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淡々と兵食の話するわ

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Part7
297 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/27(月) 21:32:21 SFeiRyls
-戦国時代の食事編-

男「で、同じ時代に日本は戦国時代で各武将ハッスルしてたわけだけどさ」

友「いや言うほどハッスルしてたのかなぁ・・・?」

男「そりゃあしてただろう。リアル天下取ったる!状態だしな」

友「蠣崎氏とかそうでもなくね?」

男「確かに信長の野望だと大抵為す術ないしな、蠣崎氏」


298 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/27(月) 21:33:02 SFeiRyls
男「まぁ、そんな戦国時代ですがやはり基本的な糧食は米でした」

友「日本人は米ってはっきり分かんだね」

男「大名の強さゲージも基本コメの量、石高だしな。今だって過去との物価比較の目安品目に米価を使うことも多いし」

友「お米ゲージがMAXになると隣国を侵略できるのか・・・」

男「なるほど、だから米どころの上杉とか武田とか強かったのか・・・」

友「米こそパワーだ。日本人ならお米食べろ!!」


299 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/27(月) 21:33:48 SFeiRyls
男「でもまあ実際、戦をするには兵糧が必要だったから、単純に獲れる米が多ければ大規模に戦を展開できて有利なはずだわな」

友「やっぱり当時も前線で米炊いて食ってたの?」

男「まぁ、基本できるときはそうしてたみたいだ。実際、樅に入った状態なら米ってかなり日持ちするしな」

友「あとはそう・・・おにぎりとか?」

男「ああ。戦艦大和の最後の戦闘配食がおにぎりだったように、今も昔もおにぎりは急場の胃袋の友やでぇ」


300 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/27(月) 21:34:25 SFeiRyls
友「でも米っていちいち炊かなきゃいかんのが手間だよなぁ・・・パンとか焼くのは大変だけど、あとはそのまま食えるじゃん?」

男「ああ。だから糒(ほしいい)といって強飯、蒸した米・・・ようはおこわを乾燥させた物も広く使われた」

友「へー、火を通してから干すのか・・・そうするとそのまま食えるの?」

男「ああ。少しずつ口に含んで食べたり、湯や水をかけて食したらしい。お湯で戻すと、すこし固いが結構ちゃんと戻るぞ。アルファ米の元祖だな」

友「湯漬けを持てい!!」


301 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/27(月) 21:35:09 SFeiRyls
男「でも、どうしようもないって時は生米のまま食べることもあったようだ。ただ当然消化に悪いから、徳川家康なんかは『生米のまま食うな腹壊すぞ。せめて水に30分くらい浸しておけ』と将兵に指示したそうだ」

友「さり気ない気配りできちゃう系武将とか素敵。そりゃ天下取りますわ」

男「実際彼は三方原の戦の撤退時に腹壊して馬上でやらかしたって話もあるんだよなぁ・・・」

友「えっマジで・・・お馬さんかわいそう」(小並感)

男「あとは、餅とか煎餅、団子や粽なんかも米を加工して主食を携帯しやすくしたものだな。これらは戦陣の中で食することから陣中食と呼ばれている」



302 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/27(月) 21:35:53 SFeiRyls
友「陣痛sy・・・陣中食・・・」

男「噛むなよ・・・通常、足軽はこれらの主食の他に、芋がら縄など2~3日分の食料を携行するのが常だったそうだ」

友「芋がら縄?」

男「ずいき・・・里芋なんかの茎を、味噌で煮しめてから作った縄だよ」

友「なんで縄にする必要なんかあるんですか」


303 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/27(月) 21:37:16 SFeiRyls
男「そりゃ、腰なんかに結んでぶら下げておけば携帯に便利だし、本当に縄の代わりにも使えるしな。芋がら縄を食べるときは、必要な分だけを切り取って水で煮込むという」

友「ほーん、味噌汁みたい」

男「そういうこと。言ってみればインスタントみそ汁の元祖って感じかな。実際、食べられるものだけで作られてるわけだし」

友「でも、当時は今みたいに飯盒とか無かっただろ?煮炊きったって、鍋とかどうすんの」

男「んー、鍋が無いときは鉄製の陣笠なんかで煮たみたいだけど」

友「なんか謎の塩味しそう・・・」


304 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/27(月) 21:38:36 SFeiRyls
男「あと、さらっと言ったけど味噌なんかも当時は貴重な陣中食だ。良質なタンパク源ともなりうるし、各大名は兵糧のためのみならず重要な経済政策の一つとして味噌作りを行った」

友「確かに保存が効く調味料だもんなぁ」

男「いや、当時の味噌は調味料ではなく豆を塩漬けにした保存食という認識だったようだ。信長が桶狭間パーティーの前に敦盛を舞った後に食べたとされる湯漬けの付け合せの焼き味噌も、当時の味噌の食べ方としては広く普及していたという」

友「桶狭間パーティーwwwDJとか出てきそうwwww」

男「現在、日本各地で仙台みそや三州みそなど特色のある味噌が生まれたのはこのためと言われている。実際、手前味噌という表現が生まれたのもこの頃だそうだ」


305 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/27(月) 21:39:19 SFeiRyls
友「なるほど・・・確かに味噌って、地域によって、というより家庭によっても違うよな。ウチは大体合わせだったけど」

男「それは当時からあったようで、武将たちは『汁講』といい、客人を呼んで自前の味噌を振る舞ったらしい」

友「自前の味噌」(意味深)

男「まあお茶会の味噌汁版ってとこかな・・・招かれた物は、白飯だけ持って呼ばれた家の味噌汁を賞味したらしい」

友「そなたの味噌汁を毎日飲みたい・・・よっしゃ!ホモスレやんけ!!」

男「まぁ実際衆道は認められてたし多少はね?」


306 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/27(月) 21:41:14 SFeiRyls
友「あとえーっと・・・あれだ、ほうとうなんかも武田信玄が戦の最中に食べてた!とか言ってるじゃん」

男「ああ。こういった鍋料理は調理も簡便で様々な食材を摂取できるうえ、加熱することから食中毒の心配も少ないしまさに兵食に好都合なんだろう。実際、近代にいたるまで洋の東西を問わずこういったごった煮料理は軍隊で広く採用されている」

友「シチューとかもある意味そうだもんなぁ」

男「これに伴い携帯した米や味噌の他に、現地で調達した野草や鳥獣肉なんかも兵たちの口に入ったようだ」

友「はぇ~・・・やっぱ保存が効かない分、現地調達だったんだなぁ」

男「あとは海産物を保存するための醤油漬けから生まれた山梨の煮貝や、不足しがちな米を小麦粉で補った青森や岩手の南部せんべいなど、地域の名物がまんま当時の兵食がルーツだったりするしな」


307 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/27(月) 21:42:18 SFeiRyls
友「郷土食ってのが、まんま戦国時代から受け継がれてるパターンなわけか」

男「あと面白いところで言うと、地方色のある陣中食として『えのころ飯』ってのが最近有名になってきてるな」

友「あぁ・・・ドリフターズで豊久が犬の腹かっさばいて云々っていってたやつ・・・」

男「そうそう。捕えたえのころ(犬っころ)の内臓を取り除き、中に米などを詰めて蒸し焼きにする薩摩の料理ということらしい」

友「昔は犬って普通に食ってたんだよなぁ・・・今じゃもう愛玩用のイメージが強すぎて無理だけど」

男「えのころ飯の動物の腹に野菜などを詰めて蒸し焼きにする調理法については、ハワイのカルア・ピッグなどのポリネシア文化圏でよく用いられる調理との類似性を指摘する声もある」


308 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/27(月) 21:43:18 SFeiRyls
友「カルア・ピッグ?」

男「伝統的には、バナナの葉にくるんだ豚肉を土の中で蒸し焼きにする料理だ。このほかにも、ポリネシア文化圏の島々には猪や野鳥などの野生動物の腹に米や芋などを包んで蒸し焼きにする料理が散見される」

友「島津家はポリネシア人だった可能性が微レ存・・・?」

男「実際ポリネシア人のルーツは台湾にあると言われている(ラピタ人)が、そうでなくとも遠洋航海技術を持つこれらの人々が南日本を含む各地に訪れ、こういった料理が伝播していった可能性はあるかもしれないな」

友「はぁ・・・でもなんでまた腹の中に色々詰めたがるんですかね・・・」

男「生物って基本水分を多量に含んでるし、その血や肉汁は栄養豊富だから、恐らくそれらを無駄にしないよう野菜に吸わせて一緒に摂取するのが目的なんだろう」


309 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/27(月) 21:43:52 SFeiRyls
友「そういう意味では合理的な調理ってことなのかなぁ・・・」

男「逆に西洋なんかは臭み消しのためにハーブ類を入れることが多いけど。元々こういう島嶼部って水や食料が貴重だから、それを無駄にしないっていうのが最大の目的だったんじゃないかな」

友「確かに南国って食糧豊富なイメージあるけど、農耕もできない島の中じゃ果物や魚くらいしか食うもんないもんなぁ」

男「ただ温暖で気候が安定してる分、農耕ができる用地と土や水さえ確保できれば通年食糧が確保できる無敵状態なんだけどね」

友「日本じゃ秋の1ショットでしか米獲れないもんなぁ、基本」


310 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/27(月) 21:44:42 SFeiRyls
男「だから当時の戦は基本農閑期、つまり米作が行われない時期に集中して行われていた。これは兵力の中心となる足軽が基本的には農民であり、春秋については兵糧のための米を確保する必要があったからだった」

友「まぁ確かに、腹が減っては戦はできぬっていうしな」

男「青田刈りって言葉があるだろ?あれは元々、稲刈り前の稲が青い状態の時に穂を刈り取ってしまう嫌がらせのことを言っている」

友「兵糧攻めとかやられたら敵いませんわ」

男「兵糧攻めをする場合は他にも事前に商人を通じて食糧を買い占めたり、農民を暴行し攻城対象の城内に追い込むようなこともしたらしい」


311 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/27(月) 21:45:14 SFeiRyls
友「確か秀吉が得意だったんだよなぁ・・・」

男「高松城の水攻めとか有名だね」

友「しかも城の中は阿鼻叫喚だったらしいじゃん。食うもの無くなって木の皮や死体まで食ったんだろ?」

男「ああ。攻城戦は戦闘での死者が少なくなる代わりに、女子供まで容赦なく死ぬことからそう言う意味では非常に凄惨な戦法と言えるな」

友「ヤバいヤバい・・・お前と一緒にいたら俺食べられちゃう」ガクガク

男「籠城3日目くらいで石ゴッ」


312 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/27(月) 21:45:53 SFeiRyls
男「で、そんな籠城戦を考慮して、加藤清正は熊本城のいたるところに籠城に備えた食糧を備蓄していたらしい」

友「さっき言ってた糒とか味噌とか?」

男「それに加え清正は城の畳に芋がらを詰め、土壁の中には干瓢を埋め込んだという。いわば、城自体が一部食べ物でできていたわけだ」

友「ヘンゼルとグレーテルと清正」

男「さらに城内には120を超える井戸が掘られ、植えられた木も成長が早く、薪として使用することを考慮していたという」

友「はぇ~すっごい・・・」


313 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/27(月) 21:46:26 SFeiRyls
男「あとこの時代で有名なのっていったら、やっぱ兵糧丸だろう」

友「おー、あの一粒食うとお腹一杯になる忍者がもってたやつ!!」

男「実際、そんなにすごいもんでもないけどな。米粉などの穀物を製粉したものに、鰹節や蜂蜜、木の実などを練り込んで団子状に丸めたものだ。当然、これ一粒で腹が膨れる訳もない」

友「(夢が壊れて)悲しいなぁ・・・」

男「兵糧丸は特にカロリーの摂取に重きを置いている。基本的には米軍のエマージェンシーレーションのような非常食扱いだ」

友「そういや某地獄先生でこれ食って腹に虫がわく話とかあったよな・・・」


314 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/27(月) 21:47:02 SFeiRyls
男「あとは似たようなものに『水渇丸』という、梅干しを団子状にして乾燥させたものがある」

友「水渇丸?」

男「この頃の梅干しは食用とともに薬用としても使われていたからな。水渇丸は塩分摂取の他、水のないところでこれを見て、出てきた唾で喉の渇きを沈める目的で使われていた」

友「すッッッッぱいッッッ!!」

男「巨大カマキリと戦うつもりか」


315 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/27(月) 21:47:44 SFeiRyls
男「ちなみに高校時代、友達と兵糧丸をつくったことがあるんだけどな」 ※実話です

友「どんな高校生だよ」

男「まぁ結果としては小麦粉に様々な物を混ぜて揚げ焼きした、『悪ふざけボール』と呼ばれる謎物体が爆誕したにすぎなかったわけだが」

友「何ちゅうネーミングセンス・・・」

男「あの直径3cmに満たぬ球体の中に『美味い』以外の全ての味が含まれていた。しかも食うと何故か酔っ払う」 ※リキュールが大量に入っていた模様

友「完全に毒物のジャンルじゃねえか」


316 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/27(月) 21:48:17 SFeiRyls
男「さすがにそのまま捨てるのは忍びなかったから、最終的にはほぐしてフナ釣りの餌にしたんだがこれが爆釣でな」

友「兵糧丸=練り餌説」

男「まぁ基本的には炭水化物だし・・・フナなんて米粒でも釣れるからな」

友「絶対食いたくないそれ」

男「えー、非常に残念ですが、本日ここに実物をご用意いたしております」

友「えっ」



317 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/27(月) 21:48:52 SFeiRyls
男「なお、本品は当時のレシピを忠実に再現しております」

友「ちょ・・・『当時の』ってどっちの当時だよ!?戦国時代か?お前の高校時代のほうか!?」

男「後者だ」

友「」

男「ホラホラホラホラ・・・」ムギュー

友「ちょっ、やめっ・・・ムグォ、アッー!!」ヴォエ

-戦国時代の食事編 おわり-


318 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/27(月) 23:44:12 1YkrnzD6



319 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/28(火) 00:48:25 GjUISFrA

芋がら縄は忍たまで見た記憶があるな
兵糧丸は三年ぐらい熟成させるとか書いてたような、そんな小学校時代の思い出


320 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/28(火) 13:36:33 l4NAfuJo
腹に虫が涌いたあの団子って兵糧丸だったのか……


321 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/28(火) 17:02:28 bKa6qrHg
なぜそっちを再現したし



322 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/28(火) 20:02:06 1CmDM0rs
なるほど、ここから淡々と魚の話に繋がっていくのか(邪推)


323 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/30(木) 20:53:17 lFcpueaI
参考にするからその兵糧丸レシピ教えてくれ(作るとは言っていない)


324 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/11/11(火) 19:49:37 7EG8e0DE
>>322
なるほど、そうだったのか

>>323
男子高校生の兵糧丸(意味深)レシピ

材料:
 小麦粉
 片栗粉
 塩
 砂糖
 ごま油
 ヨモギ(ほうれん草で代用可)
 卵白
 梅干
 (以下、主犯格の男の供述による)
 ケチャップ
 ウスターソース
 オレンジリキュール
 バニラエッセンス
 歯磨き粉
 引出しに入っていた謎の粉
 ミキサーで粉砕した何か
 毛


325 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/11/11(火) 19:50:17 7EG8e0DE
作り方
 ①小麦粉に片栗粉少々と水を加え練り込みます。(耳たぶよりちょっと固い程度を目指します)
 ②半分程度練ったところで卵白、茹でたヨモギと種を外した梅肉をいれ、砂糖、塩、ごま油で味を調え練り込みます。
 ③練り終わったら、直径2~5cm程度の団子状に丸め、ラップの上で乾燥させます(2時間程度)。まずは2~3個作って様子をみたほうがよいでしょう。残った生地は冷蔵庫に入れておきます
 (乾燥中、皆が目を離している隙に残りの材料を生地に練り込んでおきます)
 ④乾燥させた兵糧丸をフライパンやオーブンなどで軽く焼きます。少し味気ないですが、香ばしくてなかなかいけます。
 ⑤出来を確認したところで、残りの生地を団子状にします。
 ⑥再び乾燥させ焼きます。そのケミカルな味に狼狽した後、パン粉等をつけて揚げ焼きにしてもよいでしょう。ダメなものは何をやってもダメという事実を痛感できます。
 ⑦小さく刻んで釣鉤につければできあがり!!たくさんフナがつれます。


326 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/11/11(火) 19:51:10 7EG8e0DE
-番外編 戦争期の民間人の食事編-

友「ヴォエ!!」

男「どうだまずいだらう」ホラホラ

友「やめてくださいよ本当に・・・食べ物を粗末にするなっておばあちゃんに言われただろ」

男「じゃけん全部食べましょうねー」

友「食えるか!!」


327 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/11/11(火) 19:51:53 7EG8e0DE
男「確かに戦争期の食料難を経験した人にとって、食べ物というのは俺達が思っている以上に思い入れがあヴォースゲー」モグモグ

友「あ、お前も食うんだ・・・」

男「多分だけど、この兵糧丸だって戦後の闇市とか持っていったら普通に売れるレベ・・・ヴォエ!!」オエー

友「お前何がしたいんだよお前」

男「やべぇ高校時代のいろんな記憶がフラッシュバックしたわ・・・」クラクラ


328 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/11/11(火) 19:52:40 7EG8e0DE
友「確かに、戦争中の食べ物の悲惨さについては教科書なんかでよく見るよな・・・すいとんとか、雑炊とか」

男「当時食糧を初めとした生活用品は全て配給制になっていたからな。とにかく生産した物資は全て軍隊優先とされ、民間人はその残りのわずかな配給で食いつなぐほかなかった」

友「確かに家庭菜園でサツマイモやカボチャなんか育ててたって、よく見るもんな」

男「特に顕著だったのが主食である米の制限だな。当時は玄米や、高粱や大豆が混ぜられたものを中心に配給されたという」

友「よく聞くけどそのコーリャンってなに?」


329 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/11/11(火) 19:54:19 7EG8e0DE
男「ああ、モロコシの実のことだよ」

友「あぁトウモロコシね・・・」

男「違う違う、モロコシ。同じイネ科だけど、トウモロコシとは全く別の植物だよ」

http://i.imgur.com/n74WUJF.jpg

友「なるほど、全然違った」


330 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/11/11(火) 19:55:24 7EG8e0DE
男「昔から食用や飼料用として世界各地で栽培されていた穀物だ。これを脱穀したものや、大豆を砕いた大豆殻なんかが玄米に混ぜられて配給されたらしい。目方を増やすためにな」

友「毎日混ぜご飯とかキッツイ」

男「実際にはこれら混ざった高粱や大豆殻は取り除かれ、残った玄米も一升瓶の中に入れて棒で突くなどして各家庭で精米していた」

友「でもさぁ・・・元々混ぜ物がある状態でも少ない量だったのに、そんなんで足りるのかよ?」

男「いやだから足りないんだって」


331 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/11/11(火) 19:56:35 7EG8e0DE
男「当時の節米の方法として、米を炊く際には国策炊きや楠公飯が推奨された」

友「何それ」

男「国策炊きっていうのは、米を炊く前に一度大量の湯で茹でこぼして吸水させてから炊く方法だ。これにより米が通常よりも大きく膨らむというわけだ」

友「へー」

男「で、楠公飯というのは、鎌倉時代の武将である楠木正成が考案したという玄米の炒り炊きのことだ。事前に炒っておいた玄米を吸水させて多量の水で炊くことで、こちらも見かけの量をふやすことができる」


332 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/11/11(火) 19:57:44 7EG8e0DE
友「ていうかそれ、結局は水なんだから摂取カロリーは変わらないよね」

男「ああ。だが当時は栄養の摂取よりもまずは当面の満腹感を得ることに誰もが重点を置いていた。それも、食料が減るにつれてそれらは鏡飯や蛍飯といった酷い有様になっていく」

友「なにそれ」

男「鏡飯っていうのは、器に自分の顔を映るくらい水の入った薄い粥。蛍飯は大量のヨモギやヨメナの中に僅かな米を入れ炊き上げたものだ。炊きあがると、これらの野草の間に僅かに米が覗いている姿が水辺の蛍のようなことからこう呼ばれている」

友「まずそう」

男「だから味より量重視なんだって」


333 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/11/11(火) 19:58:46 7EG8e0DE
男「そんな食糧難時代の外食を象徴するのが雑炊食堂と国民酒場だ」

友「雑炊食堂はなんとなく字面で分かるけど・・・国民酒場?」

男「当時、外食するには外食券という券が必要だった。これがないと、基本的には金があってもモノが買えなかったという」

友「ほー」

男「で、国民酒場では一人当たりに出す酒の量や肴の量が事前に決まっていたようだ」

友「券を出して金を払っても定量しか買えないのか・・・」


334 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/11/11(火) 19:59:59 7EG8e0DE
男「当時、国民酒場を切り盛りしていた人の話によると、酒といっても中で金魚が泳げるくらい薄い酒に、普段なら口にしないような得体の知れない下魚や鬆の入った大根の煮つけ、薄いつゆの中に数本のうどんの浮いた三味線うどんなどがほんの僅か供されていたらしい」

友「うへぇ・・・」

男「そんな状況だから、卓上の一輪挿しの花は格好のアテになったという」

友「目で見て楽しむんじゃなくてガチで食うのか」(困惑)

男「それでも当時は開店と同時に長蛇の列ができたという。中にはこれら供される肴を自宅の夕飯の副食に回すため、酒だけ飲んで並びなおすという人もあったようだ」

友「なんか主客転倒してませんかね」


335 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/11/11(火) 20:00:36 7EG8e0DE
男「雑炊食堂については言わずもがなだな」

友「はだしのゲンにも出てくるよな。『今日の雑炊は箸が立つぞ!!』っていって、列の並びで殴り合いの喧嘩するの」

男「箸が立つってことはそれだけで水分が少ない=米が多く入っているということだからな」

友「俺はサラサラの奴の方が好きだけどなぁ・・・」

男「そりゃ食糧事情のいい今ならな」


336 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/11/11(火) 20:01:45 7EG8e0DE
男「この当時の庶民の生活を記した資料は数多くあるが、『この世界の片隅に』という、こうの史代氏の漫画に出てくる食事は具体的な調理法まで記されていて各地で再現している人がいるようだ」

友「へー、どんなの?」

男「スギナ入りの芋餅や、大根とカタバミの和え物、煮干しの煮もの(梅干の種味)にスミレの葉の入った味噌汁・・・とか」

友「道草を食う」(直球)

男「当時は食べれると思われたものは何でも食べた。テニスコートや学校のグラウンドなど、少しでも遊んでいる土地があれば畑にされ、サツマイモやカボチャが栽培された」

友「やっぱり、食料は優先的に軍隊に回されるから配給が少なくなったわけ?」


337 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/11/11(火) 20:02:55 7EG8e0DE
男「そういう事だろう。しかも当時は主食の米ですら多くはは国外からの輸入だったし、海上封鎖されてしまえば後は国内生産分だけで賄う必要があるからな」

友「あれ?でも日本で唯一自給率100%可能なのが米って聞いたことがあるけど」

男「それは戦後の品種改良や農地整備、大量栽培のノウハウが蓄積された今の話だよ。当時なんて稲は手植えだし、しかも戦争で人手も減ってるんだからもう目も当てられないって」

友「田植えガンダム」

男「お前田植えってホントしんどいからな。あと収穫前の台風とか殺すマジ殺す倒れた稲起こすの大変なんだよあれ」ビキビキ

友「百姓かよお前」


338 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/11/11(火) 20:03:37 7EG8e0DE
男「まぁそんな状態でも、農村部をはじめ食糧もあるところにはあったらしい」

友「ほー」

男「この辺りについては古川緑波著『ロッパの悲食記』に詳しい」

友「すげぇ名前だなロッパって」

男「えっお前ロッパ知らないの?」

友「知らん」


339 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/11/11(火) 20:04:09 7EG8e0DE
男「エノケンも?」

友「うん」

男「アラカン(嵐寛寿郎)も!?」

友「アラウンド還暦かな?」

男「マジかよ、信じらんねぇ・・・これがジェネレーションギャップか」ガクガク

友「なにお前ひょっとして大正年間生まれか何かなの?」


340 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/11/11(火) 20:05:22 7EG8e0DE
男「・・・で、先述の非食記をみると都内でも独大使公邸や一部の料理屋には種類こそ少ないもののウイスキーを始めとした洋酒や肉類も置いてあったらしい」

友「隠してたわけか」

男「まぁ、公的機関以外で配給外の食料があればそれはヤミってことだからな。事実、こういった料理屋はロッパ氏に食材が入ったときの連絡に暗号を使ったり、表から目につかないところで料理を供したりする様子がこの本には書かれている」

友「そんなうしろめたいことなのか」

男「そらそうよ。国を挙げて統制してるんだから。他にも、ロケでいった農村部には酒や卵がふんだんにあり、地元の名士の家でご馳走が出てきたなんて記述もある」

友「ほほー」


341 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/11/11(火) 20:06:19 7EG8e0DE
男「そして意外と誤解が多いのは、実は本当に食糧確保が大変だったのは戦時下よりむしろ戦後の事だったんだよ」

友「確かに歴史の教科書で当時の闇市の様子とかちょっと書いてあったな。農村部にこっそりヤミ米を仕入れに行くとか」

男「一応食糧統制法なんていう法律もあったけど、戦後の混乱期にあってもはや配給なんてあってないようなもんだからな。実際、ヤミ物資を拒否して配給物資しか口にしなかった山口良忠って裁判官は栄養失調で死んでるし」

友「過酷だぁ・・・」

男「まぁつまり、同時期で生き残った人は確実に闇物資を食ってたってことだろうな。ぐっさんは食糧統制法は悪法だと断定しつつも、法である以上はそれに従わねばならないというまさに近代のソクラテスのような人物だ」

友「唐突なぐっさん呼ばわりに草を禁じ得ない」


342 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/11/11(火) 20:07:00 7EG8e0DE
男「で、当時のヤミ市は衣類や石鹸などの生活必需品なども売られていたが、やはり中心となるのは食べ物を売る店だった」

友「モノがない時代なのにどこから物資が出てくるんだか・・・」

男「だから言っただろ、あるところにはあるんだよ。特にこういう状況では一次産業は無敵だ」

友「一次産業ってぇと農家や漁師、か・・・確かに、人間が食うモンなんて結局は自然からゲットしたものなわけだしな」

男「こういった地方から人々は物資を抱えて闇市で売りさばいた。人々は給料の大半をはたいてこれを買ったり、衣服などの財産を少しずつ持出して物々交換したりしていたという」


343 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/11/11(火) 20:07:34 7EG8e0DE
友「闇市っていえば、哲也に出てきた銀シャリとかうまそうだったよなぁ」

男「闇市で売られていたものは様々あるが、どんな資料にも大体出てくるのがバクダンやカストリなどと言った密造酒と、銀シャリやいわしのバター焼き、そして栄養スープだな」

友「栄養スープ?」

男「別名、残飯シチュー」

友「ヴォエ」


344 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/11/11(火) 20:08:13 7EG8e0DE
男「当時、進駐軍から出た食べ残しなどを大きな鍋にぶっこんで、そこに大根やジャガイモなどをいれ中身を水増ししたスープが、どんぶり一杯10円程度で売られていたという」

友「国民総ホームレス時代」

男「残飯シチューには進駐軍の食べ残しの肉の切れ端やコンビーフなどが入っておりカロリーも高く、当時の餓えた人々にとってそのこってりとした味は非常にウケが良かったたらしい。中にはタバコの吸い殻やコンドームが入っていることもあったようだが」

友「ヴォエ」

男「そんなものでも食べなきゃ生きていけなかったってこった」

友「悲しいなぁ・・・」


345 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/11/11(火) 20:08:55 7EG8e0DE
男「だからさ、さっきの兵糧丸にしたってこんな状態の闇市に持ってったら普通に売れると思うんだよ」

友「多分個々の材料をそのまま売った方が売れると思うんですけど」(名推理)

男「ポポ分からない。小麦粉か何かだ」

友「どうすんだよ、これ」

男「うーん、またフナの餌にでもするか・・・」

友「結局食べ物を粗末にしてるよねそれ」


346 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/11/11(火) 20:09:30 7EG8e0DE
男「そんなことないぞ。これがフナの甘露煮に化けると思えば」

友「えっ」

男「ちょうど七輪もあるし・・・山本周五郎の青べか物語みたいに、日がな一日じっくり煮込もうや」ニッコリ

友「釣って食うのか・・・」(困惑)

-番外編 戦争期の民間人の食事編 おわり-


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