神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
Part33
866 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:06:08 ID:HlEed/9g
神様「やっぱり外宮にいた神主か」
役場職員「村長・・・」
村長「え? あぁ・・・ すまないが席を外してもらえないか?」
役場職員「分かりました。先に役場に戻ってます」
神様「神主やめて村長になったのか?」
村長「ご無沙汰しております、神様」フカブカ
神使「私、神様の使いで狛犬の神使と申します」
村長「神宮で何度かお見かけいたしました」フカブカ
神様「訳ありっぽいな、理由を聞いても?」
村長「はい・・・ 社務所でもよろしいでしょうか」
神様「オッケ〜」
867 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:08:08 ID:HlEed/9g
ーー 社務所
村長「わざわざ神様が出向くなど、そんなに深刻な状況でしょうか」
神使「神宮からこわこわ神社を調べるように命を受けまして」
村長「・・・・・・」
神様「私は神力が使えないから正確には分からないけど、この近辺に神が居るな」
村長「!?」
神使「え? 神がいるんですか!?」
神様「あぁ、けど何か変だ」
神使「変と言いますと?」
神様「私が神にした覚えがない、というより別の方法で神・・・ いや神に近い存在になった感じだな」
神使「そんなことあるんですか?」
神様「話を聞こうか、村長」
村長「・・・はい」
868 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:09:19 ID:HlEed/9g
村長「私は二年ほど前から外宮の宮司様の命を受けこの村を調査しております」
神様「外宮の宮司?」
神使「先日神様が失脚させた次期大宮司さまですね」
神様「人聞き悪いなお前」ゲシッ
村長「先ほど神様が仰ったとおり、この村に特殊な方法で神となった者がいるということで調査のために来たのです」
神使「特殊な方法?」
村長「はい、外宮宮司からはその方法を調べるよう命を受けました」
神様「なるほどね。 私を通さなくても神になる方法があればあいつが知りたがるのも無理はないか」
神使「そんなこと可能なのですか?」
村長「それが・・・ 調べるどころか、その神にすら会えない状況でして」
神様「会えない?」
869 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:10:34 ID:HlEed/9g
神使「神職が神に会えないとは珍しいですね・・・」
村長「どうも存在を知る一部の村民が極秘にしているらしく」
神使「極秘ですか」
村長「そこで村の長としてこの村に入れば調べることができるのではと、外宮宮司が・・・ その・・・ 工作をして、一年前に私を村長に」
神様「アイツ・・・ そういうところは徹底してるよな」
神使「でもまだその存在を確認できないと?」
村長「はい」
神使「まさか、昨日の旅館での出来事と関係あるのでしょうか」
村長「何か不審なことでも?」
神様「女将さんに心霊現象もどきを味合わせられた」
村長「・・・そうでしたか」
870 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:11:45 ID:HlEed/9g
神使「何かご存じで?」
村長「旅館の女将さんは、神もどきの事情を知っていると私は睨んでいます」
神使「女将さんがなぜそんな細工をする必要が・・・」
神様「神もどきの存在を知られたくないんだろ」
村長「えぇ。 噂を聞きつけこの地に入った者を追い返す方法の一つかと思います」
神使「なるほど」
村長「それと、昨日の夜にこの神社で極秘の祭儀が一部の村民で行われたと情報を聞きました」
神使「それで村長さんはこちらに来られたのですか?」
村長「はい、何か手がかりになる物でもあればと思いまして」
神使「神様、どう思われます?」
神様「う〜ん、その神もどきは間違いなくいる。 今もかなり近くに居る気配は感じる」
村長「!?」
871 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:12:25 ID:HlEed/9g
神使「失礼ながら、神力が強い神の方に来ていただいた方がよろしい気がするのですが・・・」
神様「あまり事を大きくしない方が良い気がする」
神使「どういうことですか?」
神様「・・・・・・」
神使「神様?」
神様「さて、ちょっと境内を案内してもらえるか?」
村長「承知いたしました」
872 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:13:17 ID:HlEed/9g
ーー 本殿
ギィー
村長「こちらが本殿です」
神使「廃神社とは思えないくらい綺麗ですね」
村長「暇を見つけて私が掃除を・・・ これでも神職ですので」
神使「ご苦労様です」
神様「ご神体が無いみたいだけど?」キョロキョロ
村長「ご神体は私が来てすぐに消失してしまいまして」
神様「・・・・・・」
873 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:14:14 ID:HlEed/9g
村長「これは無くなる前に撮った写真ですが」ピラッ
神使「拝見いたします」
神様「どれどれ」ヒョコ
神使「女神さまの像でしょうか・・・」
神様「うげっ・・・・・・」
神使「神様ご存じですか?」
神様「私だ」
神使「はい?」
神様「私! かわゆい神ちゃん像」
村長・神使「・・・・・・」
874 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:16:05 ID:HlEed/9g
神使「なるほど、今回の事件の謎がすべて解けました」
村長「え?」
神使「神様って、ご神体でも問題児なんですね」
神様「うわっ、何それ! お前、私が悪いって言うのか!?」
神使「神様? 今回の件、何かお心当たりはございませんか?」
神様「ちょ、待てよ! なに、そのまた神様ですか? みたいな目!」
神使「しかし、神様のご神体なんて・・・ 初めて見ました」
神様「ほほほっ、私を奉るなんて良い心がけじゃないか」
村長「このご神体ですが、元は別の場所にあった物かと思われます」
神使「別の場所?」
村長「はい、150年ほど前まで“わらわら神社”で祭られていたご神体と似ています」
神様「」ピクッ
875 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:17:17 ID:HlEed/9g
神使「わらわら神社?」
村長「えぇ、芸の神様をお祭りしている神社です」
神使「そ、そうだな! 私は芸達者だからな」
村長「その・・・ お笑いの神様として有名です」
神様「・・・・・・」
神使「ぷっ」
神様「てめぇ犬ころ! 今笑ったな!」
神使「さすが神様、お似合いです」
神様「神罰」ゲシッ! ゲシッ! ゲシッ!
神使「痛い! 神様、本気蹴りはやめて下さい」
876 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:18:22 ID:HlEed/9g
神様「ハァ〜 でも、村長さぁ」
村長「はい」
神様「お前に調査の命を出した外宮の宮司はもう神宮にいないし、神宮帰ってもいいよ?」
村長「・・・ 神宮からもそう言われております」
神使「なにか問題でも?」
村長「神職としてこの村で起こっている出来事は放っておくわけにも行かず・・・ 民俗学的にも興味がありまして・・・」
神使「そうですよね」
神様「真面目だね〜」
神使「原因は神様でしょうから、過去の神様の行動をたどれば解決するのでは?」
神様「お前、本当に私が犯人って思ってるわけ?」
神使「100%間違いないと思います」
神様「・・・・・・」チッ
877 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:19:34 ID:HlEed/9g
神使「村長さん、調べたことで分かっていることを教えていただけますか?」
村長「はい。 村に伝わる過去の文献に150年前に一人の女神様が立ち寄られたと記載がありました」
神使「神様ですね。 お心当たりは?」
神様「ない!」プイッ
村長「その女神様は、お腹が空いていたようで牡蠣ご飯を頂く代わりに由緒あるご神体をお預けになると約束をしたそうです」
神使「牡蠣ご飯ですか・・・」チラッ
神様「うっ・・・ 私じゃ・・・ ない・・・」
神使「神様の好物は?」
神様「コーラ・・・」
神使「食べ物です」
神様「・・・二枚貝」
神使「牡蠣ですよね?」
神様「ハマグリも好き・・・」
878 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:21:17 ID:HlEed/9g
村長「・・・女神様は毎日のように牡蠣ご飯をねだり、困り果てた村人たちが神様が夜寝ている間に隣村に捨ててきたそうです」
神使「神様・・・ そんなに牡蠣ご飯をねだったのですか?」
神様「そんなにねだってねーよ! それにヤツらご神体を奪って私を隣町の廃神社に捨てたんだぞ!」
村長・神使「・・・・・・」
神様「ぁ・・・」
神使「やっぱり・・・」ハァ
神様「てへっ!」
神使「神宮にバレるとマズいことがあるのですね?」
神様「はい」
神使「具体的にどのあたりが?」
神様「神力がたっぷり入ったご神体をまるっと取られました」
神使「わらわら神社のご神体ですね?」
神様「そんな名前の神社だったような気がします」
879 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:22:44 ID:HlEed/9g
村長「しかし、なぜ神様が自身のご神体などお持ちだったのですか?」
神様「分社を作ろうと思いまして・・・」
神使「分社!?」
神様「すいません、出来心だったんです。 反省してます」ドゲザ
神使「・・・・・・」
神様「だから神宮には黙ってて! マジで怒られる! シャレにならない!」
神使「村長、どうされますか?」
村長「神様がそこまで言うのでしたら・・・ 私は何も・・・」
神様「マジで! ありがとう村長! 何でも言うこと聞く!」
神使「ハァ〜 やはり解決しないと帰れませんね・・・」
神様「女将さんを拉致して吐かせりゃ良いんだろ」ポキポキ
神使「そんなことダメに決まっているじゃないですか・・・」
880 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:23:34 ID:HlEed/9g
村長「神もどきの原因はそのご神体ということでしょうか」
神使「はい、神様が無くしたご神体の神力が原因でしょうね」
神様「無くしたんじゃない! 取られたの!」
神使「今となっては確認のしようがございませんのでどちらでも良いのですが」
神様「酷っ!」
神使「神様、神もどきに関しては何かご存じですか?」
神様「知らな〜い」
神使「ご神体の神力が人に移ってしまったという事は考えられませんか?」
神様「そんなことで神力が人に移るわけ無いじゃん」
村長「ご神体の一部を体内に取り込めば可能性はございますか?」
神様「あ〜 それなら可能性はあるかもね。 でも私と同じ波長を持った人なんてそんなにいないと思うけど」
881 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:24:21 ID:HlEed/9g
神使「神様と同じ波長を持った人であれば可能なんですか?」
神様「まぁ、そうね・・・ でも数千年の中で2人しかいなかったよ?」
神使「そんなに少ないんですか・・・」
神様「うん、特に神もどきは私の神力をそのまま受け入れているっぽいし・・・ 結構すごい人なんじゃないの?」
神使「まぁ・・・ 神様の凄さは確かに否定はいたしませんが・・・」
神様「素直に私は立派でかわゆい理想の女神だって事を受け入れろよ!」
882 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:25:19 ID:HlEed/9g
ガサゴソ
神使「?」
村長「あ〜 狸ですね。 この神社によく出るんですよ」
神使「へぇ、かわいいですね」
神様「・・・・・・マジかよ」
神使「あれ? 神様は狸さんが苦手ですか?」
神様「あの狸・・・ 私の神力持ってる・・・」
村長・神使「・・・・・・」
神使「あの・・・ どういう事でしょうか?」
神様「あの狸を確保!」ダッ
神使「え? ちょ神様?!」
883 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:26:09 ID:HlEed/9g
── 境内
神様「まてコラ〜!」ダッ ダッ ダッ
狸「!?」タッ タッ タッ
神使「神様〜 一体どういう事です〜」タッ タッ タッ
神様「待て〜 うぎゃっ!」ビタンッ
神使「大丈夫ですか神様? 派手に転びましたね・・・」
神様「痛い・・・」グスッ
村長「逃げてしまいましたか」
神様「くそっ! あの狸め!」グヌヌ
884 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:27:32 ID:HlEed/9g
神使「あ〜神様、巫女装束ボロボロですよ・・・」
神様「やべっ! 私のおべべが・・・」
神使「新調しないとダメですね」
神様「神宮持ち?」
神使「自腹です」
神様「うそ! 狸! 弁償しろよ!!」グスッ
村長「まさか、神もどきの正体が狸だったとは・・・」
神使「あの狸さんは神様と同じ波長を持っていたと言うことになりますね・・・」
神様「・・・・・・」
神使「神様って狸さんと同じレベーーー」
神様「てめー、その先言ったら地球の裏側まで蹴り飛ばすぞ!」
村長「・・・取りあえず、対策は明日にでも考えましょう」
885 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/26(火) 01:06:57 ID:r3J1jPRQ
ーーー 旅館
神様「ハァ〜 おうち帰りたい」グテー
神使「・・・・・・」ペラ
神様「?」チラッ
神使「・・・・・・」ペラ
神様「ねぇねぇ、何見てんの?」ヒョコ
神使「神様の新しい巫女装束の注文をするのにカタログを見ているんです」
神様「ふ〜ん」
神使「今回から自費購入となりますので・・・」
神様「あ〜・・・ 金ないし安いので良いぞ」
886 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/26(火) 01:07:38 ID:r3J1jPRQ
神使「しかし、頻繁に着る物ですしあまり安いと見た目も・・・」
神様「スケスケのやつが良い」
神使「ダメです」
神様「お? これ安いじゃん」
神使「あまり素材が良くないですよ?」
神様「十分だよ。 今まで神宮から支給されていたヤツだって安っすいヤツだろ?」
神使「では、私もこれにしますか」
神様「お前も買うの?」
神使「はい、ついでにと思いまして」
887 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/26(火) 01:08:15 ID:r3J1jPRQ
神様「・・・お前、今着てるのって良いやつだよな」
神使「?」
神様「さっきスリスリした時、肌触りが違った」
神使「よくそこまで分かりましたね・・・」
神様「・・・お前のそれと同じヤツで良い」
神使「結構しますが・・・」
神様「ん? いくら?」
神使「白衣と袴を合わせて12万です」
神様「・・・お、おう」
神使「無理なさらなくても、私も神様と合わせますので」
神様「いや、それで良い。 私のカードで買ってくれ」シャキーン
888 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/26(火) 01:09:00 ID:r3J1jPRQ
神使「大丈夫ですか?」
神様「お前の分と合わせて12回払いで頼む」
神使「え? 私の分は自分で支払いしますが」
神様「いや、私が買う。 お前が私の神使になってそろそろ4年目だ。 プレゼントって事で受け取ってくれ」
神使「神様・・・」
神様「ついでに今回の件を神宮に報告しないという口止め料も込みだ。 そこを忘れるなよ?」
神使「ふふっ」
神様「何だよ・・・」
神使「では、ありがたくお受けいたします」
神様「買収されるのにありがたいとかあるのか?」
神使「はい、とても嬉しい買収です」ニコッ
神様「・・・寝る!」モソモソ
神使「ありがとうございます、神様」ボソッ
神様「・・・・・・」モソモソ
神様「やっぱり外宮にいた神主か」
役場職員「村長・・・」
村長「え? あぁ・・・ すまないが席を外してもらえないか?」
役場職員「分かりました。先に役場に戻ってます」
神様「神主やめて村長になったのか?」
村長「ご無沙汰しております、神様」フカブカ
神使「私、神様の使いで狛犬の神使と申します」
村長「神宮で何度かお見かけいたしました」フカブカ
神様「訳ありっぽいな、理由を聞いても?」
村長「はい・・・ 社務所でもよろしいでしょうか」
神様「オッケ〜」
867 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:08:08 ID:HlEed/9g
ーー 社務所
村長「わざわざ神様が出向くなど、そんなに深刻な状況でしょうか」
神使「神宮からこわこわ神社を調べるように命を受けまして」
村長「・・・・・・」
神様「私は神力が使えないから正確には分からないけど、この近辺に神が居るな」
村長「!?」
神使「え? 神がいるんですか!?」
神様「あぁ、けど何か変だ」
神使「変と言いますと?」
神様「私が神にした覚えがない、というより別の方法で神・・・ いや神に近い存在になった感じだな」
神使「そんなことあるんですか?」
神様「話を聞こうか、村長」
村長「・・・はい」
868 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:09:19 ID:HlEed/9g
村長「私は二年ほど前から外宮の宮司様の命を受けこの村を調査しております」
神様「外宮の宮司?」
神使「先日神様が失脚させた次期大宮司さまですね」
神様「人聞き悪いなお前」ゲシッ
村長「先ほど神様が仰ったとおり、この村に特殊な方法で神となった者がいるということで調査のために来たのです」
神使「特殊な方法?」
村長「はい、外宮宮司からはその方法を調べるよう命を受けました」
神様「なるほどね。 私を通さなくても神になる方法があればあいつが知りたがるのも無理はないか」
神使「そんなこと可能なのですか?」
村長「それが・・・ 調べるどころか、その神にすら会えない状況でして」
神様「会えない?」
869 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:10:34 ID:HlEed/9g
神使「神職が神に会えないとは珍しいですね・・・」
村長「どうも存在を知る一部の村民が極秘にしているらしく」
神使「極秘ですか」
村長「そこで村の長としてこの村に入れば調べることができるのではと、外宮宮司が・・・ その・・・ 工作をして、一年前に私を村長に」
神様「アイツ・・・ そういうところは徹底してるよな」
神使「でもまだその存在を確認できないと?」
村長「はい」
神使「まさか、昨日の旅館での出来事と関係あるのでしょうか」
村長「何か不審なことでも?」
神様「女将さんに心霊現象もどきを味合わせられた」
村長「・・・そうでしたか」
870 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:11:45 ID:HlEed/9g
神使「何かご存じで?」
村長「旅館の女将さんは、神もどきの事情を知っていると私は睨んでいます」
神使「女将さんがなぜそんな細工をする必要が・・・」
神様「神もどきの存在を知られたくないんだろ」
村長「えぇ。 噂を聞きつけこの地に入った者を追い返す方法の一つかと思います」
神使「なるほど」
村長「それと、昨日の夜にこの神社で極秘の祭儀が一部の村民で行われたと情報を聞きました」
神使「それで村長さんはこちらに来られたのですか?」
村長「はい、何か手がかりになる物でもあればと思いまして」
神使「神様、どう思われます?」
神様「う〜ん、その神もどきは間違いなくいる。 今もかなり近くに居る気配は感じる」
村長「!?」
神使「失礼ながら、神力が強い神の方に来ていただいた方がよろしい気がするのですが・・・」
神様「あまり事を大きくしない方が良い気がする」
神使「どういうことですか?」
神様「・・・・・・」
神使「神様?」
神様「さて、ちょっと境内を案内してもらえるか?」
村長「承知いたしました」
872 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:13:17 ID:HlEed/9g
ーー 本殿
ギィー
村長「こちらが本殿です」
神使「廃神社とは思えないくらい綺麗ですね」
村長「暇を見つけて私が掃除を・・・ これでも神職ですので」
神使「ご苦労様です」
神様「ご神体が無いみたいだけど?」キョロキョロ
村長「ご神体は私が来てすぐに消失してしまいまして」
神様「・・・・・・」
873 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:14:14 ID:HlEed/9g
村長「これは無くなる前に撮った写真ですが」ピラッ
神使「拝見いたします」
神様「どれどれ」ヒョコ
神使「女神さまの像でしょうか・・・」
神様「うげっ・・・・・・」
神使「神様ご存じですか?」
神様「私だ」
神使「はい?」
神様「私! かわゆい神ちゃん像」
村長・神使「・・・・・・」
874 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:16:05 ID:HlEed/9g
神使「なるほど、今回の事件の謎がすべて解けました」
村長「え?」
神使「神様って、ご神体でも問題児なんですね」
神様「うわっ、何それ! お前、私が悪いって言うのか!?」
神使「神様? 今回の件、何かお心当たりはございませんか?」
神様「ちょ、待てよ! なに、そのまた神様ですか? みたいな目!」
神使「しかし、神様のご神体なんて・・・ 初めて見ました」
神様「ほほほっ、私を奉るなんて良い心がけじゃないか」
村長「このご神体ですが、元は別の場所にあった物かと思われます」
神使「別の場所?」
村長「はい、150年ほど前まで“わらわら神社”で祭られていたご神体と似ています」
神様「」ピクッ
875 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:17:17 ID:HlEed/9g
神使「わらわら神社?」
村長「えぇ、芸の神様をお祭りしている神社です」
神使「そ、そうだな! 私は芸達者だからな」
村長「その・・・ お笑いの神様として有名です」
神様「・・・・・・」
神使「ぷっ」
神様「てめぇ犬ころ! 今笑ったな!」
神使「さすが神様、お似合いです」
神様「神罰」ゲシッ! ゲシッ! ゲシッ!
神使「痛い! 神様、本気蹴りはやめて下さい」
876 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:18:22 ID:HlEed/9g
神様「ハァ〜 でも、村長さぁ」
村長「はい」
神様「お前に調査の命を出した外宮の宮司はもう神宮にいないし、神宮帰ってもいいよ?」
村長「・・・ 神宮からもそう言われております」
神使「なにか問題でも?」
村長「神職としてこの村で起こっている出来事は放っておくわけにも行かず・・・ 民俗学的にも興味がありまして・・・」
神使「そうですよね」
神様「真面目だね〜」
神使「原因は神様でしょうから、過去の神様の行動をたどれば解決するのでは?」
神様「お前、本当に私が犯人って思ってるわけ?」
神使「100%間違いないと思います」
神様「・・・・・・」チッ
877 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:19:34 ID:HlEed/9g
神使「村長さん、調べたことで分かっていることを教えていただけますか?」
村長「はい。 村に伝わる過去の文献に150年前に一人の女神様が立ち寄られたと記載がありました」
神使「神様ですね。 お心当たりは?」
神様「ない!」プイッ
村長「その女神様は、お腹が空いていたようで牡蠣ご飯を頂く代わりに由緒あるご神体をお預けになると約束をしたそうです」
神使「牡蠣ご飯ですか・・・」チラッ
神様「うっ・・・ 私じゃ・・・ ない・・・」
神使「神様の好物は?」
神様「コーラ・・・」
神使「食べ物です」
神様「・・・二枚貝」
神使「牡蠣ですよね?」
神様「ハマグリも好き・・・」
878 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:21:17 ID:HlEed/9g
村長「・・・女神様は毎日のように牡蠣ご飯をねだり、困り果てた村人たちが神様が夜寝ている間に隣村に捨ててきたそうです」
神使「神様・・・ そんなに牡蠣ご飯をねだったのですか?」
神様「そんなにねだってねーよ! それにヤツらご神体を奪って私を隣町の廃神社に捨てたんだぞ!」
村長・神使「・・・・・・」
神様「ぁ・・・」
神使「やっぱり・・・」ハァ
神様「てへっ!」
神使「神宮にバレるとマズいことがあるのですね?」
神様「はい」
神使「具体的にどのあたりが?」
神様「神力がたっぷり入ったご神体をまるっと取られました」
神使「わらわら神社のご神体ですね?」
神様「そんな名前の神社だったような気がします」
879 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:22:44 ID:HlEed/9g
村長「しかし、なぜ神様が自身のご神体などお持ちだったのですか?」
神様「分社を作ろうと思いまして・・・」
神使「分社!?」
神様「すいません、出来心だったんです。 反省してます」ドゲザ
神使「・・・・・・」
神様「だから神宮には黙ってて! マジで怒られる! シャレにならない!」
神使「村長、どうされますか?」
村長「神様がそこまで言うのでしたら・・・ 私は何も・・・」
神様「マジで! ありがとう村長! 何でも言うこと聞く!」
神使「ハァ〜 やはり解決しないと帰れませんね・・・」
神様「女将さんを拉致して吐かせりゃ良いんだろ」ポキポキ
神使「そんなことダメに決まっているじゃないですか・・・」
880 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:23:34 ID:HlEed/9g
村長「神もどきの原因はそのご神体ということでしょうか」
神使「はい、神様が無くしたご神体の神力が原因でしょうね」
神様「無くしたんじゃない! 取られたの!」
神使「今となっては確認のしようがございませんのでどちらでも良いのですが」
神様「酷っ!」
神使「神様、神もどきに関しては何かご存じですか?」
神様「知らな〜い」
神使「ご神体の神力が人に移ってしまったという事は考えられませんか?」
神様「そんなことで神力が人に移るわけ無いじゃん」
村長「ご神体の一部を体内に取り込めば可能性はございますか?」
神様「あ〜 それなら可能性はあるかもね。 でも私と同じ波長を持った人なんてそんなにいないと思うけど」
881 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:24:21 ID:HlEed/9g
神使「神様と同じ波長を持った人であれば可能なんですか?」
神様「まぁ、そうね・・・ でも数千年の中で2人しかいなかったよ?」
神使「そんなに少ないんですか・・・」
神様「うん、特に神もどきは私の神力をそのまま受け入れているっぽいし・・・ 結構すごい人なんじゃないの?」
神使「まぁ・・・ 神様の凄さは確かに否定はいたしませんが・・・」
神様「素直に私は立派でかわゆい理想の女神だって事を受け入れろよ!」
882 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:25:19 ID:HlEed/9g
ガサゴソ
神使「?」
村長「あ〜 狸ですね。 この神社によく出るんですよ」
神使「へぇ、かわいいですね」
神様「・・・・・・マジかよ」
神使「あれ? 神様は狸さんが苦手ですか?」
神様「あの狸・・・ 私の神力持ってる・・・」
村長・神使「・・・・・・」
神使「あの・・・ どういう事でしょうか?」
神様「あの狸を確保!」ダッ
神使「え? ちょ神様?!」
883 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:26:09 ID:HlEed/9g
── 境内
神様「まてコラ〜!」ダッ ダッ ダッ
狸「!?」タッ タッ タッ
神使「神様〜 一体どういう事です〜」タッ タッ タッ
神様「待て〜 うぎゃっ!」ビタンッ
神使「大丈夫ですか神様? 派手に転びましたね・・・」
神様「痛い・・・」グスッ
村長「逃げてしまいましたか」
神様「くそっ! あの狸め!」グヌヌ
884 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/24(日) 23:27:32 ID:HlEed/9g
神使「あ〜神様、巫女装束ボロボロですよ・・・」
神様「やべっ! 私のおべべが・・・」
神使「新調しないとダメですね」
神様「神宮持ち?」
神使「自腹です」
神様「うそ! 狸! 弁償しろよ!!」グスッ
村長「まさか、神もどきの正体が狸だったとは・・・」
神使「あの狸さんは神様と同じ波長を持っていたと言うことになりますね・・・」
神様「・・・・・・」
神使「神様って狸さんと同じレベーーー」
神様「てめー、その先言ったら地球の裏側まで蹴り飛ばすぞ!」
村長「・・・取りあえず、対策は明日にでも考えましょう」
885 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/26(火) 01:06:57 ID:r3J1jPRQ
ーーー 旅館
神様「ハァ〜 おうち帰りたい」グテー
神使「・・・・・・」ペラ
神様「?」チラッ
神使「・・・・・・」ペラ
神様「ねぇねぇ、何見てんの?」ヒョコ
神使「神様の新しい巫女装束の注文をするのにカタログを見ているんです」
神様「ふ〜ん」
神使「今回から自費購入となりますので・・・」
神様「あ〜・・・ 金ないし安いので良いぞ」
神使「しかし、頻繁に着る物ですしあまり安いと見た目も・・・」
神様「スケスケのやつが良い」
神使「ダメです」
神様「お? これ安いじゃん」
神使「あまり素材が良くないですよ?」
神様「十分だよ。 今まで神宮から支給されていたヤツだって安っすいヤツだろ?」
神使「では、私もこれにしますか」
神様「お前も買うの?」
神使「はい、ついでにと思いまして」
887 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/26(火) 01:08:15 ID:r3J1jPRQ
神様「・・・お前、今着てるのって良いやつだよな」
神使「?」
神様「さっきスリスリした時、肌触りが違った」
神使「よくそこまで分かりましたね・・・」
神様「・・・お前のそれと同じヤツで良い」
神使「結構しますが・・・」
神様「ん? いくら?」
神使「白衣と袴を合わせて12万です」
神様「・・・お、おう」
神使「無理なさらなくても、私も神様と合わせますので」
神様「いや、それで良い。 私のカードで買ってくれ」シャキーン
888 : ◆8YCWQhLlF2:2016/07/26(火) 01:09:00 ID:r3J1jPRQ
神使「大丈夫ですか?」
神様「お前の分と合わせて12回払いで頼む」
神使「え? 私の分は自分で支払いしますが」
神様「いや、私が買う。 お前が私の神使になってそろそろ4年目だ。 プレゼントって事で受け取ってくれ」
神使「神様・・・」
神様「ついでに今回の件を神宮に報告しないという口止め料も込みだ。 そこを忘れるなよ?」
神使「ふふっ」
神様「何だよ・・・」
神使「では、ありがたくお受けいたします」
神様「買収されるのにありがたいとかあるのか?」
神使「はい、とても嬉しい買収です」ニコッ
神様「・・・寝る!」モソモソ
神使「ありがとうございます、神様」ボソッ
神様「・・・・・・」モソモソ
神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
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