魔女「果ても無き世界の果てならば」
Part1こちらを先にお読み下さい「少年「あなたが塔の魔女?」」
1 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 15:55:58 ID:8rnuXNWY
この果てもなき世界の果てならば。
これは僕がまだ人間で、魔法使いだった頃の話。
私の、生きる理由――。
2 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 16:00:16 ID:8rnuXNWY
僕は、孤独だった。
魔術に傾倒した少女なんて、村からすれば不気味なだけ。
いつ魔物に襲われるかもわからない辺境の村は、そんな異端の少女を許容してくれる場所である筈もない事は感じていた。
それでも、今まで虐げられずに暮らせていたのは偏に、 私が本物の魔法使いであるからだろう。
何もないところから火を起こし、死霊と戯れ、風を呼び、水を生み出す。
単純に恐れていたんだろう。
3 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 16:00:49 ID:8rnuXNWY
村長「魔法使いよ、その力で勇者達の力となってやってくれ」
そう、これは厄介払いだ。
魔法使い「僕に何ができるかは分からないけど、それで良いなら」
勇者が、僕の一番嫌いなタイプの人間だという事にはすぐ気づいた。
なんの努力もなく、自然界に存在する全ての精霊に寵愛され、あまつさえ人にはけして与する事のないと言われている高潔たる雷の精霊の加護を受ける。
それに……。
4 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 16:01:46 ID:8rnuXNWY
勇者「よろしくな! これからは共に旅をする仲間だ。 一緒にがんばろう」
独善的で思慮に欠け、無遠慮に人の境界線を踏み越えてくる。
魔法使い「僕に期待するだけ無駄だよ? 僕には君のような崇高な使命感もなければ、それを実行に移すだけの実力もない」
はっきり言って鬱陶しい。
僧侶「まぁ、そう言わずに頑張りましょう? 私達はきっと貴女の力が必要で、主が巡り合わせて下さったのですし」
魔法使い「君の宗教を否定するつもりは無いけど、君の宗教を僕に強要しないでくれないかな? 生憎だけど、僕は君の所の神様の羊になった覚えはない」
この育ちの良さそうな僧侶も苦手だ。
5 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 16:02:59 ID:8rnuXNWY
この世のすべてを慈愛という色眼鏡を通してしか見れない、迷いのない迷える子羊。
なによりも気に入らないのは、法衣を着ていてなお主張する女性の象徴だ。
歩くだけで上下に揺れるなんて目障りで仕方がない。
戦士「気に入らんな。 何をそう斜に構えて見ねばならんのだ?」
この戦士とかいう筋骨隆々の男も嫌いだ。
戦いでしか生きる事のできない野蛮人の癖に、妙に悟ったような目をしている。
血と死の臭いがこびりついているこの男は、はっきり言って不気味だ。
この面子でこれから長い旅をするのかと思うと、気が重い。
そんな僕の気持ちを代弁するかのように空は、相変わらずの分厚い鈍色の雲に覆われていた。
7 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 16:04:17 ID:8rnuXNWY
勇者「この先の森にオークの群れが住み着いて村に被害がでているんだ」
戦士「次の目的地は森を通り抜けねば辿り着けん」
僧侶「苦しむ村人達を助ける為、私たちの目的を遂げる為、どうかお力を貸して下さい」
勇者一行は、魔王に詳しい妖精の村に行きたいらしい。
そのついでに森のオークを退治したいが、森は深く、森に詳しい者が居なければ迷ってしまう。
8 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 16:07:17 ID:8rnuXNWY
魔法使い「分かった。 ただ、注意した方が良いよ? 特に僧侶。 オークは暴力と性欲の赴くままに活動をする事を己の唯一の戒律としている種族だ」
僧侶「それはいったいどういう……」
魔法使い「要するに、君のその豊かな胸は彼らの性欲を刺激するに値するということだよ。」
魔法使い「だから、せいぜい気をつけることだ。 彼らの男性器は僕たちの腕より太いらしいし、犯されたりしたら気が狂ってしまうよ?」
僧侶「……ご忠告感謝します。 お互い気をつけましょう」
腹立たしい。
僕の胸が、一般的なものより少し、ほんの少し控えめな事を遠まわしに馬鹿にされている気がする。
9 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 16:07:57 ID:8rnuXNWY
今回の更新は以上になります。
10 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 18:48:04 ID:dB/clOUA
塔の魔女の過去譚?
( ・ω・)っ④"
11 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 18:53:25 ID:8rnuXNWY
>>10
そうです。
12 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 23:45:01 ID:8rnuXNWY
深い森が続く中、僕達は歩いた。
勇者「さて、どこにいるのかね」
魔女「探しているのは妖精? それともオーク?」
勇者「そりゃ勿論オークだよ」
魔法使い「へぇ……」
やはり思慮に欠ける。
道案内として僕が居るなら村に義理立てしてオークを倒す必要もないだろうに。
13 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 23:45:30 ID:8rnuXNWY
僧侶「どこに居るのでしょうね」
うるさい巨乳。
戦士「」
なんか喋れば?
勇者「でも魔法使いって村思いだよな!」
魔法使い「はぁ?」
何を言っているのだろう?
勇者「普通オーク討伐なんて怖くて着いて来ないだろ? よっぽと村が心配なんだよな~」
僧侶「ご安心下さい。 勇者様はやる時はやるお人ですから」
駄目だ。 思考回路から何から何まで全く合わないや。
14 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 23:46:03 ID:8rnuXNWY
魔法使い「良いかい? 僕は村から厄介者とし……んぐぅ?」
戦士「静かにしろ……何か居るぞ」
戦士のゴツゴツと節榑立った手のひらに口を塞がれる。
他人に触れられた事がここまで不快だった事はない。
勇者「オーク、だな」
勇者は背にある長剣を引き抜き辺りを警戒する。
戦士「さて、仕事の時間か」
戦士は身の丈を越す戦斧を構えた。
僧侶「また、殺めなくてはならないのですね」
黙れ巨乳。
魔女「まぁ、君たちのお手並み拝見といこうか」
オーク「ブゥモォォォ」
戦士「来たか」
15 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 23:46:36 ID:8rnuXNWY
戦士が鋭い踏み込みで群れに突撃した。
魔女「速いっ!?」
戦士「ぬんっ」
突撃の勢いをそのまま戦斧に乗せて横薙ぎに振るう。
オーク「ブィイィイイ」
風を引きちぎる剛音が戦斧の威力を誇示しているようだ。
戦斧が届く範囲に、命が存在する事を許さない刃の暴風が吹き荒れていた。
魔女「あれはちょっと格が違いすぎるね」
こんな辺境の魔物程度じゃ相手になりはしないだろう。
勇者「~~」
刃に巻き込まれぬようにか、勇者は遠くから援護に回っている。
小さく、けして高位の精霊ではないが確かにそれは雷の魔法だった。
16 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 23:47:11 ID:8rnuXNWY
僧侶「あ、えと」
何もせずオタオタと狼狽える僧侶。 胸だけでなく、動きにも無駄ばかりなんて使えない人間だ。
勇者「うぉおおりゃりゃりゃ!」
勇者が別の群れに突撃した。
長剣に振り回される程未熟ではないが、戦士とは雲泥の差だ。
足りない技術を、魔法を纏わせる剣技で補ってはいる辺り器用ではあるらしい。
戦士「飛び込みすぎだ!」
勇者「大丈夫! これぐらいならイケるさ」
戦闘ですら楽観的なのか。
17 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/08(水) 23:48:56 ID:8rnuXNWY
軽い失望を感じるが、戦力としてはこのパーティーは及第点だ。
むしろ、戦力だけで考えるのならば、戦士ひとりでお釣りがくる。
魔法使い「じゃあ、そろそろ僕も」
オークの群れに氷の魔法をお見舞いする。
戦士「ほう」
勇者「うおっ!?」
僧侶「凄い」
オークの群れを一掃するには充分すぎる高位の魔法だ。
魔法使い「中々やるんだね」
戦士「そちらもな」
勇者「すごい奴だな! びっくりしたぜ魔法使い」
僧侶「お強いのですね」
まぁ、褒められて悪い気はしないさ。
素直に喜んでなんてやんないけどね。
18 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/09(木) 00:29:45 ID:9tVvGTRE
魔法使い「オークの群は多分この奥の遺跡で暮らしている」
勇者「よし!いこうか!」
魔法使い「行くならどうぞお一人で」
勇者「へ?」
戦士「なにか問題が? 正直な話、戦力なら俺と魔法使いで充分だろう」
魔女「殲滅するだけならね」
僧侶「さらわれた人達、ですね」
魔女「ご名答。 十中八九は死んでるか精神的に壊れてるかだとは思うけどね」
オークにアレをぶち込まれて正気なんて余程の精神力がなければ無理だ。
勇者「助けなきゃな!」
19 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/09(木) 02:28:10 ID:dgnnd5/o
魔法使いと魔女の視点がわかりにくいよーな…
どっちがどっちかわからんで
20 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/09(木) 06:05:24 ID:9tVvGTRE
単純に書き込みミスです。
今回も視点が変わる際には前もって報告します。
そうでない場合、基本的には魔法使い視点となります
魔法使い「さて、今回の作戦だけど、二手に分かれようと思う。 救出班と殲滅班だ」
勇者「どう分ける?」
魔法使い「簡単に火力で分けるべきだと僕は考える」
魔法使い「戦士と僕がオークを殲滅、僧侶と勇者が救出だ」
正直、勇者や僧侶と組むよりは喋らない戦士の方がマシだ。
僧侶「待って下さい」
魔法使い「?」
僧侶「私は魔法使いさんと私が救出班に回るべきと考えます」
この巨乳は何をいっているんだろうか?
無駄なのは胸の脂肪だけにしてほしい。
23 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/10(金) 12:46:33 ID:6EQT8t52
戦士「俺もそれに賛成だ」
魔法使い「?」
勇者「?」
戦士「被害者の女性に男性が接するのがまずいっていう事、それと戦力の均等化が目的だろう」
勇者「なるほど」
僧侶「そういうわけで、魔法使いさん、よろしくお願いします」
はぁ、最悪だ。 無駄乳のお守りなんて気が重い。
24 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/10(金) 12:46:45 ID:6EQT8t52
―オークの住みか―
魔法使い「じゃあ先に行って騒いでてくれ、僕と僧侶はその隙に救出する」
勇者「おう! 僧侶は頼んだ」
戦士「……」
二人が遺跡に入って行く。
隣には無駄な脂肪を胸に貼り付けた天然女。
魔法使い「自分の身はできる限り自分で守ってね。 僕だって本来は単体で戦闘をこなす部類じゃないんだから」
僧侶「はい、お互い気をつけて行きましょう」
あーあ、憂鬱だ。
25 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/10(金) 12:47:17 ID:6EQT8t52
今回の更新は以上となります
26 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/10(金) 17:10:48 ID:BscjKpNo
魔法使いは随分僧侶の胸を敵視してるなw
27 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/10(金) 18:44:34 ID:6EQT8t52
先遣隊である勇者と戦士が遺跡に入っていく。
僧侶「」
魔法使い「」
僧侶「」
魔法使い「」
空気が重い……。
僧侶「あの」
魔法使い「なに?」
僧侶「貴女はなぜ戦えるのですか?」
何を言ってるんだこの乳袋は。
魔法使い「はぁ?」
僧侶「私は命を奪うことが恐ろしいのです」
なんだ、宗教の勧誘か。
28 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/10(金) 18:44:59 ID:6EQT8t52
魔法使い「やらなきゃやられるならやるしか無いじゃないか」
僧侶「その通りだとは思いますが……。 果たして私には他の命を奪ってまで」
魔法使い「それは知らない。 貴女の所の神様にでも聞いてみれば?」
僧侶「……」
魔法使い「時間だ、そろそろいこうか」
僧侶「はい……」
難しいことを考えるね。 自分の価値なんて。
僕の価値、か。
29 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/10(金) 18:45:43 ID:6EQT8t52
―遺跡内部―
魔法使い「ねぇ」
僧侶「は、はい?」
魔法使い「離れてくれないかな? 歩きづらくて仕方がないんだけど」
僕よりも身長も年齢も上なのになんで僕の腕にすがりついて歩くのだろう。
胸を押しつけられている気がしてとんでもなく不愉快なんだけど。
僧侶「魔法使いさんは私が守りますよ!」
魔法使い「いや、何を言ってるの?」
僧侶「オークは凶悪な魔物でしたし、いくら魔法使いさんが優秀な魔術師でもまだまだ子供じゃないですか」
魔法使い「それはどーも。 でもその必要は無いから離れてくれないかな?」
僧侶「あと、私暗いところが苦手でして……」
やはり、この人と組むのは失敗だったな。
30 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/10(金) 18:51:29 ID:6EQT8t52
魔法使い「ん?」
僧侶「どうしました?」
魔物「キーっ!」
僧侶「ひゃああぁぁあぁ」
現れたのは、丸いからだにコウモリの羽をつけたような魔物。
もちろん悲鳴をあげるほどの魔物じゃない。
魔法使い「えいっ」
手にした杖で殴る。 魔法を使うまでもない。
魔物「キュー……」
僧侶「~」
魔法使い「何してるの?」
僧侶「回復です。 悪い子じゃないみたいなので」
魔法使い「馬鹿なの?」
僧侶「かもしれませんね」
この人は教会からでないで毎日お祈りだけしていれば良いんじゃないか?
31 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/10(金) 18:51:43 ID:6EQT8t52
魔法使い「この辺、臭うね」
僧侶「生臭いような、嫌な臭いです」
遺跡の奥、オークの貯蔵庫なのだろう。
僧侶「なんの臭いなんでしょうか?」
魔法使い「腐った血肉とオークの精液じゃないか」
その言葉聞いた瞬間嫌悪を露わにして眉間に皺を寄せる乳女。
僧侶「なんだか気分が優れなくなってきそうです」
はん、ざまぁみろ。
32 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/10(金) 18:52:15 ID:6EQT8t52
今回の更新は以上となります
33 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/10(金) 18:55:21 ID:SqIAZnf6
もう乳女呼ばわりかw
34 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/10(金) 19:09:00 ID:.zvcYdAA
なんだ宗教の勧誘かにワロタ
35 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/11(土) 23:02:04 ID:zYSKR4Y6
割と大量に更新します
36 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/11(土) 23:04:26 ID:zYSKR4Y6
遺跡の深部はいやな臭いだが、幸いな事にオークの陰は見えなかった。
魔法使い「さて、多分この奥にさらわれた人達は居るんじゃないかな?」
僧侶「えぇ、早く助けて差し上げましょう」
どーせみたら情けない悲鳴をあげるんだろうな。
石造りの扉に手をかけてそんな事を思う。
食い散らかされた死体と苦痛と恐怖で精神崩壊した人間が無造作に転がる部屋なんて僕でも見たくない。
37 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/11(土) 23:06:23 ID:zYSKR4Y6
案外扉はすんなりと開く。
魔法使い「……酷いね」
眼前に広がった光景は予想よりも酷い物だった。
血と精液が床に溜まり、その中で原型をとどめていない死体、内臓、骨、肉片が転がっている。
そんな中にうつろな目をした女性たちが力なくうずくまっていた。
魔法使い「……」
オークに衛生観念を期待してはいなかったけど、この性欲と食欲を満たす為の部屋の不潔さに、足を踏み入れることすら戸惑う。
どーせこの乳女も、そうなんだろう、きっと自分が汚れるのを嫌う人種だ。
僧侶「大丈夫ですか!?」
そう、思ったんだけど。
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