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【適当】小説書きスレ其の弐【万歳】
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1: 名無しさん@読者の声:2014/6/12(木) 23:18:52 ID:YDoKF2wKiU
ここは主に小説を書くスレです!
自由に書いてよろし!

・他人に迷惑を書けるのは駄目です!
・喧嘩は喧嘩スレへGO
・必要なら次スレは>>980さんがお願いします。無理なら早急に代理を!

不備がありましたらすみません。楽しく書けることを祈ります。


144: 東京名無しンピック2021?:2021/4/1(木) 02:41:57 ID:j7SYfDy2zs
「数多の精兵を退け、よくぞ我が下まで辿り着いた……。まずはその武勇を讃えよう。勇者よ」
「御褒めに与り恐悦至極、とでも応えれば満足か?魔王」
 魔王城、謁見の間。玉座より睥睨する魔王へ、神々の祝福と悪魔の呪詛を享けた宝剣を向ける勇者。蜀台の炎が妖しく揺らめき、両者の影が踊る。
「だがもう交わす言葉など無い。終わらせるぞ魔王。今日!今!ここで!」
 宝剣を脇構えに取り、一気に踏み込むべく身体を軽く沈めた勇者だったが、
「……待つが良い」
「今更何だ。臆したか」
「否。逆よ」
 意図が汲めず、勇者は構えを解かぬままに視線で先を促す。
「我は闇を統べる者。百妖を従え千魔を平らげ、賎しくも王などと呼ばれてはいるが、本源は一介の武侠に過ぎぬ」
「なればこそ!」
「そう。なればこそ、だ」
 魔王はゆっくりと指先を勇者へ向けた。
「なればこそ、我が配下との連戦で消耗した貴様との死合になど塵芥程の価値も見出せぬ。鈍った刃を砕いた所で何の誉れにもならぬのだ」
「随分と舐めてくれるな。俺がどれ程の修羅場を潜ってここに立っていると思う。消耗?笑わせるなよ魔王。ようやく身体が暖まってきた所なんだよ!」
「そうだな。貴様はそれでこそだ。だが、これは矜持の問題なのだ」
 魔王は口中で何事かを呟き、指を鳴らした。すると両者の中央付近に、弾ける紫電を纏った黒球が産まれた。
「……来るかッ!」

145: 東京名無しンピック2021?:2021/4/1(木) 02:42:58 ID:j7SYfDy2zs
 勇者は宝剣へ魔力を流した。刀身が蒼穹を巻き取ったかのような淡い輝きを帯びる。
 今まさに飛掛らんと右足へ重心を移した瞬間、黒球は音も無く消え失せた。
「!?」
 そして、黒球が在った地点に黒々として艶やかな──椅子が出現していた。
「……何の真似だ。魔王」
「座るが良い。それとも……何だ。臆したか」
「……ふん」
 勇者の知る限り、魔王は武侠の自称に違わず外法や左道、搦め手の類を好まない。
 とりあえず罠ではないと判断した勇者は、宝剣を納めると椅子へ歩み寄った。
 革張りの大きな椅子である。包み込むようなヘッドレスト。長めの肘掛の中央には溝が掘られており、丁度腕が収まる形状になっている。似たような溝は下部にも存在し、そちらは脚を収めるようだった。
 勇者はその椅子へ腰を下ろした。
「どうだ。座り心地は」
「……悪くはない」
 硬すぎず軟らかすぎないクッション。革の肌触りもよく、程よい密着感は高品質の三文字を否応なしに想起させた。
「ではこれならどうだ」
 魔王は手元で何かを操作した。
「くっ……!?何だ、これは……」
 椅子の中で何かが不気味に蠢いている。一つや二つではない。無数の何かが腰や背中、腕や脚を挟み込むように、あるいはこね回すように、有機的な動きで凝りを解していく。
「如何かな。魔道技術と機械技術を融合させて開発した揉み球の感覚は」
「揉み球だと!?」
「左様。ゴーレム作成術を応用して作った揉み球が、搭載されたホムンクルス式人工知能によりプロのマッサージ師を完コピした動きで、的確に凝りを揉み解すのだ」
「確かにこれは王都の高級マッサージ店と比べても遜色ない感覚」
「甘く見てもらっては困る。座面、背面に複数個仕込まれたエアバッグが巧みに姿勢を制御する事により、人の手では不可能な深部への揉み解しを実現したのだぞ」
「……なんてものを作ってしまったんだ魔王!」
「設定を変えれば揉み球に弱炎熱を宿し温熱マッサージもできる」
「全マッサージ師を廃業に追い込む気か魔王!」
「それだけではない。何かを感じないか」
「む……これは……この香りは……?」
「ヘッドレストからリラクゼーション効果のあるアロマが焚かれているのだ」
「魔王!」
「購入特典で1ヶ月分のアロマオイルを付けよう。が、案ずるな。市販のアロマオイルも使用できる」
「アロマポットの製造会社の気持ちを考えた事があるのか魔王!」
「知らんな。そんな事は。我はユーザーが笑顔と健やかな生活が得られればそれで良い」
「魔王!」
 ウィンウィン唸るマッサージチェアに頭から爪先まで好き勝手揉まれながら、しかし勇者はある欠点、あるいは誤謬に気付いた。
「だがこれほどの物、かなり値が張るに違いない。そんな高価なものに、おいそれと人々の手が出るものか!」
「お値段は29800Gだ。だが現在謝恩セール中につき10000G引き。古いマッサージチェアがあればそれを下取りして更に10000G引きだ」
「魔王!!!」
「我は企業努力を欠かさぬ。ただし番組終了30分を過ぎると定価のみでの販売になるので気をつけるのだな」
「魔王!!!!!!」
「今からオペレーターを増やして対応するので気軽に電話するが良い」
「「御注文はこちらから!!」」
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