魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
Part5
252 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/20(日) 01:37:20.71 ID:8wA7k1OJo
勇者「お前に、何が分かるんだ」
サキュバスA「……分かりますわ」
勇者「………」
サキュバスA「何より、『目』が違います。あの子も、今朝から様子が違っていて。
……まるで、恋する乙女。いや、報われないと分かっていながら恋焦がれる乙女、でしょうか」
勇者「淫魔らしい例えだな」
サキュバスA「まあ。…心外ですわ」
勇者「……ひとつ、訊きたい」
サキュバスA「はい、陛下。なんなりと」
勇者「『以前』の俺は、どうだったんだ?遠慮せずに教えてくれ」
サキュバスA「……そうですわね」
サキュバスA「一言では申せませんが……張り詰めた……いや、張り詰めたものが全て抜けたかのように、奔放な方でした」
253 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/20(日) 01:47:01.55 ID:8wA7k1OJo
勇者「というと?」
サキュバスA「肩の荷が下りたかのように、欲望のままに生きていらっしゃいました」
勇者「………」
サキュバスA「豪奢な料理と美酒に酔い痴れ、片時も空かせずに欲望を処理させて。
喜悦と快楽に顔を歪ませ、その実、誰にも気を許さずに生きていらっしゃいました」
勇者「……ほう」
サキュバスA「毎日何十人もの国民が情けをいただき、そのお顔は……まるで」
勇者「……『魔王』?」
サキュバスA「…有り体に表現するのなら。そうそう、堕女神さんに対しても」
勇者「?」
サキュバスA「一時期は、彼女をご寵愛なさっていましたね。……毎夜毎夜、彼女を激しくいたぶって」
254 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/20(日) 02:03:29.67 ID:8wA7k1OJo
勇者「……何だって?」
サキュバスA「嗜虐的というか、差し出がましいですが、彼女に対してだけは、
私達へとは違う情念をぶつけているように思えました」
勇者「…何故だ?」
サキュバスA「上手くは申せません。まるで……憎んでいるかのようにすらも」
勇者「………」
サキュバスA「いつか、殺されるのではないか。私達は、常に危惧しておりましたわ」
勇者「そうか……」
サキュバスA「兎も角、以前とは別人のようです」
255 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/20(日) 02:25:56.92 ID:8wA7k1OJo
勇者「もう一つだけ、いいか?」
サキュバスA「はい」
勇者「…お前個人の答えでいい。以前と今、どっちの『俺』がいい?」
サキュバスA「……難しい事を訊ねるのですね」
勇者「構わずに答えてくれ」
サキュバスA「私としては、『今』ですわ。……国民としては、『以前』です」
勇者「国民、として?」
サキュバスA「…慈愛に溢れ、添寝役にも惜しみない愛を下さる。それは、確かに理想ですわ」
勇者「続けろ」
サキュバスA「『王』として。あるいは、『勇者』としては。……今の陛下は、魅力的すぎるのです」
256 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/20(日) 02:34:26.45 ID:8wA7k1OJo
勇者「つまり……?」
サキュバスA「…『勇者』は、特別な一人を持つ事を許されないのです」
その言葉に、心臓が跳ねる。
自分ですらも理解していなかった、本質を突かれたかのように、彼女の言葉に聞き入る。
サキュバスA「その愛は、恐らく……惜しみなく、苦難に打ちひしがれる全ての者に分け与えられるべきもの。
『勇者』は、全ての者に平等に『勇者』として接しなければいけません」
勇者「……『勇者』」
サキュバスA「言葉少なに、ただただ民を救い、その姿を以って人々に勇気を分け与える者。……故に、『勇者』。
願望の名前、重責の名前、そして……万人の希望の名前」
勇者「………」
サキュバスA「それ故に、特別な一人を持ってはいけない。誰かに愛を注いではいけない。
雨のように広く、望まれない場合もあり、望まれる場合もあり、仮に疎まれようとも演じなければならない」
サキュバスA「『勇者』とは、生き方の名前なのです」
258 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/20(日) 03:07:00.87 ID:8wA7k1OJo
勇者「……『王』もそうか?」
サキュバスA「私のような者が口にするには、分を過ぎますが」
勇者「いいから、続けてくれ」
サキュバスA「『王』の愛は、特定の人物や層に向けるものであってはいけないのです。
全ての者に平等に愛を与える。あるいは――与えない。
それでも特定の人に愛を与えるとすれば、それは『妃』に」
勇者「……なるほど」
サキュバスA「……申し訳ありません。口が過ぎました。……如何様にも、処分を」
勇者「いや、構わない。……もとより、俺が訊いた事だ」
259 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/20(日) 03:38:45.27 ID:8wA7k1OJo
サキュバスA「……以前なら、『お前が口を開くのは、咥える時だけだ』と言って無理やりに」
勇者「その話はやめろ!」
サキュバスA「…ふふ、ようやく……戻ってくださいましたね」
勇者「…あんな話を聞かされりゃな」
サキュバスA「王としては、ともかく。……今の陛下は、好きです。生き生きとしていらっしゃいますよ」
勇者「…お前の話、腹に染みたよ」
サキュバスA「それは恐縮です。……もしお悩みの事がありましたら、私に。……全てを、受け止めますわ」
勇者「ああ、ありがとう」
サキュバスA「…それでは、私はこれにて」チュッ
勇者「………!」
サキュバスA「……失礼、します」
260 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/20(日) 04:12:34.95 ID:8wA7k1OJo
すっかり日が落ちてしまった中庭から、城内へと歩みを進める。
右頬にひり付くような熱を感じ、じんわりとした暖かさへと変わっていった。
城内エントランスへ入ると、すぐに堕女神の姿を見つけた。
堕女神「…?陛下、何かご用でしょうか?」
勇者「ああ。訊きたいんだが、俺の『剣』はあるか?」
堕女神「…はい、保管しております。……それが?」
勇者「あとで、俺の部屋に持ってきてくれるか?」
堕女神「はい、かしこまりました。何にお使いなさるのですか?」
勇者「……懐かしくてね」
278 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/21(月) 01:10:19.85 ID:R7WwOoygo
夕餉を終え、自室に戻る。
何度目かの素晴らしく美味な食事を終えて一息つけば、誰かが訪れた。
堕女神「陛下。剣をお持ちしました」
勇者「ああ、ご苦労。……どれ」
何度も見慣れた、妖精の住まう湖上の岩から引き抜かれた剣。
刀身は全てを切り裂き、魔王の喉首にすらも届きうる、希望の牙。
幾つもの首を持つ巨大な竜。
嘘のように肥大した体の、単眼の亜人。
物質界の全てを素通りさせる、深淵の悪霊。
その全てを切り伏せ、勇者を魔王の城へと送り届けた神の剣だ。
勇者「……思った、通りな」
堕女神「如何されました?」
鞘から引き抜かれた刃からは、輝きが失せていた。
勇者が『正義』をもって戦う限りは決して色褪せないと言われた、刀身の輝きが。
今となっては――どこにでもある、数打ちの剣のようだ。
282 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/21(月) 01:34:26.28 ID:R7WwOoygo
勇者「今朝は、本当にすまなかった。気が動転していたんだ」
堕女神「…お気になさらないでください」
革製の鞘に剣を納め、机の上に置く。
ランプの灯に照らされ、持ち主の物憂げな表情が浮かび上がる。
勇者「……明日の段取りは?」
堕女神「はい、朝食後、すぐに馬車を出します。その後、二日ほどかけ、南方の砦を目指します。
途中で宿を取って一晩過ごす事になりますが、よろしいでしょうか?」
勇者「ああ、問題ない。……馬車の中で一眠り、ってのも悪くはないんだがね」
堕女神「陛下……。それでは、面目が立ちません」
勇者「言ってみただけだ。……慣れてはいるんだよ、野宿にも」
堕女神「変な冗談はお止めください」
勇者「真面目な奴だな」
堕女神「真面目が売りですので」
283 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/21(月) 01:50:36.38 ID:R7WwOoygo
勇者「……遠い昔、夢を見た」
堕女神「?」
勇者「俺が年端もいかない子供の頃さ。夢に『女神』が出てきた」
堕女神「…陛下、何の話を?」
勇者「翌朝、目が覚めると……俺は、『勇者』になっていてさ。力が内側から溢れ出てきたよ」
堕女神「…………」
勇者「……変な話さ。村にいくらでも同年代の子供がいたのに、よりによって俺が『勇者』になってしまったんだ」
堕女神「…なぜ、そんな話をするのです?」
勇者「畑仕事をして、家畜の世話をして、薪を割って。……なのに目が覚めたら、勇者として『冒険の書』を書き連ねる事になった」
堕女神「……後悔、していらっしゃるのですか?」
勇者「いや」
勇者「……ただ、『俺じゃなくてもいいんじゃないか』と何度も思ってたよ、昔は」
284 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/21(月) 02:14:10.79 ID:R7WwOoygo
堕女神「……その女神を、怨んでいらっしゃるのですか?」
勇者「どうかな、分からない。……『勇者』だったから守れたものも、たくさんあるしね」
堕女神「失ったものも?」
勇者「そりゃ、あるよ。……平和な生活。命の危険のない日々。気を抜いて休む事ができる寝床」
堕女神「他にも?」
勇者「……柔らかい、女の人の手」
堕女神「随分と、詩的な事を仰られるのですね。どうなさったのです?今日は」
勇者「……さぁ。分からない。分かったら教えてくれよ」
285 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/21(月) 02:43:51.95 ID:R7WwOoygo
勇者「さて、引き止めて済まなかったな。他に仕事があるんだろう?」
堕女神「この後にもいくつかの雑務と、明日の朝食の仕込みを」
勇者「……いつもいつもすまないな」
堕女神「陛下のご健康のためです」
勇者「…ありがとう」
堕女神「…………」
勇者「顔が赤いな」
堕女神「赤くありません」
286 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/21(月) 03:08:27.57 ID:R7WwOoygo
勇者「俺も寝るとするよ。……たまには、一人でのんびりとね」
堕女神「はい、おやすみなさいませ、陛下」パタン
勇者「おやすみ、良い夢を」
勇者「……そうか。女神が、夢に出てきたんだったな」
机の上の剣を眺めながら、一心地つく。
思えば、そうだ。
夢のお告げの翌日、勇者の力が目覚めた。
その後も女神の導きに従って旅を続け、ついには魔王城へと辿り着く。
もしかすると、自分は……その女神を、怨んでいた?
287 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/21(月) 03:24:01.83 ID:R7WwOoygo
勇者「そんなはずがない。………と、言い張りたいな」
サキュバスAから聞いた話。
今朝の、堕女神の反応。
それらからして、堕女神へ対し、過剰につらく当たっていたのは間違いない。
『自分』がそのように苛立ちをぶつけていたのなら、他に理由は思い当たらない。
勇者「『俺』は、どこかで道を踏み外したらしいな」
剣を手に取り、数cmほど抜いて、刀身へ語りかける。
輝きを失った刃は、この国の王となった『自分』が、勇者をやめた事の証。
勇者「………責めないよ、『俺』。……気持ちは、分かるからさ」
刃を見つめたまま、深まっていく夜の城で、彼は睡魔に襲われるまで物思いに耽った。
298 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/22(火) 01:01:50.17 ID:UECKezzXo
四日目
目が覚めた。
開ききらない瞼と覚醒しきらない頭のまま、『横』を探る。
誰の肌にも触れない。
手に伝わったのは、シーツの感触だけ。
ああ、そうか。
昨日は「一人」で寝たんだった。
僅かな空虚感に苛まれながら、身を起こす。
勇者「どうにも、具合が悪いなぁ」
堕女神「何がですか?」
勇者「うおっ!?」
堕女神「御返事がありませんでしたので、入らせていただきました」
勇者「……起こしてくれよ」
堕女神「起こしましたよ」
299 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/22(火) 01:21:39.91 ID:UECKezzXo
勇者「………」
堕女神「朝食を?」
勇者「ああ、貰う」
堕女神「はい。それでは、お着替えが済みましたら食堂の方へ」
勇者「分かった」
朝の身支度を整える。
四度目だが、今朝はそれに一つだけ、工程を加える。
机の上に置かれていた、『剣』を腰に差す。
やはりというか、この方が具合が良い。
気楽に過ごせるのは素晴らしいが、やはり丸腰では不安である。
全盛の力を失っているとはいえ、その握り心地と重さは変わらない。
勇者「……うん、やっぱり落ち着くな」
一人ごち、扉を開けて食堂へ向かう。
300 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/22(火) 01:34:10.13 ID:UECKezzXo
移動中
勇者「なんか、視線を感じるよなぁ」
堕女神「お腰の物のせいでは?」
勇者「ん、これ?」
堕女神「はい。王座に就かれてから、すぐに宝物庫へと放り込まれましたね」
勇者「……ひょっとして、怖がられてるのかな?」
堕女神「……お似合いですよ、凛々しくていらっしゃいます」
勇者「……ん、何か言ったか」
堕女神「…い、いえ。何も」
301 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/22(火) 02:06:10.50 ID:UECKezzXo
食後
勇者「……さて、行くか」
堕女神「馬車のご用意は済ませております。それでは参りましょう」
勇者「おい、お前も来るのか?」
堕女神「はい、陛下。僭越ではありますが、身辺警護も兼ねておりますので」
勇者「それは心強い」
堕女神「お望みでしたら、護衛として堕天使の兵士を10人ほど連れて行けますが。元「座天使」級の者もいます」
勇者「物々しいのは嫌だな」
堕女神「かしこまりました」
勇者「……今さらだけど、もしかしてお前も相当強かったりするのか?」
堕女神「自分で言うのも妙ですが、はい」
302 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/22(火) 02:22:18.69 ID:UECKezzXo
勇者「意外というか、いや……当然、なのか?」
堕女神「堕ちても女神ですから」
勇者「…頼もしすぎるだろ」
堕女神「それでは、こちらの馬車へ」
勇者「意外とデカいんだな」
堕女神「国王の馬車ですから当然です」
勇者「……なるほどねぇ。お、中も広いな」
堕女神「お席に着かれたなら、すぐに出ましょう。時間も押しております」
勇者「はいよ。頼む」
303 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/22(火) 02:47:43.35 ID:UECKezzXo
馬車に揺られながら、外を見る。
未だ城下から出ていない。
通りには活気があり、淫魔も、堕天使も、褐色の肌を持つ異国の夢魔も、皆、笑顔を浮かべている。
魔王のいない世界があったとしたら。
強大な敵のいない世界があったとしたら。
どの街も、此処のように平和で、穏やかでいられるのだろうか。
勇者は、そうではない事を知っていた。
魔王が台頭する前には、勇者の育った国と、隣国との間で戦争を行っていた。
たくさんの兵士が死に、たくさんの妻が路頭に迷い、たくさんの子が泣く事になった。
魔王が世界を征服せんと活動し始めた時ですら、その二国はまるで手を取り合わなかった。
旅の途中で訪れたが、仲間の戦士には侮蔑の言葉を吐かれ、僧侶には下賎な目を向けられ、
勇者にすらも辛く当たられた。
それでも戦争を止めたのは、魔王の影響による。
真の危機が現れたから、二国は戦争をやめられた。
真の危機が現れても、二国は歩み寄る事はなかった。
304 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/22(火) 03:12:09.78 ID:UECKezzXo
勇者「………ハァ」
堕女神「…いかがなさいました?」
勇者「別に」
堕女神「それなら良いのですが。…今朝方、報せが入りました」
勇者「オークの?」
堕女神「はい。どうも内部分裂があったようで。新しい族長が古い族長と一派を追い出したそうです」
勇者「ふぅん」
堕女神「結果、新しい住処を求めた旧族長達が、南方の砦付近で活発に行動しているとの事」
勇者「掃いて捨てるほどある話だなぁ」
堕女神「……隣国からも、同様の報告が上がっているそうです」
305 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/22(火) 03:30:43.57 ID:UECKezzXo
勇者「……何?」
堕女神「ですから、オーク達が隣国にも向かっているようです」
勇者「確かか?」
堕女神「はい。飢饉で弱っている隣国にとって、『泣きっ面に蜂』ですね」
勇者「………」
堕女神「…陛下、何をお考えに?」
勇者「…………もし何かあったとして」
堕女神「はい?」
勇者「何かあったとして、お前の力で隣国に転移する事はできるか?」
堕女神「……可能か否か、というのでしたら可能です」
306 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/22(火) 03:54:07.14 ID:UECKezzXo
勇者「そうか……」
堕女神「…恐らく、今の国力では、隣国にオークの侵攻を止める術はないでしょうね」
勇者「そんなに多いのか?」
堕女神「数もそうですが、隣国の淫魔達は寿命も短く魔力も少ない。繁殖のペースも遅いのです」
勇者「……そういえば、どうやって増えるんだ?サキュバス(女性)だけの国だろ?」
堕女神「人界の一種の生物と同じで、男性としての機能を持つ事も可能なのです。淫魔だけの特性ですが」
勇者「つまり、あれか?サキュバス同士で?」
堕女神「はい」
勇者「……ゴホン。あー、話を戻そうか」
307 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/22(火) 04:09:54.31 ID:UECKezzXo
勇者「ともかく、隣国は力に乏しいと」
堕女神「そういう事です。一度オークに攻め入られれば首都まで一直線。後は……」
勇者「なるほど」
堕女神「陛下、どうかお聞きください。……くれぐれも、軽率な行動をなさらぬように」
勇者「ああ。考えるさ」
堕女神「オークに攻めさせ、しかる後に討伐、植民地に。小国とはいえ淫魔達の国を相手にするより、遥かに勝算が」
勇者「…リクツだな」
堕女神「この国は、あなたにかかっているのです。国民の生活を豊かにする義務が、陛下にはあります」
勇者「その割に、ずいぶん妙な顔をするんだな」
堕女神「…………」
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋) :2011/11/22(火) 04:14:33.16 ID:oM8tOpElo
>小国とはいえ
この書き方だと戦闘力は淫魔>オークだから微妙に矛盾感じるが
国内感情とかそういうことか?
309 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/22(火) 04:53:43.54 ID:UECKezzXo
>>308
済まない、色々ミスした
オークとやり合わせる→隣国が勝てば、消耗した所を征服
オークが勝てば、そのオークを倒して恩を売って吸収
等と補完してほしい
すまない
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋) :2011/11/22(火) 04:56:43.81 ID:oM8tOpElo
どんまい
小国とはいえ、淫魔たちの国を「普通に」相手にするより・・・って読み替えとくぜ
勇者「お前に、何が分かるんだ」
サキュバスA「……分かりますわ」
勇者「………」
サキュバスA「何より、『目』が違います。あの子も、今朝から様子が違っていて。
……まるで、恋する乙女。いや、報われないと分かっていながら恋焦がれる乙女、でしょうか」
勇者「淫魔らしい例えだな」
サキュバスA「まあ。…心外ですわ」
勇者「……ひとつ、訊きたい」
サキュバスA「はい、陛下。なんなりと」
勇者「『以前』の俺は、どうだったんだ?遠慮せずに教えてくれ」
サキュバスA「……そうですわね」
サキュバスA「一言では申せませんが……張り詰めた……いや、張り詰めたものが全て抜けたかのように、奔放な方でした」
253 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/20(日) 01:47:01.55 ID:8wA7k1OJo
勇者「というと?」
サキュバスA「肩の荷が下りたかのように、欲望のままに生きていらっしゃいました」
勇者「………」
サキュバスA「豪奢な料理と美酒に酔い痴れ、片時も空かせずに欲望を処理させて。
喜悦と快楽に顔を歪ませ、その実、誰にも気を許さずに生きていらっしゃいました」
勇者「……ほう」
サキュバスA「毎日何十人もの国民が情けをいただき、そのお顔は……まるで」
勇者「……『魔王』?」
サキュバスA「…有り体に表現するのなら。そうそう、堕女神さんに対しても」
勇者「?」
サキュバスA「一時期は、彼女をご寵愛なさっていましたね。……毎夜毎夜、彼女を激しくいたぶって」
254 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/20(日) 02:03:29.67 ID:8wA7k1OJo
勇者「……何だって?」
サキュバスA「嗜虐的というか、差し出がましいですが、彼女に対してだけは、
私達へとは違う情念をぶつけているように思えました」
勇者「…何故だ?」
サキュバスA「上手くは申せません。まるで……憎んでいるかのようにすらも」
勇者「………」
サキュバスA「いつか、殺されるのではないか。私達は、常に危惧しておりましたわ」
勇者「そうか……」
サキュバスA「兎も角、以前とは別人のようです」
255 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/20(日) 02:25:56.92 ID:8wA7k1OJo
勇者「もう一つだけ、いいか?」
サキュバスA「はい」
勇者「…お前個人の答えでいい。以前と今、どっちの『俺』がいい?」
サキュバスA「……難しい事を訊ねるのですね」
勇者「構わずに答えてくれ」
サキュバスA「私としては、『今』ですわ。……国民としては、『以前』です」
勇者「国民、として?」
サキュバスA「…慈愛に溢れ、添寝役にも惜しみない愛を下さる。それは、確かに理想ですわ」
勇者「続けろ」
サキュバスA「『王』として。あるいは、『勇者』としては。……今の陛下は、魅力的すぎるのです」
256 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/20(日) 02:34:26.45 ID:8wA7k1OJo
勇者「つまり……?」
サキュバスA「…『勇者』は、特別な一人を持つ事を許されないのです」
その言葉に、心臓が跳ねる。
自分ですらも理解していなかった、本質を突かれたかのように、彼女の言葉に聞き入る。
サキュバスA「その愛は、恐らく……惜しみなく、苦難に打ちひしがれる全ての者に分け与えられるべきもの。
『勇者』は、全ての者に平等に『勇者』として接しなければいけません」
勇者「……『勇者』」
サキュバスA「言葉少なに、ただただ民を救い、その姿を以って人々に勇気を分け与える者。……故に、『勇者』。
願望の名前、重責の名前、そして……万人の希望の名前」
勇者「………」
サキュバスA「それ故に、特別な一人を持ってはいけない。誰かに愛を注いではいけない。
雨のように広く、望まれない場合もあり、望まれる場合もあり、仮に疎まれようとも演じなければならない」
サキュバスA「『勇者』とは、生き方の名前なのです」
勇者「……『王』もそうか?」
サキュバスA「私のような者が口にするには、分を過ぎますが」
勇者「いいから、続けてくれ」
サキュバスA「『王』の愛は、特定の人物や層に向けるものであってはいけないのです。
全ての者に平等に愛を与える。あるいは――与えない。
それでも特定の人に愛を与えるとすれば、それは『妃』に」
勇者「……なるほど」
サキュバスA「……申し訳ありません。口が過ぎました。……如何様にも、処分を」
勇者「いや、構わない。……もとより、俺が訊いた事だ」
259 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/20(日) 03:38:45.27 ID:8wA7k1OJo
サキュバスA「……以前なら、『お前が口を開くのは、咥える時だけだ』と言って無理やりに」
勇者「その話はやめろ!」
サキュバスA「…ふふ、ようやく……戻ってくださいましたね」
勇者「…あんな話を聞かされりゃな」
サキュバスA「王としては、ともかく。……今の陛下は、好きです。生き生きとしていらっしゃいますよ」
勇者「…お前の話、腹に染みたよ」
サキュバスA「それは恐縮です。……もしお悩みの事がありましたら、私に。……全てを、受け止めますわ」
勇者「ああ、ありがとう」
サキュバスA「…それでは、私はこれにて」チュッ
勇者「………!」
サキュバスA「……失礼、します」
260 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/20(日) 04:12:34.95 ID:8wA7k1OJo
すっかり日が落ちてしまった中庭から、城内へと歩みを進める。
右頬にひり付くような熱を感じ、じんわりとした暖かさへと変わっていった。
城内エントランスへ入ると、すぐに堕女神の姿を見つけた。
堕女神「…?陛下、何かご用でしょうか?」
勇者「ああ。訊きたいんだが、俺の『剣』はあるか?」
堕女神「…はい、保管しております。……それが?」
勇者「あとで、俺の部屋に持ってきてくれるか?」
堕女神「はい、かしこまりました。何にお使いなさるのですか?」
勇者「……懐かしくてね」
278 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/21(月) 01:10:19.85 ID:R7WwOoygo
夕餉を終え、自室に戻る。
何度目かの素晴らしく美味な食事を終えて一息つけば、誰かが訪れた。
堕女神「陛下。剣をお持ちしました」
勇者「ああ、ご苦労。……どれ」
何度も見慣れた、妖精の住まう湖上の岩から引き抜かれた剣。
刀身は全てを切り裂き、魔王の喉首にすらも届きうる、希望の牙。
幾つもの首を持つ巨大な竜。
嘘のように肥大した体の、単眼の亜人。
物質界の全てを素通りさせる、深淵の悪霊。
その全てを切り伏せ、勇者を魔王の城へと送り届けた神の剣だ。
勇者「……思った、通りな」
堕女神「如何されました?」
鞘から引き抜かれた刃からは、輝きが失せていた。
勇者が『正義』をもって戦う限りは決して色褪せないと言われた、刀身の輝きが。
今となっては――どこにでもある、数打ちの剣のようだ。
282 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/21(月) 01:34:26.28 ID:R7WwOoygo
勇者「今朝は、本当にすまなかった。気が動転していたんだ」
堕女神「…お気になさらないでください」
革製の鞘に剣を納め、机の上に置く。
ランプの灯に照らされ、持ち主の物憂げな表情が浮かび上がる。
勇者「……明日の段取りは?」
堕女神「はい、朝食後、すぐに馬車を出します。その後、二日ほどかけ、南方の砦を目指します。
途中で宿を取って一晩過ごす事になりますが、よろしいでしょうか?」
勇者「ああ、問題ない。……馬車の中で一眠り、ってのも悪くはないんだがね」
堕女神「陛下……。それでは、面目が立ちません」
勇者「言ってみただけだ。……慣れてはいるんだよ、野宿にも」
堕女神「変な冗談はお止めください」
勇者「真面目な奴だな」
堕女神「真面目が売りですので」
283 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/21(月) 01:50:36.38 ID:R7WwOoygo
勇者「……遠い昔、夢を見た」
堕女神「?」
勇者「俺が年端もいかない子供の頃さ。夢に『女神』が出てきた」
堕女神「…陛下、何の話を?」
勇者「翌朝、目が覚めると……俺は、『勇者』になっていてさ。力が内側から溢れ出てきたよ」
堕女神「…………」
勇者「……変な話さ。村にいくらでも同年代の子供がいたのに、よりによって俺が『勇者』になってしまったんだ」
堕女神「…なぜ、そんな話をするのです?」
勇者「畑仕事をして、家畜の世話をして、薪を割って。……なのに目が覚めたら、勇者として『冒険の書』を書き連ねる事になった」
堕女神「……後悔、していらっしゃるのですか?」
勇者「いや」
勇者「……ただ、『俺じゃなくてもいいんじゃないか』と何度も思ってたよ、昔は」
284 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/21(月) 02:14:10.79 ID:R7WwOoygo
堕女神「……その女神を、怨んでいらっしゃるのですか?」
勇者「どうかな、分からない。……『勇者』だったから守れたものも、たくさんあるしね」
堕女神「失ったものも?」
勇者「そりゃ、あるよ。……平和な生活。命の危険のない日々。気を抜いて休む事ができる寝床」
堕女神「他にも?」
勇者「……柔らかい、女の人の手」
堕女神「随分と、詩的な事を仰られるのですね。どうなさったのです?今日は」
勇者「……さぁ。分からない。分かったら教えてくれよ」
285 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/21(月) 02:43:51.95 ID:R7WwOoygo
勇者「さて、引き止めて済まなかったな。他に仕事があるんだろう?」
堕女神「この後にもいくつかの雑務と、明日の朝食の仕込みを」
勇者「……いつもいつもすまないな」
堕女神「陛下のご健康のためです」
勇者「…ありがとう」
堕女神「…………」
勇者「顔が赤いな」
堕女神「赤くありません」
286 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/21(月) 03:08:27.57 ID:R7WwOoygo
勇者「俺も寝るとするよ。……たまには、一人でのんびりとね」
堕女神「はい、おやすみなさいませ、陛下」パタン
勇者「おやすみ、良い夢を」
勇者「……そうか。女神が、夢に出てきたんだったな」
机の上の剣を眺めながら、一心地つく。
思えば、そうだ。
夢のお告げの翌日、勇者の力が目覚めた。
その後も女神の導きに従って旅を続け、ついには魔王城へと辿り着く。
もしかすると、自分は……その女神を、怨んでいた?
287 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/21(月) 03:24:01.83 ID:R7WwOoygo
勇者「そんなはずがない。………と、言い張りたいな」
サキュバスAから聞いた話。
今朝の、堕女神の反応。
それらからして、堕女神へ対し、過剰につらく当たっていたのは間違いない。
『自分』がそのように苛立ちをぶつけていたのなら、他に理由は思い当たらない。
勇者「『俺』は、どこかで道を踏み外したらしいな」
剣を手に取り、数cmほど抜いて、刀身へ語りかける。
輝きを失った刃は、この国の王となった『自分』が、勇者をやめた事の証。
勇者「………責めないよ、『俺』。……気持ちは、分かるからさ」
刃を見つめたまま、深まっていく夜の城で、彼は睡魔に襲われるまで物思いに耽った。
298 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/22(火) 01:01:50.17 ID:UECKezzXo
四日目
目が覚めた。
開ききらない瞼と覚醒しきらない頭のまま、『横』を探る。
誰の肌にも触れない。
手に伝わったのは、シーツの感触だけ。
ああ、そうか。
昨日は「一人」で寝たんだった。
僅かな空虚感に苛まれながら、身を起こす。
勇者「どうにも、具合が悪いなぁ」
堕女神「何がですか?」
勇者「うおっ!?」
堕女神「御返事がありませんでしたので、入らせていただきました」
勇者「……起こしてくれよ」
堕女神「起こしましたよ」
299 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/22(火) 01:21:39.91 ID:UECKezzXo
勇者「………」
堕女神「朝食を?」
勇者「ああ、貰う」
堕女神「はい。それでは、お着替えが済みましたら食堂の方へ」
勇者「分かった」
朝の身支度を整える。
四度目だが、今朝はそれに一つだけ、工程を加える。
机の上に置かれていた、『剣』を腰に差す。
やはりというか、この方が具合が良い。
気楽に過ごせるのは素晴らしいが、やはり丸腰では不安である。
全盛の力を失っているとはいえ、その握り心地と重さは変わらない。
勇者「……うん、やっぱり落ち着くな」
一人ごち、扉を開けて食堂へ向かう。
300 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/22(火) 01:34:10.13 ID:UECKezzXo
移動中
勇者「なんか、視線を感じるよなぁ」
堕女神「お腰の物のせいでは?」
勇者「ん、これ?」
堕女神「はい。王座に就かれてから、すぐに宝物庫へと放り込まれましたね」
勇者「……ひょっとして、怖がられてるのかな?」
堕女神「……お似合いですよ、凛々しくていらっしゃいます」
勇者「……ん、何か言ったか」
堕女神「…い、いえ。何も」
301 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/22(火) 02:06:10.50 ID:UECKezzXo
食後
勇者「……さて、行くか」
堕女神「馬車のご用意は済ませております。それでは参りましょう」
勇者「おい、お前も来るのか?」
堕女神「はい、陛下。僭越ではありますが、身辺警護も兼ねておりますので」
勇者「それは心強い」
堕女神「お望みでしたら、護衛として堕天使の兵士を10人ほど連れて行けますが。元「座天使」級の者もいます」
勇者「物々しいのは嫌だな」
堕女神「かしこまりました」
勇者「……今さらだけど、もしかしてお前も相当強かったりするのか?」
堕女神「自分で言うのも妙ですが、はい」
302 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/22(火) 02:22:18.69 ID:UECKezzXo
勇者「意外というか、いや……当然、なのか?」
堕女神「堕ちても女神ですから」
勇者「…頼もしすぎるだろ」
堕女神「それでは、こちらの馬車へ」
勇者「意外とデカいんだな」
堕女神「国王の馬車ですから当然です」
勇者「……なるほどねぇ。お、中も広いな」
堕女神「お席に着かれたなら、すぐに出ましょう。時間も押しております」
勇者「はいよ。頼む」
馬車に揺られながら、外を見る。
未だ城下から出ていない。
通りには活気があり、淫魔も、堕天使も、褐色の肌を持つ異国の夢魔も、皆、笑顔を浮かべている。
魔王のいない世界があったとしたら。
強大な敵のいない世界があったとしたら。
どの街も、此処のように平和で、穏やかでいられるのだろうか。
勇者は、そうではない事を知っていた。
魔王が台頭する前には、勇者の育った国と、隣国との間で戦争を行っていた。
たくさんの兵士が死に、たくさんの妻が路頭に迷い、たくさんの子が泣く事になった。
魔王が世界を征服せんと活動し始めた時ですら、その二国はまるで手を取り合わなかった。
旅の途中で訪れたが、仲間の戦士には侮蔑の言葉を吐かれ、僧侶には下賎な目を向けられ、
勇者にすらも辛く当たられた。
それでも戦争を止めたのは、魔王の影響による。
真の危機が現れたから、二国は戦争をやめられた。
真の危機が現れても、二国は歩み寄る事はなかった。
304 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/22(火) 03:12:09.78 ID:UECKezzXo
勇者「………ハァ」
堕女神「…いかがなさいました?」
勇者「別に」
堕女神「それなら良いのですが。…今朝方、報せが入りました」
勇者「オークの?」
堕女神「はい。どうも内部分裂があったようで。新しい族長が古い族長と一派を追い出したそうです」
勇者「ふぅん」
堕女神「結果、新しい住処を求めた旧族長達が、南方の砦付近で活発に行動しているとの事」
勇者「掃いて捨てるほどある話だなぁ」
堕女神「……隣国からも、同様の報告が上がっているそうです」
305 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/22(火) 03:30:43.57 ID:UECKezzXo
勇者「……何?」
堕女神「ですから、オーク達が隣国にも向かっているようです」
勇者「確かか?」
堕女神「はい。飢饉で弱っている隣国にとって、『泣きっ面に蜂』ですね」
勇者「………」
堕女神「…陛下、何をお考えに?」
勇者「…………もし何かあったとして」
堕女神「はい?」
勇者「何かあったとして、お前の力で隣国に転移する事はできるか?」
堕女神「……可能か否か、というのでしたら可能です」
306 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/22(火) 03:54:07.14 ID:UECKezzXo
勇者「そうか……」
堕女神「…恐らく、今の国力では、隣国にオークの侵攻を止める術はないでしょうね」
勇者「そんなに多いのか?」
堕女神「数もそうですが、隣国の淫魔達は寿命も短く魔力も少ない。繁殖のペースも遅いのです」
勇者「……そういえば、どうやって増えるんだ?サキュバス(女性)だけの国だろ?」
堕女神「人界の一種の生物と同じで、男性としての機能を持つ事も可能なのです。淫魔だけの特性ですが」
勇者「つまり、あれか?サキュバス同士で?」
堕女神「はい」
勇者「……ゴホン。あー、話を戻そうか」
307 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/22(火) 04:09:54.31 ID:UECKezzXo
勇者「ともかく、隣国は力に乏しいと」
堕女神「そういう事です。一度オークに攻め入られれば首都まで一直線。後は……」
勇者「なるほど」
堕女神「陛下、どうかお聞きください。……くれぐれも、軽率な行動をなさらぬように」
勇者「ああ。考えるさ」
堕女神「オークに攻めさせ、しかる後に討伐、植民地に。小国とはいえ淫魔達の国を相手にするより、遥かに勝算が」
勇者「…リクツだな」
堕女神「この国は、あなたにかかっているのです。国民の生活を豊かにする義務が、陛下にはあります」
勇者「その割に、ずいぶん妙な顔をするんだな」
堕女神「…………」
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋) :2011/11/22(火) 04:14:33.16 ID:oM8tOpElo
>小国とはいえ
この書き方だと戦闘力は淫魔>オークだから微妙に矛盾感じるが
国内感情とかそういうことか?
309 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/22(火) 04:53:43.54 ID:UECKezzXo
>>308
済まない、色々ミスした
オークとやり合わせる→隣国が勝てば、消耗した所を征服
オークが勝てば、そのオークを倒して恩を売って吸収
等と補完してほしい
すまない
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋) :2011/11/22(火) 04:56:43.81 ID:oM8tOpElo
どんまい
小国とはいえ、淫魔たちの国を「普通に」相手にするより・・・って読み替えとくぜ
魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
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