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【SS】魔王城洗支ティ部!!
[8] -25 -50 

1: ◆VDRRSUh6AQ:2022/7/13(水) 13:05:09 ID:s63KDHzLME
【我ら魔王城洗支ティ部!】
説明しよう!
魔王城洗支ティ部とは「洗脳」「支配」「魅了(テンプテーション)」をメインにする、言わば敵を味方に引き入れるための部署なのだ!
洗脳、主に思考や性格、忠誠の先を書き換えたりする精神に作用させることが多い! 意外と長持ちするぞ!

ゲイザー「何やってんの?」
フェアリー「広報活動だってー」
ドクター「ゲイザー君が視線で、フェアリー君が魔法で、私が機械で書き換えたりしてるぞ…っ」

支配、肉体的に縛ったり操ったりして戦わせる!操るためのネタが突破されると解けてしまう短期的なものだが、戦場で即操れることが利点だ!

アラクネ「誰に向けて広報してるのよ…。一応、糸で操ってるわ。その気になれば苗床にして…ってのもありね」
アルラウネ「私は種を植え付けてって感じー。この間は楽しく冒険者を壊滅させたわ!」
リッチ「原因さえ見破られなければ即時かつ一方的になるからな。余はタヒ霊を憑依させて操る」

魅了、洗脳と支配の中間に近いが、効果範囲が広い! 街を丸ごと魅了して無力化、誘拐とかも出来るぞ!

サキュバス「淫魔の特性故ねぇ。ただ現地に行く必要もあるし、失敗したら敵もいっぱい来るのよねぇ」
ハーピィ「歌とか歌ってたりしたら動きにくいよね」
セイレーン「此方は陸・海・空って感じですわ」

魔王城には他にも肉体改造・調教部や侵攻・略奪部、防衛隊など様々な役割がある!
魔王様に忠誠を誓うなら人間でも受け入れるぞ!

ゲイザー「魔王様、自分で様付けってどうなの」
サキュバス「チビロリだからメスガキ感出て良くないかしら?」
リッチ「余としてはムチムチな方がいい」

うるさいぞ、貴様ら!!
以上、魔王城広報、魔王様でしたー!


19: ◆VDRRSUh6AQ:2022/7/14(木) 09:52:01 ID:fdHjsj.hFo
サキュバス「悪い子ね…覗き見?」

すぐ側まで顔が近づく。
紫色の瞳が俺を見つめて、綺麗な顔が俺の心臓を鷲掴みにするように印象を残す。

サキュバス「知られたからには……分かってるわよね?」

わ、分かってる! 誰にも言わないから、見逃してくれ!

サキュバス「どうせみんな魅了に堕とすし…いつもなら良いんだけど」

そう言ったサキュバスの唇が俺に触れる。
柔らかい……舌が入って…かき混ぜられて‥‥蕩ける……。

サキュバス「ん……チュ…プ…は……ふ」

甘い匂いと官能的な口付け、耳に届く扇情的な声。
不味いと分かっていても俺の息子は愚直に膨らんだ。

しばらくキスは続いた。
長く続くほど…俺の意識は…とお…く……。

サキュバス「ご馳走様♪ これからいっぱい魔力使うし、丁度いい補給になったわー」

20: ◆VDRRSUh6AQ:2022/7/14(木) 09:56:10 ID:fdHjsj.hFo
ハーピィ「1人で楽しんでるし、サキュバスの馬鹿ー…」

上空で少女がエナジードレインの様子を眺める。
あの青年はただの不運だろう。
そうやって考えながらも準備に入るサキュバスを見て、ハーピィは飛び回る。

ハーピィ「どうせ、ヤバいのも居ないし暇だなー」

独り言を呟きながらも面白いものがないか探す。
居た。
村はずれにポツンと1人の幼子。恐らく1人で遊びに出たのだろう。

ハーピィ「空の旅にごしょうたーい♪」

上空から目にも止まらぬ急降下で少女の身体がハーピィの爪に捕まった。
21: ◆VDRRSUh6AQ:2022/7/14(木) 10:05:36 ID:fdHjsj.hFo
ハーピィ「どうかな、楽しい?」

ハーピィは足の爪を食い込ませないようにしながら少女を空中に誘う。
当の少女は理解できずに固まり、顔面を青くしている。

ハーピィ「私の仲間がやること終わったら解放してあげるから、それまで付き合ってよ」
少女「で、でも、あぶない、よ」
ハーピィ「あはは、私は危なくないし、空は綺麗だよ?」

ハーピィは普段のスピードよりずっと遅く飛ぶ。少女に空や地表を見せるために。
少しずつ少女の不安そうな顔に嬉々としたものが混ざり始める。
幼さ故の危機感の無さだろう。
気がつけば、少女はハーピィの脚を掴みながらも自分の家や村長の家、どんな人がいるのかをハーピィに聴かせていた。

ハーピィ「ふふ、ありがとね。この村のこと、いっぱい分かったよ」

そんな時間も終わりを告げる。
サキュバスが魅了の陣を作り終わり、村を傀儡にするための術を作り終わる。

ハーピィ「私の仲間の仕事も終わったみたい」
少女「なら終わり? また遊ぼうね、お姉ちゃん!」
ハーピィ「それは少し無理なお願いかなぁ?」

ハーピィの暇つぶしは終わっていた。
なら最後にすることは……?

ハーピィ「それじゃあね、お嬢ちゃん♪」

少女は自身の何倍ものある高さから森に叩きつけられる。

ハーピィ「生きてたら、また会おうね?」

ハーピィは飛べないモノを嘲笑いながらサキュバスの元へ飛んで行った。
22: ◆VDRRSUh6AQ:2022/7/14(木) 10:13:09 ID:fdHjsj.hFo
【その後】
魔王「勇者候補はこの村を利用するも、サキュバスの魅了陣に気付き、ピンチを乗り切る……まぁ、こんなものか」
サキュバス「足止めにはなった、ぐらいですねぇ」
ハーピィ「アイツら、予想以上に同族を斬ることに躊躇いなかったね」

魔王と一緒にサキュバスとハーピィが村の様子を水晶で眺めていた。使い魔を用いた遠隔投影である。

魔王「補給らしい補給は出来てなさそうだし、貴様らが身を潜めていた森も広い。アルラウネとフェアリーに行かせるか」
サキュバス「森ならその2人の独壇場よね」
ハーピィ「あー……歌いたいなー」
サキュバス「セイレーンと一緒に歌ってきたら?」
ハーピィ「魔王様ー異界の歌機械、貸してくださいよー」
魔王「ドクターに言え、ドクターに。アイツが暇なら歌機械ぐらい作ってくれるだろう」

【サキュバス、ハーピィ 村魅了編 終了】
23: ◆VDRRSUh6AQ:2022/7/14(木) 10:22:47 ID:fdHjsj.hFo
【幕間】
歌機械=カラオケ機材。この世界、地味に機械があります。
作れるのは一部の人物だけですけど。
機械とか言いますけど、動力は魔力だったりします。
何で機械があるんだよ!教えはどうなってるんだ、教えは!
ってなるかも知れませんがご容赦を。

○サキュバス
いわゆるスタンダード淫魔。
どすけべボディとどすけべテクで出したらR寄りに行っちゃうやべーやつ。
本人はそこまで意識してないが、多分ファンクラブとかありそう。
戦闘力は低めだが、魅了やドレインなど相手にしたくないタイプ。
RPGなら毎ターンデバフや状態異常をばら撒くやつ。
気に入った相手なら男でも女でも化け物でも愛するだろう。

○ハーピィ
ぶっちゃけ、あまりキャラが定まらない。
無邪気系で行くより腹黒い感じにしたい。
魅了組の中では戦闘力は高く、代わりに魅了能力は他に劣る。
魔物相手には好意的だが、人間相手は見下している。
飛行船とか目の敵にしてそう。
好みは龍種。その中でも自身の体躯に近く、立派な龍が好き。
龍からしたら「何やこの鳥」って思われている。
24: ◆VDRRSUh6AQ:2022/7/16(土) 17:03:18 ID:s63KDHzLME
フェアリー「というわけで、今回の作戦は森で勇者候補を仕留めること」
アルラウネ「相手方は3人。これなら私の種で問題ないですわね」

森の木々が深い所で2体の魔物が話し合っていた。
人の顔〜拳ほどの大きさのフェアリーが大きな花の周りを飛び回る。
大きな花の真ん中、花芯から緑肌の少女が優雅に話し、フェアリーに対して手を伸ばす。

フェアリー「でも仮にも魅了陣を破壊したんだよ? 気をつけた方が…」
アルラウネ「えぇ、分かっています。その上で…いつも通りのお茶会に」

優雅な花妖はゆっくりと出迎えの準備を進めていた。
25: ◆VDRRSUh6AQ:2022/7/16(土) 17:11:58 ID:s63KDHzLME
A「こっちで……合ってるんだよな?」
B「えぇ、見えにくいけど……星の方向からこのまま進めば目的地に迎えるはず」

フェアリー(意外や意外。人間たちにも教養があるのがいるんだ)

フェアリーが偵察のために勇者候補たちを見張っていた。

フェアリー(なら、その教養…使わせてもらおっか)

彼女が得意とするのは惑わすこと。
惑わしを長く使えば洗脳にも使えるが…彼女が好むのは道を間違わせたり、同士討ちさせたり……悪質な悪戯の方だ。

C「B、早く行こうー?」
B「ん、わかった。こっちね」

フェアリー(違和感も覚えられず…せーいこー)

直接戦いたくないこともあるが、後はアルラウネが片付けるだろう。
そう思いながらフェアリーは友人の茶会へと獲物を招待していくのであった。
26: ◆VDRRSUh6AQ:2022/7/16(土) 17:20:12 ID:s63KDHzLME
アルラウネ「いらっしゃいませ、勇者様方…」

フェアリーが物陰で見守る中、勇者候補たちはアルラウネの茶会の場に到着してしまった。

アルラウネ「そう構えないでください。私は争いに来たのではありませんから」

フェアリー(うわー……露骨ー……)

無害そうな笑みを浮かべるアルラウネは勇者候補たちに席へ座るように促す。
勿論、魔物相手に警戒しない勇者候補たちではない。

A「なぁ、なんで俺らをすぐに攻撃しない?」
アルラウネ「簡単なこと…魔王様の無駄な児戯に付き合いたくないからです」
C「児戯?」
アルラウネ「えぇ、勇者様たちを足止め、壊滅させろ…と」

その言葉に勇者候補たちは再び剣を構えて身を固める。

アルラウネ「まぁまぁ…キチンと聞いてください。児戯に付き合う気はないと言ったじゃないですか」

そう言ってアルラウネは木のテーブルに自分のツタでカップを綺麗に並べていく。

アルラウネ「勇者様たちは私のお茶に付き合っていただくだけで充分ですから……」
27: ◆VDRRSUh6AQ:2022/7/16(土) 17:27:17 ID:s63KDHzLME
月下の森の茶会。勇者候補たちの彼らからすれば嫌な雰囲気だろう。
それを打ち消すようにアルラウネが茶会を進める。
人の世で作られ、淹れられる茶葉を見せたり、人が食べるクッキーも出されていた。

フェアリー<私にもよこせーっ>
アルラウネ<残っていたらあげるから…>

魔物同士の念話も緊張感がないことになっていた。

B「確かに…毒もなさそうね」
C「アーモンドのクッキーまで…」
アルラウネ「人と融和するには…人を知る、ですよ」

少しずつ警戒心が解けていく勇者候補たち。
彼らは茶会へ参加してしまっていた。

フェアリー(それにしても、猫被りだねぇ……人と融和なんて)

フェアリーからすればアルラウネの茶会は捕食場にしか見えなかった。
28: ◆VDRRSUh6AQ:2022/7/16(土) 17:34:33 ID:s63KDHzLME
アルラウネ「あら……残念ですが、今宵はこれまで……ですね」

用意された合図と共にふらりとフェアリーが茶会に顔を出し、アルラウネを見る。

フェアリー「アルラウネー……これはどう言うこと? 私たちが言われたのは勇者候補たちの……」

フェアリーが用意された台本の通りにアルラウネを咎めようとして…勇者候補の剣がフェアリーの身体の側を撫でる。

フェアリー「し、タヒぬかと思った!! 不意打ちはんたーい!!」
A「そっちが仕掛けようとしていただろう!」
B「アルラウネ、あなたのしたいこと、些か信用出来ないけど……今は争う必要のない相手は置いておく」

フェアリーを睨む勇者候補たちの後ろでアルラウネがほくそ笑む。

アルラウネ「その必要はありませんわ、勇者様方……」
C「アイツとも戦わなくていいってことか?」
アルラウネ「えぇ、勿論。だって……」

3人の人間が振り向くとそこには愉悦として口角を歪め笑う妖花…。

アルラウネ「種は仕込まれ、芽吹いたものっ」
29: ◆VDRRSUh6AQ:2022/7/16(土) 17:46:47 ID:s63KDHzLME
【その後】
魔王「児戯とな? 児戯とな?」
アルラウネ「だからごめんなさいって言ってるじゃないですかー」

アルラウネの茶会の方便を魔王様が諌めている。

フェアリー「いつも思うけど、アルラウネって魔王様のことよく悪く言うよね?
アルラウネ「だってそれが1番人間の油断誘えるしー?」
魔王「前はなんだったか? 魔物の仲間すら捨て駒にしたり、最悪な環境で働かせて、人間たちは家畜以下、だったか?」
アルラウネ「それで馬鹿な人間は信じてるから良いじゃないですかー、もー」

あの後、人間の体内で花は芽吹いた。
クッキーに入っていた種、それが人間の身体に根を張り、アルラウネの好きなように動かさせたのだ。

アルラウネ「あー……でも自分達の身体なのに自分で動かせずに自分で喉を裂く時のアイツらの顔! 最高に娯楽じゃない?」
魔王「いや、それはない」
フェアリー「趣味が悪い」
アルラウネ「えー……アラクネちゃんは賛同してくれたのに」
フェアリー「それは2人ともやり方が似てるから…」

自身の糸で操るか、自身の種で操るか。違いはそれだけだが、2人は似ている。

魔王「まぁいい。とりあえずまた成長する人間が減ったんだ。抵抗するゴミが居ないのは楽だからな」
アルラウネ「あ、そうだ。最初のような広報はまたやるんですか? キャラブレイクの」
魔王「……気が向いたらする」
フェアリー「魔王様、ロリロリしいから媚びてた方が人気出そうだし」
アルラウネ「わかるー。言葉遣いもロリっぽくしたらいいですよー」

その日、魔王城の謁見の間は理不尽に半壊したそうな。
30: ◆VDRRSUh6AQ:2022/7/16(土) 17:54:51 ID:s63KDHzLME
はい、報告。
コロナになりましたまる
症状としては軽いので打てるタイミングで投下していこうと思います。
多分、真面目に洗脳したり支配したりするのは洗支ティ部の面々が一通り出て終わりになるかな?と思います。
つまりどんどん緩くなっていくかも。
ってわけでキャラ紹介。

○フェアリー
チビサイズの妖精。一応、大きくなる方法もあるが、大体大きくなる目的は生殖。他の種の子種を貰うためぐらい。
戦闘能力は皆無だが、悪戯や惑わすために魔術を使うことが多い。
所謂デバフ枠。
洗脳部門では恐らく1番常識人ポジ。いたずらっ子なのにね。

○アルラウネ
悪辣猫被り植物。多分、問答無用で燃やした方がいい。
猫被り時はお上品に、本性はギャルっぽく?
腹黒キャラ2人目みたいな感じだけど、隠す方と曝け出す方でキャラ分けしたい。
戦闘力は結構ブレる。自然があると強い。
ちなみに今回の種はクッキーに入れてアーモンドと勘違いされたやつ。アレを食べると噛み砕いても体内で根を張られて、アルラウネに操られる。
人間はどうでもいいけど、人間の生み出す娯楽やお茶などは好き。
31: ◆VDRRSUh6AQ:2022/7/26(火) 09:58:40 ID:4SyJ9S1YFo
ゆったりと海は凪ぐ。
岬の側でポツリと顔を出した岩礁の上で船を待つ。
海の魚達が私に船の存在を教えてくれる。

セイレーン「さぁ、今宵はどのような方が聴き惚れてくれるでしょうか」

歌を歌う。
まだ見ぬ人間に会うために……。
海の漢…その方々の筋肉も良いのですが……過去にお会いできたあの方にも再会できれば最高なのです。

セイレーン「〜♪」

私の歌を聴きたいと船員に自身を縛らせてまで歌を聴いてくれたあの方は今、どうしているのでしょうか。

32: ◆VDRRSUh6AQ:2022/7/26(火) 10:04:52 ID:R56ipth1ew
私の居る方向に船が寄ってくる。
今日の歌はあなた方に送る歌、しっかりと聞いていてください。

船乗り達が歌の魔力に蝕まれ、正気を失う。
ゆっくり……深く……刻んでいく。
私の歌をもっと聴きたいと船は錨を降ろし停泊した。
そればかりか、もっと側で聴きたいと小舟で間近にやってくる船乗り達もいた。

セイレーン(あぁ……もっと私の歌を聴いて……そして私に鑑賞させて、あなた達、船乗りの逞しい身体を……)

33: ◆VDRRSUh6AQ:2022/7/26(火) 10:08:46 ID:UKxRzOsa2I
私の歌に深く惚れた筋n……船乗りの人間がついに私のいる岩によじ登ってくる。

あぁ、引き締まってる……盛り上がってる…。
褐色の肌に海水が滴り、弾いている。

私のテンションは上がり続け、歌を歓喜に染め上げる。
船乗り達がそれに呼応するかのように正気を失った目で私を囲み、手を伸ばそうとする。
でも……それはダメなの。

サハギン「お客さん、幾ら魅力的だからってぇ…歌手にお触りは厳禁ですぜ」
34: ◆VDRRSUh6AQ:2022/7/26(火) 10:15:21 ID:ZXvEaxA4IU
踊り子や歌い手には触れてはならない。
良くあるルールで、私にも当てはまる。
荒々しい船乗り達がそれよりも逞しい半魚人、サハギン達に捕まり、縄で締め上げられていく。
船の上からサハギンが合図を送ってきた。

セイレーン「もう舞台は終わりなのね」
サハギン「毎度ありがとうございます。これでまた色々手に入りました」
セイレーン「いえ、私の歌を聞いてくれるなら嬉しいことですから…」
サハギン「あなたの歌は人間には勿体ない。今度は酒の席で聴かせてください」
セイレーン「なら、私がいる時にお越しくださいね」

大量の物資と人間を満載にして船が魔物の領域へ向けて出航する。
私はそれを見送りながらため息を吐く。

セイレーン「あの筋肉達……1人ぐらいくれないかしら……。どうせ改造部へ行って下級兵になるなら1人ぐらいペットに……」
35: ◆VDRRSUh6AQ:2022/7/26(火) 10:22:48 ID:w.OOWACT.U
【その後】
セイレーン「今回の船から良いものは見つかりました?」
魔王「んー……あまりないな。財宝など腐るほど余らせて分けているぐらいだし」
セイレーン「船乗り達は今回も改造部に?」
魔王「洗支ティ部にも欲しいのか、ただの人間だぞ?」
セイレーン「いえ…個人的にあの筋肉を飼いたくて」

またか…と魔王が嘆息しながら項垂れる。

魔王「そんなこと言って貴様はペットの世話をしたのか?」
セイレーン「いえ、全てドクターやリッチに任せます。私は鑑賞と愛でるのオンリーですわ」
魔王「たわけ! ペットを飼うのに他人任せにしてどうする! 大体、前にやったペットは魔王城の外壁に穴を開けて逃げただろう!」
セイレーン「今度はちゃんとやりますわ! ドクターが!!!」
魔王「自分でしろ!!」

結局、筋肉は貰えず、ドクターに泣きつくセイレーンの姿が見られたそうな。
36: ◆VDRRSUh6AQ:2022/7/26(火) 10:28:30 ID:8psVK4W3Nw
【幕間】
あ、【セイレーン・船乗り編 終了】って入れるの忘れた。
はい、コロナ治りました。
地味にネタを色々練ってはいるのですが、ギャグを考えるのはシリアスを考えるより難しいですよね。
とりあえず洗支ティ部全員を終わらせてから考え中のネタに入りたいので暫しお待ちを。
残りはドクターとリッチ! どちらも男!
……リッチは骸骨だし男でいいのか?

○セイレーン
海の魔物。古い文献ほどハーピィに近い鳥のような姿で描かれているが、ここでは人魚である。
古くはハーピィとセイレーンが海の縄張り争いをしていたとかなんとか。
筋肉フェチで最近は人間の筋肉鑑賞にハマっている。
洗支ティ部で動く傍ら、酒場を中心に歌手活動もしているとか。
ペットの世話は全くしない困ったお嬢様。
37: ◆VDRRSUh6AQ:2022/7/28(木) 14:52:55 ID:EQsC0XVUlc
ゲイザー「ドクター、俺の視線が効かない人間を洗脳してくれって言われたんだけどー…」

怠そうに目玉を揺らしながらゲイザーがドクターの研究室に入ってくる。
中は「魔導機械」と名付けられた金属製品が色々並べられていた。

ドクター「ふむ、久し振りだね。強いかい?」
ゲイザー「全然。俺としては処分してもいい気がするけど…」
ドクター「なら洗脳と一緒にドーピングの施術もしてもいいかい」
ゲイザー「魔王様は好きなように…ってさ」
ドクター「それはいい。やはり魔王軍に入って正解だった」

身につけた白衣を翻しながらドクターは自身の実験を試しにモルモットの元へ向かうのであった。
38: ◆VDRRSUh6AQ:2022/7/28(木) 15:01:33 ID:DQaV7pKMFc
ドクター「ふむ…今回のモルモットは君か……」

鎖と枷で拘束されて力なく項垂れる少女の前にドクターが目線を合わせるようにしゃがみ込む。

ドクター「ふむ……君は湖の主に捧げられる巫女として生贄に出された…。選ばれた理由は魔術に対する耐性が理由か…」

何も答えずに少女はドクターを見つめる。

ドクター「あそこの湖の主人とは話したかい? 理不尽な要求はされたかい?」

巫女の少女は首を振り…ボソリと呟く。

巫女「不味そうなので要らない、とだけ。村にも帰る場所はありません」
ドクター「それで魔王軍に捕まった、と?」
巫女「それはたまたまです…。私を保護してくれた人たちは負けて、私だけ捕まりました」
ドクター「幸運だか不運だか…分からなくなってくるねぇ」
39: ◆VDRRSUh6AQ:2022/7/28(木) 15:24:03 ID:ek3Jly0WcE
ドクター「まぁ、君の運はどっちでもいいさ。私は私の仕事をしないといけないしね」
巫女「目玉の人が言ってましたね。魔王軍に忠誠を誓って人間に害を成すように作り替える、と」
ドクター「あぁ、敵の戦力を削って味方の戦力を増やす。画期的だろう?」

巫女の頭に対してドクターの魔導機械が取り付けられる。

ドクター「ただ君は諦観の念が殆どのようだ。それに魔術への耐性もある。だからゲイザー君はお手上げのようで私の方へお鉢が回ってきたのさ」
巫女「この不思議な金属で?」

手脚を縛られてる巫女は頭を動かして、頭に付く金属のことを聞こうとする。
ドクター自体も自分のモノは説明したいとばかり答えていく。

ドクター「そうさ。魔術と別体系の技術が融合したもの。それが魔導機械さ。これなら魔術に耐性があっても仕事を行える。実績も何度か積んでいるのでね」
巫女「私を洗脳しても…魔術に耐性のある兵士ぐらいにしかなりませんよ?」
ドクター「そこでコイツさ。今から君の腕に着ける魔導機械は君の素質を増幅する。何が増幅されるかは…使ってみないと分からないけどね」

腕の枷の側に機械のついた布を巻いていく。

ドクター「さぁ、とにかく実験しよう。君はどのように生まれ変わるかな?」
40: ◆VDRRSUh6AQ:2022/7/28(木) 15:37:29 ID:sjlmv1QDec
魔導機械のスイッチを押したドクターは用意したモニターを見ながら操作盤を押し込んでいく。

ドクター「ふむ、いつも通り魔術への耐性はあっても電気信号や薬剤への耐性はなし。過去症例と同じパターンで洗脳行動に問題なし」

巫女の少女は細かく痙攣していくが、悲鳴も何もあげない。あげることができない。

ドクター「創作物のように悲鳴をあげさせることが出来れば罪悪感も強くなるのかな? とりあえずこのまま続けるか」

頭の中を書き換えるのにそう長い時間は要らない。
一刻ぐらい経っただろうか、ドクターは次の作業に入る。

ドクター「洗脳は終わりだ。君が起きたら魔王様に忠誠を誓う人間になっているさ。残るは……神頼みの時間かな」

腕に付けさせた機械の起動をし、ドクターは楽しそうに結果を待つ。

ドクター「どうせ失っても問題ない人間。当たるも八卦、当たらぬとも八卦さ」

41: ◆VDRRSUh6AQ:2022/7/28(木) 15:44:00 ID:fj4AWj3492
【その後】
ドクター「洗脳は成功。しかし、本人の資質なしとしてロクな戦力にはなりませんでした」

嘆息しながらドクターはモルモットの結果を話す。

魔王「冒険者が大切そうに保護していたから何かあるかも、っていう曖昧なものだったしな、良かろう」
ドクター「冒険者たちへの妨害にもなりませんし、適当に遊んでいてもいいですか?」
魔王「うむ、任せる。貴様はセイレーンと違ってペットの世話はきちんとするしな」

むしろ押し付けられる側のドクターは苦笑する。

魔王「要らなくなったら処分はするのだぞ。あと仕事にも支障を出さぬように」
ドクター「えぇ、もちろん。むしろ助手として育ててもいいかもしれませんね」
魔王「好き者め…」

敵を側に置く変わり者と呆れられながらも信頼されてるのはドクターは感じる。
どちらにせよ、迷惑や支障になるようにはしたくない。
魔王城は自分が安全に実験と開発ができる良い環境なのだから。
42: ◆VDRRSUh6AQ:2022/7/28(木) 15:51:54 ID:fj4AWj3492
巫女「で、私は何もされないと」
ドクター「むしろ私の助手として雇われるのさ」
巫女「人間のまま?」
ドクター「あぁ、楽しそうだろう? ハタから見たら人間の裏切り者さ」

研究室で白衣の男と黒髪の少女が会話する。

ドクター「君は兵士にすらなれなかったからね。出来るのは私の助手ぐらいさ」
巫女「ならそうしてあげるわ…。洗脳もされてるしね」
ドクター「洗脳されてる自覚が残るって奇妙だね。何かバグでもあったかな……」
巫女「ならまた実験してみる?」
ドクター「あぁ、もう少し試してみたいと思ってたところさ」

2人は望んで実験を始める。実験者と被験者に分かれて。

その後、「ドクターは少女を匿っている」や「鬼畜ドクター」、「ドクターのメイド趣味」など様々な誤解を生むが…それは別の話。
43: ◆VDRRSUh6AQ:2022/7/28(木) 16:02:11 ID:fj4AWj3492
【幕間】
ドクターはメイド趣味、その内に書くと思います(
全員分書いてから緩い話を何本か書きたいですね。
洗支ティ部の日常とか恋するハーピィとかセイレーンの魔物筋肉品評会とか。
面白いや面白くないというものを横に置いて、とにかく自分の頭の中をアウトプットして行きたい私でした。

○ドクター
白髪白衣の男。魔族的特徴は有していないが、本人は特に気にしていない。
魔王城には彼の作った魔導機械がチラホラあり、魔王城のクオリティ・オブ・ライフの向上に繋がっていたりする。
彼の実験室にはガラクタから仕事道具の洗脳機、用途の分からない塊など色々あったりする。
好きなものは自分の生み出した魔導機械たち。

○巫女→助手
人間の少女。今回の話で洗脳を受けているが、魔王に忠誠を誓う以外ほとんど弄られていない。それは彼女が元々敵意を持たずに諦観しきっていたからである。
本来、洗脳された際に解除の要因となる矛盾を生じさせないため、洗脳されたことを自覚させないが、この少女は洗脳をしても自身が洗脳されていることを覚えている。
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sage:


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