キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 人魚姫編
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387 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:05:51 ID:TNJ
数時間後……
港町
ザワザワ ザワザワ
「身元の確認をお願いします!みなさんどうか落ち着いて、落ち着いて我々の指示に従って行動を──」
「病院への搬送は大怪我をされている方が優先です!傷の浅い方はこちらで治療します!」
「手が空いてる奴いるか!こっちへ来てくれ!」
ザワザワ ザワザワ
赤鬼「どうやら海に投げ出された乗客の救出は落ち着いたみたいだな」
赤ずきん「……そうね。あとは怪我人の治療と身元確認、私達の出る幕はないわね」
赤鬼「ああ、どうやら役人が先導してくれてる。あとは任せてオイラ達は入り江に向かおう、人魚姫もそこに向かってるはずだ」ザッ
タッタッタッタッ
じい「お待ちくだされ、そこのお二方……!」
赤ずきん「…あら、私達に何か用事でもあるの?」
じい「事情は聞きましたぞ!船の沈没する場面に偶然居合わせ、いち早く救助を要請してくださったと…」
じい「あの船は王族や貴族…多くの高名な方々が乗船しておられました、もしも被害が更に大きくなっていたかと思うと恐ろしい…そこで国王様が是非あなた方にお礼がしたいと」
赤鬼「いや、オイラ達は助けを呼んだだけだ。礼を言われるようなことはしていない、それに用事もある。国王には申し訳ないが……」
388 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:06:44 ID:TNJ
じい「はははっご謙遜を!ご都合が悪いようでしたらすぐでなくとも構わないとの事です、国王様より預かった書面をお渡ししますので。お時間のあるときに番兵にお見せください、すぐに城へとお通しします」スッ
赤鬼「むむっ、そこまで言うのなら…また明日伺わせて貰おうか」
じい「ではそのように国王陛下にお伝えしておきます」
赤ずきん「…ねぇ、王子もこの船に乗っていたのでしょう?救助はされたのかしら?」
じい「はい、おかげさまで…海岸で倒れているところを通りがかりの少女が助けてくださいまして、ただいま治療中です」
赤ずきん「そう、わかったわ」
赤ずきん「…人魚姫、王子を海岸まで無事に運べたようね」ヒソヒソ
赤鬼「うむ、それを通りがかりの娘が介抱する…話の筋は変わっちゃ居ないな」ヒソヒソ
赤ずきん「ええ……では、行きましょうか赤鬼。彼女が待ってるものね」
赤鬼「うむ……ではオイラ達はこれで、国王への挨拶は明日させて貰う。どうかよろしく言っておいてくれ」
じい「はい、かしこまりました。お待ちしております」
389 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:09:17 ID:TNJ
秘密の入り江
ギーコギーコ ザザァ
赤ずきん「人魚姫、もう到着しているかしら?」キョロキョロ
赤鬼「海の中にも……潜っていないみたいだな。船より早く泳げるんだ、オイラ達より早く来ていると思ったが」
赤ずきん「すぐに来るでしょう、待ちましょう」ストンッ
赤鬼「おう、そうだな…」
赤ずきん「……」
赤鬼「……なぁ、赤ずきん。人魚姫のことなんだが……」ドスッ
赤ずきん「……人魚姫がどうしたの?」
赤鬼「やっぱりよぉ、なんとかならないもんか?このままだと人魚姫は泡になって消えちまうだろ?オイラ達で助けてやれねぇか?」
赤ずきん「……彼女を助ければこのおとぎ話が消えてしまう。それは最初に話したじゃない」
赤鬼「それは理解してるんだ、だが……あいつは一生懸命夢を追ってるだろう?人間との関係だって改善しようとしてる、他人事には思えないんだよ」
赤ずきん「……私達の都合でおとぎ話を勝手に消したりすれば、やっている事はアリスやドロシーと同じになってしまうわよ?」
赤鬼「そうかもしれねぇが……お前だって、人魚姫に消えて欲しくないだろう?」
390 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:11:09 ID:TNJ
赤ずきん「……あなただから言うけれど」スタッ
赤ずきん「人魚姫に消えて欲しくない、それが私の本音よ」
赤ずきん「けれど…最初にも言ったけれどおとぎ話が消えるのだって嫌なの。私にはどちらか選ぶなんて……彼女と親しくなった今では、できない」
赤鬼「……」
赤ずきん「今のところ、気がかりなところはあるけれど本来の筋通りにお話が展開してる。異変が起きていないなら、私達はおとぎ話の筋に干渉しちゃいけないのよ」
赤ずきん「乱暴な言い方だけれど…このまま何もしなくてもおとぎ話は結末へと向かっていく、人魚姫は本来の結末の通り泡になる。私達はそれを見守るだけ」
赤ずきん「きっと、私達に許されているのはそれだけよ。結末がどうあれ人魚姫を見守る、それしかできない……しちゃいけないのよ」
赤鬼「…すまん、お前も辛いのに余計なことを口にしちまった」
赤ずきん「いいのよ、私もあなたと気持ちは同じよ。せめて、ずっと彼女に支えになりましょう、あの子が消えてしまう瞬間まで」
スゥー ザバザバー
人魚姫「…あっ、二人とも早いじゃん。ちょっと遅くなった、マジゴメンねー」ゼェゼェ
赤ずきん「なんだか、随分と疲れているようだけど…?」
人魚姫「王子を海岸まで運んだ後さ、船まで戻って…溺れた人を助けたりしてたんだよ、船が来るまでの間ね」
赤鬼「そいつは大変だったろう…だがおかげで大勢の人間が死なずに済んでいたぞ。あの規模の船が沈んだにしては被害はかなり抑えられていたらしいからな」
人魚姫「それなら良かったけどさー…一応、人間にはあんまり見られないように気を使ってたからチョー疲れたー」
赤ずきん「あの騒ぎの中で更に人魚が出たなんて騒ぎになれば大変だものね」
人魚姫「まぁね、まぁでもさー、王子や人間のみんなが助かってマジで良かったよー」ニヘラ
391 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:13:24 ID:TNJ
赤鬼「しかし、お前の姉が人間を殺すために動いているのは聞いたが…実際に見ると壮絶だったな、あんなデカい船が沈んじまうんだから」
人魚姫「…あんなのがあちこちで行われてるんだけどさ、でもあたしが何を言っても『お父様ーお父様ー』って言ってて聞かないんだよ姉ちゃん。なんなのあのファザコン!」バンッ
赤ずきん「お父様…あなたの国の王ね、そこまで慕われているなら余程の善政を敷いているのでしょう?」
人魚姫「まぁ人魚の国だけ見ればね。平和だし豊かだし、みんな人間を恨んでるから人魚同士で争いなんて滅多にないしさ」
赤鬼「人間という共通の『敵』がいるから団結できてるわけか…」
人魚姫「でもさ、そのために姉ちゃんに厳しくあたったり人間を殺してるんじゃ意味ないと思うんだよね。やっぱり共存が一番だと思うんだけどなー、人間ってやっぱり悪い人ばっかりじゃないっしょ」
人魚姫「だってさ王子抱えてるときね、うわ言のようにずっとみんなのこと心配してたんだよね。そんな人が悪い奴な訳ないし」
赤ずきん「自分も意識が朦朧としているというのに立派ね」
人魚姫「マジでそれ!もうあたし惚れちゃった!」テレテレ
人魚姫「王子なら絶対解ってくれると思うんだよね。そりゃあびっくりするかもだけど人魚とも仲良くしてくれるっしょ!」
人魚姫「それに王子はチョーイケメンだし!」ヘラヘラ
赤ずきん「それは善悪と関係あるのかしら…?」
392 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:15:32 ID:TNJ
赤鬼「まぁ男前と善人に関連があるかは置いといてだ、惚れちまうほど魅力ある奴に巡り会えたってのには喜ばねぇとな」ガハハ
人魚姫「そう思うっしょ?だからさ、あたしはもう一度王子に会って話がしたいんだ」
人魚姫「王子に会ってさ、私が助けた事を伝えれば絶対に友達になれるっしょ!人魚のあたしに人間の友達が増えれば、あたし達が仲良くできればすべての人魚と人間だって協力できる…!」
人魚姫「っていうか、あたしとしては友達ってより彼氏になってくれるのが一番良いんだけど」ヘラヘラ
赤ずきん「あら、真面目に種族間の事を考えていると思ったら結局そこなのね」クスクス
人魚姫「いいじゃん別にー!それにもちろん種族同士のことだってマジメに考えてっからね?でも好きになったもんはしょうがないじゃん!」
赤鬼「ガハハッ!いやいや、オイラは良いことだと思うぞ?結構じゃねぇか、それこそ惚れちまうのに種族やら関係ねぇんだからな」ガハハ
人魚姫「赤鬼はホントに良いこと言うじゃん!マジでそれだよねー」
クスクスクス……
赤ずきん「……っ!」ガチャッ
赤鬼「笑い声…!オイラ達の他に誰か居るぞ!?」グッ
ザバァ
???「ここ数日、このあたりで魔法具の気配がすると思っていたが……海面へ上がってきたのはどうやら正解だったみたいだねぇ」クスクス
赤鬼「魔法具だと…?お前、何者なんだ!?」ググッ
393 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:17:27 ID:TNJ
???「やけに暑苦しい奴がいるじゃないか。落ち着きな、私はお前達と交渉がしたいだけさね」
赤ずきん「交渉…?魔法具と言っていたけれど、あなた……」ガシャッ
人魚姫「…あんた、もしかしてオヤジや姉ちゃんに命令されてあたしを連れ戻しに来たっての?」
???「いいや違う。私は何にも縛られない魔女、人魚の王相手でも私は従うつもりはないのさ。むしろお前に協力するために来たんだ、人魚姫」
海底の魔女「私は海底の魔女、お前の願いを叶える者さ」フフッ
人魚姫「海底の魔女…!姉ちゃんが昔教えてくれた、海底に住む膨大な魔力を持った人魚がいるって……あんたがその魔女ってわけ?」
海底の魔女「そうだ、本来ならお前が来るのを海底で待つつもりでいたが……どうやら面白い客人が居るようだったからねぇ、こちらから出向いたんだ」チラッ
赤ずきん「……私達を客人だなんて呼び方をするという事は、あなたも他の世界の魔女達と同様におとぎ話の事情を知る者なのね?」
人魚姫「おとぎ……?なにそれ?」
海底の魔女「ああ、そうさ。だからお前達の事も知っている。だからこそここに来たんだ、だが少し待っていてくれ、まずは本来の仕事を済ませてしまおう」フフッ
人魚姫「っていうか、何をごちゃごちゃ言ってるわけ?あたしの願いを叶えるってどういう意味なの?」
海底の魔女「願いを叶える、そして救ってやる。人魚姫、お前は人間の王子に恋をしたと言ったな?」
394 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:19:54 ID:TNJ
人魚姫「そうだけど……あっ、もしかして王子に魔法をかけて私に事を好きにさせてやるとか言うつもり?言っとくけどそんなの嫌だからね!」
海底の魔女「そんな無粋なことはしないさ、だが人魚のお前がどうやって王子に近づく?考えはあるのか?」
人魚姫「そりゃ、赤ずきん達に王子を海につれてきて貰うとかいろいろあるじゃん?」
海底の魔女「そうか、それは無理だ。今海底がどうなっているか知っているか人魚姫?お前が人間を助けている間に何があったのか」
人魚姫「…はっ?どういうこと?」
海底の魔女「お前はあの船が沈むときに歌を歌っただろう?あれを聞いていた奴が…海の中から見ていた奴が居たんだ」
人魚姫「は?意味わかんないんですけど…?別にあたし的には見られたって問題ないけど?」
赤ずきん「そうかしら……人魚の王族の姉妹は歌で人間を操れるのでしょう?眠りの歌で船を沈めたあなたの姉の後、追うようにあなたも歌声をあげた……人間を救うために。それを見られたんでしょう?」
赤鬼「うむ……オイラ達からしたら人間を助けるのは当然だが、人間を恨んでいる人魚からしたら大問題だ。王族が憎き人間を救った…その事は当然、王の耳にも入るだろうな」
人魚姫「あっ……それヤバいかも……」
海底の魔女「そうだ、お前の父親は激怒している。もう兵士に命じてお前の捜索を開始しただろう、時間はあまりないぞ?あの王に捕まればどうなるか想像するは容易いだろう?」
人魚姫「……もう、二度と自由にはなれないだろーね」
海底の魔女「そうだな、この海にお前が自由でいられる場所はもはや存在しない。捕まれば拘束でもされてただ歌い続ける事になるだろうな」
395 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:22:30 ID:TNJ
人魚姫「……絶対嫌、アイツの言いなりは…!」クッ
海底の魔女「つくづくお前は可哀想な奴だ、憧れた夢を持っていることも親に反抗することも、素敵な男に恋をすることも…年頃の娘なら当然のことだというのに」
人魚姫「はぁ!?あたしは可哀想なんかじゃ……!」バッ
海底の魔女「いいや、可哀想さ。優れすぎた歌声を持っているせいで、王族に生まれたせいで、恋の相手が人間だというせいでなにもかもが許されない…」
人魚姫「……」クッ
海底の魔女「だが、問題は無い。すべてを解決する方法が一つある」
人魚姫「……教えて」
人魚姫「あんたは私を助けてくれるんでしょ?あたしが人殺しにならなくて済む方法を、あんたは知ってんでしょ!?」
海底の魔女「簡単なことさ。歌声がお前を縛るなら手放せばいい、家系がお前にとって苦痛なら捨ててしまえばいい、人魚であることがお前を苦しめるなら人間になればいい」
人魚姫「人間に……なれるっての?」
海底の魔女「私の魔法ならばな。人間になれば陸へ行ける、人魚の追っ手も来ないんだ。捕まりたくはないだろう?それに王子に会いに行くことだってできる、王子に会いたいだろう?」
人魚姫「アイツの言いなりは嫌、絶対捕まりたくない。それに王子に会いたい、会って伝えたい…!あたしが助けたって事、王子を好きになっちゃったって事も…!」
海底の魔女「だったら人間になるしかない。お前も人間になりたいだろう?」
396 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:24:11 ID:TNJ
人魚姫「アイツから逃げられるなら、王子に会えるならあたしは人間になりたい」
人魚姫「でも……あたしは人間と人魚が一緒に暮らせる世界にしたいんだ、もう争わないためにさ。それを考えるとちょっと迷っちゃうんだよね……」
海底の魔女「やれやれ、もういいだろうそんなこと。人間になればそんな事考える必要ないんだ、そもそも共存なんか考えるだけ無駄さね」
赤鬼「おい、無駄なんて言い方が……!」ガバッ
赤ずきん「……赤鬼、耐えましょう。この話は私達が口を出して良いものじゃないわ」
海底の魔女「何を悩む必要がある?共存なんて出来もしない夢を追って、自由を失うのか?」
人魚姫「……そうじゃないけどさ、でも……」
海底の魔女「ほう、そうかい…あくまで共存を目指すと言うか?それは結構な事だが……人間や鬼には人魚の追っ手を退くことなど出来ないぞ?海にいては結局は捕まる」
人魚姫「……」
海底の魔女「人魚であることに固執して自由と仲間を失い兵器となるか、人間になって自由と仲間を守るか。考える必要があるかも疑わしいが……決断するんだ、時間はあまりない」
人魚姫「……」
人魚姫「……わかった。あたしを人間にして、海底の魔女」
397 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:26:48 ID:TNJ
海底の魔女「賢明な判断だ。人魚のままではお前は幸せになれないんだからねぇ」クスクス
人魚姫「……じゃあさ、早く人間にしてよ。あたしの決心が鈍くなっちゃう前にさ」
海底の魔女「そう慌てるな、この薬を飲めばお前の美しい尾びれは二本の白い足に変わり、お前はたちまち人間へとなれる。しかし、注意することがある」スッ
人魚姫「注意すること……?」
海底の魔女「そうだ、実はこの魔法は口で言うほど簡単な魔法じゃない。種族を捨てると言うことは何代もの間に培われた絆、親や家族から受けた愛情を捨てることになる。この魔法を完成させるには…それを補う新たな強い愛情と絆が必要なんだ」
海底の魔女「お前が理解しやすいように言うならば『王子と結婚する必要がある』ということだ、それが王子との強い絆を示す契りになる。それが出来なければ……王子がお前以外の女と結婚したり、お前と王子との結婚が絶望的になれば」
海底の魔女「お前は存在を維持できず、泡となって消える」
人魚姫「……泡!?なにそれ、結局消えるんじゃん!」
海底の魔女「なに、無事にお前と王子が結婚できればお前は人間のままでいられる。それとも諦めるか?愛される自信がないということか?」
人魚姫「……わかった、その魔法の薬貰う。あたしの想いは絶対に王子に伝わるからさ、結婚できれば問題ないんでしょ?」
海底の魔女「ああ、そうだ。では、こいつを渡す前に対価を受け取るとしよう……人魚姫が持っている価値ある物と薬を交換だ」
398 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:29:34 ID:TNJ
人魚姫「価値ある物……宝石ならアクセに使ってるのがあるけど……あんまり価値のあるもんじゃないよ?あたし、お金もそんなにないし」
海底の魔女「そういう形のあるもんじゃない。お前は素晴らしい声を持っているだろう?それと交換だ」ニヤッ
赤鬼「なぁ、魔女よ。そいつはちょっと足下見すぎだぞ。もっと何か他のもんじゃ駄目なのか?」
赤ずきん「……赤鬼」グイッ
赤鬼「だがよぉ……あんまりじゃねぇか……」
海底の魔女「この魔法には私の血も必要だ、素人のお前達にはわからんだろうが高度な魔法なんだ。それに本来魔法というのは容易く使って良いもんじゃない、ましてや種族を捨てるならば尚更さ」
人魚姫「声と交換って……あたしはもう喋れないって事?」
海底の魔女「その通りだが、案ずるな。声が無くてもお前には美しい容姿がある、想いを伝える澄んだ瞳がある、声が無くとも何ら問題はない。むしろディーヴァの呪縛から逃れられるんだ」
人魚姫「……でもさ、この声は兵器になる。あんたが悪いことに使わないとも言えないじゃん」
海底の魔女「お前の声を譲り受けても私には人間を操ることなど出来んから安心しろ。ただ海底での退屈しのぎに歌でも聴こうと思っているだけさ、そうでもしないと薄暗い海底じゃ退屈なのだよ」
人魚姫「……わかった、アクセ作る技術とかだったら困るけど声だったら……いいよ、声が無くたって王子と結ばれてみせるから」
海底の魔女「うむ、では口を開きなさい。お前の声と魔法の薬…交換成立だ」
シュォォォォ
399 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:31:04 ID:TNJ
シュオオオォォォ
海底の魔女「……よし、確かにお前の声は受け取ったぞ」スゥッ
人魚姫「……っ」パクパク
赤鬼「おお、本当に声を失っちまったんだな…何か言いたそうだがまったく聞こえんぞ…」
海底の魔女「では次は魔法の薬を飲む番だ。吐き気がするほど苦いが、一息ですべて飲み干すんだ」スッ
人魚姫「……」トントン
赤ずきん「何?私に何か伝えたいの?」
人魚姫「……」ゴソゴソ パキンッ
スッ
赤ずきん「これ、約束していたあなたの鱗ね…?」
人魚姫「……」ヘラヘラ
赤ずきん「これで新しい魔法具を作ってもらえる。ありがとう、人魚姫」ニコッ
人魚姫「……」ニコニコ
400 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:32:33 ID:TNJ
海底の魔女「さぁ、もういいだろう?薬を飲み干すんだ人魚姫、きちんと効果が出ているか確かめなきゃなんないからねぇ」
人魚姫「……」コクコク
ゴクリゴクリ
人魚姫「……!?…………っ!」ジタバタ
海底の魔女「喉が焼けるような感覚があるかもしれんが、じきに治まる。少しの間我慢をするんだ」
赤鬼「おい!そういう事は先に言ってやれ!おい大丈夫か!?」
人魚姫「……っ!……っ!!」ジタバタ
シュオオォォォォ
赤ずきん「人魚姫の尾びれが二つに分かれて…!」
シュオォォォ
人魚姫「……!」スラッ
赤鬼「おぉ…魔法の力ってのは毎度ながらすごいな……どこから見ても人間にしか見えんぞ」
海底の魔女「ふむ、どうやら成功のようだね、きちんと二本の足が生えた。その変わりお前は水中で呼吸は出来ない、以前ほど深く潜ることも出来ない。だが……陸の上を自由に歩くことが出来る」
海底の魔女「お前はもう間違いなく人間になったんだ、人魚姫」
401 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:37:28 ID:TNJ
赤鬼「しかし、なんだ……人魚姫、お前の下半身はもう尾びれじゃないわけでだな…なんつうか」
人魚姫「……?」
赤鬼「…いや、いい。風邪引くからお前はこの外套を羽織っていろ……」ファサッ
赤ずきん「そうね、どこかの国王じゃないのだから裸でいられては困るわね」
人魚姫「……」ヘラヘラ
海底の魔女「さぁ、これでお前との契約は果たせた。いいか?きちんと王子と結婚をする事だ、でなければお前は泡になるしかないんだ」
人魚姫「……」コクコク
海底の魔女「さぁ、次は赤ずきんだ…私はお前に興味がある。その歳で魔法具をいくつも持っているんだからねぇ」クスクス
赤ずきん「……人魚姫から声を受け取ったように、私の持つ魔法具を狙っているのかしら?」
海底の魔女「その通りさ、外の世界から客が来るなんて珍しいからねぇ、さぞ珍しいものを持っているんだろう…さぁ、お前の願いをお言い」
赤鬼「おい、赤ずきん…相手にすることねぇぞ?余分な魔法具なんてねぇんだから」ヒソヒソ
赤ずきん「そうね、でも一つだけ頼みたいわね。人魚姫と会話できないのは不便だわ、なんとかならないかしら?」
海底の魔女「そうさねぇ、声を返すとなるとお前の魔法具では割に合わない、かといってその可愛い瞳をふたつとも抉るのは嫌だろう?」クスクス
赤ずきん「当然でしょう、私と赤鬼にだけ彼女の声が届けばいいのよ」
海底の魔女「厳密には声ではないが……人魚姫が伝えようとしている思念を飛ばすことは可能さね」
赤ずきん「それで構わないわ、頼めるかしら」
海底の魔女「よかろう。ではお前の持つ魔法具を見せてもらおうかね……」
402 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:39:48 ID:TNJ
海底の魔女「ほう、そのずきんには並々ならぬ魔力が注がれておるようじゃな、この魔力の破調は移動系統の魔法か。マスケットも同様…ふむ、これらを創り出した魔法使いは相当な術者だな」
海底の魔女「あとは、お前が小瓶に入れて隠し持っている魔法具があるねぇ?こいつは……」
赤ずきん「悪いけれど、どれも手放せないのよ。他で手が打てないかしら?」
海底の魔女「ほう、これほどの魔法具そうそう手放せんか、しかし他ねぇ……他には特に……んっ?」
海底の魔女「なんだ…?魔力の気配が他にもあるじゃないか…そのポケットの中身を見せてみるんじゃ、他の物より魔力は薄いが……」
赤ずきん「あぁ、もしかしてこれの事?」
スッ
海底の魔女「むぅ、なんだこれは…!?鉱石を掘った人形のようだが見たことのない種類の鉱石だ、こんなものはこの世界にはないぞ…!」
赤ずきん「そうなの?確かに特別なものと言っていたけれど」
赤鬼「おい、赤ずきんそれって……」
海底の魔女「妙な形状だが、使われている鉱石はかなり上等なものだ!いいや、それだけじゃない…この鉱石、魔力が定着しやすい素材だな、これがあれば魔法具を作る際の魔力定着を補助することが出来る…」
海底の魔女「赤ずきん、こいつをどこで手に入れた!?なんなんだ一体!?」
赤ずきん「それは私達が世話になっている王から貰ったもの……名前は確か……」
赤ずきん「おしゃべり裸王くんよ」
403 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:41:41 ID:TNJ
マッスルラリアーット! ワガナハラオウ!
海底の魔女「なるほどな、部分的に圧迫することで声が再生される仕組みか……この様な上等な鉱石になんと馬鹿馬鹿しい魔法を……」
赤ずきん「これを対価にするわ、これでは足りないかしら?」
赤鬼「おい、良いのか赤ずきん?裸王に悪いぞ」
赤ずきん「けれど、ここで使わなかったとしても私は長者に譲るわよ?持っていても荷物になるもの、それに裸王は気にしないでしょう」
赤おに「そりゃあそうだが…」
海底の魔女「うむ、対価はこれで良かろう。しかし、かけられている魔法は解くから返すことは出来んぞ?」
赤ずきん「ええ、構わないわ。好きにしてちょうだい」
赤鬼「……裸王、すまん。オイラには止められねぇみたいだ」ボソッ
海底の魔女「よし、では交渉成立だ。お前達二人だけ、人魚姫が伝えたい思念を受け取れるようにしてやろう」
パアアァァァァァ
404 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:46:44 ID:TNJ
・・・
赤ずきん「人魚姫、なんでもいいから私達に言葉をかけてちょうだい」
人魚姫『なんでもって……あぁ、とりあえず服って奴、着たいんだけど?人間になったら急に寒くなってさー』
赤鬼「うむ、街へ戻ったら探してきてやろう」
海底の魔女「その様子、どうやら聞こえているようだな」
赤ずきん「ええ、ありがとう。これが対価の『おしゃべり裸王くん』よ、受け取って頂戴」スッ
海底の魔女「確かに…では私は海底に戻るとしよう、また願いがあれば私を頼ると良い。もちろん対価はいただくがな?」フフフッ
ザブンッ
人魚姫『行っちゃったねー。まぁ声は無くなっちゃったけどさ、人間になれたしいっか。でもこうやって赤ずきんと赤鬼と話出来るってのはマジで嬉しい、あんがとね赤ずきん』ニヘラ
赤ずきん「いいのよ、私がやりたくてやったことだから」
赤鬼「よし、じゃあとりあえず街へ戻るか。宿も一人増えたくらいなら何とかなるだろう、それに人魚姫もいつまでも海岸に居ちゃまずいだろう?さぁ、船に乗ってくれ」
人魚姫『そーだね、陸の上行くのチョー楽しみだなぁー…』グイッ
ズキズキッ!!
人魚姫『……っ!!』ドシャッ
赤鬼「うおっ、大丈夫か!?歩き慣れてねぇからバランス崩したのか?」
赤ずきん「ほら、立てそう?手を貸すから、少しずつ慣れていきましょう」
人魚姫『なにこれ……人間は歩く度にこんな激痛に耐えてるわけ?足をナイフで刺されたみたいな痛みが走ったんだけど…』
数時間後……
港町
ザワザワ ザワザワ
「身元の確認をお願いします!みなさんどうか落ち着いて、落ち着いて我々の指示に従って行動を──」
「病院への搬送は大怪我をされている方が優先です!傷の浅い方はこちらで治療します!」
「手が空いてる奴いるか!こっちへ来てくれ!」
ザワザワ ザワザワ
赤鬼「どうやら海に投げ出された乗客の救出は落ち着いたみたいだな」
赤ずきん「……そうね。あとは怪我人の治療と身元確認、私達の出る幕はないわね」
赤鬼「ああ、どうやら役人が先導してくれてる。あとは任せてオイラ達は入り江に向かおう、人魚姫もそこに向かってるはずだ」ザッ
タッタッタッタッ
じい「お待ちくだされ、そこのお二方……!」
赤ずきん「…あら、私達に何か用事でもあるの?」
じい「事情は聞きましたぞ!船の沈没する場面に偶然居合わせ、いち早く救助を要請してくださったと…」
じい「あの船は王族や貴族…多くの高名な方々が乗船しておられました、もしも被害が更に大きくなっていたかと思うと恐ろしい…そこで国王様が是非あなた方にお礼がしたいと」
赤鬼「いや、オイラ達は助けを呼んだだけだ。礼を言われるようなことはしていない、それに用事もある。国王には申し訳ないが……」
388 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:06:44 ID:TNJ
じい「はははっご謙遜を!ご都合が悪いようでしたらすぐでなくとも構わないとの事です、国王様より預かった書面をお渡ししますので。お時間のあるときに番兵にお見せください、すぐに城へとお通しします」スッ
赤鬼「むむっ、そこまで言うのなら…また明日伺わせて貰おうか」
じい「ではそのように国王陛下にお伝えしておきます」
赤ずきん「…ねぇ、王子もこの船に乗っていたのでしょう?救助はされたのかしら?」
じい「はい、おかげさまで…海岸で倒れているところを通りがかりの少女が助けてくださいまして、ただいま治療中です」
赤ずきん「そう、わかったわ」
赤ずきん「…人魚姫、王子を海岸まで無事に運べたようね」ヒソヒソ
赤鬼「うむ、それを通りがかりの娘が介抱する…話の筋は変わっちゃ居ないな」ヒソヒソ
赤ずきん「ええ……では、行きましょうか赤鬼。彼女が待ってるものね」
赤鬼「うむ……ではオイラ達はこれで、国王への挨拶は明日させて貰う。どうかよろしく言っておいてくれ」
じい「はい、かしこまりました。お待ちしております」
389 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:09:17 ID:TNJ
秘密の入り江
ギーコギーコ ザザァ
赤ずきん「人魚姫、もう到着しているかしら?」キョロキョロ
赤鬼「海の中にも……潜っていないみたいだな。船より早く泳げるんだ、オイラ達より早く来ていると思ったが」
赤ずきん「すぐに来るでしょう、待ちましょう」ストンッ
赤鬼「おう、そうだな…」
赤ずきん「……」
赤鬼「……なぁ、赤ずきん。人魚姫のことなんだが……」ドスッ
赤ずきん「……人魚姫がどうしたの?」
赤鬼「やっぱりよぉ、なんとかならないもんか?このままだと人魚姫は泡になって消えちまうだろ?オイラ達で助けてやれねぇか?」
赤ずきん「……彼女を助ければこのおとぎ話が消えてしまう。それは最初に話したじゃない」
赤鬼「それは理解してるんだ、だが……あいつは一生懸命夢を追ってるだろう?人間との関係だって改善しようとしてる、他人事には思えないんだよ」
赤ずきん「……私達の都合でおとぎ話を勝手に消したりすれば、やっている事はアリスやドロシーと同じになってしまうわよ?」
赤鬼「そうかもしれねぇが……お前だって、人魚姫に消えて欲しくないだろう?」
390 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:11:09 ID:TNJ
赤ずきん「……あなただから言うけれど」スタッ
赤ずきん「人魚姫に消えて欲しくない、それが私の本音よ」
赤ずきん「けれど…最初にも言ったけれどおとぎ話が消えるのだって嫌なの。私にはどちらか選ぶなんて……彼女と親しくなった今では、できない」
赤鬼「……」
赤ずきん「今のところ、気がかりなところはあるけれど本来の筋通りにお話が展開してる。異変が起きていないなら、私達はおとぎ話の筋に干渉しちゃいけないのよ」
赤ずきん「乱暴な言い方だけれど…このまま何もしなくてもおとぎ話は結末へと向かっていく、人魚姫は本来の結末の通り泡になる。私達はそれを見守るだけ」
赤ずきん「きっと、私達に許されているのはそれだけよ。結末がどうあれ人魚姫を見守る、それしかできない……しちゃいけないのよ」
赤鬼「…すまん、お前も辛いのに余計なことを口にしちまった」
赤ずきん「いいのよ、私もあなたと気持ちは同じよ。せめて、ずっと彼女に支えになりましょう、あの子が消えてしまう瞬間まで」
スゥー ザバザバー
人魚姫「…あっ、二人とも早いじゃん。ちょっと遅くなった、マジゴメンねー」ゼェゼェ
赤ずきん「なんだか、随分と疲れているようだけど…?」
人魚姫「王子を海岸まで運んだ後さ、船まで戻って…溺れた人を助けたりしてたんだよ、船が来るまでの間ね」
赤鬼「そいつは大変だったろう…だがおかげで大勢の人間が死なずに済んでいたぞ。あの規模の船が沈んだにしては被害はかなり抑えられていたらしいからな」
人魚姫「それなら良かったけどさー…一応、人間にはあんまり見られないように気を使ってたからチョー疲れたー」
赤ずきん「あの騒ぎの中で更に人魚が出たなんて騒ぎになれば大変だものね」
人魚姫「まぁね、まぁでもさー、王子や人間のみんなが助かってマジで良かったよー」ニヘラ
391 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:13:24 ID:TNJ
赤鬼「しかし、お前の姉が人間を殺すために動いているのは聞いたが…実際に見ると壮絶だったな、あんなデカい船が沈んじまうんだから」
人魚姫「…あんなのがあちこちで行われてるんだけどさ、でもあたしが何を言っても『お父様ーお父様ー』って言ってて聞かないんだよ姉ちゃん。なんなのあのファザコン!」バンッ
赤ずきん「お父様…あなたの国の王ね、そこまで慕われているなら余程の善政を敷いているのでしょう?」
人魚姫「まぁ人魚の国だけ見ればね。平和だし豊かだし、みんな人間を恨んでるから人魚同士で争いなんて滅多にないしさ」
赤鬼「人間という共通の『敵』がいるから団結できてるわけか…」
人魚姫「でもさ、そのために姉ちゃんに厳しくあたったり人間を殺してるんじゃ意味ないと思うんだよね。やっぱり共存が一番だと思うんだけどなー、人間ってやっぱり悪い人ばっかりじゃないっしょ」
人魚姫「だってさ王子抱えてるときね、うわ言のようにずっとみんなのこと心配してたんだよね。そんな人が悪い奴な訳ないし」
赤ずきん「自分も意識が朦朧としているというのに立派ね」
人魚姫「マジでそれ!もうあたし惚れちゃった!」テレテレ
人魚姫「王子なら絶対解ってくれると思うんだよね。そりゃあびっくりするかもだけど人魚とも仲良くしてくれるっしょ!」
人魚姫「それに王子はチョーイケメンだし!」ヘラヘラ
赤ずきん「それは善悪と関係あるのかしら…?」
赤鬼「まぁ男前と善人に関連があるかは置いといてだ、惚れちまうほど魅力ある奴に巡り会えたってのには喜ばねぇとな」ガハハ
人魚姫「そう思うっしょ?だからさ、あたしはもう一度王子に会って話がしたいんだ」
人魚姫「王子に会ってさ、私が助けた事を伝えれば絶対に友達になれるっしょ!人魚のあたしに人間の友達が増えれば、あたし達が仲良くできればすべての人魚と人間だって協力できる…!」
人魚姫「っていうか、あたしとしては友達ってより彼氏になってくれるのが一番良いんだけど」ヘラヘラ
赤ずきん「あら、真面目に種族間の事を考えていると思ったら結局そこなのね」クスクス
人魚姫「いいじゃん別にー!それにもちろん種族同士のことだってマジメに考えてっからね?でも好きになったもんはしょうがないじゃん!」
赤鬼「ガハハッ!いやいや、オイラは良いことだと思うぞ?結構じゃねぇか、それこそ惚れちまうのに種族やら関係ねぇんだからな」ガハハ
人魚姫「赤鬼はホントに良いこと言うじゃん!マジでそれだよねー」
クスクスクス……
赤ずきん「……っ!」ガチャッ
赤鬼「笑い声…!オイラ達の他に誰か居るぞ!?」グッ
ザバァ
???「ここ数日、このあたりで魔法具の気配がすると思っていたが……海面へ上がってきたのはどうやら正解だったみたいだねぇ」クスクス
赤鬼「魔法具だと…?お前、何者なんだ!?」ググッ
393 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:17:27 ID:TNJ
???「やけに暑苦しい奴がいるじゃないか。落ち着きな、私はお前達と交渉がしたいだけさね」
赤ずきん「交渉…?魔法具と言っていたけれど、あなた……」ガシャッ
人魚姫「…あんた、もしかしてオヤジや姉ちゃんに命令されてあたしを連れ戻しに来たっての?」
???「いいや違う。私は何にも縛られない魔女、人魚の王相手でも私は従うつもりはないのさ。むしろお前に協力するために来たんだ、人魚姫」
海底の魔女「私は海底の魔女、お前の願いを叶える者さ」フフッ
人魚姫「海底の魔女…!姉ちゃんが昔教えてくれた、海底に住む膨大な魔力を持った人魚がいるって……あんたがその魔女ってわけ?」
海底の魔女「そうだ、本来ならお前が来るのを海底で待つつもりでいたが……どうやら面白い客人が居るようだったからねぇ、こちらから出向いたんだ」チラッ
赤ずきん「……私達を客人だなんて呼び方をするという事は、あなたも他の世界の魔女達と同様におとぎ話の事情を知る者なのね?」
人魚姫「おとぎ……?なにそれ?」
海底の魔女「ああ、そうさ。だからお前達の事も知っている。だからこそここに来たんだ、だが少し待っていてくれ、まずは本来の仕事を済ませてしまおう」フフッ
人魚姫「っていうか、何をごちゃごちゃ言ってるわけ?あたしの願いを叶えるってどういう意味なの?」
海底の魔女「願いを叶える、そして救ってやる。人魚姫、お前は人間の王子に恋をしたと言ったな?」
394 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:19:54 ID:TNJ
人魚姫「そうだけど……あっ、もしかして王子に魔法をかけて私に事を好きにさせてやるとか言うつもり?言っとくけどそんなの嫌だからね!」
海底の魔女「そんな無粋なことはしないさ、だが人魚のお前がどうやって王子に近づく?考えはあるのか?」
人魚姫「そりゃ、赤ずきん達に王子を海につれてきて貰うとかいろいろあるじゃん?」
海底の魔女「そうか、それは無理だ。今海底がどうなっているか知っているか人魚姫?お前が人間を助けている間に何があったのか」
人魚姫「…はっ?どういうこと?」
海底の魔女「お前はあの船が沈むときに歌を歌っただろう?あれを聞いていた奴が…海の中から見ていた奴が居たんだ」
人魚姫「は?意味わかんないんですけど…?別にあたし的には見られたって問題ないけど?」
赤ずきん「そうかしら……人魚の王族の姉妹は歌で人間を操れるのでしょう?眠りの歌で船を沈めたあなたの姉の後、追うようにあなたも歌声をあげた……人間を救うために。それを見られたんでしょう?」
赤鬼「うむ……オイラ達からしたら人間を助けるのは当然だが、人間を恨んでいる人魚からしたら大問題だ。王族が憎き人間を救った…その事は当然、王の耳にも入るだろうな」
人魚姫「あっ……それヤバいかも……」
海底の魔女「そうだ、お前の父親は激怒している。もう兵士に命じてお前の捜索を開始しただろう、時間はあまりないぞ?あの王に捕まればどうなるか想像するは容易いだろう?」
人魚姫「……もう、二度と自由にはなれないだろーね」
海底の魔女「そうだな、この海にお前が自由でいられる場所はもはや存在しない。捕まれば拘束でもされてただ歌い続ける事になるだろうな」
395 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:22:30 ID:TNJ
人魚姫「……絶対嫌、アイツの言いなりは…!」クッ
海底の魔女「つくづくお前は可哀想な奴だ、憧れた夢を持っていることも親に反抗することも、素敵な男に恋をすることも…年頃の娘なら当然のことだというのに」
人魚姫「はぁ!?あたしは可哀想なんかじゃ……!」バッ
海底の魔女「いいや、可哀想さ。優れすぎた歌声を持っているせいで、王族に生まれたせいで、恋の相手が人間だというせいでなにもかもが許されない…」
人魚姫「……」クッ
海底の魔女「だが、問題は無い。すべてを解決する方法が一つある」
人魚姫「……教えて」
人魚姫「あんたは私を助けてくれるんでしょ?あたしが人殺しにならなくて済む方法を、あんたは知ってんでしょ!?」
海底の魔女「簡単なことさ。歌声がお前を縛るなら手放せばいい、家系がお前にとって苦痛なら捨ててしまえばいい、人魚であることがお前を苦しめるなら人間になればいい」
人魚姫「人間に……なれるっての?」
海底の魔女「私の魔法ならばな。人間になれば陸へ行ける、人魚の追っ手も来ないんだ。捕まりたくはないだろう?それに王子に会いに行くことだってできる、王子に会いたいだろう?」
人魚姫「アイツの言いなりは嫌、絶対捕まりたくない。それに王子に会いたい、会って伝えたい…!あたしが助けたって事、王子を好きになっちゃったって事も…!」
海底の魔女「だったら人間になるしかない。お前も人間になりたいだろう?」
396 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:24:11 ID:TNJ
人魚姫「アイツから逃げられるなら、王子に会えるならあたしは人間になりたい」
人魚姫「でも……あたしは人間と人魚が一緒に暮らせる世界にしたいんだ、もう争わないためにさ。それを考えるとちょっと迷っちゃうんだよね……」
海底の魔女「やれやれ、もういいだろうそんなこと。人間になればそんな事考える必要ないんだ、そもそも共存なんか考えるだけ無駄さね」
赤鬼「おい、無駄なんて言い方が……!」ガバッ
赤ずきん「……赤鬼、耐えましょう。この話は私達が口を出して良いものじゃないわ」
海底の魔女「何を悩む必要がある?共存なんて出来もしない夢を追って、自由を失うのか?」
人魚姫「……そうじゃないけどさ、でも……」
海底の魔女「ほう、そうかい…あくまで共存を目指すと言うか?それは結構な事だが……人間や鬼には人魚の追っ手を退くことなど出来ないぞ?海にいては結局は捕まる」
人魚姫「……」
海底の魔女「人魚であることに固執して自由と仲間を失い兵器となるか、人間になって自由と仲間を守るか。考える必要があるかも疑わしいが……決断するんだ、時間はあまりない」
人魚姫「……」
人魚姫「……わかった。あたしを人間にして、海底の魔女」
397 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:26:48 ID:TNJ
海底の魔女「賢明な判断だ。人魚のままではお前は幸せになれないんだからねぇ」クスクス
人魚姫「……じゃあさ、早く人間にしてよ。あたしの決心が鈍くなっちゃう前にさ」
海底の魔女「そう慌てるな、この薬を飲めばお前の美しい尾びれは二本の白い足に変わり、お前はたちまち人間へとなれる。しかし、注意することがある」スッ
人魚姫「注意すること……?」
海底の魔女「そうだ、実はこの魔法は口で言うほど簡単な魔法じゃない。種族を捨てると言うことは何代もの間に培われた絆、親や家族から受けた愛情を捨てることになる。この魔法を完成させるには…それを補う新たな強い愛情と絆が必要なんだ」
海底の魔女「お前が理解しやすいように言うならば『王子と結婚する必要がある』ということだ、それが王子との強い絆を示す契りになる。それが出来なければ……王子がお前以外の女と結婚したり、お前と王子との結婚が絶望的になれば」
海底の魔女「お前は存在を維持できず、泡となって消える」
人魚姫「……泡!?なにそれ、結局消えるんじゃん!」
海底の魔女「なに、無事にお前と王子が結婚できればお前は人間のままでいられる。それとも諦めるか?愛される自信がないということか?」
人魚姫「……わかった、その魔法の薬貰う。あたしの想いは絶対に王子に伝わるからさ、結婚できれば問題ないんでしょ?」
海底の魔女「ああ、そうだ。では、こいつを渡す前に対価を受け取るとしよう……人魚姫が持っている価値ある物と薬を交換だ」
398 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:29:34 ID:TNJ
人魚姫「価値ある物……宝石ならアクセに使ってるのがあるけど……あんまり価値のあるもんじゃないよ?あたし、お金もそんなにないし」
海底の魔女「そういう形のあるもんじゃない。お前は素晴らしい声を持っているだろう?それと交換だ」ニヤッ
赤鬼「なぁ、魔女よ。そいつはちょっと足下見すぎだぞ。もっと何か他のもんじゃ駄目なのか?」
赤ずきん「……赤鬼」グイッ
赤鬼「だがよぉ……あんまりじゃねぇか……」
海底の魔女「この魔法には私の血も必要だ、素人のお前達にはわからんだろうが高度な魔法なんだ。それに本来魔法というのは容易く使って良いもんじゃない、ましてや種族を捨てるならば尚更さ」
人魚姫「声と交換って……あたしはもう喋れないって事?」
海底の魔女「その通りだが、案ずるな。声が無くてもお前には美しい容姿がある、想いを伝える澄んだ瞳がある、声が無くとも何ら問題はない。むしろディーヴァの呪縛から逃れられるんだ」
人魚姫「……でもさ、この声は兵器になる。あんたが悪いことに使わないとも言えないじゃん」
海底の魔女「お前の声を譲り受けても私には人間を操ることなど出来んから安心しろ。ただ海底での退屈しのぎに歌でも聴こうと思っているだけさ、そうでもしないと薄暗い海底じゃ退屈なのだよ」
人魚姫「……わかった、アクセ作る技術とかだったら困るけど声だったら……いいよ、声が無くたって王子と結ばれてみせるから」
海底の魔女「うむ、では口を開きなさい。お前の声と魔法の薬…交換成立だ」
シュォォォォ
399 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:31:04 ID:TNJ
シュオオオォォォ
海底の魔女「……よし、確かにお前の声は受け取ったぞ」スゥッ
人魚姫「……っ」パクパク
赤鬼「おお、本当に声を失っちまったんだな…何か言いたそうだがまったく聞こえんぞ…」
海底の魔女「では次は魔法の薬を飲む番だ。吐き気がするほど苦いが、一息ですべて飲み干すんだ」スッ
人魚姫「……」トントン
赤ずきん「何?私に何か伝えたいの?」
人魚姫「……」ゴソゴソ パキンッ
スッ
赤ずきん「これ、約束していたあなたの鱗ね…?」
人魚姫「……」ヘラヘラ
赤ずきん「これで新しい魔法具を作ってもらえる。ありがとう、人魚姫」ニコッ
人魚姫「……」ニコニコ
400 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:32:33 ID:TNJ
海底の魔女「さぁ、もういいだろう?薬を飲み干すんだ人魚姫、きちんと効果が出ているか確かめなきゃなんないからねぇ」
人魚姫「……」コクコク
ゴクリゴクリ
人魚姫「……!?…………っ!」ジタバタ
海底の魔女「喉が焼けるような感覚があるかもしれんが、じきに治まる。少しの間我慢をするんだ」
赤鬼「おい!そういう事は先に言ってやれ!おい大丈夫か!?」
人魚姫「……っ!……っ!!」ジタバタ
シュオオォォォォ
赤ずきん「人魚姫の尾びれが二つに分かれて…!」
シュオォォォ
人魚姫「……!」スラッ
赤鬼「おぉ…魔法の力ってのは毎度ながらすごいな……どこから見ても人間にしか見えんぞ」
海底の魔女「ふむ、どうやら成功のようだね、きちんと二本の足が生えた。その変わりお前は水中で呼吸は出来ない、以前ほど深く潜ることも出来ない。だが……陸の上を自由に歩くことが出来る」
海底の魔女「お前はもう間違いなく人間になったんだ、人魚姫」
401 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:37:28 ID:TNJ
赤鬼「しかし、なんだ……人魚姫、お前の下半身はもう尾びれじゃないわけでだな…なんつうか」
人魚姫「……?」
赤鬼「…いや、いい。風邪引くからお前はこの外套を羽織っていろ……」ファサッ
赤ずきん「そうね、どこかの国王じゃないのだから裸でいられては困るわね」
人魚姫「……」ヘラヘラ
海底の魔女「さぁ、これでお前との契約は果たせた。いいか?きちんと王子と結婚をする事だ、でなければお前は泡になるしかないんだ」
人魚姫「……」コクコク
海底の魔女「さぁ、次は赤ずきんだ…私はお前に興味がある。その歳で魔法具をいくつも持っているんだからねぇ」クスクス
赤ずきん「……人魚姫から声を受け取ったように、私の持つ魔法具を狙っているのかしら?」
海底の魔女「その通りさ、外の世界から客が来るなんて珍しいからねぇ、さぞ珍しいものを持っているんだろう…さぁ、お前の願いをお言い」
赤鬼「おい、赤ずきん…相手にすることねぇぞ?余分な魔法具なんてねぇんだから」ヒソヒソ
赤ずきん「そうね、でも一つだけ頼みたいわね。人魚姫と会話できないのは不便だわ、なんとかならないかしら?」
海底の魔女「そうさねぇ、声を返すとなるとお前の魔法具では割に合わない、かといってその可愛い瞳をふたつとも抉るのは嫌だろう?」クスクス
赤ずきん「当然でしょう、私と赤鬼にだけ彼女の声が届けばいいのよ」
海底の魔女「厳密には声ではないが……人魚姫が伝えようとしている思念を飛ばすことは可能さね」
赤ずきん「それで構わないわ、頼めるかしら」
海底の魔女「よかろう。ではお前の持つ魔法具を見せてもらおうかね……」
402 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:39:48 ID:TNJ
海底の魔女「ほう、そのずきんには並々ならぬ魔力が注がれておるようじゃな、この魔力の破調は移動系統の魔法か。マスケットも同様…ふむ、これらを創り出した魔法使いは相当な術者だな」
海底の魔女「あとは、お前が小瓶に入れて隠し持っている魔法具があるねぇ?こいつは……」
赤ずきん「悪いけれど、どれも手放せないのよ。他で手が打てないかしら?」
海底の魔女「ほう、これほどの魔法具そうそう手放せんか、しかし他ねぇ……他には特に……んっ?」
海底の魔女「なんだ…?魔力の気配が他にもあるじゃないか…そのポケットの中身を見せてみるんじゃ、他の物より魔力は薄いが……」
赤ずきん「あぁ、もしかしてこれの事?」
スッ
海底の魔女「むぅ、なんだこれは…!?鉱石を掘った人形のようだが見たことのない種類の鉱石だ、こんなものはこの世界にはないぞ…!」
赤ずきん「そうなの?確かに特別なものと言っていたけれど」
赤鬼「おい、赤ずきんそれって……」
海底の魔女「妙な形状だが、使われている鉱石はかなり上等なものだ!いいや、それだけじゃない…この鉱石、魔力が定着しやすい素材だな、これがあれば魔法具を作る際の魔力定着を補助することが出来る…」
海底の魔女「赤ずきん、こいつをどこで手に入れた!?なんなんだ一体!?」
赤ずきん「それは私達が世話になっている王から貰ったもの……名前は確か……」
赤ずきん「おしゃべり裸王くんよ」
403 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:41:41 ID:TNJ
マッスルラリアーット! ワガナハラオウ!
海底の魔女「なるほどな、部分的に圧迫することで声が再生される仕組みか……この様な上等な鉱石になんと馬鹿馬鹿しい魔法を……」
赤ずきん「これを対価にするわ、これでは足りないかしら?」
赤鬼「おい、良いのか赤ずきん?裸王に悪いぞ」
赤ずきん「けれど、ここで使わなかったとしても私は長者に譲るわよ?持っていても荷物になるもの、それに裸王は気にしないでしょう」
赤おに「そりゃあそうだが…」
海底の魔女「うむ、対価はこれで良かろう。しかし、かけられている魔法は解くから返すことは出来んぞ?」
赤ずきん「ええ、構わないわ。好きにしてちょうだい」
赤鬼「……裸王、すまん。オイラには止められねぇみたいだ」ボソッ
海底の魔女「よし、では交渉成立だ。お前達二人だけ、人魚姫が伝えたい思念を受け取れるようにしてやろう」
パアアァァァァァ
404 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/04/07(火)23:46:44 ID:TNJ
・・・
赤ずきん「人魚姫、なんでもいいから私達に言葉をかけてちょうだい」
人魚姫『なんでもって……あぁ、とりあえず服って奴、着たいんだけど?人間になったら急に寒くなってさー』
赤鬼「うむ、街へ戻ったら探してきてやろう」
海底の魔女「その様子、どうやら聞こえているようだな」
赤ずきん「ええ、ありがとう。これが対価の『おしゃべり裸王くん』よ、受け取って頂戴」スッ
海底の魔女「確かに…では私は海底に戻るとしよう、また願いがあれば私を頼ると良い。もちろん対価はいただくがな?」フフフッ
ザブンッ
人魚姫『行っちゃったねー。まぁ声は無くなっちゃったけどさ、人間になれたしいっか。でもこうやって赤ずきんと赤鬼と話出来るってのはマジで嬉しい、あんがとね赤ずきん』ニヘラ
赤ずきん「いいのよ、私がやりたくてやったことだから」
赤鬼「よし、じゃあとりあえず街へ戻るか。宿も一人増えたくらいなら何とかなるだろう、それに人魚姫もいつまでも海岸に居ちゃまずいだろう?さぁ、船に乗ってくれ」
人魚姫『そーだね、陸の上行くのチョー楽しみだなぁー…』グイッ
ズキズキッ!!
人魚姫『……っ!!』ドシャッ
赤鬼「うおっ、大丈夫か!?歩き慣れてねぇからバランス崩したのか?」
赤ずきん「ほら、立てそう?手を貸すから、少しずつ慣れていきましょう」
人魚姫『なにこれ……人間は歩く度にこんな激痛に耐えてるわけ?足をナイフで刺されたみたいな痛みが走ったんだけど…』
キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 人魚姫編
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