる」チャキ
グルヌイユ隊員「おい、聞いてるのか?」
勇者「…………」
グルヌイユ隊員「チッ、きっと鼓膜が破けてんだぜ」
グルヌイユ隊員「そうだな。あんなに近くで爆ぜたんだ」
勇者「聞こえてるよ」
69 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:41:01.844 ID:N8Qe0WAA0
グルヌイユ隊員「っ、だったらーー」
勇者「女騎士さん。剣、借りるね」
グルヌイユ隊員「おい! 無駄だっ、大人しくーー」
勇者「死ねよテメェ」ギ ロ ッ
グルヌイユ隊員「っ! て、てめぇが死ね!」
バスバスバスッ!
勇者「…………」
ーーシュウウウゥ。
グルヌイユ隊員「ばっ、馬鹿な!? 防いだっ。5.56㎜弾だぞっ!?」
グルヌイユ隊員「てっ、停弾能クラスII……。シュヴァルツェの化け物連中と同じレベルだっ!」
勇者「なんだ、防げるじゃないか」
70 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:42:19.304 ID:N8Qe0WAA0
グルヌイユ隊員「っ! く、来るなあぁっ」
バスバスバスッ!
勇者「無駄だ」
ザシュ。
グルヌイユ隊員「」ガクンッ
グルヌイユ隊員「あ、あ……。よ、よくもぉお!」ジャキッ
バスバスバスバスバスバスバスバスバスッーーカチ、カチ。
グルヌイユ隊員「あっ、あっ、くそーー」ガチャガチャッ
マガジンポーチごそごそ。
勇者「なにやってんだお前?」
ザンッ。
グルヌイユ隊員「あ"っ」
ドサッ。
71 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:43:33.802 ID:N8Qe0WAA0
勇者「……あああ、久々に感じる。特別なんだ、俺は。この全能感が気持ちよくてーーたまらなく嫌だった。我に帰るといつも血の海だ。でもーー」
女騎士
勇者「もう少しこの感覚に浸っているよ。貴女の仇を取るまで」
ダダダッ。
グルヌイユ隊員「動くな!」ジャキッ
グルヌイユ隊員「なんてこった、2人も……」
グルヌイユ隊員「武器を捨てろ!」
勇者「」ダッ
72 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:44:43.606 ID:N8Qe0WAA0
ーー倉庫の上。
マリア「……」
グルヌイユ隊長「ネズミかと思ったが、猫だったか。ガス灯を消した訳がわかった。その目ならナイトビジョンは要らないな」
マリア「早く殺せば?」
グルヌイユ隊長「生きていては不味い事情があるのかな? 例えば、私が知りたい事がこの小さな頭の中に一杯詰まっているとか」クイッ
マリア「っ……」
『あああああー!』
『た、助け、ぐあっ!』
『来るな、来るなー! がひゅっ』
『たいちょぉお!」
73 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:45:30.485 ID:N8Qe0WAA0
グルヌイユ隊長「……情けない連中だ。私の部下だとあの世で言いふらさなければいいが」
マリア「っ、アンタどこまで!」
ヒュッ。
グルヌイユ隊長「!」
マリア「勇者っ!?」
スタッ。
勇者「お前で最後だ」チャキ
マリア(……剣に一切の刃こぼれも血糊もない。
薄くて丈夫な魔力の層を、刃の表面に形成出来てるんだ。ほとんど初めて持つ剣のはずなのに……)
74 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:46:19.012 ID:N8Qe0WAA0
グルヌイユ隊長「やあ、君は強いんだな」
勇者「俺を独りにしたな」
グルヌイユ隊長「ん?」
勇者「俺をまた独りぼっちにしたなあっ!!」
ビュッ! ーーキンッ!
グルヌイユ隊長「……っ、危ないじゃないか」
勇者「死ねぇえぇええっ!」
ビュンッ、クルッ、ブンッーーガキンッ!
グルヌイユ隊長「ああ、さすが勇者だ。見事な太刀筋だよ。
気付いているかな? いま生きている人間の中で、もっとも多くの殺害数を誇っているのは、恐らく君だ」
オーク「……。そっ……、そりゃあ……そうかも……しれないですけど」
女騎士「とても実戦で使う気になれん」
オーク「……」
女騎士「だから使わないことにした。みんな他の島民と一緒だ。私が守る」
オーク「……」
女騎士「分かってくれ」
オーク「……分かりません。士官の考えることは。下士官の自分には一生わからないでしょう。
……だから納得はしませんが、従います。それが務めですから」
女騎士「元気でな。新しい連隊長が来るまで、お前が指揮官だ」
オーク「……。ふう」
オーク「お世話になりました」びしっ
56 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:21:24.635 ID:N8Qe0WAA0
ーー30分後。連隊駐屯地、多目的ホール。
名誉連隊長「ずいぶん遅いのぉ」
勇者「どんな人たちなんでしょうかね?」
名誉連隊長「海軍所属じゃからのぉ……。
任務は特殊作戦司令部が出すこともあるが、派閥争いで直轄するには至っておらんし。……正直全然わからん。それに、儂のいた時代とはもう別物じゃろうな」
勇者「……何を言っているのか、まるっとさっぱり分かりません」
女騎士「……来たぞ」
57 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:23:35.279 ID:N8Qe0WAA0
ギイィィ。
「お待たせしました」
グルヌイユ隊長「お目にかかれて光栄です。閣下」ビシッ。
グルヌイユ隊員 ゾロゾロ
ビシッ。
名誉連隊長「んむ」
勇者(黒と灰色の、ごちゃごちゃした服……。真ん中の人以外顔を隠してる……。あとは分からないや……)
女騎士(10人ーーいや、エントランスにもまだ居るな。
つばのない軽量ヘルメット、バラクラバ{目出し帽}、黒とダークグレーの戦闘服、突起物の少ないタクティカルベスト。
〈エクスカリバーM-1ショーティー〉を左腰に装備しているが、反対側にはタクティカルホルスターにグロック。背中にはワンタッチオープンのライフルケース。中は恐らくM4系統。実質あれが主武装だろう。……ほとんど西暦世界の特殊部隊だ)
58 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:25:11.580 ID:N8Qe0WAA0
名誉連隊長「見ての通りじゃ。要求にはすべて従っておる。同じ軍人として、丁重に扱ってやって欲しい」
グルヌイユ隊長「ええ。勿論です閣下」
名誉連隊長「彼女にどういう嫌疑がかけられているか知らんが、お主らを使うほどのことかの?」
グルヌイユ隊長「さあ。正直私も同じ思いですが、任務ですから。ーー少佐、そろそろ」
女騎士「……では、私の身柄はそちらに。勇者は軍人でも無ければ、何かの嫌疑があるわけでもない。大陸の英雄だ。そのつもりで」
グルヌイユ隊長「分かっているよ。ーー腰の剣をこちらへ」
女騎士「……」カチャ
ずいっ。
グルヌイユ隊長「……大きな声では言えないが、私も君の無実を信じている。弁解の場まで必ず送り届けるよ」スッ
59 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:26:45.253 ID:N8Qe0WAA0
『たいちょぉおお!!!!』
『!』
勇者「オークさん、それに兵士さんの声!?」
グルヌイユ隊長「……これだ。作戦というのは予定通りいった試しがない」
ガチャッーー
オーク「たいちょっーーな、なんだこの連中っ!?」
兵士「わ、わけわかんねぇ格好のヤツがこんなに……」
グルヌイユ隊長「君たちは現在進行形で、見てはいけないものを見てしまっているんだよ。自覚はないだろうが」
オーク「う、うるせぇ! てめぇらだろっ! 名誉連隊長の家を荒らしたのはっ!?」
女騎士「なっ……」
グルヌイユ隊長「……さて」
兵士「とぼけんな! 飼い犬まで殺しやがってっ!」
名誉連隊長「……なんじゃと。レカが……」
グルヌイユ隊長「なにか誤解が生じているようだ」
名誉連隊長「黙れ!! この島に犬を殺すような者はおらんっ!! き、貴様らなんてことを」
グルヌイユ隊長「…………。ああ、諸君。残念だがプランBだ」
グルヌイユ隊員 ジャキッ、ガシャコッ、チャキ。
名誉連隊長「武器を収めんか! この島で狼藉は許さんぞ!」
勇者(あ、あれが武器?)
女騎士(サプレッサー付きのM4……。やはりな、これは厳しい……)
61 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:30:10.625 ID:N8Qe0WAA0
名誉連隊長「聞こえんのか! 武器をーー」
グルヌイユ隊長「閣下、いつまで大将気取りですか」チャキーー
タンッ。
名誉連隊長「っ……」ドサッ
女騎士「な、なんてことを……」
勇者(なにが!? 一体なにが!? なんなんだ今の!? 手に持ったあの小さな黒いやつが震えて、大きな音を立てて、連隊長さんがーーなんで倒れるんだ?
こ、こんなの知らない。剣から光の矢が出るのよりおかしいじゃないか)
オーク「……やばい」
兵士「そ、そりゃやべぇよ。あの爺さん、何かやられたんだ。すげえ音だった……」
オーク「ちげえよ。……さっきあの野郎が言ってただろ。"見てはいけないモノを見た"って。……俺たちゃよ、多分なんかこう……"世界の秘密"みたいなモンを見ちまってるんだ。たぶん隊長は前からそれを知っててーー」
グルヌイユ隊長「さ、邪魔者は居なくなった。続けよう。ーー剣をこちらへ」
女騎士「ふざけるな! 貴様らなんのために軍にいる! 租税回避地の利権がそんなに大事か!」
62 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:31:49.954 ID:N8Qe0WAA0
グルヌイユ隊長「あの総督と一緒にしないでもらいたい。奴は何も知らない我々の駒だった。まあ駒としても役立たずだったが」
女騎士「っ……。では何のために。これは反乱だっ」
グルヌイユ隊長 ニヤッ
グルヌイユ隊長「違う。これは革命だよ。少佐。そのために流れる血は神聖だ。ーー君のも」チャキ
パリンッーー
『!』
カランカランッーー
グルヌイユ隊長「くそ」
63 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:32:34.390 ID:N8Qe0WAA0
ーーカッ!!!
勇者「うっ!?」
(ーー眩しいっ! なにが!?)
女騎士「行くぞっ」グイッ
勇者「うわっ」
グルヌイユ隊長「逃すなっ! 構わん射殺しろ!」
グルヌイユ隊員 チャキーー
バスバスバスッ!
チュン! チュイン! バゴッ!
女騎士「くっーー」
勇者「あわわわっ!」
オーク「ーーい、一旦逃げるぞ!」
兵士「言われなくても!」
64 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:33:38.585 ID:N8Qe0WAA0
ーー多目的ホール、前側出入り口。
バンッ。
女騎士「っ……」ゴロゴロッ
勇者「ぐっーー」ゴロゴロッ
女騎士「立てっ! 走るぞ!」
勇者「っ、はいっ!」
グルヌイユ隊員「外に出たぞ!」
女騎士「兵舎のところで曲がれ!」
勇者「っ」
バスバスバスバスバスッ!
壁 ビシビシビシッ! チュイン! ビシビシッ! ーーボロボロ。
勇者「かっ、壁がーー」
女騎士「並みの遮蔽物で防ぐのは無理だ!」
勇者「あ、あんな武器知りませんよ!」
女騎士「説明は後だっ! 止まるな!」
65 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:34:44.407 ID:N8Qe0WAA0
勇者「ーーっ、前っ!」
グルヌイユ隊員 チャキ
バスッ、バスッ!
女騎士「っ、っこのぉおお!」シャキンッ
ドン!
グルヌイユ隊員「ぐはっ!」
勇者(剣の射撃魔法っ。溜めから発射が早いっ! やっぱり強いんだこの人!)
女騎士「私の魔法では吹き飛ばせても倒せはしない! 行くぞ!」
フッーー
勇者「ガス灯が消えたっ?」
女騎士「っ、多分マリアだ。ーーそこっ!」
ドンッ。
グルヌイユ隊員「う”あっ!」
女騎士「とにかく走れっ!」
66 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:35:44.869 ID:N8Qe0WAA0
ーーーー
ーー多目的ホール前。
グルヌイユ隊長「落ち着いて囲め。騒ぎを町に嗅ぎつけられたくない。グレネードは使うな」
グルヌイユ隊員「了解。行くぞ。北側から回る」ナイトビジョンーーカチャ
グルヌイユ隊員「了解」
カチャ
ビシッッ!
グルヌイユ隊員「ーーっ」ドサッ
グルヌイユ隊員「っ、おい! しっかりしろ!」
グルヌイユ隊員「くそっ、どこから!」
グルヌイユ隊長「狙撃……。フラッシュグレネード、ガス灯の消灯ーー
ネズミめ、無視できんな。ーー命令変更だ。何を使ってもいい。全力で狩れ。……私はいまの狙撃兵をやる」
マリア(ふー。位置変えなきゃ。それにしても、あの隊長さすがね。こっちの射線上に全然出てこない)
67 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:37:37.593 ID:N8Qe0WAA0
ーー練兵場の端。
女騎士「このままでは不味いっ……」ダッダッダッ
勇者「勝ち目はっ?」ダッダッダッ
女騎士「無いっ」
勇者「防げないんですかっ? アレはっ」
女騎士「防御魔法でかっ? 無理だっ。やる奴はいるが、とても真似できる芸当じゃない!」
ビシッ! ビシビシッ!
女騎士「くっ……段々追い立てられているっ」
女騎士(どうするっ。考えろっ。どうするっ)
ポンッ。
勇者「! なにか飛んでくるっ!」
女騎士「! 勇者っ」
バッーー
勇者(っ!? 女騎士さんーー僕に覆いかぶさってーー貴女はまたーー)
バンッッ!!
グルヌイユ隊員「派手にいったな」
グルヌイユ隊員「どんなもんだ」
ーー倉庫の上。
マリア(グレネードっ……少佐っ!)
68 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:39:21.409 ID:N8Qe0WAA0
ーーーー
ーー
勇者「う、ああ……」むくり
勇者「あ、ああ」よろっ
女騎士「……」
勇者「女騎士さん、起きて」
勇者「女騎士さん。……お願い」
勇者「…………」
グルヌイユ隊員「手を上げろ。あんたは出来るだけ殺さないように言われてる」チャキ
グルヌイユ隊員「おい、聞いてるのか?」
勇者「…………」
グルヌイユ隊員「チッ、きっと鼓膜が破けてんだぜ」
グルヌイユ隊員「そうだな。あんなに近くで爆ぜたんだ」
勇者「聞こえてるよ」
69 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:41:01.844 ID:N8Qe0WAA0
グルヌイユ隊員「っ、だったらーー」
勇者「女騎士さん。剣、借りるね」
グルヌイユ隊員「おい! 無駄だっ、大人しくーー」
勇者「死ねよテメェ」ギ ロ ッ
グルヌイユ隊員「っ! て、てめぇが死ね!」
バスバスバスッ!
勇者「…………」
ーーシュウウウゥ。
グルヌイユ隊員「ばっ、馬鹿な!? 防いだっ。5.56㎜弾だぞっ!?」
グルヌイユ隊員「てっ、停弾能クラスII……。シュヴァルツェの化け物連中と同じレベルだっ!」
勇者「なんだ、防げるじゃないか」
70 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:42:19.304 ID:N8Qe0WAA0
グルヌイユ隊員「っ! く、来るなあぁっ」
バスバスバスッ!
勇者「無駄だ」
ザシュ。
グルヌイユ隊員「」ガクンッ
グルヌイユ隊員「あ、あ……。よ、よくもぉお!」ジャキッ
バスバスバスバスバスバスバスバスバスッーーカチ、カチ。
グルヌイユ隊員「あっ、あっ、くそーー」ガチャガチャッ
マガジンポーチごそごそ。
勇者「なにやってんだお前?」
ザンッ。
グルヌイユ隊員「あ"っ」
ドサッ。
71 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:43:33.802 ID:N8Qe0WAA0
勇者「……あああ、久々に感じる。特別なんだ、俺は。この全能感が気持ちよくてーーたまらなく嫌だった。我に帰るといつも血の海だ。でもーー」
女騎士
勇者「もう少しこの感覚に浸っているよ。貴女の仇を取るまで」
ダダダッ。
グルヌイユ隊員「動くな!」ジャキッ
グルヌイユ隊員「なんてこった、2人も……」
グルヌイユ隊員「武器を捨てろ!」
勇者「」ダッ
72 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:44:43.606 ID:N8Qe0WAA0
ーー倉庫の上。
マリア「……」
グルヌイユ隊長「ネズミかと思ったが、猫だったか。ガス灯を消した訳がわかった。その目ならナイトビジョンは要らないな」
マリア「早く殺せば?」
グルヌイユ隊長「生きていては不味い事情があるのかな? 例えば、私が知りたい事がこの小さな頭の中に一杯詰まっているとか」クイッ
マリア「っ……」
『あああああー!』
『た、助け、ぐあっ!』
『来るな、来るなー! がひゅっ』
『たいちょぉお!」
73 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:45:30.485 ID:N8Qe0WAA0
グルヌイユ隊長「……情けない連中だ。私の部下だとあの世で言いふらさなければいいが」
マリア「っ、アンタどこまで!」
ヒュッ。
グルヌイユ隊長「!」
マリア「勇者っ!?」
スタッ。
勇者「お前で最後だ」チャキ
マリア(……剣に一切の刃こぼれも血糊もない。
薄くて丈夫な魔力の層を、刃の表面に形成出来てるんだ。ほとんど初めて持つ剣のはずなのに……)
74 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/02/19(火) 02:46:19.012 ID:N8Qe0WAA0
グルヌイユ隊長「やあ、君は強いんだな」
勇者「俺を独りにしたな」
グルヌイユ隊長「ん?」
勇者「俺をまた独りぼっちにしたなあっ!!」
ビュッ! ーーキンッ!
グルヌイユ隊長「……っ、危ないじゃないか」
勇者「死ねぇえぇええっ!」
ビュンッ、クルッ、ブンッーーガキンッ!
グルヌイユ隊長「ああ、さすが勇者だ。見事な太刀筋だよ。
気付いているかな? いま生きている人間の中で、もっとも多くの殺害数を誇っているのは、恐らく君だ」
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