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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 不思議の国のアリス編

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Part2
38 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/08(火)00:52:29 ID:IbV
ご主人の屋敷
・・・
ご主人「おぉ、突然の来客だというから誰かと思えばアイソーポスじゃないか!いや、実に懐かしい…!」
アイソーポス「お久し振りですご主人、お元気そうでなにより。突然の訪問お許しください」ペコリ
ご主人「はっはっ、堅苦しい挨拶はよせ。長旅で疲れているだろう、楽にしなさい。お前はもう私が所有する奴隷ではないんだから」
アイソーポス「はい、ではお言葉に甘えて」スッ
ご主人「それで、今日はどのような用件で私の元へ来たんだ?」
アイソーポス「いえ、実は用件という程の事は無いのですが…旅の途中この地に帰ってきたものですからご主人にもご挨拶をと思いまして」
ご主人「そうかそうか、歓迎するぞ。なんなら滞在中は私の屋敷に泊まっていきなさい、大したもてなしはできないがそこらの宿舎よりは快適だろう」
アイソーポス「いえ、お気持ちだけ頂戴します。その様に甘えるわけにもいきませんので」
ご主人「なに、遠慮する事はない。と言うよりだな…お前にはここに滞在して貰わなければ私が困る」
アイソーポス「…と、言いますと?」
ご主人「お前をここに連れてきた奴もそうだが…お前のおとぎ話を聞きたくて使用人達が皆ソワソワしていてな」
ご主人「このままでは仕事にならん、夜にでも彼等におとぎ話を聞かせてやってくれんか?それを宿代替わりとすればお前も気を使わず済むだろう?」
アイソーポス「フフッ、わかりました。そう言うことでしたらお言葉に甘えさせていただきます


39 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/08(火)01:04:24 ID:IbV
十数年ぶりに戻った屋敷に奴隷は一人も居なかった
なんでも私が旅立ってしばらくしてからご主人は奴隷達を解放して正式な使用人として雇い直したらしい
ご主人は私のおとぎ話を聞いて思うところがあったから彼等を解放したと言っていた、それは私にとってなによりの誉め言葉だった
私のおとぎ話が誰かの心を動かし、誰かを救った
小さな一歩だがこれを繰り返せば必ず幸福な未来への道は出来ていく
旅先で目にした戦争、確執、嘘や嫉妬、暴力といった現実
それらもいつかは消せるのだと信じていた
そして私は希望を胸に旅を続けていたのだ
だがそれは一部の人間にとっては目障りなものだったのだろう
私はこの数年後
奴隷から一変して有名な童話作家にのしあがったという境遇に嫉妬した市民に……
殺されたのだ

40 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/08(火)01:06:34 ID:IbV
現在
不思議の国のアリスの世界 ハートの女王の城 宝物庫
・・・
チェシャ猫(奴隷だった私が自由を手にし、アイソーポスの名を与えられたあの日からもう二千年以上経つ…)
チェシャ猫(おとぎ話を伝え世界を平和にする旅か…我ながら愚かしい。不可能で馬鹿馬鹿しい試みだと気がつかぬままその夢物語に生涯を捧げたのだから)
チェシャ猫(結局と言うべきか当然と言うべきか私の願いは叶えられなかった。世界を平和にする事も未来を幸福なものに変えることも出来なかったのだ)
チェシャ猫(事実、現実世界の有り様を見ればわかる。くだらない嫉妬や見栄、欲望に満ち溢れ無益な争いを繰り返す。意味の無い戦争が各地で行われ、無駄に命を散らせている)
チェシャ猫(二千年以上経っていながらやっていることは同じ、人間は何一つ学習していないのだ)
チェシャ猫(実に愚かで、滑稽なものだ。幸福や平和を願っていながらやっていることは正反対…。もうあの世界は変わりようがない、腐りきっている。もはや存在する価値の無い世界だ)
チェシャ猫(…だがもうじきあの醜い世界を見ることも無くなるだろう。私とアリスの願いがようやく叶う時が来たのだ)
チェシャ猫(ルイスが残した理想の世界、この【不思議の国のアリス】の世界を残し、他全ての世界は消え去る。これでようやく、ようやく…)
チェシャ猫(私達は平和で幸せな世界を手にすることができるのだ)
アリス「考え事かい?チェシャ猫」スッ
チェシャ猫「アリスか…考え事と言うほど大層なことじゃない。少し昔の事を思い出していただけだ」
アリス「へぇ、昔の事をねぇ…」

41 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/08(火)01:09:46 ID:IbV
アリス「でも珍しいね、君が他人の気配に気づかないなんて。ボクが宝物庫に入ってきたのにも気づかなかったみたいだし」
チェシャ猫「私は特別気配の察知が得意な訳じゃあない。ただ気配を消すのは誰よりも上手の自信はあるがな」
アリス「気配と言うより存在そのものを消してるじゃないか君の場合は」クスクス
アリス「自らの姿を消すも現すも自由自在、それがルイスが生み出したチェシャ猫というキャラクター。そして君の『器』なんだから」
チェシャ猫「まぁそうだが、姿を消すのも気配を消すのも同じようなものだ」
アリス「まぁどっちでもいいけどさ。で、昔の事を思い出してたって言ってたけど…それはまだルイスが生きていた頃の話かい?それとも…」
アリス「君がまだ『器』を手にする前、霊体としてアンデルセンの側を浮遊していた頃の話かい?」
チェシャ猫「どちらでもないな。それよりもずっと昔、私がお前のように生きた人間だった頃の話さ」
アリス「あぁ、君が幸福な未来を祈っておとぎ話を伝えるために各地を旅した頃の話か…ふふっ、ゴメン思わず笑ってしまったよ」クスクス
チェシャ猫「構わん。あぁ、今思えば馬鹿馬鹿しい事をしたものだ」
アリス「ねぇ……まさかとは思うけれど昔を思い出して考えが変わったなんて、今更言わないよね?」
チェシャ猫「言うわけないだろう、私の憎しみは思い出に浸って弱まるようなもんじゃない」
チェシャ猫「むしろ過去を思い出して憎しみが更に強くなったくらいだ。この世界を残して他の雑多な世界は全て抹消する、その決意は揺らがないさ」

42 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/08(火)01:12:37 ID:IbV
アリス「それならいいんだ。もしも君が今更怖じ気づいて『やっぱり他の世界を全て消すなんてやめよう』なんて言い出したらボクは困ってしまうからね」
アリス「そんなことを言い出したら、君を消さなければならなくなる。それはボクとしても避けたい」
チェシャ猫「安心しろ、そんな事は絶対にない。それに怖じ気づこうにももう手遅れだ」
チェシャ猫「私もお前も数えきれない程あらゆる世界を滅茶苦茶にしてきたんだ、もう後には引けない。尤も引くつもりもないがな」
アリス「まぁね、ここまで来たら前に進むしか道はない。逃げ道も帰り道もボクたちの未来には存在しないから」
アリス「でもそんなものは必要ない。ここにある数多の魔法具…それはボクたちの行く先を照らす光。そしてその光は遂にあの忌々しい結界をうち壊せるほどに強さを増すことが出来たんだ」
チェシャ猫「ほう、それじゃあ遂に【アラジンと魔法のランプ】の世界に張られた結界を打ち消すだけの魔力が集まったのか?」
アリス「ようやくね。ボクがついさっき奪ってきた魔法のコールタール…この魔力を使えばおそらくは必要な魔力に届く」
チェシャ猫「と言うことは…【ホレおばさん】の世界へ行っていたのか?」
アリス「あぁ。ボクたちがすべき事は魔法具や魔力を集めることだけじゃないからね」
アリス「ボクたちの計画を最終段階へ進める前に、計画を脅かしかねない危険な存在は排除しなければいけない。因果応報の魔女…ホレおばさんは確かに優秀な魔女だったけれど、それももう過去の話だ」
アリス「彼女はもう存在しない。彼女が住んでいた世界ごと、消滅したからね」


43 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/08(火)01:16:24 ID:IbV
チェシャ猫「消滅したんじゃない、消滅させた、だろう?」
アリス「まぁ、そうとも言うね。ドロシーから奪った魔法の靴は随分と使い勝手が良くてね。因果応報の魔女は相当強い魔女だと聞いていたから拍子抜けしたよ」
チェシャ猫「もう他人を消すことになんの躊躇もないんだな。どうせ脅迫のような手を使ったんだろう?えげつない娘だお前は」クックック
アリス「自分が生み出したおとぎ話を自ら消すような作者には言われたくないな。君も大概えげつないよ」クスクス
チェシャ猫「フンッ、まぁそれはどうだっていい。それで他には誰が残っているんだ?」
チェシャ猫「私達が始末しなければならない人物はまだ他にもいるんだろう?」
アリス「いいや、もう危険な存在はほとんど消し終わったからね」
アリス「おとぎ話の世界で一番の身体能力を誇る【西遊記】の悟空は玉龍と共に身動きが取れない状態だ。月人特有の特殊な能力を有したかぐや姫も覚めない眠りについている」
アリス「魔女や魔法使いの類いも粗方始末がついているからね。ただ一人、女王の名を冠する魔女を除いて…ね」
チェシャ猫「雪の女王か…奴はあの豚の味方をしているようだし、奴を始末しなければ私達の計画は失敗するだろうな」
アリス「彼女は魔女のなかでも屈指の魔力を誇るからね。無視しては先に進めない。だけど……ボクたちは長い時間をかけてあらゆる世界の魔法具を集めた。炎を操る魔法具も持っている」
アリス「彼女を溶かしてしまうのは簡単さ、今のボクたちならね」

44 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/08(火)01:20:09 ID:IbV
チェシャ猫「自信があるのは良いことだがあまり慢心しないことだな」
アリス「なんだい、妙に弱気だね?」
チェシャ猫「魔女や魔法使いの類は本名を明かさない。故に二つ名を用いるのが普通だ。だがそれらは自分で決めて名乗るものじゃない」
チェシャ猫「その魔女の得意分野や特性を元に周囲が呼ぶ名、それが魔女の二つ名だ。万物の変化に長けた魔女が千変万化の二つ名を与えられるように」
チェシャ猫「魔法植物の扱いに長けた魔女が芽吹きの二つ名を与えられるようにな」
アリス「ん?そう考えると雪の女王は例外的だね、普通なら二つ名は○○の魔女という形式になるんじゃないのかい?」
チェシャ猫「そうだ、だが雪の魔女ではなく奴は雪の女王…つまり奴の持つ『雪』『氷結』という特性は……魔法の範疇を逸脱しているという周囲の評価が伺い知れる。もはや王、女王だとな」
チェシャ猫「奴を持ち上げる訳ではないが……雪の女王を消滅させるという事は、冬を夏に変える程の覚悟と力が必要な……おい、聞いているのか?」
アリス「いいや、あまり興味なかったから聞いてなかったよ」ゴソゴソ
チェシャ猫「お前は…確かに私達の力は圧倒的かもしれないがあの魔女は警戒すべき存在だと私は言っているんだ」
アリス「雪の女王が強かろうが弱かろうが私たちはあいつを殺さなければいけないんだ。だったら困難だろうとなんだろうと殺すだけ、そうだろう?」
チェシャ猫「それはそうだが…」
アリス「だったらここで二人で作戦会議したって仕方ないよ、三月ウサギの庭に行こうか。きっとみんな待ってる」
アリス「作戦会議をするならみんなと一緒にやろう。雪の女王を殺す作戦の他にも話さなきゃならない事もあるしね、ボクたちの作戦も仕上げの段階に入るわけだしそれに…」
アリス「あの気持ちの悪い豚をどう料理するか、相談しないとね」クスクス

45 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/08(火)01:27:07 ID:IbV
不思議の国のアリスの世界 三月ウサギの庭
三月ウサギ「おっしゃぁぁぁ!スペードのAを出してアガリだオラァ!イッチバァァーン!」パシーン
帽子屋「あらやだ、先を越されちゃったわねぇ〜でもまだ勝負はこれからよ。はい、私はこのカードを出すわね。次はアシェンちゃんの番よ」ブホホ
アシェンプテル「悪いな、私もアガリだ」スッ
白ウサギ「おぉー、二人とも強いですねぇ…じゃ私はこのカードを」ペチッ
ハートの女王「チッ……」イライライラ
帽子屋「次、女王様の番よぉ?早くカードを出してちょうだぁい」クネクネ
ハートの女王「……パスだ」
三月ウサギ「ふぅーっ!女王サマァー!これで三回目のパスデスヨォー!?またもや女王脱落ー!」フウゥーッ
アシェンプテル「また女王の最下位が確定した訳か……弱いな、7並べ」フフッ
白ウサギ「ま、まぁこんな日もありますって…所詮はゲームですから!女王様、おきになさらず!」アセアセ
ハートの女王「えぇい!毎度毎度パス3で脱落になるのは何故だ…!白ウサギ!帽子屋!ハートのJを止めていたのはどちらだ!?名乗り出よ!」バンッ
帽子屋「ア・タ・シよぉ〜ブホホ!女王様すーぐ顔に出るから手札バレバレなのよ〜」
ハートの女王「貴様…悪びれもせずによくも…!私を誰だと思っている!ハートの女王なのだぞ!敬い、崇め、ひれ伏せ!」
帽子屋「ブホホ、イヤぁよ。接待トランプなんて御免よ〜、脱落者はせいぜい喚いてなさいな」ブホホ
ハートの女王「貴様アァァ!今すぐに首をはねてやる!」ガタッ
白ウサギ「あわわわ…!ちょ、喧嘩はやめましょうって!二人も止めてくださいよぉ!」
三月ウサギ「おいプテル、カップ空じゃねぇか。勝って気分がいいから茶入れてやるよ」
アシェンプテル「あぁ、頼もうか」
白ウサギ「もー!飲んでる場合じゃないですってー!」
ギャーギャー

46 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/08(火)01:37:49 ID:IbV
今日はここまで 不思議の国のアリス編 次回に続きます
ホレおばさんは頑張ってる子にはおこづかいをあげるけど
怠けてる子には一生取れないコールタールをぶちまける魔女です
他の魔女はガラスの靴とか声と引き換えに足を生やすとかめっちゃ長い髪の毛とかやっててファンタジーチックなのにコールタールて、斬新すぎ
次回、チャールズイチオシのあの健気な女の子が標的に…!?

47 :名無しさん@おーぷん :2016/11/08(火)01:47:47 ID:hmN
アシェンプテル心配だったけど見事にこっち陣営に溶け込んでて笑った

48 :名無しさん@おーぷん :2016/11/08(火)02:53:54 ID:lCH
イチ乙
そうそう妬まれて殺されるんだよなアイソーポス
それでこの世を恨んでるのかとは思ったけど…
2000年以上経った現代で、異国の日本で、イソップの名前や君のおとぎ話知らない人間はほぼいないんだぞオイと胸ぐら掴んでガクガクしたいな

50 :名無しさん@おーぷん :2016/11/10(木)05:01:53 ID:oIL
なんだかんだでアリス陣営も楽しそう

51 :名無しさん@おーぷん :2016/11/10(木)10:19:21 ID:2qS
乙!
最終決戦近し…か
アリス陣営にいるシンデレラが心配です

56 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/14(月)00:21:16 ID:XQv
白ウサギ「まぁまぁ…お二人共落ち着いてください!ゲームの勝ち負けで喧嘩なんて馬鹿馬鹿しいですって、ただのお遊びなんですから穏便にいきましょうよ!」アワアワ
帽子屋「そうよねぇ?トランプでボロ負けして機嫌損ねるなんて馬鹿のすることよ。つまりハートの女王はクソ馬鹿だって白ウサギちゃんは言いたいのよねぇ?その通りだと思うわぁ〜」ブホホ
白ウサギ「えっ、私は何もそこまで言ってn」
ハートの女王「獣風情がこの私を愚弄するか…!この私がクイーン・オブ・馬鹿だと…貴様はそう言いたいのだな!?」ゴゴゴゴゴ
白ウサギ「えぇぇー!?違います違います!誤解ですよぉー!」
ギャーギャー ギャーギャー
アシェンプテル「君の友人達はいつも賑やかで楽しそうだな」フッ
三月ウサギ「そーかぁ?賑やかなんて生易しいもんじゃねぇからなーコイツら、ただウルセェだけだぜぇー?」カチャカチャ
三月ウサギ「まっ、俺も騒ぐのは好きだしよぉ。茶会の席が埋まってるのもたまには悪かねぇけどなー…っと、ヘイお待ち!」スッ
アシェンプテル「ありがとう。…うん、良い香りだ。これは随分と高級な茶葉を使っているんじゃないか?」
三月ウサギ「おっ、嬉しいねぇー、やっぱり解る奴には解るか!メッチャ高級品なんだぜその茶葉、俺のとっておきだからなー!つっても元王妃ならこんくらい飲み慣れてるんじゃねーの?」
アシェンプテル「いや、城で飲む茶はどこか堅苦しかったからな。こんなに美味しい紅茶は久し振りだよ。君のおかげだな」
三月ウサギ「おいおーい!んな誉めたらテレるだろーがー!おしっ、んじゃあこのスーパーとっておきの最高級バターも入れてやろうか?」
アシェンプテル「フフッ、私は遠慮しておくよ。女王のカップにでも入れておいたらどうだ?」フッ

57 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/14(月)00:24:13 ID:XQv
三月ウサギ「ん?バターは苦手か?まーそれなら無理には勧めねーけども…んじゃあマカロンはどーだ?これメッチャうめぇから食ってみろって、な?」コトッ
アシェンプテル「甘いものを食べる気分でもないのだけど…そこまで勧めてくれるのならひとつ貰おうか」スッ
三月ウサギ「おう、食え食え!で、どうだどうだ?メッチャうめぇだろ?」ワクワク
アシェンプテル「…驚いたな、こんなに美味しいマカロンは初めて食べた。城で出たどんなお菓子よりも美味しい、これは君が作ったのか?」
三月ウサギ「いやいやー、俺は茶を淹れるのは得意なんだが料理はそれほどでもなくてよー。そりゃあ帽子屋が作って来てくれたんだぜ」
アシェンプテル「このマカロンを帽子屋が?控え目に言ってもプロの味だぞこれは」
三月ウサギ「あいつ帽子屋が本職のくせに菓子作りの方が圧倒的に向いてんだよなー。テーブルに並んでる菓子は全部あいつが作ったんだぜ」
アシェンプテル「そこのクッキーもスコーンも全て…?驚いた、人は見かけによらないとは言うが、まさにその通りだな」
三月ウサギ「外見はやべぇオカマだがよぉ、菓子作りは一級品だろ?」ヘラヘラ
アシェンプテル「そうだな、まさに一級品…うん、やはり美味しい」サクサク
三月ウサギ「ヘヘッ、まだまだ山ほどあるからドンドン食ってくれよー?茶もガンガン淹れてやっから言ってくれよー?」ヘラヘラ
アシェンプテル「そう言ってくれるのは嬉しいが、満腹だと戦いの場で動きが鈍ってしまうから…ほどほどにしておくよ」フフッ
三月ウサギ「それもそーだな!なんだか知らねぇけどプテルの顔見てると、無性に茶を淹れて菓子を出してやりたくなっちまうんだよなー」ヘラヘラ

58 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/14(月)00:29:03 ID:XQv
アシェンプテル「そうなのか?あぁ、そういえば君に初めて会った時もやたらと茶と菓子を勧めてくれたな」
三月ウサギ「そうそう。それとよぉ、何故だかわかんねぇけどお前の顔見てると…なーんか誰かを思い出すっていうか、そんな気がすんだよなぁー」
アシェンプテル「へぇ、誰かを…?」
三月ウサギ「そーなんだよ。つっても俺自身にも誰だかわかんねぇんだけどなー」ヘラヘラ
アシェンプテル「私に似ている知り合いがいるんじゃないか?」
三月ウサギ「俺の知り合いにお前みてぇな綺麗な女はいねぇよ、オカマか獣かトランプがほとんどだしな!」
三月ウサギ「まぁ、なんてことない単なる気のせいだとは思うんだけどよ。ただ、妙なことを言っちまうけどよ…」
アシェンプテル「……?」
三月ウサギ「俺はお前のために…いや、そのお前に似てる誰かの為にこの茶会を開いてるような、そーんな気がするんだよなぁー…おかしい話だけどよ」
アシェンプテル「君がこの茶会を自分の意思で…誰かのために?」
三月ウサギ「ハハッ!いやいや、悪い!今のは忘れてくれ!ありえねぇよな、この茶会が誰かのために開かれたなんて、んなことあるわけねぇんだからよぉ」ヘラヘラ
三月ウサギ「この茶会は【不思議の国のアリス】の筋書きに必要だから催されてる。ルイスがそう決めたから俺はここで茶会をしてるんだ、そこのオカマと一緒にな」
三月ウサギ「作者が決めたからそうなってるだけだ。俺が誰かのために茶会を開いてるなんて、そんなはずねぇよなぁ!ハハハッ」ケラケラ

59 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/14(月)00:36:03 ID:XQv
アシェンプテル「あり得ないと一蹴するのは簡単だが…そう言われると、なんだか気になるな」フム…
三月ウサギ「おいおい、いいっていいって、んな真面目に考えることじゃねぇって。俺の単なる気のせいなんだからよぉ、戯言だと思ってスルーしろってスルー」
アシェンプテル「そうか?まぁ、君がいいならいいんだが…」
帽子屋「そうよぉ?アシェンちゃん。三月ウサギちゃんは頭おかしいんだから、妄言にいちいち付き合ってちゃダメよ?」ブホホ
三月ウサギ「急に湧いてきやがって…お前にだけは頭おかしいとか言われたくねぇんだよ!ホモは黙ってろ!」ベチッ
帽子屋「ホモじゃないわよ!アタシはゲイよ!そこのところデリケートな違いあんだから気をつけなさいよ!」バンッ
三月ウサギ「違いわかんねぇよ!どうでもいいんだよんなこたぁよぉ!」ガターン
ハートの女王「おい帽子屋!貴様、私との争いをうやむやにするつもりか!?貴様がキチンと謝罪をするまで私は許さんぞ!」
帽子屋「トランプを統べる癖に七並べが絶望的に弱いアンタに謝罪なんかするわけないでしょうー?ぶほほっ、悔しかったらアタシに勝ってみなさいな」ブホホ
ハートの女王「クッ…!三月ウサギィ!トランプをきれ!もう一度、もう一度七並べをするのだ!」
三月ウサギ「しねぇよ!俺ぁ今プテルと茶ぁ飲んでんだからテメェ等だけでやってろ!」
帽子屋「あら三月ウサギちゃん、あなたクソ雑魚の女王命令に背くつもり!?死罪よ死罪!」
ハートの女王「うむ、私の命令に背くものは残らず死罪に……って、クソ雑魚女王だと!?えぇい!今日こそ貴様の首をはねてやるぞ帽子屋ァァ!!」
ギャーギャー

60 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/14(月)00:39:42 ID:XQv
ハートの女王「我が下僕よ我が兵よ、今こそ真の姿を示せ。主、ハートの女王が命じる。そこの無礼なオカマを切り裂け!」パラパラッ
トランプ兵達「Yes my lord」ワラワラ
帽子屋「ちょっとぉ!トランプ兵召喚するのはずるいわよっ!?多勢に無勢じゃなぁい!」パリーン
三月ウサギ「ぬああぁぁ!秘蔵のティーポットが…!帽子屋ァ!テメェ死んだぞオラァ!」ドゴォ
ギャーギャー ドスン バタン ガシャーン
白ウサギ「う、うわぁー…ど、どうしようこれ…!」
アシェンプテル「フフッ、収拾がつかなくなったな。まぁ喧嘩するほど仲が良いとよく言うから特に気にすることもないんじゃないか」クスクス
白ウサギ「なんで悠長に構えてるんですかアシェンプテルさん!あなたちょっとこの世界に慣れるの早いですよ、私なんかいまだにこれなのに…」
アシェンプテル「フフッ、ほらほら…何とかしないとアリス陣営自滅っていう最悪のシナリオが生まれる事になりかねない」クスクス
白ウサギ「うぅ、それだけは避けないと…。こうなったら仕方無いです……皆さん!いい加減に喧嘩を止めてくれないとーー」スゥゥゥ
ギャーギャー ギャーギャー
白ウサギ「皆さんが喧嘩してるって事、アリスさんに言いつけますよぉ!!」バンッ
…シーン
白ウサギ「それでもいいんですか!?僕ならこの懐中時計ですぐにでもアリスさんのとこへ行けます、今すぐにですよ!今すぐ言いつけに行けるんですよ!それでもいいんですか!」
帽子屋「…ちょっと白ウサギちゃん、それズルくないかしら?やめてちょうだい、アリスちゃんには余計な心配かけたくないもの」
三月ウサギ「そうだぞお前、言いつけたりしたらアリスが一番悲しむだろうが…!マジでやめろ!」
ハートの女王「同感だ、私達の争いは私達でけりをつければいい。あいつを巻き込むのは…女王である私でも避けたい事だ」
アシェンプテル(…アリスの名前が出た途端争いが止んだ。ここにいる仲間たちは金銭や脅迫でアリスに味方しているんじゃない、という事か…)

61 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/14(月)00:42:54 ID:XQv
白ウサギ「みなさんはアリスさんの願いを、目的を忘れちゃったんですか!?皆さんが喧嘩してることをアリスさんが知ったら…きっと悲しみますよ!」
一同「……」
白ウサギ「アリスさんはこの世界を愛してるんです。皆さんが平和に暮らして仲良くしていることがアリスさんの願いの一つであると知っていながら…どうして仲直りできないんですか!アリスさんのこと嫌いなんですか!?」
三月ウサギ「そ、そんなわけねぇだろ!俺たちはあいつが一番なんだ、なぁそうだろ?」
帽子屋「えぇ、そうよ…アリスちゃんを悲しませるなんてしたくは無いわ…。だって私達仲間ですもの」
ハートの女王「そうだな、あいつが率先して動いているのは私達の為でもある…その行為をないがしろにするほど、私は落ちておらん」
白ウサギ「それなら…もう喧嘩はやめましょう。もうじきアリスさんはここに来ます。それまでにキチンと仲直りしてください!」
三月ウサギ「そうだな…。すまん…ちょっとばかし熱くなっちまった」
帽子屋「そ、そうねぇ…悪かったわ女王、言いすぎちゃったかもね。許してちょうだい」
ハートの女王「素直に謝るのならば…許そう。私も少々大人げなかったようだ」
ワイワイ ガヤガヤ
白ウサギ「……ふぅ、これで一安心です。なんとか喧嘩を止めることができました」ホッ
アシェンプテル「どうやら、なんとかなったみたいだな」
白ウサギ「もう…喧嘩になっちゃうのは仕方ないにしてもですよ?結局はアリスさんの名前出さないと仲直りしてくれないんですから、困ったものですよぉ…」
白ウサギ「そしていっつも仲裁は私なんですから。勘弁してほしいですよぉ…」

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