神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
Part67
883: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 19:46:08 ID:hV6D42AU
ガコンッ
神使「これでいいんですか?」ハイ
巫女「サンキュ〜」プシュッ
神使「奉務中に飲み物なんて・・・ しかもコーラですか?」
巫女「バレないって」ゴクゴク
神使「では行きましょうか」
巫女「君は買わなくても良いの?」
神使「大丈夫です」
884: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 19:47:29 ID:hV6D42AU
テクテク
巫女「あっ、ここ右」
神使「はぁ・・・ かなり参道から外れているようですが」
巫女「そうね〜 近道だから。 関係者以外は通らないし」ゲップ
神使「・・・・・・」
巫女「あ〜 ゴメンね私だけ飲んで」
神使「美味しいんですか? それ」
巫女「最高だよ〜 あれ? もしかしてコーラ飲んだ事ないの?」
神使「はい、普段は白湯かお茶ですので・・・」
巫女「マジで!? 飲む? 一口ならあげるよ?」
神使「いいえ大丈夫です」
巫女「美味しいのに・・・ ん?」ピタッ
神使「どうされました?」
885: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 19:48:23 ID:hV6D42AU
?「フンフン〜♪」
神使「林に誰かいますね・・・」
巫女「あれって・・・」
神使「お知り合いですか?」
巫女「お〜い、何やてんだよ〜」
?「あん?」
神使「あの方は・・・ まさか!」
巫女「なんでこんな所ににいるんだ? またサボりか?」
?「禊ぎ中だ」
巫女「あ〜 抜け出してきたのね」
886: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 19:49:39 ID:hV6D42AU
神使「さ、祭儀神様! 神様図鑑と同じ・・・ 本物!」ドゲザ
祭儀神「ん?」
巫女「君、急に土下座なんかしてどうしたの?」ケラケラ
神使「巫女さん! こちら神宮の祭儀神様ですよ!?」
祭儀神「・・・こいつ関係者か?」ボソッ
巫女「あ〜 ならなら神社の、って酒くさ! お前、酒飲んだろ」
神使「!? 祭儀神様にお前だなんて・・・ 申し訳ありません! 神宮の巫女さんですのでどうか御慈悲を!」フカブカ
祭儀神「・・・・・・」
887: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 19:50:50 ID:hV6D42AU
巫女「ねぇ、何してたの?」
祭儀神「ちょっと野暮用でな・・・」
巫女「ふ〜ん。 んじゃ、私達は社務所行くから。 ここでサボってた事を神職に伝えておくわ」
祭儀神「!? ちょ、ちょっと待った!」
巫女「なに?」
祭儀神「・・・午前中にやった祭儀のお供え物を後で持って行かせる」
巫女「オッケ〜。 私はここでお前には会わなかった」
祭儀神「」ホッ
巫女「それじゃ神使君、行こうか」
神使「は、はい。 祭儀神様、お目にかかれて光栄でした」ペコリ
祭儀神「あ、あぁ・・・」
888: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 19:52:38 ID:hV6D42AU
テクテク
巫女「いや〜 お供え物ゲット! ラッキ〜♪」
神使「祭儀神様にあんな対応をするなんて・・・」
巫女「え〜 アイツってそんなに有名なの?」
神使「神宮の祭儀神様ですよ? 神階最高位の神ですよ!?」
巫女「ただのジジイじゃん」
神使「・・・・・・」
巫女「あの建物が内宮の社務所」
神使「さすが大きいですね」
巫女「おっ、玄関に大宮司いるじゃん」
889: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 19:54:08 ID:hV6D42AU
巫女「お〜い、大宮司〜」
神使「大宮司様にもそのような態度なのですね・・・」
大宮司「ん? あ〜 神ちゃんか、サボりか?」
巫女「ちげーよ! 客連れてきたの!」
神使「・・・ならなら神社から参りました神使と申します」フカブカ
大宮司「君が神使君か。 待っていたよ、中に入ってくれ。 神ちゃんも一緒にーーー」
巫女「玄関落ち葉だらけじゃん。 ちょっと掃除するから箒取ってくる」タッ タッ タッ
大宮司「おい神ちゃん・・・ はぁ〜 逃げられたか・・・」
890: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 19:55:23 ID:hV6D42AU
神使「変わった巫女さんですね・・・」
大宮司「彼女と何か話したのかい?」
神使「とてもフレンドリーな巫女さんですね」
大宮司「そうだね、少しフレンドリーすぎる気もするが」
神使「先ほど、祭儀神様とお会いしたのですが・・・ 神と接する態度とは思えないほど何と言いますか・・・」
大宮司「はははっ、仲の良い先輩と後輩というヤツじゃないのか?」
神使「?」
大宮司「まぁ、詳しくは中で話そうじゃないか」
神使「はい」
891: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 19:56:06 ID:hV6D42AU
ーーー 大宮司室
大宮司「さてと、まずは神宮へようこそ」
神使「私のような未熟者をご採用頂きましてありがとうございました」フカブカ
大宮司「いやいや、その若さで最高位の神使だなんて十分立派だと思うよ?」
神使「そんな事ございません。 全身全霊を込めて神宮でご奉仕させて頂きます」
大宮司「まぁ、堅い話は無しにして楽にいこうじゃないか」
神使「お気遣いありがとうございます」
892: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 19:58:38 ID:hV6D42AU
大宮司「神使君は神宮の神についてどのくらい知っているかね?」
神使「神宮主神である最高神様、内宮神様、外宮神様の神宮三神を筆頭に祭儀神様などの神々の皆様がおられるという程度ですが・・・」
大宮司「神宮三神は別格である事は承知だと思う」
神使「はい。 人や神使はもちろん神職でさえ謁見は禁止されていると聞いております」
大宮司「そうだな。 取りあえず神宮三神は置いておくとして、それ以外で今現在神宮には二人の神がおられる」
神使「たった二神なのですか?」
大宮司「最高神様の希望らしくてね。 最低限の神しかいないのだよ」
神使「そうなのですか・・・ 勉強不足で申し訳ございません」
大宮司「いやいや、表には出していないから知っていたら逆に大変だよ」ハハハッ
神使「祭儀神様は神社界では著名な神ですので知っているのですが・・・」
893: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 20:00:08 ID:hV6D42AU
大宮司「もう一人が・・・ まぁ君の主神となる神で女神様だ」
神使「女神様・・・」
大宮司「ちなみに、神様図鑑にも載っていないぞ?」
神使「そのような神がおられるのですか?」
大宮司「別格だからね。 良い意味でも悪い意味でも・・・」
神使「? 一体ご専門は・・・」
大宮司「う〜ん・・・ 確か審査神だったかな?」
神使「・・・審査神?」
大宮司「広域特務課? とかいう場所に所属していた気がする」
神使「はぁ・・・」
大宮司「いや、忘れている訳じゃないんだよ? 普段は違う仕事をしているものでね」
神使「違う仕事・・・ ですか?」
大宮司「君に隠しても仕方がないから言ってしまうが、すでに君と面識がある」
神使「?」
894: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 20:01:03 ID:hV6D42AU
大宮司「あれ」クイッ
神使「? 窓の外?」
サァ サァ サァ
神使「先ほどの巫女さんがお掃除しているようですね」
大宮司「さっきからこちらが気になるのかチラチラと見ているみたいだが」ハハハッ
神使「あの巫女さんが何か?」
大宮司「あれが君の主神」
神使「・・・・・・はい?」
895: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 20:02:39 ID:hV6D42AU
大宮司「内宮神籍の神様で巫女さん」
神使「・・・・・・」
大宮司「うん、言いたい事は分かる。 でも神ちゃんは巫女としては優秀でね、内宮巫女長なんだよ」
神使「あの・・・ 冗談でなくですか?」
大宮司「神ちゃんはちょっと特殊な神でね。 周りには神である事を隠しているんだ」
神使「はぁ・・・」
大宮司「ああ見えて、神宮は長いんだよ?」
神使「何故そのような神が巫女さんを・・・」
大宮司「まぁ、訳ありでね・・・ その、神力が少し弱いんだよ」
神使「神力が・・・ それで巫女さんの仕事を?」
大宮司「まぁ何というか・・・ そうであって、そうでないというか・・・」
896: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 20:03:54 ID:hV6D42AU
神使「えっと・・・ 私はどのようにお付き合いすればよろしいんでしょうか?」
大宮司「そうだね〜 どうしようかな」
神使「・・・・・・」
大宮司「大丈夫だよ。 何も考えずに神ちゃんが君を神使に付けたはずないだろうし」
神使「え? 神様が私をお選びになったのですか?」
大宮司「ん? そんな事言ったかね? 私が選んだんだよ、厳正なる選考でね」アセアセ
神使「・・・・・・はぁ」
大宮司「神ちゃんはすごく面白いからすぐに仲良くなれるよ」
神使「神使が神と仲良くなど、そんな非礼な事は・・・」
897: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 20:04:49 ID:hV6D42AU
大宮司「君に一つだけ言っておこう」
神使「?」
大宮司「神と神使、神と人の付き合い方とあり方の常識を捨てなさい」
神使「常識を・・・ 捨てる?」
大宮司「君は、何故神を崇め奉るんだい?」
神使「それは・・・」
大宮司「人に対しても立派な人には神のように崇め奉ったりするかい?」
神使「・・・・・・」
898: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 20:05:35 ID:hV6D42AU
大宮司「まぁ、今は何のことだかよく分からないだろうが時期分かる」
神使「はい」
大宮司「急に今までの常識を捨てろと言われても戸惑うかも知れないが・・・」
神使「いえ、仰る事は何となくですが分かったような気がします」
大宮司「そうか。 期待しているぞ、神使君」
神使「ありがとうございます」フカブカ
大宮司「神勅が発せられる任命式は明日だ。 それまでゆっくりしていなさい」
神使「承知いたしました」
大宮司「よしと」スタスタ
899: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 20:06:34 ID:hV6D42AU
ガラガラ
大宮司「おい、神ちゃん」
神様「なに?」
大宮司「掃除はいいから、こっちに来てくれるか?」
神様「ん」トテトテ
大宮司「神使君を宿舎に案内してあげてくれるか?」
神様「あ〜 良いけど、コーラおごって」
大宮司「分かったよ、後で宿舎に届けさせる」
900: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 20:07:12 ID:hV6D42AU
神様「んじゃ、案内するから一緒に行くぞ」
神使「は、はい! よろしくお願いいたします!」フカブカ
神様「あ〜 そういうのしなくていいから」
神使「?」
神様「まぁ、いいや。 行くよ〜」
神使「はい!」
901: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 20:09:27 ID:hV6D42AU
テクテク
神様「・・・・・・」
神使「・・・・・・」カチコチ
神様「ねぇ・・・」
神使「はっ、はい! 何でしょうか神様!」
神様「もっと普通で良いよ。 社務所行く前みたいな感じで」
神使「しかし・・・」
神様「私、堅苦しいのは苦手でさ。 距離を置かれるの好きじゃないんだよね」
神使「そうなのですか?」
神様「別に神って偉い存在ではないしさ?」
神使「そのような事はないと思うのですが」
神様「・・・・・・」
902: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 20:10:53 ID:hV6D42AU
神使「ところで、私は普段どのような補佐をすればよろしいでしょうか? 祭儀などは頻繁になされるのですか?」
神様「私は祭儀とかしないね」
神使「では、神力成就がご専門で?」
神様「・・・それもしないね」
神使「では普段はどのような・・・」
神様「巫女」
神使「巫女・・・ さんですか?」
神様「そう、巫女。 私は、普段は神としての仕事は全くしていない」
神使「大宮司様が内宮巫女長と仰っておりましたが」
神様「そうそう。 だから私の神使なんてやる事ないと思うよ?」
903: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 20:12:26 ID:hV6D42AU
神使「・・・では、私はなぜ神様の神使に任命されたのでしょか?」
神様「まぁ、近いうちに必要になるし」
神使「?」
神様「あっ、でも私以外の神に付きたいと思ったら遠慮なく言ってね」
神使「そんな事は・・・ そんな非礼は神使として失格です」
神様「いや、祭儀神とか他の神階の高い神に付きたいと思ったら正直に言う事。 それだけは約束してくれる?」
神使「はぁ・・・」
神様「まぁ、これでも神宮は長いからどの社の神にでも神使として付ける事くらい出来るし」
神使「え!?」
神様「神宮三神以外だったら誰でも良いよ? だから約束して。 君の人生を無駄にしたくない」
神使「分かりました」
904: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 20:13:34 ID:hV6D42AU
神様「よし! まぁ、しばらくは適当に仕事見つけてプラプラしててよ」
神使「そんなアバウトな事でも良いのですか?」
神様「いいよ」
神使「・・・・・・」
テクテク
神様「あっ、あの建物が宿舎。 神使君は右側の建物だね」
神使「立派な宿舎ですね」
神様「じゃ、また」トテトテ
神使「あの、神様!」
神様「?」
神使「明日の任命式でのご神勅、どうぞよろしくお願いいたします」フカブカ
神様「へいへい」スタスタ
神使「・・・・・・」
905: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/14(月) 00:46:19 ID:yV/GXYyo
ーーー 任命式
大宮司「狛犬の神使よ」
神使「はい」
大宮司「本日付で神宮所属とし主神付の神使とする」
神使「ありがとうございます」フカブカ
大宮司「神様、神勅をお願いいたします」
神様「Zzz・・・」コクッ
大宮司「おい、神ちゃん」ボソッ
神様「んあ?」ポー
大宮司「神勅」
神様「あ〜」ヨイショ
神使「・・・・・・」
906: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/14(月) 00:47:55 ID:yV/GXYyo
大宮司「神勅は内宮神籍・神様から賜る」
神使「」フカブカ
神様「神勅! 狛犬の神使よ、其方を本日付で神宮主神付とし我が神使として任命する」
大宮司・神使「」フカブカ
神様「以上、内宮神籍神様より神勅を申し伝えた」
神使「神様の主神付神使として恥じぬよう誠心誠意ご奉仕いたします」
神様「堅い!」
神使「・・・神様の神使として頑張ります」
神様「いいね〜 んじゃお祝いパーチィーでもしますか」
大宮司「まだ日が出てるぞ? 早すぎじゃないか?」
ガコンッ
神使「これでいいんですか?」ハイ
巫女「サンキュ〜」プシュッ
神使「奉務中に飲み物なんて・・・ しかもコーラですか?」
巫女「バレないって」ゴクゴク
神使「では行きましょうか」
巫女「君は買わなくても良いの?」
神使「大丈夫です」
884: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 19:47:29 ID:hV6D42AU
テクテク
巫女「あっ、ここ右」
神使「はぁ・・・ かなり参道から外れているようですが」
巫女「そうね〜 近道だから。 関係者以外は通らないし」ゲップ
神使「・・・・・・」
巫女「あ〜 ゴメンね私だけ飲んで」
神使「美味しいんですか? それ」
巫女「最高だよ〜 あれ? もしかしてコーラ飲んだ事ないの?」
神使「はい、普段は白湯かお茶ですので・・・」
巫女「マジで!? 飲む? 一口ならあげるよ?」
神使「いいえ大丈夫です」
巫女「美味しいのに・・・ ん?」ピタッ
神使「どうされました?」
885: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 19:48:23 ID:hV6D42AU
?「フンフン〜♪」
神使「林に誰かいますね・・・」
巫女「あれって・・・」
神使「お知り合いですか?」
巫女「お〜い、何やてんだよ〜」
?「あん?」
神使「あの方は・・・ まさか!」
巫女「なんでこんな所ににいるんだ? またサボりか?」
?「禊ぎ中だ」
巫女「あ〜 抜け出してきたのね」
886: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 19:49:39 ID:hV6D42AU
神使「さ、祭儀神様! 神様図鑑と同じ・・・ 本物!」ドゲザ
祭儀神「ん?」
巫女「君、急に土下座なんかしてどうしたの?」ケラケラ
神使「巫女さん! こちら神宮の祭儀神様ですよ!?」
祭儀神「・・・こいつ関係者か?」ボソッ
巫女「あ〜 ならなら神社の、って酒くさ! お前、酒飲んだろ」
神使「!? 祭儀神様にお前だなんて・・・ 申し訳ありません! 神宮の巫女さんですのでどうか御慈悲を!」フカブカ
祭儀神「・・・・・・」
887: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 19:50:50 ID:hV6D42AU
巫女「ねぇ、何してたの?」
祭儀神「ちょっと野暮用でな・・・」
巫女「ふ〜ん。 んじゃ、私達は社務所行くから。 ここでサボってた事を神職に伝えておくわ」
祭儀神「!? ちょ、ちょっと待った!」
巫女「なに?」
祭儀神「・・・午前中にやった祭儀のお供え物を後で持って行かせる」
巫女「オッケ〜。 私はここでお前には会わなかった」
祭儀神「」ホッ
巫女「それじゃ神使君、行こうか」
神使「は、はい。 祭儀神様、お目にかかれて光栄でした」ペコリ
祭儀神「あ、あぁ・・・」
テクテク
巫女「いや〜 お供え物ゲット! ラッキ〜♪」
神使「祭儀神様にあんな対応をするなんて・・・」
巫女「え〜 アイツってそんなに有名なの?」
神使「神宮の祭儀神様ですよ? 神階最高位の神ですよ!?」
巫女「ただのジジイじゃん」
神使「・・・・・・」
巫女「あの建物が内宮の社務所」
神使「さすが大きいですね」
巫女「おっ、玄関に大宮司いるじゃん」
889: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 19:54:08 ID:hV6D42AU
巫女「お〜い、大宮司〜」
神使「大宮司様にもそのような態度なのですね・・・」
大宮司「ん? あ〜 神ちゃんか、サボりか?」
巫女「ちげーよ! 客連れてきたの!」
神使「・・・ならなら神社から参りました神使と申します」フカブカ
大宮司「君が神使君か。 待っていたよ、中に入ってくれ。 神ちゃんも一緒にーーー」
巫女「玄関落ち葉だらけじゃん。 ちょっと掃除するから箒取ってくる」タッ タッ タッ
大宮司「おい神ちゃん・・・ はぁ〜 逃げられたか・・・」
890: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 19:55:23 ID:hV6D42AU
神使「変わった巫女さんですね・・・」
大宮司「彼女と何か話したのかい?」
神使「とてもフレンドリーな巫女さんですね」
大宮司「そうだね、少しフレンドリーすぎる気もするが」
神使「先ほど、祭儀神様とお会いしたのですが・・・ 神と接する態度とは思えないほど何と言いますか・・・」
大宮司「はははっ、仲の良い先輩と後輩というヤツじゃないのか?」
神使「?」
大宮司「まぁ、詳しくは中で話そうじゃないか」
神使「はい」
891: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 19:56:06 ID:hV6D42AU
ーーー 大宮司室
大宮司「さてと、まずは神宮へようこそ」
神使「私のような未熟者をご採用頂きましてありがとうございました」フカブカ
大宮司「いやいや、その若さで最高位の神使だなんて十分立派だと思うよ?」
神使「そんな事ございません。 全身全霊を込めて神宮でご奉仕させて頂きます」
大宮司「まぁ、堅い話は無しにして楽にいこうじゃないか」
神使「お気遣いありがとうございます」
892: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 19:58:38 ID:hV6D42AU
大宮司「神使君は神宮の神についてどのくらい知っているかね?」
神使「神宮主神である最高神様、内宮神様、外宮神様の神宮三神を筆頭に祭儀神様などの神々の皆様がおられるという程度ですが・・・」
大宮司「神宮三神は別格である事は承知だと思う」
神使「はい。 人や神使はもちろん神職でさえ謁見は禁止されていると聞いております」
大宮司「そうだな。 取りあえず神宮三神は置いておくとして、それ以外で今現在神宮には二人の神がおられる」
神使「たった二神なのですか?」
大宮司「最高神様の希望らしくてね。 最低限の神しかいないのだよ」
神使「そうなのですか・・・ 勉強不足で申し訳ございません」
大宮司「いやいや、表には出していないから知っていたら逆に大変だよ」ハハハッ
神使「祭儀神様は神社界では著名な神ですので知っているのですが・・・」
893: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 20:00:08 ID:hV6D42AU
大宮司「もう一人が・・・ まぁ君の主神となる神で女神様だ」
神使「女神様・・・」
大宮司「ちなみに、神様図鑑にも載っていないぞ?」
神使「そのような神がおられるのですか?」
大宮司「別格だからね。 良い意味でも悪い意味でも・・・」
神使「? 一体ご専門は・・・」
大宮司「う〜ん・・・ 確か審査神だったかな?」
神使「・・・審査神?」
大宮司「広域特務課? とかいう場所に所属していた気がする」
神使「はぁ・・・」
大宮司「いや、忘れている訳じゃないんだよ? 普段は違う仕事をしているものでね」
神使「違う仕事・・・ ですか?」
大宮司「君に隠しても仕方がないから言ってしまうが、すでに君と面識がある」
神使「?」
894: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 20:01:03 ID:hV6D42AU
大宮司「あれ」クイッ
神使「? 窓の外?」
サァ サァ サァ
神使「先ほどの巫女さんがお掃除しているようですね」
大宮司「さっきからこちらが気になるのかチラチラと見ているみたいだが」ハハハッ
神使「あの巫女さんが何か?」
大宮司「あれが君の主神」
神使「・・・・・・はい?」
895: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 20:02:39 ID:hV6D42AU
大宮司「内宮神籍の神様で巫女さん」
神使「・・・・・・」
大宮司「うん、言いたい事は分かる。 でも神ちゃんは巫女としては優秀でね、内宮巫女長なんだよ」
神使「あの・・・ 冗談でなくですか?」
大宮司「神ちゃんはちょっと特殊な神でね。 周りには神である事を隠しているんだ」
神使「はぁ・・・」
大宮司「ああ見えて、神宮は長いんだよ?」
神使「何故そのような神が巫女さんを・・・」
大宮司「まぁ、訳ありでね・・・ その、神力が少し弱いんだよ」
神使「神力が・・・ それで巫女さんの仕事を?」
大宮司「まぁ何というか・・・ そうであって、そうでないというか・・・」
896: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 20:03:54 ID:hV6D42AU
神使「えっと・・・ 私はどのようにお付き合いすればよろしいんでしょうか?」
大宮司「そうだね〜 どうしようかな」
神使「・・・・・・」
大宮司「大丈夫だよ。 何も考えずに神ちゃんが君を神使に付けたはずないだろうし」
神使「え? 神様が私をお選びになったのですか?」
大宮司「ん? そんな事言ったかね? 私が選んだんだよ、厳正なる選考でね」アセアセ
神使「・・・・・・はぁ」
大宮司「神ちゃんはすごく面白いからすぐに仲良くなれるよ」
神使「神使が神と仲良くなど、そんな非礼な事は・・・」
897: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 20:04:49 ID:hV6D42AU
大宮司「君に一つだけ言っておこう」
神使「?」
大宮司「神と神使、神と人の付き合い方とあり方の常識を捨てなさい」
神使「常識を・・・ 捨てる?」
大宮司「君は、何故神を崇め奉るんだい?」
神使「それは・・・」
大宮司「人に対しても立派な人には神のように崇め奉ったりするかい?」
神使「・・・・・・」
898: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 20:05:35 ID:hV6D42AU
大宮司「まぁ、今は何のことだかよく分からないだろうが時期分かる」
神使「はい」
大宮司「急に今までの常識を捨てろと言われても戸惑うかも知れないが・・・」
神使「いえ、仰る事は何となくですが分かったような気がします」
大宮司「そうか。 期待しているぞ、神使君」
神使「ありがとうございます」フカブカ
大宮司「神勅が発せられる任命式は明日だ。 それまでゆっくりしていなさい」
神使「承知いたしました」
大宮司「よしと」スタスタ
899: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 20:06:34 ID:hV6D42AU
ガラガラ
大宮司「おい、神ちゃん」
神様「なに?」
大宮司「掃除はいいから、こっちに来てくれるか?」
神様「ん」トテトテ
大宮司「神使君を宿舎に案内してあげてくれるか?」
神様「あ〜 良いけど、コーラおごって」
大宮司「分かったよ、後で宿舎に届けさせる」
900: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 20:07:12 ID:hV6D42AU
神様「んじゃ、案内するから一緒に行くぞ」
神使「は、はい! よろしくお願いいたします!」フカブカ
神様「あ〜 そういうのしなくていいから」
神使「?」
神様「まぁ、いいや。 行くよ〜」
神使「はい!」
901: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 20:09:27 ID:hV6D42AU
テクテク
神様「・・・・・・」
神使「・・・・・・」カチコチ
神様「ねぇ・・・」
神使「はっ、はい! 何でしょうか神様!」
神様「もっと普通で良いよ。 社務所行く前みたいな感じで」
神使「しかし・・・」
神様「私、堅苦しいのは苦手でさ。 距離を置かれるの好きじゃないんだよね」
神使「そうなのですか?」
神様「別に神って偉い存在ではないしさ?」
神使「そのような事はないと思うのですが」
神様「・・・・・・」
902: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 20:10:53 ID:hV6D42AU
神使「ところで、私は普段どのような補佐をすればよろしいでしょうか? 祭儀などは頻繁になされるのですか?」
神様「私は祭儀とかしないね」
神使「では、神力成就がご専門で?」
神様「・・・それもしないね」
神使「では普段はどのような・・・」
神様「巫女」
神使「巫女・・・ さんですか?」
神様「そう、巫女。 私は、普段は神としての仕事は全くしていない」
神使「大宮司様が内宮巫女長と仰っておりましたが」
神様「そうそう。 だから私の神使なんてやる事ないと思うよ?」
神使「・・・では、私はなぜ神様の神使に任命されたのでしょか?」
神様「まぁ、近いうちに必要になるし」
神使「?」
神様「あっ、でも私以外の神に付きたいと思ったら遠慮なく言ってね」
神使「そんな事は・・・ そんな非礼は神使として失格です」
神様「いや、祭儀神とか他の神階の高い神に付きたいと思ったら正直に言う事。 それだけは約束してくれる?」
神使「はぁ・・・」
神様「まぁ、これでも神宮は長いからどの社の神にでも神使として付ける事くらい出来るし」
神使「え!?」
神様「神宮三神以外だったら誰でも良いよ? だから約束して。 君の人生を無駄にしたくない」
神使「分かりました」
904: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/13(日) 20:13:34 ID:hV6D42AU
神様「よし! まぁ、しばらくは適当に仕事見つけてプラプラしててよ」
神使「そんなアバウトな事でも良いのですか?」
神様「いいよ」
神使「・・・・・・」
テクテク
神様「あっ、あの建物が宿舎。 神使君は右側の建物だね」
神使「立派な宿舎ですね」
神様「じゃ、また」トテトテ
神使「あの、神様!」
神様「?」
神使「明日の任命式でのご神勅、どうぞよろしくお願いいたします」フカブカ
神様「へいへい」スタスタ
神使「・・・・・・」
905: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/14(月) 00:46:19 ID:yV/GXYyo
ーーー 任命式
大宮司「狛犬の神使よ」
神使「はい」
大宮司「本日付で神宮所属とし主神付の神使とする」
神使「ありがとうございます」フカブカ
大宮司「神様、神勅をお願いいたします」
神様「Zzz・・・」コクッ
大宮司「おい、神ちゃん」ボソッ
神様「んあ?」ポー
大宮司「神勅」
神様「あ〜」ヨイショ
神使「・・・・・・」
906: ◆8YCWQhLlF2 :2016/11/14(月) 00:47:55 ID:yV/GXYyo
大宮司「神勅は内宮神籍・神様から賜る」
神使「」フカブカ
神様「神勅! 狛犬の神使よ、其方を本日付で神宮主神付とし我が神使として任命する」
大宮司・神使「」フカブカ
神様「以上、内宮神籍神様より神勅を申し伝えた」
神使「神様の主神付神使として恥じぬよう誠心誠意ご奉仕いたします」
神様「堅い!」
神使「・・・神様の神使として頑張ります」
神様「いいね〜 んじゃお祝いパーチィーでもしますか」
大宮司「まだ日が出てるぞ? 早すぎじゃないか?」
神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
Part1<< Part63 Part64 Part65 Part66 Part67 Part68 Part69 Part70 Part71 >>Part160
評価する!(10101)
ショートストーリーの人気記事
女「ハローハロー。誰かいませんか?どうぞ」
→記事を読む
キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
→記事を読む
魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
→記事を読む
男「少し不思議な話をしようか」女「いいよ」
→記事を読む
同僚女「おーい、おとこ。起きろ、起きろー」
→記事を読む
妹「マニュアルで恋します!」
→記事を読む
きのこの山「最後通牒だと……?」たけのこの里「……」
→記事を読む
月「で……であ…でぁー…TH…であのて……?」
→記事を読む
彡(゚)(゚)「お、居酒屋やんけ。入ったろ」
→記事を読む
魔法使い「メラしか使えない」
→記事を読む