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百物語 第二回

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Part94
312 :黒 ◆9fw1ZntG8Y :2006/08/12(土) 06:05:04 ID:yNwqTCvu0
葬式 1/2
むかし、仕出し弁当屋で配達のバイトをしていた。
たまに妙な客からの注文があった。
怪しげなセミナーだったり、何かの撮影現場だったり。
お葬式の会場に運ぶことも多かった。
あるとき、郊外の小さな町へ弁当を届けに行った。
そこでお葬式が行われていた。
よくあるお葬式で何も変わったことはなかったのだが。
次の週にも、その地区へ弁当を届けに行った。
やっぱりお葬式だった。
代金を払ってくれたのは、前回と同じおばさんだった。
前回は地区の施設を使ったお葬式だったが、今回は故人の自宅らしかった。
その次の週はシフトに入っていなかったが、更に翌週はまたもその地区へ配達に行った。
あとで帳簿を見せてもらったら、5週連続で注文が入っていた。
お客さんの名前も注文の数もいつも同じだった。
注文しているのはあのおばさんかも知れない。
今回も故人の自宅でのお葬式で、あのおばさんが会計をしてくれた。
聞いちゃいけないような気もしたけど、つい聞いてしまった。
「最近、こちらでお葬式が多くないですか?」
一瞬、おばさんの顔がこわばったように感じた。

313 :黒 ◆9fw1ZntG8Y :2006/08/12(土) 06:06:09 ID:yNwqTCvu0
葬式 2/2
おばさんはだまって空を見上げた後、おかしな事を言った。
「そうだね。毎年この時期はね」
「毎年なんですか?」
「次はあの家だよ」
おばさんは無表情に通りの向こうのある家を指さした。
見ると、その家の玄関脇に赤い30cm四方くらいの紙が貼ってあった。
何か丸い記号のようなものが書いてあった。
そう言えば。
今いるこの家も、玄関に紙が貼ってあった。
「あの赤い紙は何なんですか?」
「そういうシルシだよ」
もっと聞こうと思ったが、「もういいから帰りなさい」と言われてしまった。
そのあと、やはりその地区で同じおばさんから弁当の注文があったらしい。
気味が悪かったので、自分はその地区への配達を避けた。
しばらくしてそのバイトは辞めたので、弁当の注文がいつまで続いていたのかはわからない。
おばさんの話が本当なら、今年もあそこで毎週お葬式が行われているのだろう。
【完】

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