ある所に1匹の豚がいました
その豚の名前は内藤ホライゾン
仲間内ではブーンと呼ばれていました
彼は養豚場の中で何不自由なくすくすくと育ちました
しかしそんな幸せな日々は長くは続きません
そう、ついにあの日が来たのです
豚肉に加工され出荷されるあの日g
( ^ω^)「なんだおこれ」
川 ゚ -゚)「途中で割り込むな、話が止まってしまったじゃないか」
( ^ω^)「割り込みたくもなるお!なんで豚肉なんだお!意味わかんないお」
川 ゚ -゚)ノシ「いいから続けさせろ」ベシッ
(;^ω^)「痛いお痛いお」
川 ゚ -゚)「今の所はカットで頼む」
39: 名無しさん@読者の声:2020/9/20(日) 03:08:25 ID:QxVPOrBXk2
ブーンは諭すように話します
一緒に行けない事
自分にも目的がある事
ジョルジュも静かにブーンの話を聞きます
( ∀ )「そうか…」
( ^ω^)「すまないお」
( ゚∀゚)「いや、ブーンにはブーンのやる事があるんだし、謝らないでくれ」
( ^ω^)「ありがとうだお」
( ゚∀゚)「…俺、もう行くよ」
( ^ω^)「ジョルジュ…」
( ゚∀゚)「一緒にいたら引き留めちまいそうだからな」
( ^ω^)「わかったお」
40: 名無しさん@読者の声:2020/9/20(日) 03:08:56 ID:QxVPOrBXk2
そう言うとゆっくりと立ち上がりブーンを残して港を後にします
( )ノシ「またな!」
後ろを振り向かず手を振るジョルジュ
その声は僅かに震えてるような気がしました
( ^ω^)「またなだおジョルジュ」
( ^ω^)「…この後豚肉どうするお」
第3話
「おっぱいと豚肉のようです」‐完‐
41: 名無しさん@読者の声:2020/9/27(日) 05:50:01 ID:QxVPOrBXk2
第4話
「見える人と豚肉のようです」
42: 名無しさん@読者の声:2020/9/27(日) 05:50:38 ID:QxVPOrBXk2
広い部屋、いや部屋と言うよりむしろ空間と呼んだ方が正しいでしょうか
そのただただ広く無機質な空間の中に1つの机と1つの椅子
椅子には1人の青年が、机には一切れの豚肉がありました
( <●><●>)「そろそろ来る頃だとわかってます」
( ^ω^)「お?」
( <●><●>)「よくきてくれました」
( ^ω^)「…珍しいお。僕が出てきて驚かないなんてお」
( <●><●>)「わかってましたから」
43: 名無しさん@読者の声:2020/9/27(日) 05:51:08 ID:QxVPOrBXk2
青年は豚肉を、正しくは豚肉の上の何もない空間を見つめています
( <●><●>)「貴方の姿がそこにあるのはわかってます」
(;^ω^)「なんでわかったお?」
( <●><●>)「僕にはこの世のほぼ全ての事がわかってます」
( ^ω^)「それはすごいお」
( <●><●>)「でも1つわからない事があります」
( ^ω^)「お?わからない事かお?」
( <●><●>)「そうです。だから今日は貴方をここに呼んだんです」
44: 名無しさん@読者の声:2020/9/27(日) 05:51:38 ID:QxVPOrBXk2
青年は名をワカッテマスと言い自身に特別な力がある事を話しました
彼の力は世界の全てを見透かす事です
しかしその力の及ぶ範囲は現実世界だけ
彼は知りたがりました
全てを知り得る自身が唯一知ることの出来ない世界について、死後の世界について
( <●><●>)「貴方は一度死んでます。だから向こうの世界について知っているはずです」
( ^ω^)「おー…」
( <●><●>)「教えてください。僕のわかってない世界の事を」
(;^ω^)「無理だお。覚えてないお」
( <●><●>)「本当は覚えているってはわかってます」
45: 名無しさん@読者の声:2020/9/27(日) 05:52:17 ID:QxVPOrBXk2
彼の言う通りブーンは覚えていました
自分が死んだ瞬間の事も死んだ後の事も
けれど頑なに話そうとはしません
( ^ω^)「話せないお」
( <●><●>)「わかりません。どうして話せないんですか?」
( ^ω^)「こっち側とあっち側は別物だお。交わってはだめなんだお」
( <●><●>)「ならあちら側の貴方がここに?…少なからず例外も存在するという事はわかってます」
( ^ω^)「めんどくさい奴だおね」
( <●><●>)「そんな事わかってます」
46: 名無しさん@読者の声:2020/9/27(日) 05:52:56 ID:QxVPOrBXk2
するとブーンは諦めたかのように口を開きました
( ^ω^)「今から話す事は他言無用だお。わかったかお?」
( <●><●>)「わかってます」
( ^ω^)「僕の記憶にあるのは僕が死ぬ少し前からだお…―」
それから数十分、ブーンの話しは続きました
とても恐ろしく気持ちの悪い話しです
きっとブーンは思い出したくもない記憶でしょう
彼の目から光が消え、顔からは血の気が引いていくようでした
声音など最後には絞り出したかのような苦痛さの滲むものでした
( ω )「わかったかお?」
( <○><○>)「」
( ω )「これでお前の望みは叶ったお。ならもう困ってないおね?僕は忙しいんだお。もう行くお」
47: 名無しさん@読者の声:2020/9/27(日) 05:53:28 ID:QxVPOrBXk2
( <○><○>)「ブーn」
ワカッテマスの言葉を遮るように、聞かないように、ブーンは姿を消しました
( <○><○>)「わかってました…、僕なんかが知ってはいけない世界だというとこぐらい…」
( <○><○>)「それでも僕は…」
第4話
「見える人と豚肉のようです」‐完‐
48: 1:2020/10/12(月) 05:48:26 ID:u8TZpZDbyA
セルフ保守
近々更新しますすみません
49: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:29:52 ID:zxPBtxQRJs
第5話
「恋する乙女と豚肉のようです」
50: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:30:18 ID:zxPBtxQRJs
騒がしく音が鳴り響くキッチンで1人の少女が笑っています
彼女はとても楽しそうに本と食材とを見比べています
ξ゚听)ξ「あと少しで完成ね」
ξ;゚听)ξ「…ってきゃあ!?燃えてる燃えてる!!」
(;^ω^)「早く火を消すお!早く!」
ξ;゚听)ξ「は、はい!…ってえぇ!?」
(;^ω^)「お?」
ξ;゚听)ξ「あ、あんた誰よ!?」
51: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:30:56 ID:zxPBtxQRJs
少女は燃える食材に気を取られ声がした事を気にする余裕がありませんでした
しかし火が消えた今、突如現れた声の主は不審者でしかありません
ξ;゚听)ξ「泥棒?強盗?とにかく警察呼ぶから!変な事したら承知しないんだからね!」
(;^ω^)「待って欲しいお!僕は不審者じゃないお!豚肉の妖精、内藤ホライゾンだお!人畜無害な豚肉ブーンだお!」
ブーンは何度目になるかわからない自己紹介と安全宣言をしました
けれどそう簡単に信じてもらえるはずもありません
ξ;゚听)ξ「何よ豚肉って!?早くどっか行ってよ不審者!」
(;^ω^)「これは今までで一番酷い反応だお…」
52: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:31:30 ID:zxPBtxQRJs
それからブーンは長い時間をかけて不審がる少女を説得しました
相手に悪意が無い事がわかると少女も次第に警戒心をほどいていきました
( ^ω^)「わかってくれたかお?」
ξ゚听)ξ「ま、まあ一応はね」
(*^ω^)「ならよかったお」
ξ゚听)ξ「それでなんで豚肉の妖怪がこんな所にいるわけ?」
( ^ω^)「おっおっ、僕は困ってる人を助ける旅をしてるんだお」
ξ゚听)ξ「豚肉のクセにね」
(;^ω^)「なんだか言葉の端々に刺を感じるお…」
ξ゚听)ξ「何言ってんの?気のせいよ」
53: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:32:13 ID:zxPBtxQRJs
ξ゚听)ξ「そういえばブーンは困ってる人を助けるのよね?」
( ^ω^)「そうだお」
ξ゚听)ξ「なら何で私の所に来たの?」
( ^ω^)「困ってるからだお!」
ξ゚听)ξ「私全然困ってないんだけど」
( ^ω^)「フライパンが燃えて困ってたお」
ξ;゚听)ξ「あ、あれは偶然で!」
(*^ω^)「おっおっ」
ξ#゚听)ξ「」イラー
(;^ω^)「ごめんだお!だからそんなに睨まないでくれお!」
54: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:32:41 ID:zxPBtxQRJs
軽口を言ってはいますが実際に少女が困っている様子はありません
先ほどは燃えていましたが他の料理は人並みにできています
ブーンは出てくる所を間違えたのかと考えてしまいました
( ^ω^)「…でも困ってる事がないなら僕もう行くお」
ξ;゚听)ξ「え?ちょっと待ちなさいよ」
( ^ω^)「なんだお?」
ξ;゚听)ξ「えっと、その…、」
( ^ω^)「はっきり言うお」
ξ///)ξ「………ぃの」
55: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:37:57 ID:zxPBtxQRJs
少女は恥ずかしいのか口ごもり、ブーンにはうまく聞き取れません
( ^ω^)「ちゃんと言ってくれないとわからないお」
ξ///)ξ「…告白を手伝って欲しいの」
( ^ω^)「専門外だ…お」
ξ#゚听)ξ「」
少女の目はつべこべ言わずに手伝えと雄弁に語っていました
(;^ω^)「わ、わかったお」
ξ゚听)ξ「それでいいのよ」
56: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:38:29 ID:zxPBtxQRJs
そこからの流れはとても早いものでした
少女、ツンはブーンに自分の想い人について調べてくるようにいいました
( ^ω^)「そんなの自分で調べろお」
ブーンがそう思うのも無理はないでしょう
しかしツンは極度のツンデレ、他の人ならいざしれず恋する相手とうまく話す事などできません
ξ゚听)ξ「困ってる人を助けるのが仕事なんでしょ!?」
( ^ω^)「わかったお!行けばいいんだお行けば!」
57: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:46:45 ID:zxPBtxQRJs
ブーンは急いでツンの元を後にしました
それから小一時間後、心底疲れきりやつれたブーンが帰ってきました
( ´ω`)「僕もう疲れたお…」
しかしツンはそんなのお構いなしです
矢継ぎ早に質問をしていきます
ξ゚听)ξ「彼どうだった?」
ξ゚听)ξ「食べ物の好き嫌いあった?」
ξ゚听)ξ「恋人は?いたの?いなかったの?」
ξ゚听)ξ「好きな人とかは?」
( ´ω`)「少しは休ませてくれお…」
ξ;゚听)ξ「あ、ごめん…」
58: 名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 20:47:17 ID:zxPBtxQRJs
ツンの返事を聞くとブーンはその場に倒れ込みました
しばらくすると規則正しい寝息が聞こえはじめました
ツンは妖怪でも眠るのかと関心を隠せません
ξ゚听)ξ「でも姿が見えないとどんな寝方をしてるのかもわかんないじゃない」
ξ゚听)ξ「不親切な妖怪ね」
( ´ω`)「ゔぅ゙…」
ξ゚听)ξ「魘されてるのかしら?」
( ´ω`)「……チム…の…イだ…お」
ξ゚听)ξ「?」
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