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百物語2013

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Part22
80 :50 ◆YJf7AjT32aOX :2013/08/23(金) 23:33:07.47 ID:ME+Mw9fw0
【第二十二話】米屋◆YZbG3mcRGI 様  『上』
(1/2)
私は5階だてのマンションの2階で1人暮らしをしている。
ある明け方、ふと目が覚めた。
暑くて、窓も開けっ放しだったけれど、外が非常に騒がしかった。
起き上がって窓の外を見たけど、いつも通り、公園の木々しか見えない。
しかし木々の向こうの芝生の広場から、子供達の何十人もの声がした。とても楽しそうにはしゃいでいて、まるで小学校の昼休みのグランドのようだった。
時間を見た。朝の4時過ぎ。
まさか。
こんな朝早くに子供がこんな大勢で遊ぶかな?ましてこんな時間に大騒ぎじゃクレームになるはず。
一体どこのバカ親が騒がせてるんだ。
イライラしながら窓を閉め、布団にもう一度入った。
が、やはりうるさい。
怒鳴り込んでやろうかな、、
なんて考えていたら突然
「かーなーこーちゃん☆」
私の名前を呼ばれた。
薄目を開けて窓をチラリとみた。
逆光のように顔は見えないが、窓枠に頬づえついたシルエットが二つ見えた。
鍵をかけ忘れた。
窓を勝手に開けられた。あー最悪だークソガキめ。
そう思った瞬間、気絶しそうになった。

81 :50 ◆YJf7AjT32aOX :2013/08/23(金) 23:33:54.89 ID:ME+Mw9fw0
(2/2)
窓の外にはいっさい足場がない。どうやってここまで来たの?
そう思っていると、かわいい声で
「かなこちゃん、寝てるね」
「かなこちゃん、起こす?」
「かなこちゃん、本当に寝てる?」
「わかんない、寝たふりだったらどうする?」
「うふふふ。どうしようかな」
「ねーかなこちゃん、どうしようかな?どうされたい?ねえ」
震えないように、気付かれないように、とにかく私は寝たふりを続けた。怖くて気を失いそうだ。
ポンっと私の足に何かが当たった。多分窓際のぬいぐるみを投げているんだろう。
ポン、ポン、ポポン
次々と飛んでくるけれど、絶対に動かない私。
「えーやっぱり本当に寝てるんかな?」
「つまんない」
絶対に動かない私。
突然、ガラリと窓があく音がした。
「うるさい!何時やと思ってんのや!」
ピシャリ!と閉めたと同時に、
「だれ?」「上だ」「あー上かー」
そんな会話をした後、気配がなくなった。
広場の喧騒の中にも
「上だって」「上だよ」「上か」
そんな声が混じっていた。
あの日以来、特に変な出来事もない。
しかし、二ヶ月に一度
ガラガラ「うるさーい!」ピシャリ!という音は聞こえる。
3階か4階か5階のうちの誰かが言ってるんだろうけど、私にはもうあのガヤガヤや女の子の会話は一切聞こえないので、特に気にもしていません。
[了]

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