おじゃま道草
Part1

ほんのりと恐い話スレ、その5〜〜
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507 :おじゃま道草 <1> 1/2:02/05/26 13:58
<1>
 7年前の6月、夜10時ごろ、自宅の電話がなりました。いつになく、
どきっとする音だったのを覚えています。ミュージシャンの馬場君からで
した。
−− どうもオカシイ、口では説明できない。夜分申し訳ないが、来てみ
  てほしい
とのこと。
 馬場君はバンドの合宿所として、川越に近い、ある一軒家に引っ越した
ばかりでした。いつにない彼の深妙な声に、いやーな緊迫感を感じました
が、長い付き合いの彼の頼みなので、行ってみることにしました。
 そして、出かけようと玄関にでた瞬間、目の前のドアを誰かがいきなり
ノック。
 開けてみると、友人の茅野君が一升瓶をかかえて立っていました。
 馬場君に呼ばれて出かける旨を話すと、
−− 馬場君とは面識も有るし、単独で行くべきではないと思うので同行
  する
と言い出しました。
 とりあえず車を出し、その車中で話し合いました。その日はたまたま暇
で、急に私の顔を見たくなったのだそうです。茅野君はもともと感の鋭い
人で、私の顔を見た瞬間、
「何かあったな」
とピンときたといいます。
 馬場君はいくつかの因縁を抱えた人で、以前から問題を起こしやすいタ
イプの人でした。茅野君は、私を通して、馬場君の波乱万丈ぶりを知って
いましたが、今回は今までとは違うように感じる、という点で、意見が私
と一致しました。

508 :おじゃま道草 <1> 2/2:02/05/26 13:58
 車で30分ほど走ったとき、茅野君が突然、
−− うわぁーーっ
と声をあげました。
 話を聞くと、
−− 一瞬道路の前方に、身長50mはあろうかという真っ赤な仁王さん
  が、「来るな!」のポーズで立ちはだかった
というのです。
 彼はその当時、仏像の知識をほとんど持ち合せておらず、「仁王」と表
現しましたが、後日写真集を見せて確認したところ、明王部の中でも不動
明王の立像に一番似ていたそうです。
 初めての訪問だったので、馬場君に最寄りの駅前まで迎えに出てもらい
ました。
 馬場君を駅で拾い、車中で「何事か」と問うと
−− 格安で二階家、いい物件だと思ったが、どうもオカシイ、とにかく
  来て、見てから、意見を聞かしてくれ。
といいます。 
 到着すると、そこは目の前を高速道路が走り、雑木林に三方を囲まれた
10戸ほどの分譲住宅の中にある一軒でした。囲まれていない開いた方の、
道路に面した角にたっており、築10年位でした。
 車を降りると、まず、私はその家に向けてカメラのシャッターをきりま
した。
 梅雨の中休みといった気候で、蒸し暑い夜でした。

509 :おじゃま道草 <2> 1/3:02/05/26 13:59
「はまったな」、、、その場に立った時の素直な感想でした。
 その家の外見で気になった点を挙げてみましょう。
 ・全ての敷地内の雑草が外側へ向かって伸びている。
 ・敷地内の南西の角に3本の木(高さは2階の軒とほぼ同じ)がある。
 ・3本の内、南よりの1本は立ち枯れになっている。
 ・分譲住宅なので、周囲の家屋と同時期の築のはずだが、それだけが傷
  みが大きい。
 隣の住人が網戸ごしにこちらを覗いているのを気にかけながら、中へ。
−− むさ苦しいところだが、まあはいってくれ。
 馬場君のさそいに、玄関へ一歩。
「く、くさい、何だ?」、、、というのが内部を見た第一印象でした。
 茅野君は開口一番、
−− 猫、飼ってるのかな?
 私もそれに相槌をうつと、馬場君は、
−− うちには居ないが、周りには何匹かいるよ。匂う? やっぱりなあ。
  いくら掃除しても、抜けないんだよね。
 玄関から上がってすぐ左が階段。玄関(西)から正面(東)へ真っ直ぐ
に廊下があり、突き当たり右(南東)がダイニングキッチンで、左(北東)
が浴室。
 私たちは、上がって右手(南西)のバンドの練習室に通されました。
−− す、涼しい、、いや、寒い、、エアコンは?、、な、ない!、。
  窓は?、、閉じてる。
 窓の外に妙に目立つものが、、、。よく見ると枯れ木でした。

510 :おじゃま道草 <2> 2/3:02/05/26 13:59
−− この部屋が1階では一番まともなんだ。
 マネージャーの女の子が茶を入れている時、やっと馬場君が話を始めま
した。
 馬場君の話の概要は、
 ・1階で寝るとうなされることがある。
 ・2階に全員が居る時、1階から話し声が聞こえる。
 ・1階から上がってくる足音がしたのに誰も来ない。
 ・引っ越してきた時、押入の中にケース入りのゴルフクラブ一式が残さ
 れていた。
 ・台所に行くのをみな嫌がる。
といった現象なのですが、猫について次の様な体験を話してくれました。
−− 昨日、2階に居たら1階で物音がしたんで、
  「買物に行ってたヤツが戻ってきたかな?」と思って下へ降りてきた
  んだ。
   そしたら、玄関のドアは開いてたんだけど、誰も居ない、、。
   よく見ると、近所の猫が入り込んでたんだな。
   ところがそいつがなかなかつかまらない。ちょっと掴むと、必死で
  引っ掻いて抵抗する。この引っ掻き傷、見てみなよ。
   そこで、窓を開けてやったんだな。
   ところが追い回したけど、猫は窓を無視するんだね。
   そして、そのうち、猫が玄関へ走ったんだ。
  「やった、出てくぞ、、、」
   そう思ったら、猫が変な行動をとったんだ。玄関に降りるやいなや、
  ビタッと立ち止まって急に向きをかえたんだね。
   そして俺の足下をぬけて階段上がって、2階の窓から屋根越しに逃
  げたんだ。
   で、さぁ、、、。
   その、玄関での行動なんだけど、本当に変なんだよね。何か、目の
  前に恐ろしいものでもいて、あわてて引き返した、、、という感じな
  んだ。俺に追いかけられるよりは、よほど怖そうだったよ。

511 :おじゃま道草 <2> 3/3:02/05/26 13:59
 この話を聞いた茅野君は、
−− その猫、何かに操られてたんじゃないかなぁ。
と、コメント。
 私は、その話の間も、廊下を猫が行ったり来たりしている様な感じがし
ていました。
−− その猫はたまたまそうなっただけで、
  普段は生きていない猫がうろうろしているみたいだね。
 私がそういうと、すかさず茅野君は、
−− うん、今も廊下をふっと影が通った様な気がしたよ。
と、意見が一致。
 しかし、大切なのは、さっきの茅野君のコメントです。私は、茅野君の
勘(感)を生かすつもりで、彼にたずねました。
−− でも、本体は猫じゃないな。台所へ行ってみる?
−− いいや、今はよすよ。明後日は休みだから、明るいうちに来よう。
 この後、馬場君からもう少し話を聞き、新曲のデモを聞かせてもらい、
台所には足を踏み入れず、午前2時ごろ帰途につきました。

515 :おじゃま道草  ◆yjBaPtjU :02/05/26 17:11
 茅野君を送った後、私は自宅へ戻りました。
−− ん? 誰も居ないはずの弟の部屋でひとの気配がする、、、、。
 電気をつけて、覗くと、、、やはりいない、、、、。
−− 来たな、、、。
 私は、
「くるな!」
と強く念じ、気配が消えたのを確認してから床に入りました。
 明けて、すぐ、私はフィルムを現像に出しました。その日の夕方には仕
上がりますから、、。職場へ行くと、弟(大輔)からの伝言がありました。
「今晩、帰る。友人を呼ぶ。酒、買っておいてくれ」
 弟は、職場が遠いので、その近くに下宿しており、およそ月に1度、衣
替えに戻っていました。
 私は仕事の帰りに、上がったプリントを引き取りました。
 持ち帰ると、まず、ネガで現像ムラや光線洩れ、傷などをチェックし、
それからじっくりプリントを調べました。
 枯れ木がとても目立ち、何枚かのカットに気持ちの悪い印象を与えてい
ました。
 と、、よく見ると、そのうちの1枚に、、、
 南西の角のブロック塀に小さい赤い光点(豆電球でも点いているかよう
に見える)が写っているものを見つけました。
 同アングルの他のカットにはなく、そのカットにだけ写っていました。
ネガにもきちんと写っており、物理的な処理の過程で出来たミスとは考え
られません。
 赤、、、一般に負のエネルギーです。
 小さな光点、、、強い霊体です。
 色の感じからも判断して、、、
 結論、、、祟りじゃーーっ!

516 :おじゃま道草  ◆D/vHCKaE :02/05/26 17:12
ぎゃあ、トリップが変わってしまった!失礼。
>515も自分です・・・

517 :おじゃま道草 <3> 2/3:02/05/26 17:13
もうトリップ止めようっと。
 ちょうど写真を見終わった頃、大輔が友人の榎本君を連れて現れました。
そして、私がテーブルの上の写真を片付けようとすると、、、
−− 何写したの?
−− お化け、、じゃ。
−− へぇーー、どれ? 見せて、、、、家?、、お化け屋敷?
 そのうち、私と大輔とのやりとりを見ていた榎本君が身を乗り出してき
ました。
−− 見せてもらっていいですか?
 彼が写真を捲っている間に大輔が彼について教えててくれました。
学生の頃の剣道部の仲間だそうですが、、、何と、、彼は霊感が強く、そ
れを見込まれ、密教系の寺院でアルバイトをしている、、という変り種だ
そうです。
 彼によると、、
−− こういう赤いのって、神仏の罰てぇことがあるんです。
   強いなあ、、、。
   うかつなことは言えないので、これ、2・3日預っていいですか?
   師匠に相談して見てもらいます。僕だったら、ただですから、、、
   ネガがあるので茅野君には焼き増して見せればよい、ということで、
私は例のカットの他、数枚を榎本君に預けました。

518 :おじゃま道草 <3> 3/3:02/05/26 17:13
 榎本君は遅くまで飲み、その日は一泊して帰りましたが、大輔は馬場君
の家に興味を示し、翌朝、、
−− 今日、茅野さんと行くんだろ? 俺、明日も休みだからつきあう
  よ。
と言いだしました。
−− あぶねぇぞ、、、憑かれるぞぉ〜。
−− 武道やってるからかも知れないけど、おれ、そんなの平気だよ。
 約束の正午に茅野君が現れ、私たちは3人でB宅へ向かいました。
 私は、例の猫が気になっていたので、途中、鰹節のパックを買っていき
ました。

519 :おじゃま道草 <4> 1/3:02/05/26 17:13
 馬場君宅へ着くと、ちょうどバンドの練習中でした。すぐに終わると言
うので、待つ間に建物の周囲を調べることにしました。
 林が切り開かれ、宅地として分譲された場所のようでは在りましたが、、
近くには古そうな農家が点在しています。
−− わざわざ、木を切らなくても農地があるのになぁ
 私はだんだん土地の成り立ちが気になり出しました。
 そして、しばらく歩き回るうち、
−− ん? 水の気配がする、、、
 池か井戸か、、溜まった水のようです。場所は限定できませんが、どこ
かにあったと思われます。
 そのうち、馬場君宅が静かになり、女の子(船井さん)が呼びに出てき
ました。
 中へ入ると、まず、使わない皿を2つ貸してもらい、1つには水を入れ、
もう1つには鰹節をのせました。
 猫の気配がもっとも多い階段の下に、それらを置きました。
 そして、しゃがんで手を合せると、
−− ここにとどまるな、去りなさい、、、、
と念じました。
 それから5分位後でしょうか、、、練習室でお茶を飲んでいると、廊下
の方から、「ニャン」という鳴き声がしました。
−− また、猫がはいってきたか? 鰹節狙ってるんだろう。
 馬場君が立ち上がって、廊下を覗きました。
−− ありゃ、いない。今、ないたよなぁ、、
 馬場君が首をかしげながらもどり、また元の雑談になりました。そして
その後、猫の気配はぱったりと途絶えました。
 ところが、この猫供養が、本体をつついたようです、、、。

520 :おじゃま道草 <4> 2/3:02/05/26 17:14
 さて、3人でキッチンへ、、、。
 6畳の広さがあるダイニングキッチンでしたが、だれもそこで食事を取
らないため、テーブルなどの家具もなく、広々としていました。
 まずは写真撮影、、、
−− ん?、なんだぁ、あれは、、。
   柱の上部に、貼っていた紙を剥がしたあとがある、、。
 きちんとはがさず、びりびりになって、中央部が残った状態です。黄ば
んでいて、古そう。しかも、そこだけでなく、部屋の四方に同じものがあ
る、、、。
 御札で何かを封じた、、、しかし破れた、、、。
 最も剥がれていないものに近寄って、見てみると、真ん中が妙に黒い、、、
絵?、、、黒犬。御嶽山か、、?
−− 足がちくちくする、、、いるな、、。
 私は、茅野君へ向かって、
−− 何か感じない?
−− 何か、足がひりひりするよ。
−− そう、、俺と同じだね。どの辺がひどい?
−− この流しの前のあたりかな。
−− そうだろう、、、。
 またしても意見が一致。
 それまで黙していた弟の大輔が口を開きました。
−− すごい、、、殺気がある。
   目を閉じると、今にも誰かが斬りかかって来そうな気配があるよ。
   それに、昔痛めた腰が痛くなった。弱いところをつついて来るみた
  い。
   この感じ、、、修学旅行で関ケ原へ行った時以来だな。
   普通は、俺、こういうの平気なんだけど、、ここは別だよ。
   何がいるんだぃ?
−− ここで、「見る」と危ないな。帰ってからな。

521 :おじゃま道草 <4> 3/3:02/05/26 17:14
 私は、
−− これは、猫のようなわけには行かないな。無理だな。
 と思い、馬場君に転居を勧めることにしました。そして、私がもう2、
3枚写真を撮ろうとすると、茅野君が、
−− 何か気持ちが悪くなりそうだから、向こうで御茶飲んでるね。
 と言って台所をでました。
−− 俺もそうするよ。
 大輔も同じことを言いだしたので、私も出ることにしました。
 練習室へ戻ると、馬場君が横になって寝ていました。
−− 明け方までかかってバンドスコアを書いたって言ってたからね。
   でも、何か安眠してるようではないみたいね。
 船井さんがタオルケットを馬場君にかけながらつぶやきました。

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