勇者「淫魔の国で過ごす日々」
Part6
137 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:17:37.80 ID:DOsBAHglo
遅くなってごめんよ
文句なら会社につけとくれ
そんでは、投下します
138 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:18:43.64 ID:DOsBAHglo
>>128から
勇者「……」
サキュバスC「……だんまりコいてんじゃねぇよ、アタシにだけこんな事言わせやがって……」
顔色は窺えない。
横の彼女を見れば、そっぽを向きながらがしがしと頭を掻いていた。
言ってしまった恥ずかしさと落ち着かなさを同居させた仕草は、気まずさをもたらしてしまったと錯覚しているようでもあった。
だがーーーー少なくともこちらは、気まずい気分ではない。
勇者「……俺は、楽しかったよ。お前が誘ってくれたおかげで、今夜は楽しかった」
サキュバスC「そうかよ。アタシはもう絶対誘わない」
勇者「何故そうなるんだ?」
サキュバスC「……ずっとだ。ずっと落ち着かねェ。クソッ……どうして人間はこんな事して平気なんだよ。心臓がもたねーよ……」
傍から見れば、滑稽なほど初心な仕草だろう。
首筋は紅潮し、汗の玉まで浮かんで見えた。
ぞわぞわと粟立つ感覚を抑えるように彼女はぎゅっと腕を組んで、堪えている。
139 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:19:23.76 ID:DOsBAHglo
時間にして、数秒ほどが経つ。
体感にしてそれよりもはるかに長い時を待った頃、勇者は、壁から身を離してサキュバスCの正面に立った。
勇者「……サキュバスC」
呼びかけると、彼女はゆっくりと、組んでいた腕を下ろしてこちらを向いた。
目線の行き場を見失ったのを誤魔化すように瞼をぎゅっと閉じーーーーそのあまりに顔を顰めるようにすら見える。
サキュバスC「……ンだよ」
紅潮した顔、その微かに震える唇へゆっくりと押し付ける。
触れた瞬間に彼女の身体がびくりと震え、前歯が唇へ強く当たるのを感じたが、それでも止めない。
140 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:19:51.95 ID:DOsBAHglo
雪の降る中を歩き続けた唇は、冷たかった。
当たった前歯もまた冷えていて、謂れのない罪悪感までもが顔を出した。
連れまわされたのはこちらなのに、それでも、何かの申し訳なさが胸中に根を張っていた。
その中にあっても、サキュバスCはおとなしかった。
舌を絡めてくる事もなく、唇を押し付けてくる事もなく、ただ、口づけを受け止めているだけだ。
サキュバスC「んっ……。う、ん……っ……!」
そうしていると、数秒もしないうちに彼女の身体が打ち震え、しかめられていた顔がほどけ、緩められていく。
離すと、サキュバスCは唇を震わせて言葉を紡いだ。
その言葉は、……サキュバスの誘惑とはかけ離れ、ヒト種の恋情の懇願の音色を奏でた。
サキュバスC「……アタシ、の……家。通りの……向こうだから……寄ってけよ」
141 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:20:55.32 ID:DOsBAHglo
ーーーーーーーー
通りの向かい、その奥まったところにある二階建ての、彼女の「別荘」へ着いた。
長く火の気のない部屋の空気が、外套を羽織っていてもなお肌を貫くように冷えていた。
思いのほかーーーー家の中は、片付いていた。
一階の台所には隣国産の香辛料が吊るされて、作業用テーブルの上には数冊の料理本が積まれているとともに、
浅い藤籠には瑞々しい果物が積まれている。
一目で見て分かる。
この台所は、「使っている」台所だ。
サキュバスC「くっそ、寒い……。酒が足りてねェ」
勇者「酒は体感温度を上げるだろうが、寒さ自体が変わる訳じゃないぞ。温感が鈍るから余計にまずい」
サキュバスC「うるっせェな、お勉強じゃねーんだよ……クソっ」
指先から発した紫炎でありったけの燭台、そして暖炉に火を灯して、彼女はテーブルの上から蒸留酒のビンを乱暴にひったくる。
ーーーーはずだった。
サキュバスC「わっ!?」
142 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:21:57.07 ID:DOsBAHglo
後ろから、彼女の身体を不意に横抱きに持ち上げる。
酒瓶に伸ばした手が空を掻き、空中に投げ出されたようにばたついた。
右腕で彼女の異なる二つの脚、その膝裏を持ち上げ、左手で肩を抱く。
想像していたよりも、重厚に見えた金属の右脚は重くはない。
その「中身」が無いから、抱き上げる分には、比重もさして変わらないように感じた。
サキュバスC「ばっ……! お、下ろせよコラ! アタシ、お……重い、だろ……!?」
勇者「いや、全然。何なら、このまま街を一周もできるがどうする?」
サキュバスC「ふ、ふざけんなバカ! ンな事したら、殺……」
勇者「……舌を噛むぞ」
言葉では彼女は抗議するが、決して暴れない。
体重を移動させて身体を可能な限り密着させ、しがみ付き、移動を阻害させないようにしていた。
抱き上げて歩いている間も、喚きはしても暴れはしない。
奥の部屋にあるベッドは、彼女一人分を横たえるには少し大きいが、二人分には狭い。
ゆっくりと尻から先に下ろして寝かせてやると、サキュバスCは、少し名残惜しげに、首に回していた腕を解いた。
143 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:22:56.86 ID:DOsBAHglo
顔を隠すように二の腕を持ち上げ、実った胸を大きく強調する寝姿を見下ろす。
手入れされた爪、磨かれた肌、梳かされた髪、下ろしたての服。
隙のない余所行きの装いが、今は寝乱れて、蝋燭の灯りに汗の玉を滲ませていた。
黄金に輝く真鍮の右脚にもゆらめく灯りが跳ね返り、それもまたどこか荘厳な空気をこの場へ差させる。
勇者「……いいのか?」
サキュバスC「……うん」
その時、サキュバスCが「右」の継ぎ目へ腕を伸ばしかけた。
見逃さずにその手を制して、ベッドへ押し付ける。
力はまったく入れていないのに、彼女は、またも素直にそのリードに応じた。
勇者「外さなくていい」
サキュバスC「でも、さ……」
勇者「……顔を見せてくれ」
144 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:23:43.24 ID:DOsBAHglo
ーーーー彼女がまくりあげるように上衣を脱ぐと、下から、弾むように二つの果実がまろび出てきた。
着痩せするのか、その肢体は決して堕女神やサキュバスAと比べても劣りはしない。
腰はくびれて薄く腹筋もついているが、魅惑的な均整を決して損なわせない。
ささやかなのぞき穴のように切れ込んだ臍、閉じ込められていた二つの乳房、
染み一つない薄い皮膚に覆われたデコルテから首、顎へのライン。
酔いしれた彼女の顔からは馴染みの露悪癖も失せて、月下の銀竜草のような触れがたい美しさだけが残る。
サキュバスC「んっ……!」
思い立ち、右手側、左の乳房に手を伸ばす。
乳房の下に潜り込ませるように肌を撫でると、中ほどの肋骨に触れているだけで、
疾走する馬蹄めいて早まる、心臓の鼓動が掌を打った。
サキュバスC「……だ、から……ヤベェ、つってんだろ……クソ」
勇者「大丈夫か? その……」
サキュバスC「……アタシが今死んだら、アンタの、せいだぞ」
145 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:24:10.50 ID:DOsBAHglo
蝋燭の一つが消えた。
ほんの少しだけ影が増えた部屋の中、手探りで彼女の身体を弄る。
サキュバスC「……! んっ!」
押し上げるように胸を蹂躙しながら、唇を塞ぐ。
差し入れた舌先に鏃めいた犬歯が触れ、かすかに血の味が沁みた。
感度が昂ぶり暴走し、ほんの少しの愛撫で跳ねてしまうようになっている。
そんな状態のサキュバスCの口に舌を差し入れるのは、ほんの少しだけ勇気が必要だった。
大猫の開いた顎に頭を預ける芸を思い起こしてしまい、微かに心中で苦笑すらしてしまうほどに。
左手は彼女の右手と絡み合い、互いの手が汗ばんでいくのをつぶさに感じる。
結んだ当初は氷のように冷えていた手も、今は巡った血が暖めていた。
サキュバスC「っ……も……脱がし、……て……!」
勇者「ああ、分かった。……動くなよ」
146 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:25:08.56 ID:DOsBAHglo
上半身を覆う衣服はすでに全て脱がせていた。
残っているのは短く作ったスカートと、その下着だけ。
まずはサイドのボタンを外し、噛み合わせの奇妙な金具へ手をかけ、引き下げる。
次いで下着の側面の紐を解くと、それは既に面積の狭い濡れた布でしかなくなってしまっていた。
サキュバスC「……やっぱ、外し……っ!? ちょ、オイ!」
生身の脚を担ぐように持ち上げ、大きく脚を開かせると、抗議の声が上がる。
霜の下りたような銀の初毛に彩られたそこへ左手を這わせた。
ぬるま湯を蕩かせ、擦り込んだかのように淫らに濡れている。
渇いている部分はもはやない。
多めに掬い取り、左手の指でぬちゃぬちゃと弄ぶと、指の間を細く糸が引いて垂れた。
サキュバスC「や、だ……見せんな、バカッ! 死ね、もう死ね!」
勇者「……あ、すまない」
図らずも、そうしていたのは彼女の鼻先十数センチ。
すこし意地の悪い事をしてしまったと感じて胸が僅かに痛んだが、彼女の顔を見ていると、満更でもなく見えた。
口ではそう言っていても、どこかーーーーそんなやり取りを楽しんでいるような、照れ隠しの意図が透ける。
147 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:26:18.61 ID:DOsBAHglo
勇者「もう、入れる……ぞ?」
サキュバスC「……さっさとしろ、クソッ……!」
憎まれ口を叩き、顔を背けたままの彼女の秘部に、押し当てる。
膣口に亀頭が触れた瞬間にびくんと震えて、潜り込ませるたび、二度、四度と彼女の身体が脈を打つ。
サキュバスC「ん…ぐっ……! もっと、ゆっくり……は、ぅっ……!」
彼女の舌は、少しずつ滑りを失っていく。
濡れた肉の襞を掻きわけて潜り込ませていくうちに、ひとつひとつと錠前のピンが解けるように、サキュバスCの身体のこわばりが解けた。
根元まで飲み込ませた時には、もう彼女は緩み、とろけてしまっていた。
目元は虚ろで、開きも閉じもしない口からは荒く不規則な息が吐かれる。
沈みこんだ乳輪の内側から、ぴんぴんと立った乳首の先端が顔を出す。
既に、意思を問う事はできない。
できる事はーーーー愛撫と、抽挿だけ。
148 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:27:05.48 ID:DOsBAHglo
ーーーーーーーー
サキュバスC「あ……ッ! い、いい……気持ち、いい……よぉ……!」
左脚を持ち上げたまま、奥までねじり込むように幾度も腰を打ち付ける。
ベッドの軋みが部屋に響き渡り、家そのものまでも揺らすように、鼻にかかった嬌声が響く。
両乳房の尖端は顔を出して、痛々しいほどに尖って、宙を刺す。
既に彼女に平素の態度はなく、残った翼を、尾を、巻き付けるようにして求めてくる。
耳の穴へ舌を差し入れ、耳朶を甘く噛み、きりきりと軽く歯軋りしてみせるとーーーーすぐに彼女は達した。
サキュバスC「くふっ……! やめ……! そんなとこ、汚……やぁぁぁっ!!」
裏返った声は高く、女性的な媚態をまとって耳を愉しませた。
余裕を失った彼女の声は、その全てが嗜虐心に火をつけるが、荒淫までには至らない。
首筋に口づけする度に、小さな絶頂が起こる。
唇を味わえば、べろべろと駄犬のように唇を嘗め回される。
甘えきった触れ方を示される度に埋まりっぱなしの陰茎は脈打ち、寸でで耐える。
それはもはや、サキュバスとの夜ではない。
彼女の望み通り。
「恋人」がそうするように、夜を過ごした。
149 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:27:32.34 ID:DOsBAHglo
****
どこまでも甘ったるく飾り立てた「一夜」を越えて目が覚めると、サキュバスCは、もう既に寝床を出ていた。
寝ぼけ眼のまま皺の寄ったシーツに手を伸ばすと、その体温の名残は消えかけている。
扉を隔てた向こう、隣室の食卓からは芳香が漂ってくる。
暖めたミルクと、焼きたてのパンと、脂の溶け出した肉の香り。
懐かしい「朝」の香りだ。
下を穿き、皺くちゃのシャツを羽織り、ろくにボタンも留めずにベッドから這い出ると、ちょうど彼女が卓につくところだった。
勇者「おはよう」
サキュバスC「…………オウ」
朝の挨拶を交わすも、彼女は素っ気なく目を逸らした。
顔を合わせた瞬間から彼女の顔には赤みが差して、分かりやすくのぼせて、口数も少ないままだ。
150 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:28:08.94 ID:DOsBAHglo
勇者「……どうしたんだ」
サキュバスC「…………別、に」
勇者「何を気にしてるんだ。耳を舐めてたらそれだけで軽くイッた事? 『ちゅー……して』ってせがんできた事か? それとも……」
サキュバスC「うるっせぇんだよ! さっさとメシ食って城帰れボケがッ!!」
びりびりと窓まで震える怒声も、今となっては迫力の欠片も無い。
昨晩の彼女の媚態は、全て思い出せるからだ。
勇者「悪かったよ。……すまん、調子に乗った」
サキュバスC「……アリガト、な」
勇者「……?」
その意外な言葉は、錯覚かと疑った。
151 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:28:44.46 ID:DOsBAHglo
サキュバスC「アタシの我が儘、聞いてくれてさ」
あくまで対面に座り、それでも目を合わせないまま、彼女は、彼女なりの感謝を述べていく。
飾り気も無く、敬う様子も無く、ただ自分の感じているままを並べていく、その口調で。
サキュバスC「……その、楽しかったよ。初めて……だったし」
彼女にとって、「初デート」は気に召すものだったらしい。
ミルクで口を潤しながら表情を見ていれば、不機嫌な様子はあまりない。
唇の端は結びきらないまま緩ませ、むすっとした表情にも締まりが無い。
サキュバスC「……ホラ、さっさと食って着替えろ。城まで送ってやんよ」
この三日は、実感の日々だった。
今、自分は『淫魔の国』の王である事。
労わってくれる者達がいる事。
そしてーーーーそれでも、自分はただひとりの『人間』でしかない事を。
一日目は淫魔に弄ばれ、掌で転がされた。
二日目は淫魔に労わられ、貪らされた。
三日目は淫魔に連れ出され、楽しまされた。
ーーーーーーそして恐らく四日目は「女神」に戒められる事を予感し、かすかに胃が縮んだ。
完
152 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:30:15.71 ID:DOsBAHglo
投下終了です
眠気に殺されそうなので、投下直後間髪入れずですが寝させていただきます
何やかやは起きてから……
それでは
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/25(金) 04:43:26.95 ID:Csak5Y3no
待ちわびたよ、乙です
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/25(金) 05:08:42.22 ID:R3cLdFqWo
おつです
178 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/27(日) 15:48:11.90 ID:7G+aFJT5o
何かと遅れて申し訳ない
とりあえず、予定していた投下分は終えましたので、今回のスレは年明けにHTML依頼を出します。
今回でスレ形式はいったん終わりにする事にします。
しばらくはpixivあたりへ引っ込んで、短編をいくつか書いていこうと思いました。
まとまった時間が取れなくなってしまいそうなので……。
まぁ、元々スレ形式に意味がないぐらい長く失踪はしていましたが……。
そういう訳ですので、別にお別れとかではないのでご安心ください。
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/27(日) 17:30:58.43 ID:tNoYBNBB0
堕女神編はお預けかー、、
おつー
180 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/27(日) 17:58:29.00 ID:7G+aFJT5o
あ、もう一度言いますが
「書き溜め」分は終わりました
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/27(日) 19:45:36.77 ID:tNoYBNBB0
結局このスレで続きくるってことでいいのかな?
楽しみ
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/28(月) 22:45:27.95 ID:tL7cAhAeo
マダカナー
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/29(火) 10:42:55.73 ID:vieu3BwnO
わっふるわっふる
187 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/30(水) 13:58:10.10 ID:wT5SA/sko
ちょっと一言だけ
正月にまた会いましょう
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/30(水) 13:58:40.02 ID:2A0fcS9lo
!?
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/30(水) 14:35:29.63 ID:8DWzGJRlO
!!!!!!!!
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/30(水) 16:18:09.56 ID:Hln5q7/mo
うい
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/30(水) 21:08:48.16 ID:NBUAE+ha0
堕女神様はよぉ…
遅くなってごめんよ
文句なら会社につけとくれ
そんでは、投下します
138 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:18:43.64 ID:DOsBAHglo
>>128から
勇者「……」
サキュバスC「……だんまりコいてんじゃねぇよ、アタシにだけこんな事言わせやがって……」
顔色は窺えない。
横の彼女を見れば、そっぽを向きながらがしがしと頭を掻いていた。
言ってしまった恥ずかしさと落ち着かなさを同居させた仕草は、気まずさをもたらしてしまったと錯覚しているようでもあった。
だがーーーー少なくともこちらは、気まずい気分ではない。
勇者「……俺は、楽しかったよ。お前が誘ってくれたおかげで、今夜は楽しかった」
サキュバスC「そうかよ。アタシはもう絶対誘わない」
勇者「何故そうなるんだ?」
サキュバスC「……ずっとだ。ずっと落ち着かねェ。クソッ……どうして人間はこんな事して平気なんだよ。心臓がもたねーよ……」
傍から見れば、滑稽なほど初心な仕草だろう。
首筋は紅潮し、汗の玉まで浮かんで見えた。
ぞわぞわと粟立つ感覚を抑えるように彼女はぎゅっと腕を組んで、堪えている。
139 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:19:23.76 ID:DOsBAHglo
時間にして、数秒ほどが経つ。
体感にしてそれよりもはるかに長い時を待った頃、勇者は、壁から身を離してサキュバスCの正面に立った。
勇者「……サキュバスC」
呼びかけると、彼女はゆっくりと、組んでいた腕を下ろしてこちらを向いた。
目線の行き場を見失ったのを誤魔化すように瞼をぎゅっと閉じーーーーそのあまりに顔を顰めるようにすら見える。
サキュバスC「……ンだよ」
紅潮した顔、その微かに震える唇へゆっくりと押し付ける。
触れた瞬間に彼女の身体がびくりと震え、前歯が唇へ強く当たるのを感じたが、それでも止めない。
140 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:19:51.95 ID:DOsBAHglo
雪の降る中を歩き続けた唇は、冷たかった。
当たった前歯もまた冷えていて、謂れのない罪悪感までもが顔を出した。
連れまわされたのはこちらなのに、それでも、何かの申し訳なさが胸中に根を張っていた。
その中にあっても、サキュバスCはおとなしかった。
舌を絡めてくる事もなく、唇を押し付けてくる事もなく、ただ、口づけを受け止めているだけだ。
サキュバスC「んっ……。う、ん……っ……!」
そうしていると、数秒もしないうちに彼女の身体が打ち震え、しかめられていた顔がほどけ、緩められていく。
離すと、サキュバスCは唇を震わせて言葉を紡いだ。
その言葉は、……サキュバスの誘惑とはかけ離れ、ヒト種の恋情の懇願の音色を奏でた。
サキュバスC「……アタシ、の……家。通りの……向こうだから……寄ってけよ」
141 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:20:55.32 ID:DOsBAHglo
ーーーーーーーー
通りの向かい、その奥まったところにある二階建ての、彼女の「別荘」へ着いた。
長く火の気のない部屋の空気が、外套を羽織っていてもなお肌を貫くように冷えていた。
思いのほかーーーー家の中は、片付いていた。
一階の台所には隣国産の香辛料が吊るされて、作業用テーブルの上には数冊の料理本が積まれているとともに、
浅い藤籠には瑞々しい果物が積まれている。
一目で見て分かる。
この台所は、「使っている」台所だ。
サキュバスC「くっそ、寒い……。酒が足りてねェ」
勇者「酒は体感温度を上げるだろうが、寒さ自体が変わる訳じゃないぞ。温感が鈍るから余計にまずい」
サキュバスC「うるっせェな、お勉強じゃねーんだよ……クソっ」
指先から発した紫炎でありったけの燭台、そして暖炉に火を灯して、彼女はテーブルの上から蒸留酒のビンを乱暴にひったくる。
ーーーーはずだった。
サキュバスC「わっ!?」
142 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:21:57.07 ID:DOsBAHglo
後ろから、彼女の身体を不意に横抱きに持ち上げる。
酒瓶に伸ばした手が空を掻き、空中に投げ出されたようにばたついた。
右腕で彼女の異なる二つの脚、その膝裏を持ち上げ、左手で肩を抱く。
想像していたよりも、重厚に見えた金属の右脚は重くはない。
その「中身」が無いから、抱き上げる分には、比重もさして変わらないように感じた。
サキュバスC「ばっ……! お、下ろせよコラ! アタシ、お……重い、だろ……!?」
勇者「いや、全然。何なら、このまま街を一周もできるがどうする?」
サキュバスC「ふ、ふざけんなバカ! ンな事したら、殺……」
勇者「……舌を噛むぞ」
言葉では彼女は抗議するが、決して暴れない。
体重を移動させて身体を可能な限り密着させ、しがみ付き、移動を阻害させないようにしていた。
抱き上げて歩いている間も、喚きはしても暴れはしない。
奥の部屋にあるベッドは、彼女一人分を横たえるには少し大きいが、二人分には狭い。
ゆっくりと尻から先に下ろして寝かせてやると、サキュバスCは、少し名残惜しげに、首に回していた腕を解いた。
143 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:22:56.86 ID:DOsBAHglo
顔を隠すように二の腕を持ち上げ、実った胸を大きく強調する寝姿を見下ろす。
手入れされた爪、磨かれた肌、梳かされた髪、下ろしたての服。
隙のない余所行きの装いが、今は寝乱れて、蝋燭の灯りに汗の玉を滲ませていた。
黄金に輝く真鍮の右脚にもゆらめく灯りが跳ね返り、それもまたどこか荘厳な空気をこの場へ差させる。
勇者「……いいのか?」
サキュバスC「……うん」
その時、サキュバスCが「右」の継ぎ目へ腕を伸ばしかけた。
見逃さずにその手を制して、ベッドへ押し付ける。
力はまったく入れていないのに、彼女は、またも素直にそのリードに応じた。
勇者「外さなくていい」
サキュバスC「でも、さ……」
勇者「……顔を見せてくれ」
144 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:23:43.24 ID:DOsBAHglo
ーーーー彼女がまくりあげるように上衣を脱ぐと、下から、弾むように二つの果実がまろび出てきた。
着痩せするのか、その肢体は決して堕女神やサキュバスAと比べても劣りはしない。
腰はくびれて薄く腹筋もついているが、魅惑的な均整を決して損なわせない。
ささやかなのぞき穴のように切れ込んだ臍、閉じ込められていた二つの乳房、
染み一つない薄い皮膚に覆われたデコルテから首、顎へのライン。
酔いしれた彼女の顔からは馴染みの露悪癖も失せて、月下の銀竜草のような触れがたい美しさだけが残る。
サキュバスC「んっ……!」
思い立ち、右手側、左の乳房に手を伸ばす。
乳房の下に潜り込ませるように肌を撫でると、中ほどの肋骨に触れているだけで、
疾走する馬蹄めいて早まる、心臓の鼓動が掌を打った。
サキュバスC「……だ、から……ヤベェ、つってんだろ……クソ」
勇者「大丈夫か? その……」
サキュバスC「……アタシが今死んだら、アンタの、せいだぞ」
145 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:24:10.50 ID:DOsBAHglo
蝋燭の一つが消えた。
ほんの少しだけ影が増えた部屋の中、手探りで彼女の身体を弄る。
サキュバスC「……! んっ!」
押し上げるように胸を蹂躙しながら、唇を塞ぐ。
差し入れた舌先に鏃めいた犬歯が触れ、かすかに血の味が沁みた。
感度が昂ぶり暴走し、ほんの少しの愛撫で跳ねてしまうようになっている。
そんな状態のサキュバスCの口に舌を差し入れるのは、ほんの少しだけ勇気が必要だった。
大猫の開いた顎に頭を預ける芸を思い起こしてしまい、微かに心中で苦笑すらしてしまうほどに。
左手は彼女の右手と絡み合い、互いの手が汗ばんでいくのをつぶさに感じる。
結んだ当初は氷のように冷えていた手も、今は巡った血が暖めていた。
サキュバスC「っ……も……脱がし、……て……!」
勇者「ああ、分かった。……動くなよ」
146 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:25:08.56 ID:DOsBAHglo
上半身を覆う衣服はすでに全て脱がせていた。
残っているのは短く作ったスカートと、その下着だけ。
まずはサイドのボタンを外し、噛み合わせの奇妙な金具へ手をかけ、引き下げる。
次いで下着の側面の紐を解くと、それは既に面積の狭い濡れた布でしかなくなってしまっていた。
サキュバスC「……やっぱ、外し……っ!? ちょ、オイ!」
生身の脚を担ぐように持ち上げ、大きく脚を開かせると、抗議の声が上がる。
霜の下りたような銀の初毛に彩られたそこへ左手を這わせた。
ぬるま湯を蕩かせ、擦り込んだかのように淫らに濡れている。
渇いている部分はもはやない。
多めに掬い取り、左手の指でぬちゃぬちゃと弄ぶと、指の間を細く糸が引いて垂れた。
サキュバスC「や、だ……見せんな、バカッ! 死ね、もう死ね!」
勇者「……あ、すまない」
図らずも、そうしていたのは彼女の鼻先十数センチ。
すこし意地の悪い事をしてしまったと感じて胸が僅かに痛んだが、彼女の顔を見ていると、満更でもなく見えた。
口ではそう言っていても、どこかーーーーそんなやり取りを楽しんでいるような、照れ隠しの意図が透ける。
147 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:26:18.61 ID:DOsBAHglo
勇者「もう、入れる……ぞ?」
サキュバスC「……さっさとしろ、クソッ……!」
憎まれ口を叩き、顔を背けたままの彼女の秘部に、押し当てる。
膣口に亀頭が触れた瞬間にびくんと震えて、潜り込ませるたび、二度、四度と彼女の身体が脈を打つ。
サキュバスC「ん…ぐっ……! もっと、ゆっくり……は、ぅっ……!」
彼女の舌は、少しずつ滑りを失っていく。
濡れた肉の襞を掻きわけて潜り込ませていくうちに、ひとつひとつと錠前のピンが解けるように、サキュバスCの身体のこわばりが解けた。
根元まで飲み込ませた時には、もう彼女は緩み、とろけてしまっていた。
目元は虚ろで、開きも閉じもしない口からは荒く不規則な息が吐かれる。
沈みこんだ乳輪の内側から、ぴんぴんと立った乳首の先端が顔を出す。
既に、意思を問う事はできない。
できる事はーーーー愛撫と、抽挿だけ。
148 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:27:05.48 ID:DOsBAHglo
ーーーーーーーー
サキュバスC「あ……ッ! い、いい……気持ち、いい……よぉ……!」
左脚を持ち上げたまま、奥までねじり込むように幾度も腰を打ち付ける。
ベッドの軋みが部屋に響き渡り、家そのものまでも揺らすように、鼻にかかった嬌声が響く。
両乳房の尖端は顔を出して、痛々しいほどに尖って、宙を刺す。
既に彼女に平素の態度はなく、残った翼を、尾を、巻き付けるようにして求めてくる。
耳の穴へ舌を差し入れ、耳朶を甘く噛み、きりきりと軽く歯軋りしてみせるとーーーーすぐに彼女は達した。
サキュバスC「くふっ……! やめ……! そんなとこ、汚……やぁぁぁっ!!」
裏返った声は高く、女性的な媚態をまとって耳を愉しませた。
余裕を失った彼女の声は、その全てが嗜虐心に火をつけるが、荒淫までには至らない。
首筋に口づけする度に、小さな絶頂が起こる。
唇を味わえば、べろべろと駄犬のように唇を嘗め回される。
甘えきった触れ方を示される度に埋まりっぱなしの陰茎は脈打ち、寸でで耐える。
それはもはや、サキュバスとの夜ではない。
彼女の望み通り。
「恋人」がそうするように、夜を過ごした。
149 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:27:32.34 ID:DOsBAHglo
****
どこまでも甘ったるく飾り立てた「一夜」を越えて目が覚めると、サキュバスCは、もう既に寝床を出ていた。
寝ぼけ眼のまま皺の寄ったシーツに手を伸ばすと、その体温の名残は消えかけている。
扉を隔てた向こう、隣室の食卓からは芳香が漂ってくる。
暖めたミルクと、焼きたてのパンと、脂の溶け出した肉の香り。
懐かしい「朝」の香りだ。
下を穿き、皺くちゃのシャツを羽織り、ろくにボタンも留めずにベッドから這い出ると、ちょうど彼女が卓につくところだった。
勇者「おはよう」
サキュバスC「…………オウ」
朝の挨拶を交わすも、彼女は素っ気なく目を逸らした。
顔を合わせた瞬間から彼女の顔には赤みが差して、分かりやすくのぼせて、口数も少ないままだ。
150 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:28:08.94 ID:DOsBAHglo
勇者「……どうしたんだ」
サキュバスC「…………別、に」
勇者「何を気にしてるんだ。耳を舐めてたらそれだけで軽くイッた事? 『ちゅー……して』ってせがんできた事か? それとも……」
サキュバスC「うるっせぇんだよ! さっさとメシ食って城帰れボケがッ!!」
びりびりと窓まで震える怒声も、今となっては迫力の欠片も無い。
昨晩の彼女の媚態は、全て思い出せるからだ。
勇者「悪かったよ。……すまん、調子に乗った」
サキュバスC「……アリガト、な」
勇者「……?」
その意外な言葉は、錯覚かと疑った。
151 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:28:44.46 ID:DOsBAHglo
サキュバスC「アタシの我が儘、聞いてくれてさ」
あくまで対面に座り、それでも目を合わせないまま、彼女は、彼女なりの感謝を述べていく。
飾り気も無く、敬う様子も無く、ただ自分の感じているままを並べていく、その口調で。
サキュバスC「……その、楽しかったよ。初めて……だったし」
彼女にとって、「初デート」は気に召すものだったらしい。
ミルクで口を潤しながら表情を見ていれば、不機嫌な様子はあまりない。
唇の端は結びきらないまま緩ませ、むすっとした表情にも締まりが無い。
サキュバスC「……ホラ、さっさと食って着替えろ。城まで送ってやんよ」
この三日は、実感の日々だった。
今、自分は『淫魔の国』の王である事。
労わってくれる者達がいる事。
そしてーーーーそれでも、自分はただひとりの『人間』でしかない事を。
一日目は淫魔に弄ばれ、掌で転がされた。
二日目は淫魔に労わられ、貪らされた。
三日目は淫魔に連れ出され、楽しまされた。
ーーーーーーそして恐らく四日目は「女神」に戒められる事を予感し、かすかに胃が縮んだ。
完
152 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/25(金) 04:30:15.71 ID:DOsBAHglo
投下終了です
眠気に殺されそうなので、投下直後間髪入れずですが寝させていただきます
何やかやは起きてから……
それでは
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/25(金) 04:43:26.95 ID:Csak5Y3no
待ちわびたよ、乙です
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/25(金) 05:08:42.22 ID:R3cLdFqWo
おつです
178 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/27(日) 15:48:11.90 ID:7G+aFJT5o
何かと遅れて申し訳ない
とりあえず、予定していた投下分は終えましたので、今回のスレは年明けにHTML依頼を出します。
今回でスレ形式はいったん終わりにする事にします。
しばらくはpixivあたりへ引っ込んで、短編をいくつか書いていこうと思いました。
まとまった時間が取れなくなってしまいそうなので……。
まぁ、元々スレ形式に意味がないぐらい長く失踪はしていましたが……。
そういう訳ですので、別にお別れとかではないのでご安心ください。
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/27(日) 17:30:58.43 ID:tNoYBNBB0
堕女神編はお預けかー、、
おつー
あ、もう一度言いますが
「書き溜め」分は終わりました
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/27(日) 19:45:36.77 ID:tNoYBNBB0
結局このスレで続きくるってことでいいのかな?
楽しみ
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/28(月) 22:45:27.95 ID:tL7cAhAeo
マダカナー
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/29(火) 10:42:55.73 ID:vieu3BwnO
わっふるわっふる
187 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/30(水) 13:58:10.10 ID:wT5SA/sko
ちょっと一言だけ
正月にまた会いましょう
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/30(水) 13:58:40.02 ID:2A0fcS9lo
!?
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/30(水) 14:35:29.63 ID:8DWzGJRlO
!!!!!!!!
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/30(水) 16:18:09.56 ID:Hln5q7/mo
うい
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/12/30(水) 21:08:48.16 ID:NBUAE+ha0
堕女神様はよぉ…
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