神娘「我を呼んだか!」男「呼んでません」
Part1
1: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 14:43:33 ID:C5R5HMII
神娘「えっ」
男「呼んでませんって」
神娘「…でも、二礼二拍手一礼して…」
男「いや、それが礼儀だったって聞いたから」
神娘「お願いしたろ?『彼女が欲しいんですって』…」
男「いや、なんか頼んでおかなきゃならないかなーって」
神娘「…………」ジワッ
男「えええ!?そこで泣くの!?」
神娘「だって…ひっく、久しぶりに誰かが来たと思って…ひっく、張り切ってたのにぃ…」グスグス
男「ああもう分かりました!呼びましたよ!」
神娘「…ほんとうに?」
男「(…まさか本物が出るとは)」
2: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 14:47:52 ID:C5R5HMII
―――――
数日前
先生「……であるからして、昔は神や妖怪といった存在が居ると大真面目に…」
男「……退屈だ」
友「あれだろ?大昔は”あなたは神を信じますか?”とか真面目に言われたんだろ?」
男「らしいな」
友「くだらないなぁ」ハハッ
先生「そこぉっ!」ビバシュッ
友「ほげぇっ!?」
男「南無三」
先生「罰として教本の内容についてレポートをまとめる様に、来週までに」
友「…神頼みする奴の気持ちが分かった気がする」
3: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 14:50:56 ID:C5R5HMII
友「と言う訳で俺はBダッシュましましで家に帰らないといけないのだ」
男「はぁ」
友「お前と放課後の探索に行けないのは大変つらい…」
男「そうか」
友「ちょっとは乗れよ」
男「いや、急いで帰れよ」
友「忘れてた、じゃーな!」
男「生きて帰ってこいよー」
男「…さて、どうすっか」
4: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 14:56:38 ID:C5R5HMII
男「ゲーセンも何も金がねえ、探険にも一人じゃ乗らねえ…大人しく帰るかな」テクテク
ミーン ミーン ミーン
男「…蝉の声?」
ミーン…ミーン…
男「このあたりに蝉がいるような森なんて…森?」
男「どうしてこんなところに森があるんだ?」
5: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 15:00:19 ID:C5R5HMII
男「(馬鹿な、ここには普通の民家があった筈だ…いや落ち着け、これは探索のまたとないチャンス!)」
男「(ここから見えるのは生い茂る木々と大分急な階段…どうやら中は山のようになっているらしい)」
男「…登ってみるかな」
ミーン ミーン…
男「看板がある…」
看板「○○○鎮守の森」
男「前半分が読めないが恐らく地名が入るんだろう」
男「鎮守の森…どういう意味だったか」
6:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/08(日) 15:01:56 ID:6kiraTY6
期待
7: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 15:04:32 ID:C5R5HMII
―――――
男「……長い」
シャワシャワシャワシャワ…
男「もうすぐ終点だと思うが…流石にきついな」
リーンリーン…
男「さてと、頂上に眠るはお宝か魔物か…っとぉ!」
男「なんだここ、いや授業で習ったことがあるな…神社だ」
8: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 15:07:46 ID:C5R5HMII
男「これは鳥居か…写真で見た通り赤いな、でもちょい剥げてきてるか」
男「手水舎があるな、爺ちゃんの本にやり方が書いてあった気が」パシャパシャ
男「参道は広くてでかいな、中々の神社だったんだろうか?」
男「そしてあそこが…この神社の本体か、神様が居ると言われていた」
男「どうするか、流石にここまで来たからにはやっておきたいんだけど…」
9: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 15:13:18 ID:C5R5HMII
男「神頼みか、やっぱりなんかの願いを言わなきゃ駄目かな?」
男「よし、彼女が欲しいにしてみるか」
男「えーっと、礼儀は確か二礼二拍手一礼…」
男「……何も起こる訳ないよな」
シャーン… シャーン…
男「…!?」
トツ トツ トツ トツ
男「(何かが近づいてくる…奥に誰かが居たのか?)」
トットットットッ
男「(ちっ…戦うか?そもそも誰だ?)」
ガラッ
神娘「我を呼んだな!?そうなのだな!?」
男「呼んでません」
10: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 15:19:21 ID:C5R5HMII
男「(で、最初に戻る訳なのだが)」
神娘「しかしすまんな人の子よ…我は色事の神ではない故その願いは叶えられん」
男「(誰だこいつ)」
神娘「しっ、しかし態々頼みに来たその労苦に対して何らかの労いをかけねばだな…」
男「(黒髪の美少女…というからにはちょい年が過ぎてる気がするし、美女というには幼すぎる)」
神娘「何らかの便宜を図らうつもりだから…堪忍してくれ」
男「(…いい、凄くいい)」
神娘「…人の子?そんなに惚けてどうした?」
男「お前は何者だ?」
神娘「神じゃが」
男「えっ」
神娘「えっ」
11: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 15:31:33 ID:C5R5HMII
神娘「人の子…それが目的でここに来たのではないのか?」
男「そうだけど」
神娘「…そうか、お前は私を信じてくれんのか」シュン
男「いや、信じてはいるけど」
神娘「えっ?」
男「『居たらいいなー』程度だけどな」
神娘「それでもいいのだ、それこそは信仰の始まりとなる」
男「そうなのか?」
神娘「望みは形を作り、やがては成果となって還元される…信仰とはそういうものだ」
男「は、はぁ…」
神娘「人の子よ、頼みがあるのだが」
男「うん」
神娘「お前の信仰、私に捧げてはくれまいか?」
男「…うん?」
12:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/08(日) 15:39:31 ID:QJ/yjH6k
>神娘「お前の信仰、私に捧げてはくれまいか?」
勃った
13: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 15:50:38 ID:C5R5HMII
男「書類とか…代償とかいるのか?」
神娘「馬鹿を言うな、お前は私を信じてくれれば良い」
男「そんだけ?」
神娘「まあ難しい事を言っても分からぬだろう、我を信じよ、我を崇めよ」
男「んー、分かった」
神娘「そうか!」
男「で、なにをすればいいんだ?」
神娘「本来ならば賽銭だのが欲しいのだが…この状況で贅沢は言っていられない」
男「法外な料金を要求されたらどうしようかと思った」
神娘「お前は時々参拝しに来てくれ、出来れば毎日がよいのだが…」
男「ああ、それならいいぞ」
神娘「本当か!」パァッ
男「そんなもんでいいならな」
14:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/08(日) 16:03:15 ID:Xlyxmoog
期待
15: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 16:13:37 ID:C5R5HMII
男「しかし、神様って何か特別な力がつかえたりするのか?」
神娘「今は使えん、力が足りないからな」
男「信仰とやらか?」
神娘「然様、今の所我を信仰するのはお前だけだ」
男「じゃあ、これから信仰を増やしていくとか」
神娘「…人の子よ、外の世界は平和か?」
男「まあな、このご時世武力はロストテクノロジーだし」
神娘「そうか…ならば私が出る場面はないかもな」
男「…?」
16: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 16:36:42 ID:C5R5HMII
神娘「取り敢えず、今日は帰るがよい」
男「なんでだ?まだ昼だと思うけど」
神娘「ここの森は外界と時の流れが違う、恐らく今外は夕方であろう」
男「えー…またあの階段下るのか…」
神娘「ああそれと、あの階段はもうそれ程長くはないだろうて」
男「あ、それは助かる」
神娘「今の所唯一の参拝者が居なくなると困るからな、特別待遇じゃて」
男「ん、じゃあ明日も来ればいいんだな?」
神娘「無理されても困るがなるべく来てくれればよい」
男「じゃーな神様」
神娘「また会おう人の子よ」
17: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 16:40:56 ID:C5R5HMII
男「…お、本当にすぐだ」
友「おーい我が友ぉー!」ドタドタ
男「どうした?」
友「課題が鬼畜過ぎて生きるのが辛い」
男「それで俺に助けを求めに来たと」
友「したらお前まだ帰ってないって」
男「…なあ、ここには何がある?」
友「はぁ?ただの民家があるだけだが」
男「そうか」
リーン…リーン…
男「虫の声が聞こえる」
友「何言ってんだよ、虫なんてもうここらには居ないって」
男「そうだな」
友「早く帰ろうぜ」
男「ああ」
19: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 17:01:07 ID:C5R5HMII
――――
男「(昨日の事が嘘のように思える事がある)」
友「おっ、男じゃーん!」
男「(あの森は本当は幻覚ではないか、あの神様も、虫の声も)」
友「どしたん?」
男「いや?なんでもない」
友「じゃっ、ぱっぱと学校終わらせよー!」
男「…ああ」
友「どした?」
ミーン… ミーン…
男「幻覚じゃ、なかったんだな」
友「はぁ?」
男「なんでもない」
20: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 17:25:59 ID:C5R5HMII
先生「およそ10世紀前程から4世紀程人類は無意味な戦争を繰り返してきた」
男「なあ友よ」
友「あぁん?」
先生「だが人類は無為に消費するばかりであった戦争を反省し、世界政府を樹立し」
男「神は居ると思うか?」
友「ぶふぅっ」
先生「科学的かつ数学的国家間の統一を目的に」
男「そんな反応するよなぁ」
友「いきなりどうしたよ」
先生「シャラップ!」ビバシュッ
友「あべしっ!?」
22: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 18:35:47 ID:C5R5HMII
男「と言う訳で、君はまた課題を言い渡されたのだな」
友「お前のせいでもある」
男「と言う訳で君にはヒントを渡しておいた、助けになるはずだ」ピラッ
友「おお心の友よ、次からは授業中に話しかけないでくれ」
男「そうするからさっさと終わらせるがいい」
友「十倍返しだからなー!」
男「さてと、行くか」
23: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 18:49:28 ID:C5R5HMII
タン タン タン
男「神様は居るかな」
神娘「おお、来たのだな人の子」バッ
男「約束だからね」
神娘「正直、来なくても恨みはすまいとも思っていたぞ」
男「それも少し寂しいんだけど」
神娘「人はまあ、不気味な物からは逃げ出すものだよ」
男「…経験済み?」
神娘「神だからな」ハハッ
男「なるほど」
24: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 18:50:03 ID:C5R5HMII
神娘「しかし、来てもらったはいいがな」
男「うん?」
神娘「やる事が無い」
男「そう言えば、無い」
神娘「探索でもするか?ここらの森は深く暗い」
男「迷いそうだからいいや、神様が一緒なら迷わないと思うけど」
神娘「こちらも外に出たいがまだ力が足りん」
男「不便なもんだね」
神娘「力ある者には束縛はつきものだ」
25: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 18:55:43 ID:C5R5HMII
男「力って、それが信仰ってやつ?」
神娘「然様」
男「一気に溜める方法は」
神娘「信仰は徳と同じで積み重なる物、泡の如く湧いて出た信仰なぞ役に立たぬ」
男「…クリスマスとかの度にそう思う」
神娘「長い間育んだ信頼、積み重ねた敬意、焼きついた畏れ…それが信仰という形で結晶となるのだ」
男「一時的な形では力にはならない…と」
神娘「その代りそうして長い間積み重なった信仰は、美しく並々と力に満ち溢れているのだ」
男「だから信仰してくれないかと頼んだのか」
神娘「人の子と私の間で育んだ結晶はさぞかし美しかろうよ」
男「(…なんかエロいな)」
26: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 19:00:34 ID:C5R5HMII
男「そういえば、神様って暇なとき何をしてるの?」
神娘「寝ている」
男「うわぁ…」
神娘「そんな顔するな、私とて外に出て動き回りたいが無駄に力を浪費するわけにもいかん」
男「そう言えば今まで信者無しだったもんな、体力カラカラ?」
神娘「ほぼすっからかんだ、正直このまま消滅してもおかしくは無かった」
男「誰にも看取られず、ひっそりと…嫌なもんだ」
神娘「人に忘れられた神なんてそんなものだ、力の大小に関わらず孰れは忘れ去られ消えてしまう」
男「…今はどれぐらい神様がいるんだろうな」
神娘「もうほとんど残っているまいよ」
27: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 19:04:31 ID:C5R5HMII
男「寂しい?」
神娘「いいや?もう神は人に求められては無い、ならば消え去るのもいいのかもしれない」
男「…」
神娘「しかしだな、私にもこうして信徒が出来たからには張り切らねばならぬ」
男「力使い切られても困るんだけどね」
神娘「そんなあほな真似はせんよ、故に何もできず困っている」
男「何もないもんね」
神娘「照れるな」
28:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/08(日) 20:27:01 ID:MrKLz4aQ
良いよ良いよー
29: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 20:55:22 ID:S9HYO8rU
神娘「と言う訳で何かしたくても出来んのだ、少なくとも今のところは」
男「別に見返りとか求めてる訳じゃないのだがな」
神娘「ほほぉ、では何か?我の体か?」ニヤニヤ
男「それもなんか…違う気がする」
神娘「まあ今お前は私にその溢れ満ちる信仰を注ぎ込んでくれればよい、人の子」
男「まあ、参拝しに来るだけだがな」
神娘「それでよい、やがてその積み重ねは信仰となり還元されよう」
男「まあ植物に水をやるつもりで頑張ろう」
神娘「なんとまあ人の子の癖に不遜な喩えだ、お前の目の前に居るのは神だと言うのに」
男「その人の子の助け無くては生きられないのに?」
神娘「言うなれば寄生状態だな」
男「うわぁ嫌な例え」
神娘「えっ」
男「呼んでませんって」
神娘「…でも、二礼二拍手一礼して…」
男「いや、それが礼儀だったって聞いたから」
神娘「お願いしたろ?『彼女が欲しいんですって』…」
男「いや、なんか頼んでおかなきゃならないかなーって」
神娘「…………」ジワッ
男「えええ!?そこで泣くの!?」
神娘「だって…ひっく、久しぶりに誰かが来たと思って…ひっく、張り切ってたのにぃ…」グスグス
男「ああもう分かりました!呼びましたよ!」
神娘「…ほんとうに?」
男「(…まさか本物が出るとは)」
2: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 14:47:52 ID:C5R5HMII
―――――
数日前
先生「……であるからして、昔は神や妖怪といった存在が居ると大真面目に…」
男「……退屈だ」
友「あれだろ?大昔は”あなたは神を信じますか?”とか真面目に言われたんだろ?」
男「らしいな」
友「くだらないなぁ」ハハッ
先生「そこぉっ!」ビバシュッ
友「ほげぇっ!?」
男「南無三」
先生「罰として教本の内容についてレポートをまとめる様に、来週までに」
友「…神頼みする奴の気持ちが分かった気がする」
3: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 14:50:56 ID:C5R5HMII
友「と言う訳で俺はBダッシュましましで家に帰らないといけないのだ」
男「はぁ」
友「お前と放課後の探索に行けないのは大変つらい…」
男「そうか」
友「ちょっとは乗れよ」
男「いや、急いで帰れよ」
友「忘れてた、じゃーな!」
男「生きて帰ってこいよー」
男「…さて、どうすっか」
4: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 14:56:38 ID:C5R5HMII
男「ゲーセンも何も金がねえ、探険にも一人じゃ乗らねえ…大人しく帰るかな」テクテク
ミーン ミーン ミーン
男「…蝉の声?」
ミーン…ミーン…
男「このあたりに蝉がいるような森なんて…森?」
男「どうしてこんなところに森があるんだ?」
5: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 15:00:19 ID:C5R5HMII
男「(馬鹿な、ここには普通の民家があった筈だ…いや落ち着け、これは探索のまたとないチャンス!)」
男「(ここから見えるのは生い茂る木々と大分急な階段…どうやら中は山のようになっているらしい)」
男「…登ってみるかな」
ミーン ミーン…
男「看板がある…」
看板「○○○鎮守の森」
男「前半分が読めないが恐らく地名が入るんだろう」
男「鎮守の森…どういう意味だったか」
期待
7: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 15:04:32 ID:C5R5HMII
―――――
男「……長い」
シャワシャワシャワシャワ…
男「もうすぐ終点だと思うが…流石にきついな」
リーンリーン…
男「さてと、頂上に眠るはお宝か魔物か…っとぉ!」
男「なんだここ、いや授業で習ったことがあるな…神社だ」
8: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 15:07:46 ID:C5R5HMII
男「これは鳥居か…写真で見た通り赤いな、でもちょい剥げてきてるか」
男「手水舎があるな、爺ちゃんの本にやり方が書いてあった気が」パシャパシャ
男「参道は広くてでかいな、中々の神社だったんだろうか?」
男「そしてあそこが…この神社の本体か、神様が居ると言われていた」
男「どうするか、流石にここまで来たからにはやっておきたいんだけど…」
9: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 15:13:18 ID:C5R5HMII
男「神頼みか、やっぱりなんかの願いを言わなきゃ駄目かな?」
男「よし、彼女が欲しいにしてみるか」
男「えーっと、礼儀は確か二礼二拍手一礼…」
男「……何も起こる訳ないよな」
シャーン… シャーン…
男「…!?」
トツ トツ トツ トツ
男「(何かが近づいてくる…奥に誰かが居たのか?)」
トットットットッ
男「(ちっ…戦うか?そもそも誰だ?)」
ガラッ
神娘「我を呼んだな!?そうなのだな!?」
男「呼んでません」
10: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 15:19:21 ID:C5R5HMII
男「(で、最初に戻る訳なのだが)」
神娘「しかしすまんな人の子よ…我は色事の神ではない故その願いは叶えられん」
男「(誰だこいつ)」
神娘「しっ、しかし態々頼みに来たその労苦に対して何らかの労いをかけねばだな…」
男「(黒髪の美少女…というからにはちょい年が過ぎてる気がするし、美女というには幼すぎる)」
神娘「何らかの便宜を図らうつもりだから…堪忍してくれ」
男「(…いい、凄くいい)」
神娘「…人の子?そんなに惚けてどうした?」
男「お前は何者だ?」
神娘「神じゃが」
男「えっ」
神娘「えっ」
11: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 15:31:33 ID:C5R5HMII
神娘「人の子…それが目的でここに来たのではないのか?」
男「そうだけど」
神娘「…そうか、お前は私を信じてくれんのか」シュン
男「いや、信じてはいるけど」
神娘「えっ?」
男「『居たらいいなー』程度だけどな」
神娘「それでもいいのだ、それこそは信仰の始まりとなる」
男「そうなのか?」
神娘「望みは形を作り、やがては成果となって還元される…信仰とはそういうものだ」
男「は、はぁ…」
神娘「人の子よ、頼みがあるのだが」
男「うん」
神娘「お前の信仰、私に捧げてはくれまいか?」
男「…うん?」
12:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/08(日) 15:39:31 ID:QJ/yjH6k
>神娘「お前の信仰、私に捧げてはくれまいか?」
勃った
13: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 15:50:38 ID:C5R5HMII
男「書類とか…代償とかいるのか?」
神娘「馬鹿を言うな、お前は私を信じてくれれば良い」
男「そんだけ?」
神娘「まあ難しい事を言っても分からぬだろう、我を信じよ、我を崇めよ」
男「んー、分かった」
神娘「そうか!」
男「で、なにをすればいいんだ?」
神娘「本来ならば賽銭だのが欲しいのだが…この状況で贅沢は言っていられない」
男「法外な料金を要求されたらどうしようかと思った」
神娘「お前は時々参拝しに来てくれ、出来れば毎日がよいのだが…」
男「ああ、それならいいぞ」
神娘「本当か!」パァッ
男「そんなもんでいいならな」
14:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/08(日) 16:03:15 ID:Xlyxmoog
期待
15: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 16:13:37 ID:C5R5HMII
男「しかし、神様って何か特別な力がつかえたりするのか?」
神娘「今は使えん、力が足りないからな」
男「信仰とやらか?」
神娘「然様、今の所我を信仰するのはお前だけだ」
男「じゃあ、これから信仰を増やしていくとか」
神娘「…人の子よ、外の世界は平和か?」
男「まあな、このご時世武力はロストテクノロジーだし」
神娘「そうか…ならば私が出る場面はないかもな」
男「…?」
16: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 16:36:42 ID:C5R5HMII
神娘「取り敢えず、今日は帰るがよい」
男「なんでだ?まだ昼だと思うけど」
神娘「ここの森は外界と時の流れが違う、恐らく今外は夕方であろう」
男「えー…またあの階段下るのか…」
神娘「ああそれと、あの階段はもうそれ程長くはないだろうて」
男「あ、それは助かる」
神娘「今の所唯一の参拝者が居なくなると困るからな、特別待遇じゃて」
男「ん、じゃあ明日も来ればいいんだな?」
神娘「無理されても困るがなるべく来てくれればよい」
男「じゃーな神様」
神娘「また会おう人の子よ」
17: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 16:40:56 ID:C5R5HMII
男「…お、本当にすぐだ」
友「おーい我が友ぉー!」ドタドタ
男「どうした?」
友「課題が鬼畜過ぎて生きるのが辛い」
男「それで俺に助けを求めに来たと」
友「したらお前まだ帰ってないって」
男「…なあ、ここには何がある?」
友「はぁ?ただの民家があるだけだが」
男「そうか」
リーン…リーン…
男「虫の声が聞こえる」
友「何言ってんだよ、虫なんてもうここらには居ないって」
男「そうだな」
友「早く帰ろうぜ」
男「ああ」
19: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 17:01:07 ID:C5R5HMII
――――
男「(昨日の事が嘘のように思える事がある)」
友「おっ、男じゃーん!」
男「(あの森は本当は幻覚ではないか、あの神様も、虫の声も)」
友「どしたん?」
男「いや?なんでもない」
友「じゃっ、ぱっぱと学校終わらせよー!」
男「…ああ」
友「どした?」
ミーン… ミーン…
男「幻覚じゃ、なかったんだな」
友「はぁ?」
男「なんでもない」
20: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 17:25:59 ID:C5R5HMII
先生「およそ10世紀前程から4世紀程人類は無意味な戦争を繰り返してきた」
男「なあ友よ」
友「あぁん?」
先生「だが人類は無為に消費するばかりであった戦争を反省し、世界政府を樹立し」
男「神は居ると思うか?」
友「ぶふぅっ」
先生「科学的かつ数学的国家間の統一を目的に」
男「そんな反応するよなぁ」
友「いきなりどうしたよ」
先生「シャラップ!」ビバシュッ
友「あべしっ!?」
22: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 18:35:47 ID:C5R5HMII
男「と言う訳で、君はまた課題を言い渡されたのだな」
友「お前のせいでもある」
男「と言う訳で君にはヒントを渡しておいた、助けになるはずだ」ピラッ
友「おお心の友よ、次からは授業中に話しかけないでくれ」
男「そうするからさっさと終わらせるがいい」
友「十倍返しだからなー!」
男「さてと、行くか」
タン タン タン
男「神様は居るかな」
神娘「おお、来たのだな人の子」バッ
男「約束だからね」
神娘「正直、来なくても恨みはすまいとも思っていたぞ」
男「それも少し寂しいんだけど」
神娘「人はまあ、不気味な物からは逃げ出すものだよ」
男「…経験済み?」
神娘「神だからな」ハハッ
男「なるほど」
24: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 18:50:03 ID:C5R5HMII
神娘「しかし、来てもらったはいいがな」
男「うん?」
神娘「やる事が無い」
男「そう言えば、無い」
神娘「探索でもするか?ここらの森は深く暗い」
男「迷いそうだからいいや、神様が一緒なら迷わないと思うけど」
神娘「こちらも外に出たいがまだ力が足りん」
男「不便なもんだね」
神娘「力ある者には束縛はつきものだ」
25: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 18:55:43 ID:C5R5HMII
男「力って、それが信仰ってやつ?」
神娘「然様」
男「一気に溜める方法は」
神娘「信仰は徳と同じで積み重なる物、泡の如く湧いて出た信仰なぞ役に立たぬ」
男「…クリスマスとかの度にそう思う」
神娘「長い間育んだ信頼、積み重ねた敬意、焼きついた畏れ…それが信仰という形で結晶となるのだ」
男「一時的な形では力にはならない…と」
神娘「その代りそうして長い間積み重なった信仰は、美しく並々と力に満ち溢れているのだ」
男「だから信仰してくれないかと頼んだのか」
神娘「人の子と私の間で育んだ結晶はさぞかし美しかろうよ」
男「(…なんかエロいな)」
26: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 19:00:34 ID:C5R5HMII
男「そういえば、神様って暇なとき何をしてるの?」
神娘「寝ている」
男「うわぁ…」
神娘「そんな顔するな、私とて外に出て動き回りたいが無駄に力を浪費するわけにもいかん」
男「そう言えば今まで信者無しだったもんな、体力カラカラ?」
神娘「ほぼすっからかんだ、正直このまま消滅してもおかしくは無かった」
男「誰にも看取られず、ひっそりと…嫌なもんだ」
神娘「人に忘れられた神なんてそんなものだ、力の大小に関わらず孰れは忘れ去られ消えてしまう」
男「…今はどれぐらい神様がいるんだろうな」
神娘「もうほとんど残っているまいよ」
27: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 19:04:31 ID:C5R5HMII
男「寂しい?」
神娘「いいや?もう神は人に求められては無い、ならば消え去るのもいいのかもしれない」
男「…」
神娘「しかしだな、私にもこうして信徒が出来たからには張り切らねばならぬ」
男「力使い切られても困るんだけどね」
神娘「そんなあほな真似はせんよ、故に何もできず困っている」
男「何もないもんね」
神娘「照れるな」
28:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/08(日) 20:27:01 ID:MrKLz4aQ
良いよ良いよー
29: ◆lwQY2qw84A:2013/09/08(日) 20:55:22 ID:S9HYO8rU
神娘「と言う訳で何かしたくても出来んのだ、少なくとも今のところは」
男「別に見返りとか求めてる訳じゃないのだがな」
神娘「ほほぉ、では何か?我の体か?」ニヤニヤ
男「それもなんか…違う気がする」
神娘「まあ今お前は私にその溢れ満ちる信仰を注ぎ込んでくれればよい、人の子」
男「まあ、参拝しに来るだけだがな」
神娘「それでよい、やがてその積み重ねは信仰となり還元されよう」
男「まあ植物に水をやるつもりで頑張ろう」
神娘「なんとまあ人の子の癖に不遜な喩えだ、お前の目の前に居るのは神だと言うのに」
男「その人の子の助け無くては生きられないのに?」
神娘「言うなれば寄生状態だな」
男「うわぁ嫌な例え」
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