百物語2011
Part100
349 :りほ ◆aZ4fR7hJwM :2011/08/20(土) 05:02:55.23 ID:78szAUOU0
・次は…俺か?イヤ、それは無い
【1-4】
長野でのお話。
昔話や童話、言い伝えというのはどんなに眉唾なものであっても言われる以上、それなりの理由や体験があるのだろう。
ところで、長野ではないがこのような話を聞いたことがないだろうか?
ある猟師が山に入ったところ、目の前に次々と生き物が現れては次のものに喰われる。その中の1匹をとろうとした時に、ふと次は自分ではないか?
と思い難を逃れるというものである。ではでは…
記憶が正しければ、大学1年の夏。時期は2007年の9月になるかならないかというところ。
夏も終盤で日も短くなってきたが、未だ蒸し暑い日々が続く。
確かその日は午後まで他の用事が入り、正直疲れてはいたのだが、釣行することにした。
この時期の渓流釣りは良い避暑にもなるので夕涼みがてらになるからね。
林道をいけるところまで車で進み、川に辿り着く。普段ならここから更に奥へと沢を登っていくのだが、
その日は疲れが溜まっていたので、ちょっと進んだ先にある魚止めの堤に腰を下ろし、釣果関係無しでのんびりすることに決めた。
350 :りほ ◆aZ4fR7hJwM :2011/08/20(土) 05:03:57.20 ID:78szAUOU0
2-4】
岩の上に腰を下ろし、足は冷たい渓流の流れにさらしながら時折堤の下の糸先に目をやる。そんな最中、あるものが目に入った。
木々の葉がいくらか積もったテトラの上にて黄緑の物体がうごめいている。飛蝗だ、おそらくウマオイだろうか。
それがテトラの上に落ちた葉を食べていた姿であった。
しばらくした後、ウマオイはテトラの上から茂みの方へと移動し始めたのだが、茂みの中から何かが飛び出してきた。
見たところトノサマガエルか、ヒキガエルだと思う。
そいつが飛び出ると同時にウマオイを飲みんだ。弱肉強食の摂理を目の当たりにし、感慨にふけっているところにバシャと何かが跳ねたような音がした。
352 :りほ ◆aZ4fR7hJwM :2011/08/20(土) 05:05:10.26 ID:78szAUOU0
【3-4】
思わず岩魚か!と思い目を向けるが、そこに居たのはおどろおどろしい色をした大き目のヤマカガシであった。
変温動物なのにこんな冷たい水に入って大丈夫なのか?という心配を他所に、そいつは水面をスルスルと進んで行き、
シャッ!とカエルに噛み付きそのまま水中へと引きずり込んだ。しばしの後、蛇は水中から出るとテトラの上にて日光浴を始めた。
腹を見る限り、どうやらカエルは飲み込んだようである。この辺りであの某話みたいだなと一人笑っていると、不意に蛇が此方を見た。
始めは「よく堤の上の自分に気づいたな」と思ったのだが、蛇はじっと此方を見たまま動かない。
353 :りほ ◆aZ4fR7hJwM :2011/08/20(土) 05:06:16.73 ID:78szAUOU0
【4-4】
某話であれば次は雉か猪が出るはずだが、そのようなものは出ることはなく、ただ蛇が自分を見続けるだけである。もしや…、コイツは自分にとられるのを待っているのか?
しばらく見詰め合った後、俺は竿をたたんで帰った。
一瞬自分がとったらどうなるのか?という強い興味も持ったがやめた。
確かに大物であったが、流石にヤマカガシは煮ても焼いても食えない。
面白い体験であったが、イマイチ選択が残念な感じもした時であった。蝮だったら確実に捕まえていたんだけどなぁ。
〜終〜
・次は…俺か?イヤ、それは無い
【1-4】
長野でのお話。
昔話や童話、言い伝えというのはどんなに眉唾なものであっても言われる以上、それなりの理由や体験があるのだろう。
ところで、長野ではないがこのような話を聞いたことがないだろうか?
ある猟師が山に入ったところ、目の前に次々と生き物が現れては次のものに喰われる。その中の1匹をとろうとした時に、ふと次は自分ではないか?
と思い難を逃れるというものである。ではでは…
記憶が正しければ、大学1年の夏。時期は2007年の9月になるかならないかというところ。
夏も終盤で日も短くなってきたが、未だ蒸し暑い日々が続く。
確かその日は午後まで他の用事が入り、正直疲れてはいたのだが、釣行することにした。
この時期の渓流釣りは良い避暑にもなるので夕涼みがてらになるからね。
林道をいけるところまで車で進み、川に辿り着く。普段ならここから更に奥へと沢を登っていくのだが、
その日は疲れが溜まっていたので、ちょっと進んだ先にある魚止めの堤に腰を下ろし、釣果関係無しでのんびりすることに決めた。
350 :りほ ◆aZ4fR7hJwM :2011/08/20(土) 05:03:57.20 ID:78szAUOU0
2-4】
岩の上に腰を下ろし、足は冷たい渓流の流れにさらしながら時折堤の下の糸先に目をやる。そんな最中、あるものが目に入った。
木々の葉がいくらか積もったテトラの上にて黄緑の物体がうごめいている。飛蝗だ、おそらくウマオイだろうか。
それがテトラの上に落ちた葉を食べていた姿であった。
しばらくした後、ウマオイはテトラの上から茂みの方へと移動し始めたのだが、茂みの中から何かが飛び出してきた。
見たところトノサマガエルか、ヒキガエルだと思う。
そいつが飛び出ると同時にウマオイを飲みんだ。弱肉強食の摂理を目の当たりにし、感慨にふけっているところにバシャと何かが跳ねたような音がした。
352 :りほ ◆aZ4fR7hJwM :2011/08/20(土) 05:05:10.26 ID:78szAUOU0
【3-4】
思わず岩魚か!と思い目を向けるが、そこに居たのはおどろおどろしい色をした大き目のヤマカガシであった。
変温動物なのにこんな冷たい水に入って大丈夫なのか?という心配を他所に、そいつは水面をスルスルと進んで行き、
シャッ!とカエルに噛み付きそのまま水中へと引きずり込んだ。しばしの後、蛇は水中から出るとテトラの上にて日光浴を始めた。
腹を見る限り、どうやらカエルは飲み込んだようである。この辺りであの某話みたいだなと一人笑っていると、不意に蛇が此方を見た。
始めは「よく堤の上の自分に気づいたな」と思ったのだが、蛇はじっと此方を見たまま動かない。
353 :りほ ◆aZ4fR7hJwM :2011/08/20(土) 05:06:16.73 ID:78szAUOU0
【4-4】
某話であれば次は雉か猪が出るはずだが、そのようなものは出ることはなく、ただ蛇が自分を見続けるだけである。もしや…、コイツは自分にとられるのを待っているのか?
しばらく見詰め合った後、俺は竿をたたんで帰った。
一瞬自分がとったらどうなるのか?という強い興味も持ったがやめた。
確かに大物であったが、流石にヤマカガシは煮ても焼いても食えない。
面白い体験であったが、イマイチ選択が残念な感じもした時であった。蝮だったら確実に捕まえていたんだけどなぁ。
〜終〜
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