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神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」

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Part139


30: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/09(月) 01:24:52 ID:nnFIBW4U

―――――
―・・・・・・
・・・

~10年前

おにゅ「おじさん! お肉下さい!」

少女「下さい!」

肉屋「おっ、今日は2人揃ってお買い物かい?」

おにゅ「今日は少女の誕生日なんです!」

少女「です!」

肉屋「そりゃめでたい。 おや? 少女ちゃんの頭に付いてるのは何だい?」

少女「おにゅとお揃いのツノー、可愛いーでしょ~」

おにゅ「恥ずかしいなぁ~ もぉ~・・///」

肉屋「はははっ! こりゃ参った。 さすが鬼遊神社の巫女さんだ」

少女「でも私のツノは取れるけど」ポコッ

肉屋「この村に神さまが2人もできちまったな」ハハハ

おにゅ「むぅー」



31: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/09(月) 01:26:06 ID:nnFIBW4U

肉屋「よし、今日は可愛い神さま達に奮発しちゃおう!」

おにゅ「うわっ! こんなに高いお肉・・・ 安い方で大丈夫です・・・」

肉屋「誕生日なんだろ? 気にすんなって」

おにゅ「お金払います。 お幾らですか?」ゴソゴソ

肉屋「良いって。 この村を守ってくれている2人からお金なんて取れないよ」

おにゅ「でも、流石に今日は・・・」

肉屋「村の決まりだ。 その代わり、これからも村をよろしくな」

少女「はい! 行こ! おにゅ」タッタッタッ

おにゅ「あっ、こら少女! おじさんにちゃんとお礼を!」

少女「わ~い」タッタッタッ

おにゅ「まったく・・・」ハァ

32: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/09(月) 01:28:38 ID:nnFIBW4U

肉屋「少女ちゃんはいつも元気いっぱいだねぇ」ハハハ

おにゅ「すみません。 お肉、ありがとうございました」ペコリ

肉屋「子供が遠慮なんかするもんじゃないよ」

おにゅ「なりは子供だけど、これでも千年も生きてるんだから!」

肉屋「はははっ! 確かに、おにゅちゃんはこの村の生き字引だもんな」

おにゅ「神をおちょくるなんて罰当たりですよ!」

肉屋「可愛い神さまに当てられるバチなら喜んで」

おにゅー「むー」

肉屋「まぁ、でも変な気を遣わず毎日でも来てくれて良いんだからね」

おにゅ「ありがとうございます。 少女の事はこれからもよろしくお願いします」ペコリ

肉屋「あぁ、約束するよ。 俺だけじゃなく村の皆で見守る事を」

おにゅ「おじさん大好き! おじさんに神の加護を!」タッタッタッ


肉屋「2人とも可愛いねぇ~」フフッ

33: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/09(月) 01:29:45 ID:nnFIBW4U

●帰り道

テクテク

少女「今日は豪勢だね! いっぱいもらっちゃった!」

おにゅ「少女? どうしてこんなに沢山頂けたのか分かってるの?」

少女「私の誕生日だから!」

おにゅ「・・・・・・」

少女「おにゅが、この村を守っているからそのお礼だよね!」

おにゅ「違いますよ」

少女「違うの?」

おにゅ「良いですか、少女。 村の人から良くされたら、きちんとお礼をしないとダメですよ?」

少女「ごめんなさい」シュン

おにゅ「よし! ちゃんと謝れる子は良い子です」

少女「うん!」

おにゅ「早くお家に帰って今日はいっぱい食べるぞー!」オー

少女「おー!」タッタッタッ

34: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/09(月) 01:30:55 ID:nnFIBW4U

●数日後・神社境内

悪ガキA「この本殿って、宝がいっぱい隠してあるって話知ってるか?」

悪ガキB「うそ! 探検しようぜ」

悪ガキC「面白い物が沢山ありそうだな」


少女「こらー!」タッタッタッ


悪ガキA「やべ、見つかった!」

少女「そこは、おにゅのお部屋だよ!」

悪ガキB「だから何だよ!」

少女「悪戯してるとおにゅに怒られるんだから!」

悪ガキC「おにゅ? あ~ アイツか」

悪ガキA「変な名前だよな。 ツノ生えてるし」

悪ガキB「化物だよな」ハハハ

少女「おにゅをバカにするな!!」


35: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/09(月) 01:32:11 ID:nnFIBW4U

悪ガキA「お前もそんなツノの飾りなんか付けて化物の仲間なんだろー」

悪ガキB「いっつも一緒にいるもんな」

悪ガキC「やーい、化物の仲間ー」

少女「あなた達なんか、おにゅに祟られちゃえ!」

悪ガキ達「!?」

少女「おにゅは神さまなんだから! バカにするとみんな罰が当たるんだから!」

悪ガキA「う、嘘つけー!」

少女「本当だもん! おにゅを怒らせたら村だって滅んじゃうんだからね!」

悪ガキA「うっ・・・ か、帰ろうぜ」タッタッタッ

悪ガキB・C「う、うん」タッタッタッ


少女「・・・・・・」グスッ

ポタッ ポタッ

少女「雨・・・」


ザー

36: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/09(月) 01:34:51 ID:nnFIBW4U

●翌日・社務所

ザー

少女「昨日からすごい雨だね・・・ 全然止まないよ」

おにゅ「・・・・・・」スタッ

少女「おにゅ?」

おにゅ「少し出かけてくるね」

少女「え? 危ないよ。 村の有線でも消防団以外は家から出るなって」

おにゅ「大丈夫。 これでも神さまなんだから!」

少女「そんなの知ってるけど・・・ どこいくの?」

おにゅ「ちょっとね」テクテク

少女「おにゅ・・・」

おにゅ「遅くなると思うから先に寝ててね。 おやすみ、良い夢を」ニコッ

37: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/09(月) 01:35:57 ID:nnFIBW4U

●河川敷

ザー

おにゅ(予想以上に川の氾濫が進んでる・・・)ポワポワ

村長「流石おにゅちゃん。 だいぶ濁流の進路が変わったわい」

おにゅ「これでこの場所は持ちこたえると思います」フゥ

 村人「村長ー!」タッタッタッ

村長「お~ 上流の方はどうじゃ?」

村人「土手の決壊が始まってます。 上流の方を急いで塞がないと」

村長「そうか、手の空いている者を向かわせよう。 おにゅちゃんも一緒に」

おにゅ「いえ、先に下流側の補強を」

村長「下流?」

おにゅ「上流は地盤が固いので決壊は起こりません」

村人「しかし、土手の隙間から川の水がすでに漏れはじめていて!」

38: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/09(月) 01:37:04 ID:nnFIBW4U

おにゅ「私の言葉を信じて下―――」

 村人「おーい大変だー!」

おにゅ「?」

村長「どうした!」

村人「土砂崩れです。 家が何軒か巻き込まれたようで」

おにゅ「!? すぐ行きます」タッタッタッ

村長「お、おい! おにゅちゃーん」

村人「それより村長、一刻も早く上流に人を。 田畑が台無しになってしまします!」

村長「え? あぁ。 でも下流の方を先に・・・」

村人「今年は上流地区が不作です。 これ以上の被害は流石に・・・」

村長「そ、そうじゃな。 うちの畑もあるし・・・ 手の空いている者を上流に集めよう」

村人「はい」タッタッタッ

39: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/09(月) 01:38:12 ID:nnFIBW4U

●崩落現場

おにゅ「・・・・・・」ポワポワ

村人「どうだい、おにゅちゃん・・・」

おにゅ「大丈夫。 この中に人の気配はないみたい」

村人「はぁ~ よかった・・・」

ウー ウー

おにゅ「警報?」

村人「大変です! 下流の堤防が決壊したようです!」

おにゅ「下流が!? でも、補強の方をしていたはずじゃ?」

村人「いえ・・・ 特に手は付けていないみたいでしたが・・・」

おにゅ「・・・・・・」

村人「下々地区が壊滅的だそうです」

おにゅ「そんな・・・」

村人「今日はこれで中止にするそうです。 おにゅちゃんも一旦集会場の方へ」

おにゅ「・・・はい」

42: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/09(月) 22:32:48 ID:nnFIBW4U

●深夜・村の集会場

おにゅ「ちょっと待って下さい!」バンッ

村長「おにゅちゃん、落ち着いて」

おにゅ「被害を全て防げなかった事は私の力不足です。 それは認めます」

村長「何もそこまで言ってるわけでは・・・」

おにゅ「でも、少女は関係ない!」

村人A「昨日、うちの息子が少女に村が滅ぶと告げられたって言ってるんだよ」

おにゅ「少女が!?」

村人B「うちの子も聞いたそうだ。 祟りだって」

おにゅ「・・・・・・」

村人C「あんたら本当はこの村を恨んでいるんだろ?」

おにゅ「なっ!?」ガタッ

村人A「少女の両親が亡くなったことを村のせいだって」

43: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/09(月) 22:34:16 ID:nnFIBW4U

おにゅ「あれは老朽化した神社の建物が原因で―――」

村人B「俺達がちゃんと寄進していれば防げたって、内心では思ってるんだろ?」

おにゅ「そんな事・・・ 一度も思ったことなんか!!」

 ドクン

おにゅ「っ!?」ズキッ


村人A「少女に祟られろって言われて、うちの子が事故に巻き込まれたんだよ!」バンッ!

おにゅ「え?」

村長「今朝、水車小屋の水車が倒れる事故があってな」

村人B「少女に祟りだって言われた子が全員巻き込まれた」

おにゅ「・・・・・・」

村長「でも、お宅らの子が水車小屋で悪戯していたって証言も。 しかもこんな雨の中で・・・」

村人A「県議の息子の俺が嘘をついているとでも言ってんのか?」

村長「・・・・・・」

44: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/09(月) 22:35:27 ID:nnFIBW4U

村人C「これでも2人が生活できるように支援はしているつもりなんだけどね」

村人A「それをこんな仕打ちするなんて。 なぁ」

村人B「まったくだ」

おにゅ「っ!」ギュ

 ドクン

おにゅ「!?」ウッ

村長「まぁ、その位で。 おにゅちゃん、大丈夫かい? 顔色が悪いようだけど」

おにゅ「だ、大丈夫です。 ごめんなさい・・・」

村長「いや・・・ こっちこそ」

おにゅ「・・・・・・」

45: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/09(月) 22:36:30 ID:nnFIBW4U

●社務所

ザー

少女「まだ雨降ってる・・・ おにゅ大丈夫かな?」

ガラガラ

少女「あっ、おにゅ帰ってきた」タッタッタッ

おにゅ「・・・・・・」ポタッ ポタッ

少女「どうしたの!? ビショビショじゃん!」

おにゅ「凄い雨が降っててね」ハハハ

少女「傘持っていかなかったの?」

おにゅ「・・・・・・。 少女、昨日神社で何かありましたか?」

少女「どうしたの急に。 真面目な顔して・・・」

おにゅ「もう一度問います。 昨日神社で何かありましたか?」

少女「おにゅ、怖いよ・・・ そんな神さまの時みたいな喋り方で・・・」

おにゅ「神として問うています。 お話しなさい、人の子よ」

少女「うっ・・・ ひっぐ・・・ ご、ごめんなひゃーい」ウワーン

46: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/09(月) 22:37:29 ID:nnFIBW4U

●社務所内

おにゅ「そう、私を庇ってくれたんだね」

少女「うっ・・・ ひっぐ・・・」グスッ

おにゅ「ありがとう少女。 心の優しい子・・・」ギュ

少女「おにゅ・・・ ごめんね」ギュ

おにゅ「大丈夫。 嫌なことも全部吹き飛んじゃった」ニコッ

少女「おにゅ、怒られたちゃったの?」

おにゅ「・・・・・・。 その悪ガキ達が、今朝事故に遭ったみたいで」

少女「え?」

おにゅ「水車が倒れてケガしたんだって。 雨の中で悪戯した自業自得なんだけど」

少女「もしかして、おにゅのせいだって言ってるの!?」

おにゅ「大丈夫。 私はそんな事しないし、そんな力はないから」

少女「私のせいだね・・・ ごめんなさい」シュン

47: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/09(月) 22:38:29 ID:nnFIBW4U

おにゅ「いっその事、私がやったって事にしちゃおっか」

少女「え!?」

おにゅ「みんな私のことを崇め奉ってくれるかも。 おにゅ様~って」テヘッ

少女「ふふっ、おにゅはそんな事しないよ」

おにゅ「?」

少女「おにゅは、そういうの嫌いだって知ってるもん!」

おにゅ「・・・・・・。 ありがとう、少女」ギュ

少女「おにゅ?」

おにゅ「さて、今日は神さまのお仕事終わり! もう遅いし寝よう!」

少女「一緒のお布団で寝よ?」

おにゅ「うん!」ニコッ

48: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/09(月) 22:39:43 ID:nnFIBW4U

●寝室

少女「Zzz・・・」ムニャ ムニャ

おにゅ(私・・・ 村を守るだなんて見栄張って・・・)

おにゅ(守るどころか・・・ 挙げ句の果てには、村の人達にあんな感情まで持って・・・)


少女「Zzz・・・」ムニャ ムニャ

おにゅ(少女がいなかったらきっと私は・・・)

おにゅ(・・・これじゃ、どっちが神だか分からないね)フッ


少女「ん・・・ おにゅ?」ポー

おにゅ「どうしたの? 少女」

少女「嫌な夢見たの・・・」

おにゅ「もう大丈夫。 神さまが一緒についてるから・・・」

少女「うん・・・ Zzz」

おにゅ「・・・・・・」ギュ

50: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/11(水) 01:48:04 ID:pWUTmUC6

●翌朝・社務所

少女「おはよ~ おにゅ」ムニャムニャ

おにゅ「おはよう」

少女「今日は早いね。 って、どうしたのその格好!」

おにゅ「少女、一緒に本殿に来てくれますか?」

少女「本殿っておにゅのお部屋?」

おにゅ「そうです」

少女「でも、おにゅのお部屋は入っちゃダメだって・・・」

おにゅ「少女に話しておきたいことがあります」

少女「おにゅ?」

おにゅ「それと、私が装束を着ている時は神として接しなさい」

少女「・・・・・・。 はい」



51: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/11(水) 01:49:22 ID:pWUTmUC6

●本殿

ギー

少女「わ~ 凄い・・・」

おにゅ「少女がここへ入るのは初めてですね」

少女「うん」

おにゅ「少女には以前話したことがあると思いますが、私は鬼です」

少女「でも、おにゅは神さまだよ。 良い鬼だよね」ニコッ

おにゅ「少女? 先程私は神として接しなさいと言いました」

少女「あっ、ごめんなさい。 鬼神様」

おにゅ「・・・いくら神でも、私の体には鬼の血が流れています」

おにゅ「鬼は人と違い・・・ 残忍で冷酷です」

少女「おにゅは・・・ 鬼神様はそんな性格じゃないと思います」

おにゅ「私もそのつもりです。 故に争いを嫌い非道な行ないを敬遠しています」

おにゅ「しかし・・・ 私の中の血がそれを許しません」

少女「?」

52: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/11(水) 01:50:23 ID:pWUTmUC6

おにゅ「・・・・・・」

少女「おにゅ・・・ 鬼神様?」

おにゅ「少女、ご神体の裏にまわりなさい」

少女「はい」テクテク

おにゅ「ご神体が置かれた台の下が扉になっていると思います。 そこを開けなさい」

少女「これかな」ゴソゴソ

ギー

少女「うわー 金色の長い棒がある」

おにゅ「それを持ち、私の前へ」

少女「んしょ。 重い」テクテク

おにゅ「それは、神剣と言います」

少女「しんけん?」

おにゅ「もし・・・ もし、私が悪鬼となりこの村に災厄をもたらすことがあった場合・・・」

少女「?」


53: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/11(水) 01:52:08 ID:pWUTmUC6

おにゅ「その剣で私を・・・ 刺し殺しなさい」

少女「え?」

おにゅ「神・・・ 鬼である私を止めることが出来るのは、その剣しかありません」

少女「何言ってるの? おにゅ・・・」

おにゅ「この神社の巫女の役割は、神である私が悪鬼と化したときに殺すこと」

少女「そんな・・・」

おにゅ「つまり、それが・・・ 鬼遊神社の巫女であるあなたの役目です」

少女「嫌だ・・・」

おにゅ「では、この社からすぐに立ち去りなさい」

少女「!?」

おにゅ「役を果たせぬ巫女を側に置いておく訳にはいきません」

少女「で、でも・・・ そんな事・・・ できないよ」グスッ

54: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/11(水) 01:53:31 ID:pWUTmUC6

おにゅ「心優しき人の子よ、よく聞きなさい」

おにゅ「あなたのご先祖様も役を受け入れてくれました」

少女「私は・・・ ひっく・・・ 嫌だよ」グズッ

おにゅ「この社の巫女は、少女で82代目・・・ みな少女のように優しい心の持ち主でした」

少女「おにゅ・・・」

おにゅ「あなたのお母様も、お婆さまも・・・ 巫女として役を受け入れてくれた」

少女「何で・・・」

おにゅ「もし、私に何かあったときは・・・ この社の巫女に最後を託したいのです」

おにゅ「少女のご両親があのような事故で逝かれてしまい・・・」

おにゅ「・・・幼きあなたに、このような話をしなければならない事を許して下さい」

少女「嫌だよ・・・ ひっぐ・・・ 嫌だよー!」ウワーン

おにゅ「ごめんなさい少女・・・ ごめんなさい・・・」

55: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/11(水) 01:54:23 ID:pWUTmUC6

●夕方・少女の部屋

トントン
ガチャッ

おにゅ「少女~ 寝てるの~?」

少女「・・・・・・」

おにゅ「もう夕方になっちゃうよ?」

少女「・・・・・・」モソモソ

おにゅ「」ハァ


おにゅ「私お買い物にい行ってくるから、お留守番よろしくね」

少女「・・・・・・」

ギー バタン


少女「おにゅのバカ・・・」

56: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/11(水) 01:55:12 ID:pWUTmUC6

●村道

テクテク

おにゅ「あっ、お婆さん。 おはようございます!」

婆「?」クルッ

おにゅ「お買い物ですか?」ニコッ

婆「え? あ、あぁ・・・ 家に帰るところでね・・・」

おにゅ「この前は煮物ありがと―――」

婆「ご、ごめんね。 ちょっと急ぐから」スタスタ

おにゅ「あ・・・ はい」

婆「」スタスタ

おにゅ「?」

57: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/11(水) 01:57:40 ID:pWUTmUC6

●商店

おにゅ「すいません、お肉下さい!」

肉屋の息子「?」

おにゅ「あれ? 今日おじさんは・・・」

肉屋の息子「何か用?」

おにゅ「え? あ・・・ 豚コマ100g下さい!」

肉屋の息子「」ゴソゴソ

おにゅ「あの・・・ そっちじゃなくて、こっちの100g80円の安い方で」

肉屋の息子「神さまなんだろ? 少しは売り上げに貢献してくれよ」

おにゅ「え?」

58: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/11(水) 02:00:53 ID:pWUTmUC6

肉屋の息子「ほら」スッ

おにゅ「・・・ありがとうございます」

肉屋の息子「100gで300円」

おにゅ「・・・・・・」

肉屋の息子「まさかタダでもらえるなんて思ってないよね?」

おにゅ「いえ、そんな事は。 今お金払います」ゴソゴソ

肉屋の息子「前から思ってたんだけどさぁ」

おにゅ「?」

肉屋の息子「その頭のツノって本物なのか?」

おにゅ「・・・・・・。 はい」

肉屋の息子「へぇ~」ジー

おにゅ「・・・これお金です」ジャラジャラ

肉屋の息子「売ってあげるだけでも感謝しろよ」

おにゅ「・・・・・・。 ありがとうございます」

59: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/11(水) 02:03:26 ID:pWUTmUC6

●社務所

少女「・・・・・・」ボー

~~~

少女「私ね、大きくなったらおにゅと同じ神さまになるの!」

おにゅ「えっ、巫女さんじゃなくて!?」

少女「うん! それでこの神社をもっと儲かるようにするの!」

おにゅ「あ、あはは・・・ なんか私がダメ神みたいで耳が痛いな・・・」ハハハ

少女「おにゅは大きくなったら何になりたいの?」

おにゅ「私が大きく? ん~・・・ 少女が誇れるような立派な神さま、かな?」

少女「本当!? じゃ、一緒に頑張ろうね!」

おにゅ「うん、約束」ニコッ

~~~

少女「おにゅが鬼になるなんて無いよ・・・ 今まで大丈夫だったんだもん」

少女「そうだよ、約束したし! あっ、もしかしておにゅのお仕置き?」ハッ

少女「おにゅのヤツ~」タッタッタッ

60: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/11(水) 02:04:08 ID:pWUTmUC6

●神社前

少女「おにゅ、お買い物に行くって言ってたっけ」キョロキョロ

少女「商店街かな?」タッタッタッ


 おう、どうだった


少女「?」キョロキョロ


 商店の連中は押さえた


少女(悪ガキのおじさん達だ・・・)コソッ

61: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/11(水) 02:06:29 ID:pWUTmUC6

村人A「集落の方はどうだ」

村人C「あぁ、下流地区と上流地区の住人は何人か押さえた」

村人A「金の力は怖いね~」ハハハ

村人C「災害見舞金とか言って抱き込むなんてよく考えたな」

村人A「ハハハ! まぁ、丁度良いタイミングだったしな」

村人B「金よりお前の親の力が恐いんじゃねぇの?」

村人A「この村の象徴気取りやがって。 何が神だよ、馬鹿馬鹿しい」

村人C「で? これからどうするんだ」

村人A「あのガキ共を追い出して、代わりに俺が村を牛耳る」

村人B「あいつらも、一ヶ月もすれば耐えられなくなって出て行くだろうな」

村人C「この神社、結構貴重な物もゴロゴロあるみたいだぜ?」

村人A「何だかんだ言っても千年以上の歴史があるからな」

村人B「本当の目的はそっちかぁ?」

村人A「一石二鳥。 徹底的にあのガキの信用を落とすんだ。 その為なら―――」

62: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/11(水) 02:07:12 ID:pWUTmUC6

少女(そんな・・・)ヨロッ

ガサッ

少女「はっ!」


 村人達「!?」クルッ


少女(見つかっちゃった!)


 村人B「おい、あれ! 神社の」

 村人A「くそ、居たのかよ! 聞かれたか、捕まえろ!」


少女「早くおにゅに知らせないと!」タッタッタッ


 村人「待てコラー!」

63: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/11(水) 02:08:54 ID:pWUTmUC6

● 村道

おにゅ「・・・お肉しか買えなかった」

おにゅ「今からバスで隣町まで行って夕飯までに間に合うかな・・・」トボトボ


 キャー


おにゅ「?」キョロキョロ


 村人B「大人しくしろ!」

 少女「嫌ー 助け―― むぐむぐ」


おにゅ「少女!?」


 村人A「おい、縄で縛って工事現場の倉庫に運ぶぞ。 車出せ」

 ブーン


おにゅ「少女!」タッタッタッ

64: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/11(水) 02:09:57 ID:pWUTmUC6

●工事現場倉庫

少女「ハァ・・・ ハァ・・・」グッタリ

村人B「おい、大丈夫か? この子」

村人A「息が上がっているだけだ」

村人C「なぁ、さすがにコレはマズくないか?」

村人B「これって誘拐・・・ だよな」

村人A「このガキが盗み聞きなんてしてなきゃこんな事には」チッ

村人C「家に帰した方が良くないか?」

村人B「あぁ。 さすがに犯罪はマズいだろ」

村人A「そうだな・・・ なぁ、少女ちゃん?」

少女「!?」ビクッ

村人A「鬼ごっこ楽しかったねぇ~」ズイッ

少女「ひぃ!」ガタガタ

村人A「今日はこれでお開き。 お家に帰っても誰にも言っちゃダメだよ」ニタァ

少女「・・・・・・」ガタガタ

65: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/11(水) 02:10:38 ID:pWUTmUC6

村人A「聞こえたのか!!」

少女「ひぃ!! ご、ごめんんさい・・・ ごめんなさい」 ガタガタ

村人A「おい、この縄ほどいて帰らせろ」

村人C「あぁ」

村人B「何か手を打った方が良いんじゃないか?」

村人A「そうだな」

村人C「縄がきつくて解けないぞ?」ギシギシ

村人A「そこに斧があるだろ。 それで縄を切れよ」

村人C「ん? あれか」スタスタ

村人A「ガキに傷つけんなよ。 面倒になる」

村人C「分かってるよ。 動くなよ!」スッ

少女「ひぃ!」ガタガタ

66: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/11(水) 02:11:35 ID:pWUTmUC6

バンッ

おにゅ「少女! ここにいるの!?」ハァ ハァ

村人達「!?」クルッ

少女「うぅ・・・」ガタガタ

おにゅ「!!」ハッ

 ドクン


少女「お、おにゅ・・・?」ガタガタ

おにゅ「・・・・・・。 お前達・・・ 少女に何をした」

村人A「な、何も・・・ 俺達はただ・・・ なぁ」

村人B「あぁ、まだ何もしちゃ・・・」

おにゅ「その振り上げている斧を少女の視界から退けよ」

村人C「斧? あ、これは違う。 縄を解こうとして―――」

おにゅ「斧を退けよと申した! 我に二度言わすな!!」カッ

67: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/11(水) 02:12:22 ID:pWUTmUC6

ボン!

村人C「うわっ!」ズサー

村人B「ひぃ!」

おにゅ「最初の問いに答えよ。 少女に何をした」

村人B「な、何も・・・ 何もしちゃ―――」

おにゅ「問いはもう繰り返さぬ」

ボン!

村人B「ぐぁ!」バタッ

村人A「う・・・ うそだろ。 お前ら何を勝手に吹っ飛んでんだよ・・・」

おにゅ「おいお前、何か言い残すことはあるか?」ギロッ

村人A「お、俺に何かしたら2人ともこの村に住めなくし―――」

おにゅ「知ったことか。 こんな村に用はない」

ボン!

村人A「うっ!」バタッ

68: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/11(水) 02:13:11 ID:pWUTmUC6

少女「お・・・ おにゅ・・・?」

おにゅ「」ギロッ

少女「ひぃ!」ゾワッ

シュルシュル

少女「縄が解けた・・・ おにゅ!」タッタッタッ

おにゅ「・・・・・・」

少女「おにゅ・・・ おにゅ! ありがとう・・・ 怖かった」ブルブル

おにゅ「我より離れよ、人の子よ」

少女「え?」

おにゅ「聞こえなかったか? 離れよと申した」

少女「おにゅ?」

69: ◆8YCWQhLlF2 :2019/12/11(水) 02:14:18 ID:pWUTmUC6

おにゅ「我はこの村を滅ぼす。 跡形もなくな」

少女「滅ぼすって・・・ ダメだよ、おにゅはそんな事しないよ・・・」

おにゅ「忘れたか? 我は鬼、そしてこの村の神。 生かすも殺すも我次第」

少女「そんな・・・ うそ・・・ おにゅはそんなこと言わないよ・・・」

おにゅ「この地に最大級の神罰を。 絶望の神殺しの惨状をもたらしてやる」ニヤッ

少女「!!」ゾクッ

おにゅ「我を止めたくば、神剣で我が胸を突くことだな」クククク

少女「おにゅ・・・」ガタガタ

おにゅ「たっぷり時間をかけ村の者達を屠ってやる。 我が力を知るが良い!!」ヒャヒャヒャ

・・・
―・・・・・・
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70: 以下、名無しが深夜にお送りします :2019/12/11(水) 09:27:20 ID:UPng3M.Q
あちゃー

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