ある所に1匹の豚がいました
その豚の名前は内藤ホライゾン
仲間内ではブーンと呼ばれていました
彼は養豚場の中で何不自由なくすくすくと育ちました
しかしそんな幸せな日々は長くは続きません
そう、ついにあの日が来たのです
豚肉に加工され出荷されるあの日g
( ^ω^)「なんだおこれ」
川 ゚ -゚)「途中で割り込むな、話が止まってしまったじゃないか」
( ^ω^)「割り込みたくもなるお!なんで豚肉なんだお!意味わかんないお」
川 ゚ -゚)ノシ「いいから続けさせろ」ベシッ
(;^ω^)「痛いお痛いお」
川 ゚ -゚)「今の所はカットで頼む」
19: 名無しさん@読者の声:2020/8/30(日) 21:18:05 ID:MreiM5x5Co
( ^ω^)「最後に一言いいかお」
('A`)「なんだよ」
( ^ω^)「カレーには牛肉だお」
そう言うとブーンの姿はふっと消えました
後に残ったのは2人で作ったカレーと大きな豚肉の塊
(;'A`)そ「これ本体じゃなかったのかよ」
第1話
「引きこもりと豚肉のようです」‐完‐
20: 名無しさん@読者の声:2020/9/6(日) 22:42:02 ID:/l4/mI4fPY
第2話
「リア充と豚肉のようです」
21: 名無しさん@読者の声:2020/9/6(日) 22:42:52 ID:/l4/mI4fPY
空気の澄んだ森の広場に2人の若者がいました
おおよそ友人と呼ぶには不釣り合いな雰囲気を醸し出す彼らはまさに幸せそうなリア充です
爆発してしまえ
(*゚ー゚)「ねえギコ君」
(,,゚Д゚)「なんだ?」
(*゚ー゚)「そろそろお昼にしない?私お弁当作ってきたの」
(,,゚Д゚)「しぃは料理がうまいから楽しみだ」
(*゚ー゚)「はい、いっぱい食べてね」
(;^ω^)「ふぅ…やっと開いたお」
(;゚ー゚)「きゃああああ!?」
22: 名無しさん@読者の声:2020/9/6(日) 22:43:55 ID:/l4/mI4fPY
しぃがお弁当箱を開くと突然不思議な声が聞こえたのです
(;゚ー゚)「ギ、ギコ君…今の聴こえた?」
(,,゚Д゚)「いや、俺は何も」
( ^ω^)「突然叫ぶなんて失礼だお」
(;゚ー゚)「やっぱり声が…」
(,;゚Д゚)「今のは俺も聞こえたぞ」
( ^ω^)「2人共落ち着くお、僕は無害だお」
(,;゚Д゚)「そんなの信じられるかゴルァ」
( ^ω^)「僕は豚肉の内藤ホライゾンだお、ブーンって呼んでくれお」
(*;ー;)「怖いよギコ君」
(,;゚Д゚)「俺が守るから大丈夫だ」
(;^ω^)「ここでも妖怪扱いかお」
23: 名無しさん@読者の声:2020/9/6(日) 22:44:48 ID:/l4/mI4fPY
しぃはギコの後ろに隠れ、ギコはブーンを睨みつけています
しかしはたから見ればお弁当を睨みつけているだけ、なんと滑稽な風景でしょうか
( ^ω^)「僕は何もしないお!だから話を聞いて欲しいお!」
(,,゚Д゚)「本当に何もしないのかゴルァ」
( ^ω^)「豚肉に二言はないお」
(,,゚Д゚)「その目、信じてやるぞ」
( ^ω^)「よかったお」
(;゚ー゚)「本当に大丈夫なの?」
(,,゚Д゚)「大丈夫だ、それによく考えたらこいつはただの豚肉料理だぞ」
(*゚ー゚)「あ、そっかぁ」
( ^ω^)「ずいぶんあっさりだおね」
24: 名無しさん@読者の声:2020/9/6(日) 22:45:47 ID:/l4/mI4fPY
( ^ω^)「実は2人に大変なお知らせがあるんだお」
(*゚ー゚)「大変なお知らせ?」
(,,゚Д゚)「なんだゴルァ」
( ^ω^)「このお弁当不味いお」
(*゚ー゚)そ「!?」
(,,゚Д゚)「何言ってんだゴルァ!しぃの料理が不味いわけないだろ!」
(*゚ー゚)「も、もしかして…」
( ^ω^)「おっおっ、心辺りがあるんだお?」
(;゚ー゚)「う、うん…」
(;゚ー゚)「実はね…ー」
25: 名無しさん@読者の声:2020/9/6(日) 22:47:04 ID:/l4/mI4fPY
そう言うとしぃは静かに今朝あった事を話し始めました
(* ー )「今朝寝坊しちゃったの、焦って私うっかり調味料を間違えちゃったかもしれないの」
(* ー )「昨日キッチンを片付けた時に調味料の位置を変えたのが悪かったのかな」
(*;ー;)「ごめんね、美味しいお弁当作れなくて」
(,,゚Д゚)「しぃ…、大丈夫だ俺はそんなの気にしないから」
( ^ω^)「そっちじゃないお」
(*゚ー゚)「え?」
26: 名無しさん@読者の声:2020/9/6(日) 22:48:15 ID:/l4/mI4fPY
ブーンは深い溜め息を吐くとお弁当をちゃんと見るように言いました
( ^ω^)「この玉子焼きを見るお」
(*゚ー゚)「普通の玉子焼きだよ?」
(,,゚Д゚)「普通だゴルァ」
(;^ω^)「普通じゃないお!真っ黒だお!なんだおダークマターかお!?」
(*゚ー゚)そ「普通じゃないの!?」
(,,゚Д゚)「知らなかったぞ…」
(;^ω^)「あとこれ、なんだお?炒飯の出来損ないかお?」
(*゚ー゚)「ひどい…、どこから見てもお握りなのに」
( ^ω^)「僕はそこまで目は悪くないお」
( ^ω^)「最後にこれ、僕豚肉だお」
(,,゚Д゚)「美味しいだぞゴルァ」
( ^ω^)「生焼けだお、お腹壊すお」
(*゚ー゚)「レアってやつなの」
( ^ω^)「違うお、生焼けだお」
27: 名無しさん@読者の声:2020/9/6(日) 22:49:20 ID:/l4/mI4fPY
それから小一時間ブーンは料理の何たるかを2人に指南しました
2人は自分達の料理知識が間違っていた事に始めは戸惑っていましたが次第に落ち着きを取り戻し真剣にブーンの話を聞くようになりました
それと共にブーンの指導にも熱が入り気が付けばもう夜です
( ^ω^)「お!もうこんな時間だお」
(*゚ー゚)「真っ暗だね」
(,,゚Д゚)「時間が経つのは早いぞゴルァ」
( ^ω^)「とりあえず2人ともちゃんとした料理がわかったかお?」
(*゚ー゚)「はい!」(゚Д゚,,)
( ^ω^)「ならよかったお、じゃあ僕はもう帰るお」
(*゚ー゚)「もう行っちゃうの…?」
( ^ω^)「リア充を見てるのは辛いんだお、察してくれお」
(,,゚Д゚)「そうか、世話になった」
28: 名無しさん@読者の声:2020/9/6(日) 22:50:23 ID:/l4/mI4fPY
(*゚ー゚)「次料理を失敗した時も来てね」
(,,゚Д゚)「待ってるぞ」
( ^ω^)「呼ばれない事を願うお…、さよならだお!」
(*゚ー゚)「…行っちゃったね」
(,,゚Д゚)「…よし、帰って復習だゴルァ」
(*゚ー゚)「うん!…このお弁当はどうしようか?」
(,,゚Д゚)「食べるのは嫌だゴルァ…」
(*゚ー゚)「だよね…」
第2話
「リア充と豚肉のようです」‐完‐
29: 名無しさん@読者の声:2020/9/20(日) 03:02:04 ID:QxVPOrBXk2
第3話
「おっぱいと豚肉のようです」
30: 名無しさん@読者の声:2020/9/20(日) 03:02:40 ID:QxVPOrBXk2
闇に包まれた港、独り佇む青年
何者かに追われているのか頻りに辺りを気にしています
しかし何の気配もないとわかるとその場に座り込みました
(;゚∀゚)「はぁ…はぁ…、ここまで来れば奴らも…はぁ…はぁ…」
その息遣いは荒く、彼の体力が限界である事を示しています
(;゚∀゚)「ったく、何でこんな事に…」
(;゚∀゚)「しかし着の身着のまま逃げてきたせいで手元にあるのは僅かな金と…」
(;゚∀゚)「…なんで豚肉?」
( ^ω^)「呼んだかお?」
(;゚∀゚)「え?うわあああああ!?」
31: 名無しさん@読者の声:2020/9/20(日) 03:03:18 ID:QxVPOrBXk2
静かな港に彼の絶叫が響きます
(;゚∀゚)「し、しまった」
( ^ω^)「どうしたお?」
( ゚∀゚)「静かに」
そういうと神経を研ぎ澄ませ周りの気配を探ります
( ゚∀゚)「よかった、誰もいない」
( ^ω^)「状況がわからないお」
( ゚∀゚)「すまない、ところでお前は一体…?」
( ^ω^)「僕は内藤ホライゾン、豚肉だお。ブーンと呼んで欲しいお」
( ゚∀゚)「そうか、俺はジョルジュ長岡だ。ジョルジュって呼んでくれ」
32: 名無しさん@読者の声:2020/9/20(日) 03:03:43 ID:QxVPOrBXk2
( ^ω^)「それでジョルジュ、これはどういう状況だお」
( ゚∀゚)「…話せば長くなるが…ー」
ジョルジュの話しはこうでした
彼はとある組織に属していました
しかしひょんな事から組織の重大な秘密を知ってしまったのです
そのせいで彼は命を狙われるようになりました
( ゚∀゚)「…と、言うわけなんだ」
(;^ω^)「大変だお、いったいどんな組織なんだお?」
( ゚∀゚)「ああ、組織の名前は“おっぱい教団”世界中のおっぱいを愛でる会だ」
( ^ω^)「一気に下らなくなったお」
33: 名無しさん@読者の声:2020/9/20(日) 03:04:13 ID:QxVPOrBXk2
ジョルジュはブーンの言葉に怒りました
(♯゚∀゚)「下らないとはなんだ!?おっぱいはな、おっぱいは凄いんだ!!」
(;^ω^)「落ち着くお!大声を出したら見つかるお!」
(;゚∀゚)そ「!?…悪い」
( ^ω^)「それで秘密ってなんだお」
(;゚∀゚)「それは…」
( ^ω^)「どうせ僕は豚肉だお。話したって構わないお」
( ゚∀゚)「それもそうだな」
34: 名無しさん@読者の声:2020/9/20(日) 03:04:43 ID:QxVPOrBXk2
それからジョルジュは静かに組織の秘密とどうやって知ったのか話しました
( ゚∀゚)「あれはつい数時間前」
( ゚∀゚)「俺は組織の食事係だった」
( ゚∀゚)「あの時もいつものようにボスに食事を持って行ったんだ、ちなみに暑いからってそうめんと冷しゃぶを」
( ゚∀゚)「そして気付いたんだ」
( ゚∀゚)「豚肉を忘れていたと」
( ゚∀゚)「まあそこからは単純だ。食事をしながら秘密の会話をしていたのを盗み聞きしてしまったってわけだ」
( ^ω^)「それで秘密ってなんだお」
(;゚∀゚)「思い出すのも恐ろしい…、全世界のおっぱいをちっぱいに変えるって計画だ…」
( ^ω^)「やっぱ下んないお」
35: 名無しさん@読者の声:2020/9/20(日) 03:05:12 ID:QxVPOrBXk2
(♯゚∀゚)「下らないとは」
( ^ω^)「見つかるから黙れお」
( ゚∀゚)「すまん」
( ^ω^)「で、豚肉を持ったまま逃げ出したのかお?」
( ゚∀゚)「今考えてもおかしいよな、豚肉持って逃げるとか」
( ^ω^)「まあ普通じゃないお」
( ;∀;)「…俺はいったいどうすれば」
36: 名無しさん@読者の声:2020/9/20(日) 03:05:45 ID:QxVPOrBXk2
ジョルジュは突然泣き出しました
たとえ下らない組織の下らない秘密とはいえ命を狙われる身です
恐ろしくないわけ無いでしょう
ブーンは今さらながらに自分を責めました
( ^ω^)「ごめんお、僕にとっては下らなくてもジョルジュからしたら大変な問題なのにお」
( ;∀;)「いや、いいんだ…。他の奴からしたら下らない問題だし…」
( ^ω^)「元気だすお。僕も逃げるのに協力するからお」
( ぅ∀;)「ありがとなブーン」
僅かながらもさっきよりジョルジュの目に希望の色が見えました
( ゚∀゚)「俺頑張ってアイツらの計画を阻止してみせる!」
( ^ω^)「逃げるんじゃなかったのかお?」
( ゚∀゚)「こんな事態、おっぱい好きとしては逃げてなんかいられねぇよ」
( ^ω^)「残念なイケメンだお」
37: 名無しさん@読者の声:2020/9/20(日) 03:07:19 ID:QxVPOrBXk2
( ゚∀゚)「残念ってなんだよ。普通にイケメンって言っとけよ」
決意を新たにしたジョルジュはブーンと笑い合えるようになりました
( ゚∀゚)「よし、まずは一緒に闘ってくれる仲間でも探すか」
( ^ω^)「ジョルジュならできるお」
( ゚∀゚)「ああ、これからよろしくな、ブーン」
( ^ω^)「」
( ゚∀゚)「どうしたブーン?」
( ^ω^)「僕には無理だお」
( ゚∀゚)「どうして!?お前が豚肉だからか?」
( ^ω^)「常識的に考えてそれしかないお」
38: 名無しさん@読者の声:2020/9/20(日) 03:07:51 ID:QxVPOrBXk2
ジョルジュは悲しみました
自分にやる気を与えてくれた相手と一緒にいられない
それは静かに、けれど確実にジョルジュの心を蝕みます
( ゚∀゚)「別に豚肉だからって問題は」
( ^ω^)「腐るお」
(;゚∀゚)「ちゃんと保存すれば…」
( ^ω^)「時の流れは無情なんだお」
39: 名無しさん@読者の声:2020/9/20(日) 03:08:25 ID:QxVPOrBXk2
ブーンは諭すように話します
一緒に行けない事
自分にも目的がある事
ジョルジュも静かにブーンの話を聞きます
( ∀ )「そうか…」
( ^ω^)「すまないお」
( ゚∀゚)「いや、ブーンにはブーンのやる事があるんだし、謝らないでくれ」
( ^ω^)「ありがとうだお」
( ゚∀゚)「…俺、もう行くよ」
( ^ω^)「ジョルジュ…」
( ゚∀゚)「一緒にいたら引き留めちまいそうだからな」
( ^ω^)「わかったお」
40: 名無しさん@読者の声:2020/9/20(日) 03:08:56 ID:QxVPOrBXk2
そう言うとゆっくりと立ち上がりブーンを残して港を後にします
( )ノシ「またな!」
後ろを振り向かず手を振るジョルジュ
その声は僅かに震えてるような気がしました
( ^ω^)「またなだおジョルジュ」
( ^ω^)「…この後豚肉どうするお」
第3話
「おっぱいと豚肉のようです」‐完‐
41: 名無しさん@読者の声:2020/9/27(日) 05:50:01 ID:QxVPOrBXk2
第4話
「見える人と豚肉のようです」
42: 名無しさん@読者の声:2020/9/27(日) 05:50:38 ID:QxVPOrBXk2
広い部屋、いや部屋と言うよりむしろ空間と呼んだ方が正しいでしょうか
そのただただ広く無機質な空間の中に1つの机と1つの椅子
椅子には1人の青年が、机には一切れの豚肉がありました
( <●><●>)「そろそろ来る頃だとわかってます」
( ^ω^)「お?」
( <●><●>)「よくきてくれました」
( ^ω^)「…珍しいお。僕が出てきて驚かないなんてお」
( <●><●>)「わかってましたから」
43: 名無しさん@読者の声:2020/9/27(日) 05:51:08 ID:QxVPOrBXk2
青年は豚肉を、正しくは豚肉の上の何もない空間を見つめています
( <●><●>)「貴方の姿がそこにあるのはわかってます」
(;^ω^)「なんでわかったお?」
( <●><●>)「僕にはこの世のほぼ全ての事がわかってます」
( ^ω^)「それはすごいお」
( <●><●>)「でも1つわからない事があります」
( ^ω^)「お?わからない事かお?」
( <●><●>)「そうです。だから今日は貴方をここに呼んだんです」
44: 名無しさん@読者の声:2020/9/27(日) 05:51:38 ID:QxVPOrBXk2
青年は名をワカッテマスと言い自身に特別な力がある事を話しました
彼の力は世界の全てを見透かす事です
しかしその力の及ぶ範囲は現実世界だけ
彼は知りたがりました
全てを知り得る自身が唯一知ることの出来ない世界について、死後の世界について
( <●><●>)「貴方は一度死んでます。だから向こうの世界について知っているはずです」
( ^ω^)「おー…」
( <●><●>)「教えてください。僕のわかってない世界の事を」
(;^ω^)「無理だお。覚えてないお」
( <●><●>)「本当は覚えているってはわかってます」
45: 名無しさん@読者の声:2020/9/27(日) 05:52:17 ID:QxVPOrBXk2
彼の言う通りブーンは覚えていました
自分が死んだ瞬間の事も死んだ後の事も
けれど頑なに話そうとはしません
( ^ω^)「話せないお」
( <●><●>)「わかりません。どうして話せないんですか?」
( ^ω^)「こっち側とあっち側は別物だお。交わってはだめなんだお」
( <●><●>)「ならあちら側の貴方がここに?…少なからず例外も存在するという事はわかってます」
( ^ω^)「めんどくさい奴だおね」
( <●><●>)「そんな事わかってます」
46: 名無しさん@読者の声:2020/9/27(日) 05:52:56 ID:QxVPOrBXk2
するとブーンは諦めたかのように口を開きました
( ^ω^)「今から話す事は他言無用だお。わかったかお?」
( <●><●>)「わかってます」
( ^ω^)「僕の記憶にあるのは僕が死ぬ少し前からだお…―」
それから数十分、ブーンの話しは続きました
とても恐ろしく気持ちの悪い話しです
きっとブーンは思い出したくもない記憶でしょう
彼の目から光が消え、顔からは血の気が引いていくようでした
声音など最後には絞り出したかのような苦痛さの滲むものでした
( ω )「わかったかお?」
( <○><○>)「」
( ω )「これでお前の望みは叶ったお。ならもう困ってないおね?僕は忙しいんだお。もう行くお」
47: 名無しさん@読者の声:2020/9/27(日) 05:53:28 ID:QxVPOrBXk2
( <○><○>)「ブーn」
ワカッテマスの言葉を遮るように、聞かないように、ブーンは姿を消しました
( <○><○>)「わかってました…、僕なんかが知ってはいけない世界だというとこぐらい…」
( <○><○>)「それでも僕は…」
第4話
「見える人と豚肉のようです」‐完‐
48: 1:2020/10/12(月) 05:48:26 ID:u8TZpZDbyA
セルフ保守
近々更新しますすみません
49: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:29:52 ID:zxPBtxQRJs
第5話
「恋する乙女と豚肉のようです」
50: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:30:18 ID:zxPBtxQRJs
騒がしく音が鳴り響くキッチンで1人の少女が笑っています
彼女はとても楽しそうに本と食材とを見比べています
ξ゚听)ξ「あと少しで完成ね」
ξ;゚听)ξ「…ってきゃあ!?燃えてる燃えてる!!」
(;^ω^)「早く火を消すお!早く!」
ξ;゚听)ξ「は、はい!…ってえぇ!?」
(;^ω^)「お?」
ξ;゚听)ξ「あ、あんた誰よ!?」
51: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:30:56 ID:zxPBtxQRJs
少女は燃える食材に気を取られ声がした事を気にする余裕がありませんでした
しかし火が消えた今、突如現れた声の主は不審者でしかありません
ξ;゚听)ξ「泥棒?強盗?とにかく警察呼ぶから!変な事したら承知しないんだからね!」
(;^ω^)「待って欲しいお!僕は不審者じゃないお!豚肉の妖精、内藤ホライゾンだお!人畜無害な豚肉ブーンだお!」
ブーンは何度目になるかわからない自己紹介と安全宣言をしました
けれどそう簡単に信じてもらえるはずもありません
ξ;゚听)ξ「何よ豚肉って!?早くどっか行ってよ不審者!」
(;^ω^)「これは今までで一番酷い反応だお…」
52: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:31:30 ID:zxPBtxQRJs
それからブーンは長い時間をかけて不審がる少女を説得しました
相手に悪意が無い事がわかると少女も次第に警戒心をほどいていきました
( ^ω^)「わかってくれたかお?」
ξ゚听)ξ「ま、まあ一応はね」
(*^ω^)「ならよかったお」
ξ゚听)ξ「それでなんで豚肉の妖怪がこんな所にいるわけ?」
( ^ω^)「おっおっ、僕は困ってる人を助ける旅をしてるんだお」
ξ゚听)ξ「豚肉のクセにね」
(;^ω^)「なんだか言葉の端々に刺を感じるお…」
ξ゚听)ξ「何言ってんの?気のせいよ」
53: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:32:13 ID:zxPBtxQRJs
ξ゚听)ξ「そういえばブーンは困ってる人を助けるのよね?」
( ^ω^)「そうだお」
ξ゚听)ξ「なら何で私の所に来たの?」
( ^ω^)「困ってるからだお!」
ξ゚听)ξ「私全然困ってないんだけど」
( ^ω^)「フライパンが燃えて困ってたお」
ξ;゚听)ξ「あ、あれは偶然で!」
(*^ω^)「おっおっ」
ξ#゚听)ξ「」イラー
(;^ω^)「ごめんだお!だからそんなに睨まないでくれお!」
54: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:32:41 ID:zxPBtxQRJs
軽口を言ってはいますが実際に少女が困っている様子はありません
先ほどは燃えていましたが他の料理は人並みにできています
ブーンは出てくる所を間違えたのかと考えてしまいました
( ^ω^)「…でも困ってる事がないなら僕もう行くお」
ξ;゚听)ξ「え?ちょっと待ちなさいよ」
( ^ω^)「なんだお?」
ξ;゚听)ξ「えっと、その…、」
( ^ω^)「はっきり言うお」
ξ///)ξ「………ぃの」
55: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:37:57 ID:zxPBtxQRJs
少女は恥ずかしいのか口ごもり、ブーンにはうまく聞き取れません
( ^ω^)「ちゃんと言ってくれないとわからないお」
ξ///)ξ「…告白を手伝って欲しいの」
( ^ω^)「専門外だ…お」
ξ#゚听)ξ「」
少女の目はつべこべ言わずに手伝えと雄弁に語っていました
(;^ω^)「わ、わかったお」
ξ゚听)ξ「それでいいのよ」
56: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:38:29 ID:zxPBtxQRJs
そこからの流れはとても早いものでした
少女、ツンはブーンに自分の想い人について調べてくるようにいいました
( ^ω^)「そんなの自分で調べろお」
ブーンがそう思うのも無理はないでしょう
しかしツンは極度のツンデレ、他の人ならいざしれず恋する相手とうまく話す事などできません
ξ゚听)ξ「困ってる人を助けるのが仕事なんでしょ!?」
( ^ω^)「わかったお!行けばいいんだお行けば!」
57: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:46:45 ID:zxPBtxQRJs
ブーンは急いでツンの元を後にしました
それから小一時間後、心底疲れきりやつれたブーンが帰ってきました
( ´ω`)「僕もう疲れたお…」
しかしツンはそんなのお構いなしです
矢継ぎ早に質問をしていきます
ξ゚听)ξ「彼どうだった?」
ξ゚听)ξ「食べ物の好き嫌いあった?」
ξ゚听)ξ「恋人は?いたの?いなかったの?」
ξ゚听)ξ「好きな人とかは?」
( ´ω`)「少しは休ませてくれお…」
ξ;゚听)ξ「あ、ごめん…」
58: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:47:17 ID:zxPBtxQRJs
ツンの返事を聞くとブーンはその場に倒れ込みました
しばらくすると規則正しい寝息が聞こえはじめました
ツンは妖怪でも眠るのかと関心を隠せません
ξ゚听)ξ「でも姿が見えないとどんな寝方をしてるのかもわかんないじゃない」
ξ゚听)ξ「不親切な妖怪ね」
( ´ω`)「ゔぅ゙…」
ξ゚听)ξ「魘されてるのかしら?」
( ´ω`)「……チム…の…イだ…お」
ξ゚听)ξ「?」
59: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:47:58 ID:zxPBtxQRJs
それから数十分経ちブーンは目を覚ましました
(;^ω^)「嫌な夢を見たお」
ξ゚听)ξ「じゃあさっそく教えてちょうだい」
(;^ω^)「あんな夢の事なんて話したくないお!」
ξ゚听)ξ「違うわよ、彼についてよ」
( ^ω^)「なんだそっちかお」
ξ゚听)ξ「当たり前じゃない。誰があんたの夢の話しなんて」
( ^ω^)「それはそれで辛い何かを感じるお」
60: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:48:40 ID:zxPBtxQRJs
グチグチと言っているブーンを一睨みで黙らせたツンは早く話すように促しました
一瞬ブーンが少し落ち込んだような顔をしたような気がしなくもないです
( ^ω^)「…多分ツンの望まない話しばかりだけどいいかお?」
ξ゚听)ξ「大丈夫よ。障害が多い方が恋は燃えるっていうし」
( ^ω^)「なら言うお、好きな人がいたお」
ξ;゚听)ξ「!?…どんな人なの?」
( ^ω^)「年上の人だお」
ξ;゚听)ξ「3年の先輩の誰かって事?」
( ^ω^)「もっと年上だお、ぶっちゃけ30前のオジサンだお」
ξ;゚听)ξ「30前…、ってオジサン!?」
61: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:49:39 ID:zxPBtxQRJs
驚くのも無理はありません
好きになった相手が自分以外の誰かに片思い中
さらにはその相手が三十路手前のオジサンだなんて、悲劇以外の何者でもありません
ξ;゚听)ξ「そ、その人ってどんな」
( ^ω^)「ダメ人間だお」
ξ;゚听)ξ「なんでそんな人を…」
( ^ω^)「でも性格はよかったお。頑張って人生変えようとしてるしお」
ξ;゚听)ξ「詳しいのね」
( ^ω^)「僕の友達だお」
ξ;゚听)ξ「まさか鶏肉?」
( ^ω^)「流石にねぇお」
ξ゚听)ξ「ですよねー」
62: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:50:15 ID:zxPBtxQRJs
ツンはブーンにいろんな事を尋ねます
相手の人柄はどうか、惚れられる要因がどこにあったのか、どれほど想われているのか
ブーンはわかる限り丁寧に答えます
時には再び相手の元を訪れたりしながら
次第にツンも本気なのだとわかり、自分の付け入る隙が無いのだと悟りました
( ^ω^)「ツン、気を落とさないでほしいお」
ξ )ξ「別に私は…」
( ^ω^)「よしよしだお」
ξ;;)ξ「う、うぅっ…うわあああん」
( ^ω^)「失恋は辛いお。ブーンもよくわかるお」
ξ;;)ξ「な、によ…ぶ、豚肉にはわかんないわよ…!」
(;^ω^)「豚肉差別反対だお!」
63: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:50:41 ID:zxPBtxQRJs
ツンは泣きました
泣いて泣いて泣きはらしました
( ^ω^)「落ち着いたかお?」
ξぅ;)ξ「えぇ、少し」
( ^ω^)「…これ、どうするお?」
ξ゚听)ξ「手作りのお弁当…」
( ^ω^)「何なら僕が食べたげるお」
ξ゚听)ξ「体ないのに食べれないでしょ」
( ^ω^)「バレたかお」
ξ゚听)ξ「…これはちゃんと渡すわ」
64: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:51:07 ID:zxPBtxQRJs
ξ゚听)ξ「それで気持ちを伝える」
( ^ω^)「振られるのにかお?」
ξ゚听)ξ「」コクン
ツンは静かに頷きました
ξ゚听)ξ「どうせ振られるなら気持ちを伝えて振られたいの」
( ^ω^)「そうかお、頑張れお」
ξ゚听)ξ「ありがと」
65: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:51:38 ID:zxPBtxQRJs
ブーンはツンの決意をくみ、ただ応援の言葉を伝えました
それが何に対する応援なのかブーンは言いませんでしたがツンには伝わったようです
( ^ω^)「じゃあ僕もう行くお」
ξ゚听)ξ「うん、いろいろありがとう」
( ^ω^)「別にいいお、人助けが僕の使命なんだからお」
ξ゚听)ξ「それもそうね」
66: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:52:00 ID:zxPBtxQRJs
( ^ω^)「そうだ、最後に一言いいかお?」
ξ゚听)ξ「なによ?」
( ^ω^)「豚肉と鶏肉はむしろ敵同士だお」
ブーンはそう言い残すとふわりと姿を消しました
ξ゚听)ξ「…なら牛肉の立ち位置はどこなのよ!?」
ξ゚听)ξ「最後まで不親切な豚肉なんだから」
第5話
「恋する乙女と豚肉のようです」‐完‐
67: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:52:42 ID:zxPBtxQRJs
全10話のため今回で折り返しです
68: 名無しさん@読者の声:2020/10/25(日) 21:47:32 ID:MJpsdsQpyk
2chリアルタイムで見てたので懐かしいキャラばかりでほっこりします
豚肉が主人公という発想も面白くて彼がいったい何者なのか気になります……
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