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勇者「淫魔の国で過ごす日々」

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Part1
1 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/20(日) 00:13:14.04 ID:OZ5mIP6Co
このスレは
魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1321/13213/1321385276.html
の後日談です。
時間軸としては
勇者「淫魔の国は白く染まった」
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1419/14194/1419450277.html
の数日後で、季節は冬です。

短編ひとつめ:サキュバスAと
短編ふたつめ:サキュバスBと
短編みっつめ:サキュバスCと

の三つを予定しています。
それでは、始めます。

2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/20(日) 00:14:43.35 ID:CtirEZD20
待ってました

3 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/20(日) 00:16:01.74 ID:OZ5mIP6Co
「ーーーーは、今ーーーーに浮かんでいるーーーー」
「吸ってー……吐いてー……ほら……体の力が、もっと抜ける……気持ちいいね……」
「お胸の空気、全部吐き出して……ゆっくりで大丈夫。ゆっくり……」
ーーーーーーーー
「……3」
「……2」
「……1」
「……ゼ、ロ」

4 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/20(日) 00:17:24.36 ID:OZ5mIP6Co
勇者「っ……うぁっ!?」
腰がグンと持ちあがるような強烈な浮遊感と、
下腹部から硬い熱が駆け抜けるような絶頂感とで眼が覚めた。
下着の中をぬめる温感が満たす不快な感触があり、
耳の奥が妙にこそばゆく、強烈な起き方をして心臓も早く打っているというのに、頭だけがぼうっとしていた。
状況の把握すらできないまま、起きて周囲を見回す。
室内を見渡し、その後にベッドの左側を見れば、サキュバスAが着衣のまま、にやにやと笑って添い寝をしていた。
サキュバスA「どうも、おはようございます、陛下?」
勇者「……お前、何かしたのか?」
サキュバスA「ええ。少々、夢精などをさせてみました」
勇者「何で!?」
サキュバスA「もはや愛撫も性技も不要、魔力すら不要。厳選された言葉と計算された韻律の囁き、
         唇の擦れ合う音だけで十分。これぞサキュバスの奥義、『催眠搾精』」

5 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/20(日) 00:19:01.08 ID:OZ5mIP6Co
勇者「変な技を使うな」
サキュバスA「さすがに爆発はさせられませんが、暴発ならさせてもいいか……と」
勇者「いや、何が?」
サキュバスA「ちなみに私、夢精誘導コンテストで五度ほど優勝しております。前立腺部門では二度ほど。お試しに?」
勇者「……とりあえず下着の替えをくれ」
サキュバスA「ちなみにこの技の欠点はですね、口に全く入らないものですから本当にただの悪ふざけにしか使えず……」
勇者「下着をよこせっつってんだろ!」
サキュバスA「大胆ですのね、陛下。分かりました、お望みとあらば……少々お待ちを」
勇者「お前のじゃない、脱ぐな。もういい、自分で探す」
朝からの疲れるやり取りに見切りをつけ、下着からもはみ出すような、
堪え難いぬちゃぬちゃとした感触を覚えながら下着を探す。
意外にも、替えの下着はすぐ脇のエンドテーブルに置いてあった。
拭うための人肌ほどの湯も汲んであり、振り返ると、彼女がまたも薄く微笑んだ。
察するに、サキュバスAは……起きてすぐの悪ふざけに付き合わせるつもりで、何もかもきちんと仕込んでいたのだ。
勇者「……せめて朝ぐらいは静かに起こしてくれ。頼むよ」
サキュバスA「検討しましょう」


6 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/20(日) 00:20:44.38 ID:OZ5mIP6Co
ーーーーーー
昨日、堕女神は所用のために城を離れた。
どうしても南方の執政官と、人間界への渡航について書類を交わさなければならなくなったという。
昨今までの自粛したムードから一点、その南の街に住む、特に精力に飢えた人外種の淫魔達からの声が無視できなくなった。
獣人型、半植物型、そういった荒っぽい者達がどうしても人類の精気にありつきたいと言って聞かないという。
中には「国王のをよこせ」と言う声まで上がり、過熱を抑えるため、恐らくは人間界への渡航を限定的に許可する事になる。
その為の書状を作成するため、堕女神は南の街へと向かった。
ともあれ、そういった事情でーーーー数日は、この城に堕女神はいない。
そしてその間の代役は、サキュバスAが務める事になった……と聞いた。

7 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/20(日) 00:21:25.12 ID:OZ5mIP6Co
朝食のメニューは、生姜を使ったブレッドを中心にした、軽めのものだった。
堕女神が供するものとは違っていても、そのどれもが美味。
香辛料を効かせたスープは、特に冬の朝の身体を温めてくれるようだ。
サキュバスA「お口に合いまして? 陛下」
勇者「ああ、美味かった。……で、今日は何かする事あるのか?」
サキュバスA「彼女から伝言を預かっておりまして」
勇者「何て?」
サキュバスA「『節度ある生活を送らせよ』と」
勇者「……淫魔の国で言う事か?」
サキュバスA「陛下が抜けだして下町の酒場に繰り出したのをまだ根に持っていらっしゃるのね……」
ほんの少し前、インキュバスが城へ迷い込む騒動の前になる。
消灯後にどうしても小腹が空いて、寝室の窓から十メートル近くを飛び降りて城下町の酒場へ出かけていった。
そこでエールとホットワイン、肉料理に舌鼓を打って夜が明ける前に帰ったのだが、
うっかりと口を滑らせて堕女神の知るところとなってしまった。
その時は謝って済んだと考えたが……今になり、効いてきてしまった。

8 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/20(日) 00:22:34.77 ID:OZ5mIP6Co
勇者「……だめ?」
サキュバスA「陛下に何かあれば一大事です。私としても陛下一人での行動は看過できませんわ。ですので」
そこで彼女は言葉を切り、したり顔で指をぴんと立てて名案でも連ねるかのように。
サキュバスA「今後は誰かとご一緒しましょう。私でもサキュバスBでも堕女神様でも。
         何ならCを呼んでもよし。……まぁ、陛下に狼藉を働く者などいないでしょうが」
勇者「そう来たか……」
サキュバスA「恐らくですが、堕女神様もどちらかと言えば、『一緒に行きたかった』という方の意味でしょうし。うん、そうしましょう」
勇者「……分かった。で、今日は」
サキュバスA「特にする事もありませんわねー。本日は終日雪の模様ですから、外出もおすすめできません」
食後の茶を一口啜り込み、食堂の窓の外へ視線を移す。
白く曇った窓硝子、それを隔ててなお影が視認できるほどの大粒の雪が舞い落ちている。
それでも、出かけるのは別に億劫ではない。
火花の雨降る機械都市、眼下に溶岩が流れる火山の洞窟、凍てつく風の吹き荒れる氷点下の霊峰、天地を見失うほど荒れた魔の海。
かつて旅したそれらの場所に比べれば、まるで晴天と言っても差し支えはないほどだ。

9 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/20(日) 00:24:57.24 ID:OZ5mIP6Co
勇者「……久々に、指すか?」
そう提案すると、サキュバスAは唇をかすかに歪めて笑った。
この世界に来た時に一度教わり、それから暇を見つけてもう二局。
彼女と「淫魔のチェス」を指したのは、計三回。
勇者自身も特に腕に覚えは無いが、彼女もそれほど長じてはいない。
こちらに華を持たせようとしている様子もなく、意外にも彼女とは互角だ。
サキュバスA「ええ。……せっかくですし、一局。それでは……しばし休まれた後、書斎にて」
勇者「分かった。適当に城をぶらついてから向かうよ」
サキュバスA「はい。……時に、陛下。日が沈んでからはいかがいたします?」
勇者「いかが、って何が?」
サキュバスA「お風呂『で』なさいますか? 食事しながら? それとも、私?」
勇者「選択肢が無いぞ!」
サキュバスA「シチュエーションは違いますわよ。ここでセーブしておくことを強く勧めます」
勇者「……まぁ、後で」

10 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/20(日) 00:26:01.94 ID:OZ5mIP6Co
しばし、朝食を済ませて城内を巡る。
思えば、これは初めての事だ。
かつての七日に始まって、季節の移ろいが人間界と同じとすれば、春頃にこの国へ来た。
そこから夏、秋と過ぎて冬の今、城にいる時はこれまで堕女神がいた。
しばらくの間、堕女神は傍にいない。
寂しさより、彼女の無事を願う心より、その意外さが今は強い。
彼女のいない間、この城ではどういう生活が送られるのか。
ちょっとした非日常の高揚感が、確かに湧きたっていたのだ。
朝食が腹に落ち着いた頃、書斎へとたどり着いた。
黒く艶やかな木製の扉を開くと、そこはやや小さく作られた部屋で、寝室より僅かに狭い。
城の内側にある、淫魔の国の全ての発行物と記録が収められた広大な書庫とは違い、
この書斎にはごく最近の書物と記録、報告書類が収められている。
ここに収められているのは、せいぜいが三年前までのものだ。
何かしようとするたびに大書庫へ出入りする手間を省くための、いわば暫定的な場でもある。
チェスを指すのならサロンも悪くは無いが、この書斎も捨てがたいものがある。
埃っぽくも落ち着いた静謐な空気、真新しい紙とインクの匂い、採光用の窓から差す、暖かな光。
思考を巡らせ、競わせるにはうってつけだ。

11 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/20(日) 00:26:58.40 ID:OZ5mIP6Co
サキュバスA「……お待ちしておりましたわ、陛下」
書斎の中央にある大机には、すでにサキュバスAがついていた。
机の上には、駒無しのゲーム盤がある。
仕草で促されるままに対面の席につき、互いに盤面に手をかざし、唱える。
勇者「……白」
サキュバスA「黒。淫魔の進軍」
それだけで、互いの陣地二列をそれぞれ光と影とが覆い、晴れた頃には「駒」が出現していた。
勇者が選んだ白の駒は、かつてのものとはかすかに違っていた。
前列には盾と剣とを携えた女性の歩兵。
後列両端には、従来のルークの姿を残した見張り塔と、その上に陣取る、豆のような小ささの女弓兵、恐らくエルフ。
その内側のナイトは、前回と同じく女騎士だった。
続いてビショップはシスター、クイーンは威厳ある女王、キングは整った顔立ちの男装の麗人と、これも同じ。

12 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/20(日) 00:27:54.25 ID:OZ5mIP6Co
勇者「……前のと違うな?」
サキュバスA「ええ。この中央ではなく、西方で用いられているタイプです。私もこれを使うのは久々で、新鮮ですわね」
勇者「なるほど。……で、そっちのは……」
黒の駒、その前列はすべて山賊。
山猿のような饐えた薄汚さとむき出しの野蛮さをそれぞれに宿し、
手には片手斧、棍棒、投げ縄と、こちらの陣に比べて知能が数段落ちるとしか思えない武装を携えていた。
黒の後列端は緑色をした半透明の液状生物、スライム。
内側のナイトは半人半馬の亡霊の騎士で、その身体の周りを人魂が舞い踊り、ひょろりと長い亡霊の腕が出現しては、蠢き、消える。
ビショップは人間の司祭の姿をしているが、山賊たちとはまた別種の嫌な空気をまとい、好色そのものの舌なめずりが止まない。
クイーンはサキュバスの姿そのままなのは、このチェスが淫魔の戯れである事として最低限のルールなのかもしれない。
そして、「キング」はーーーー

13 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/20(日) 00:28:41.07 ID:OZ5mIP6Co
勇者「……俺、か」
黒の「王」は、勇者自身の姿をしていた。
だがその佇まいは、野蛮さや邪悪さはまとっていない。
いつもの服装に外套を引っ掛けて剣を帯びた、ありのままの姿で。
サキュバスA「ええ。……私の『王』は、あなたの姿以外は考えられませんわ?」
勇者「思えば、初めての一局。お前が黒だったら、何の姿になっていたんだろうな」
このチェスでは、黒のキングは、指す者が心に描く「王」の姿を映す。
勇者が初めて差した時には黒を選んでいたから、「勇者」自身の姿になった。
あの時は、クイーンを……サキュバスを取られたく、なかった。
淫魔の国の王として。
彼女らとともに歩むことを誓った者として、絶対に。
サキュバスを守り王を差し出す一手を指すと、彼女は微笑み、負けを認めて自軍の王を盤外へつまみ出したのだ。
次の二局目ではサキュバスAが黒を選び、その時には今と同じく、勇者の姿になっていた。
サキュバスA「さて。……もしかするとあの時でも、既に貴方を認めていたやも。今となっては私にも……。ふふっ」
勇者「相変わらず掴めないな、お前は」

14 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/20(日) 00:30:21.19 ID:OZ5mIP6Co
サキュバスA「影、猫、闇夜の蝙蝠、淫靡な嘘。サキュバスはそういった概念と切り離せないものでしてよ?」
勇者「その割には、チェスの腕は……単純な俺と互角じゃないか」
サキュバスA「捻くれた性質の者は、案外に真っ直ぐな殿方に弱いものですわ。これもまた通説でしてよ」
勇者「……俺が淫魔の国でやれているのも、そんな理由なのかな」
サキュバスA「ええ、恐らく。……ねぇ、陛下。面白い事を教えて差し上げましょうか?」
勇者「?」
話している間にも、盤面は交互に進んでいく。
まだどちらの駒も減ってはいない。
恐らく、数手先で最初のポーンが消える。
そうなれば、凌辱の寸劇が始まって……十分ほどゲームが止まるのだ。
サキュバスA「サキュバスは、『魔眼』を退化させていますのよ」
勇者「何だって?」
サキュバスA「私たちが元来持っていた、相手を魅了する魔眼の力。これは世代を重ねるごとに顕著に弱まっておりまして、
         すでにサキュバスBは『魔眼』を使えません」

15 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/20(日) 00:31:49.06 ID:OZ5mIP6Co
勇者「えっ……!?」
サキュバスA「陛下が相手だから使わないのではなく。あの子は、『魔眼』を持っていない。恐らくこれからも体得する事はありません」
その時、サキュバスAが手を下ろし、椅子に深く腰掛け、腕を組む。
話の内容に反して、彼女の顔に沈痛さはなくーーーーむしろ、微笑んでいた。
サキュバスA「……というより、使っていないから退化した。種族全体で、使う必要が無くなってしまったからです」
勇者「必要が無い、って……どういう事なんだ?」
サキュバスA「殿方を誘うのに、わざわざ魔眼で魅了する必要もありませんわ。ほんの少し素振りを見せればよし」
勇者「む……」
サキュバスA「魔眼を使うまでもない、というコトです。特に殿方に対してはね」
勇者「……耳が痛い。盤外戦術だろ、これは?」
サキュバスA「あら、今更お気づきに? はい、ポーンをお一つ頂戴。凌辱開始ですわよ」
勇者「あぁもう……真面目に聞いた!」

16 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/20(日) 00:32:32.77 ID:OZ5mIP6Co
ーーーーーーーー
盤面の上で、山賊が栗毛の女兵士を嬲る。
剛毛に覆われた指が兵士の胸甲をはぎ取り、欠けた短剣がインナーを裂き、最後の一枚までも布きれとして虚空へ舞わせる。
生まれたままの姿に剥かれ、かろうじて脚甲だけを残した姿は、山賊の嗜虐心を大きく滾らせた。
なおも反抗的な目をした彼女の首へ、彼女から奪い取った長剣をひたりと当てる。
それだけで彼女はさぁっと青ざめ、とたんに、全身を震わせながら山賊を見上げた。
女兵士は、山賊に顎で示されるままに跪き、四つん這いで進んで、毛皮の腰蓑を脱がせた。
間近で見る逸物はすでに硬度を上げている。
彼女は、やがて……首筋に剣を這わせられながら、垢の浮いた逸物へ、たどたどしい奉仕を始めた。
ーーーーーーーー

17 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/20(日) 00:33:31.91 ID:OZ5mIP6Co
勇者「…………」
醍醐味、と言われてもーーーーあまり見ていたいものではない。
追加ルールを勝手に宣誓されてしまったから、仕方のない事ではあっても。
特に、朝から大量の夢精をしてその気が萎えてしまった昼の今では、興奮にすら繋がらないのだ。
とはいえ仕方無く盤面を見ていて、視線を持ち上げると不意に気付く。
対面に座っていたサキュバスAが、いない。
勇者「? おい、サキュバスA?」
サキュバスA「ふふ……ここ、ですわ。陛下」
声は、テーブルの下から聴こえた。
勇者「おい、何のつも……おい!」
既にその指先は、ズボンの上から股間をなぞっていた。
ステッチに沿って這いあがるようにしなやかな指先が蠢き、整えられた爪が二枚の布越しに睾丸をくりくりと撫でた。
たったそれだけなのにーーーー睾丸から下腹部までを、ぞくりとするような艶気が走り抜ける。
サキュバスA「ふふっ……『おやつ』の時間ですわ。まずお先に、私がいただきます」

18 : ◆1UOAiS.xYWtC:2015/12/20(日) 00:35:16.14 ID:OZ5mIP6Co
三秒までを数える間もなく、股間に、外気の涼しさと、糖蜜の蒸気にも似た甘ったるい熱を覚える。
さながら熟達の盗賊の解錠が如く、ベルトが外され、留め具が外され、
ズボンと下着が太ももの半ばまで引き下ろされる。
淫魔の早業は、その事実に気付く事さえも遅らせてしまった。
サキュバスA「あら……。朝は少々やり過ぎてしまいましたわね? でも、大丈夫。私に任せて……」
微かに血流を増した自身の、その先端に吐息がかけられた。
当たり前の話、亀頭の粘膜に味蕾も嗅覚も備わっているはずがない。
なのにーーーー亀頭に感じたその吐息からは、茉莉花にも似た香りと、砂糖菓子のような甘さを覚えた。
ペニスが、味覚と嗅覚、触覚。
五つのうちの三つの感覚を無理やりに備えさせられてしまったような。
淫魔の魔技によって、つくり変えられてしまったような。
これはーーーー。
勇者「お前……、『魔眼』を使ったな? いつ?」
サキュバスA「ふふふ。『私は』使えないなんて申しましたか? もっとも、私のは魅了するタイプのものではありませんわ。
       相手の感覚器に作用して、感覚の種類も、感度も自在のままにしてしまうのです」

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