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神娘「我を呼んだか!」男「呼んでません」

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Part11
343: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 01:32:03 ID:yGdevo2Y
娘「大分曖昧になって来たみたいだね」
男「不本意ながら」
娘「壁がどんどん崩れてきている、気の緩みと言うのかな?」
男「それは、どっちの」
娘「私の、そして彼女の…あとは人の子、君の」
男「つまりは全員か」
娘「仕方ないさ、過去にあれほど心を許した存在は君が初めてだよ」
男「褒めてるのか?」
娘「勿論」
男「それで、一体あんたの正体は何なんだ?」
娘「大方君の予想通りさ」
男「そう思ってた、あんたは過去の神様なんだと思ってた」
娘「その通り」
男「でも…それにしてはやけに生々しい、奇妙だ」
娘「ほぉ?」

344: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 01:39:32 ID:yGdevo2Y
男「あんたは神様であって、神様じゃない」
娘「矛盾だね」
男「それを矛盾と思わせずにいるあんたはいったい何者だ?」
娘「…夢だよ」
男「夢?」
娘「ただの夢だ、眠らない神様が見る夢…悪夢の一端」
男「……」
娘「あの神様が過去に対して踏ん切りをつけられれば私はもう出てこなくなる、そんな存在」
男「過去」
娘「お前に見せようとしているもの、お前が受け入れようとしているもの」
男「御見通しか」
娘「”何があっても受け入れる”なんてあれだね、お熱い」
男「からかうなよ」
娘「…からかってないとしたら?」

345: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 01:43:13 ID:yGdevo2Y
男「…は?」
娘「お前は人間であれは神様だ、だからお前は彼女に恋も何も抱かない」
男「そうだが」
娘「確かにそう、神と人間の間には明確な隔たりがある、越えられない壁が」
男「…神様は可愛いとは思う、でもその先が無い」
娘「世界がそう設定しているからだよ、壁を作っているんだ」
男「だから、神様には畏れ以外の感情を抱かないと?」
娘「その通り」

346: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 01:46:12 ID:yGdevo2Y
男「別に、それでいいんじゃないか?」
娘「本当にか?」
男「…どう言う事だ」
娘「本当にお前は、神様に畏れ以外の感情を抱かないか?」
男「さっき言ったばかりじゃないか、壁があるって」
娘「今は分からなくていいさ、いずれわかる」
男「それは………」

347: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 01:49:44 ID:yGdevo2Y
―――――――
男「……」バッ
チュンチュン チュンチュン
男「……夢?」
男母「ご飯よー」
男「今行く」
ジリリリリリリ…
男「なんだったんだ、あれは…」パチンッ


348: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 01:51:11 ID:yGdevo2Y
予想外にシリアスになった気がするので遅筆に磨きがかかる
でもこのパートさえ終われば勝る 多分

349:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/23(月) 01:54:31 ID:.mYOUV8Y
神様かわいい
あ、勿論畏れてますよえぇ

350: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 01:55:03 ID:yGdevo2Y
と言う訳で全く関係のない事を書いてみる
男「……」ペラッ
神娘「……」ペラペラ
男「…なあ、神様」ジーッ
神娘「なんだ?今この部分が面白くてな」ペラッ
男「いやさ、なんかここ最近神社が生活感満載になってるんだがな」
神娘「あー…そう言えば大分散らかってきた」

351: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 01:58:52 ID:yGdevo2Y
男「最初は本だけだったな」
神娘「まあそんな力を使わんし、知識を吸収するのは本が一番だし」
男「次第に本を読むのに卓袱台やらなんやら持ってくるようになったな」
神娘「まあ寝て読むのは体勢的にきつい」
男「読書の共にお菓子を持ってくるようになったな」
神娘「西洋の菓子は中々美味かったな」
男「まあそこまでは良かったんだ」
神娘「ほう」
TV「それでは本日のニュース…」
ラジオ「今日の英会話は…」
電気ケトル「……」ジューッ
男「なんで電気やら電波やらが通ってんだよ」
神娘「神の力」
男「万能すぎるだろ」

352: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 02:01:07 ID:yGdevo2Y
男「まあ便利だが」
神娘「ここの森って時間軸が滅茶苦茶だから電波なんてあって無い様なもんだがな」
男「確かに五十年前のニュースとかいつの時代か分からん話題とか出てくるが」
神娘「面白くはないか?」
男「面白いけどさ」
神娘「何が不満なのだ」
男「不満は…ないな」
神娘「だろう?」

353: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 02:04:19 ID:yGdevo2Y
男「あんだけ殺風景だった部屋がいつの間にかまぁ…ここに住めるまでに」
神娘「まあ大体神主が持ってくるがな」
男「ちょっとだけ身に覚えがないのもあるんだが」
神娘「ほう?」
男「電話とか、電話回線とか」
神娘「いやぁ、まさか繋がるとは」
男「偶に誰かと話してるけど誰と話してるのさ」
神娘「龍とか、亀とか」
男「……」

354: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 03:44:22 ID:yGdevo2Y
男「…それにしてもまあ生活臭のする神社だ」
神娘「だって誰も見ないし、問題ないんじゃないかね?」
男「いや、下手すると家より居心地が…」
神娘「いっそここに住むか?」
男「冗談でも言うもんじゃないぞ」
神娘「ばれたか」
男「やらいでか」

355: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 03:53:32 ID:yGdevo2Y
神娘「…ま、完全に冗談と言う訳でもないのだがな」
男「何か言ったか?」
神娘「お前はここの神主だからな、別にかまわんのだぞ?」
男「…やめとく、なんか出れなくなりそうだし」
神娘「それもまたいいのだがなぁ」

356: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 14:17:01 ID:yGdevo2Y
ここから続き

357: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 14:21:07 ID:yGdevo2Y
先生「であるから、恒常的な平和のために」
友「結局何もわかんなかったなぁ」
男「ああ」
友「なんかわかると思ったんだけどなぁ」
男「そうだな」
友「やっぱり何もないのかなぁ」
男「そうかもしれんな」
友「……」バッバッ
男「んだよ」
友「いや、なんか生返事しかしないから」
男「ああ…うん、心配するな」
友「心配するわ」
先生「…おい、そこの二人」
男「げっ」
友「うわっ」

358: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 14:24:20 ID:yGdevo2Y
―――
友「まさか両方引っかかるなんて」バリバリ
男「お蔭でこっちまで課題が降って沸いた…」
友「すまんすまん、なんか奢ってやるから」
男「いや、そう言う事じゃなくてだな」
友「ああん?」
男「今日は放課後約束があるんだが」
友「えっ、お前彼女いるの?」
男「んな訳ないだろう」
友「じゃあ遊ぶ約束?」
男「それも違う、些細な用事だ」
友「なーんだ」
男「(神様待ってるかな、待ってるだろうな)」

359: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 14:56:22 ID:yGdevo2Y
―――
神娘「…遅い」
神娘「全く…大事な話なのに遅れるとは何事ぞ」
神娘「しかしまぁ、あやつにも外せん用事があるのかもしれん」
神娘「それまでこの本を読むとするか…」
神娘「……」
神娘「………ぐぅ」スヤスヤ

360: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 15:24:08 ID:yGdevo2Y
――――
男「ったく…ようやく終わった…」タッタッタ
男「神様?居るんだろ?」
男「神様?どこに居るんだ?」
神娘「…むにゃ」スゥ
男「寝てるのか」
神娘「………」スゥ
男「…なんか眠くなってきたな」
神娘「……」
男「……」
神娘「……」
男「……」グゥ

361: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 15:56:38 ID:yGdevo2Y
――――――
男「(……ここは)」
娘「おとん」
娘父「なんだ」
娘「おとん、戦争に行っちゃうの?」
娘父「すぐ戻ってくるさ」
娘「うん…絶対だよ?絶対戻ってきてね?」
娘父「ああ、きっと戻ってくるとも…今回はこっちの方が有利なんだ」
娘「……」
娘父「……」
娘「嘘、ついてないよね?」
娘父「…ついてないとも」
男「(これは…)」

362: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 16:06:17 ID:yGdevo2Y
娘「おとん、帰ってこないね」
娘母「そうね」
娘「おとん、この海の向こうに居るのかな」
娘母「そうかもね」
娘「おかん、泣いてるの?」
娘母「泣いてないわよ」
娘「…そっか」
娘母「そうよ」ゴホゴホ
娘「おかん?」
娘母「大丈夫…大丈夫だから」
娘「おかん、嘘ついてない?」
娘母「ついてないよ」


363: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 16:09:52 ID:yGdevo2Y
娘「……」
爺「親御さんは?」
娘「居ないよ、海の向こうに行っちゃった」
爺「そうか…」
娘「二人とも嘘をついたんだよ、ひどいね」
爺「お前の事を思っていたんだよ」
娘「でも、私を連れて行ってくれればいいのに」
爺「……」
娘「戦争が二人とも持っていっちゃったんだ、国が弱いのが悪いんだってさ」
爺「確かに、この国は昔から抗争が絶えなかった…立地、立場…この国は報われなさすぎる」
娘「戦争って嫌だね」
爺「嫌なもんだ」

364: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 16:11:59 ID:yGdevo2Y
爺「…なあ、お前さんや」
娘「なに?」
爺「もしかしたら、お前がなんとか出来るかもしれん」
娘「えっ?」
爺「戦争の被害者をなくせるかもしれん、お前さんには素質がある」
娘「本当に?私が戦争をなくせる?」
爺「戦争をなくすとは…」
娘「本当に?」
爺「……ああ、なくせるとも」

365: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 16:15:20 ID:yGdevo2Y
殿「神の候補が出来たと!」
爺「ええ、戦争をなくすと言ったら喜んで協力してくれました」
殿「そうかそうか…わが国にも神がいれば戦争に勝てるぞ!」
爺「……」
殿「いやぁ、お手柄だぞ爺!褒美は何がいい?」
爺「…あの子に、精一杯のご飯と寝床をあげてくれれば」
殿「お?そうかそうか…確かにこれから神になる娘だからな、あれは」
爺「(すまん、すまん…)」
殿「何としても神を迎えねばならんからな…そうすればこの国もいずれは大国に…」

366: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 16:19:10 ID:yGdevo2Y
 神様!
娘「…違う」
 神様!神様!
娘「…こんなんじゃない」
 神様!戦争に行ってきます!力を!
娘「こんなものの為に…神様になったんじゃない」
 神様!どうぞ力を!敵を打倒す力を!
娘「…違うんだ」
 神様!
 神様!神様!神様!神様!神様!神様!
娘「………」

367: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 16:24:58 ID:yGdevo2Y
娘「(…背負えと言うか、私に)」
 力が足りません!
娘「(死者も、信仰も、全てを背負えと言うか)」
 もっと力を!
娘「………分かった」
 おお!神様!
神娘「力をくれてやる、敵を圧倒する力をくれてやる」
 神様!
神娘「我を崇めよ!我を称えよ!我を畏れよ!信仰を捧げよ!」
 万歳!神様万歳!
神娘「私の為に死んで来い!」
 うおおおおおおおおおお!
神娘「(……背負ってやる、背負ってやるさ)」
男「(……神様)」
神娘「私は、神様だからな」

370: ◆lwQY2qw84A:2013/09/23(月) 16:59:51 ID:yGdevo2Y
―――――
男「神様!」バッ
神娘「ようやっと起きたか」
男「あ…おはよう」
神娘「おはよう」
男「(気まずい)」
神娘「…懐かしい夢を見たんだ」
男「神様って、色々ありそうだからな」
神娘「昔の私が居て、お前が居た」
男「えっ」
神娘「…見てたんだろう?全部」
男「全部じゃない、でもあれは…」

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