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毒男の怖い話とか音楽とか雑談とか 2017/01/09 スレ

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Part2
44 :毒男 ◆B.DOLL/gBI :2017/01/09(月) 21:55:19.717 ID:wL0kuuJ60
夜。
雨の降る深い闇の林道で、1人の女が傘も持たずに佇んでいる。
それを見たタクシーの運転手は、その様子を気味悪く感じながらも女の前にタクシーを停車させ乗っていくように勧めた。
女は黙って運転手を一瞥すると、後部座席に乗り込み一言
「×××へ」
とだけ言った。
現在の場所から数十キロも離れた場所の名前であった。
そこまで歩いて行くつもりだったのか…。
運転中、2人の間に会話は無かった。
目的地に到着し、
「着きましたよ」
と言って運転手が振り返ると居るはずの女が消えている。
タクシー運転手の間では有名な都市伝説の一つである。
無論、一般人だろうとこの話を知る人は多いだろう。
しかし、多いだけで“実際にそれを体験した人”というのは一体どれくらい居るのであろうか?
残念ながらその数は少ないと思う。
そんな中、昔タクシー運転手であった田中さんがこんな体験談を語ってくれた。
その体験談は、どこかあの都市伝説に似ているような気がする。
当時タクシーの運転手だった田中さんがその女に出会ったのは、雨の強い夕暮れ時のことであった。
半ば道路に飛び出すようにしてタクシーを止めに入ったその女を、田中さんは危うく轢いてしまうところだったという。
「本当に突然出てきたもんだから、ビックリしたな。最初は怒鳴ってやろうと思ったけど、あの様子見てたら…」
その異様な様子に田中さんは怒鳴ることも忘れてしまったらしい。
この強い雨のなか傘も持たずに、布に包んだ赤ん坊を抱いた女は運転席側の窓を叩き続け
「乗せてください」
と呪文のように繰り返し呟いていた。
「雨に濡れた長い髪が顔にベッタリ貼り付いててな、表情が読み難かったが歳は20代前半位か。目が据わってたのが印象的だったな…それとーー」
ーーそれと、赤ん坊の抱き方が奇妙だったという。
右腕で赤ん坊を外側から丸め込むように片手で抱いて、残った左掌をその頭に置いていた。
別に撫でている風も無く、本当にただ赤ん坊の頭に手を置いているようだったという。

45 :毒男 ◆B.DOLL/gBI :2017/01/09(月) 21:57:01.458 ID:wL0kuuJ60
田中さんは後部座席に女を座らせると、何処へ向かうのか訪ねた。
「とにかく近くの病院まで…子供が……急いで!」
何と無く女の事情を理解した田中さんは、今の場所から一番近いであろう病院を思い出すと一気に車を走らせた。
「運転中は喋れる雰囲気じゃなかったな。バックミラーで何度かその女性の様子を見てたんだけど…」
女は俯いたまま我が子に何かを呟きかけていた。
腕はあの“奇妙な抱き方”のまま崩す素振りは一度も見せなかったという。
話し掛ける勇気の出なかった田中さんは、その代り車の速度を上げると病院まで急ぐことにした。
しかし、田中さんはすぐに自分の選んだ選択肢が間違っていたことを思い知らされたという。
大雨のせいもあったのであろうか、突然変った信号で田中さんが急停止したところ、後部座席に座っていた女性がよろけて運転席の背中にぶつかってしまったのだという。
ベリッ
女のぶつかった衝撃が消えると同時に、父の背後で嫌な音が響いた。
「本当に、嫌な音だった。まだ治りきっていない大きなカサブタを、思いっきり剥がしたことある?あれの何十倍も凄い音がしたな」
何かの剥がれるような奇妙な音のすぐ後で、今度は何か重い物が
「ゴトッ」
と落ちるような音がした。
何事かと思い田中さんが振り返ると、女は別段慌てる風も無く落とした何かを拾おうと座った状態から身を屈め、左手を伸ばして床をまさぐっていた。
信号が次に変るまでまだ余裕があったため、田中さんはその様子をずっと眺めていたという。
さっきのこともあるため赤ん坊の安否も気になったのだが、身を屈めた女の胸や頭の下に隠れて赤ん坊の様子はわからなかった。
数秒後、目的の物を掴んだのか女の動きが一瞬止まった。
身を起した彼女の左手には、よく分からない『何か』が鷲掴みにされていた。
丸く、紫がかった奇妙な塊であったという。
女がその『何か』を掴んだままの左手を元の位置に戻すと、
「クチュッ」
という小さな音と共に先ほどと何ら変わらぬ“奇妙な抱き方”が完成した。
その全ての動作を目にした田中さんは、何かに気付いたように目を見開くと、叫びに近い声でこう言ったという。
「降りてくれ!!金は要らないから、出てってくれ!!!」
女は前に振り返った田中さんをバックミラー越しに睨み付けると、ロックの外れたドアを開けて大人しく出て行った。
開きっぱなしのドアから雨音が間断なく響き渡ってきた。
「彼女が落とした物ってのは赤ん坊の生首だったんだ。可哀想に、詮索はしないが一度離れちまったものを彼女は必死にくっ付けようとしてあんな抱き方してたんだろうな。それで急いで病院に連れて行こうとしてたわけだ」
田中さんはそこまで一気に喋り終えると、何かを思い出したように顔を上げ溜息を吐いた。

53 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/09(月) 22:08:35.578 ID:LxWGekz5a
今日洒落怖とホラー漫画読みすぎたせいでなんかちょっと麻痺してるわ

54 :毒男 ◆B.DOLL/gBI :2017/01/09(月) 22:09:27.094 ID:wL0kuuJ60
寂れた飲み屋で一枚の写真を手に上司が話してくれた。
「お前も知ってるだろうけど、俺は山に行くんだ。写真を撮りにね。
大学の頃から山はしょっちゅう登ってたから、技術には自信を持ってたんだけど、今から15年くらい前かな。
あまりにいい景色だったんで夢中でシャッターを切ってたら、足を滑らして転げ落ちちゃったんだ。
根が卑しいのかカメラをしっかり持ってたんだけど、なんとか体を引っ掛けることが出来た。
でも危険な状態だった。一メートル先は完全な崖だったんだ。
なんとか体はとどめているけど、いつまた滑り出すか分からない。
その時上からザイルがするすると降りてきたんだ。
カメラを首にかけて夢中で登ったよ。
安全なとこまで登りきって一息ついたんだけど、誰もいない。
叫んでみたけど返事もないんだ。是非お礼を言いたかったのだが、仕方がないと思ってその日は山を降りたんだ。
家に帰って写真を現像してみると、山の写真の中に一枚見覚えのない写真があるんだよ」
と言って上司は写真をよこした。
崖に引っかかっている時に偶然撮れてしまった写真らしい。
そしてその写真の真中に崖の上から覗きこむようにして男の顔が映っている。
「俺はこの人にお礼が言いたくていつもこの写真を持ち歩いてるんだ。だけど…お前、分かるか?」
写真の男の顔は皺だらけであったが上司の顔にそっくりであった。
「年々、俺の顔がそいつに似てきてるんだ…」
上司はそれを悩みの種にしているようだった。
しかし俺は思う。
写真の真中で薄ら笑いをうかべるこいつが、上司を突き落としたのではないかと。
数年前その上司は亡くなった。
その死に顔は写真の男にそっくりだった。

58 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/09(月) 22:16:42.837 ID:1N3ezueN0
毒男ちゃん明けましておめでとうございます
みんなもあけおめだよー
>>54
顔が似てくるとかこわっ


61 :毒男 ◆B.DOLL/gBI :2017/01/09(月) 22:21:56.256 ID:wL0kuuJ60
>>58
|A-) あけましておめでとうw
    取り憑かれてそうなってしまったのかなんなのか…

66 :毒男 ◆B.DOLL/gBI :2017/01/09(月) 22:29:05.541 ID:wL0kuuJ60
この話は実は最近体験した話なのですが、話の内容が内容なので家族や知人には話せず、
今までまだ2、3人にしか話した事のない実際に起こった話です。
3年前の夏、私は船を持っている叔父と二人で太平洋漂流などと
無邪気にはしゃぎながら優雅な船舶生活を体験させて貰っていました。
叔父と私は昔からウマが合い、私はまるで本当の息子のように昔からいろいろな所へ連れて行って貰ったものです。
そんな日々を事件が襲ったのは船上生活を始めて5日もしたある夜。
その夜は突然の大嵐で高さ10mはあろうかという大波が船を襲い、
私と叔父はゴロゴロとあちこち転がりながら、人生の終わりを予感しました。
そのうちに私は頭を打ち気を失い、しばらくして目がさめるともう波が全くなくなっておりました。
叔父はひっくり返ったベッドの上は煙草を吸っていました。
「やっかいなことになってもーたわ」
目覚めた私に叔父が投げかけた第一声がそれでした。どうやら座礁してしまったらしくしばし途方にくれているようでした。
「どうしよか…」
「…無線やな」
「出したん?…」
「…今起きた」
無口に煙草を吸いながら二人そんな話をしていました。
しばらくしてとにかく外出てみようと思いデッキに出て確認すると、地面は赤黒い色をした見るからに奇妙な大地で、アンモニア臭がツンと鼻を突きました。
「おーいこっち来て手伝ってくれ」
叔父に呼ばれて私は行かないわけもなく、急ぎ足で船内に戻ったその時、ズズズズズズゥーンと船が沈みまた大きな波が船をひっくり返さんばかりに揺らしました。
「おっおわっおわわわわ!」
何が起こったのかわからず理不尽に荒れだした大海原に自然の脅威を思い知らされながら叔父のもとにたどり着きました。
しばらくして波が止み、太平洋のゆりかごのような波が緩やかに船を揺らします。
「おい、外これ…」
叔父の側に駆け寄り私も外を見ました。そこに広がっていたのは果てしなく続く太平洋でした…。
理不尽にも陸は消え、私と叔父は真っ青になり近くの島に急ぎました。
その後無事地元に帰港した私達は今まであった事を忘れてしまったかのように振る舞い日常に帰りつきました。
陸のない所に陸が出る…そんな事が太平洋では本当にあるんです。
海にはまだまだ未知なる物が潜んでいます。
島ほどもある生物がいる。
誰も信じなかった私のこんな体験でした。

68 :cat ◆TUKUMO3rAI :2017/01/09(月) 22:36:04.352 ID:hAXhoSd40
>>66
|ω・`) ええそんな事ってあるの…
超巨大生物かな…:(;゙゚'ω゚'):

71 :毒男 ◆B.DOLL/gBI :2017/01/09(月) 22:39:21.382 ID:wL0kuuJ60
>>68
|A-) 臭い的には完全に生き物だよね…w

69 :毒男 ◆B.DOLL/gBI :2017/01/09(月) 22:36:28.929 ID:wL0kuuJ60
これは私が今住んでいる所に引っ越す前の話なんですが、
以前住んでいた県営住宅(まだ新しく、中古で入居はしていません)は私が生まれて間もない頃に入ったそうです。
そこには私も小学校の5年までしか住んでいなかったんですが、13号棟まであり、子供が多い割には何故か人気が少ないように感じる土地でした。
また、私達が住んでいた13号棟は小さい道路に挟まれ、前の12号棟とも疎外感のある場所でした(ちなみに室号は404であからさまに不吉)。
それは私が3歳頃、最初に経験したのは母でした。
ある夜中、母は12号棟にある公園のほうからこちらへ歩いてくる人影を観たらしく、本能的に
「ヤバイ」
と思って、自分の家へ戻ったそうです。
その人影(よくよく見ると死装束を着た長い髪の女だったそうです)はスーっといった雰囲気で13号棟の1階1部屋ずつ、ノックをしては上の階へ上がって来ました。
4階に住む母は、急いで家の鍵を閉めてふすまを閉じ(寝る前にふすまを閉める習慣だったので)、私たちが寝ている部屋へ来て寝たフリをしたそうです。
そして次に周ってくるのが
「うちだ」
と感じた瞬間、はっと目が覚めたそうで、気がつくと隣にはいつもの家族が眠っています。
「あぁ、夢だったのか」
と母がほっとして頭上にある時計を見ようとした瞬間、ふすまが半分ほど開いているのに気づきました。
そしてはっとした瞬間、金縛りにあい、うっすらと目をあけてみると目の前には先ほど目にした死装束の女性が、物凄い形相で母を睨んでいました。
そして次の瞬間力任せに首を絞めてきたそうです。
「苦しい」
と気が遠くなった瞬間、母は気を失ってしまったのですが、次の日起きるとふすまはやはり半分開いていました。
それが、母にとって一番怖かった体験だったそうです。
次の体験者は私の弟でした。
弟も親の血なのか子供の頃から結構見る体質だったらしく、異常なまでの怖がりで、
小さい頃はいつも夜中にトイレに行くときは必ず家族を起こしていたのですが、
何故かその日は1人でトイレに行こうと思ったらしく、ふきガラスつきの扉(どうもこの県住のデザインらしく、
どこの家にも着いていました)を半分開いた瞬間、誰かがいるのが見え、
よくよく見るとどうも母が観た例の女性と同じらしく(ですが母は「怖がりだから」と弟にはその話をしていません)、
半泣きで私たちが寝ている部屋に戻ってきて詳細を話しました(それで母が上の体験を言ったものだから余計に弟は怖がりになってしまったんですがw)。

70 :毒男 ◆B.DOLL/gBI :2017/01/09(月) 22:37:45.705 ID:wL0kuuJ60
そしてある日、今度は父が妙なことを母に言いました。
「お前、夜中何度も俺の手を撫でてるやろ」と。
母は私と弟と同室で寝ており、父はスペースがないので1人別室で寝ていたのですが、もちろん母は
「そんなことしていない」
と言い張ります。
そしてある日、父がまた手を撫でられていると感じた時に、うっすらと目をあけて手のほうを見てみると、
白い着物から伸びた青白い手が父の手を延々と撫でていたそうです。
今では父は
「よく考えると母さんの手よりももっとほっそりとしてて綺麗だった」
と笑い話にしていますが…。
そんな風に同一人物と思われる霊に私以外の家族全員が観たことになったのですが、
これがあまりにも小学校の頃の私にとって、友達と話す時にいい話題になるので、
ある日下校途中に、同じ13号棟に住む同い年の友達にこの話をしてみました
(オチに使おうとその子には最後まで「同じ霊らしかった」とは言わなかったのですが)。
すると、その子も家で霊体験をしたことがあるらしく、これは弟と同じくふきガラスの扉を開いたときに見たそうなんですが、この話を聞いたとき私ははっとして、
「もしかして、その幽霊って死装束を来た髪の長い女の人じゃなかった?」
と尋ねたところ、友達は
「うん、そうだよ。なんでわかったの?」
と驚かれました。
もしかしたらこの霊は13号棟付近をうろついているのかもしれません。
ちなみに、この霊だけでなく、昔実際に起きた事件で近所のどぶ川にまだ3歳頃の男の子が落ちて溺死したことがあってから、
夜になると風もないのに放置された三輪車が勝手に動き回るのを目撃した人がいたり、団地の集会所にいった近所のオバサンによると
「あそこに正座したおじいさんが時々いたり消えたりしている」
と指差したり、(一度たくさんの人が目撃して騒動になったそうです)怪現象は後をたちませんでした。
その後、震災もあって私の家族はその団地を離れた(ガラも悪くなったので)のですが、
私の家族の後に4040号室に入った家族もいたようで、つい数年前母がまだ団地に住んでいた友達に会ったときにこっそりと話された話がこれでした。
「あなたたちの後に入った家族…男の子がいたんだけど、突然家で首を吊って自殺したのよ。もう半年経つんだけどまだ原因不明なんだって」
…と。

72 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/09(月) 22:40:13.874 ID:2O+BrsN70
素敵な怖い話だ…

76 :毒男 ◆B.DOLL/gBI :2017/01/09(月) 22:48:15.198 ID:wL0kuuJ60
聞くともなしに聞いた話、夏休みに起きたことだそうです。
木造2階建ての2階で昼寝をしていた子供が、ドアチャイムの音に目を覚まして玄関へ向かった。
その子が寝ている間に親は外出したらしい。
以前にもそういうことは多かったので子供は
「面倒くさいなぁ」
と思いつつ階段を駆け下り、そのまま真っ直ぐにドアスコープを覗いた。
すると外にいる人もドアスコープを覗き込んでいた。
いきなり目が合ってしまった子供は驚いて後ろへひっくり返ってしまった。
「変な人?」
と思っているとドアをノックする音がする、トントン、ドアをノックする音がする。
鍵は掛かっている、すこし怖かったけれど子供はもう一度ドアスコープを覗いてみた。
すると夏の日差しに照らされた玄関先におかしな物が見えた。
150センチくらいのグレーの人影が左右にブルブルと震えているのだ。
「???」
と思った子供がスコープに張り付いていると、やがて影は視界の外へ消えた。裏庭の方へ回ったようだ。
震える影は両の手を下前方へ差し出して、老人のように前屈みによろけながら動いていった。
それはまるで落とし物を探しているような様子だった。
尋常ではない物の様子に
「お化けがいる!」
と思った子供は、影が家の中へ入ってこないように戸締まりをすることにした。
裏に回った影が来ないうちに家中の戸を閉めてしまおうと思ったのだ。
先ずは始めに一階。
…炊事場にある裏口は閉まっていた。
…テレビや食卓のある八畳間も閉まっていた。
…父と母が床を敷く六畳間も閉まっていた。
外出した母が戸締まりをしていってくれたのだ。

78 :毒男 ◆B.DOLL/gBI :2017/01/09(月) 22:49:09.407 ID:wL0kuuJ60
戸締まりを確認した子供は少し安心するとこれからどうしようかと考えた。
影がどこかへ行ってしまっているなら、誰かが帰ってくるまで外へ出てしまいたい。
…しかしまだ影が外にいるかどうか確認するのは怖い。
子供は誰かが帰ってくるまで二階へ避難することにした。
誰もいないはずの室内、左右を見渡しながら玄関へ向かった子供は急な階段を2段ごとに駆け上がった。
ダダダダダダンッ!
しかし次で二階というところで子供は足を踏み外してしまった。最後から2段目のところで何かに足を引っかけたのだ。
腹這いの姿勢で階段を滑り落ちた子供。
1階に落ちた子供は再びおかしな物を見た。
それは2階から顔を覗かせる中年女性の顔だった。
傷だらけの古い映画のようにカタカタと震える白茶けた顔。
じっと自分を見つめるその顔に、もちろん覚えはない。
あわてて下へ目を逸らした子供、子供の目には磨き込まれた階段が映っている。
…その階段の踏み板の下、その木の継ぎ目の隙間からか細い腕が伸びていた。
子供の恐怖心はもう限界だった。
その子供の目の前で、腕はするりと継ぎ目の中へ消えていった。
と同時に子供は堰を切ったように泣き始めた。
昼寝をしているはずの子供の声に、隣家で話し込んでいた母親が血相を変えて戻ってきた。
しかし階段の下、玄関先でうずくまる子供の話は全く要領を得ない。
「寝ぼけて階段を踏み外したのだろう」
ということで子供は病院へ連れて行かれた。
頭を打った様子もなく、幸い軽い打撲だけだったのでその日のうちに子供は家へ帰された。
しかしその子供が二階へ上がることは一家が引っ越す日までついになかったそうです。

82 :以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/09(月) 22:57:42.858 ID:1N3ezueN0
>>78
強い子だなぁw
私ならドアスコープの時点で気絶してそうww

83 :毒男 ◆B.DOLL/gBI :2017/01/09(月) 22:58:08.460 ID:wL0kuuJ60
中1の夏でした。
私の祖母の一番上の兄、泰造さんが亡くなりました。
といっても、私は泰造さんとは殆ど面識がなかったのですが、夏休みということもあり、
両親と共にお葬式に出掛ける事になり、私はそのとき初めて泰造さんの屋敷を訪れたのでした。
そこは某県の山奥、大自然に囲まれた、まさしく田舎といった場所で、屋敷と呼ぶにふさわしい、古いながらもとても大きな家構えでした。
敷地内には鶏小屋があり、たくさんの鶏が飼育されていました。
泰造さんの娘にあたるおばさんが、売りには出せない小さな卵を私や親戚の子供達にくれたので、
大人達が集まるまでの時間、私は子供達と一緒にその卵を使って、おままごとなどをして過ごしました。
そのうちお葬式が始まり、私は足の痺れと眠気と闘いながらあまり面識のない泰造さんの遺影を見つめていました。
そしてお葬式も滞りなく終わり、両親や親戚のおじさんおばさん達はビールや寿司を囲みながら、
泰造さんの思い出話や子供たちの話、世間話などで盛り上がり、私もおじさん達に
ビールを注いだりと愛想をふりまきながら、やがて田舎の涼しく心地よい風を感じる夕暮れ時となっていました。
ふと尿意を感じた私は席を立ち、ひとり便所へと向かいました。
かなりの田舎ということもあり、便所は少し変わったつくりをしていました。
扉を開くと裸電球の下、まず男用の小便器があり、そこにまた扉があります。
それを開くといわゆる、ぼっとん便所が奥にあるのです。
ですが、電気は始めの個室の裸電球しかなく、私はふたつめの扉をあけたまま、薄暗いぼっとん便所で用を足すことになりました。
田舎の夏の夕暮れの独特な雰囲気と、慣れない木造の便所で少し気味が悪かったのですが、鼻歌を歌い、気を紛らわしながら用を足し、服を整えて振り返りました。
それはいました。
ひとつめの個室の裸電球の下、白い服を着て、真っ黒な長い髪を無造作に束ねた女のうしろ姿。
私は恐怖で体が痺れたようになり、厭な汗が体中から噴き出しているのを感じました。
どれぐらいの時間でしょう。長いような短いような。女の頭から目を離せずにいた私の耳に
「コォォーーーー……」
という、かすれた音のような声のようなものが聞こえてきました。
それと同時に私は少しずつ視線を下へとおとしていきました。
私の目に飛び込んできたものは、異様に爪の長いおんなの手の甲…そして足の…指…?
こっちを向いてる……!!

85 :毒男 ◆B.DOLL/gBI :2017/01/09(月) 22:59:10.225 ID:wL0kuuJ60
うしろ姿だとおもっていた女は、まぎれもなく正面を向いていました。
髪をすべて前へ下ろし、あごのあたりでひとつに束ねていたのです。
女の顔は全く見えない…見えないけれど見える…見えない…。
「ひぃぃ…ひぃぃ…」
私はガタガタ震えながら、泣いていました。
そして女はゆっくりと両手をあげ、髪を束ねている紐に手をかけようとしました…。
そのとき
「ガタッ」
と扉の開く音と同時に、父の姿が見えました。
グルッ
女が扉のほうへ振り返り、そこで私は気を失いました。
目を覚ますと、私は布団に寝かされていました。
両親が心配そうに私の顔を覗き込んでいました。
「変な女がおったんよ!!怖かった…怖かった…。」
また泣きそうになる私を見て、二人はうんうんと頷いていました。
父はあの女の姿を見てはいないようでした。
少し落ち着きを取り戻した私に、おばさんが一冊の古びた冊子を持ってきました。
それは亡くなった泰造さんの覚え書きのようなものでした。
そのうちの黄ばんだ1ページに墨で描かれていた絵は、私が便所で見た女そのものでした。
「うちのお父さんな、こんなおそろしいもん、よう見とったみたいなんよ。
この覚え書きはお父さんが死んでしもてから見つけたんやけど、なんやいつもえらい怯えとったんやわ。
それやのに全然気付いてあげれんかった…。」
そう言っておばさんは涙ぐんでいました。
その覚え書きを見せてもらうと、泰造さんはあの女のことを後女(うしろ女?)と呼んでいたようでした。
鶏の飼育についてや森での狩りなどの覚え書きの合間合間に、後女について記してありました。
今となってはあまり覚えていませんが、最後のページにはこう書いてあったと思います。
「後女の真の面、真の背、目にしたとき我は死すか」
私は後女が振り返ったあのとき、女の後頭部を見たような気もするし、見なかったような気もします。

88 :cat ◆TUKUMO3rAI :2017/01/09(月) 23:03:24.833 ID:hAXhoSd40
>>85
|ω・`) 『後ろ女』って他にも読んだ覚えあるから割と多いのかな
だいたい後ろ向きの怪異って正面見たら死んじゃったりするよねw
(怖いもの見たさで見てみたいけどw)

89 :毒男 ◆B.DOLL/gBI :2017/01/09(月) 23:06:33.158 ID:wL0kuuJ60
>>88
|A-) そだねえ、振り返るとやばそう、って話は割とあるね
    夢でも怖かったし振り返られる時の雰囲気はやばい

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