女「あの、顔色悪いけど大丈夫ですか?」 男「・・・え?」
Part9
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/05(水) 18:39:59.12 ID:L7pmnN4Y0
こんばんわ
続きです
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/05(水) 18:40:42.01 ID:L7pmnN4Y0
***
3回目の桜の花が、季節の移り変わりを告げていた。
彼女の胸元のリボンの色は緑から赤になり、オレは理系クラスへと進んだ。
文系クラスの彼女とは、相変わらず違う部屋で授業を受けていた。
今思い返しても、クラス・ルームには彼女の映像が浮かばない。
放課後、オレたちは去年と同じように別々の場所へ行く。
グラウンドを走りながら校舎を見上げると、彼女の横顔が見えた。
夕暮れの廊下を歩く。
彼女はオレの前。
オレが平日に彼女と話すことができる唯一の時間だ。
男「なあ」
女「うん」
男「・・・生徒会活動って毎日あるのか?」
女「大体金曜の週1回よ。行事の前はもっとあるけど」
男「そうか」
女「?」
男「・・・例えば、オレが放課後部活の無い日があったら、どっか遊びに行ったりとか出来るか?」
女「え?・・・お母さんの仕事終わる時間変わらないからダメよ」
男「オレが、送るんじゃダメか?」
女「・・・・それだと他の人に見られてしまうから」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/05(水) 18:41:16.84 ID:L7pmnN4Y0
男「・・見られたからって・・・別に良いだろ」
女「私と・・・あなたの関係がばれてしまうわ」
男「違うって言い張ればいいだろ?」
女「・・・・いえ・・ダメよ。そうでなければ、あなたが毎日、私を送る理由がないもの」
男「・・・例えば、放課後は図書室に行って時間を潰して、部活やらない奴らが帰った頃を見計らって階段のとこで待ち合わせする」
女「・・・でも」
男「それで、門を出てしばらくして合流するんなら大丈夫じゃないか?」
女「・・・・でも」
男「・・・オレは・・・お前ともっと一緒にいたい」
女「っ・・・!」
男「お前は・・・・え?」
女「・・・うっ・・私だって・・一緒にいたいよ・・」ぽろぽろ
男「なっ・・泣くことないだろ・・」
女「だって・・・ひっく・・・・嬉しかったから・・」
男「・・・//」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/05(水) 18:41:49.30 ID:L7pmnN4Y0
男「やっぱり・・・ダメか?」
女「・・・・」
女「・・・・・条件があります」
男「ん」
女「せ・・・制服のままで・・デートはダメです。お互い一回帰って私服に着替えてからです」
男「お・・おう//」
男「じゃあ・・・まずお前を家まで送って、オレは一旦帰って着替えてから、もう一度お前の家まで迎えに行く・・・でいいか?」
女「・・・うん・・ごめんなさい。私のせいでたくさん歩かせてしまって」
男「・・・そういう事は言うなよ」
女「あ・・・ごめんなさい」
男「ん」
男「・・・」
ちゅ
女「!!」
女「がっ・・学校の中ではほっぺもダメ!!」
男「・・・ん」
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/05(水) 18:42:24.15 ID:L7pmnN4Y0
オレは彼女との時間がもっと欲しかった。
オレにとって彼女が車椅子であることなんて、何も気にしていなかった。
だからオレは、普通の高校生同士を求めた。
オレたちを見る社会の目は、思っていたよりもずっと優しい。
オレはとっくに覚悟を決めていた。
だからあとは、彼女がそれを受け入れるだけ。
そう思っていた。
そう思っていたから、オレは一つの決断をした。
優しくも、頑なな、彼女がもっと素直になれるように。
彼女とオレの、幸せのために。
でもその決断は、たぶん間違いだった。
結果だけを見れば、その幸せは別れの始まりだったのだから。
「おーし、じゃあ今日の練習は終わりな」
「お疲れーっす!」
男「・・・なあ、新キャプテン」
「ん?」
男「ちょっと話あんだけどいいか?」
「別にいいけど、長くなるのか?」
男「いや、一瞬で終わる」
「?」
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/05(水) 18:42:59.33 ID:L7pmnN4Y0
**
ピンポーン
女「はい」
男「お待たせ」
がちゃ
女「うん」
男「もう支度出来てるのか?」
女「うん。着替えたから」
男「じゃあ行くか」
女「うんっ!」
男「あー・・・その服、この間一緒に買ったやつ?」
女「そうよ」
男「えっと・・似合ってる」
女「・・ん//」
男「きょ・・今日はどっか行きたいとこあるか?」
女「・・・あなたと」
男「?」
女「男君と一緒ならどこでもいいわ」
男「ん・・・じゃあ、いつもの喫茶店行くか」
女「うん」
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/05(水) 18:43:30.48 ID:L7pmnN4Y0
パラ・・
男「女は何読んでるんだ?」
女「“租税法”」
男「うお・・やっぱり勉強してるのか」
女「そうよ。男君もたまには勉強しなさいよ」
男「オレは・・試験前になったらやる」
女「もう!」
男「オレは・・・こうやってコーヒー飲みながら、本読んで勉強してるお前見てるのが好きだから」
女「・・・バカ//」
男「でもたまにはオレも勉強するかな。数学小テストあるし」
女「ふーん。珍しいのね」
男「うっせ」
女「ふふ・・・そう言えば最近、部活出てないみたいだけどまたどこか痛めたの?」
男「あ、その事なんだけど」
女「?」
男「サッカー部、辞めた」
女「・・・・え?」
男「今年、レギュラーになれそうにないしな。それに、お前とこうやっている時間の方がオレは好きだし」
女「・・・・・・私のせい?」
男「え?」
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/05(水) 18:44:02.26 ID:L7pmnN4Y0
女「私のせいで・・・部活辞めたの?」
男「せいって・・そういう訳じゃない。レギュラーになれそうになかったら辞めるって決めてたし」
女「私っ・・・・あなたとこうしてる時間は幸せ。でも・・・私のせいであなたの可能性を潰してしまうのには耐えられない!」
男「お・・落ち着けよ。違う。本当に決めてたことなんだ。もう3年だし、勉強のこともある。だから、今回レギュラーになれなかったら辞めるってのは決めてた。お前のことは関係ない」
女「・・・・本当?」
男「ほんとだ」
女「・・・・うん・・・ごめん。大きな声出して」
男「オレの方こそごめん。辞めるときにちゃんと言っておけばよかったな」
・・・これは嘘だ。
オレは、彼女といる時間のために部活を辞めた。
オレにとっては、なんとなくやっていたサッカーより、彼女との時間の方が何倍も大切だった。
それだけの、単純な事だった。
でも彼女にとっては、自分自身が恋人の枷になるのが耐えられないのだ。
出合って初めて聞いた彼女の大声は、俺にそれを強く理解させた。
驚いた俺は、平静を装い、泣きそうになっている彼女の頭を優しく撫でた。
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/05(水) 18:44:47.32 ID:L7pmnN4Y0
ここまでにします
申し訳ありませんが、明日は更新できないと思います
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/05(水) 18:59:01.02 ID:XeDhJHLn0
乙
いやもうなんか……今の時点で切ねぇよ本当……。
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/05(水) 19:36:28.13 ID:JA8sUEjHo
頼むからハッピーエンドで…冒頭から希望薄だけど…
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/06(木) 09:32:56.89 ID:N6fhlOMBo
どんなエンドだって別にいいだろ
乙
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/06(木) 14:17:41.55 ID:bdy0TbBZO
女ちゃん病みそう
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/06(木) 14:33:18.53 ID:S43hn94k0
乙
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 21:58:04.98 ID:L0ubC2tO0
こんばんわ
それでは続きです
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 21:58:40.93 ID:L0ubC2tO0
***
彼女を知ってから、二回目の夏が来た。
今年の夏は追試も、部活もない。
そのおかげでオレは、多くの時間を彼女と過ごすことができた。
彼女が生徒会のないある日、珍しく彼女が喫茶店でオレにリクエストをしてきた。
女「男君」
男「ん?」
女「他県なんだけどね、ここ行きたいの」
男「ん?“花ノ王国”?」
女「そう。今はマリーゴールドとヒマワリが見ごろなんだって。男君が嫌じゃなかったら行かない?」
男「いいよ。でも遠いけど大丈夫か?」
女「うん。移動はお母さんにお願いして車出してもらおうかな」
男「あー・・・その方がいいな」
女「じゃああなたの都合のいい日を教えてください」
男「いつでもいいけど、平日のがいいんじゃないのか?混んでるだろうし」
女「うん・・・あ、お母さん仕事だから平日は無理かもしれないわ」
男「ああ、そっか。それじゃいつでもいいよ。任せる」
女「うーん・・・とりあえず今日帰ったら聞いてみます」
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 21:59:13.58 ID:L0ubC2tO0
Trrrrrrr・・・
ピッ
男「もしもし?」
女『こんばんは。今大丈夫?』
男「ん」
女『今日話した“花ノ王国”の件だけど、来週の土曜日でいいかしら?』
男「おう。別に大丈夫だぞ」
女『じゃあ、その日は朝8時に私の家に来てください』
男「了解。悪いな、オレまで送ってもらって」
女『あ、それでね、その日なんだけどお母さんも仕事でね・・・』
**
ピンポーン
男「・・・」
ガチャ
女兄「あ、おはようございます。君、男君?」
男「あ、ハイ。えっと・・女さんのお兄さんですか」
女兄「うん。初めまして。今日は一日ドライバーをします。よろしくね」
男「スイマセン。ありがとうございます」
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 21:59:46.58 ID:L0ubC2tO0
バタン・・・ブロロロロ・・
女「お兄ちゃん、今日はありがとう」
男「あ、ありがとうございます」
女兄「うん。ぼくも今日は仕事無いから気にしないでいいよ。男君も気にしないでね」
男「は、はい」
女兄「男君、朝食食べてきた?」
男「あ、いえ、食べてないけど大丈夫です」
女兄「実はぼくも食べてなくて、ファーストフードのドライブスルー行きたいんだけどいいかな?」
男「あ・・はい」
女兄「うん、じゃあちょと寄るよ」
女兄「男君はセットの飲み物は?」
男「あ、スイマセン。コーラで」
女兄「女はウーロン茶でいいんだっけ?」
女「うん」
「ありがとうございましたー」
男「スイマセン、奢ってもらっちゃって・・」
女兄「男君、実はさ、このファーストフードはうちの妹ちゃんのリクエストなんだよ。だから気にしないでいいよ」
女「あっ!お兄ちゃん言わないでよっ!」
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 22:00:19.04 ID:L0ubC2tO0
男「えっ?ファーストフードとか普段から食べんの?!」
女「な・・なによ。いいじゃない。たまには食べたくなるのよ!」
男「なんかすごい栄養バランスとか気にしてるイメージあったわ。オーガニックとか好きそうな」
女「なによその勝手なイメージ!」
女兄「あはははっ・・・仲良いなぁ」
男「あっ・・いや//」
女「っ//」
女兄「男君、こいつちょっと捻くれてるとこあるけど、仲良くしてくれてありがとね」
女「お兄ちゃん!一言多いわよ!」
男「・・・ぷっ」
女「もうーーー!」
ブロロロロ・・キッ
女兄「着いたよ。それじゃあぼくは近くに住んでる友達と遊んでくるから、二人で楽しんできな」
女「ありがとう」
男「ありがとうございます」
女兄「迎えは4時ごろでいいかな?」
女「ええ」
女兄「あ、男君」
男「はい?」
女兄「妹をよろしくね」
男「・・はい」
バタン・・・ブロロロロ・・
こんばんわ
続きです
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/05(水) 18:40:42.01 ID:L7pmnN4Y0
***
3回目の桜の花が、季節の移り変わりを告げていた。
彼女の胸元のリボンの色は緑から赤になり、オレは理系クラスへと進んだ。
文系クラスの彼女とは、相変わらず違う部屋で授業を受けていた。
今思い返しても、クラス・ルームには彼女の映像が浮かばない。
放課後、オレたちは去年と同じように別々の場所へ行く。
グラウンドを走りながら校舎を見上げると、彼女の横顔が見えた。
夕暮れの廊下を歩く。
彼女はオレの前。
オレが平日に彼女と話すことができる唯一の時間だ。
男「なあ」
女「うん」
男「・・・生徒会活動って毎日あるのか?」
女「大体金曜の週1回よ。行事の前はもっとあるけど」
男「そうか」
女「?」
男「・・・例えば、オレが放課後部活の無い日があったら、どっか遊びに行ったりとか出来るか?」
女「え?・・・お母さんの仕事終わる時間変わらないからダメよ」
男「オレが、送るんじゃダメか?」
女「・・・・それだと他の人に見られてしまうから」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/05(水) 18:41:16.84 ID:L7pmnN4Y0
男「・・見られたからって・・・別に良いだろ」
女「私と・・・あなたの関係がばれてしまうわ」
男「違うって言い張ればいいだろ?」
女「・・・・いえ・・ダメよ。そうでなければ、あなたが毎日、私を送る理由がないもの」
男「・・・例えば、放課後は図書室に行って時間を潰して、部活やらない奴らが帰った頃を見計らって階段のとこで待ち合わせする」
女「・・・でも」
男「それで、門を出てしばらくして合流するんなら大丈夫じゃないか?」
女「・・・・でも」
男「・・・オレは・・・お前ともっと一緒にいたい」
女「っ・・・!」
男「お前は・・・・え?」
女「・・・うっ・・私だって・・一緒にいたいよ・・」ぽろぽろ
男「なっ・・泣くことないだろ・・」
女「だって・・・ひっく・・・・嬉しかったから・・」
男「・・・//」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/05(水) 18:41:49.30 ID:L7pmnN4Y0
男「やっぱり・・・ダメか?」
女「・・・・」
女「・・・・・条件があります」
男「ん」
女「せ・・・制服のままで・・デートはダメです。お互い一回帰って私服に着替えてからです」
男「お・・おう//」
男「じゃあ・・・まずお前を家まで送って、オレは一旦帰って着替えてから、もう一度お前の家まで迎えに行く・・・でいいか?」
女「・・・うん・・ごめんなさい。私のせいでたくさん歩かせてしまって」
男「・・・そういう事は言うなよ」
女「あ・・・ごめんなさい」
男「ん」
男「・・・」
ちゅ
女「!!」
女「がっ・・学校の中ではほっぺもダメ!!」
男「・・・ん」
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/05(水) 18:42:24.15 ID:L7pmnN4Y0
オレは彼女との時間がもっと欲しかった。
オレにとって彼女が車椅子であることなんて、何も気にしていなかった。
だからオレは、普通の高校生同士を求めた。
オレたちを見る社会の目は、思っていたよりもずっと優しい。
オレはとっくに覚悟を決めていた。
だからあとは、彼女がそれを受け入れるだけ。
そう思っていた。
そう思っていたから、オレは一つの決断をした。
優しくも、頑なな、彼女がもっと素直になれるように。
彼女とオレの、幸せのために。
でもその決断は、たぶん間違いだった。
結果だけを見れば、その幸せは別れの始まりだったのだから。
「おーし、じゃあ今日の練習は終わりな」
「お疲れーっす!」
男「・・・なあ、新キャプテン」
「ん?」
男「ちょっと話あんだけどいいか?」
「別にいいけど、長くなるのか?」
男「いや、一瞬で終わる」
「?」
**
ピンポーン
女「はい」
男「お待たせ」
がちゃ
女「うん」
男「もう支度出来てるのか?」
女「うん。着替えたから」
男「じゃあ行くか」
女「うんっ!」
男「あー・・・その服、この間一緒に買ったやつ?」
女「そうよ」
男「えっと・・似合ってる」
女「・・ん//」
男「きょ・・今日はどっか行きたいとこあるか?」
女「・・・あなたと」
男「?」
女「男君と一緒ならどこでもいいわ」
男「ん・・・じゃあ、いつもの喫茶店行くか」
女「うん」
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/05(水) 18:43:30.48 ID:L7pmnN4Y0
パラ・・
男「女は何読んでるんだ?」
女「“租税法”」
男「うお・・やっぱり勉強してるのか」
女「そうよ。男君もたまには勉強しなさいよ」
男「オレは・・試験前になったらやる」
女「もう!」
男「オレは・・・こうやってコーヒー飲みながら、本読んで勉強してるお前見てるのが好きだから」
女「・・・バカ//」
男「でもたまにはオレも勉強するかな。数学小テストあるし」
女「ふーん。珍しいのね」
男「うっせ」
女「ふふ・・・そう言えば最近、部活出てないみたいだけどまたどこか痛めたの?」
男「あ、その事なんだけど」
女「?」
男「サッカー部、辞めた」
女「・・・・え?」
男「今年、レギュラーになれそうにないしな。それに、お前とこうやっている時間の方がオレは好きだし」
女「・・・・・・私のせい?」
男「え?」
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/05(水) 18:44:02.26 ID:L7pmnN4Y0
女「私のせいで・・・部活辞めたの?」
男「せいって・・そういう訳じゃない。レギュラーになれそうになかったら辞めるって決めてたし」
女「私っ・・・・あなたとこうしてる時間は幸せ。でも・・・私のせいであなたの可能性を潰してしまうのには耐えられない!」
男「お・・落ち着けよ。違う。本当に決めてたことなんだ。もう3年だし、勉強のこともある。だから、今回レギュラーになれなかったら辞めるってのは決めてた。お前のことは関係ない」
女「・・・・本当?」
男「ほんとだ」
女「・・・・うん・・・ごめん。大きな声出して」
男「オレの方こそごめん。辞めるときにちゃんと言っておけばよかったな」
・・・これは嘘だ。
オレは、彼女といる時間のために部活を辞めた。
オレにとっては、なんとなくやっていたサッカーより、彼女との時間の方が何倍も大切だった。
それだけの、単純な事だった。
でも彼女にとっては、自分自身が恋人の枷になるのが耐えられないのだ。
出合って初めて聞いた彼女の大声は、俺にそれを強く理解させた。
驚いた俺は、平静を装い、泣きそうになっている彼女の頭を優しく撫でた。
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/05(水) 18:44:47.32 ID:L7pmnN4Y0
ここまでにします
申し訳ありませんが、明日は更新できないと思います
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/05(水) 18:59:01.02 ID:XeDhJHLn0
乙
いやもうなんか……今の時点で切ねぇよ本当……。
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/05(水) 19:36:28.13 ID:JA8sUEjHo
頼むからハッピーエンドで…冒頭から希望薄だけど…
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/06(木) 09:32:56.89 ID:N6fhlOMBo
どんなエンドだって別にいいだろ
乙
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/06(木) 14:17:41.55 ID:bdy0TbBZO
女ちゃん病みそう
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/06(木) 14:33:18.53 ID:S43hn94k0
乙
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 21:58:04.98 ID:L0ubC2tO0
こんばんわ
それでは続きです
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 21:58:40.93 ID:L0ubC2tO0
***
彼女を知ってから、二回目の夏が来た。
今年の夏は追試も、部活もない。
そのおかげでオレは、多くの時間を彼女と過ごすことができた。
彼女が生徒会のないある日、珍しく彼女が喫茶店でオレにリクエストをしてきた。
女「男君」
男「ん?」
女「他県なんだけどね、ここ行きたいの」
男「ん?“花ノ王国”?」
女「そう。今はマリーゴールドとヒマワリが見ごろなんだって。男君が嫌じゃなかったら行かない?」
男「いいよ。でも遠いけど大丈夫か?」
女「うん。移動はお母さんにお願いして車出してもらおうかな」
男「あー・・・その方がいいな」
女「じゃああなたの都合のいい日を教えてください」
男「いつでもいいけど、平日のがいいんじゃないのか?混んでるだろうし」
女「うん・・・あ、お母さん仕事だから平日は無理かもしれないわ」
男「ああ、そっか。それじゃいつでもいいよ。任せる」
女「うーん・・・とりあえず今日帰ったら聞いてみます」
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 21:59:13.58 ID:L0ubC2tO0
Trrrrrrr・・・
ピッ
男「もしもし?」
女『こんばんは。今大丈夫?』
男「ん」
女『今日話した“花ノ王国”の件だけど、来週の土曜日でいいかしら?』
男「おう。別に大丈夫だぞ」
女『じゃあ、その日は朝8時に私の家に来てください』
男「了解。悪いな、オレまで送ってもらって」
女『あ、それでね、その日なんだけどお母さんも仕事でね・・・』
**
ピンポーン
男「・・・」
ガチャ
女兄「あ、おはようございます。君、男君?」
男「あ、ハイ。えっと・・女さんのお兄さんですか」
女兄「うん。初めまして。今日は一日ドライバーをします。よろしくね」
男「スイマセン。ありがとうございます」
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 21:59:46.58 ID:L0ubC2tO0
バタン・・・ブロロロロ・・
女「お兄ちゃん、今日はありがとう」
男「あ、ありがとうございます」
女兄「うん。ぼくも今日は仕事無いから気にしないでいいよ。男君も気にしないでね」
男「は、はい」
女兄「男君、朝食食べてきた?」
男「あ、いえ、食べてないけど大丈夫です」
女兄「実はぼくも食べてなくて、ファーストフードのドライブスルー行きたいんだけどいいかな?」
男「あ・・はい」
女兄「うん、じゃあちょと寄るよ」
女兄「男君はセットの飲み物は?」
男「あ、スイマセン。コーラで」
女兄「女はウーロン茶でいいんだっけ?」
女「うん」
「ありがとうございましたー」
男「スイマセン、奢ってもらっちゃって・・」
女兄「男君、実はさ、このファーストフードはうちの妹ちゃんのリクエストなんだよ。だから気にしないでいいよ」
女「あっ!お兄ちゃん言わないでよっ!」
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/07(金) 22:00:19.04 ID:L0ubC2tO0
男「えっ?ファーストフードとか普段から食べんの?!」
女「な・・なによ。いいじゃない。たまには食べたくなるのよ!」
男「なんかすごい栄養バランスとか気にしてるイメージあったわ。オーガニックとか好きそうな」
女「なによその勝手なイメージ!」
女兄「あはははっ・・・仲良いなぁ」
男「あっ・・いや//」
女「っ//」
女兄「男君、こいつちょっと捻くれてるとこあるけど、仲良くしてくれてありがとね」
女「お兄ちゃん!一言多いわよ!」
男「・・・ぷっ」
女「もうーーー!」
ブロロロロ・・キッ
女兄「着いたよ。それじゃあぼくは近くに住んでる友達と遊んでくるから、二人で楽しんできな」
女「ありがとう」
男「ありがとうございます」
女兄「迎えは4時ごろでいいかな?」
女「ええ」
女兄「あ、男君」
男「はい?」
女兄「妹をよろしくね」
男「・・はい」
バタン・・・ブロロロロ・・
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