勇者「真夏の昼の淫魔の国」
Part9
289 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/11(水) 02:34:23.83 ID:+kMTB924o
とうに日の落ちた林の中に、様々な虫たちの声が響き渡った。
轡を鳴らすような声、鈴を揺らすような声、それは、あのローパーが訪れる前とは違っていた。
風は、冷たかった。
雨で冷えて日が落ちたせいもあるかもしれないが、質そのものが違う。
それは、『夏』の風ではない。
「……『さっさと終われ』と思っていても。『終わり』は寂しいな」
もう、『暑く』はならない。
うだるような暑気は去り、突き刺すような日差しも去り、温ま湯をかけるような風も去る。
多少の残暑はあるのだろうが、恐らく頂点は越した。
『夏』が終わり、『秋』が来る。
すっかりと暮れた空の下、少し荒れた果樹園に背を向け、『馬』の待つ納屋へ戻る。
ポケットの中には、あの地図と『卵』。
おかしな事に、その二つは結びついていたものだという実感がある。
鍵もついていない扉を押し開けると、藁の上に――――裸の少女が寝ていた。
「お……っ!?」
「……ん。うるさい」
「何だその姿。夢の中限定じゃなかったのか!」
「いつでもできる。……弱ったり、疲れても……こう、なる」
少女――――ナイトメアの変身態が起き上がると、柔らかそうな白金の髪から藁が舞い落ちた。
290 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/11(水) 02:35:29.87 ID:+kMTB924o
「王さま。そろそろ、帰る……か?」
「その予定だが……どうかな。彼女を一人置いていくのが、心配だな」
「コマす?」
「なんでそこだけ流暢」
「いちおう、淫魔、だから」
「あぁ、そう……。今日から寒くなる。その姿なら、家に入れるだろ。一緒に寝るか?」
「いや。寒くない。ここがいい。……藁の匂い。落ち着く」
言うと、ぼふっ、と藁山の上に身を投げ出した。
まるでベッドの上に飛び込む少女のようで、微笑ましくもあった。
――――藁山の沈み具合さえなければ、だが。
姿を人に変えてはいるが、重さは『馬』のままだ。
寝返りを打つだけで、人など圧殺できてしまう。
「……王さま」
「ん?」
藁に顔を押し付けたまま、ナイトメアに呼びかけられた。
「たのしかった。……お城の外、出るの。……すごく、たのし、かった。……ありがと」
「……ああ、俺も楽しかった。ありがとう」
「また、どこか、行くとき……乗って、くれる?」
「もちろん」
「そっか。……役に立てて、うれしい。すごくうれしい」
「……ごめん。怖い目に遭わせてしまったよな」
「だいじょうぶ。わたし、飛べるから」
つい――――聞き漏らしてしまいそうだった言葉は、聞き捨てならないものでもあった。
「は……?」
「……翼、出すのがおそかった。だから、ちょっとだけ……ケガ、した」
291 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/11(水) 02:36:52.53 ID:+kMTB924o
藁山の上で足をばたばたさせて、そんな事を口走る。
思わずあんぐりと口が開いてしまい――――すぐに、疑問が飛び出た。
「待てよ、飛べるんならなんで走る」
「だって……王さま、『飛べ』っていわなかった。だから」
「馬に『飛べ』なんて命令するかっ!」
「……常識、よくない。捨てなきゃ」
「『地面に潜れ』って言ったらできるのか」
「できるわけない」
「……泳げる?」
「水の上なら、走れる。がんばる。あと、……光線、ちょっとだけ吐ける」
「『淫魔の常識』は非常識すぎる。……努力するよ」
「がんばって」
「…………うん。頑張る」
「よろしい。……それじゃ、おやすみなさい」
「……ああ、おやすみ」
どうにも釈然としない気分を残して、納屋を出る。
振り返った時には――――もう、『少女』はいない。
藁の上に寝そべる、白金の牝馬がいるだけだった。
312 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/12(木) 03:06:59.98 ID:88AhXJAHo
****
夜も更けて、居間で毛布に包まりながらポケットの中身を漁る。
窓から差し込むわずかな月明かりで照らすと、それは妙に鮮明に見えた。
「……どう繋がるんだ。…………誰か、コイツの言葉が分かる奴でもいればな」
死斑のような色合いの『卵』はほのかに暖かく、確かな存在感を発していた。
襲いかかってきておきながら、今はもう何も敵意に類するものはない。
余力を残しておきながら、よもや降伏でもなく。
表情も発声器官も無い『ローパー』が何を考えているかなど、分かるはずもなかった。
ナイトメアに見せてみる気にもなれない。
「……おかしな気分だよ、まったく」
ポケットに再び戻しながら、今度は『城』を思い浮かべる。
ここにやって来た時には、まるで、『帰ってきた』ような安堵感まで覚えていたのに。
今この瞬間となっては――――その逆にある。
何となくそんな気分を誤魔化すように、サキュバスCの様子を見に行く事にした。
そう広くもない家で、食卓と台所を兼ねた居間に寝室、物置、といった構成だ。
居間から十歩も歩けば、すぐに辿り着く。
そこには鍵も扉もなく、戸口からすぐにベッドが見えた。
まず、耳をそばだてて戸口から様子を探る。
聴こえるのは寝息と、窓の向こうからの虫の声。
次いで覗き込む。
313 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/12(木) 03:08:01.17 ID:88AhXJAHo
『右脚』のない彼女は、とても小さく見えた。
戸口に背を向け、毛布に包まって眠る姿は小さくて、今にも折れてしまいそうだった。
窓辺のテーブルに置かれた『脚甲』は青白い月光に煌めき、夜の海のように光っている。
「……オイ。いるんだろ」
「!」
あちらを向いたままの彼女から、声をかけられた。
別に気配を隠してはいなかったので、当然とも言えるが、察知されたようだ。
「……入って来なよ、『王様』」
軋みを上げる床板を踏みしめ、近づき――――ベッド脇の椅子を引き寄せて腰掛ける。
「……違う」
「何が?」
「…………部屋に、じゃねえよ。その……分かんだろ?」
「え……」
「……さみーんだよ。寒くて寝れねぇ。……それに、アンタが言った事じゃん」
数秒だけ逡巡して――――意を決して、靴を脱ぎ捨てて、言われたようにした。
ベッドに片膝を載せた時、彼女の身体がぴくりと震えたように見える。
近づけば近づくほど、更に、ぎゅっと縮こまっていくかのようだった。
手狭なベッドは、二人並んで寝るには窮屈だと思われたが予想したほどではない。
枕は取られているため、彼女の後ろ姿を見つめるように、腕を枕に横たわる。
314 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/12(木) 03:08:50.07 ID:88AhXJAHo
「アンタ、さ。元の世界に帰りたいな、って思った事ないの?」
「……ああ、思ったな。つい最近。ここ数日でね」
どこかしおらしくなった口調の問いに、正直に答える。
更に返ってきた言葉は、彼女のものとは思えないほど、弱い声色だった。
「……送ってやっても、いいんだよ。人間界にさ」
「それは……遠慮するよ」
「どうして?」
「俺は……帰る場所がある。そしてもう、人間界にはない。……それだけさ」
人間界への望郷は、ここで過ごした日々で満ち足りてしまった。
城に居たときに覚えたそれは、全て溶けていった。
そして、今思うのは。
――――――帰るべき場所の事。
「……あのさ。帰る前にさ……返して、いけよ」
「?」
「…………だ、だから……。アタシ、と……その……さ」
切れ切れの言葉が、繋がり切る前に。
手を伸ばして、毛布越しの彼女の身体を、後ろから抱き寄せた。
横向きに寝ていた彼女を引き倒し、仰向けにすると――――闇に慣れた目は、気恥ずかしそうな表情を捉えた。
噛み締めた下唇には八重歯が食い込み、今にも裂けて、血が流れ出しそうだ。
315 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/12(木) 03:09:22.56 ID:88AhXJAHo
「……アンタに、触られると……さ」
「俺に……?」
「ん。……脚、何も……感じなくなるんだ。ちゃんと。ちゃんと……無くなってくれるんだ。……痛く、なくなる」
「別に、何もしてないんだけどな」
「…………わかんねェよ。もう……わかんねェ。さっさと……触っ、て……」
サキュバスCが、毛布の中から握り締めていた手を解くと、毛布を下方へ下ろし始めた。
彼女は、許容の意思を見せた。
閉じ込めていた姿を――――見せてくれる、という。
毛布を下ろすと、彼女は左足でそれを追いやり、覆われていた裸身を晒してくれた。
質量を備えた乳房は重力でたわみ、その先端は――――見えなかった。
「アタシの……中に、引っ込んじまってんだ。……変、だよな……こんなの」
「いや」
指先で、乳頭のあるべき場所に触れる。
彼女の言った通り、内側に陥没してしまっているようで――――少し指先の力を強めれば、
内側に、確かにこりこりとしたものがある。
しばし、緊張を解すように乳房の先の色づきを撫で回していると、小さな喘ぎが漏れ聞こえ始めた。
316 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/12(木) 03:10:03.62 ID:88AhXJAHo
「っ……ん……ふぅ……!」
「……可愛いな。……すごく、可愛い」
「る、せぇ……! こっち、見んな……よぉ……!」
抗議とともに、サキュバスCは真っ赤になった顔を押さえて隠す。
がら空きになった胸を更に愛撫し、落ち込んだ乳頭を外から搾り出そうと引っ掻き、乳輪を摘む。
そのたび、しゃっくりのような声が漏れて、身体が跳ねて――――時おり、高い喘ぎに化けた。
覗かせかけた乳首の先端を爪で穿つように弄ぶと――――。
「んあ、あぁぁんっ……!」
淫悦の叫びが、手狭な寝室を震わせた。
「もうそろそろ、出てきそうだ」
両方の乳房を弄ぶうちに、彼女の内側に窪んだ乳首は硬くなり、下の秘部からはとろりと蜜が流れ落ちた。
そこで、一気に吸い寄せようと――――まず、右の乳房に口を寄せた。
ほんの少し汗の匂いが鼻腔をくすぐり、唇を通して、固ゆでした卵のような弾力が伝わる。
唇に隠した乳輪の中心にある、硬いものを舌で探し当てると――――強く、吸った。
317 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/12(木) 03:11:10.72 ID:88AhXJAHo
「あっ……か、ふ……ぅぅぅ……! そん、な……強く……!」
更に強く、強く吸うと――――彼女の背が反れて、段々と持ち上がる。
まるで乳房を掴んで持ち上げているようで、淫楽とはまた別の面白さまで覚えるほどだ。
――――やがて、乳輪の内からむくむくと、硬くしこった乳首が起き上がる。
そこで唇を離すと、ちゅぽっ、という音とともに唾液の糸を引きながら、彼女の体がベッドへ落ちて行った。
「……さて、次。もう片方残ってるな」
「えっ……!? ま、待て……よ……オイ……! やめ、やめろやめろ! やば、いって……ひゃぁぁっ!?」
要領を掴んだため、次に――――左の乳房へは、容赦なくかぶりつく。
「かっ……は……! 吸い、す……ぎぃ……!」
同時に、露わになった右の乳首を指先で引っかけながら、ゆっくりと揉み解す。
やや固めの手触りは、痛みを与えないようにするために神経を使う。
最初は表面を滑らせるように。
少しずつ、少しずつ馴らしながら力を加えて、律動を刻むように。
興が乗ってきたころに――――口の中に、ようやく左の突端の感触を捉えた。
318 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/12(木) 03:13:07.19 ID:88AhXJAHo
「は、ぁ……。くそ……! 赤んぼ、かよ……胸ばっか……!」
「でも、出てきたな。見えるか? こんなに硬くなってる」
きゅむっ、と両方の乳首を摘み上げる。
こりこりと弾力があり、まるでそれ自体が性器のように、尖り、昂っていた。
一しきり、その手触りを楽しみ、普段は毒づく彼女の甘い吐息を愉しむと。
次に、目指したのは――――下肢の付け根。
必然、腿から先を欠いた、彼女の右脚が目に入る。
膝上の十センチほどで欠損して、断面には皮が張っていた。
触れると、断ち切れた神経が奇妙にくすぐられるのか、彼女の喉が震えて、忍び笑いに似た声が漏れた。
「っ……ごめんな。綺麗な体、じゃなくてさ」
「……人間を、俺達の……もしかすると、俺の祖先を守ってくれたかもしれない体だ。綺麗じゃないわけが、ないじゃないか」
「……て、め……! ハズく、ねぇのか……んな、クセェ事言って……!」
「本心さ」
引き寄せられるように――先ほど彼女の乳首を引き出した唇を、右の腿へと寄せる。
貴婦人の手を取ってそうするように、右腿へ口づけする。
続けて、舌を這わせていくと、汗の味と、ほのかな金属の香りがした。
319 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/12(木) 03:14:04.53 ID:88AhXJAHo
「んっ……ん……! やめろっ……って……! そこ、……敏、か……きゃひっ!?」
腿を持ち上げ、裏側を嘗め上げると、仔犬のような喘ぎを発した。
千年の間閉じ込められていたそこは恐らく、感覚が昂って一種の性感帯になっていた。
ぺろりと嘗め上げ、唇で吸っているだけで、すぐ目の前にある秘所がひくひくと痙攣して蜜が漏れて、シーツに沁みを広げていった。
「……そろそろいいか?」
「えっ……は!? お、おい……! 早い、って……!」
「俺も、限界なんだよ。……その……可愛、すぎて……」
「っ……へ、変な事……言うな、テメ……! 死ね、もう……死ねっ……!」
「なら……君も道連れだ」
「や、っ……ちょ、待て……待って……!」
「?」
圧し掛かると、サキュバスCが両手を突っ張り、肩を押し留めた。
顔はこちらを見つめようとしては逸らし、視線は泳ぎ、落ち着きが無い。
やがて、彼女は――――声を震わせて言った。
「その……さ。千年、ぶり……なんだ。だから、さ……ぁ」
そこで溜めをつくり、開き直ったように、静かに言う。
「……いっぱい、いっぱい出さなきゃ……許さねぇ、からな」
320 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/12(木) 03:14:38.39 ID:88AhXJAHo
彼女は、ゆっくりと、誘うように、ゆっくりと身体を開いた。
星明りを照り返す夜の海にも似た、楚々とした『銀色』が、『淫魔』の中心を為す部位を囲っていた。
「…………早く、早く……。アンタので、壊しておくれよ。アタシの……痛み、さ」
月明かりに、彼女の潤んだ眼が見えた。
その懇願、否――――『求め』を受け取ると、ゆっくりと、彼女の割れ目に先端を押し付ける。
少し盛り上がった肉の反発は強く、蜜の滑りをともなってなお、それ以上の進入を拒むようだった。
それは恐らく、彼女の鍛えられた肉体のしなやかさと強靭さが、そうさせているのだろう。
「……少し……強く、いくぞ」
返事を待たずに、千年の『壁』へ吶喊するように、あえて、勢いをつけて止まらずに、彼女の『肉』を割り広げていく。
「んっ……あ、あぁぁぁ……! は、入って……!」
締め付けの強さは、『肉』の門だけではなく、その内側に至っても、そうだった。
ごり、ごり、という感触が強い。
湿り気は伴っていても、なお――――ぎこちなくて、荒い。
粘膜との摩擦より、暗闇の道中を削り落として無理やりに侵入しているようで、どちらかといえば凌辱しているような感覚がある。
321 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/12(木) 03:15:53.57 ID:88AhXJAHo
「……っ、痛く……ないか? 少し止める、か?」
ぎゅうぎゅうに締め付けられながら、およそ三分の二を埋め込んだところで、彼女へ問う。
枕の端を必死で握り締め、左足はこちらの太腿を強く挟み込み、痛みに耐えているようにも見えた。
やがて、少しして……ぎゅっと瞑られていた瞼がゆっくりと開き、こちらを見た。
「……ん。アタシ、なら……大丈夫。いいよ。アンタが、気持ちいいなら……アタシは、それでいいからさ」
サキュバスCがそう言い、僅かに口端を吊り上げて笑ってみせたのを皮切りに、動き始める。
引くにも、押すにも、ぎちぎちに絡みつく肉の襞の抵抗が強い。
こなれてはきても、どこか頑なで――――まるで、彼女の失った『脚』を補っていた、あの無骨な脚甲のようだった。
ゆっくりとした調子の抽挿を繰り返し、馴染ませながら――――身体を倒し、左腕を彼女の腰に差し入れ、浮かせる。
ただそれだけのつもりだったのに彼女の体は軽くて、上半身全体が、浮いた。
そのまま背を下から支えながら、覆いかぶさるように、肉を貪る人狼のように、彼女の乳房へかぶりつく。
前歯を立てて乳首を挟んだ拍子に、彼女の声が、甘い波濤になった。
「や、んっ……!」
322 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/12(木) 03:16:39.62 ID:88AhXJAHo
舌先を用いて転がし、音を立てて吸い、前歯で甘噛み、歯ぎしりに巻き込むように摩擦する。
その度彼女の背筋が反れ、引き攣り――――連動するように、下部の「繋がり」にも力が込められ、緩んだ時には一段ずつ、頑なな洞穴は柔らかな肉の襞へと変わっていった。
「っ……お、っぱ……い……ばっか……! で、出ねぇ……か、ら……!」
「ぷはっ……。でも……気持ちいいのか?」
「うるせぇ……。もう、……あの、さ。……あぁ、畜生……恥ずかしいな、クソッ」
赤面しながら、しどろもどろに言葉をつづけ――――不意に、ぐいっと頭を引き寄せられる。
すぐに、耳元に口が寄せられ――――
「……あ、アタシを……めちゃくちゃ、に……して…………よ……」
どこかで聞いたような、そんな――――哀願。
それを聞いた時、理性とは反して、腰が動き――――激しいストロークが、意思とはほぼ無関係に開始した。
323 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/12(木) 03:17:29.88 ID:88AhXJAHo
「あ゛ぁぁぁぁっ! す、凄……! なか、が……ぁ……!」
部屋に響き渡る、肉の破裂音と湿った摩擦音は――――もはや、窓を突き抜けているような気がした。
負けじと跳ね上がるサキュバスCの小さな体には汗の玉がびっしりと浮いて、揺らされる体に流れ、艶やかに光っている。
「い、いい……よぉ……! 突いて、突いてぇっ! もっとぉ……!」
熟して潰れた桃のような、崩壊を招くほどの甘みを帯びた声色は、これまでの彼女とは似ても似つかない。
嬌声は『サキュバス』の――――『夜』を貪る魔族、そのものだ。
「あ、あぅぅぅっ――――! い、イくっ……! イくぅぅっ……!」
絶頂を迎え――――彼女の膣内がぎゅぅっと収縮し、ぴくぴくとモノを甘く締めながら、痙攣する。
まだ一度も精を放っていないのに、彼女はこれで、四度目の絶頂となる。
まるで空白を埋め、再び、『淫魔』としての感覚を取り戻していくように――――激しく、彼女の身体は月に踊る。
「……ち、く……しょぉ……!」
絶頂の波をまた一度越え、ほんの少しだけ、彼女の意識が引き戻された。
「……なぁ。……そろそろ……出して、くれよ。焦らさないでさ……」
「……君が悪い。早すぎる」
「っ……うる、せぇよ……バカ。ほら、早く……」
悪戯心を出して抓るように、秘部がきゅっと締まった。
答えるかわりに、再び開始すると、彼女の生意気な口は、再びなりを潜めてしまう。
324 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/12(木) 03:17:59.48 ID:88AhXJAHo
もう、きつさ、硬さは無い。
鍛えられた下肢の肉が締め付けを生み出し、引き絞るような快感を『男』に届ける、魔性がある。
『淫魔』の肉の壺は、魔性。
溶け崩れるほどの快感をその内に宿した、魅惑にして禁断の果実。
楽園の果てに待つのは――――堕落。
やがて、サキュバスCの身体が、食虫花のように閉じていく。
左脚、尻尾、両腕で強く締められ、引きこまれ――――動きを奪われた。
「く、ぅ……! 出っ……!アタシの、中……いっぱい、に……して…!」
必死で絶頂を堪える彼女に、『五度目』が近づいた頃。
ようやく――――『精』が放たれ、瞬間、彼女の両目が輝きを放ち、その全てを体の奥から吸収した。
「っ……あ、あぁぁぁ――――――! 出、て……るぅ…………!」
どくどくと放つ精液は、子宮、卵巣……いや、その奥にある心臓にまで吸い取られていくように思えた。
サキュバスCの身体の周りに光の粒子が舞い、それは、呼吸するように少しずつ、彼女の身体へ収束し、浸透していく。
長い射精を終えて『自信』を引き抜くと、精液の糸は引かなかった。
あれほどの射精をしたのに、モノにまとわりついているのは、彼女の『蜜』だけ。
その理由は、考えずとも分かる。
全て。
全て――――彼女は、吸収してしまったからだ。
その直後、改めて――――仰向けのままの彼女に、抱き寄せられた。
とうに日の落ちた林の中に、様々な虫たちの声が響き渡った。
轡を鳴らすような声、鈴を揺らすような声、それは、あのローパーが訪れる前とは違っていた。
風は、冷たかった。
雨で冷えて日が落ちたせいもあるかもしれないが、質そのものが違う。
それは、『夏』の風ではない。
「……『さっさと終われ』と思っていても。『終わり』は寂しいな」
もう、『暑く』はならない。
うだるような暑気は去り、突き刺すような日差しも去り、温ま湯をかけるような風も去る。
多少の残暑はあるのだろうが、恐らく頂点は越した。
『夏』が終わり、『秋』が来る。
すっかりと暮れた空の下、少し荒れた果樹園に背を向け、『馬』の待つ納屋へ戻る。
ポケットの中には、あの地図と『卵』。
おかしな事に、その二つは結びついていたものだという実感がある。
鍵もついていない扉を押し開けると、藁の上に――――裸の少女が寝ていた。
「お……っ!?」
「……ん。うるさい」
「何だその姿。夢の中限定じゃなかったのか!」
「いつでもできる。……弱ったり、疲れても……こう、なる」
少女――――ナイトメアの変身態が起き上がると、柔らかそうな白金の髪から藁が舞い落ちた。
290 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/11(水) 02:35:29.87 ID:+kMTB924o
「王さま。そろそろ、帰る……か?」
「その予定だが……どうかな。彼女を一人置いていくのが、心配だな」
「コマす?」
「なんでそこだけ流暢」
「いちおう、淫魔、だから」
「あぁ、そう……。今日から寒くなる。その姿なら、家に入れるだろ。一緒に寝るか?」
「いや。寒くない。ここがいい。……藁の匂い。落ち着く」
言うと、ぼふっ、と藁山の上に身を投げ出した。
まるでベッドの上に飛び込む少女のようで、微笑ましくもあった。
――――藁山の沈み具合さえなければ、だが。
姿を人に変えてはいるが、重さは『馬』のままだ。
寝返りを打つだけで、人など圧殺できてしまう。
「……王さま」
「ん?」
藁に顔を押し付けたまま、ナイトメアに呼びかけられた。
「たのしかった。……お城の外、出るの。……すごく、たのし、かった。……ありがと」
「……ああ、俺も楽しかった。ありがとう」
「また、どこか、行くとき……乗って、くれる?」
「もちろん」
「そっか。……役に立てて、うれしい。すごくうれしい」
「……ごめん。怖い目に遭わせてしまったよな」
「だいじょうぶ。わたし、飛べるから」
つい――――聞き漏らしてしまいそうだった言葉は、聞き捨てならないものでもあった。
「は……?」
「……翼、出すのがおそかった。だから、ちょっとだけ……ケガ、した」
291 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/11(水) 02:36:52.53 ID:+kMTB924o
藁山の上で足をばたばたさせて、そんな事を口走る。
思わずあんぐりと口が開いてしまい――――すぐに、疑問が飛び出た。
「待てよ、飛べるんならなんで走る」
「だって……王さま、『飛べ』っていわなかった。だから」
「馬に『飛べ』なんて命令するかっ!」
「……常識、よくない。捨てなきゃ」
「『地面に潜れ』って言ったらできるのか」
「できるわけない」
「……泳げる?」
「水の上なら、走れる。がんばる。あと、……光線、ちょっとだけ吐ける」
「『淫魔の常識』は非常識すぎる。……努力するよ」
「がんばって」
「…………うん。頑張る」
「よろしい。……それじゃ、おやすみなさい」
「……ああ、おやすみ」
どうにも釈然としない気分を残して、納屋を出る。
振り返った時には――――もう、『少女』はいない。
藁の上に寝そべる、白金の牝馬がいるだけだった。
312 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/12(木) 03:06:59.98 ID:88AhXJAHo
****
夜も更けて、居間で毛布に包まりながらポケットの中身を漁る。
窓から差し込むわずかな月明かりで照らすと、それは妙に鮮明に見えた。
「……どう繋がるんだ。…………誰か、コイツの言葉が分かる奴でもいればな」
死斑のような色合いの『卵』はほのかに暖かく、確かな存在感を発していた。
襲いかかってきておきながら、今はもう何も敵意に類するものはない。
余力を残しておきながら、よもや降伏でもなく。
表情も発声器官も無い『ローパー』が何を考えているかなど、分かるはずもなかった。
ナイトメアに見せてみる気にもなれない。
「……おかしな気分だよ、まったく」
ポケットに再び戻しながら、今度は『城』を思い浮かべる。
ここにやって来た時には、まるで、『帰ってきた』ような安堵感まで覚えていたのに。
今この瞬間となっては――――その逆にある。
何となくそんな気分を誤魔化すように、サキュバスCの様子を見に行く事にした。
そう広くもない家で、食卓と台所を兼ねた居間に寝室、物置、といった構成だ。
居間から十歩も歩けば、すぐに辿り着く。
そこには鍵も扉もなく、戸口からすぐにベッドが見えた。
まず、耳をそばだてて戸口から様子を探る。
聴こえるのは寝息と、窓の向こうからの虫の声。
次いで覗き込む。
313 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/12(木) 03:08:01.17 ID:88AhXJAHo
『右脚』のない彼女は、とても小さく見えた。
戸口に背を向け、毛布に包まって眠る姿は小さくて、今にも折れてしまいそうだった。
窓辺のテーブルに置かれた『脚甲』は青白い月光に煌めき、夜の海のように光っている。
「……オイ。いるんだろ」
「!」
あちらを向いたままの彼女から、声をかけられた。
別に気配を隠してはいなかったので、当然とも言えるが、察知されたようだ。
「……入って来なよ、『王様』」
軋みを上げる床板を踏みしめ、近づき――――ベッド脇の椅子を引き寄せて腰掛ける。
「……違う」
「何が?」
「…………部屋に、じゃねえよ。その……分かんだろ?」
「え……」
「……さみーんだよ。寒くて寝れねぇ。……それに、アンタが言った事じゃん」
数秒だけ逡巡して――――意を決して、靴を脱ぎ捨てて、言われたようにした。
ベッドに片膝を載せた時、彼女の身体がぴくりと震えたように見える。
近づけば近づくほど、更に、ぎゅっと縮こまっていくかのようだった。
手狭なベッドは、二人並んで寝るには窮屈だと思われたが予想したほどではない。
枕は取られているため、彼女の後ろ姿を見つめるように、腕を枕に横たわる。
「アンタ、さ。元の世界に帰りたいな、って思った事ないの?」
「……ああ、思ったな。つい最近。ここ数日でね」
どこかしおらしくなった口調の問いに、正直に答える。
更に返ってきた言葉は、彼女のものとは思えないほど、弱い声色だった。
「……送ってやっても、いいんだよ。人間界にさ」
「それは……遠慮するよ」
「どうして?」
「俺は……帰る場所がある。そしてもう、人間界にはない。……それだけさ」
人間界への望郷は、ここで過ごした日々で満ち足りてしまった。
城に居たときに覚えたそれは、全て溶けていった。
そして、今思うのは。
――――――帰るべき場所の事。
「……あのさ。帰る前にさ……返して、いけよ」
「?」
「…………だ、だから……。アタシ、と……その……さ」
切れ切れの言葉が、繋がり切る前に。
手を伸ばして、毛布越しの彼女の身体を、後ろから抱き寄せた。
横向きに寝ていた彼女を引き倒し、仰向けにすると――――闇に慣れた目は、気恥ずかしそうな表情を捉えた。
噛み締めた下唇には八重歯が食い込み、今にも裂けて、血が流れ出しそうだ。
315 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/12(木) 03:09:22.56 ID:88AhXJAHo
「……アンタに、触られると……さ」
「俺に……?」
「ん。……脚、何も……感じなくなるんだ。ちゃんと。ちゃんと……無くなってくれるんだ。……痛く、なくなる」
「別に、何もしてないんだけどな」
「…………わかんねェよ。もう……わかんねェ。さっさと……触っ、て……」
サキュバスCが、毛布の中から握り締めていた手を解くと、毛布を下方へ下ろし始めた。
彼女は、許容の意思を見せた。
閉じ込めていた姿を――――見せてくれる、という。
毛布を下ろすと、彼女は左足でそれを追いやり、覆われていた裸身を晒してくれた。
質量を備えた乳房は重力でたわみ、その先端は――――見えなかった。
「アタシの……中に、引っ込んじまってんだ。……変、だよな……こんなの」
「いや」
指先で、乳頭のあるべき場所に触れる。
彼女の言った通り、内側に陥没してしまっているようで――――少し指先の力を強めれば、
内側に、確かにこりこりとしたものがある。
しばし、緊張を解すように乳房の先の色づきを撫で回していると、小さな喘ぎが漏れ聞こえ始めた。
316 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/12(木) 03:10:03.62 ID:88AhXJAHo
「っ……ん……ふぅ……!」
「……可愛いな。……すごく、可愛い」
「る、せぇ……! こっち、見んな……よぉ……!」
抗議とともに、サキュバスCは真っ赤になった顔を押さえて隠す。
がら空きになった胸を更に愛撫し、落ち込んだ乳頭を外から搾り出そうと引っ掻き、乳輪を摘む。
そのたび、しゃっくりのような声が漏れて、身体が跳ねて――――時おり、高い喘ぎに化けた。
覗かせかけた乳首の先端を爪で穿つように弄ぶと――――。
「んあ、あぁぁんっ……!」
淫悦の叫びが、手狭な寝室を震わせた。
「もうそろそろ、出てきそうだ」
両方の乳房を弄ぶうちに、彼女の内側に窪んだ乳首は硬くなり、下の秘部からはとろりと蜜が流れ落ちた。
そこで、一気に吸い寄せようと――――まず、右の乳房に口を寄せた。
ほんの少し汗の匂いが鼻腔をくすぐり、唇を通して、固ゆでした卵のような弾力が伝わる。
唇に隠した乳輪の中心にある、硬いものを舌で探し当てると――――強く、吸った。
317 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/12(木) 03:11:10.72 ID:88AhXJAHo
「あっ……か、ふ……ぅぅぅ……! そん、な……強く……!」
更に強く、強く吸うと――――彼女の背が反れて、段々と持ち上がる。
まるで乳房を掴んで持ち上げているようで、淫楽とはまた別の面白さまで覚えるほどだ。
――――やがて、乳輪の内からむくむくと、硬くしこった乳首が起き上がる。
そこで唇を離すと、ちゅぽっ、という音とともに唾液の糸を引きながら、彼女の体がベッドへ落ちて行った。
「……さて、次。もう片方残ってるな」
「えっ……!? ま、待て……よ……オイ……! やめ、やめろやめろ! やば、いって……ひゃぁぁっ!?」
要領を掴んだため、次に――――左の乳房へは、容赦なくかぶりつく。
「かっ……は……! 吸い、す……ぎぃ……!」
同時に、露わになった右の乳首を指先で引っかけながら、ゆっくりと揉み解す。
やや固めの手触りは、痛みを与えないようにするために神経を使う。
最初は表面を滑らせるように。
少しずつ、少しずつ馴らしながら力を加えて、律動を刻むように。
興が乗ってきたころに――――口の中に、ようやく左の突端の感触を捉えた。
318 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/12(木) 03:13:07.19 ID:88AhXJAHo
「は、ぁ……。くそ……! 赤んぼ、かよ……胸ばっか……!」
「でも、出てきたな。見えるか? こんなに硬くなってる」
きゅむっ、と両方の乳首を摘み上げる。
こりこりと弾力があり、まるでそれ自体が性器のように、尖り、昂っていた。
一しきり、その手触りを楽しみ、普段は毒づく彼女の甘い吐息を愉しむと。
次に、目指したのは――――下肢の付け根。
必然、腿から先を欠いた、彼女の右脚が目に入る。
膝上の十センチほどで欠損して、断面には皮が張っていた。
触れると、断ち切れた神経が奇妙にくすぐられるのか、彼女の喉が震えて、忍び笑いに似た声が漏れた。
「っ……ごめんな。綺麗な体、じゃなくてさ」
「……人間を、俺達の……もしかすると、俺の祖先を守ってくれたかもしれない体だ。綺麗じゃないわけが、ないじゃないか」
「……て、め……! ハズく、ねぇのか……んな、クセェ事言って……!」
「本心さ」
引き寄せられるように――先ほど彼女の乳首を引き出した唇を、右の腿へと寄せる。
貴婦人の手を取ってそうするように、右腿へ口づけする。
続けて、舌を這わせていくと、汗の味と、ほのかな金属の香りがした。
319 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/12(木) 03:14:04.53 ID:88AhXJAHo
「んっ……ん……! やめろっ……って……! そこ、……敏、か……きゃひっ!?」
腿を持ち上げ、裏側を嘗め上げると、仔犬のような喘ぎを発した。
千年の間閉じ込められていたそこは恐らく、感覚が昂って一種の性感帯になっていた。
ぺろりと嘗め上げ、唇で吸っているだけで、すぐ目の前にある秘所がひくひくと痙攣して蜜が漏れて、シーツに沁みを広げていった。
「……そろそろいいか?」
「えっ……は!? お、おい……! 早い、って……!」
「俺も、限界なんだよ。……その……可愛、すぎて……」
「っ……へ、変な事……言うな、テメ……! 死ね、もう……死ねっ……!」
「なら……君も道連れだ」
「や、っ……ちょ、待て……待って……!」
「?」
圧し掛かると、サキュバスCが両手を突っ張り、肩を押し留めた。
顔はこちらを見つめようとしては逸らし、視線は泳ぎ、落ち着きが無い。
やがて、彼女は――――声を震わせて言った。
「その……さ。千年、ぶり……なんだ。だから、さ……ぁ」
そこで溜めをつくり、開き直ったように、静かに言う。
「……いっぱい、いっぱい出さなきゃ……許さねぇ、からな」
320 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/12(木) 03:14:38.39 ID:88AhXJAHo
彼女は、ゆっくりと、誘うように、ゆっくりと身体を開いた。
星明りを照り返す夜の海にも似た、楚々とした『銀色』が、『淫魔』の中心を為す部位を囲っていた。
「…………早く、早く……。アンタので、壊しておくれよ。アタシの……痛み、さ」
月明かりに、彼女の潤んだ眼が見えた。
その懇願、否――――『求め』を受け取ると、ゆっくりと、彼女の割れ目に先端を押し付ける。
少し盛り上がった肉の反発は強く、蜜の滑りをともなってなお、それ以上の進入を拒むようだった。
それは恐らく、彼女の鍛えられた肉体のしなやかさと強靭さが、そうさせているのだろう。
「……少し……強く、いくぞ」
返事を待たずに、千年の『壁』へ吶喊するように、あえて、勢いをつけて止まらずに、彼女の『肉』を割り広げていく。
「んっ……あ、あぁぁぁ……! は、入って……!」
締め付けの強さは、『肉』の門だけではなく、その内側に至っても、そうだった。
ごり、ごり、という感触が強い。
湿り気は伴っていても、なお――――ぎこちなくて、荒い。
粘膜との摩擦より、暗闇の道中を削り落として無理やりに侵入しているようで、どちらかといえば凌辱しているような感覚がある。
321 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/12(木) 03:15:53.57 ID:88AhXJAHo
「……っ、痛く……ないか? 少し止める、か?」
ぎゅうぎゅうに締め付けられながら、およそ三分の二を埋め込んだところで、彼女へ問う。
枕の端を必死で握り締め、左足はこちらの太腿を強く挟み込み、痛みに耐えているようにも見えた。
やがて、少しして……ぎゅっと瞑られていた瞼がゆっくりと開き、こちらを見た。
「……ん。アタシ、なら……大丈夫。いいよ。アンタが、気持ちいいなら……アタシは、それでいいからさ」
サキュバスCがそう言い、僅かに口端を吊り上げて笑ってみせたのを皮切りに、動き始める。
引くにも、押すにも、ぎちぎちに絡みつく肉の襞の抵抗が強い。
こなれてはきても、どこか頑なで――――まるで、彼女の失った『脚』を補っていた、あの無骨な脚甲のようだった。
ゆっくりとした調子の抽挿を繰り返し、馴染ませながら――――身体を倒し、左腕を彼女の腰に差し入れ、浮かせる。
ただそれだけのつもりだったのに彼女の体は軽くて、上半身全体が、浮いた。
そのまま背を下から支えながら、覆いかぶさるように、肉を貪る人狼のように、彼女の乳房へかぶりつく。
前歯を立てて乳首を挟んだ拍子に、彼女の声が、甘い波濤になった。
「や、んっ……!」
322 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/12(木) 03:16:39.62 ID:88AhXJAHo
舌先を用いて転がし、音を立てて吸い、前歯で甘噛み、歯ぎしりに巻き込むように摩擦する。
その度彼女の背筋が反れ、引き攣り――――連動するように、下部の「繋がり」にも力が込められ、緩んだ時には一段ずつ、頑なな洞穴は柔らかな肉の襞へと変わっていった。
「っ……お、っぱ……い……ばっか……! で、出ねぇ……か、ら……!」
「ぷはっ……。でも……気持ちいいのか?」
「うるせぇ……。もう、……あの、さ。……あぁ、畜生……恥ずかしいな、クソッ」
赤面しながら、しどろもどろに言葉をつづけ――――不意に、ぐいっと頭を引き寄せられる。
すぐに、耳元に口が寄せられ――――
「……あ、アタシを……めちゃくちゃ、に……して…………よ……」
どこかで聞いたような、そんな――――哀願。
それを聞いた時、理性とは反して、腰が動き――――激しいストロークが、意思とはほぼ無関係に開始した。
323 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/12(木) 03:17:29.88 ID:88AhXJAHo
「あ゛ぁぁぁぁっ! す、凄……! なか、が……ぁ……!」
部屋に響き渡る、肉の破裂音と湿った摩擦音は――――もはや、窓を突き抜けているような気がした。
負けじと跳ね上がるサキュバスCの小さな体には汗の玉がびっしりと浮いて、揺らされる体に流れ、艶やかに光っている。
「い、いい……よぉ……! 突いて、突いてぇっ! もっとぉ……!」
熟して潰れた桃のような、崩壊を招くほどの甘みを帯びた声色は、これまでの彼女とは似ても似つかない。
嬌声は『サキュバス』の――――『夜』を貪る魔族、そのものだ。
「あ、あぅぅぅっ――――! い、イくっ……! イくぅぅっ……!」
絶頂を迎え――――彼女の膣内がぎゅぅっと収縮し、ぴくぴくとモノを甘く締めながら、痙攣する。
まだ一度も精を放っていないのに、彼女はこれで、四度目の絶頂となる。
まるで空白を埋め、再び、『淫魔』としての感覚を取り戻していくように――――激しく、彼女の身体は月に踊る。
「……ち、く……しょぉ……!」
絶頂の波をまた一度越え、ほんの少しだけ、彼女の意識が引き戻された。
「……なぁ。……そろそろ……出して、くれよ。焦らさないでさ……」
「……君が悪い。早すぎる」
「っ……うる、せぇよ……バカ。ほら、早く……」
悪戯心を出して抓るように、秘部がきゅっと締まった。
答えるかわりに、再び開始すると、彼女の生意気な口は、再びなりを潜めてしまう。
324 : ◆1UOAiS.xYWtC :2013/09/12(木) 03:17:59.48 ID:88AhXJAHo
もう、きつさ、硬さは無い。
鍛えられた下肢の肉が締め付けを生み出し、引き絞るような快感を『男』に届ける、魔性がある。
『淫魔』の肉の壺は、魔性。
溶け崩れるほどの快感をその内に宿した、魅惑にして禁断の果実。
楽園の果てに待つのは――――堕落。
やがて、サキュバスCの身体が、食虫花のように閉じていく。
左脚、尻尾、両腕で強く締められ、引きこまれ――――動きを奪われた。
「く、ぅ……! 出っ……!アタシの、中……いっぱい、に……して…!」
必死で絶頂を堪える彼女に、『五度目』が近づいた頃。
ようやく――――『精』が放たれ、瞬間、彼女の両目が輝きを放ち、その全てを体の奥から吸収した。
「っ……あ、あぁぁぁ――――――! 出、て……るぅ…………!」
どくどくと放つ精液は、子宮、卵巣……いや、その奥にある心臓にまで吸い取られていくように思えた。
サキュバスCの身体の周りに光の粒子が舞い、それは、呼吸するように少しずつ、彼女の身体へ収束し、浸透していく。
長い射精を終えて『自信』を引き抜くと、精液の糸は引かなかった。
あれほどの射精をしたのに、モノにまとわりついているのは、彼女の『蜜』だけ。
その理由は、考えずとも分かる。
全て。
全て――――彼女は、吸収してしまったからだ。
その直後、改めて――――仰向けのままの彼女に、抱き寄せられた。
勇者「真夏の昼の淫魔の国」
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