勇者「淫魔の国で風邪をひくとこうなる」
Part9
325 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/08(水) 03:29:11.33 ID:8YmLQ3f/o
*****
隣女王「陛下、ご健勝の事と…………? あの、そちらの膝掛け布は?」
勇者「あ、いや……気にしないでくれ、最近脚が冷えるからね」
隣女王「はぁ……大丈夫ですか? 申し訳ありません、長居は決してしませんので……」
勇者「さぁ、座ってくれ」
玉座の間で会うのはやめ、城内のサロンで彼女とは顔を合わせる事にした。
立場は、同じなのだ。
加えて堅苦しいのは性に合わないしーー玉座にふんぞり返って腰かけたままでは、隠しようもない。
対面に座る彼女は、思いもよらないだろう。
今こうしている間にもーーーー勇者のそこは、滾っていると。
それも、言いようのない焦りが募り、焦りのせいで更に血は巡り。
座るだけでも辛いほど、硬く張ってしまっていると。
隣女王「……陛下、顔色が……」
勇者「気にしないでくれ。気分が悪い訳じゃない」
326 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/08(水) 03:29:37.68 ID:8YmLQ3f/o
ほんの一年。
最後にあった日から数えて、三~四カ月のはずだ。
なのに隣女王は、既に、“最初”に会った時と変わらぬ見た目に成長していた。
背は伸び、顔つきから幼さは抜け始める。
膨らみの残っていた腹部にはくびれができて、切れ込ませたような臍を露わに見せる服装を見事に着こなす。
砂漠の王族のような膨らんだふくらはぎまでのズボンに隠れてはいるがーーーー脚も、ほっそりと長いはずだ。
それは、隠れていないふくらはぎの半ばから足首までを見れば、容易に想像できる。
褐色の肌は冬を超えて少し濃くなり、香油を塗り込んだように艶々と水気を湛え、今にもこぼれ落ちそうな溌剌さを表す。
起伏の少ない胸、その先端のみを覆い隠すような胸の前で交差する二つの布だけが、彼女の上半身を覆う。
テーブル越しではそこから頭までしか見えないため、必然……視線は、彼女の顔に向く。
隣女王「陛下?」
勇者「あ……その、見違えたな。ずいぶんと変わったよ」
隣女王「そ、そんな……事はありませんよ」
羊毛のようなゆるく巻いた銀髪と、そこをかき分ける小さな“乳歯”のような角が、彼女を飾る。
同じく銀色の眉毛は細く整い、赤い虹彩にかかる長い銀睫にもまた隙が無い。
彼女はもうーーーー“淫魔”としての美貌を、手に入れていた。
327 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/08(水) 03:30:12.74 ID:8YmLQ3f/o
隣女王「早いもので……もう、陛下が即位なされてから一年になるのですね」
勇者「ああ、あっという間だった。……ただ、少し物足りなくもあるか」
隣女王「物足りない……と?」
勇者「命を狙われない。毒矢も受けない。魔法の火から身を隠したりもしない。襲撃に備えながら眠ったりもしない。少しだけ……寂しいかな」
隣女王「それは、その……お戯れ、ですよね?」
勇者「うん」
そんな冗談を挟むと、隣女王の緊張は少し緩んだようだった。
彼女の緊張は、王と会うから、以上のものがある。
その正体はーーーー恐らく、誰もが少女の時に出会うものだ。
ふと、隣女王が注がれた茶に手をつけていない事に気付く。
しかし、その目はちらちらと琥珀色の水面へ向けられていることにも。
察して、先に手をつけーーーーごくりと喉を鳴らして飲み込むと、隣女王も続いてカップを持ち上げた。
328 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/08(水) 03:30:47.77 ID:8YmLQ3f/o
隣女王「ところで、陛下……。近頃何かお変わりは?」
勇者「そりゃ、色々と変わるが……何か気になったのか?」
隣女王「……何か、そわそわとなされておいでに見えて……」
勇者「何でもないと言っただろ。……来てくれて嬉しいよ。疲れを癒すといい。後で浴場の準備もさせるから」
隣女王「その事ですが、今回も……陛下に、お願いしたい事があります」
勇者「何?」
隣女王「そ、そのですね……? この度も、陛下に……ご教授、頂きたいのですが……」
勇者「……待ってくれ、少し考える」
329 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/08(水) 03:31:29.89 ID:8YmLQ3f/o
冬に訪れた隣女王の目的は、人間の男の身体に慣れたい、という事だった。
サキュバスBを間に加えて過ごし、途中から異変が起きて、搾り殺される寸前までいった。
それ自体は予想外のアクシデントだったが、今回は違う事情がすでに起きている。
彼女の好奇心を抑える事は難しいが……説得をまず、試みた。
勇者「……そんなに、焦るような事でもないだろう?」
隣女王「いえ……こうしてお会いできる機会も少ないのですから。どうか、お願いいたします、私めに……どうか、陛下」
まっすぐに見つめてくる瞳は、淫魔としてのものではなくーーーー純粋な勉強熱心からに見えた。
探求心に蓋をする事などできないように、彼女はまっすぐに見つめる。
勇者「でも、だ……」
堕女神の報告を受けてから、妙に下半身への意識が強まった。
ともすれば、命の危機かもしれない。
それなのに依然硬いそこは、あと四百回以上の回数を残したままだ。
タイムリミットがあるとすれば、あと四日。
330 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/08(水) 03:31:57.90 ID:8YmLQ3f/o
綱渡りをするような緊張感が、あの夜はあった。
それは、隣女王の本性を一度知っていたからだ。
彼女の種族は淫魔としてひどく獰猛で、相手の命を何とも思わずに搾る。
温厚で落ち着いた性格の隣女王ですらそうで、その他の者は尚悪い。
子供ならではの無邪気な残酷さのまま、彼女らの種族は男を喰らう。
そんな彼女に、もしこの病で治まらないモノを見せたら……どんな火がつくのか分からなかった。
勇者「……考えさせてくれ、夕食の後まで」
隣女王「はい……畏まりました」
隣女王もこれ以上説得は踏み切れないと判断したのか、引き下がる。
煙に撒いてはいない。
ただーーーー相談の時間が欲しかった。
堕女神と、サキュバスBと。
今のところは城内の者には口止めをしてあるから、この病の事が漏れる事はない。
明かすか、明かさないか。
それがーーーー目下の課題。
332 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/08(水) 03:37:30.38 ID:8YmLQ3f/o
今日はこれまで
繋ぎの場面を書きながらフルチャージ中です
明後日(2/9~2/10の間)はちょっと来れるか分からないと先に申しておきます
多分大丈夫だとは思うけど……
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/02/08(水) 07:11:21.73 ID:UbdCTeF7o
おつー
前サキュバスAのツケでやってた気がする
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/02/08(水) 14:59:02.73 ID:P5b/d5nJ0
隣女王とポチの組み合わせだとどっちが搾り尽くせるんだろう
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/02/08(水) 16:18:04.67 ID:0tBC/Bsm0
乙
諸刃の剣…
341 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/09(木) 03:20:51.12 ID:e+SxIie+o
*****
勇者「……という事なんだ。どう思う?」
執務室に呼びつけたサキュバスBと堕女神に、そう訊ねた。
サキュバスB「どう、って……別にいいんじゃないですかね?」
勇者「そうか……?」
堕女神「左手の紋章は隠し切れないでしょう。ならばいっそ正直に……とはいえ、全てを伝える訳には参りませんね」
サキュバスB「全て? ずっと勃ったまんまで、出すと減るんですよね。他に何かあるんですか?」
堕女神「……っ」
勇者「それをどう伝えるかだ。全て消したらどうなるのか、消せなかったらどうなるのか、
興味を持たれたらどう答えればいいんだ。こっちだって分からないのに」
うっかり……珍しく、本当にうっかり口を滑らせてしまった堕女神に助け船を出す。
こんな事も、初めてだった。
342 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/09(木) 03:21:23.80 ID:e+SxIie+o
サキュバスB「ちょっとしたチャレンジ中だって言えばいいじゃないですか?」
勇者「どんな?」
サキュバスB「えっと……“セックス強化週間”?」
勇者「……また社会的に抹殺される……」
堕女神「構わないではないですか。サキュバスAが言外に言い回ったせいで既に陛下は……」
勇者「言うな」
サキュバスB「いいじゃないですかー。精力の強い男の人ってステキですよ?」
勇者「強いられてんだよ! 今は!」
サキュバスB「それじゃ、堕女神様とサキュバスCちゃんとエッチしたのも楽しくなかったんですか?」
勇者「ぐっ……!」
343 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/09(木) 03:21:53.28 ID:e+SxIie+o
堕女神「ともかく、変に隠し立てすると逆に掘り下げられかねません」
サキュバスB「ええ、勃ててるのを隠すなんてできませんよね?」
堕女神「……そういう意味ではありませんが、そうですね、ハイ」
勇者「……分かったよ。“どれだけ短期間で五百回できるか”を試している最中という事にしよう。俺が変に思われるぐらい、どうだっていい」
サキュバスB「男前ですねー。お話しが終わったんなら、エッチします?」
勇者「今は真面目な話をしてただろ」
サキュバスB「これもマジメですよ? それにAちゃんとはしてたでしょ」
堕女神「……え?」
勇者「あれは……その」
堕女神「……構いませんよ。どの道、それは鎮めなければなりませんから」
サキュバスB「じゃあ……」
堕女神「今はだめです。じきに隣女王陛下が戻って参りますから」
344 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/09(木) 03:22:34.22 ID:e+SxIie+o
勇者「今はどこに?」
堕女神「庭園です。見て回っておいでのようです」
サキュバスB「そんなに見て回れるほど、珍しいモノありますかね?」
堕女神「貴女は毎日見ているからそう思うのです。……それで、陛下。隣女王陛下のご要望には」
勇者「今日はダメとも言えないだろう、前回応えたんだから」
堕女神「畏まりました、ではそのように。サキュバスB、この件については任せます、頼みましたよ。
……用意するものがあれば今言っていただけますか?」
サキュバスB「ありがとーございます! えっと……お風呂、かな」
堕女神「浴場?」
サキュバスB「お風呂だけでいいですよー。後はわたしが持ってきますから」
勇者「何をするんだ?」
サキュバスB「えへへ、それは秘密ですよー」
345 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/09(木) 03:23:00.17 ID:e+SxIie+o
*****
それからは、何という事も無い時間が過ぎた。
サキュバスBはごそごそと夕食を終えるまでの時間、姿を現さなかった。
ほんの数十分だけ隣女王と話していたのを見かけたものの、内容までは分からない。
隣女王の顔がわずかに赤かったのは、伝えられた内容によるものだとは思うが、
もともと隣女王は初心なので、予測の材料にはできない。
その間、空いた時間の隙間に堕女神との逢瀬、三回。
サキュバスA、一回。
聞きつけたメイドのサキュバス、四人にそれぞれ一回。
城の一角で隠れるようにする事になり……一度はあやうく隣女王に見つかりかけた。
隣女王と話している間にもサキュバスAは死角で口淫を止めず、こちら以上に、彼女自身がそのスリルを楽しんでいるように見えた。
もし見つかってしまったらーーーーと。
隣女王が去ってからサキュバスAの跪いていた場所を見れば、ぬめる液体で湿っていた。
346 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/09(木) 03:24:08.66 ID:e+SxIie+o
サキュバスA「んふっ……ドキドキ、しちゃいますわ。もし見つかったら……私、隣女王陛下にどんな目で見られてしまうのかしら、と」
勇者「本っ当に危ないな、お前……!」
サキュバスA「軽蔑? それともビックリするかしら? でも、陛下も……いつもより、いっぱい出ましたわよ?」
勇者「……そうなのか?」
サキュバスA「ええ。陛下の御射精の量は数十分の一滴単位で把握しておりますもの。味も……とっても、濃くて……」
勇者「覚えるなよ。というかよくそんな事ができるな」
サキュバスA「人間にも香りだけでワインの産地を当て、口に含むだけで銘柄を当てる者がおりますでしょう。
別に私が特別鋭い訳でもありませんわ」
勇者「なるほど」
サキュバスA「んふっ、さてご馳走様でした、陛下。今夜は頑張ってくださいね? そろそろ夕食ですよ。それではまた」
347 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/09(木) 03:24:40.19 ID:e+SxIie+o
*****
そして、いつもより心なしか精のつくような晩餐を終えて、今勇者は浴場で一心地ついていた。
相変わらずそれは滾ったままで……今やもう、慣れつつある。
前かがみに歩く煩わしさも、あまり感じないようになってしまった。
堕女神に脅されるようにされた報告も、彼女は不思議がっていた。
確かに勃起が続けばそこに重篤な異変を起こすが、それはもっと早くに起こるはずだと。
三日どころか、半日でそうなってしまう、と。
しかしそうならないのは……これもまた症状の一つなのだと結論づけるしかない。
ただでさえ鬱陶しく摩訶不思議な病気なのだから、考えるだけ無駄だ、と。
勇者「……何だ、この湯の色?」
今日の湯は、奇妙な薄いピンク色に透き通っていた。
数十人が一度に入れるような浴場は一面がピンク色で、ただでさえ幽玄な香りのする浴場が更に淫靡な空間に変わってしまっている。
勇者「いったい……何入れたらこんな色になるんだ?」
348 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/09(木) 03:25:39.08 ID:e+SxIie+o
湯船に浸かりながらそんな事をぼんやり考えていると、小さな足音が二つ、濡れた床面を蹴るのが聴こえた。
湯煙りの中に見えた人影も、ふたつ。
サキュバスB「お待たせしました、陛下ー! それじゃ、久しぶりに隣女王陛下と二人でご奉仕しますね」
隣女王「よ、よろしくお願いいたします……あの、お手柔らかに……」
首を捻って見ると、二人は揃いの肌着を着ていた。
昨日の朝にサキュバスBが着ていたような、足ぐりを深く切れ込ませた、上と下が一体となったつくりで伸び縮む、不可思議な繊維の肌着だ。
サキュバスBは、薄い桃色。
隣女王は、褐色の肌によく映える白色。
彼女はむしろ裸より恥ずかしいのか……ずっと胸と股間を隠したままで、俯き気味だ。
サキュバスB「ふふっ、隣女王陛下、似合ってますよねー? わたしからの贈り物なんですよ?」
隣女王「あ、あの……どうか、あまり見ないでくださいまし……陛下……」
今すぐにでも消えてしまいたいーーーーとでも言いたげな恥じ入る声は、むしろ誘惑だ。
あまり凝視するつもりもなかったのに、むしろ……釘付けにされてしまう。
サキュバスB「それじゃ、陛下。……すぐに準備しますからね。ちょっと待っててください!」
349 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/09(木) 03:27:59.95 ID:e+SxIie+o
今日の分投下終了です
無理やり? いいじゃねーか、丁寧にやってたらエロまで遠く回りくどくなるんだから!
そしてすみません、明日は来れなくなってしまった……
誰か会社にサキュバス30人ぐらい刺客で送り込んでくれたら俺も早く帰れるのに
それではまた明後日
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/02/09(木) 03:36:48.44 ID:M1Bdw6Ma0
刺客w
おつー
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/02/09(木) 03:37:40.08 ID:3HZC/DvO0
乙!
明後日まで全裸待機
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/02/09(木) 11:10:46.07 ID:wg+RiE4A0
なんやかんやでコッソリ三回いたしている堕女神ww
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/02/09(木) 16:21:32.08 ID:308amvRWO
乙乙
なんやかんや言いながらヤるこたぁヤってるのが微笑ましい
*****
隣女王「陛下、ご健勝の事と…………? あの、そちらの膝掛け布は?」
勇者「あ、いや……気にしないでくれ、最近脚が冷えるからね」
隣女王「はぁ……大丈夫ですか? 申し訳ありません、長居は決してしませんので……」
勇者「さぁ、座ってくれ」
玉座の間で会うのはやめ、城内のサロンで彼女とは顔を合わせる事にした。
立場は、同じなのだ。
加えて堅苦しいのは性に合わないしーー玉座にふんぞり返って腰かけたままでは、隠しようもない。
対面に座る彼女は、思いもよらないだろう。
今こうしている間にもーーーー勇者のそこは、滾っていると。
それも、言いようのない焦りが募り、焦りのせいで更に血は巡り。
座るだけでも辛いほど、硬く張ってしまっていると。
隣女王「……陛下、顔色が……」
勇者「気にしないでくれ。気分が悪い訳じゃない」
326 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/08(水) 03:29:37.68 ID:8YmLQ3f/o
ほんの一年。
最後にあった日から数えて、三~四カ月のはずだ。
なのに隣女王は、既に、“最初”に会った時と変わらぬ見た目に成長していた。
背は伸び、顔つきから幼さは抜け始める。
膨らみの残っていた腹部にはくびれができて、切れ込ませたような臍を露わに見せる服装を見事に着こなす。
砂漠の王族のような膨らんだふくらはぎまでのズボンに隠れてはいるがーーーー脚も、ほっそりと長いはずだ。
それは、隠れていないふくらはぎの半ばから足首までを見れば、容易に想像できる。
褐色の肌は冬を超えて少し濃くなり、香油を塗り込んだように艶々と水気を湛え、今にもこぼれ落ちそうな溌剌さを表す。
起伏の少ない胸、その先端のみを覆い隠すような胸の前で交差する二つの布だけが、彼女の上半身を覆う。
テーブル越しではそこから頭までしか見えないため、必然……視線は、彼女の顔に向く。
隣女王「陛下?」
勇者「あ……その、見違えたな。ずいぶんと変わったよ」
隣女王「そ、そんな……事はありませんよ」
羊毛のようなゆるく巻いた銀髪と、そこをかき分ける小さな“乳歯”のような角が、彼女を飾る。
同じく銀色の眉毛は細く整い、赤い虹彩にかかる長い銀睫にもまた隙が無い。
彼女はもうーーーー“淫魔”としての美貌を、手に入れていた。
327 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/08(水) 03:30:12.74 ID:8YmLQ3f/o
隣女王「早いもので……もう、陛下が即位なされてから一年になるのですね」
勇者「ああ、あっという間だった。……ただ、少し物足りなくもあるか」
隣女王「物足りない……と?」
勇者「命を狙われない。毒矢も受けない。魔法の火から身を隠したりもしない。襲撃に備えながら眠ったりもしない。少しだけ……寂しいかな」
隣女王「それは、その……お戯れ、ですよね?」
勇者「うん」
そんな冗談を挟むと、隣女王の緊張は少し緩んだようだった。
彼女の緊張は、王と会うから、以上のものがある。
その正体はーーーー恐らく、誰もが少女の時に出会うものだ。
ふと、隣女王が注がれた茶に手をつけていない事に気付く。
しかし、その目はちらちらと琥珀色の水面へ向けられていることにも。
察して、先に手をつけーーーーごくりと喉を鳴らして飲み込むと、隣女王も続いてカップを持ち上げた。
328 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/08(水) 03:30:47.77 ID:8YmLQ3f/o
隣女王「ところで、陛下……。近頃何かお変わりは?」
勇者「そりゃ、色々と変わるが……何か気になったのか?」
隣女王「……何か、そわそわとなされておいでに見えて……」
勇者「何でもないと言っただろ。……来てくれて嬉しいよ。疲れを癒すといい。後で浴場の準備もさせるから」
隣女王「その事ですが、今回も……陛下に、お願いしたい事があります」
勇者「何?」
隣女王「そ、そのですね……? この度も、陛下に……ご教授、頂きたいのですが……」
勇者「……待ってくれ、少し考える」
329 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/08(水) 03:31:29.89 ID:8YmLQ3f/o
冬に訪れた隣女王の目的は、人間の男の身体に慣れたい、という事だった。
サキュバスBを間に加えて過ごし、途中から異変が起きて、搾り殺される寸前までいった。
それ自体は予想外のアクシデントだったが、今回は違う事情がすでに起きている。
彼女の好奇心を抑える事は難しいが……説得をまず、試みた。
勇者「……そんなに、焦るような事でもないだろう?」
隣女王「いえ……こうしてお会いできる機会も少ないのですから。どうか、お願いいたします、私めに……どうか、陛下」
まっすぐに見つめてくる瞳は、淫魔としてのものではなくーーーー純粋な勉強熱心からに見えた。
探求心に蓋をする事などできないように、彼女はまっすぐに見つめる。
勇者「でも、だ……」
堕女神の報告を受けてから、妙に下半身への意識が強まった。
ともすれば、命の危機かもしれない。
それなのに依然硬いそこは、あと四百回以上の回数を残したままだ。
タイムリミットがあるとすれば、あと四日。
綱渡りをするような緊張感が、あの夜はあった。
それは、隣女王の本性を一度知っていたからだ。
彼女の種族は淫魔としてひどく獰猛で、相手の命を何とも思わずに搾る。
温厚で落ち着いた性格の隣女王ですらそうで、その他の者は尚悪い。
子供ならではの無邪気な残酷さのまま、彼女らの種族は男を喰らう。
そんな彼女に、もしこの病で治まらないモノを見せたら……どんな火がつくのか分からなかった。
勇者「……考えさせてくれ、夕食の後まで」
隣女王「はい……畏まりました」
隣女王もこれ以上説得は踏み切れないと判断したのか、引き下がる。
煙に撒いてはいない。
ただーーーー相談の時間が欲しかった。
堕女神と、サキュバスBと。
今のところは城内の者には口止めをしてあるから、この病の事が漏れる事はない。
明かすか、明かさないか。
それがーーーー目下の課題。
332 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/08(水) 03:37:30.38 ID:8YmLQ3f/o
今日はこれまで
繋ぎの場面を書きながらフルチャージ中です
明後日(2/9~2/10の間)はちょっと来れるか分からないと先に申しておきます
多分大丈夫だとは思うけど……
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/02/08(水) 07:11:21.73 ID:UbdCTeF7o
おつー
前サキュバスAのツケでやってた気がする
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/02/08(水) 14:59:02.73 ID:P5b/d5nJ0
隣女王とポチの組み合わせだとどっちが搾り尽くせるんだろう
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/02/08(水) 16:18:04.67 ID:0tBC/Bsm0
乙
諸刃の剣…
341 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/09(木) 03:20:51.12 ID:e+SxIie+o
*****
勇者「……という事なんだ。どう思う?」
執務室に呼びつけたサキュバスBと堕女神に、そう訊ねた。
サキュバスB「どう、って……別にいいんじゃないですかね?」
勇者「そうか……?」
堕女神「左手の紋章は隠し切れないでしょう。ならばいっそ正直に……とはいえ、全てを伝える訳には参りませんね」
サキュバスB「全て? ずっと勃ったまんまで、出すと減るんですよね。他に何かあるんですか?」
堕女神「……っ」
勇者「それをどう伝えるかだ。全て消したらどうなるのか、消せなかったらどうなるのか、
興味を持たれたらどう答えればいいんだ。こっちだって分からないのに」
うっかり……珍しく、本当にうっかり口を滑らせてしまった堕女神に助け船を出す。
こんな事も、初めてだった。
342 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/09(木) 03:21:23.80 ID:e+SxIie+o
サキュバスB「ちょっとしたチャレンジ中だって言えばいいじゃないですか?」
勇者「どんな?」
サキュバスB「えっと……“セックス強化週間”?」
勇者「……また社会的に抹殺される……」
堕女神「構わないではないですか。サキュバスAが言外に言い回ったせいで既に陛下は……」
勇者「言うな」
サキュバスB「いいじゃないですかー。精力の強い男の人ってステキですよ?」
勇者「強いられてんだよ! 今は!」
サキュバスB「それじゃ、堕女神様とサキュバスCちゃんとエッチしたのも楽しくなかったんですか?」
勇者「ぐっ……!」
343 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/09(木) 03:21:53.28 ID:e+SxIie+o
堕女神「ともかく、変に隠し立てすると逆に掘り下げられかねません」
サキュバスB「ええ、勃ててるのを隠すなんてできませんよね?」
堕女神「……そういう意味ではありませんが、そうですね、ハイ」
勇者「……分かったよ。“どれだけ短期間で五百回できるか”を試している最中という事にしよう。俺が変に思われるぐらい、どうだっていい」
サキュバスB「男前ですねー。お話しが終わったんなら、エッチします?」
勇者「今は真面目な話をしてただろ」
サキュバスB「これもマジメですよ? それにAちゃんとはしてたでしょ」
堕女神「……え?」
勇者「あれは……その」
堕女神「……構いませんよ。どの道、それは鎮めなければなりませんから」
サキュバスB「じゃあ……」
堕女神「今はだめです。じきに隣女王陛下が戻って参りますから」
344 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/09(木) 03:22:34.22 ID:e+SxIie+o
勇者「今はどこに?」
堕女神「庭園です。見て回っておいでのようです」
サキュバスB「そんなに見て回れるほど、珍しいモノありますかね?」
堕女神「貴女は毎日見ているからそう思うのです。……それで、陛下。隣女王陛下のご要望には」
勇者「今日はダメとも言えないだろう、前回応えたんだから」
堕女神「畏まりました、ではそのように。サキュバスB、この件については任せます、頼みましたよ。
……用意するものがあれば今言っていただけますか?」
サキュバスB「ありがとーございます! えっと……お風呂、かな」
堕女神「浴場?」
サキュバスB「お風呂だけでいいですよー。後はわたしが持ってきますから」
勇者「何をするんだ?」
サキュバスB「えへへ、それは秘密ですよー」
345 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/09(木) 03:23:00.17 ID:e+SxIie+o
*****
それからは、何という事も無い時間が過ぎた。
サキュバスBはごそごそと夕食を終えるまでの時間、姿を現さなかった。
ほんの数十分だけ隣女王と話していたのを見かけたものの、内容までは分からない。
隣女王の顔がわずかに赤かったのは、伝えられた内容によるものだとは思うが、
もともと隣女王は初心なので、予測の材料にはできない。
その間、空いた時間の隙間に堕女神との逢瀬、三回。
サキュバスA、一回。
聞きつけたメイドのサキュバス、四人にそれぞれ一回。
城の一角で隠れるようにする事になり……一度はあやうく隣女王に見つかりかけた。
隣女王と話している間にもサキュバスAは死角で口淫を止めず、こちら以上に、彼女自身がそのスリルを楽しんでいるように見えた。
もし見つかってしまったらーーーーと。
隣女王が去ってからサキュバスAの跪いていた場所を見れば、ぬめる液体で湿っていた。
346 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/09(木) 03:24:08.66 ID:e+SxIie+o
サキュバスA「んふっ……ドキドキ、しちゃいますわ。もし見つかったら……私、隣女王陛下にどんな目で見られてしまうのかしら、と」
勇者「本っ当に危ないな、お前……!」
サキュバスA「軽蔑? それともビックリするかしら? でも、陛下も……いつもより、いっぱい出ましたわよ?」
勇者「……そうなのか?」
サキュバスA「ええ。陛下の御射精の量は数十分の一滴単位で把握しておりますもの。味も……とっても、濃くて……」
勇者「覚えるなよ。というかよくそんな事ができるな」
サキュバスA「人間にも香りだけでワインの産地を当て、口に含むだけで銘柄を当てる者がおりますでしょう。
別に私が特別鋭い訳でもありませんわ」
勇者「なるほど」
サキュバスA「んふっ、さてご馳走様でした、陛下。今夜は頑張ってくださいね? そろそろ夕食ですよ。それではまた」
347 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/09(木) 03:24:40.19 ID:e+SxIie+o
*****
そして、いつもより心なしか精のつくような晩餐を終えて、今勇者は浴場で一心地ついていた。
相変わらずそれは滾ったままで……今やもう、慣れつつある。
前かがみに歩く煩わしさも、あまり感じないようになってしまった。
堕女神に脅されるようにされた報告も、彼女は不思議がっていた。
確かに勃起が続けばそこに重篤な異変を起こすが、それはもっと早くに起こるはずだと。
三日どころか、半日でそうなってしまう、と。
しかしそうならないのは……これもまた症状の一つなのだと結論づけるしかない。
ただでさえ鬱陶しく摩訶不思議な病気なのだから、考えるだけ無駄だ、と。
勇者「……何だ、この湯の色?」
今日の湯は、奇妙な薄いピンク色に透き通っていた。
数十人が一度に入れるような浴場は一面がピンク色で、ただでさえ幽玄な香りのする浴場が更に淫靡な空間に変わってしまっている。
勇者「いったい……何入れたらこんな色になるんだ?」
348 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/09(木) 03:25:39.08 ID:e+SxIie+o
湯船に浸かりながらそんな事をぼんやり考えていると、小さな足音が二つ、濡れた床面を蹴るのが聴こえた。
湯煙りの中に見えた人影も、ふたつ。
サキュバスB「お待たせしました、陛下ー! それじゃ、久しぶりに隣女王陛下と二人でご奉仕しますね」
隣女王「よ、よろしくお願いいたします……あの、お手柔らかに……」
首を捻って見ると、二人は揃いの肌着を着ていた。
昨日の朝にサキュバスBが着ていたような、足ぐりを深く切れ込ませた、上と下が一体となったつくりで伸び縮む、不可思議な繊維の肌着だ。
サキュバスBは、薄い桃色。
隣女王は、褐色の肌によく映える白色。
彼女はむしろ裸より恥ずかしいのか……ずっと胸と股間を隠したままで、俯き気味だ。
サキュバスB「ふふっ、隣女王陛下、似合ってますよねー? わたしからの贈り物なんですよ?」
隣女王「あ、あの……どうか、あまり見ないでくださいまし……陛下……」
今すぐにでも消えてしまいたいーーーーとでも言いたげな恥じ入る声は、むしろ誘惑だ。
あまり凝視するつもりもなかったのに、むしろ……釘付けにされてしまう。
サキュバスB「それじゃ、陛下。……すぐに準備しますからね。ちょっと待っててください!」
349 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/09(木) 03:27:59.95 ID:e+SxIie+o
今日の分投下終了です
無理やり? いいじゃねーか、丁寧にやってたらエロまで遠く回りくどくなるんだから!
そしてすみません、明日は来れなくなってしまった……
誰か会社にサキュバス30人ぐらい刺客で送り込んでくれたら俺も早く帰れるのに
それではまた明後日
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/02/09(木) 03:36:48.44 ID:M1Bdw6Ma0
刺客w
おつー
乙!
明後日まで全裸待機
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/02/09(木) 11:10:46.07 ID:wg+RiE4A0
なんやかんやでコッソリ三回いたしている堕女神ww
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/02/09(木) 16:21:32.08 ID:308amvRWO
乙乙
なんやかんや言いながらヤるこたぁヤってるのが微笑ましい
勇者「淫魔の国で風邪をひくとこうなる」
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