男「少し不思議な話をしようか」女「いいよ」
Part9
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/05(金) 20:36:11.37 ID:xiNpaiFuo
警察官「ああ、もちろんその可能性も考えて」
警察官「マーキングが多かった例の場所な。そこ付近を熱画像直視機なんかで徹底的に調べたし」
警察官「壁をピッケルとかで叩いて、音とかも確かめたんだが」
警察官「中が空洞になっているような箇所もなかった」
警察官「結局、怪しげな場所はどこにも見つからず」
警察官「徒労に終わったんだ」
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/05(金) 20:37:01.67 ID:xiNpaiFuo
警察官「その後か?」
警察官「最終的には、俺含めて、大学生達全員の空耳じゃないかって事になった」
警察官「ああ。俺も当然、そんなのには納得出来なかったんだが」
警察官「だけど、そうなった理由は二つあって」
警察官「一つは、小さな女の子の行方不明の届け出が、どこにも出ていなかったという事だ」
警察官「少なくとも、ここ最近の間ではな」
警察官「行方不明者ってのは、毎年、かなりの数が出ていて、それが見つからないままの場合も多いから」
警察官「何年も前の届け出を遡れば、あるにはあるんだが」
警察官「ここ一年ほどはそれがなかったんだ」
警察官「これが一つ目の理由だ」
警察官「それで、もう一つが」
警察官「同僚がその声を聞いてないって事だ」
警察官「全員が聞いたなら、まず間違いないんだろうが、一人、聞こえないというやつがいたから」
警察官「あれだけ捜索したにもかかわらず、見つからなかったという事も合わさって」
警察官「空耳で片付けられた」
警察官「ああ。俺は食い下がったんだが、無駄だった」
警察官「上司が言うには」
警察官「『誰も探していない子供で、しかも、本当にいるかどうかもあやふやなものに、これ以上の時間と人員は割けない』」
警察官「そう言われてな」
警察官「それを理由に、悔しいが、捜索はそこで打ち切られてしまったんだよ」
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/05(金) 20:37:51.28 ID:xiNpaiFuo
警察官「だがな」
警察官「そうやって悔しがっている俺を見て、本署の年輩の人が教えてくれたんだが」
警察官「理由はその二つだけじゃなくて、もう一つあったんだ」
警察官「ああ。実はな」
警察官「その洞穴、三年に一回ぐらいだかの割合で」
警察官「『助けを呼ぶ、子供の声が聞こえた』っていう、通報が必ず入るんだと」
警察官「それで、不思議な事にも」
警察官「状況はほとんど同じ」
警察官「助けを呼ぶ声が聞こえてくる場所も、毎回のように同じで」
警察官「誰か一人か二人は、その子供の声が聞こえない」
警察官「行方不明届けが出ていないのも同じで」
警察官「そして、毎回のようにその子供は見つからない」
警察官「ただ、声だけが毎回違うそうだ」
警察官「男の子の声だったり、女の子の声だったり、それはバラバラなんだと」
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/05(金) 20:38:41.18 ID:xiNpaiFuo
警察官「ああ。そうだろうな」
警察官「もしも本当に空耳なら、何回も似たような通報は来ないだろうし」
警察官「もしも本当にそこに子供がいるなら、あれだけ捜索してるんだから、見つかってもおかしくない」
警察官「なのに、絶対に見つからないし」
警察官「誰か一人か二人は、その声が毎回聞こえない」
警察官「だから、幽霊なんじゃないかって噂が立ったんだろうが」
警察官「もしもその声が幽霊のものだったとしたら、毎回、声が変わってる事になる」
警察官「それに、そこの洞穴じゃ事件も事故も何も起きてないっていうのに」
警察官「何故か決まって、『助けを呼ぶ子供の声』が聞こえる」
警察官「どうしてこんな事が起こるんだろうな」
警察官「不思議に思わないか?」
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/05(金) 20:39:12.69 ID:xiNpaiFuo
警察官「ん?」
警察官「さあな、どうだろうな……」
警察官「もしかしたら、そういう事もあるかもな」
警察官「でも、実際に声を聞いた俺からしてみれば」
警察官「そういう事は絶対にないと思うぞ」
警察官「…………」
警察官「…………」
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/05(金) 20:40:17.11 ID:xiNpaiFuo
警察官「……そういえば、誰かがそんな事を言ってたかもな」
警察官「いや、覚えちゃいないが……」
警察官「とはいえ、俺はそれを信じてはいないからな」
警察官「あれは、本当に子供の声だった。間違いなくな」
警察官「…………」
警察官「まあ、ひょっとしたら、そういう事なのかもしれないな……」
警察官「なんにしろ、この話はもうこれで終わりだ」
警察官「それじゃ、今度は約束通り、俺が聞かせてもらう番だな」
警察官「ああ。それじゃ、最初の質問なんだがな」
警察官「お前、これまで何人殺してるんだ?」
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/05(金) 20:41:00.19 ID:xiNpaiFuo
第七話
【声が変わる幽霊】
終了
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/05(金) 20:41:28.17 ID:xiNpaiFuo
次回、最終話
【殺害予告メール】
【二つの真実】
全て終わるまで、あと一話……
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/05(金) 20:45:10.81 ID:WmXP/Y4Z0
乙
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/05(金) 20:54:16.86 ID:pMeYcDLo0
乙
なにがなにやら
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/05(金) 21:23:03.62 ID:u2hBtz5zO
二つの真実ってなんなんだろうな、とりあえず今までの話の中には本当にオカルトな方面での話と、実際に事件として扱えるものがあるとかそんなのかな
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/05(金) 21:36:40.97 ID:aA9RGDO0O
??????
乙だけど謎すぎる
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/05(金) 21:59:13.95 ID:TA2wanFqO
乙
最終話楽しみだ
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:28:37.67 ID:N+SU8kaso
最終話
【殺害予告メール】
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:29:09.93 ID:N+SU8kaso
医者「やあ、こんにちは」
医者「私かい? 私は、君を担当する事になった医師だよ」
医者「これから、宜しく頼むよ」
医者「いや、そんなに身構えないでくれ」
医者「そういう規則になってるだけの事だからさ」
医者「君は、特に気にする必要はないよ」
医者「うん、わかってる」
医者「大丈夫だから、安心してくれ」
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:29:44.63 ID:N+SU8kaso
医者「ん?」
医者「ああ、今日はそういうのはないよ」
医者「そう。今日は単に挨拶と」
医者「軽い問診だけかな」
医者「ああ、君は私の質問に答えてくれるだけでいい」
医者「簡単だろ? それだけだよ」
医者「それじゃ、早速いいかな?」
医者「?」
医者「不思議な話?」
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:30:19.32 ID:N+SU8kaso
医者「それはまあ……多少は知ってるけどね」
医者「バミューダトライアングルとか、神隠しとか、そういうのだろ?」
医者「そういう話は、生憎、人並み程度にしか知らないけどさ」
医者「私自身が体験した事?」
医者「うーん……何かあるかなあ」
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:30:49.84 ID:N+SU8kaso
医者「ああ、そういえば」
医者「一個だけ、そういう話があったっけ」
医者「あれは、不思議な話と言えば、不思議な話かもしれないな」
医者「それは構わないけど……」
医者「でも、どうしてまた不思議な話なんて聞きたいんだい?」
医者「ふうん……。君の友達が」
医者「まあ、そういう事ならいいよ。そんなに長い話でもないからね」
医者「聞きたいなら、話すよ」
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:30:58.04 ID:wcjum+ye0
ごくり
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:31:21.28 ID:N+SU8kaso
医者「あれは、私が大学生の時だね」
医者「その頃、私には高校時代から付き合ってた彼女がいてね」
医者「付き合って、三年目ぐらいの時だったかな」
医者「変なメールが来たんだよ」
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:32:04.91 ID:N+SU8kaso
医者「その日は、本当なら彼女とデートの予定だったんだけど」
医者「って言っても、付き合って三年にもなると、デート一つで浮かれたりとかもしないし」
医者「それが流れたとしても、そこまで残念がる様なものでもなかったんだけどね」
医者「うん。ただ、その日は彼女が見たがっていた映画を見に行く予定になってたから」
医者「それが取り止めになったのは、やっぱり残念そうではあったよ」
医者「ああ、理由?」
医者「別に珍しくもない理由だよ」
医者「私はその頃、病院での無給助手をやっていてね」
医者「それで、その病院から人手がどうしても足らなくなったという連絡が入って」
医者「何とか来てくれないかって、そう言われたんだ」
医者「猫の手も借りたい状態だったらしくてさ」
医者「それで、私が猫の手だった訳だ」
医者「まあ、病院は人手が不足してる場合が多いからね。そういう事もあるよ」
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:32:37.44 ID:N+SU8kaso
医者「それで、その日は病院に手伝いに行って」
医者「そこにいたのは六時間ぐらいかな。夜の十時頃にそれが終わって」
医者「お疲れ様でしたって言って、病院を出て」
医者「自分の原付に乗ってさ」
医者「それで、家に帰る直前ぐらいかな」
医者「そのメールが来たんだ」
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:33:06.87 ID:N+SU8kaso
医者「それは、彼女からのメールでね」
医者「こういう文面が書いてあった」
医者「『そろそろ殺します』
医者「『だけど、どうする?』って」
医者「ね? 不思議だろ?」
医者「何で私は、彼女から殺害予告をされたんだろう?」
医者「そして、何で彼女は『どうする?』って私にその事を聞いてきたんだろう?」
医者「ちょっと不思議だよね」
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:33:39.34 ID:N+SU8kaso
医者「最初に言っておくけど」
医者「もちろん、私にはそんな事をされる程の覚えはなかったよ」
医者「そりゃ、デートの約束を破りはしたけど」
医者「それにしたって、きちんと理由を説明したし」
医者「彼女も、『それなら仕方ないね』って、言ってくれたしさ」
医者「納得してくれたんだ。『また、今度にしよ』ってね」
医者「だから、怒ってもいなかったはずなのに」
医者「急にこんなメールが来たんだ」
医者「どうしてだと思う?」
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:34:06.88 ID:N+SU8kaso
医者「ん?」
医者「へえ、どういう理由かな?」
医者「…………」
医者「…………」
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:34:42.33 ID:N+SU8kaso
医者「ん、あ、ああ。ごめんごめん」
医者「ちょっと驚いてね」
医者「うん。実はさ」
医者「この話は、今まで他に何人も話した事があって」
医者「その度に、色々な理由を聞いてきたんだけどね」
医者「ああ、うん。例えば、悪質な冗談だったとか」
医者「そういうメールを送って、私がどうするか、その反応を見たかったからとか」
医者「彼女が精神的に病んでたからとか」
医者「まあ、色々だよ。でもさ」
医者「『そんな理由』を答えた人は初めてでね」
医者「それで、ちょっとびっくりしたというか」
医者「そういう考えもあるのかと思ってさ。思い付きもしなかったから」
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:35:27.15 ID:N+SU8kaso
医者「ん?」
医者「ああ、答えというか、真相ね」
医者「彼女がどうしてそんなメールを送ってきたのかって事だよね」
医者「そうだね、今、教えてもいいんだけど……」
医者「出来れば、それは次のお楽しみという事にしないかい?」
医者「うん。私は明日もまた問診しに来るからさ」
医者「その間に、少し考えてみようか」
医者「彼女はどうして、そんなメールを送ったのか」
医者「そして、私がどうしたか」
医者「ちなみに、君が言ったさっきの理由は不正解だよ」
医者「彼女はそんな状態じゃなかったから」
医者「うん。違うよ」
医者「そうじゃないんだ。それ以外の理由だよ」
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:36:18.54 ID:N+SU8kaso
医者「そうだね、少し難しいかもね。今までピッタリと正解した人は誰もいなかったから」
医者「でも、半分ぐらいまで正解の人は何人もいたから」
医者「絶対にわからないって事はないと思うよ」
医者「ヒント?」
医者「ヒントねえ……うーん」
医者「そうだね、これはヒントになるかどうかはわからないけど……」
医者「『僕も彼女も、今、生きている』」
医者「っていうのが、君にとってはヒントになるかもね」
医者「え?」
医者「…………」
警察官「ああ、もちろんその可能性も考えて」
警察官「マーキングが多かった例の場所な。そこ付近を熱画像直視機なんかで徹底的に調べたし」
警察官「壁をピッケルとかで叩いて、音とかも確かめたんだが」
警察官「中が空洞になっているような箇所もなかった」
警察官「結局、怪しげな場所はどこにも見つからず」
警察官「徒労に終わったんだ」
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/05(金) 20:37:01.67 ID:xiNpaiFuo
警察官「その後か?」
警察官「最終的には、俺含めて、大学生達全員の空耳じゃないかって事になった」
警察官「ああ。俺も当然、そんなのには納得出来なかったんだが」
警察官「だけど、そうなった理由は二つあって」
警察官「一つは、小さな女の子の行方不明の届け出が、どこにも出ていなかったという事だ」
警察官「少なくとも、ここ最近の間ではな」
警察官「行方不明者ってのは、毎年、かなりの数が出ていて、それが見つからないままの場合も多いから」
警察官「何年も前の届け出を遡れば、あるにはあるんだが」
警察官「ここ一年ほどはそれがなかったんだ」
警察官「これが一つ目の理由だ」
警察官「それで、もう一つが」
警察官「同僚がその声を聞いてないって事だ」
警察官「全員が聞いたなら、まず間違いないんだろうが、一人、聞こえないというやつがいたから」
警察官「あれだけ捜索したにもかかわらず、見つからなかったという事も合わさって」
警察官「空耳で片付けられた」
警察官「ああ。俺は食い下がったんだが、無駄だった」
警察官「上司が言うには」
警察官「『誰も探していない子供で、しかも、本当にいるかどうかもあやふやなものに、これ以上の時間と人員は割けない』」
警察官「そう言われてな」
警察官「それを理由に、悔しいが、捜索はそこで打ち切られてしまったんだよ」
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/05(金) 20:37:51.28 ID:xiNpaiFuo
警察官「だがな」
警察官「そうやって悔しがっている俺を見て、本署の年輩の人が教えてくれたんだが」
警察官「理由はその二つだけじゃなくて、もう一つあったんだ」
警察官「ああ。実はな」
警察官「その洞穴、三年に一回ぐらいだかの割合で」
警察官「『助けを呼ぶ、子供の声が聞こえた』っていう、通報が必ず入るんだと」
警察官「それで、不思議な事にも」
警察官「状況はほとんど同じ」
警察官「助けを呼ぶ声が聞こえてくる場所も、毎回のように同じで」
警察官「誰か一人か二人は、その子供の声が聞こえない」
警察官「行方不明届けが出ていないのも同じで」
警察官「そして、毎回のようにその子供は見つからない」
警察官「ただ、声だけが毎回違うそうだ」
警察官「男の子の声だったり、女の子の声だったり、それはバラバラなんだと」
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/05(金) 20:38:41.18 ID:xiNpaiFuo
警察官「ああ。そうだろうな」
警察官「もしも本当に空耳なら、何回も似たような通報は来ないだろうし」
警察官「もしも本当にそこに子供がいるなら、あれだけ捜索してるんだから、見つかってもおかしくない」
警察官「なのに、絶対に見つからないし」
警察官「誰か一人か二人は、その声が毎回聞こえない」
警察官「だから、幽霊なんじゃないかって噂が立ったんだろうが」
警察官「もしもその声が幽霊のものだったとしたら、毎回、声が変わってる事になる」
警察官「それに、そこの洞穴じゃ事件も事故も何も起きてないっていうのに」
警察官「何故か決まって、『助けを呼ぶ子供の声』が聞こえる」
警察官「どうしてこんな事が起こるんだろうな」
警察官「不思議に思わないか?」
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/05(金) 20:39:12.69 ID:xiNpaiFuo
警察官「ん?」
警察官「さあな、どうだろうな……」
警察官「もしかしたら、そういう事もあるかもな」
警察官「でも、実際に声を聞いた俺からしてみれば」
警察官「そういう事は絶対にないと思うぞ」
警察官「…………」
警察官「…………」
警察官「……そういえば、誰かがそんな事を言ってたかもな」
警察官「いや、覚えちゃいないが……」
警察官「とはいえ、俺はそれを信じてはいないからな」
警察官「あれは、本当に子供の声だった。間違いなくな」
警察官「…………」
警察官「まあ、ひょっとしたら、そういう事なのかもしれないな……」
警察官「なんにしろ、この話はもうこれで終わりだ」
警察官「それじゃ、今度は約束通り、俺が聞かせてもらう番だな」
警察官「ああ。それじゃ、最初の質問なんだがな」
警察官「お前、これまで何人殺してるんだ?」
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/05(金) 20:41:00.19 ID:xiNpaiFuo
第七話
【声が変わる幽霊】
終了
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/05(金) 20:41:28.17 ID:xiNpaiFuo
次回、最終話
【殺害予告メール】
【二つの真実】
全て終わるまで、あと一話……
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/05(金) 20:45:10.81 ID:WmXP/Y4Z0
乙
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/05(金) 20:54:16.86 ID:pMeYcDLo0
乙
なにがなにやら
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/05(金) 21:23:03.62 ID:u2hBtz5zO
二つの真実ってなんなんだろうな、とりあえず今までの話の中には本当にオカルトな方面での話と、実際に事件として扱えるものがあるとかそんなのかな
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/05(金) 21:36:40.97 ID:aA9RGDO0O
??????
乙だけど謎すぎる
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/05(金) 21:59:13.95 ID:TA2wanFqO
乙
最終話楽しみだ
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:28:37.67 ID:N+SU8kaso
最終話
【殺害予告メール】
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:29:09.93 ID:N+SU8kaso
医者「やあ、こんにちは」
医者「私かい? 私は、君を担当する事になった医師だよ」
医者「これから、宜しく頼むよ」
医者「いや、そんなに身構えないでくれ」
医者「そういう規則になってるだけの事だからさ」
医者「君は、特に気にする必要はないよ」
医者「うん、わかってる」
医者「大丈夫だから、安心してくれ」
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:29:44.63 ID:N+SU8kaso
医者「ん?」
医者「ああ、今日はそういうのはないよ」
医者「そう。今日は単に挨拶と」
医者「軽い問診だけかな」
医者「ああ、君は私の質問に答えてくれるだけでいい」
医者「簡単だろ? それだけだよ」
医者「それじゃ、早速いいかな?」
医者「?」
医者「不思議な話?」
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:30:19.32 ID:N+SU8kaso
医者「それはまあ……多少は知ってるけどね」
医者「バミューダトライアングルとか、神隠しとか、そういうのだろ?」
医者「そういう話は、生憎、人並み程度にしか知らないけどさ」
医者「私自身が体験した事?」
医者「うーん……何かあるかなあ」
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:30:49.84 ID:N+SU8kaso
医者「ああ、そういえば」
医者「一個だけ、そういう話があったっけ」
医者「あれは、不思議な話と言えば、不思議な話かもしれないな」
医者「それは構わないけど……」
医者「でも、どうしてまた不思議な話なんて聞きたいんだい?」
医者「ふうん……。君の友達が」
医者「まあ、そういう事ならいいよ。そんなに長い話でもないからね」
医者「聞きたいなら、話すよ」
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:30:58.04 ID:wcjum+ye0
ごくり
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:31:21.28 ID:N+SU8kaso
医者「あれは、私が大学生の時だね」
医者「その頃、私には高校時代から付き合ってた彼女がいてね」
医者「付き合って、三年目ぐらいの時だったかな」
医者「変なメールが来たんだよ」
医者「その日は、本当なら彼女とデートの予定だったんだけど」
医者「って言っても、付き合って三年にもなると、デート一つで浮かれたりとかもしないし」
医者「それが流れたとしても、そこまで残念がる様なものでもなかったんだけどね」
医者「うん。ただ、その日は彼女が見たがっていた映画を見に行く予定になってたから」
医者「それが取り止めになったのは、やっぱり残念そうではあったよ」
医者「ああ、理由?」
医者「別に珍しくもない理由だよ」
医者「私はその頃、病院での無給助手をやっていてね」
医者「それで、その病院から人手がどうしても足らなくなったという連絡が入って」
医者「何とか来てくれないかって、そう言われたんだ」
医者「猫の手も借りたい状態だったらしくてさ」
医者「それで、私が猫の手だった訳だ」
医者「まあ、病院は人手が不足してる場合が多いからね。そういう事もあるよ」
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:32:37.44 ID:N+SU8kaso
医者「それで、その日は病院に手伝いに行って」
医者「そこにいたのは六時間ぐらいかな。夜の十時頃にそれが終わって」
医者「お疲れ様でしたって言って、病院を出て」
医者「自分の原付に乗ってさ」
医者「それで、家に帰る直前ぐらいかな」
医者「そのメールが来たんだ」
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:33:06.87 ID:N+SU8kaso
医者「それは、彼女からのメールでね」
医者「こういう文面が書いてあった」
医者「『そろそろ殺します』
医者「『だけど、どうする?』って」
医者「ね? 不思議だろ?」
医者「何で私は、彼女から殺害予告をされたんだろう?」
医者「そして、何で彼女は『どうする?』って私にその事を聞いてきたんだろう?」
医者「ちょっと不思議だよね」
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:33:39.34 ID:N+SU8kaso
医者「最初に言っておくけど」
医者「もちろん、私にはそんな事をされる程の覚えはなかったよ」
医者「そりゃ、デートの約束を破りはしたけど」
医者「それにしたって、きちんと理由を説明したし」
医者「彼女も、『それなら仕方ないね』って、言ってくれたしさ」
医者「納得してくれたんだ。『また、今度にしよ』ってね」
医者「だから、怒ってもいなかったはずなのに」
医者「急にこんなメールが来たんだ」
医者「どうしてだと思う?」
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:34:06.88 ID:N+SU8kaso
医者「ん?」
医者「へえ、どういう理由かな?」
医者「…………」
医者「…………」
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:34:42.33 ID:N+SU8kaso
医者「ん、あ、ああ。ごめんごめん」
医者「ちょっと驚いてね」
医者「うん。実はさ」
医者「この話は、今まで他に何人も話した事があって」
医者「その度に、色々な理由を聞いてきたんだけどね」
医者「ああ、うん。例えば、悪質な冗談だったとか」
医者「そういうメールを送って、私がどうするか、その反応を見たかったからとか」
医者「彼女が精神的に病んでたからとか」
医者「まあ、色々だよ。でもさ」
医者「『そんな理由』を答えた人は初めてでね」
医者「それで、ちょっとびっくりしたというか」
医者「そういう考えもあるのかと思ってさ。思い付きもしなかったから」
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:35:27.15 ID:N+SU8kaso
医者「ん?」
医者「ああ、答えというか、真相ね」
医者「彼女がどうしてそんなメールを送ってきたのかって事だよね」
医者「そうだね、今、教えてもいいんだけど……」
医者「出来れば、それは次のお楽しみという事にしないかい?」
医者「うん。私は明日もまた問診しに来るからさ」
医者「その間に、少し考えてみようか」
医者「彼女はどうして、そんなメールを送ったのか」
医者「そして、私がどうしたか」
医者「ちなみに、君が言ったさっきの理由は不正解だよ」
医者「彼女はそんな状態じゃなかったから」
医者「うん。違うよ」
医者「そうじゃないんだ。それ以外の理由だよ」
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 14:36:18.54 ID:N+SU8kaso
医者「そうだね、少し難しいかもね。今までピッタリと正解した人は誰もいなかったから」
医者「でも、半分ぐらいまで正解の人は何人もいたから」
医者「絶対にわからないって事はないと思うよ」
医者「ヒント?」
医者「ヒントねえ……うーん」
医者「そうだね、これはヒントになるかどうかはわからないけど……」
医者「『僕も彼女も、今、生きている』」
医者「っていうのが、君にとってはヒントになるかもね」
医者「え?」
医者「…………」
男「少し不思議な話をしようか」女「いいよ」
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