百物語2011
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247 :釣り人 ◆sRCidpIShE :2011/08/20(土) 02:32:57.81 ID:kNyTOn2o0
第66話「引き上げる時は」
これはオレの体験ではなく、中学の同級生Aから聞いた話。
Aは夏休みの間、カニ漁を手伝って親父と一緒に海に出ていた。
朝4時前には港を出て、前日あちこち仕掛けたカニ網でワタリガニを捕る。
港の近くの河口に仕掛けたカニ網を上げようとしたら、
カニ網と目印の浮子を結んだロープに何かが引っかかっているのが見えた。
洋服みたいな布が見えたので、変だなと思ってロープをちょっと引っ張ったら
それはゆっくり回転してロープから外れた。
やがて白っぽい上着を着た水死体がうつぶせになってボートの側に浮いてきた。
Aが驚いて親父を呼んだら親父は水死体を見て、別に慌てた様子もなく
「よしよし、今ロープ用意するからな」とつぶやいて何やら準備を始めた。
Aはマジでびびったらしいが、どうしても水死体から目を離せなかったそうだ。
すると、水死体はゆっくり流れてボートから離れていきそうになった。
Aが思わず身を乗り出すと、それはもう一度カニ網のロープにぶつかって、
何の具合か水死体の片手が水面近くに浮いてきた。
Aが「このままじゃ流されていっちまう」と思った途端に、
何だか自分でもよくわからない切羽詰まった気分になって
ボートから手を伸ばして水死体の手をつかんでたそうだ。
249 :釣り人 ◆sRCidpIShE :2011/08/20(土) 02:34:14.26 ID:kNyTOn2o0
ぐいっと力を入れて引っ張ったら、
何とも言えないイヤな感触を残して水死体の手の皮が手袋みたいに剥けた。
Aが悲鳴を上げてその皮を海に放り投げたら
親父が「手でつかむ奴がいるか」って怒鳴って、
Aの襟首をつかみ、ボートの中に引きずり倒した。
そのあとAの親父は水死体にロープを引っかけてボートの側に引き寄せ、
何か口の中でブツブツ言いながら腰の辺りにロープを結び、港まで曳いて帰った。
港に着いたらAの親父は片足で軽く触れてから、水死体を引き上げた。
Aが後で聞いたら、
溺れて死ぬのがあんまり苦しいから、引き上げようとする者にもしがみつこうとする。
だから「これから助けるからオレには取り憑くなよ」って意味で、
まず足で触るんだ。と話してくれたそうだ。
Aはその後、近くの祈祷師の所へ連れて行かれて
念のためにって御祓いしてもらったが、運良く何も障りはなかったらしい。
「あの時の手の皮の感触と、皮の剥けた手の気味悪さは忘れられん」
Aが自分の右手を見ながら話していた様子が妙に印象に残ってる。
「お終い」
第66話「引き上げる時は」
これはオレの体験ではなく、中学の同級生Aから聞いた話。
Aは夏休みの間、カニ漁を手伝って親父と一緒に海に出ていた。
朝4時前には港を出て、前日あちこち仕掛けたカニ網でワタリガニを捕る。
港の近くの河口に仕掛けたカニ網を上げようとしたら、
カニ網と目印の浮子を結んだロープに何かが引っかかっているのが見えた。
洋服みたいな布が見えたので、変だなと思ってロープをちょっと引っ張ったら
それはゆっくり回転してロープから外れた。
やがて白っぽい上着を着た水死体がうつぶせになってボートの側に浮いてきた。
Aが驚いて親父を呼んだら親父は水死体を見て、別に慌てた様子もなく
「よしよし、今ロープ用意するからな」とつぶやいて何やら準備を始めた。
Aはマジでびびったらしいが、どうしても水死体から目を離せなかったそうだ。
すると、水死体はゆっくり流れてボートから離れていきそうになった。
Aが思わず身を乗り出すと、それはもう一度カニ網のロープにぶつかって、
何の具合か水死体の片手が水面近くに浮いてきた。
Aが「このままじゃ流されていっちまう」と思った途端に、
何だか自分でもよくわからない切羽詰まった気分になって
ボートから手を伸ばして水死体の手をつかんでたそうだ。
249 :釣り人 ◆sRCidpIShE :2011/08/20(土) 02:34:14.26 ID:kNyTOn2o0
ぐいっと力を入れて引っ張ったら、
何とも言えないイヤな感触を残して水死体の手の皮が手袋みたいに剥けた。
Aが悲鳴を上げてその皮を海に放り投げたら
親父が「手でつかむ奴がいるか」って怒鳴って、
Aの襟首をつかみ、ボートの中に引きずり倒した。
そのあとAの親父は水死体にロープを引っかけてボートの側に引き寄せ、
何か口の中でブツブツ言いながら腰の辺りにロープを結び、港まで曳いて帰った。
港に着いたらAの親父は片足で軽く触れてから、水死体を引き上げた。
Aが後で聞いたら、
溺れて死ぬのがあんまり苦しいから、引き上げようとする者にもしがみつこうとする。
だから「これから助けるからオレには取り憑くなよ」って意味で、
まず足で触るんだ。と話してくれたそうだ。
Aはその後、近くの祈祷師の所へ連れて行かれて
念のためにって御祓いしてもらったが、運良く何も障りはなかったらしい。
「あの時の手の皮の感触と、皮の剥けた手の気味悪さは忘れられん」
Aが自分の右手を見ながら話していた様子が妙に印象に残ってる。
「お終い」
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