キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 ヘンゼルとグレーテル編
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335 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/02(日)23:14:07 ID:e1D
キモオタ「名前が当てられないから悟空殿はやむなく従っているのでござるよwwwラプンツェル殿www」
ラプンツェル「あー、そっかー、消滅しちゃってるから現実世界じゃあ知る事が出来ないって事だもんね…じゃあさ、私のママに聞いてみよ?教えてくれるよ!」
孫悟空「…あいつは魔力の感知に長けてやがる、下手におとぎ話の世界に連絡を取ったり移動するのは避けてぇな」
キモオタ「言ってしまえば…人質を殺したとしてもその者にはなにも失うものが無いでござるからな、玉龍殿を盾に悟空殿を従えるなとという手段もありそうでござるし」
ラプンツェル「現実世界には無くて、おとぎ話の世界には行けないって……それってもう調べようが無いよ!?困っちゃったね……」ムムム
孫悟空「ようやくかよテメェ……つまりはまぁ、そういう事だ。だがよぉ、偶然ここに来たお前達に聞くぶんならバレやしねぇだろ?おとぎ話の住人のお前たちなら知ってると思ってなぁ」
キモオタ「ふむ……我輩、ティンカーベル殿といろいろとおとぎ話読んでおりますが藁を黄金にするなどと言うおとぎ話は初耳ですな……」
ラプンツェル「私はなんだか知ってるような気がするんだけど……ごめん、ちょっと思い出せないなー」
孫悟空「そうか……まぁ、ダメ元みてぇなもんだ。気にするんじゃねぇよ」
キモオタ「落ち込むのは早いですぞwwwグレーテル殿なら詳しいかもしれませんぞwwwいろいろとおとぎ話読んでいたらしいですからなwww」コポォ
孫悟空「おっ、そいつぁ好都合だな。ってぇ……グレーテルはどこに行ったんだ?」
ラプンツェル「あれー……?ちょっと前は居たと思ったけど……」
ザッ
小柄な男「おう、悟空。随分と仲良く敵と談笑してるじゃねぇか」ギロッ
孫悟空「……っ」クッ
336 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/02(日)23:15:57 ID:e1D
小柄な男「まぁいい、聞かせてもらったぜ。そこの髪の長いアホっぽい娘……お前、ラプンツェルなんだってなぁ?」
ラプンツェル「アホっぽい……!なんでそんな風に言うの?もう!キモオタ、なんか言い返してやってよ!」プンス
キモオタ「まぁまぁラプンツェル殿、ここは堪えるでござるよ…あやつこそ、司書殿を誘拐し悟空殿から人質を取った張本人でござろう」
ラプンツェル「そっか、あいつが悪者ってことだね…!」キッ
小柄な男「まぁいい、テメェは俺の名前を知らないみてぇだからな。とんだ杞憂だったぜ」
ラプンツェル「ふーんだ!名前呼ばれただけで弱くなっちゃうんでしょ!私は知らないけどグレーテルならきっと知ってるんだからね!」
小柄な男「そいつぁ残念だな、こいつ等は確かに俺の名前を知っていたがよぉ…もうこいつ等は俺の名前を口にできねぇ!テメェらに伝える事もな!」
ヘンゼル「……」クッ
グレーテル「……ごめんなさい、キモオタお兄ちゃん……」
キモオタ「ヘンゼル殿もグレーテル殿もボロボロで……お主!二人に何をしたんですかな!?」
小柄な男「なんてことねぇよ、こいつ等の兄妹愛を利用しただけだ。こいつ等はお互いが俺に殺されない代わりに俺の名前を口に出来ない、そういう契約を結んだだけだぜ」
孫悟空「えげつない野郎め、こんなガキを利用するたぁ…」チッ
小柄な男「何とでも言え、もはやこいつの魔力は俺のものも同然だ。だが…折角だからな、もうひとつ心臓を食っちまおうって考えだ」
小柄な男「おい、アホ女。テメェの心臓を俺に寄越せ、そうすることで俺はさらに強い魔力を得られる」クックック
337 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/02(日)23:17:56 ID:e1D
ラプンツェル「嫌だよ!魔力のおかげで私の髪の毛は長いし好きなように動かせるんだもん、それに心臓なんかあげたら死んじゃうでしょ!」プンス
小柄な男「ったく、なんでこんなアホに強い魔力があるんだかわからねぇな…俺様の様な向上心のある奴が持つべきだろ」
キモオタ「あの者、ラプンツェル殿の魔力を狙っているのでござるな、悟空殿の言うとおり魔力を感知する能力に長けているという訳でござるか……」
孫悟空「魔力をもった奴の心臓を食えば、その力を得られるってぇ訳だ。だからあいつはヘンゼルやラプ公の心臓を狙ってやがる」
ラプンツェル「魔力が欲しいから他の人を殺しちゃうとか…すっごく悪い奴だよ!あいつ!」プンス
小柄な男「チッ。そこまでアホでもねぇか、そういう事なら孫悟空…あの女を殺して心臓を俺によこせ」
孫悟空「……断る。って言ったなら、どうするつもりだ?」
小柄な男「当然、許さねぇな。あの小娘を殺す、望むならこのガキ共もなぶり殺しにしてもいいぜ」
孫悟空「……」ギリッ
ラプンツェル「悟空…そんな事しないよね?私達、もうお話したからお友達!だから…大丈夫だよね?」
小柄な男「悟空!!テメェは俺のしもべだろうが!俺があのアホ女を殺せと言ったら、殺すしかねぇんだよ!」
孫悟空「……クソッ!」ググッ
キモオタ(何か…考えるでござる、お話ウォッチは使えないでござるし、サイリウムも……下手に動けぬでござるが、このままでは……)
クシャ クシャ
キモオタ「……?」
338 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/02(日)23:20:00 ID:e1D
グレーテル「……」ジッ
クシャ クシャ
キモオタ(グレーテル殿…?我輩の方を見ているでござるが……この音は一体?何かビニールの擦れるような……)ジッ
グレーテル「……」クシャ…スッ
キモオタ(グレーテル殿が持ってるのは……我輩があげたミニスニッカーズの包み紙のゴミ……後で捨てるつもりで撮っていたのでござるか……?)
キモオタ(しかし、何故…今包み紙など……。もしや、我輩への何かしらのメッセージでは……?)
キモオタ(スニッカーズ…カロリー…チョコレート…何を伝えようとしているでござるか…いや、もしや……我輩がグレーテル殿にスニッカーズをあげた時は確か……)
ーー焦らなくて良いでござるよ。ミニスニッカーズでも食べて落ち着くでござるwww
キモオタ(焦らなくても大丈夫、落ち着いても良い……という事ですかな……?何か、グレーテル殿に考えが……?ここは、ひとつ……)
キモオタ(ミニスニッカーズを……チラリ) チラッ
グレーテル「……」コクン
キモオタ(グレーテル殿には何か策があるのですな……ならばここは、たとえこの場しのぎであろうとも……グレーテル殿を信じて)
バッ
キモオタ「いやいやwwwちょーっと待っていただきたいですなwww我輩に提案があるのでござるがwww」コポォ
小柄な男「なんだテメェは…現実世界の奴か、お呼びじゃねぇ。すっ込んでろ」
キモオタ「ちょwww我輩を邪険に扱わないで欲しいですなwwwお主にとっても悪くない話ですぞwww」コポォ
339 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/02(日)23:23:09 ID:e1D
キモオタ「実は我輩、魔法具を二つも持っているのでござるよwwwこのおはなしウォッチとサイリウムでござるwww」コポォ
小柄な男「ほう、現実世界の人間の癖にそんなもんもってやがるのか…丁度良い、そいつも俺に寄越せ、有効に使ってやるからよ」
キモオタ「それはいいのでござるがwwwラプンツェル殿もヘンゼル殿もグレーテル殿も我輩の友人www死んでしまうのは嫌でござるwww故に、我々にチャンスを頂きたいwww」
小柄な男「チャンス、だと?」
キモオタ「そうですぞwwwどうやらお主の名前を当てればお主の魔法を無効に出来るらしいでござるが……お主の名前を考える時間を我々に頂きたい」
キモオタ「そのかわりwwwもしもチャンスを貰ってもお主の名前が当てられなかった場合は我輩は友人の死を受け入れるでござるし、この魔法具も差し上げるでござる」
小柄な男「俺にうまみが薄いな…そんな要求無視してその魔法具を奪っちまってもいいんだぜ?」
キモオタ「そういうことでしたら今すぐこの魔法具はたたき壊すでござるwww」コポォ
小柄な男「……いいだろう、時間を与えてやったところでテメェらは俺の名前にたどり着けない、絶対にな」クックック
キモオタ「ありがたき幸せwwwそれでは制限時間でござるがwww」
小柄な男「今が夕時か……ならば深夜零時だ、日付が変わるまでにここに来い。ただし…廃墟から出られるのはデブ、テメェだけだ。そしてこの現実世界から出る事は許さねぇ」
キモオタ「十分ですぞwwwそれでなんとか探し当てるでござるwww出来れば悟空殿とヘンゼル殿グレーテル殿もこちらに預けていただけるとwww助かるでござるwww」
小柄な男「どうせ無駄な足掻きだ、好きにしやがれ。ただし、逃げたり約束を破れば悟空の人質を殺す。いいな?」
キモオタ「わかりましたぞwww」
340 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/02(日)23:25:04 ID:e1D
小柄な男「忘れるんじゃねぇぞデブ、零時だ。その時間になっても名前が当てられなけりゃあこいつ等の魔力もお前の魔法具も俺のもんだ」
キモオタ「どうぞご自由にwww」コポォ
小柄な男「せいぜい無為に時間を過ごしてやがれ、俺は酒でも飲んで時間潰しだ。いいか?魔力に動きがありゃあ俺にはすぐにわかる、約束を違えりゃあ即座に人質を殺す…この廃墟の中を偵察して回ってる小さな魔力の反応にも、気が付いてるんだぞ?」
キモオタ「おおふwww気が付いていましたかなwww廃墟内にお主の名前のヒントが無いかとwww探っていたのでござるwww」
小柄な男「せいぜい残された時間で別れを惜しんでやがれ、もうこの結果は覆らない。俺の名前は誰にも知られてねぇんだからな」クックック
スタスタスタ
ラプンツェル「あいつ、行っちゃったね。じゃあ頑張って名前当てないとね!」フンス
孫悟空「だからさっき話しただろうが、そりゃあ到底無理だ。だけどよぉ、あそこまで言うってこたぁキモオタには何か策があるんだろ?」
ヘンゼル「この人には策なんかないよ、どうせね」フイ
孫悟空「そんなわけねぇだろうが。魔法具を手放す、友人を見殺しにするとまで言ったんだぜ?策もなしにあんな大口たたけねぇだろうが」
キモオタ「ところがどっこいwww我輩はノープランなのでござるなwww」
ラプンツェル「あはは、やっぱりそんな事だと思ったよー」ニコニコ
ヘンゼル「……」ハァ…
孫悟空「ノープランってテメェ……考えなしにあの大口叩いたってのか!?」グイッ
341 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/02(日)23:27:32 ID:e1D
孫悟空「テメェ…!こっちには人質がいるんだぞ!適当な事ぬかしてその場しのぎしてんじゃねぇぞ!ブタァ!」グイグイ
キモオタ「ちょwwwおちwwwついwwwてwww確かに我輩はノープランでござるがwwwグレーテル殿の考えた策があるのでござるwwwそうでござるよねwww」
ヘンゼル「グレーテル…あいつに何か伝えたの?」
グレーテル「うん……大丈夫だよって……なんとかなるよ……って、ちゃんと伝わって……よかったの……」
孫悟空「んだよ…驚かせやがる、それじゃあその策って奴を教えやがれ、キモオタ」
キモオタ「いやwww内容は解らないでござるwwwただグレーテル殿が大丈夫って言っていたでござるからwww大丈夫かなとwww」
孫悟空「テメェ…!あんな子供が大丈夫っていったからって、策の内容も聞かずそれを信じたんじゃねぇだろうな!?」
キモオタ「ちょwwwまさにその通りでござるけどwww」コポォ
孫悟空「この…クソブタ野郎が!脳みそまでブタかテメェ!子供の話を鵜呑みにしてんじゃねぇ!!」
ラプンツェル「まーまー、悟空もそんなに怒鳴っちゃダメだよー、キモオタが大丈夫って思ったなら大丈夫だよ」ニコニコ
孫悟空「ラプ公テメェわかってんのか!?あの男の名前が当てられねぇとお前は殺されちまうんだぞ!?」
ラプンツェル「それはヤだけど、キモオタは前も私たちの事助けてくれたから私は信じてるよ。それに、キモオタはただキモイだけじゃないから大丈夫だよ、きっとー」ニコニコ
孫悟空「…ったく、まぁこうなっちまった以上はあいつの名前を必死になって探すしかねぇな…」
グレーテル「孫悟空さん……大丈夫よ……私たちも、人質の人も助かる方法……あるの……」
342 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/02(日)23:31:59 ID:e1D
孫悟空「そいつは本当か?お前の考えを話して見やがれ、なんで大丈夫だなんて言えるんだテメェは?」
グレーテル「うん……あのね……あのオジサンの名前、私たちは話せないけど……知る事が出来る方法、あるの……」グイッ
ヘンゼル「待って、グレーテル。何を話そうとしてるか解ってるけど、それは軽々しく他人に話す事じゃないよ……それとも、こいつ等の事信用してるの?」
グレーテル「うん……ラプお姉ちゃんもキモオタお兄ちゃんも私を助けてくれたよ……孫悟空さんも……無理やり手伝わされてるだけ……」
ヘンゼル「大人なんか信用したら駄目だ、あの時決めただろう」
グレーテル「良い大人だっているんだよ……弥平パパや女王さまと同じだよ、だから……話そうよ、私たちの事……ね?」
ヘンゼル「……僕は、信用できない」
キモオタ「ヘンゼル殿……我輩を信じれないのは、我輩に至らない部分があるからでござろう」
キモオタ「しかしですな、我輩が策の内容も聞かずにグレーテル殿を信じたのはその場しのぎだけではござらんよ。先ほど、グレーテル殿が言ってくれたのでござるよ、童話展で」
キモオタ「信じてくれてるから信じると、信じないと信じてもらえないと…でござるから、我輩はグレーテル殿を信用したのでござる。我輩を信じてくれているグレーテル殿が大丈夫と言っているのなら、必ず大丈夫であると思った故」
ヘンゼル「……そんなのは、ただの……耳触りの良い言葉なだけだよ。信じるとか信じないとか……」
キモオタ「ヘンゼル殿は我輩を信じれなくても、グレーテル殿ならば信じられるのではござらんか?」
ヘンゼル「……」
キモオタ「ならば我輩ではなくグレーテル殿を信じて…我輩に頼ってみて欲しいでござる」
グレーテル「……お兄ちゃん、私の事……信じて……大丈夫、だから……」
ヘンゼル「……確かに、あの男の名前を当てる方法がある。でもそれには僕達の過去から離さないといけない。少し長くなるけど、最後まで聞く覚悟があれば聞けばいい」
キモオタ「おお、ヘンゼル殿…!」
ヘンゼル「勘違いしないで欲しいね、僕は今だってあんた達を信用してない。グレーテルを信用して話すだけだ」
ヘンゼル「それに丁度良いよ、僕達がどうしてあんた達大人を信用できないかも係わる話だから。これを聞けばグレーテル達ががどれだけ辛い思いをさせられたか解るよ。それに…」
ヘンゼル「あんた達現実世界の人間が、作者が……どれだけ非道な奴らかって事もね」
343 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/02(日)23:38:56 ID:e1D
今日はここまで みんなレスありがとう
次回からヘンゼルとグレーテルの回想に入ります
一部、胸くそ注意かも
ヘンゼルとグレーテル編 とある消滅したおとぎ話編 次回に続きます
344 :名無しさん@おーぷん :2015/08/02(日)23:39:41 ID:1E7
乙でした
345 :名無しさん@おーぷん :2015/08/02(日)23:51:37 ID:95z
>>1さん乙です!
調子に乗ってるチビ助に目に物見せる、キモオタ達の活躍が楽しみです!!
346 :名無しさん@おーぷん :2015/08/03(月)01:06:56 ID:1eE
乙です!キモオタのイケメン度が増していくなあ…モテる訳じゃないけど
つーかラプンツェルさり気にひどいなwww
353 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/05(水)22:44:27 ID:l4v
孫悟空「おい待ちやがれ、俺達は零時までにあいつの名前を当てなきゃなんねぇんだ。テメェ等に考えがあるってのは信用するけどよぉ、悠長に昔話なんざしてる時間はねぇぞ!?」
ヘンゼル「僕だって話したくて話すわけじゃないよ。それに慌てる必要なんかない、僕達はあの男の名前の手掛かりなんか探さなくて良いんだから」
キモオタ「それはどういう事でwwwござるかなwww」コポォ
グレーテル「お姉ちゃんをね……探せばいいの……そうすればね、あのオジサンの名前……解るから……」
キモオタ「それはつまり…捕えられている司書殿も、あの者の名前を知っているという事ですかな?」
グレーテル「そうよ……お姉ちゃんも知ってるの、あのオジサンの名前……だからお姉ちゃんを助ければ……全部解決なの……」
ヘンゼル「あんたはさっき名前を探る為…なんて言ってたけど、あの賑やかな妖精はこの廃墟のどこかに捕えられているあいつを探してる。そうだよね?」
キモオタ「その通りですぞwwwティンカーベル殿は司書殿を探しているでござるwww先ほどはとっさに嘘をつきましたぞwww流石に人質を探しているとは言えなかったでござるからwww」
キモオタ「しかし、考えて見れば司書殿が別の場所に捕えられているという可能性も否定できぬでござるな…」
孫悟空「そりゃあねぇな。あの娘はあいつがこの廃墟のどこかに捕えてやがる、それは間違いねぇぞ。場所まではわからねぇがな」
グレーテル「だったら……ティンクちゃんに任せよう……少し待っても見つからなかったら……みんなで探そう」
ヘンゼル「あからさまにあいつを探したら怪しまれるかもしれないし、静かに探すべきだと思うけど…まぁその時は仕方ないね」
ラプンツェル「ねぇねぇ、でも私ちょっとおかしいことに気が付いたよ!司書さんって現実世界の女の人でしょ?どーして消えちゃったおとぎ話の事知ってるのー?」
354 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/05(水)22:46:43 ID:l4v
孫悟空「そういやぁそうだな、あいつのおとぎ話は消滅してると言ってやがった。現実世界の娘が知ってるってなぁおかしい話だ」
キモオタ「本来ならばそうでござるがwww我輩は特に不思議に思いませんぞwww」コポォ
グレーテル「どうして……?」
キモオタ「司書殿にはヘンゼル殿とグレーテル殿と言うおとぎ話の住人が居るでござる、恐らく二人に教えてもらったのでござろうwww」コポォ
ラプンツェル「そっか!消えちゃったお話でも誰かに教えてもらえばいいんだもんね!」
キモオタ「その通りでござるwww我輩が消滅した【ヘンゼルとグレーテル】の内容をラプンツェル殿に教えていただいたようにwwwおとぎ話を知っている人物に聞けばいいのでござるwww」
孫悟空「それもそうだな、そう考えりゃあおかしい話ってわけでもねぇな」
ヘンゼル「僕やグレーテルの過去に何があったか、それを話すのならなんであいつがそのおとぎ話を知ってるのかだって解るよ」
ヘンゼル「僕はまだあんた達大人を信用してないけど…グレーテルが信じているというなら、話しておかないといけない事だ……気は進まないけど」
ラプンツェル「気が進まないなら私が代わりに話してあげよっか?【ヘンゼルとグレーテル】のおとぎ話の内容なら私も知ってるから!」フンス
ヘンゼル「何か勘違いしてるみたいだけど……僕がこれから話すのはあくまで僕とグレーテルの過去の話だ、おとぎ話なんかじゃない」
孫悟空「あぁ?だからよぉ、テメェ等兄妹の過去の話が【ヘンゼルとグレーテル】なんじゃねぇのか?」
ヘンゼル「あんた達が知ってるのは、作者が現実世界の奴を楽しませる為に…教訓を与える為に作った『おとぎ話』だよ。そんな作り話は僕達の過去じゃないよ」
グレーテル「……」コクコク
ヘンゼル「今からあんたたちに聞かせるのはおとぎ話なんかじゃない。貧しい家に生まれた少年ヘンゼルがその妹グレーテルと一緒に必死に生きてきた…これまでの人生の記憶だ」
ヘンゼル「大人に見捨てられ、利用され、絶望して……作者にもてあそばれた無様な兄と不憫な妹の人生の物語さ。繰り返すけど、これはおとぎ話じゃない」
ヘンゼル「僕…ヘンゼルとグレーテルにとってはまぎれもない現実の出来事だよ」
・・・
・・・
355 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/05(水)22:49:05 ID:l4v
随分と昔
ヘンゼルとグレーテルの世界 森
カコーン カコーン カコーン
父親「ふぅ…ようやくひと区切りついたな。ヘンゼル、切り出した木材は運び終えたかい?」
ヘンゼル「うん、木材は全部積み終えたよ。薪も縛って荷車に積み終わった」
父親「相変わらず仕事が早い、要領の良い子だ。偉いぞ、ヘンゼル」ハハハ
ヘンゼル「だってパパがいつも言ってるからね、真面目に努力をしていれば神様は必ず見てくださってるって。正しい行いをしていればきっと幸せな未来を約束して下さるって」ニコッ
父親「ああ、そうだとも。どんなに貧しくとも正しい行いをしていれば神様はきっとよくしてくださる。さぁ、仕事はひとやすみして昼ご飯にしよう。ほら、これはヘンゼルの分だ。一人でお食べ」スッ
ヘンゼル「うん、ありがとう。でも、お昼にパン一個食べても良いなんて、ちょっと贅沢だね」フフッ
父親「きこりは力仕事だから多少はな。しかし、パン一個が贅沢……か。まぁ確かにそうか、普段は一日に一切れ二切れのパンを食べられればいい方だからな……」
ヘンゼル「うん、家で仕事をしているグレーテルは今日もスープ一杯しか食べてないよ、きっと。」
父親「そうだろうな…」
ヘンゼル「だからこのパンは食べずに持って帰るよ、グレーテルに食べさせてあげたいから。でも母さんには内緒だよ?怒られちゃうからね」ニコッ
父親「お前も腹を空かせているだろうにグレーテルの為に……お前はとても優しい立派なお兄ちゃんだな」ナデナデ
ヘンゼル「あはは、やめてよ子供じゃないんだから。僕は平気だよ、だからパパも気にせずに自分のパンを食べたら良いよ」
父親「……ああ、そうだな。でも実はな、パパの分のパンはもう食べてしまったんだ」ハハハ
356 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/05(水)22:50:18 ID:l4v
ヘンゼル「お昼までにパンを食べちゃうなんてパパは食いしん坊だね」クスクス
父親「そうだな、おっとこの事母さんには内緒だぞ?叱られるからな」アハハ
ヘンゼル「わかった、大丈夫だよ。じゃあ今日は二人で小川の水を飲んでそれを昼食にしよう、僕が汲んでくるよ」
父親「それじゃあ頼もう、川に落ちないように気をつけるんだよ」
スタスタ
ヘンゼル(……僕は知ってる)
ヘンゼル(今朝、出がけにパパが母さんから貰ったパンは一個だけ。本当は二人で一個、僕の分け前は半分だけのはず)
ヘンゼル(それなのに自分はもう食べたなんて言って、自分の分まで僕にくれたんだ)ザブザブ
ヘンゼル(本当は…パパにもパンを食べて欲しいけど、こうやって森に手伝いに来れない女の子のグレーテルは丸ごと一個のパンにありつける機会なんて無い)ザブザブ
ヘンゼル(……だからこのパンはグレーテルに食べさせてあげよう。グレーテルは僕の大切な妹なんだから)
ヘンゼル(…大丈夫。パパはいつだって僕達に優しいし真面目にお仕事をしている、その姿を神様は必ず見てくださってる)
ヘンゼル(パパも僕もグレーテルもどんなに貧しくても正しい行いをして生きてる、だから神様はきっといつか僕達を幸せにしてくださるんだ)
ヘンゼル「さてと、これだけ汲めば…お腹が空いてるのをごまかせるくらいには飲めるかな?よし、パパの所に戻ろう」
スタスタ
357 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/05(水)22:52:41 ID:l4v
ヘンゼル「パパ、水汲んで来たよ」スッ
きこりのおっさん「……やぁ、久しぶりだねヘンゼル君」
ヘンゼル「あ、はい…お久しぶりです…」
ヘンゼル(よくパパと一緒に居るきこり仲間のオジサンだ。いつもはちょっとアレなくらい元気な人なのに今日は静かだ、どうかしたんだろう?)
父親「ああ、ありがとうヘンゼル。すまないがパパはおじさんと話がある、お前は向こうで水飲んでなさい」
ヘンゼル「…うん、わかったよ」スタスタ
ヘンゼル「……」チラッ
父親「亡くなった娘さん、確かうちのグレーテルと同い年だったな……」
きこりのおっさん「……そうだ、でもうちの娘はグレーテルちゃんみたいに女の子らしくなくてな……どちらかっていうと活発すぎるくらいで……いっつも外で喧嘩して帰って来てなぁ……」
父親「……そう言ってたな」
きこりのおっさん「前はもっとおしとやかに…なんて思ったもんだが、病気になっちまってからは人が変わったように口数もへっちまって、いつも虚ろな目をしていてな……」
父親「……」
きこりのおっさん「うちみたいな貧乏な家じゃ医者もまともに呼んでやれねぇ、薬も買えねぇ、出来る事と言ったら栄養のあるもんを食わせてやるくらいだったけど……それすらもしてやれなかった」
父親「こればっかりは仕方無い……この国は未曾有の大飢饉だ。穀物も野菜も酷い不作…栄養のある物どころか、粗末な穀物粉ですら俺たち貧乏人には貴重なんだ」
358 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/05(水)22:54:35 ID:l4v
きこりのおっさん「俺は不甲斐ない父親だ、病気を患っていて腹を空かしてる娘に…肉の一切れも、甘い果物の一つも食わしてやれなかった…!」
父親「肉も果物も…今はとんでもない贅沢品だ。お前は悪くないよ…」
きこりのおっさん「この大飢饉で食い物に困ってるのはうちだけじゃない。言っちゃ悪いがヘンゼル君だって、前に会った時より随分と痩せているだろ?」
父親「うちは二人も子供が居るからな、正直なところかなり厳しい。子供達にも相当我慢させてしまってるからな…」
きこりのおっさん「大人も子供も…食うものが無くて辛い思いをしてるんだ。なんだって神は俺達にこんな仕打ちをするんだ…!」バンッ
父親「憤りはわかるが…仕方のないことだ、そんな事を言っても……」
きこりのおっさん「俺は、飢饉が憎い!子供らに満足に飯を食わせてやれないこの状況が…憎い!飢饉でさえ無けりゃ、うちの娘は死なずに済んだかもしれないんだぞ!?」
父親「……」
きこりのおっさん「いや……うちの娘はまだ幸せな方かもしれないな、ベッドの中で死ねたんだから。聞いた話だとこの森にも随分口減らしの為に人が訪れてるって聞くからな…」
父親「……よせ、そんなものただの噂だ。食べ物に困って老人や子供を山奥や森の奥に置き去りにするなんて……まともな奴のする事じゃあない」
きこりのおっさん「状況がまともじゃないんだ…誰もそいつらを責められねぇよ。ただ、お前は…ヘンゼル君やグレーテルちゃんを大切にしてやりなよ、俺みたいに娘が死んでから後悔しても遅いんだ」
父親「……ああ」
ヘンゼル「……」ゴクッ
359 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/05(水)22:56:04 ID:l4v
ヘンゼルとグレーテルの世界 兄妹の家
父親「ただいま。おーい、今帰ったよ」
継母「あぁ、お疲れ様…どうだい、高値で売れそうな質の良い木材は取れただろうね?」
父親「ああ、ヘンゼルがしっかりと手伝ってくれたから仕事がはかどったよ」
継母「へぇ、そうかい、夕飯の支度をしてあるから…さっさと片付けてキッチンへ来なさいね」フイッ
父親「じゃあ僕は荷車を片しておくから、ヘンゼルは先にキッチンへ行っておきなさい」
ヘンゼル「わかった、悪いけれど荷車の片づけはパパにお願いするね」
トテトテトテ
グレーテル「お兄ちゃん!おかえりなさい!それとおつかれさま!」ニコニコ ギューッ
ヘンゼル「ああ、ただいま。良い子にしてたかい、グレーテル」ナデナデ
グレーテル「うん、良い子にしてたんだよ!お裁縫のお仕事も頑張ってやったし、お洗濯もお掃除もちゃんと手伝ったの」ニコニコ
ヘンゼル「そうか、うん…母さんには嫌な事言われなかったかい?」
グレーテル「もぉー、お兄ちゃんは心配性だね。今日はあんまり言われなかったの、だから平気だよ!心配しなくてもいいの」ニコニコ
ヘンゼル(今日はって…じゃあいつもは?なんて、聞けない)
グレーテル「お兄ちゃんもたくさん頑張ってると思って、私も今日はいーっぱい頑張ったよ!だからお腹すいちゃった」ニコニコ
ヘンゼル「……そうか、偉いね。じゃあキッチンへ行こう。パパもすぐに戻ってくるだろうから、待たせたら悪いからね」
・・・
キモオタ「名前が当てられないから悟空殿はやむなく従っているのでござるよwwwラプンツェル殿www」
ラプンツェル「あー、そっかー、消滅しちゃってるから現実世界じゃあ知る事が出来ないって事だもんね…じゃあさ、私のママに聞いてみよ?教えてくれるよ!」
孫悟空「…あいつは魔力の感知に長けてやがる、下手におとぎ話の世界に連絡を取ったり移動するのは避けてぇな」
キモオタ「言ってしまえば…人質を殺したとしてもその者にはなにも失うものが無いでござるからな、玉龍殿を盾に悟空殿を従えるなとという手段もありそうでござるし」
ラプンツェル「現実世界には無くて、おとぎ話の世界には行けないって……それってもう調べようが無いよ!?困っちゃったね……」ムムム
孫悟空「ようやくかよテメェ……つまりはまぁ、そういう事だ。だがよぉ、偶然ここに来たお前達に聞くぶんならバレやしねぇだろ?おとぎ話の住人のお前たちなら知ってると思ってなぁ」
キモオタ「ふむ……我輩、ティンカーベル殿といろいろとおとぎ話読んでおりますが藁を黄金にするなどと言うおとぎ話は初耳ですな……」
ラプンツェル「私はなんだか知ってるような気がするんだけど……ごめん、ちょっと思い出せないなー」
孫悟空「そうか……まぁ、ダメ元みてぇなもんだ。気にするんじゃねぇよ」
キモオタ「落ち込むのは早いですぞwwwグレーテル殿なら詳しいかもしれませんぞwwwいろいろとおとぎ話読んでいたらしいですからなwww」コポォ
孫悟空「おっ、そいつぁ好都合だな。ってぇ……グレーテルはどこに行ったんだ?」
ラプンツェル「あれー……?ちょっと前は居たと思ったけど……」
ザッ
小柄な男「おう、悟空。随分と仲良く敵と談笑してるじゃねぇか」ギロッ
孫悟空「……っ」クッ
336 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/02(日)23:15:57 ID:e1D
小柄な男「まぁいい、聞かせてもらったぜ。そこの髪の長いアホっぽい娘……お前、ラプンツェルなんだってなぁ?」
ラプンツェル「アホっぽい……!なんでそんな風に言うの?もう!キモオタ、なんか言い返してやってよ!」プンス
キモオタ「まぁまぁラプンツェル殿、ここは堪えるでござるよ…あやつこそ、司書殿を誘拐し悟空殿から人質を取った張本人でござろう」
ラプンツェル「そっか、あいつが悪者ってことだね…!」キッ
小柄な男「まぁいい、テメェは俺の名前を知らないみてぇだからな。とんだ杞憂だったぜ」
ラプンツェル「ふーんだ!名前呼ばれただけで弱くなっちゃうんでしょ!私は知らないけどグレーテルならきっと知ってるんだからね!」
小柄な男「そいつぁ残念だな、こいつ等は確かに俺の名前を知っていたがよぉ…もうこいつ等は俺の名前を口にできねぇ!テメェらに伝える事もな!」
ヘンゼル「……」クッ
グレーテル「……ごめんなさい、キモオタお兄ちゃん……」
キモオタ「ヘンゼル殿もグレーテル殿もボロボロで……お主!二人に何をしたんですかな!?」
小柄な男「なんてことねぇよ、こいつ等の兄妹愛を利用しただけだ。こいつ等はお互いが俺に殺されない代わりに俺の名前を口に出来ない、そういう契約を結んだだけだぜ」
孫悟空「えげつない野郎め、こんなガキを利用するたぁ…」チッ
小柄な男「何とでも言え、もはやこいつの魔力は俺のものも同然だ。だが…折角だからな、もうひとつ心臓を食っちまおうって考えだ」
小柄な男「おい、アホ女。テメェの心臓を俺に寄越せ、そうすることで俺はさらに強い魔力を得られる」クックック
337 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/02(日)23:17:56 ID:e1D
ラプンツェル「嫌だよ!魔力のおかげで私の髪の毛は長いし好きなように動かせるんだもん、それに心臓なんかあげたら死んじゃうでしょ!」プンス
小柄な男「ったく、なんでこんなアホに強い魔力があるんだかわからねぇな…俺様の様な向上心のある奴が持つべきだろ」
キモオタ「あの者、ラプンツェル殿の魔力を狙っているのでござるな、悟空殿の言うとおり魔力を感知する能力に長けているという訳でござるか……」
孫悟空「魔力をもった奴の心臓を食えば、その力を得られるってぇ訳だ。だからあいつはヘンゼルやラプ公の心臓を狙ってやがる」
ラプンツェル「魔力が欲しいから他の人を殺しちゃうとか…すっごく悪い奴だよ!あいつ!」プンス
小柄な男「チッ。そこまでアホでもねぇか、そういう事なら孫悟空…あの女を殺して心臓を俺によこせ」
孫悟空「……断る。って言ったなら、どうするつもりだ?」
小柄な男「当然、許さねぇな。あの小娘を殺す、望むならこのガキ共もなぶり殺しにしてもいいぜ」
孫悟空「……」ギリッ
ラプンツェル「悟空…そんな事しないよね?私達、もうお話したからお友達!だから…大丈夫だよね?」
小柄な男「悟空!!テメェは俺のしもべだろうが!俺があのアホ女を殺せと言ったら、殺すしかねぇんだよ!」
孫悟空「……クソッ!」ググッ
キモオタ(何か…考えるでござる、お話ウォッチは使えないでござるし、サイリウムも……下手に動けぬでござるが、このままでは……)
クシャ クシャ
キモオタ「……?」
338 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/02(日)23:20:00 ID:e1D
グレーテル「……」ジッ
クシャ クシャ
キモオタ(グレーテル殿…?我輩の方を見ているでござるが……この音は一体?何かビニールの擦れるような……)ジッ
グレーテル「……」クシャ…スッ
キモオタ(グレーテル殿が持ってるのは……我輩があげたミニスニッカーズの包み紙のゴミ……後で捨てるつもりで撮っていたのでござるか……?)
キモオタ(しかし、何故…今包み紙など……。もしや、我輩への何かしらのメッセージでは……?)
キモオタ(スニッカーズ…カロリー…チョコレート…何を伝えようとしているでござるか…いや、もしや……我輩がグレーテル殿にスニッカーズをあげた時は確か……)
ーー焦らなくて良いでござるよ。ミニスニッカーズでも食べて落ち着くでござるwww
キモオタ(焦らなくても大丈夫、落ち着いても良い……という事ですかな……?何か、グレーテル殿に考えが……?ここは、ひとつ……)
キモオタ(ミニスニッカーズを……チラリ) チラッ
グレーテル「……」コクン
キモオタ(グレーテル殿には何か策があるのですな……ならばここは、たとえこの場しのぎであろうとも……グレーテル殿を信じて)
バッ
キモオタ「いやいやwwwちょーっと待っていただきたいですなwww我輩に提案があるのでござるがwww」コポォ
小柄な男「なんだテメェは…現実世界の奴か、お呼びじゃねぇ。すっ込んでろ」
キモオタ「ちょwww我輩を邪険に扱わないで欲しいですなwwwお主にとっても悪くない話ですぞwww」コポォ
339 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/02(日)23:23:09 ID:e1D
キモオタ「実は我輩、魔法具を二つも持っているのでござるよwwwこのおはなしウォッチとサイリウムでござるwww」コポォ
小柄な男「ほう、現実世界の人間の癖にそんなもんもってやがるのか…丁度良い、そいつも俺に寄越せ、有効に使ってやるからよ」
キモオタ「それはいいのでござるがwwwラプンツェル殿もヘンゼル殿もグレーテル殿も我輩の友人www死んでしまうのは嫌でござるwww故に、我々にチャンスを頂きたいwww」
小柄な男「チャンス、だと?」
キモオタ「そうですぞwwwどうやらお主の名前を当てればお主の魔法を無効に出来るらしいでござるが……お主の名前を考える時間を我々に頂きたい」
キモオタ「そのかわりwwwもしもチャンスを貰ってもお主の名前が当てられなかった場合は我輩は友人の死を受け入れるでござるし、この魔法具も差し上げるでござる」
小柄な男「俺にうまみが薄いな…そんな要求無視してその魔法具を奪っちまってもいいんだぜ?」
キモオタ「そういうことでしたら今すぐこの魔法具はたたき壊すでござるwww」コポォ
小柄な男「……いいだろう、時間を与えてやったところでテメェらは俺の名前にたどり着けない、絶対にな」クックック
キモオタ「ありがたき幸せwwwそれでは制限時間でござるがwww」
小柄な男「今が夕時か……ならば深夜零時だ、日付が変わるまでにここに来い。ただし…廃墟から出られるのはデブ、テメェだけだ。そしてこの現実世界から出る事は許さねぇ」
キモオタ「十分ですぞwwwそれでなんとか探し当てるでござるwww出来れば悟空殿とヘンゼル殿グレーテル殿もこちらに預けていただけるとwww助かるでござるwww」
小柄な男「どうせ無駄な足掻きだ、好きにしやがれ。ただし、逃げたり約束を破れば悟空の人質を殺す。いいな?」
キモオタ「わかりましたぞwww」
小柄な男「忘れるんじゃねぇぞデブ、零時だ。その時間になっても名前が当てられなけりゃあこいつ等の魔力もお前の魔法具も俺のもんだ」
キモオタ「どうぞご自由にwww」コポォ
小柄な男「せいぜい無為に時間を過ごしてやがれ、俺は酒でも飲んで時間潰しだ。いいか?魔力に動きがありゃあ俺にはすぐにわかる、約束を違えりゃあ即座に人質を殺す…この廃墟の中を偵察して回ってる小さな魔力の反応にも、気が付いてるんだぞ?」
キモオタ「おおふwww気が付いていましたかなwww廃墟内にお主の名前のヒントが無いかとwww探っていたのでござるwww」
小柄な男「せいぜい残された時間で別れを惜しんでやがれ、もうこの結果は覆らない。俺の名前は誰にも知られてねぇんだからな」クックック
スタスタスタ
ラプンツェル「あいつ、行っちゃったね。じゃあ頑張って名前当てないとね!」フンス
孫悟空「だからさっき話しただろうが、そりゃあ到底無理だ。だけどよぉ、あそこまで言うってこたぁキモオタには何か策があるんだろ?」
ヘンゼル「この人には策なんかないよ、どうせね」フイ
孫悟空「そんなわけねぇだろうが。魔法具を手放す、友人を見殺しにするとまで言ったんだぜ?策もなしにあんな大口たたけねぇだろうが」
キモオタ「ところがどっこいwww我輩はノープランなのでござるなwww」
ラプンツェル「あはは、やっぱりそんな事だと思ったよー」ニコニコ
ヘンゼル「……」ハァ…
孫悟空「ノープランってテメェ……考えなしにあの大口叩いたってのか!?」グイッ
341 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/02(日)23:27:32 ID:e1D
孫悟空「テメェ…!こっちには人質がいるんだぞ!適当な事ぬかしてその場しのぎしてんじゃねぇぞ!ブタァ!」グイグイ
キモオタ「ちょwwwおちwwwついwwwてwww確かに我輩はノープランでござるがwwwグレーテル殿の考えた策があるのでござるwwwそうでござるよねwww」
ヘンゼル「グレーテル…あいつに何か伝えたの?」
グレーテル「うん……大丈夫だよって……なんとかなるよ……って、ちゃんと伝わって……よかったの……」
孫悟空「んだよ…驚かせやがる、それじゃあその策って奴を教えやがれ、キモオタ」
キモオタ「いやwww内容は解らないでござるwwwただグレーテル殿が大丈夫って言っていたでござるからwww大丈夫かなとwww」
孫悟空「テメェ…!あんな子供が大丈夫っていったからって、策の内容も聞かずそれを信じたんじゃねぇだろうな!?」
キモオタ「ちょwwwまさにその通りでござるけどwww」コポォ
孫悟空「この…クソブタ野郎が!脳みそまでブタかテメェ!子供の話を鵜呑みにしてんじゃねぇ!!」
ラプンツェル「まーまー、悟空もそんなに怒鳴っちゃダメだよー、キモオタが大丈夫って思ったなら大丈夫だよ」ニコニコ
孫悟空「ラプ公テメェわかってんのか!?あの男の名前が当てられねぇとお前は殺されちまうんだぞ!?」
ラプンツェル「それはヤだけど、キモオタは前も私たちの事助けてくれたから私は信じてるよ。それに、キモオタはただキモイだけじゃないから大丈夫だよ、きっとー」ニコニコ
孫悟空「…ったく、まぁこうなっちまった以上はあいつの名前を必死になって探すしかねぇな…」
グレーテル「孫悟空さん……大丈夫よ……私たちも、人質の人も助かる方法……あるの……」
342 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/02(日)23:31:59 ID:e1D
孫悟空「そいつは本当か?お前の考えを話して見やがれ、なんで大丈夫だなんて言えるんだテメェは?」
グレーテル「うん……あのね……あのオジサンの名前、私たちは話せないけど……知る事が出来る方法、あるの……」グイッ
ヘンゼル「待って、グレーテル。何を話そうとしてるか解ってるけど、それは軽々しく他人に話す事じゃないよ……それとも、こいつ等の事信用してるの?」
グレーテル「うん……ラプお姉ちゃんもキモオタお兄ちゃんも私を助けてくれたよ……孫悟空さんも……無理やり手伝わされてるだけ……」
ヘンゼル「大人なんか信用したら駄目だ、あの時決めただろう」
グレーテル「良い大人だっているんだよ……弥平パパや女王さまと同じだよ、だから……話そうよ、私たちの事……ね?」
ヘンゼル「……僕は、信用できない」
キモオタ「ヘンゼル殿……我輩を信じれないのは、我輩に至らない部分があるからでござろう」
キモオタ「しかしですな、我輩が策の内容も聞かずにグレーテル殿を信じたのはその場しのぎだけではござらんよ。先ほど、グレーテル殿が言ってくれたのでござるよ、童話展で」
キモオタ「信じてくれてるから信じると、信じないと信じてもらえないと…でござるから、我輩はグレーテル殿を信用したのでござる。我輩を信じてくれているグレーテル殿が大丈夫と言っているのなら、必ず大丈夫であると思った故」
ヘンゼル「……そんなのは、ただの……耳触りの良い言葉なだけだよ。信じるとか信じないとか……」
キモオタ「ヘンゼル殿は我輩を信じれなくても、グレーテル殿ならば信じられるのではござらんか?」
ヘンゼル「……」
キモオタ「ならば我輩ではなくグレーテル殿を信じて…我輩に頼ってみて欲しいでござる」
グレーテル「……お兄ちゃん、私の事……信じて……大丈夫、だから……」
ヘンゼル「……確かに、あの男の名前を当てる方法がある。でもそれには僕達の過去から離さないといけない。少し長くなるけど、最後まで聞く覚悟があれば聞けばいい」
キモオタ「おお、ヘンゼル殿…!」
ヘンゼル「勘違いしないで欲しいね、僕は今だってあんた達を信用してない。グレーテルを信用して話すだけだ」
ヘンゼル「それに丁度良いよ、僕達がどうしてあんた達大人を信用できないかも係わる話だから。これを聞けばグレーテル達ががどれだけ辛い思いをさせられたか解るよ。それに…」
ヘンゼル「あんた達現実世界の人間が、作者が……どれだけ非道な奴らかって事もね」
343 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/02(日)23:38:56 ID:e1D
今日はここまで みんなレスありがとう
次回からヘンゼルとグレーテルの回想に入ります
一部、胸くそ注意かも
ヘンゼルとグレーテル編 とある消滅したおとぎ話編 次回に続きます
344 :名無しさん@おーぷん :2015/08/02(日)23:39:41 ID:1E7
乙でした
345 :名無しさん@おーぷん :2015/08/02(日)23:51:37 ID:95z
>>1さん乙です!
調子に乗ってるチビ助に目に物見せる、キモオタ達の活躍が楽しみです!!
346 :名無しさん@おーぷん :2015/08/03(月)01:06:56 ID:1eE
乙です!キモオタのイケメン度が増していくなあ…モテる訳じゃないけど
つーかラプンツェルさり気にひどいなwww
353 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/05(水)22:44:27 ID:l4v
孫悟空「おい待ちやがれ、俺達は零時までにあいつの名前を当てなきゃなんねぇんだ。テメェ等に考えがあるってのは信用するけどよぉ、悠長に昔話なんざしてる時間はねぇぞ!?」
ヘンゼル「僕だって話したくて話すわけじゃないよ。それに慌てる必要なんかない、僕達はあの男の名前の手掛かりなんか探さなくて良いんだから」
キモオタ「それはどういう事でwwwござるかなwww」コポォ
グレーテル「お姉ちゃんをね……探せばいいの……そうすればね、あのオジサンの名前……解るから……」
キモオタ「それはつまり…捕えられている司書殿も、あの者の名前を知っているという事ですかな?」
グレーテル「そうよ……お姉ちゃんも知ってるの、あのオジサンの名前……だからお姉ちゃんを助ければ……全部解決なの……」
ヘンゼル「あんたはさっき名前を探る為…なんて言ってたけど、あの賑やかな妖精はこの廃墟のどこかに捕えられているあいつを探してる。そうだよね?」
キモオタ「その通りですぞwwwティンカーベル殿は司書殿を探しているでござるwww先ほどはとっさに嘘をつきましたぞwww流石に人質を探しているとは言えなかったでござるからwww」
キモオタ「しかし、考えて見れば司書殿が別の場所に捕えられているという可能性も否定できぬでござるな…」
孫悟空「そりゃあねぇな。あの娘はあいつがこの廃墟のどこかに捕えてやがる、それは間違いねぇぞ。場所まではわからねぇがな」
グレーテル「だったら……ティンクちゃんに任せよう……少し待っても見つからなかったら……みんなで探そう」
ヘンゼル「あからさまにあいつを探したら怪しまれるかもしれないし、静かに探すべきだと思うけど…まぁその時は仕方ないね」
ラプンツェル「ねぇねぇ、でも私ちょっとおかしいことに気が付いたよ!司書さんって現実世界の女の人でしょ?どーして消えちゃったおとぎ話の事知ってるのー?」
354 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/05(水)22:46:43 ID:l4v
孫悟空「そういやぁそうだな、あいつのおとぎ話は消滅してると言ってやがった。現実世界の娘が知ってるってなぁおかしい話だ」
キモオタ「本来ならばそうでござるがwww我輩は特に不思議に思いませんぞwww」コポォ
グレーテル「どうして……?」
キモオタ「司書殿にはヘンゼル殿とグレーテル殿と言うおとぎ話の住人が居るでござる、恐らく二人に教えてもらったのでござろうwww」コポォ
ラプンツェル「そっか!消えちゃったお話でも誰かに教えてもらえばいいんだもんね!」
キモオタ「その通りでござるwww我輩が消滅した【ヘンゼルとグレーテル】の内容をラプンツェル殿に教えていただいたようにwwwおとぎ話を知っている人物に聞けばいいのでござるwww」
孫悟空「それもそうだな、そう考えりゃあおかしい話ってわけでもねぇな」
ヘンゼル「僕やグレーテルの過去に何があったか、それを話すのならなんであいつがそのおとぎ話を知ってるのかだって解るよ」
ヘンゼル「僕はまだあんた達大人を信用してないけど…グレーテルが信じているというなら、話しておかないといけない事だ……気は進まないけど」
ラプンツェル「気が進まないなら私が代わりに話してあげよっか?【ヘンゼルとグレーテル】のおとぎ話の内容なら私も知ってるから!」フンス
ヘンゼル「何か勘違いしてるみたいだけど……僕がこれから話すのはあくまで僕とグレーテルの過去の話だ、おとぎ話なんかじゃない」
孫悟空「あぁ?だからよぉ、テメェ等兄妹の過去の話が【ヘンゼルとグレーテル】なんじゃねぇのか?」
ヘンゼル「あんた達が知ってるのは、作者が現実世界の奴を楽しませる為に…教訓を与える為に作った『おとぎ話』だよ。そんな作り話は僕達の過去じゃないよ」
グレーテル「……」コクコク
ヘンゼル「今からあんたたちに聞かせるのはおとぎ話なんかじゃない。貧しい家に生まれた少年ヘンゼルがその妹グレーテルと一緒に必死に生きてきた…これまでの人生の記憶だ」
ヘンゼル「大人に見捨てられ、利用され、絶望して……作者にもてあそばれた無様な兄と不憫な妹の人生の物語さ。繰り返すけど、これはおとぎ話じゃない」
ヘンゼル「僕…ヘンゼルとグレーテルにとってはまぎれもない現実の出来事だよ」
・・・
・・・
355 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/05(水)22:49:05 ID:l4v
随分と昔
ヘンゼルとグレーテルの世界 森
カコーン カコーン カコーン
父親「ふぅ…ようやくひと区切りついたな。ヘンゼル、切り出した木材は運び終えたかい?」
ヘンゼル「うん、木材は全部積み終えたよ。薪も縛って荷車に積み終わった」
父親「相変わらず仕事が早い、要領の良い子だ。偉いぞ、ヘンゼル」ハハハ
ヘンゼル「だってパパがいつも言ってるからね、真面目に努力をしていれば神様は必ず見てくださってるって。正しい行いをしていればきっと幸せな未来を約束して下さるって」ニコッ
父親「ああ、そうだとも。どんなに貧しくとも正しい行いをしていれば神様はきっとよくしてくださる。さぁ、仕事はひとやすみして昼ご飯にしよう。ほら、これはヘンゼルの分だ。一人でお食べ」スッ
ヘンゼル「うん、ありがとう。でも、お昼にパン一個食べても良いなんて、ちょっと贅沢だね」フフッ
父親「きこりは力仕事だから多少はな。しかし、パン一個が贅沢……か。まぁ確かにそうか、普段は一日に一切れ二切れのパンを食べられればいい方だからな……」
ヘンゼル「うん、家で仕事をしているグレーテルは今日もスープ一杯しか食べてないよ、きっと。」
父親「そうだろうな…」
ヘンゼル「だからこのパンは食べずに持って帰るよ、グレーテルに食べさせてあげたいから。でも母さんには内緒だよ?怒られちゃうからね」ニコッ
父親「お前も腹を空かせているだろうにグレーテルの為に……お前はとても優しい立派なお兄ちゃんだな」ナデナデ
ヘンゼル「あはは、やめてよ子供じゃないんだから。僕は平気だよ、だからパパも気にせずに自分のパンを食べたら良いよ」
父親「……ああ、そうだな。でも実はな、パパの分のパンはもう食べてしまったんだ」ハハハ
356 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/05(水)22:50:18 ID:l4v
ヘンゼル「お昼までにパンを食べちゃうなんてパパは食いしん坊だね」クスクス
父親「そうだな、おっとこの事母さんには内緒だぞ?叱られるからな」アハハ
ヘンゼル「わかった、大丈夫だよ。じゃあ今日は二人で小川の水を飲んでそれを昼食にしよう、僕が汲んでくるよ」
父親「それじゃあ頼もう、川に落ちないように気をつけるんだよ」
スタスタ
ヘンゼル(……僕は知ってる)
ヘンゼル(今朝、出がけにパパが母さんから貰ったパンは一個だけ。本当は二人で一個、僕の分け前は半分だけのはず)
ヘンゼル(それなのに自分はもう食べたなんて言って、自分の分まで僕にくれたんだ)ザブザブ
ヘンゼル(本当は…パパにもパンを食べて欲しいけど、こうやって森に手伝いに来れない女の子のグレーテルは丸ごと一個のパンにありつける機会なんて無い)ザブザブ
ヘンゼル(……だからこのパンはグレーテルに食べさせてあげよう。グレーテルは僕の大切な妹なんだから)
ヘンゼル(…大丈夫。パパはいつだって僕達に優しいし真面目にお仕事をしている、その姿を神様は必ず見てくださってる)
ヘンゼル(パパも僕もグレーテルもどんなに貧しくても正しい行いをして生きてる、だから神様はきっといつか僕達を幸せにしてくださるんだ)
ヘンゼル「さてと、これだけ汲めば…お腹が空いてるのをごまかせるくらいには飲めるかな?よし、パパの所に戻ろう」
スタスタ
357 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/05(水)22:52:41 ID:l4v
ヘンゼル「パパ、水汲んで来たよ」スッ
きこりのおっさん「……やぁ、久しぶりだねヘンゼル君」
ヘンゼル「あ、はい…お久しぶりです…」
ヘンゼル(よくパパと一緒に居るきこり仲間のオジサンだ。いつもはちょっとアレなくらい元気な人なのに今日は静かだ、どうかしたんだろう?)
父親「ああ、ありがとうヘンゼル。すまないがパパはおじさんと話がある、お前は向こうで水飲んでなさい」
ヘンゼル「…うん、わかったよ」スタスタ
ヘンゼル「……」チラッ
父親「亡くなった娘さん、確かうちのグレーテルと同い年だったな……」
きこりのおっさん「……そうだ、でもうちの娘はグレーテルちゃんみたいに女の子らしくなくてな……どちらかっていうと活発すぎるくらいで……いっつも外で喧嘩して帰って来てなぁ……」
父親「……そう言ってたな」
きこりのおっさん「前はもっとおしとやかに…なんて思ったもんだが、病気になっちまってからは人が変わったように口数もへっちまって、いつも虚ろな目をしていてな……」
父親「……」
きこりのおっさん「うちみたいな貧乏な家じゃ医者もまともに呼んでやれねぇ、薬も買えねぇ、出来る事と言ったら栄養のあるもんを食わせてやるくらいだったけど……それすらもしてやれなかった」
父親「こればっかりは仕方無い……この国は未曾有の大飢饉だ。穀物も野菜も酷い不作…栄養のある物どころか、粗末な穀物粉ですら俺たち貧乏人には貴重なんだ」
358 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/05(水)22:54:35 ID:l4v
きこりのおっさん「俺は不甲斐ない父親だ、病気を患っていて腹を空かしてる娘に…肉の一切れも、甘い果物の一つも食わしてやれなかった…!」
父親「肉も果物も…今はとんでもない贅沢品だ。お前は悪くないよ…」
きこりのおっさん「この大飢饉で食い物に困ってるのはうちだけじゃない。言っちゃ悪いがヘンゼル君だって、前に会った時より随分と痩せているだろ?」
父親「うちは二人も子供が居るからな、正直なところかなり厳しい。子供達にも相当我慢させてしまってるからな…」
きこりのおっさん「大人も子供も…食うものが無くて辛い思いをしてるんだ。なんだって神は俺達にこんな仕打ちをするんだ…!」バンッ
父親「憤りはわかるが…仕方のないことだ、そんな事を言っても……」
きこりのおっさん「俺は、飢饉が憎い!子供らに満足に飯を食わせてやれないこの状況が…憎い!飢饉でさえ無けりゃ、うちの娘は死なずに済んだかもしれないんだぞ!?」
父親「……」
きこりのおっさん「いや……うちの娘はまだ幸せな方かもしれないな、ベッドの中で死ねたんだから。聞いた話だとこの森にも随分口減らしの為に人が訪れてるって聞くからな…」
父親「……よせ、そんなものただの噂だ。食べ物に困って老人や子供を山奥や森の奥に置き去りにするなんて……まともな奴のする事じゃあない」
きこりのおっさん「状況がまともじゃないんだ…誰もそいつらを責められねぇよ。ただ、お前は…ヘンゼル君やグレーテルちゃんを大切にしてやりなよ、俺みたいに娘が死んでから後悔しても遅いんだ」
父親「……ああ」
ヘンゼル「……」ゴクッ
359 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/08/05(水)22:56:04 ID:l4v
ヘンゼルとグレーテルの世界 兄妹の家
父親「ただいま。おーい、今帰ったよ」
継母「あぁ、お疲れ様…どうだい、高値で売れそうな質の良い木材は取れただろうね?」
父親「ああ、ヘンゼルがしっかりと手伝ってくれたから仕事がはかどったよ」
継母「へぇ、そうかい、夕飯の支度をしてあるから…さっさと片付けてキッチンへ来なさいね」フイッ
父親「じゃあ僕は荷車を片しておくから、ヘンゼルは先にキッチンへ行っておきなさい」
ヘンゼル「わかった、悪いけれど荷車の片づけはパパにお願いするね」
トテトテトテ
グレーテル「お兄ちゃん!おかえりなさい!それとおつかれさま!」ニコニコ ギューッ
ヘンゼル「ああ、ただいま。良い子にしてたかい、グレーテル」ナデナデ
グレーテル「うん、良い子にしてたんだよ!お裁縫のお仕事も頑張ってやったし、お洗濯もお掃除もちゃんと手伝ったの」ニコニコ
ヘンゼル「そうか、うん…母さんには嫌な事言われなかったかい?」
グレーテル「もぉー、お兄ちゃんは心配性だね。今日はあんまり言われなかったの、だから平気だよ!心配しなくてもいいの」ニコニコ
ヘンゼル(今日はって…じゃあいつもは?なんて、聞けない)
グレーテル「お兄ちゃんもたくさん頑張ってると思って、私も今日はいーっぱい頑張ったよ!だからお腹すいちゃった」ニコニコ
ヘンゼル「……そうか、偉いね。じゃあキッチンへ行こう。パパもすぐに戻ってくるだろうから、待たせたら悪いからね」
・・・
キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 ヘンゼルとグレーテル編
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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」一覧に戻る
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