キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 不思議の国のアリス編
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116 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/28(月)01:34:23 ID:SaL
雪の女王「そうか、貴様はカイの友人だった娘か」
ゲルダ「だった、なんて過去のことのように言わないで!今だって私はカイ君の親友だもの!」
雪の女王「……貴様が感じている友情は今や一方的なものだ。カイはもはや貴様の事など忘れているだろう」
ゲルダ「……っ!」
雪の女王「カイは私の宮殿で幸せに暮らしている。以前の家族や友人、当然貴様の事も忘れ…大好きな本に囲まれ寝食の心配無く充実した暮らしをしている」
雪の女王「今更、田舎での退屈な生活には戻れぬ。貴様も私のカイの事は忘れ、早々に故郷へ引き返せ」
ゲルダ「カイ君はあなたの所有物ではないわ!そんな風に、自分のモノみたいに言わないで!」ギッ
雪の女王「……喧しい小娘だ」スッ
ゲルダ「っ!?いつの間に背後に…!」
雪の女王「……我に建てつく人間など初めてだ。喜べ、称えてやろう」サワッ
スゥゥッ…
ゲルダ「な、何…?突然ひどい寒気が……あなたの仕業ね……?わ、わ私に何をしたの…!?」ブルブル
雪の女王「体内に冷気を送り込んでやったのだ、どのような毛皮を纏おうとも抗えない」
ゲルダ「だ、ダメ…立っていられない…!カイ君をさらった犯人が目の前にいるって言うのに…!」ブルブル
雪の女王「無様だな、小娘。力無き者が不相応に友を取り戻そうなどと思いあがるからそうなるのだ」
雪の女王「だが安心せよ、貴様の友人……いいや、私のカイは今この上ない幸せを感じているのだからな」
ゲルダ「……っ!」ガタガタブルブル
117 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/28(月)01:36:17 ID:SaL
ゲルダ「……」キッ
雪の女王「なんだその目は、言いたい事があるのならば言え、許可してやる。もっとも…冷気が全身を駆け廻り、口を開く事も出来まい」
雪の女王「この程度の冷気で音を上げるようでは我が宮殿にたどり着くなど夢のまた夢……ましてカイを取り返そうなど不可能だ」
ゲルダ「わ、わわ、わたし…は……っ!」ゼェゼェ
雪の女王「……」
ゲルダ「わたしは……かならず、カイ君を取り返す……!あなたには、わたさない……ぜったいに……!」ブルブル
雪の女王「……いつまで呆けている、トナカイ。この不愉快な娘を私の視界から消せ」
トナカイ「は、はい!ほ、ほらゲルダさん今度こそ行きますよ!」グイッ
ゲルダ「……まってなさい、ぜったい、ぜったい……」ガタガタ
雪の女王「中々強い意志を持つ小娘だな……いいだろう、一つ助言をしてやる」
雪の女王「貴様の体内を駆け廻る冷気は魔力でも何でもない、単なる冷気。早急に体を温めれば事無きを得るだろう」
ゲルダ「な、なんで……そんなことを……」
雪の女王「……」
雪の女王「ただの気まぐれだ、私の気が変わらぬうちに失せよ」
118 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/28(月)01:38:50 ID:SaL
トナカイ「も、もうゲルダさんは喋らないでください!で、では私達はこれで失礼します!」
パカラッパカラッパカラッ
雪の女王「……こんなものでいいだろう」ボソッ
ヒュッ
雪の女王「……そんな図体で不意打ちされてもな。次は足元だけでは済まさんぞ」パキパキパキッ
グリフォン「グ、グリフォォォ!!?」バキバキバキ
雪の女王「存在すること自体は許してやる、そこで黙っていろ」スッ
グリフォン「」カキーン
ハートの女王「貴様…またも我がしもべを…!許さぬぞ!」
雪の女王「……」
ハートの女王「あの程度の氷で私を足止めできると思っていたのか?私のしもべ、グリフォンのくちばしは鋭利なのでな!あの程度の氷を砕かせるなど容易い!」
ハートの女王「ゲルダは殺すなと言われていたが貴様の命は自由にしていいとアリスに言われている、受けた屈辱は死をもって償ってもらう!随分と調子に乗っていたようだが数々の無礼、決して許さぬぞ!」
雪の女王「……許さないと言いたいのはこちらだ、ハートの女王」
ヒュッ
雪の女王「普段は子供達の手前、手本となるように……と考えているがここではその様な事を気にする必要もないのでな、貴様の敗因の一つはそれだ」
ハートの女王「なっ、早い…!」
雪の女王「調子に乗っている、というのもこちらのセリフだ。貴様は自分の城の中でのみ威張り散らしていればよかったのだ」パキパキパキ…
ハートの女王「」カキーン
雪の女王「女王であろうと所詮貴様はトランプのカードなのだからな」
119 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/28(月)01:49:34 ID:SaL
今日はここまでです 不思議の国のアリス編 次回に続きます
【悲報】ハートの女王、一瞬で敗北
123 :名無しさん@おーぷん :2016/11/28(月)21:10:44 ID:DHt
乙です
女王対決瞬殺ですな
しかしゲルダ相手に悪役で通す女王なんか切ないなぁ…
子供好き姉さんの本性知ってるだけに…役割とは言え…( ノД`)
127 :名無しさん@おーぷん :2016/12/02(金)01:57:13 ID:jE5
子供好きだけど暫定最強の女王にさらわれて
それを心配して旅にまで出てくれる幼馴染みの女の子がいて
家族のように信頼しあってる弟分と二人の妹分がいて
呪い(魔法)の力を掛けられている
カイから漂うラノベの主人公感
129 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/12/03(土)00:21:56 ID:zh2
番外編更新しますー、本編は日曜日に更新予定!
130 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/12/03(土)00:23:27 ID:zh2
ローソンでアリスのカレンダー売ってるの見て「これティンカーベルが見たらブチ切れそう」とか想像してる>>1の番外編 『ゴマスリ』
ティンカーベル「もうすぐクリスマスだね!クリスマスは友達や恋人と一緒にディズニーランドに行こう!」
ティンカーベル「それと年末年始は意外とテレビ見る奴無いからTUTAYAでディズニー映画を借りてこようね!ゲオでもいいよ!」
ティンカーベル「お母さんはもうおせち料理の予約は済ませたかな?もちろん今年もディズニーのおせちで決まりだよ!」
キモオタ「……あの、ティンカーベル殿?お主は一体何をしているのでござるかな…?」
ティンカーベル「えっ?いや、本編もすっかり佳境でしょ?つまりさ、私が【ピーターパン】の世界を取り戻すのももうすぐって事じゃん!」
ティンカーベル「だからさ、そろそろディズニーに媚売っておこうと思ってこうやってアピールしてんの!」
キモオタ「ちょwww直球wwwいきなり何を言い出すでござるかwwwティンカーベル殿www」コポォ
ティンカーベル「笑い事じゃないよ!アリスの企みを阻止して【ピーターパン】の世界を復活させたとしてもそれでおしまいじゃないんだよ?」
ティンカーベル「せっかく復活させても現実世界の人たちに忘れられちゃったら結局は消えちゃうんだから!ちゃんと知名度を上げる努力しなきゃ!」
キモオタ「なるほどwwwそれで【ピーターパン】のディズニー映画化を狙っているのでござるかwww」コポォ
ティンカーベル「そゆこと!【シンデレラ】とか【ラプンツェル】とかディズニー映画化したおとぎ話は圧倒的な知名度があるじゃん!私もそれにあやかろうと思って!」
キモオタ「しかしこうも下心が見え見えのゴマスリは逆効果ではwwwいくらなんでもお行儀が悪く見えますぞwww」コポォ
ティンカーベル「お行儀が悪くてもいいから私は【ピーターパン】を映画化してほしいしあわよくば私のスピンオフ出してほしい、そしてグッズ展開してほしい」
キモオタ「お主www以前から思っていたでござるがそのグッズ化への執着は何なんでござるかwww別にグッズ化されなくとも知名度は確保できるでござろうwww」
ティンカーベル「いーや、私はスマホカバーになりたいし私オンリーのガチャガチャを出してほしい、全五種類+シークレット一種類で」
キモオタ「妙に細かい希望でござるなwww」
ティンカーベル「ていうかもう本音ぶっちゃけるけど…アリスグッズ化されすぎなんだよ!カレンダーになりーのヤクルトや菓子パンのパッケージになりーの一番くじになりーの…!ずるくない?ずるい!ずるいんだよぉぉぉぉ!!」
ティンカーベル「…というわけで、【ピーターパン】が復活したら映画化お願いします!」キリッ
キモオタ「【ピーターパン】の知名度うんぬんより完全に自分グッズが主目的でござるなwww」コポォ
131 :名無しさん@おーぷん :2016/12/03(土)04:01:24 ID:jjB
乙です!!
132 :名無しさん@おーぷん :2016/12/03(土)14:29:29 ID:yX3
ティンクwゴマスリが露骨w
ティンクのグッズ大量に買って来て贈ってやりたいなw
133 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/12/05(月)00:59:17 ID:jq7
雪の女王の世界 雪原
ビュオオオォォ……
グリフォン「」カチーン
ハートの女王「」コチーン
雪の女王「……」ザッザッ
雪の女王「無尽蔵に湧き出るトランプ兵、強靭な爪と飛行力を兼ね備えたグリフォン…戦いの場においては確かに驚異的な存在だ」
雪の女王「しかし、私と戦うことを想定した戦略も準備も不足している。吹雪と氷結を操る私に人海戦術などという力技が通じる訳がないだろう」
雪の女王「……アリス、君はそう思わないか?」
スッ
アリス「…姿を消すなんて小細工、雪の女王相手には通用しないか。まぁ、想定してたけどさ」ファサッ
アリス「ボクも相応の準備をしたほうがいいと言ったんだよ?でもハートの女王が聞き入れてくれなかったんだ」
アリス「『女王たる私が魔女ごときに後れなどとらぬ!私の圧倒的な兵力に敵う者などおらぬのだ、アリスといえど私の戦いに口出しはさせぬわ!』…ってね、困ったものだよ」ハァ…
雪の女王「全ての世界を巻き込んでやりたい放題している君達のほうが余程『困ったもの』だと思うが?」
アリス「ハハッ、そうだね。でもボクからすれば君も大概だよ?せっかくボクが魔法具で姿を消しているのに簡単に見抜いてしまうんだからさ。流石はおとぎ話の世界屈指の魔女様、困ったものだ」クスクス
雪の女王「私が魔力を有している見抜けたわけじゃあないだろう」
雪の女王「そんな風にむき出しの殺意を纏っていれば誰だってその存在に気づくさ」
134 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/12/05(月)01:03:56 ID:jq7
アリス「フフッ、そう言われればそうかも知れないな」クスクス
アリス「だけど君がさっき女王に向けていた殺意だって相当なものだったよ?とても子供好きの優しい女王様とは思えない姿だったからね、意外だったよ」
雪の女王「私は神でも仏でも無い、ただの魔女だ。腹立たしい事があれば怒りもする、不当な扱いを受ければ不満だってもつ、そして大切なものを壊そうとする輩が現れたならーー」
雪の女王「どんな手を使ってでも守り切る、たとえ相手の命を奪う結果になってもだ」
アリス「そうか。でも少し思いあがりが過ぎるんじゃないか?ボク達がこうして君の前に現れたという事は勝算があるって事だ」
アリス「それなのに君はキモオタ達を宮殿に残してきた、あんな豚でも何かの足しにはなるだろうに。それにこの場に連れてきたはずの白鳥と親指姫の姿が見えないな?」
雪の女王「……」
アリス「まぁ…大方、ゲルダを護衛するように命じているんだろう?彼女が安全に次の村へ進めるように、空からね」
雪の女王「君達がこの世界から手を引いてくれれば、彼女に護衛をつける必要も無いんだがな」
アリス「心配しなくてもボクはゲルダを襲ったりしないよ。そんな事をするメリットが無いからね」
アリス「どちらにしろ君は戦いになる事を覚悟していながらこの場に一人で出向いた。それはとんでもない思いあがりだとボクは思うけどね」
雪の女王「思いあがってなんかいないさ。私は元々一人でなければ能力を十分に発揮できない、魔法の性質上どうしても味方を巻き込んでしまうからね。まぁ、それ以前にーー」スッ
パキパキパキパキ……
雪の女王「我儘し放題の子供を叱るために大勢連れ立つ必要などないのだから」スッ
136 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/12/05(月)01:07:18 ID:jq7
パキパキ…バキバキバキッ!
アリス「…あぁ、これが噂に聞く君の十八番か。なるほど、足を凍りつけられただけだけど身動きが取れないというのは厄介だな」
雪の女王「動きを封じさせてもらう。君に暴れられては困るのでな」
アリス「それで?身動きが取れなくなったボクを氷柱で串刺しにでもするかい?それとも女王のように全身氷漬けにでもするか?」
雪の女王「そんな事をするつもりはないさ。私は君を殺したいわけではないのだから」
アリス「へぇ、それじゃあどうするつもりだい?」
雪の女王「アリス、君は自分の願いを叶える為に数え切れないほどの人々と世界を犠牲にしてきた。そして多くの恨みを買った」
雪の女王「おとぎ話の世界の多くはアリスという存在を危険視すると同時に敵視している。君はそうされても仕方が無い事をさんざん繰り返してきた」
雪の女王「悔いる権利は誰にでもあり、償えない罪は無いと私は思うが…それでも君の罪はそうそう許されるものでも償えるものでもない。自体はそれほど深刻なものだ」
アリス「……」
雪の女王「君が今ここで全ての計画を諦めて今までの行いを悔いると言っても、おとぎ話の世界の住人は誰ひとり納得しない。そのすべてが君を糾弾するだろう」
雪の女王「だが、君に少しでも後悔や反省の想いがあるのならば…改心して欲しい。それを約束できるなら私は君の償いに協力をする、君が許されるよう人々を説得して周る」
アリス「何を言うかと思えば…」
雪の女王「アリス、よく考えてみるんだ。君は確かに大いなる力を手にしたかもしれないが、私やキモオタ、多くの協力者だってそれは同じだ。力ずくで望みを叶えるなんてできはしない」
雪の女王「だからもう諦め、そして反省と償いをすべきだ。そう誓ってくれるのならば君の居場所は私が作ると約束する、だから…」
雪の女王「もうこれ以上罪を重ねるのはやめるんだ、アリス」
137 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/12/05(月)01:10:12 ID:jq7
アリス「……」
雪の女王「君が改心を約束するならハートの女王も開放する。彼女は君にとっては大切な仲間なんだろう?」
雪の女王「これは君の為でも、君の仲間達の為でもある。だからーー」
アリス「……呆れてものも言えないよ、雪の女王。優しい女王サマもここまでくると不愉快だ」スッ
アリス「反省?改心?償い?するわけがないだろう。それにあんたに説得されたくらいで諦めるほどボク達が求めているものは安っぽくない」
雪の女王「アリス…!」
アリス「どうしてボクがあんたの氷結を防ぎもせず避けもしなかったか、わからないのか?」カチッカチッ
ボボゥゥッ!!メラメラメラ…!!
アリス「必要が無いからさ。こんな氷、溶かしてしまえば枷でもなんでもない。当然、ハートの女王を助ける手段だって手配してある」
雪の女王「火炎を放つ魔法具……!」
アリス「驚くことかい?ボクはあんたを殺すためにこの世界に来た。そしてハートの女王とは違って油断もしない、あんたを見下しもしない。それならこれは当然の対策だろう」
アリス「弱点さえ突ければあんたもその魔法も驚異じゃない。炎や熱にさらされて溶けない雪や氷が存在しないように、実のところあんたはとても脆く儚い」
雪の女王「アリス、何故わからない…。何が君をそうさせるんだ、何故…」
アリス「答える義理は無いよ。そもそもこの期に及んでボクを説得で止められるだろうなんていう考えが思いあがりなんだよ」
アリス「ボクはあんたのところの優等生共とは違う。自分ならば改心させられるだろうなんて傲慢すぎるよ、雪の女王」
138 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/12/05(月)01:12:30 ID:jq7
アリス「チェシャ猫」
チェシャ猫「あぁ、あの足手まといは任せろ」スゥッ…
アリス「頼むよ。きっと後で帽子屋や三月ウサギに大笑いされるだろうけど、こればかりはね。たまにはいい薬になるさ」
チェシャ猫「まったく、何故私が奴を送り届けなければならんのか甚だ疑問だが…しかたあるまい」スゥッ…
雪の女王「やらせはしないよ」バッ
アリス「そうか、ならば力づくで止めて見せるか?」スタッ
雪の女王「ハートの女王の元へ瞬間移動を…。例の時間停止能力か…」
アリス「さぁどうする?女王やチェシャ猫を攻撃すればボクを確実に巻き込む。宣言しておくけど、ボクは避けないし防御魔法がかかってるわけでもない…最悪死んでしまうかもね?」
アリス「死んでしまったら君が望む改心も償いも、できないけど?」
雪の女王「…あまり私を甘く見ない事だ、君意外をピンポイントに凍らせる事くらいは容易い」スッ パキパキ…
アリス「へぇ…撃ってくるんだ、思った以上に思い切りが良いね。だけど忘れてもらっちゃ困るな」カチカチッ
ボボゥ メラメラ
雪の女王「……っ!」ジュワッ
アリス「今や君の氷結魔法は何の意味も持たないってことをね」
139 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/12/05(月)01:17:08 ID:jq7
スタッ
チェシャ猫「さて、準備は整った。俺はこいつ連れて【不思議の国のアリス】の世界に戻る、あとは一人で十分だな?」
アリス「もちろん。早く彼女を連れて行ってあげて欲しい、目を覚ましたらボクが心配していたと伝えてくれ。それと反省もしてくれ、ってね」
チェシャ猫「あぁ、あとは任せたぞ。アリス」ヒュンッ
雪の女王「取り逃がしたか…厄介だな、君の時間停止は」
アリス「そうでもないさ、色々と制約が多い。そんなことより…覚悟はいいかい雪の女王」カチカチッ
ボボゥッ! メラメラメラ
アリス「ハートの女王も逃がした、ボクの目的はただ一つ。あんたを殺す事だ、そして望みを叶えるための障害を一つ取り除く」カチャッ
雪の女王「どうやら君を説得することは難しいようだな」
アリス「難しいという表現はおかしいだろう、こういう場合は不可能っていうんだ」
雪の女王「だが難しいからといって、子供の過ちを放置することは大人のする事じゃない。私はどんなに時間がかかっても君を改心させる」
雪の女王「その為には…少々手荒な真似をする事になるが、説得に応じないというのならそれは覚悟して貰う。君の行動が過ちだと気付くために」スッ
アリス「……ボクを殺そうと思えばさほど難しい事でもないだろうに、あくまで改心させようって考えか」ギリッ
アリス「ボクの考えは間違っている、自分達は正しい。一般的にボク達の選択は悪で自分達は善、そうやってあんたも決めつけてかかる…」
アリス「あいつらがボクやルイスに…ボクの友達にそうしたように…ボク達が誤っていると決めつける。気に入らない…気に入らないな雪の女王」
140 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/12/05(月)01:21:50 ID:jq7
雪の女王「あいつら…?君の過去に一体何がーー」
アリス「もういい、あんたと話をするつもりは無い」
スッ
雪の女王「瞬間移動…だが君の行動は予想できる。…私の背後だ」バッ
アリス「当然気がつくか。まぁ、そもそもこの魔法具は憎い相手の背中を焼き焦がす為のモノだ。予想ができないほうがどうかしてる」カチカチッ
アリス「もっとも、予想できたところであんたの氷の盾は溶けるだけ、この火炎を避ける方法なんか無い」メラメラメラッ
雪の女王「確かに私の弱点は熱、そして炎、それは認める。だがなアリス、君は一つ勘違いしている」
パキパキパキ…バキバキバキベキベキベキベキッ!!
アリス「……っ」
アリス(氷塊で炎の勢いを弱めた…?いや、それ以前にこの威力は…規模こそ小さいが先ほどの攻撃とは段違いだ)
アリス「魔力を用いた威力の底上げ…まだ底を見せてなかったって訳か」
雪の女王「そんなところだ。雪は熱で溶ける。氷は炎に弱い。それは自然の理、子供でも知っている当然の摂理だ。だが…」
雪の女王「マッチの火では氷山を溶かせないように、圧倒的な力の差を生み出せるのならば……その理はひっくり返す事ができる」
アリス「……どうやらボクもあんたを少し甘く見ていたようだよ」
雪の女王「私を倒すために炎を扱うのは正しい選択だ、だが…私は雪の魔女でも氷の魔女でもない。雪の女王だ」
雪の女王「自然の理を崩し、道理を覆す力を持っているからこそ、私は『女王』なのだ。覚えておく事だな、アリス」
141 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/12/05(月)01:26:45 ID:jq7
アリス「覚える必要なんかない、ボクはもう今後あんたと戦うことはおろか会う事すらない。死人と対話する趣味は無いからね」ババッ
アリス「あんたが魔力で威力を底上げするのならばボクもそうするまでだ」カツンカツン
雪の女王「かかとを打ち付ける動作…それが君がドロシーから奪ったという魔法の靴か」
アリス「あいつは結局役には立たなかったけれどこの置き土産は非常に有用だ、靴の持つ魔力を魔法具に移せば効力を倍加させられる」バッ
アリス「この火打石の威力も当然底上げされる。今度こそあんたを焼き払うだけの火力を出せるって事だ」カチカチッ
ブォォッ!ゴゴォッ!!
アリス「これでも足りないというのならいくらでも魔力を食わせてやる、さぁ焼き払え!目障りな氷塊を溶かしてしまえ!」
雪の女王「アリス、私は先ほど言ったはずだ。大いなる力を手に入れたとしても、それは君だけが持っているものじゃないと。力づくで願いを叶えるなんてことは出来ないと」スッ
パキパキパキ…ザンザンザンッ!!
アリス「氷の檻…!」
雪の女王「いくら君が時を止めたところでその氷の檻から出られなければ同じ事だ。前もって言っておくが…その氷は君が持つ火打石じゃあ歯が立たないよ、いくら魔力を上乗せしようとね」
アリス「化物め…!」ギリッ
雪の女王「なんとでも言うといい、どうあっても君の行動は間違っている。これでわかっただろう、今こそ間違いを正す時だ」
アリス「……」
雪の女王「アリス、聞いているのか?」
アリス「どいつもこいつもボク達が間違っている間違っているなんて好き勝手ばかり…!」
アリス「……間違ってない。ボクは正しい、ボクは…ボク達は何一つ間違っていない!」ギリッ
142 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/12/05(月)01:31:15 ID:jq7
『アリス、あなたは女の子なのだからその様な口調で話すのはおやめなさい』
どうして?ボクは言いたい事を言っちゃいけないの?
『女の子が自分の事をボクだなんて呼ぶのは恥ずかしい事よ、今後はきちんと私と呼びなさい』
どうして?ボクはそうしたいからしているだけなのに、なんで自分の呼び方を自分で決めちゃだめなの?
『女の子はおしとやかにしているものよ、男の子のような服装で駆け回るのはもうやめなさい』
どうして?スカートは好きじゃないのに、ボクは好きな格好をすることも許されないの?
『お父様はお許しになっているけれど、あの男と会うのはもうやめなさい』
どうして?ルイスはとても優しい人なのに、なぜそんな事をいうの?
『あの男は変質者だからよ。幼い少女しか愛する事が出来ないの、あなたには理解できないかもしれないけれどそれはとても罪なことなの。許されない事よ』
『あなたもあんな男と一緒にいるからそんな風になってしまったのよ。もっと常識的な、普通な女の子になってちょうだい』
どうして?ボクもルイスも何もおかしい事をしていないのに、悪いように言われなければいけないの?
周りの人と違うというだけで、なんで間違っているなんて言われなきゃいけないの?常識から外れている事が、そんなに悪い事なの?
どうしてボク達は、他人と違うだけでこうも悪く言われなければいけないんだ
アリス「……ボクは証明してみせる、ボク達が間違っていない事を!一切の落ち度なんか無い事を証明してみせる!」
雪の女王「アリス、君は何を言ってーー」
アリス「あんたが何かをゴチャゴチャ言おうと、結局は勝ったものが正義だ、最後に立っている奴の主張が絶対だ」
アリス「奥の手、見せてやるよ雪の女王。冬の化身のあんたじゃ絶対敵わない相手をこっちは従わせてるんだ」
パチンッ
143 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/12/05(月)01:41:13 ID:jq7
今日はここまで 不思議の国のアリス編 次回に続きます
そろそろアリスが世界を敵にまわすに至った理由にも触れていきたいでござるの巻
144 :名無しさん@おーぷん :2016/12/05(月)02:06:12 ID:uRR
乙!
火打石はカチカチ山かな…?
そう言や司書さんが『アリス』が一人の少女の為に書かれたって話はしてたけど、その少女の詳しい話はしてなかったんだよね、名前も出なかったし
その辺が関わる話になるのか…
うぁぁネタバレ抵触しそうでどこまで触れていいものか悩む!!
とりあえず女王、筋金入りの子供好きでカッコいいぞ!
145 :名無しさん@おーぷん :2016/12/06(火)20:30:38 ID:KLb
乙
女王は相手が誰だろうと子供には幸せになって欲しいんだろうなー
だから無理矢理押さえつけるんじゃなくて反省を促した
初めから問答無用で捕らえることも出来ただろうに
146 :名無しさん@おーぷん :2016/12/07(水)11:00:44 ID:ARD
なんかアリスの歪みが見えてきたね
雪の女王「そうか、貴様はカイの友人だった娘か」
ゲルダ「だった、なんて過去のことのように言わないで!今だって私はカイ君の親友だもの!」
雪の女王「……貴様が感じている友情は今や一方的なものだ。カイはもはや貴様の事など忘れているだろう」
ゲルダ「……っ!」
雪の女王「カイは私の宮殿で幸せに暮らしている。以前の家族や友人、当然貴様の事も忘れ…大好きな本に囲まれ寝食の心配無く充実した暮らしをしている」
雪の女王「今更、田舎での退屈な生活には戻れぬ。貴様も私のカイの事は忘れ、早々に故郷へ引き返せ」
ゲルダ「カイ君はあなたの所有物ではないわ!そんな風に、自分のモノみたいに言わないで!」ギッ
雪の女王「……喧しい小娘だ」スッ
ゲルダ「っ!?いつの間に背後に…!」
雪の女王「……我に建てつく人間など初めてだ。喜べ、称えてやろう」サワッ
スゥゥッ…
ゲルダ「な、何…?突然ひどい寒気が……あなたの仕業ね……?わ、わ私に何をしたの…!?」ブルブル
雪の女王「体内に冷気を送り込んでやったのだ、どのような毛皮を纏おうとも抗えない」
ゲルダ「だ、ダメ…立っていられない…!カイ君をさらった犯人が目の前にいるって言うのに…!」ブルブル
雪の女王「無様だな、小娘。力無き者が不相応に友を取り戻そうなどと思いあがるからそうなるのだ」
雪の女王「だが安心せよ、貴様の友人……いいや、私のカイは今この上ない幸せを感じているのだからな」
ゲルダ「……っ!」ガタガタブルブル
117 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/28(月)01:36:17 ID:SaL
ゲルダ「……」キッ
雪の女王「なんだその目は、言いたい事があるのならば言え、許可してやる。もっとも…冷気が全身を駆け廻り、口を開く事も出来まい」
雪の女王「この程度の冷気で音を上げるようでは我が宮殿にたどり着くなど夢のまた夢……ましてカイを取り返そうなど不可能だ」
ゲルダ「わ、わわ、わたし…は……っ!」ゼェゼェ
雪の女王「……」
ゲルダ「わたしは……かならず、カイ君を取り返す……!あなたには、わたさない……ぜったいに……!」ブルブル
雪の女王「……いつまで呆けている、トナカイ。この不愉快な娘を私の視界から消せ」
トナカイ「は、はい!ほ、ほらゲルダさん今度こそ行きますよ!」グイッ
ゲルダ「……まってなさい、ぜったい、ぜったい……」ガタガタ
雪の女王「中々強い意志を持つ小娘だな……いいだろう、一つ助言をしてやる」
雪の女王「貴様の体内を駆け廻る冷気は魔力でも何でもない、単なる冷気。早急に体を温めれば事無きを得るだろう」
ゲルダ「な、なんで……そんなことを……」
雪の女王「……」
雪の女王「ただの気まぐれだ、私の気が変わらぬうちに失せよ」
118 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/28(月)01:38:50 ID:SaL
トナカイ「も、もうゲルダさんは喋らないでください!で、では私達はこれで失礼します!」
パカラッパカラッパカラッ
雪の女王「……こんなものでいいだろう」ボソッ
ヒュッ
雪の女王「……そんな図体で不意打ちされてもな。次は足元だけでは済まさんぞ」パキパキパキッ
グリフォン「グ、グリフォォォ!!?」バキバキバキ
雪の女王「存在すること自体は許してやる、そこで黙っていろ」スッ
グリフォン「」カキーン
ハートの女王「貴様…またも我がしもべを…!許さぬぞ!」
雪の女王「……」
ハートの女王「あの程度の氷で私を足止めできると思っていたのか?私のしもべ、グリフォンのくちばしは鋭利なのでな!あの程度の氷を砕かせるなど容易い!」
ハートの女王「ゲルダは殺すなと言われていたが貴様の命は自由にしていいとアリスに言われている、受けた屈辱は死をもって償ってもらう!随分と調子に乗っていたようだが数々の無礼、決して許さぬぞ!」
雪の女王「……許さないと言いたいのはこちらだ、ハートの女王」
ヒュッ
雪の女王「普段は子供達の手前、手本となるように……と考えているがここではその様な事を気にする必要もないのでな、貴様の敗因の一つはそれだ」
ハートの女王「なっ、早い…!」
雪の女王「調子に乗っている、というのもこちらのセリフだ。貴様は自分の城の中でのみ威張り散らしていればよかったのだ」パキパキパキ…
ハートの女王「」カキーン
雪の女王「女王であろうと所詮貴様はトランプのカードなのだからな」
119 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/28(月)01:49:34 ID:SaL
今日はここまでです 不思議の国のアリス編 次回に続きます
【悲報】ハートの女王、一瞬で敗北
123 :名無しさん@おーぷん :2016/11/28(月)21:10:44 ID:DHt
乙です
女王対決瞬殺ですな
しかしゲルダ相手に悪役で通す女王なんか切ないなぁ…
子供好き姉さんの本性知ってるだけに…役割とは言え…( ノД`)
子供好きだけど暫定最強の女王にさらわれて
それを心配して旅にまで出てくれる幼馴染みの女の子がいて
家族のように信頼しあってる弟分と二人の妹分がいて
呪い(魔法)の力を掛けられている
カイから漂うラノベの主人公感
129 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/12/03(土)00:21:56 ID:zh2
番外編更新しますー、本編は日曜日に更新予定!
130 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/12/03(土)00:23:27 ID:zh2
ローソンでアリスのカレンダー売ってるの見て「これティンカーベルが見たらブチ切れそう」とか想像してる>>1の番外編 『ゴマスリ』
ティンカーベル「もうすぐクリスマスだね!クリスマスは友達や恋人と一緒にディズニーランドに行こう!」
ティンカーベル「それと年末年始は意外とテレビ見る奴無いからTUTAYAでディズニー映画を借りてこようね!ゲオでもいいよ!」
ティンカーベル「お母さんはもうおせち料理の予約は済ませたかな?もちろん今年もディズニーのおせちで決まりだよ!」
キモオタ「……あの、ティンカーベル殿?お主は一体何をしているのでござるかな…?」
ティンカーベル「えっ?いや、本編もすっかり佳境でしょ?つまりさ、私が【ピーターパン】の世界を取り戻すのももうすぐって事じゃん!」
ティンカーベル「だからさ、そろそろディズニーに媚売っておこうと思ってこうやってアピールしてんの!」
キモオタ「ちょwww直球wwwいきなり何を言い出すでござるかwwwティンカーベル殿www」コポォ
ティンカーベル「笑い事じゃないよ!アリスの企みを阻止して【ピーターパン】の世界を復活させたとしてもそれでおしまいじゃないんだよ?」
ティンカーベル「せっかく復活させても現実世界の人たちに忘れられちゃったら結局は消えちゃうんだから!ちゃんと知名度を上げる努力しなきゃ!」
キモオタ「なるほどwwwそれで【ピーターパン】のディズニー映画化を狙っているのでござるかwww」コポォ
ティンカーベル「そゆこと!【シンデレラ】とか【ラプンツェル】とかディズニー映画化したおとぎ話は圧倒的な知名度があるじゃん!私もそれにあやかろうと思って!」
キモオタ「しかしこうも下心が見え見えのゴマスリは逆効果ではwwwいくらなんでもお行儀が悪く見えますぞwww」コポォ
ティンカーベル「お行儀が悪くてもいいから私は【ピーターパン】を映画化してほしいしあわよくば私のスピンオフ出してほしい、そしてグッズ展開してほしい」
キモオタ「お主www以前から思っていたでござるがそのグッズ化への執着は何なんでござるかwww別にグッズ化されなくとも知名度は確保できるでござろうwww」
ティンカーベル「いーや、私はスマホカバーになりたいし私オンリーのガチャガチャを出してほしい、全五種類+シークレット一種類で」
キモオタ「妙に細かい希望でござるなwww」
ティンカーベル「ていうかもう本音ぶっちゃけるけど…アリスグッズ化されすぎなんだよ!カレンダーになりーのヤクルトや菓子パンのパッケージになりーの一番くじになりーの…!ずるくない?ずるい!ずるいんだよぉぉぉぉ!!」
ティンカーベル「…というわけで、【ピーターパン】が復活したら映画化お願いします!」キリッ
キモオタ「【ピーターパン】の知名度うんぬんより完全に自分グッズが主目的でござるなwww」コポォ
131 :名無しさん@おーぷん :2016/12/03(土)04:01:24 ID:jjB
乙です!!
132 :名無しさん@おーぷん :2016/12/03(土)14:29:29 ID:yX3
ティンクwゴマスリが露骨w
ティンクのグッズ大量に買って来て贈ってやりたいなw
133 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/12/05(月)00:59:17 ID:jq7
雪の女王の世界 雪原
ビュオオオォォ……
グリフォン「」カチーン
ハートの女王「」コチーン
雪の女王「……」ザッザッ
雪の女王「無尽蔵に湧き出るトランプ兵、強靭な爪と飛行力を兼ね備えたグリフォン…戦いの場においては確かに驚異的な存在だ」
雪の女王「しかし、私と戦うことを想定した戦略も準備も不足している。吹雪と氷結を操る私に人海戦術などという力技が通じる訳がないだろう」
雪の女王「……アリス、君はそう思わないか?」
スッ
アリス「…姿を消すなんて小細工、雪の女王相手には通用しないか。まぁ、想定してたけどさ」ファサッ
アリス「ボクも相応の準備をしたほうがいいと言ったんだよ?でもハートの女王が聞き入れてくれなかったんだ」
アリス「『女王たる私が魔女ごときに後れなどとらぬ!私の圧倒的な兵力に敵う者などおらぬのだ、アリスといえど私の戦いに口出しはさせぬわ!』…ってね、困ったものだよ」ハァ…
雪の女王「全ての世界を巻き込んでやりたい放題している君達のほうが余程『困ったもの』だと思うが?」
アリス「ハハッ、そうだね。でもボクからすれば君も大概だよ?せっかくボクが魔法具で姿を消しているのに簡単に見抜いてしまうんだからさ。流石はおとぎ話の世界屈指の魔女様、困ったものだ」クスクス
雪の女王「私が魔力を有している見抜けたわけじゃあないだろう」
雪の女王「そんな風にむき出しの殺意を纏っていれば誰だってその存在に気づくさ」
134 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/12/05(月)01:03:56 ID:jq7
アリス「フフッ、そう言われればそうかも知れないな」クスクス
アリス「だけど君がさっき女王に向けていた殺意だって相当なものだったよ?とても子供好きの優しい女王様とは思えない姿だったからね、意外だったよ」
雪の女王「私は神でも仏でも無い、ただの魔女だ。腹立たしい事があれば怒りもする、不当な扱いを受ければ不満だってもつ、そして大切なものを壊そうとする輩が現れたならーー」
雪の女王「どんな手を使ってでも守り切る、たとえ相手の命を奪う結果になってもだ」
アリス「そうか。でも少し思いあがりが過ぎるんじゃないか?ボク達がこうして君の前に現れたという事は勝算があるって事だ」
アリス「それなのに君はキモオタ達を宮殿に残してきた、あんな豚でも何かの足しにはなるだろうに。それにこの場に連れてきたはずの白鳥と親指姫の姿が見えないな?」
雪の女王「……」
アリス「まぁ…大方、ゲルダを護衛するように命じているんだろう?彼女が安全に次の村へ進めるように、空からね」
雪の女王「君達がこの世界から手を引いてくれれば、彼女に護衛をつける必要も無いんだがな」
アリス「心配しなくてもボクはゲルダを襲ったりしないよ。そんな事をするメリットが無いからね」
アリス「どちらにしろ君は戦いになる事を覚悟していながらこの場に一人で出向いた。それはとんでもない思いあがりだとボクは思うけどね」
雪の女王「思いあがってなんかいないさ。私は元々一人でなければ能力を十分に発揮できない、魔法の性質上どうしても味方を巻き込んでしまうからね。まぁ、それ以前にーー」スッ
パキパキパキパキ……
雪の女王「我儘し放題の子供を叱るために大勢連れ立つ必要などないのだから」スッ
136 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/12/05(月)01:07:18 ID:jq7
パキパキ…バキバキバキッ!
アリス「…あぁ、これが噂に聞く君の十八番か。なるほど、足を凍りつけられただけだけど身動きが取れないというのは厄介だな」
雪の女王「動きを封じさせてもらう。君に暴れられては困るのでな」
アリス「それで?身動きが取れなくなったボクを氷柱で串刺しにでもするかい?それとも女王のように全身氷漬けにでもするか?」
雪の女王「そんな事をするつもりはないさ。私は君を殺したいわけではないのだから」
アリス「へぇ、それじゃあどうするつもりだい?」
雪の女王「アリス、君は自分の願いを叶える為に数え切れないほどの人々と世界を犠牲にしてきた。そして多くの恨みを買った」
雪の女王「おとぎ話の世界の多くはアリスという存在を危険視すると同時に敵視している。君はそうされても仕方が無い事をさんざん繰り返してきた」
雪の女王「悔いる権利は誰にでもあり、償えない罪は無いと私は思うが…それでも君の罪はそうそう許されるものでも償えるものでもない。自体はそれほど深刻なものだ」
アリス「……」
雪の女王「君が今ここで全ての計画を諦めて今までの行いを悔いると言っても、おとぎ話の世界の住人は誰ひとり納得しない。そのすべてが君を糾弾するだろう」
雪の女王「だが、君に少しでも後悔や反省の想いがあるのならば…改心して欲しい。それを約束できるなら私は君の償いに協力をする、君が許されるよう人々を説得して周る」
アリス「何を言うかと思えば…」
雪の女王「アリス、よく考えてみるんだ。君は確かに大いなる力を手にしたかもしれないが、私やキモオタ、多くの協力者だってそれは同じだ。力ずくで望みを叶えるなんてできはしない」
雪の女王「だからもう諦め、そして反省と償いをすべきだ。そう誓ってくれるのならば君の居場所は私が作ると約束する、だから…」
雪の女王「もうこれ以上罪を重ねるのはやめるんだ、アリス」
137 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/12/05(月)01:10:12 ID:jq7
アリス「……」
雪の女王「君が改心を約束するならハートの女王も開放する。彼女は君にとっては大切な仲間なんだろう?」
雪の女王「これは君の為でも、君の仲間達の為でもある。だからーー」
アリス「……呆れてものも言えないよ、雪の女王。優しい女王サマもここまでくると不愉快だ」スッ
アリス「反省?改心?償い?するわけがないだろう。それにあんたに説得されたくらいで諦めるほどボク達が求めているものは安っぽくない」
雪の女王「アリス…!」
アリス「どうしてボクがあんたの氷結を防ぎもせず避けもしなかったか、わからないのか?」カチッカチッ
ボボゥゥッ!!メラメラメラ…!!
アリス「必要が無いからさ。こんな氷、溶かしてしまえば枷でもなんでもない。当然、ハートの女王を助ける手段だって手配してある」
雪の女王「火炎を放つ魔法具……!」
アリス「驚くことかい?ボクはあんたを殺すためにこの世界に来た。そしてハートの女王とは違って油断もしない、あんたを見下しもしない。それならこれは当然の対策だろう」
アリス「弱点さえ突ければあんたもその魔法も驚異じゃない。炎や熱にさらされて溶けない雪や氷が存在しないように、実のところあんたはとても脆く儚い」
雪の女王「アリス、何故わからない…。何が君をそうさせるんだ、何故…」
アリス「答える義理は無いよ。そもそもこの期に及んでボクを説得で止められるだろうなんていう考えが思いあがりなんだよ」
アリス「ボクはあんたのところの優等生共とは違う。自分ならば改心させられるだろうなんて傲慢すぎるよ、雪の女王」
138 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/12/05(月)01:12:30 ID:jq7
アリス「チェシャ猫」
チェシャ猫「あぁ、あの足手まといは任せろ」スゥッ…
アリス「頼むよ。きっと後で帽子屋や三月ウサギに大笑いされるだろうけど、こればかりはね。たまにはいい薬になるさ」
チェシャ猫「まったく、何故私が奴を送り届けなければならんのか甚だ疑問だが…しかたあるまい」スゥッ…
雪の女王「やらせはしないよ」バッ
アリス「そうか、ならば力づくで止めて見せるか?」スタッ
雪の女王「ハートの女王の元へ瞬間移動を…。例の時間停止能力か…」
アリス「さぁどうする?女王やチェシャ猫を攻撃すればボクを確実に巻き込む。宣言しておくけど、ボクは避けないし防御魔法がかかってるわけでもない…最悪死んでしまうかもね?」
アリス「死んでしまったら君が望む改心も償いも、できないけど?」
雪の女王「…あまり私を甘く見ない事だ、君意外をピンポイントに凍らせる事くらいは容易い」スッ パキパキ…
アリス「へぇ…撃ってくるんだ、思った以上に思い切りが良いね。だけど忘れてもらっちゃ困るな」カチカチッ
ボボゥ メラメラ
雪の女王「……っ!」ジュワッ
アリス「今や君の氷結魔法は何の意味も持たないってことをね」
139 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/12/05(月)01:17:08 ID:jq7
スタッ
チェシャ猫「さて、準備は整った。俺はこいつ連れて【不思議の国のアリス】の世界に戻る、あとは一人で十分だな?」
アリス「もちろん。早く彼女を連れて行ってあげて欲しい、目を覚ましたらボクが心配していたと伝えてくれ。それと反省もしてくれ、ってね」
チェシャ猫「あぁ、あとは任せたぞ。アリス」ヒュンッ
雪の女王「取り逃がしたか…厄介だな、君の時間停止は」
アリス「そうでもないさ、色々と制約が多い。そんなことより…覚悟はいいかい雪の女王」カチカチッ
ボボゥッ! メラメラメラ
アリス「ハートの女王も逃がした、ボクの目的はただ一つ。あんたを殺す事だ、そして望みを叶えるための障害を一つ取り除く」カチャッ
雪の女王「どうやら君を説得することは難しいようだな」
アリス「難しいという表現はおかしいだろう、こういう場合は不可能っていうんだ」
雪の女王「だが難しいからといって、子供の過ちを放置することは大人のする事じゃない。私はどんなに時間がかかっても君を改心させる」
雪の女王「その為には…少々手荒な真似をする事になるが、説得に応じないというのならそれは覚悟して貰う。君の行動が過ちだと気付くために」スッ
アリス「……ボクを殺そうと思えばさほど難しい事でもないだろうに、あくまで改心させようって考えか」ギリッ
アリス「ボクの考えは間違っている、自分達は正しい。一般的にボク達の選択は悪で自分達は善、そうやってあんたも決めつけてかかる…」
アリス「あいつらがボクやルイスに…ボクの友達にそうしたように…ボク達が誤っていると決めつける。気に入らない…気に入らないな雪の女王」
140 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/12/05(月)01:21:50 ID:jq7
雪の女王「あいつら…?君の過去に一体何がーー」
アリス「もういい、あんたと話をするつもりは無い」
スッ
雪の女王「瞬間移動…だが君の行動は予想できる。…私の背後だ」バッ
アリス「当然気がつくか。まぁ、そもそもこの魔法具は憎い相手の背中を焼き焦がす為のモノだ。予想ができないほうがどうかしてる」カチカチッ
アリス「もっとも、予想できたところであんたの氷の盾は溶けるだけ、この火炎を避ける方法なんか無い」メラメラメラッ
雪の女王「確かに私の弱点は熱、そして炎、それは認める。だがなアリス、君は一つ勘違いしている」
パキパキパキ…バキバキバキベキベキベキベキッ!!
アリス「……っ」
アリス(氷塊で炎の勢いを弱めた…?いや、それ以前にこの威力は…規模こそ小さいが先ほどの攻撃とは段違いだ)
アリス「魔力を用いた威力の底上げ…まだ底を見せてなかったって訳か」
雪の女王「そんなところだ。雪は熱で溶ける。氷は炎に弱い。それは自然の理、子供でも知っている当然の摂理だ。だが…」
雪の女王「マッチの火では氷山を溶かせないように、圧倒的な力の差を生み出せるのならば……その理はひっくり返す事ができる」
アリス「……どうやらボクもあんたを少し甘く見ていたようだよ」
雪の女王「私を倒すために炎を扱うのは正しい選択だ、だが…私は雪の魔女でも氷の魔女でもない。雪の女王だ」
雪の女王「自然の理を崩し、道理を覆す力を持っているからこそ、私は『女王』なのだ。覚えておく事だな、アリス」
141 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/12/05(月)01:26:45 ID:jq7
アリス「覚える必要なんかない、ボクはもう今後あんたと戦うことはおろか会う事すらない。死人と対話する趣味は無いからね」ババッ
アリス「あんたが魔力で威力を底上げするのならばボクもそうするまでだ」カツンカツン
雪の女王「かかとを打ち付ける動作…それが君がドロシーから奪ったという魔法の靴か」
アリス「あいつは結局役には立たなかったけれどこの置き土産は非常に有用だ、靴の持つ魔力を魔法具に移せば効力を倍加させられる」バッ
アリス「この火打石の威力も当然底上げされる。今度こそあんたを焼き払うだけの火力を出せるって事だ」カチカチッ
ブォォッ!ゴゴォッ!!
アリス「これでも足りないというのならいくらでも魔力を食わせてやる、さぁ焼き払え!目障りな氷塊を溶かしてしまえ!」
雪の女王「アリス、私は先ほど言ったはずだ。大いなる力を手に入れたとしても、それは君だけが持っているものじゃないと。力づくで願いを叶えるなんてことは出来ないと」スッ
パキパキパキ…ザンザンザンッ!!
アリス「氷の檻…!」
雪の女王「いくら君が時を止めたところでその氷の檻から出られなければ同じ事だ。前もって言っておくが…その氷は君が持つ火打石じゃあ歯が立たないよ、いくら魔力を上乗せしようとね」
アリス「化物め…!」ギリッ
雪の女王「なんとでも言うといい、どうあっても君の行動は間違っている。これでわかっただろう、今こそ間違いを正す時だ」
アリス「……」
雪の女王「アリス、聞いているのか?」
アリス「どいつもこいつもボク達が間違っている間違っているなんて好き勝手ばかり…!」
アリス「……間違ってない。ボクは正しい、ボクは…ボク達は何一つ間違っていない!」ギリッ
142 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/12/05(月)01:31:15 ID:jq7
『アリス、あなたは女の子なのだからその様な口調で話すのはおやめなさい』
どうして?ボクは言いたい事を言っちゃいけないの?
『女の子が自分の事をボクだなんて呼ぶのは恥ずかしい事よ、今後はきちんと私と呼びなさい』
どうして?ボクはそうしたいからしているだけなのに、なんで自分の呼び方を自分で決めちゃだめなの?
『女の子はおしとやかにしているものよ、男の子のような服装で駆け回るのはもうやめなさい』
どうして?スカートは好きじゃないのに、ボクは好きな格好をすることも許されないの?
『お父様はお許しになっているけれど、あの男と会うのはもうやめなさい』
どうして?ルイスはとても優しい人なのに、なぜそんな事をいうの?
『あの男は変質者だからよ。幼い少女しか愛する事が出来ないの、あなたには理解できないかもしれないけれどそれはとても罪なことなの。許されない事よ』
『あなたもあんな男と一緒にいるからそんな風になってしまったのよ。もっと常識的な、普通な女の子になってちょうだい』
どうして?ボクもルイスも何もおかしい事をしていないのに、悪いように言われなければいけないの?
周りの人と違うというだけで、なんで間違っているなんて言われなきゃいけないの?常識から外れている事が、そんなに悪い事なの?
どうしてボク達は、他人と違うだけでこうも悪く言われなければいけないんだ
アリス「……ボクは証明してみせる、ボク達が間違っていない事を!一切の落ち度なんか無い事を証明してみせる!」
雪の女王「アリス、君は何を言ってーー」
アリス「あんたが何かをゴチャゴチャ言おうと、結局は勝ったものが正義だ、最後に立っている奴の主張が絶対だ」
アリス「奥の手、見せてやるよ雪の女王。冬の化身のあんたじゃ絶対敵わない相手をこっちは従わせてるんだ」
パチンッ
143 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/12/05(月)01:41:13 ID:jq7
今日はここまで 不思議の国のアリス編 次回に続きます
そろそろアリスが世界を敵にまわすに至った理由にも触れていきたいでござるの巻
乙!
火打石はカチカチ山かな…?
そう言や司書さんが『アリス』が一人の少女の為に書かれたって話はしてたけど、その少女の詳しい話はしてなかったんだよね、名前も出なかったし
その辺が関わる話になるのか…
うぁぁネタバレ抵触しそうでどこまで触れていいものか悩む!!
とりあえず女王、筋金入りの子供好きでカッコいいぞ!
145 :名無しさん@おーぷん :2016/12/06(火)20:30:38 ID:KLb
乙
女王は相手が誰だろうと子供には幸せになって欲しいんだろうなー
だから無理矢理押さえつけるんじゃなくて反省を促した
初めから問答無用で捕らえることも出来ただろうに
146 :名無しさん@おーぷん :2016/12/07(水)11:00:44 ID:ARD
なんかアリスの歪みが見えてきたね
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