淡々と兵食の話するわ
Part3
124 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:28:52 p/7JO4os
-海上自衛隊編-
友「俺、小さくてかわいいものほんとすこ」
男「おまわりさんこっちです!!」
友「なんでや!!」
男「犯罪の芽は早めに摘まなきゃ」(使命感)
友「通報されちゃう、ヤバイヤバイ・・・」
125 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:29:36 p/7JO4os
http://i.imgur.com/xxShmg8.jpg
友「ほらこれ」
男「はやぶさ型ミサイル艇。全長50.1m、全幅8.4m、喫水1.7m、排水量200t、最高速力44kt、定員21名。主武装として90式SSM連装発射筒と76mm速射砲を装備し、これらを統制するTDPSにはOYQ-8Bを使用しリンク11に対応、既存の護衛艦だけでなくP-3C哨戒機や空自のE-767,E-2Cといった早期警戒機とも情報伝達が可能となっt」
友「そこまで詳細なディティール述べなくていいから」
男「この船がどうかしたのか?」
126 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:31:57 p/7JO4os
友「いやさぁ・・・こういう小さいフネにいろんな装備詰め込んでるあたりにロマンを感じるんだよね」
男「はい」
友「だってこれ、小さいだけでもうほぼ護衛艦とシルエット一緒じゃん!超カッコいいわ」
男「はい」
友「しかもこれで80km/hも出るってんだから、夢が広がりんぐですわ」(死語)
127 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:32:52 p/7JO4os
男「まぁその分居住性が犠牲になってるけどな」
友「まぁ・・・200tっていったら、ちょっとした遊覧船と大きさ変わらないしな」
男「一応、士官室や科員の寝台なんかも用意されてるらしいが、クッソ狭いうえに三段ベッド・・・俗にいう蚕棚らしい」
友「俺むしろ狭いところも好きだから全然問題ないわ」
男「お前ハムスターかお前」
128 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:33:51 p/7JO4os
友「しかし、そんなに狭いと潜水艦並みに調理が大変そう」
男「いやあんなに狭いと流石に調理室は載らないって」
友「あっ、ホンマ・・・」
男「それどころかギャレーと呼ぶのもおこがましいくらいの装備しかないらしいぞ。冷蔵庫と電子レンジ、あとポットくらい」
友「あ、でも大体俺の部屋の調理器具そんな感じだ・・・よし、問題ないな!」
129 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:35:13 p/7JO4os
男「まぁそんなわけで、はやぶさ型ミサイル艇も航空機みたいに基地で作った弁当を持ち込む必要があるという」
友「金曜カレーが食べられないね・・・仕方ないね・・・」
男「レンジがあるならボンカレーくらいできるんじゃない?」
友「http://i.imgur.com/WJIThLx.jpg」
男「ホーロー看板超懐かしい。これとオロナミンCのやつは鉄板だわ」
130 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:36:12 p/7JO4os
友「そういや、旧海軍では士官と兵は別々のものを食ってたって言ってたじゃん?やっぱ海自でも、そうなわけ?」
男「いや、現在の海自では通常士官も兵も同じものを食べてるらしい」
友「へーそうなの」
男「まぁ、器が変わるらしいがな。通常金属トレーを使う一般隊員に対して、士官はちゃんとした陶器の茶碗やさらに料理が盛りつけられるらしい」
友「ほほう」
男「あと、給仕係の隊員がつくみたいだな」
131 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:37:35 p/7JO4os
友「じゃあ、昔みたいにコックや板前みたいな民間人を乗せたりしてないんだ」
男「ああ。ただ、給養員も定期的に調理に関する訓練や教育を行っているわけだから、給養員長クラスともなるとそんじょそこらのシェフや板前に負けないくらいの腕前になるらしいが」
友「へー。退職後も安泰だね」
男「ああ。結構マジで除隊後に店を構える人も多いと聞くな」
友「やっぱ海は昔から食に命懸けてますわ」
男「まぁ航海中の楽しみっていったらそれくらいしかないからね。仕方ないね」
132 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:38:34 p/7JO4os
友「そういや、海軍の話してたときにも言ってたけど、今は食糧の保存技術が向上して潜水艦調理もかなり充実してるんだろ?」
男「ああ。それに逆浸透膜を使った脱塩装置が開発されたことで、通常動力艦といえども時には一般隊員まで真水のシャワーが使えるくらいにはなったらしい」
友「やったぜ」
男「それでも原潜なら、有り余る電力で海水を電気分解して真水作り放題なんだけどな・・・同じく酸素も作り放題だから、原潜内の空気は世界一清浄であるといわれている」
友「やっぱり原潜がナンバーワン!!」
133 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:39:43 p/7JO4os
男「さらに、真空パックによる食品加工技術やフリーズドライ技術も発達して、最近では航海の終わりに近づいても野菜を供することが可能になったという」
友「偉大な進歩だぁ・・・」
男「それにしても、やっぱり毎日パウチの野菜やフリーズドライが続くと食傷気味にはなるらしいけど」
友「そう?俺なんか別にカップ麺1ヵ月とか余裕だけどな」
男「お前いつか身体壊すぞ・・・ただ、確かに若い隊員には昔からそういう食べ物に慣れ親しんでるので、それほど苦には感じないという例もあるみたいだ」
134 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:40:37 p/7JO4os
友「まぁねぇ・・・別に毎食マックとかお菓子でもそんなに不満はないし」
男「ああ。だからむしろ、ちゃんとしたメシに対する欲求は昔の人のほうが高かったのかもしれない」
友「日本人は美味いもの食う事に命懸けてるフシがあるからなぁ」
男「実際、大戦時のドイツUボートなんかは毎日黒パンやサラミだけの生活でもそれほど苦にはならなかったようだ。粗食に慣れてるといったら失礼かもしれないがな」
友「いや映画のUボート見た限りじゃ結構なじり食いしてたぞぉ・・・」
男「そりゃまあ、あの環境ならな・・・飽くまでも日本と比べたらの話だよ。やっぱりどうしても新鮮な食い物は食いたいだろう。特にインド洋じゃ日本の潜水艦からもたらされたミカンに皮ごと齧りつく話もあるし」
135 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:41:55 p/7JO4os
友「で、今でもやっぱり潜水艦の乗組員が一番いいもの食ってるの?」
男「ああ。一人当たりの食費を見ると、やはり潜水艦乗組員が一番高くなってるな」
友「ほほう」
男「まぁ、さっき言ったように長期保存用に加工した食品の分の値段も入ってるから、単純にその分良いものを食ってるわけではないだろうけど」
友「なるほど」
136 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:43:24 p/7JO4os
男「それでもたまには艦内でステーキなんかが出たりするらしいぞ」
友「そういや沈黙の艦隊でもやまとがニューヨーク入る前に乗組員に食わせてたな」
男「海自の潜水艦では基本、飽きを来させないために質素な食事と豪華な食事が交互に出されるらしい」
友「へぇー」
男「例えば夜がトンカツなら、その日の昼飯はソバといった具合だな」
友「なるほど・・・トンカツは豪華枠なのか」
137 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:44:58 p/7JO4os
男「ところでまたウンコの話するけどさぁ」
友「おういきなりビーンボール投げるのやめーや」
男「潜水艦で出た排泄物とか生ごみってどうしてると思う?」
友「えぇ?そりゃー・・・タンクに詰めて、基地に持ち帰ってるんじゃないの?」
男「No」
友「おぉ、もう・・・じゃあ選択肢一つしかないじゃないですか!!」(半ギレ)
138 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:46:14 p/7JO4os
男「大丈夫だ、表向きは君の言うとおり基地に持ち帰ってることになってる」
友「全然大丈夫じゃないんですがそれは」
男「まぁでも残飯やウンコみたいな有機物は魚のエサになるから・・・一応、一部のゴミは錘をつけて浮いてこないようにしてるらしいけど」
友「ヴォエ!!」
男「潜水艦の調理で出た生ごみはディスポーザーっていうミキサーみたいな機械にかけて細かく粉砕してるみたいだがな・・・まぁ、生ゴミや排泄物みたいな臭うし無駄に容積を食う搭載物をわざわざ貴重な電力を使って冷凍処理したうえで港に持ち帰ってるかというと」
友「やめてくれよ・・・」(絶望)
139 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:46:55 p/7JO4os
男「別に潜水艦や艦艇に限らず、つまるところ海っていうのは地球上の全ての汚濁が行き着くところだからな」
友「いやそれはそうだけど」
男「だから、正直海水を脱塩して飲んでもなんだかぬるりとしててそんなに美味くないらしいぞ」
友「ヴォエ!!」
男「ということで膜で脱塩した真水は、護衛艦に搭載されるヘリの洗浄や艦内シャワーなどの生活用水に優先して使われるようだ」
140 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:47:32 p/7JO4os
友「おれもう海水浴行けない・・・」
男「なに、心配するな。薄まってるから」
友「薄まってるから何なんですかねぇ・・・」
男「大丈夫だ。表向きには港に持ち帰ってる。広報を信じろ」
友「なんてことだ・・・なんてことだ・・・」
男「まぁ、よっぽどのことが無い限りプラスチックみたいな自然に還元しないゴミだけはなるべく港に持ち帰ってるみたいだけど」
141 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:48:28 p/7JO4os
男「・・・あ、で潜水艦のメシだけどさぁ」
友「お前メシの話の合間にウンコの話はさむのやめろよ。俺じゃなきゃ殴られてるぞ」
男「バーカ・・・お前じゃなきゃこんな話しねえよ・・・」
友「えっ・・・」キュン
男「いや実際お前ぐらいだろこんな話だらだら聞き続けるような暇な奴は」
友「なんだおい喧嘩売ってたのかおい」ビキビキ
142 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:49:12 p/7JO4os
男「で、潜水艦のメシだけど、基本海自の給食は艦ごとに実施される」
友「はい」
男「それは入港中でも同様だ。だから、乗組員が研修などで上陸する場合は艦内で弁当が作られる」
友「マジで?基地で食えばいいのに・・・」
男「まぁ軍隊じゃ員数というか帳尻合わせが全てだからな。例えどんなに基地内の食事が美味そうでも、潜水艦乗組員は艦内弁当を食べる事になるわけだ」
143 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:51:13 p/7JO4os
友「せっかく陸に上がったのになぁ・・・旧海軍でそれやったら暴動が起きそう」
男「まぁ、土を踏んで外の空気が吸えるだけ御の字よ・・・ちなみに空自の機上食と違って、海自の弁当は基本基地で製作した調理がそのまま弁当に入ることが多いらしい」
友「なるほど、ウチの母ちゃんは海自式だったのか」
男「長期哨戒にあたるP-3Cなんかも、基地食を詰めた弁当にお茶や味噌汁が付く程度みたいだな。最近は外注品が増えてあまり評判がよくないとも聞くが」
友「軍隊って自分とこのメシ大好きなんだな」
男「外注品はどうしても納入コストの兼ね合いで内容がしょぼくなるからね、仕方ないね」
144 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:52:35 p/7JO4os
男「それに、最近では保存技術が発達したおかげで航海中でも刺身とかの生ものの提供が可能になったらしい」
友「あれ?自衛隊じゃ釣りはしないの?」
男「あ、当然旧海軍から連綿と受け継がれてるぞ、F作業は」
友「F作業のFって、やっぱFishingのF?」
男「でしょうね」
友「うーん、艦ごとにシマノ派とダイワ派の戦いがあったりして。。。でも、それで魚釣ったら刺身なんて食い放題じゃん」
145 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:53:51 p/7JO4os
男「いやそれがな、南方海域では寄生虫やシガテラ毒を持った魚が多いから、乗り込んだ医官が釣った魚を検品するらしいんだよ」
友「ほう」
男「で、そこで1匹でも寄生虫なんかが確認された日にゃ、その時点でもう釣った魚は一口も食べることはできないという」
友「火を通せば大丈夫だろうに・・・もったいねぇなぁ・・・」
男「『自分らで釣った魚を食って食中毒になりまんた』なんてことになったらシャレにならんからな」
146 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:55:21 p/7JO4os
友「でも、概要航海中ならいろんな魚が釣れそうだよなぁ」
男「あー、嘘かホントかは分からんが、昔硫黄島基地に配備されてた哨戒ヘリから冗談のつもりで疑似餌を垂らしたらガッツリマグロが掛かったらしくてな」
友「なにそれすごい」
男「あまりのデカさに人員収容用のホイストでも揚げられないってんで、そのまま硫黄島の海岸まで引っ張って行って釣り上げたらしい」
友「松方弘樹もドン引きの豪快トローリングですわ」
147 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:56:46 p/7JO4os
>>146
×概要 ○外洋
男「外洋航海といえば、92年にPKOでカンボジアに派遣された輸送艦みうらは、結構大変な思いをしたようだぞ」
友「へー。前のC-130とちがって食い物なんてしこたま詰めるだろうに」
男「いやそうじゃなくて。みうら型輸送艦って、LSTっていう砂浜にドーンと乗り上げて戦車とかを降ろすための船なんだよ。ちなみにこれをビーチングという」
友「はぁ」
男「そのため、船底が普通の船とちがって平底なわけ」
148 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:57:36 p/7JO4os
友「何の問題ですか?」
男「通常、艦船の船底ってのは波の力を受け流すように船底に向かって逆三角形になるような形になってる」
友「うん」
男「さらに、モノによっては船体にビルジキールやフィンスタビライザーっていう出っ張りをつけて、船の揺れを抑制してるわけだ」
友「ほほう」
149 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:58:27 p/7JO4os
男「でも、このみうら型にはビーチングの邪魔になるこれらの装備はつけられない。おまけに平底の船体は下方向から容赦なく波に叩き付けられる」
友「つまり・・・」
男「めっちゃ揺れるよ!!」
友「だろうなぁ・・・」
男「状態としては風呂に浮かべた洗面器と変わりないからな。おまけに輸送艦だから搭載物で重心も高くなってるし」
友「聞いただけで船酔いしそう」オエ
150 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:59:20 p/7JO4os
男「実際乗り込んだ陸自の隊員たちも、折しも通りかかった嵐で荒れ狂う東シナ海上で『降ろしてくれぇ』『殺してくれぇ』と懇願していたらしい」
友「かわいそう」(小並感)
男「いくら精強を誇るレンジャー隊員とはいえ、船酔いの前では無力なのである」
友「なんとか船酔いをしなくなる方法はないんですかねぇ・・・」
男「一応旧海軍から受け継がれてるとっておきの秘法があるらしいけど・・・」
151 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:59:50 p/7JO4os
友「へー、どんな?」
男「例え船乗りとはいえ、やっぱり最初は船酔いすることもあるわけじゃん?」
友「そりゃまぁ、その辺は個人差だろうし」
男「で、当然船酔いMAXになると催してくるわけじゃん?」
友「えぇ・・・またそういう話・・・」
152 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:00:28 p/7JO4os
男「そうなったら、まずは自分の被ってた帽子の中にとりあえずぶちまける」
友「なんでトイレ行かないんですかね・・・」
男「・・・そしたら、その帽子の中に溜まったそれを、ズズッと飲みk」
友「ヴォエ!!」
男「いや、汚い話だけど本当に旧海軍から海自までずっと受け継がれてる話なんだって」
友「ヴォエ!!」
153 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:01:30 p/7JO4os
男「・・・実際、先のみうらに乗り込んでた海自隊員の中にも、それをやってから一度も船酔いしなくなったという体験談を語ってた人がいたらしいし」
友「やめてくれよ・・・」(絶望)
男「元々そんな船に外洋航海をさせる政府にも問題があったといえる。まぁ当時は国外派兵にも慎重だったし、おおすみ型みたいな高性能の輸送船も無かったからしょうがない面もあるが・・・」
友「きたない」(確信)
男「そうは言っても、船が揺れる物である以上、海軍と船酔いは切っても切れない関係だしな」
154 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:03:22 p/7JO4os
男「そういったわけで、海軍の調理鍋や味噌汁椀には半分しか中身を入れないようにしている」
友「あぁ・・・揺れでこぼれないように?」
男「そうそう。食堂のイスなんかも、テーブルに引っかけて固定できるようになってるしな」
友「そんなに揺れるのかよ・・・」
男「そりゃお前、一旦外洋に出ちまったら民間船が欠航になるような波でも航行続けるしかないしな。実際旧海軍の駆逐艦は、設計段階で傾斜110度でも転覆しない復元性を確保している」
155 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:04:01 p/7JO4os
友「傾斜110度って・・・」
男「船が完全に海面に横倒れになった状態が傾斜90度。さらにそこから+20度ってことは、艦橋なんかの艦上構造物は海の中ってことになるな」
友「」
男「実際、20度くらいまでならちょっとした嵐でもちょくちょく傾くらしい。大体スキーのゲレンデでいうと中級者コースくらいかな」
友「まっすぐ立っていられない」
男「実際、柱にしがみついてメシ食うらしいしな。そんな中でもメシを炊き上げる給養員さんはえらい」
156 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:04:41 p/7JO4os
友「ところで・・・海上自衛隊にもギンバイってあるの?」
男「あー、元自衛官の話を聞く限りじゃ普通にあるみたい。まぁ昔みたいに一般隊員にまでまんべんなく横行してるのかは分からんが、機関科と補給科の関係は昔とそれほど変わってないようだ」
友「機関科?なんで機関科?」
男「前にも言った通り、艦内の調理は全て機関から回される蒸気でつくるからな」
友「はぁ」
157 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:05:33 p/7JO4os
男「海の男の艦隊料理の著者、高橋先生も書いているように、補給科、つまり主計兵や給養員は機関科にこの辺の依頼をするときに色をつけるのが普通だったらしい」
友「どういうこと?」
男「つまり、何か食い物持ってって機関科の機嫌をとらないと蒸気融通してやんねーよ、ってこと」
友「えぇ・・・」
男「実際調理ができなけりゃ怒られるのは補給科の人員だしな」
158 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:06:08 p/7JO4os
友「足元見てるなぁ・・・」
男「ま、そういうところも軍隊の日常ってやつじゃないの。伝統墨守・唯我独尊の海上自衛隊らしいよ」
友「そういや、なんで海自はそんなに海軍とつながりが深いんだろうな?」
男「そりゃ、前にも言いた通り海軍ってのは巨大な技術者集団だからな。一旦解散してするとすぐに再生するのは不可能だし、戦後も復員や掃海のためにこれらの技術が必要だったから、旧海軍の技術・風習が途切れることなく続いてるんだよ」
友「なるほどー・・・伝統墨守・唯我独尊ね・・・」
159 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:07:05 p/7JO4os
男「ちなみに陸自の場合は、一旦解体されつつも戦後警察予備隊として米軍に倣った組織を作り上げる中で、旧軍からの文化や価値観を捨てきれなかったことから『用意周到・頑迷固陋』といわれている」
友「がんめいこずい?」
男「頑固ってことだよ。まぁ最近じゃ、陸軍悪玉論も薄れ始めて旧陸軍の良い文化も取り込み始めてるみたいだけど」
友「へー・・・じゃあ、空自は?」
男「戦後、陸海軍の航空部隊関係者を集めて組成され、米空軍と共に発達してきた空自のフレーズは『勇猛果敢・支離滅裂』だ。実際、発足当初はアメリカの様式を積極的に取りいれつつ、さらに内部では陸海軍出身者同士の確執があったことからこういわれている」
友「各自衛隊の長所と短所を表してるわけか・・・うまいこと言うもんだ」
-海上自衛隊編 おわり-
160 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:15:24 p/7JO4os
-番外編 南極観測隊の食事-
男「そういや、南極観測船もあれ海自の艦なんだよね」
友「あ、そうなの・・・たしか、『しらせ』だったっけ?」
男「そうそう。今のは2009年に就航した2代目だけど」
友「あのオレンジの船だよね?まぁ南極までいくんだから軍艦くらい出してもおかしくないか・・・」
161 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:16:26 p/7JO4os
男「まぁ実際に建造費用を出したのは文科省で、運用を防衛省がやってるって感じだけどな」
友「じゃあ武装とかはないんだ?」
男「艦固有の兵装って意味ではな。ただ、艦内には海賊対処用の64式小銃や9mm拳銃が積み込まれている」
友「へー」
男「さらには南極沿岸から内陸部への輸送用に、大型ヘリ2機と小型ヘリ1機を搭載している」
162 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:18:12 p/7JO4os
友「もはやDDHを上回る搭載量ですやん・・・」
男「まぁ実際海自の中ではデカイ艦ベスト3に入るし・・・ちなみにお台場にある船の科学館に係留されている初代南極観測船『宗谷』は、現存する唯一の旧帝国海軍艦船だ」
友「マジで!?」
男「ああ。大戦中は戦地を転々とし、潜水艦から魚雷攻撃を受けるものの不発のため生き残った幸運艦だ。今でも船籍を有しているため、必要があれば舫を解いて航行することもできる」
友「すごい」(小並感)
163 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:20:08 p/7JO4os
男「で、毎年この南極観測船は、南極に滞在する研究者の人員交代と補給のため、南極と日本の間を行き来している」
友「年一本の定期連絡船か・・・」
男「特に積み込まれる食材については、相当いいものが積み込まれるらしい」
友「例えば?」
男「和牛サーロインとか、イセエビとか・・・中には熊の掌や燕の巣みたいな超高級食材もふくまれてるらしい」
164 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:22:25 p/7JO4os
友「マジで!?」
男「でも、どれも冷凍だし南極じゃ生野菜も不足するし、どんなに高級な食材が有り余っていも越冬隊の人々を食傷気味にさせないためには相当な苦労を要したらしい」
友「えー、そうなん・・・?」
男「面白南極料理人で有名な西村淳氏の著書をみると、イセエビの身ですり身団子とか作ったみたいだ」
友「もったいないお化けがでそう」
男「ちなみに、彼の手記によると、南極観測隊に一番需要があった食材がラーメンを始めとした麺類だったようだ」
165 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:23:23 p/7JO4os
友「ラーメンは人類の永遠の口の友って、はっきり分かんだね」
男「持ち込んだ麺がすぐに底をついたため、基地に合った小麦粉に鹹水の代わりにベーキングパウダーを入れるなどの工夫をして、なんとか麺を作った話なども紹介されている」
友「大変な話だ・・・」
男「特に南極における調理では、絶対的に真水が不足するという」
友「えっ」
166 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:24:24 p/7JO4os
男「そのため、先の西村氏も元は海上保安庁の主計出身者だ」
友「ちょっと待って。周りにあんなに雪や氷があるのに水が不足するってどういうことなの・・・」
男「たしかに一見水なんて無尽蔵にあるように見えるけど、それってどうやったって一回溶かさないといけないだろ?」
友「はぁ」
男「南極じゃ常時零度を下回る気温なわけだ。つまり、放っておくだけでは氷は融けない。それどころか、食材を凍らせないために冷蔵庫を使うくらいだからな」
167 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:25:20 p/7JO4os
友「(溶かせば)いいじゃん」
男「簡単にいうけど、結構な重労働だぞ。水は個体になると体積が1割増しになる。つまり、1立方の水が欲しければ、1.1立方の氷が必要になるわけだ」
友「せやな」
男「さらに氷塊ならともかく、雪となるともっと膨大な量を集めなければならない・・・さらに、それを溶かすのに必要な燃料は水を作るだけでなく、基地の暖房や雪上車の稼働などに使わねばならない貴重なものだ」
友「なるほど・・・確かに、思ったより大変そう」
168 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:27:10 p/7JO4os
男「しかも旅行・・・という名の雪上車に乗って何千kmも奥の内陸部へ向かう冒険ことだが、この間は調理器具なんて雪上車に搭載されるレンジと電熱器くらいしかないわけだからな」
友「大変だぁ・・・」
男「とりあえず、水については電気炊飯器の中に雪を放り込んで作っておくらしい」
友「ていうかそれ、まともな調理できないだろう」
男「ああ、だから先の西村氏も、旅行中は肉に食用油をかけて表面だけ燃やしたのを牛のタタキ、レンチンした魚に焼いた金串で焼き目を付けたものを焼き魚といって供するなど、半ばヤケクソの料理を作るほかなかったらしい」
友「草を禁じ得ない」
169 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:28:31 p/7JO4os
男「だがそれも、南極観測船がやってきてヘリによる補給が始まると状況が一転する」
友「ほう」
男「しらせの艦内でつくられた大量のステーキなどの食糧が、毎回食事の度にヘリによって運ばれてくるという」
友「随分豪華なデリバリーだなおい」
男「そんな状況でも相変わらず水は貴重品なわけで・・・南極観測隊に同行したカメラマン宮嶋茂樹氏は手記のなかで『都会じゃ滅多に口にできんモンが食えるかわりに、水が使えん・・・』と嘆いているな」
170 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:29:06 p/7JO4os
友「うーん、皮肉な話だなぁ・・・」
男「あ、ちなみに昭和基地には南極観測船が来れなかったときのために小銃が置いてあるらしい」
友「えっ」
男「いざとなったらペンギンやアザラシ撃ち殺して食べよう」(ニッコリ)
友「蛮族かな?」
男「まぁしらせが南極まで行けない状況ってそれもう尋常じゃない事態だと思うけど」
171 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:30:15 p/7JO4os
友「でも南極とか行くの大変そう・・・」
男「実際、南極に近づくとに通貨する緯度30度~60度の間の海域は、赤道付近で暖められた空気の循環と地球の自転の影響でとんでもない偏西風が吹きつけるという」
友「恐い」
男「その緯度が高くなるにつれて徐々に強さを増す風の様子から、南極周辺海域は緯度ごとに『吼える40度』『狂う50度』『絶叫する60度』と呼ばれている」
友「やべぇラスボス感ハンパねぇ・・・フリーザ様みてぇ・・・」ガクガク
172 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:30:46 p/7JO4os
男「ところで、南極観測隊のお土産で人気な商品ってなんだか知ってるか?」
友「おぉー、確か前に南極の氷が大人気ーってテレビかなんかで言ってたな」
男「ああ。それと双璧を成す人気お土産が、ニッカのコンク・ウィスキーだ」
友「コンク・ウィスキー?」
男「南極観測隊用に納入される濃縮ウィスキーのことだ。通常のウィスキーのアルコール度数が40%程度なのに比べ、コンク・ウィスキーでは60%のアルコール度数を誇る」
友「アカン火ぃ吹いてまう」
173 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:31:30 p/7JO4os
男「しかも、南極観測隊用にしか製造されないから、国内で製造されているにも関わらず一般では入手不可能という代物だ」
友「ニッカの工場とか行ってもないの?」
男「少なくとも、余市の蒸留所には売ってなかった」 ※実話です
友「へぇー・・・ていうか、それだけ度数が高ければ、酒税とか高そう」
男「南極には法律がないので免税です」
友「やったぜ」(ガッツポ)
-番外編 南極観測隊の食事 おわり-
174 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:32:15 p/7JO4os
つぎ陸自いきます
カンメシとパック飯の話はやる 絶対やる
175 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:34:31 ke/nTpKg
パック飯は人類史上最大の発明
炊くのダルいから重宝してる
176 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/09(木) 00:12:53 VJS4T2JY
おもしろい(小並感)
ダルくても米食うあたり>>175は日本人
177 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/09(木) 00:39:13 PuLpC9nQ
>>176
配食で決まってるんじゃないですかね・・・(小声)
178 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/09(木) 08:33:34 DnmfWFfY
乙
ところで同じ1500年代でも中世ヨーロッパのミリメシってどんなだろうね
179 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/09(木) 16:41:01 x.Zo/ahw
>>123
海と空は基地って言うけど陸は基地って言わないぞ
俺の知る限りだけど
どんなレーションよりも天幕で食べるチキンラーメンには勝てない
180 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/09(木) 17:13:07 3hRk00NE
潜水艦の話まで読み終わったけどおもろい
支援
181 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/09(木) 18:09:26 Cy8u0/UI
面白いな
レトルトカレー飲むとかおまおれ
182 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/09(木) 21:50:45 PuLpC9nQ
>>179
指摘thx
確かに陸自の施設は駐屯地です
作中では特に厳密に表記を分けたい場合以外は基地とします 違和感のある諸氏は適宜脳内変換ねがいなす
183 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/14(火) 22:07:45 z0.Dtrpo
支援
他にどんなSS書いてますか?
184 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/17(金) 21:29:51 2w0YPCUU
>>183
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1378812216.html
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1381235664.html
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1386492505.html
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1395753187.html
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1382242604.html
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1385813593.html
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1387460065.html
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1396273390.html
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1397131469.html
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1404298245.html
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1406717323.html
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1405252561.html
エタったの
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1368018577.html
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1367845567.html
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1388130765.html
-海上自衛隊編-
友「俺、小さくてかわいいものほんとすこ」
男「おまわりさんこっちです!!」
友「なんでや!!」
男「犯罪の芽は早めに摘まなきゃ」(使命感)
友「通報されちゃう、ヤバイヤバイ・・・」
125 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:29:36 p/7JO4os
http://i.imgur.com/xxShmg8.jpg
友「ほらこれ」
男「はやぶさ型ミサイル艇。全長50.1m、全幅8.4m、喫水1.7m、排水量200t、最高速力44kt、定員21名。主武装として90式SSM連装発射筒と76mm速射砲を装備し、これらを統制するTDPSにはOYQ-8Bを使用しリンク11に対応、既存の護衛艦だけでなくP-3C哨戒機や空自のE-767,E-2Cといった早期警戒機とも情報伝達が可能となっt」
友「そこまで詳細なディティール述べなくていいから」
男「この船がどうかしたのか?」
126 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:31:57 p/7JO4os
友「いやさぁ・・・こういう小さいフネにいろんな装備詰め込んでるあたりにロマンを感じるんだよね」
男「はい」
友「だってこれ、小さいだけでもうほぼ護衛艦とシルエット一緒じゃん!超カッコいいわ」
男「はい」
友「しかもこれで80km/hも出るってんだから、夢が広がりんぐですわ」(死語)
127 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:32:52 p/7JO4os
男「まぁその分居住性が犠牲になってるけどな」
友「まぁ・・・200tっていったら、ちょっとした遊覧船と大きさ変わらないしな」
男「一応、士官室や科員の寝台なんかも用意されてるらしいが、クッソ狭いうえに三段ベッド・・・俗にいう蚕棚らしい」
友「俺むしろ狭いところも好きだから全然問題ないわ」
男「お前ハムスターかお前」
128 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:33:51 p/7JO4os
友「しかし、そんなに狭いと潜水艦並みに調理が大変そう」
男「いやあんなに狭いと流石に調理室は載らないって」
友「あっ、ホンマ・・・」
男「それどころかギャレーと呼ぶのもおこがましいくらいの装備しかないらしいぞ。冷蔵庫と電子レンジ、あとポットくらい」
友「あ、でも大体俺の部屋の調理器具そんな感じだ・・・よし、問題ないな!」
男「まぁそんなわけで、はやぶさ型ミサイル艇も航空機みたいに基地で作った弁当を持ち込む必要があるという」
友「金曜カレーが食べられないね・・・仕方ないね・・・」
男「レンジがあるならボンカレーくらいできるんじゃない?」
友「http://i.imgur.com/WJIThLx.jpg」
男「ホーロー看板超懐かしい。これとオロナミンCのやつは鉄板だわ」
130 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:36:12 p/7JO4os
友「そういや、旧海軍では士官と兵は別々のものを食ってたって言ってたじゃん?やっぱ海自でも、そうなわけ?」
男「いや、現在の海自では通常士官も兵も同じものを食べてるらしい」
友「へーそうなの」
男「まぁ、器が変わるらしいがな。通常金属トレーを使う一般隊員に対して、士官はちゃんとした陶器の茶碗やさらに料理が盛りつけられるらしい」
友「ほほう」
男「あと、給仕係の隊員がつくみたいだな」
131 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:37:35 p/7JO4os
友「じゃあ、昔みたいにコックや板前みたいな民間人を乗せたりしてないんだ」
男「ああ。ただ、給養員も定期的に調理に関する訓練や教育を行っているわけだから、給養員長クラスともなるとそんじょそこらのシェフや板前に負けないくらいの腕前になるらしいが」
友「へー。退職後も安泰だね」
男「ああ。結構マジで除隊後に店を構える人も多いと聞くな」
友「やっぱ海は昔から食に命懸けてますわ」
男「まぁ航海中の楽しみっていったらそれくらいしかないからね。仕方ないね」
132 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:38:34 p/7JO4os
友「そういや、海軍の話してたときにも言ってたけど、今は食糧の保存技術が向上して潜水艦調理もかなり充実してるんだろ?」
男「ああ。それに逆浸透膜を使った脱塩装置が開発されたことで、通常動力艦といえども時には一般隊員まで真水のシャワーが使えるくらいにはなったらしい」
友「やったぜ」
男「それでも原潜なら、有り余る電力で海水を電気分解して真水作り放題なんだけどな・・・同じく酸素も作り放題だから、原潜内の空気は世界一清浄であるといわれている」
友「やっぱり原潜がナンバーワン!!」
133 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:39:43 p/7JO4os
男「さらに、真空パックによる食品加工技術やフリーズドライ技術も発達して、最近では航海の終わりに近づいても野菜を供することが可能になったという」
友「偉大な進歩だぁ・・・」
男「それにしても、やっぱり毎日パウチの野菜やフリーズドライが続くと食傷気味にはなるらしいけど」
友「そう?俺なんか別にカップ麺1ヵ月とか余裕だけどな」
男「お前いつか身体壊すぞ・・・ただ、確かに若い隊員には昔からそういう食べ物に慣れ親しんでるので、それほど苦には感じないという例もあるみたいだ」
134 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:40:37 p/7JO4os
友「まぁねぇ・・・別に毎食マックとかお菓子でもそんなに不満はないし」
男「ああ。だからむしろ、ちゃんとしたメシに対する欲求は昔の人のほうが高かったのかもしれない」
友「日本人は美味いもの食う事に命懸けてるフシがあるからなぁ」
男「実際、大戦時のドイツUボートなんかは毎日黒パンやサラミだけの生活でもそれほど苦にはならなかったようだ。粗食に慣れてるといったら失礼かもしれないがな」
友「いや映画のUボート見た限りじゃ結構なじり食いしてたぞぉ・・・」
男「そりゃまあ、あの環境ならな・・・飽くまでも日本と比べたらの話だよ。やっぱりどうしても新鮮な食い物は食いたいだろう。特にインド洋じゃ日本の潜水艦からもたらされたミカンに皮ごと齧りつく話もあるし」
135 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:41:55 p/7JO4os
友「で、今でもやっぱり潜水艦の乗組員が一番いいもの食ってるの?」
男「ああ。一人当たりの食費を見ると、やはり潜水艦乗組員が一番高くなってるな」
友「ほほう」
男「まぁ、さっき言ったように長期保存用に加工した食品の分の値段も入ってるから、単純にその分良いものを食ってるわけではないだろうけど」
友「なるほど」
136 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:43:24 p/7JO4os
男「それでもたまには艦内でステーキなんかが出たりするらしいぞ」
友「そういや沈黙の艦隊でもやまとがニューヨーク入る前に乗組員に食わせてたな」
男「海自の潜水艦では基本、飽きを来させないために質素な食事と豪華な食事が交互に出されるらしい」
友「へぇー」
男「例えば夜がトンカツなら、その日の昼飯はソバといった具合だな」
友「なるほど・・・トンカツは豪華枠なのか」
137 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:44:58 p/7JO4os
男「ところでまたウンコの話するけどさぁ」
友「おういきなりビーンボール投げるのやめーや」
男「潜水艦で出た排泄物とか生ごみってどうしてると思う?」
友「えぇ?そりゃー・・・タンクに詰めて、基地に持ち帰ってるんじゃないの?」
男「No」
友「おぉ、もう・・・じゃあ選択肢一つしかないじゃないですか!!」(半ギレ)
138 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:46:14 p/7JO4os
男「大丈夫だ、表向きは君の言うとおり基地に持ち帰ってることになってる」
友「全然大丈夫じゃないんですがそれは」
男「まぁでも残飯やウンコみたいな有機物は魚のエサになるから・・・一応、一部のゴミは錘をつけて浮いてこないようにしてるらしいけど」
友「ヴォエ!!」
男「潜水艦の調理で出た生ごみはディスポーザーっていうミキサーみたいな機械にかけて細かく粉砕してるみたいだがな・・・まぁ、生ゴミや排泄物みたいな臭うし無駄に容積を食う搭載物をわざわざ貴重な電力を使って冷凍処理したうえで港に持ち帰ってるかというと」
友「やめてくれよ・・・」(絶望)
139 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:46:55 p/7JO4os
男「別に潜水艦や艦艇に限らず、つまるところ海っていうのは地球上の全ての汚濁が行き着くところだからな」
友「いやそれはそうだけど」
男「だから、正直海水を脱塩して飲んでもなんだかぬるりとしててそんなに美味くないらしいぞ」
友「ヴォエ!!」
男「ということで膜で脱塩した真水は、護衛艦に搭載されるヘリの洗浄や艦内シャワーなどの生活用水に優先して使われるようだ」
140 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:47:32 p/7JO4os
友「おれもう海水浴行けない・・・」
男「なに、心配するな。薄まってるから」
友「薄まってるから何なんですかねぇ・・・」
男「大丈夫だ。表向きには港に持ち帰ってる。広報を信じろ」
友「なんてことだ・・・なんてことだ・・・」
男「まぁ、よっぽどのことが無い限りプラスチックみたいな自然に還元しないゴミだけはなるべく港に持ち帰ってるみたいだけど」
141 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:48:28 p/7JO4os
男「・・・あ、で潜水艦のメシだけどさぁ」
友「お前メシの話の合間にウンコの話はさむのやめろよ。俺じゃなきゃ殴られてるぞ」
男「バーカ・・・お前じゃなきゃこんな話しねえよ・・・」
友「えっ・・・」キュン
男「いや実際お前ぐらいだろこんな話だらだら聞き続けるような暇な奴は」
友「なんだおい喧嘩売ってたのかおい」ビキビキ
142 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:49:12 p/7JO4os
男「で、潜水艦のメシだけど、基本海自の給食は艦ごとに実施される」
友「はい」
男「それは入港中でも同様だ。だから、乗組員が研修などで上陸する場合は艦内で弁当が作られる」
友「マジで?基地で食えばいいのに・・・」
男「まぁ軍隊じゃ員数というか帳尻合わせが全てだからな。例えどんなに基地内の食事が美味そうでも、潜水艦乗組員は艦内弁当を食べる事になるわけだ」
143 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:51:13 p/7JO4os
友「せっかく陸に上がったのになぁ・・・旧海軍でそれやったら暴動が起きそう」
男「まぁ、土を踏んで外の空気が吸えるだけ御の字よ・・・ちなみに空自の機上食と違って、海自の弁当は基本基地で製作した調理がそのまま弁当に入ることが多いらしい」
友「なるほど、ウチの母ちゃんは海自式だったのか」
男「長期哨戒にあたるP-3Cなんかも、基地食を詰めた弁当にお茶や味噌汁が付く程度みたいだな。最近は外注品が増えてあまり評判がよくないとも聞くが」
友「軍隊って自分とこのメシ大好きなんだな」
男「外注品はどうしても納入コストの兼ね合いで内容がしょぼくなるからね、仕方ないね」
男「それに、最近では保存技術が発達したおかげで航海中でも刺身とかの生ものの提供が可能になったらしい」
友「あれ?自衛隊じゃ釣りはしないの?」
男「あ、当然旧海軍から連綿と受け継がれてるぞ、F作業は」
友「F作業のFって、やっぱFishingのF?」
男「でしょうね」
友「うーん、艦ごとにシマノ派とダイワ派の戦いがあったりして。。。でも、それで魚釣ったら刺身なんて食い放題じゃん」
145 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:53:51 p/7JO4os
男「いやそれがな、南方海域では寄生虫やシガテラ毒を持った魚が多いから、乗り込んだ医官が釣った魚を検品するらしいんだよ」
友「ほう」
男「で、そこで1匹でも寄生虫なんかが確認された日にゃ、その時点でもう釣った魚は一口も食べることはできないという」
友「火を通せば大丈夫だろうに・・・もったいねぇなぁ・・・」
男「『自分らで釣った魚を食って食中毒になりまんた』なんてことになったらシャレにならんからな」
146 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:55:21 p/7JO4os
友「でも、概要航海中ならいろんな魚が釣れそうだよなぁ」
男「あー、嘘かホントかは分からんが、昔硫黄島基地に配備されてた哨戒ヘリから冗談のつもりで疑似餌を垂らしたらガッツリマグロが掛かったらしくてな」
友「なにそれすごい」
男「あまりのデカさに人員収容用のホイストでも揚げられないってんで、そのまま硫黄島の海岸まで引っ張って行って釣り上げたらしい」
友「松方弘樹もドン引きの豪快トローリングですわ」
147 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:56:46 p/7JO4os
>>146
×概要 ○外洋
男「外洋航海といえば、92年にPKOでカンボジアに派遣された輸送艦みうらは、結構大変な思いをしたようだぞ」
友「へー。前のC-130とちがって食い物なんてしこたま詰めるだろうに」
男「いやそうじゃなくて。みうら型輸送艦って、LSTっていう砂浜にドーンと乗り上げて戦車とかを降ろすための船なんだよ。ちなみにこれをビーチングという」
友「はぁ」
男「そのため、船底が普通の船とちがって平底なわけ」
148 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:57:36 p/7JO4os
友「何の問題ですか?」
男「通常、艦船の船底ってのは波の力を受け流すように船底に向かって逆三角形になるような形になってる」
友「うん」
男「さらに、モノによっては船体にビルジキールやフィンスタビライザーっていう出っ張りをつけて、船の揺れを抑制してるわけだ」
友「ほほう」
149 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:58:27 p/7JO4os
男「でも、このみうら型にはビーチングの邪魔になるこれらの装備はつけられない。おまけに平底の船体は下方向から容赦なく波に叩き付けられる」
友「つまり・・・」
男「めっちゃ揺れるよ!!」
友「だろうなぁ・・・」
男「状態としては風呂に浮かべた洗面器と変わりないからな。おまけに輸送艦だから搭載物で重心も高くなってるし」
友「聞いただけで船酔いしそう」オエ
150 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:59:20 p/7JO4os
男「実際乗り込んだ陸自の隊員たちも、折しも通りかかった嵐で荒れ狂う東シナ海上で『降ろしてくれぇ』『殺してくれぇ』と懇願していたらしい」
友「かわいそう」(小並感)
男「いくら精強を誇るレンジャー隊員とはいえ、船酔いの前では無力なのである」
友「なんとか船酔いをしなくなる方法はないんですかねぇ・・・」
男「一応旧海軍から受け継がれてるとっておきの秘法があるらしいけど・・・」
151 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 21:59:50 p/7JO4os
友「へー、どんな?」
男「例え船乗りとはいえ、やっぱり最初は船酔いすることもあるわけじゃん?」
友「そりゃまぁ、その辺は個人差だろうし」
男「で、当然船酔いMAXになると催してくるわけじゃん?」
友「えぇ・・・またそういう話・・・」
152 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:00:28 p/7JO4os
男「そうなったら、まずは自分の被ってた帽子の中にとりあえずぶちまける」
友「なんでトイレ行かないんですかね・・・」
男「・・・そしたら、その帽子の中に溜まったそれを、ズズッと飲みk」
友「ヴォエ!!」
男「いや、汚い話だけど本当に旧海軍から海自までずっと受け継がれてる話なんだって」
友「ヴォエ!!」
153 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:01:30 p/7JO4os
男「・・・実際、先のみうらに乗り込んでた海自隊員の中にも、それをやってから一度も船酔いしなくなったという体験談を語ってた人がいたらしいし」
友「やめてくれよ・・・」(絶望)
男「元々そんな船に外洋航海をさせる政府にも問題があったといえる。まぁ当時は国外派兵にも慎重だったし、おおすみ型みたいな高性能の輸送船も無かったからしょうがない面もあるが・・・」
友「きたない」(確信)
男「そうは言っても、船が揺れる物である以上、海軍と船酔いは切っても切れない関係だしな」
154 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:03:22 p/7JO4os
男「そういったわけで、海軍の調理鍋や味噌汁椀には半分しか中身を入れないようにしている」
友「あぁ・・・揺れでこぼれないように?」
男「そうそう。食堂のイスなんかも、テーブルに引っかけて固定できるようになってるしな」
友「そんなに揺れるのかよ・・・」
男「そりゃお前、一旦外洋に出ちまったら民間船が欠航になるような波でも航行続けるしかないしな。実際旧海軍の駆逐艦は、設計段階で傾斜110度でも転覆しない復元性を確保している」
155 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:04:01 p/7JO4os
友「傾斜110度って・・・」
男「船が完全に海面に横倒れになった状態が傾斜90度。さらにそこから+20度ってことは、艦橋なんかの艦上構造物は海の中ってことになるな」
友「」
男「実際、20度くらいまでならちょっとした嵐でもちょくちょく傾くらしい。大体スキーのゲレンデでいうと中級者コースくらいかな」
友「まっすぐ立っていられない」
男「実際、柱にしがみついてメシ食うらしいしな。そんな中でもメシを炊き上げる給養員さんはえらい」
156 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:04:41 p/7JO4os
友「ところで・・・海上自衛隊にもギンバイってあるの?」
男「あー、元自衛官の話を聞く限りじゃ普通にあるみたい。まぁ昔みたいに一般隊員にまでまんべんなく横行してるのかは分からんが、機関科と補給科の関係は昔とそれほど変わってないようだ」
友「機関科?なんで機関科?」
男「前にも言った通り、艦内の調理は全て機関から回される蒸気でつくるからな」
友「はぁ」
157 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:05:33 p/7JO4os
男「海の男の艦隊料理の著者、高橋先生も書いているように、補給科、つまり主計兵や給養員は機関科にこの辺の依頼をするときに色をつけるのが普通だったらしい」
友「どういうこと?」
男「つまり、何か食い物持ってって機関科の機嫌をとらないと蒸気融通してやんねーよ、ってこと」
友「えぇ・・・」
男「実際調理ができなけりゃ怒られるのは補給科の人員だしな」
158 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:06:08 p/7JO4os
友「足元見てるなぁ・・・」
男「ま、そういうところも軍隊の日常ってやつじゃないの。伝統墨守・唯我独尊の海上自衛隊らしいよ」
友「そういや、なんで海自はそんなに海軍とつながりが深いんだろうな?」
男「そりゃ、前にも言いた通り海軍ってのは巨大な技術者集団だからな。一旦解散してするとすぐに再生するのは不可能だし、戦後も復員や掃海のためにこれらの技術が必要だったから、旧海軍の技術・風習が途切れることなく続いてるんだよ」
友「なるほどー・・・伝統墨守・唯我独尊ね・・・」
159 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:07:05 p/7JO4os
男「ちなみに陸自の場合は、一旦解体されつつも戦後警察予備隊として米軍に倣った組織を作り上げる中で、旧軍からの文化や価値観を捨てきれなかったことから『用意周到・頑迷固陋』といわれている」
友「がんめいこずい?」
男「頑固ってことだよ。まぁ最近じゃ、陸軍悪玉論も薄れ始めて旧陸軍の良い文化も取り込み始めてるみたいだけど」
友「へー・・・じゃあ、空自は?」
男「戦後、陸海軍の航空部隊関係者を集めて組成され、米空軍と共に発達してきた空自のフレーズは『勇猛果敢・支離滅裂』だ。実際、発足当初はアメリカの様式を積極的に取りいれつつ、さらに内部では陸海軍出身者同士の確執があったことからこういわれている」
友「各自衛隊の長所と短所を表してるわけか・・・うまいこと言うもんだ」
-海上自衛隊編 おわり-
160 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:15:24 p/7JO4os
-番外編 南極観測隊の食事-
男「そういや、南極観測船もあれ海自の艦なんだよね」
友「あ、そうなの・・・たしか、『しらせ』だったっけ?」
男「そうそう。今のは2009年に就航した2代目だけど」
友「あのオレンジの船だよね?まぁ南極までいくんだから軍艦くらい出してもおかしくないか・・・」
161 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:16:26 p/7JO4os
男「まぁ実際に建造費用を出したのは文科省で、運用を防衛省がやってるって感じだけどな」
友「じゃあ武装とかはないんだ?」
男「艦固有の兵装って意味ではな。ただ、艦内には海賊対処用の64式小銃や9mm拳銃が積み込まれている」
友「へー」
男「さらには南極沿岸から内陸部への輸送用に、大型ヘリ2機と小型ヘリ1機を搭載している」
162 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:18:12 p/7JO4os
友「もはやDDHを上回る搭載量ですやん・・・」
男「まぁ実際海自の中ではデカイ艦ベスト3に入るし・・・ちなみにお台場にある船の科学館に係留されている初代南極観測船『宗谷』は、現存する唯一の旧帝国海軍艦船だ」
友「マジで!?」
男「ああ。大戦中は戦地を転々とし、潜水艦から魚雷攻撃を受けるものの不発のため生き残った幸運艦だ。今でも船籍を有しているため、必要があれば舫を解いて航行することもできる」
友「すごい」(小並感)
163 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:20:08 p/7JO4os
男「で、毎年この南極観測船は、南極に滞在する研究者の人員交代と補給のため、南極と日本の間を行き来している」
友「年一本の定期連絡船か・・・」
男「特に積み込まれる食材については、相当いいものが積み込まれるらしい」
友「例えば?」
男「和牛サーロインとか、イセエビとか・・・中には熊の掌や燕の巣みたいな超高級食材もふくまれてるらしい」
164 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:22:25 p/7JO4os
友「マジで!?」
男「でも、どれも冷凍だし南極じゃ生野菜も不足するし、どんなに高級な食材が有り余っていも越冬隊の人々を食傷気味にさせないためには相当な苦労を要したらしい」
友「えー、そうなん・・・?」
男「面白南極料理人で有名な西村淳氏の著書をみると、イセエビの身ですり身団子とか作ったみたいだ」
友「もったいないお化けがでそう」
男「ちなみに、彼の手記によると、南極観測隊に一番需要があった食材がラーメンを始めとした麺類だったようだ」
165 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:23:23 p/7JO4os
友「ラーメンは人類の永遠の口の友って、はっきり分かんだね」
男「持ち込んだ麺がすぐに底をついたため、基地に合った小麦粉に鹹水の代わりにベーキングパウダーを入れるなどの工夫をして、なんとか麺を作った話なども紹介されている」
友「大変な話だ・・・」
男「特に南極における調理では、絶対的に真水が不足するという」
友「えっ」
166 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:24:24 p/7JO4os
男「そのため、先の西村氏も元は海上保安庁の主計出身者だ」
友「ちょっと待って。周りにあんなに雪や氷があるのに水が不足するってどういうことなの・・・」
男「たしかに一見水なんて無尽蔵にあるように見えるけど、それってどうやったって一回溶かさないといけないだろ?」
友「はぁ」
男「南極じゃ常時零度を下回る気温なわけだ。つまり、放っておくだけでは氷は融けない。それどころか、食材を凍らせないために冷蔵庫を使うくらいだからな」
167 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:25:20 p/7JO4os
友「(溶かせば)いいじゃん」
男「簡単にいうけど、結構な重労働だぞ。水は個体になると体積が1割増しになる。つまり、1立方の水が欲しければ、1.1立方の氷が必要になるわけだ」
友「せやな」
男「さらに氷塊ならともかく、雪となるともっと膨大な量を集めなければならない・・・さらに、それを溶かすのに必要な燃料は水を作るだけでなく、基地の暖房や雪上車の稼働などに使わねばならない貴重なものだ」
友「なるほど・・・確かに、思ったより大変そう」
168 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:27:10 p/7JO4os
男「しかも旅行・・・という名の雪上車に乗って何千kmも奥の内陸部へ向かう冒険ことだが、この間は調理器具なんて雪上車に搭載されるレンジと電熱器くらいしかないわけだからな」
友「大変だぁ・・・」
男「とりあえず、水については電気炊飯器の中に雪を放り込んで作っておくらしい」
友「ていうかそれ、まともな調理できないだろう」
男「ああ、だから先の西村氏も、旅行中は肉に食用油をかけて表面だけ燃やしたのを牛のタタキ、レンチンした魚に焼いた金串で焼き目を付けたものを焼き魚といって供するなど、半ばヤケクソの料理を作るほかなかったらしい」
友「草を禁じ得ない」
169 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:28:31 p/7JO4os
男「だがそれも、南極観測船がやってきてヘリによる補給が始まると状況が一転する」
友「ほう」
男「しらせの艦内でつくられた大量のステーキなどの食糧が、毎回食事の度にヘリによって運ばれてくるという」
友「随分豪華なデリバリーだなおい」
男「そんな状況でも相変わらず水は貴重品なわけで・・・南極観測隊に同行したカメラマン宮嶋茂樹氏は手記のなかで『都会じゃ滅多に口にできんモンが食えるかわりに、水が使えん・・・』と嘆いているな」
170 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:29:06 p/7JO4os
友「うーん、皮肉な話だなぁ・・・」
男「あ、ちなみに昭和基地には南極観測船が来れなかったときのために小銃が置いてあるらしい」
友「えっ」
男「いざとなったらペンギンやアザラシ撃ち殺して食べよう」(ニッコリ)
友「蛮族かな?」
男「まぁしらせが南極まで行けない状況ってそれもう尋常じゃない事態だと思うけど」
171 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:30:15 p/7JO4os
友「でも南極とか行くの大変そう・・・」
男「実際、南極に近づくとに通貨する緯度30度~60度の間の海域は、赤道付近で暖められた空気の循環と地球の自転の影響でとんでもない偏西風が吹きつけるという」
友「恐い」
男「その緯度が高くなるにつれて徐々に強さを増す風の様子から、南極周辺海域は緯度ごとに『吼える40度』『狂う50度』『絶叫する60度』と呼ばれている」
友「やべぇラスボス感ハンパねぇ・・・フリーザ様みてぇ・・・」ガクガク
172 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:30:46 p/7JO4os
男「ところで、南極観測隊のお土産で人気な商品ってなんだか知ってるか?」
友「おぉー、確か前に南極の氷が大人気ーってテレビかなんかで言ってたな」
男「ああ。それと双璧を成す人気お土産が、ニッカのコンク・ウィスキーだ」
友「コンク・ウィスキー?」
男「南極観測隊用に納入される濃縮ウィスキーのことだ。通常のウィスキーのアルコール度数が40%程度なのに比べ、コンク・ウィスキーでは60%のアルコール度数を誇る」
友「アカン火ぃ吹いてまう」
173 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:31:30 p/7JO4os
男「しかも、南極観測隊用にしか製造されないから、国内で製造されているにも関わらず一般では入手不可能という代物だ」
友「ニッカの工場とか行ってもないの?」
男「少なくとも、余市の蒸留所には売ってなかった」 ※実話です
友「へぇー・・・ていうか、それだけ度数が高ければ、酒税とか高そう」
男「南極には法律がないので免税です」
友「やったぜ」(ガッツポ)
-番外編 南極観測隊の食事 おわり-
174 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:32:15 p/7JO4os
つぎ陸自いきます
カンメシとパック飯の話はやる 絶対やる
175 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/08(水) 22:34:31 ke/nTpKg
パック飯は人類史上最大の発明
炊くのダルいから重宝してる
176 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/09(木) 00:12:53 VJS4T2JY
おもしろい(小並感)
ダルくても米食うあたり>>175は日本人
177 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/09(木) 00:39:13 PuLpC9nQ
>>176
配食で決まってるんじゃないですかね・・・(小声)
178 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/09(木) 08:33:34 DnmfWFfY
乙
ところで同じ1500年代でも中世ヨーロッパのミリメシってどんなだろうね
179 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/09(木) 16:41:01 x.Zo/ahw
>>123
海と空は基地って言うけど陸は基地って言わないぞ
俺の知る限りだけど
どんなレーションよりも天幕で食べるチキンラーメンには勝てない
180 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/09(木) 17:13:07 3hRk00NE
潜水艦の話まで読み終わったけどおもろい
支援
181 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/09(木) 18:09:26 Cy8u0/UI
面白いな
レトルトカレー飲むとかおまおれ
182 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/09(木) 21:50:45 PuLpC9nQ
>>179
指摘thx
確かに陸自の施設は駐屯地です
作中では特に厳密に表記を分けたい場合以外は基地とします 違和感のある諸氏は適宜脳内変換ねがいなす
183 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/14(火) 22:07:45 z0.Dtrpo
支援
他にどんなSS書いてますか?
184 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2014/10/17(金) 21:29:51 2w0YPCUU
>>183
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1378812216.html
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1381235664.html
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1386492505.html
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1395753187.html
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1382242604.html
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1385813593.html
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1387460065.html
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1396273390.html
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1397131469.html
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1404298245.html
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1406717323.html
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1405252561.html
エタったの
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1368018577.html
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1367845567.html
http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1388130765.html
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