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【適当】小説書きスレ其の弐【万歳】
[8] -25 -50 

1: 名無しさん@読者の声:2014/6/12(木) 23:18:52 ID:YDoKF2wKiU
ここは主に小説を書くスレです!
自由に書いてよろし!

・他人に迷惑を書けるのは駄目です!
・喧嘩は喧嘩スレへGO
・必要なら次スレは>>980さんがお願いします。無理なら早急に代理を!

不備がありましたらすみません。楽しく書けることを祈ります。


2: 名無しさん@読者の声:2014/6/15(日) 01:17:45 ID:MajvKE7QhM
1さん乙です!
3: 名無しさん@読者の声:2014/6/16(月) 05:49:32 ID:FTfkrCLsi2
その文言が読み上げられた瞬間、空気が一変した。何でだ、何で祖母は俺にそんなものを遺したんだ。
「××ちゃんは、あたしの大好きだった人にどんどん似てくるねえ」
俺の頬を撫でながら懐かしげに悲しそうに呟いていた祖母。権力と財力目当ての人間に囲まれた祖母は、見舞いに行く度に痩せこけてかつて美人だった写真の面影もなくて。
そんな祖母が亡くなり、遺言が読み上げられた。あの土地は誰々へ、この土地は誰々へ。祖母の死を嘆くよりも金勘定している親戚共が浅ましい事この上なかった。
−−結局俺は、祖母が遺したその土地を相続した。廃墟同然の建物がある土地で価値もないに等しい。持っているだけ損な土地だから、誰も文句は言わなかった。
ただ、あのいわく付きの土地を−−という声はあったのだが。

祖母の若かりし頃の写真を眺めながら、俺は大学の夏休みの肝試しに相続した土地を格好の場所として提供した。
人間、年を取れば変わるものだ。若い祖母は長い黒髪が美しい大和撫子そのもので、俺の理想とする美人だったのに。
「なあ、肝試しには人数少ないからメンバー足したんだけど」
上の空で頷く。
だが、それは間違いだったのかも知れない。
肝試し当日、俺はその場に居合わせたメンバーを見て、生前の祖母の言葉を思い出していた。


友人がどこからか連れてきたメンバーには若かりし頃の祖母に瓜二つの可憐な女性がいて、くじ引きの結果、彼女は俺のペアになって恥ずかしそうに俺の手を握り締めてきた。
4: 名無しさん@読者の声:2014/6/17(火) 09:59:23 ID:MCGKxZGqfw
※版権注意 鬼灯の冷徹


シロ「ねぇねぇねぇ、鬼灯様ぁ〜」
鬼灯「おや?どうしましたシロさん」
シロ「鬼灯様の目元のソレってクマなの?」
鬼灯「ああ、これはクマです。あの馬鹿(閻魔大王)のお陰で休日出勤や残業はざらですから」
シロ「ふ〜ん。無能な上司を持つと部下が苦労するって桃太郎も言ってたよ」



  〜その頃〜  
!地獄!
閻魔「ぶぇっくしゅんっ」ダラッ
一子「閻魔様風邪〜」
二子「汚な〜い」
閻魔「ごめんねぇ」チーンッ


!天国!
白澤「っくしゅっ」ズビッ
天女「白澤様大丈夫ですか?」フキフキ
白澤「ありがとう大丈夫だよ」キラッ



鬼灯「桃太郎さんは上司がアレでも仕事をキチンとこなしてくれるのでありがたいですね」
シロ「桃太郎の実家田舎だしね〜」
鬼灯「そうですね」

シロ「あ じゃあね〜。鬼灯様」
鬼灯「ええ、さようならシロさん」
5: 『魔法骨董屋』:2014/6/17(火) 22:09:30 ID:BAfHxG.biA
 ここは魔法の骨董屋! さあよってらっしゃい 見てらっしゃい。

 カランカラン♪ 

 いらっしゃいお客さん! お、あんたお目が高いね。そいつは『勇者の剣』さ。一振りで魔物千匹なぎ倒すっていう伝説の、
 ……包丁のかわりになるかって? いや、ちょっとそれは……無理だと思う……。

 お、それに目をつけるたあ只者じゃない、『ドラゴンの尻尾』。煎じて飲めば魔力が百倍に、
 ……箒のかわりになるかって? いやその…無理でしょうさすがに…。

 あーそれを見つけられちゃったか! 見つけられちゃったよーまいったな! それは『悪魔の羽ペン』さ。名前を書かれた人間は必ず死ぬって、
 ……なに子供の持ち物に名前を? 絶対にやめてちょうだい!

 カランカラン……

 ふう。自慢の魔法道具も、普通の主婦にとってはガラクタ同然なのね……。

 カランカラン♪

 へい、いらっしゃい! 

 終
6: 『あいすくりん』:2014/6/18(水) 00:37:23 ID:BAfHxG.biA

 冷たいまんまじゃつまらない。

 ここはアイスクリームで出来た街。 
 市場には色とりどりのアイス・シャーベット屋が軒を連ね、活気あふれる商人の声が響いていた。
 この街には空が無い。巨大な人工ドームで覆われているためだ。はるかに高い天井からは、氷で出来た照明の光がふりそそぐ。
 
 この街で生まれた人間は普通、生涯外にでることは無い。父も母もそうだったし、私もそのつもりでいた。
 あの音楽を聴くまでは。

 その音楽は、ある日突然街に流れた。美しく甘美、なのにどうしようもなく悲しげな旋律。
 アイスクリームコーンのスピーカーから響くその音は、住人達をあっという間に魅了した。
 
「もしかして、外にはもっと素敵な音楽があるのでは」

 誰かが放ったその一言が街全体に波及したころ、我々は動き出した。
 出口へ。出口へ。
 アイスモナカで覆われた分厚い扉の前は、数千もの人々で埋め尽くされる。

 私達を外へ出せ。素晴らしい「何か」のあふれる外へ。

 扉が音を立てて崩れたとき、私は思わず叫びながら両腕を掲げた。節くれだった、木の枝の両腕を。

「あ、見て。青い空に丸くて暑いものが浮かんでる」

 にんじんの鼻をひくつかせながら、誰かが叫ぶ。

「外はこんなに暑かったのね」

 炎天下で白い体をぶつけあいながら、楽しそうにはしゃぐ住人たち。

 ああ、嬉しくてとろけそうだ。
 
7: 『かえるもの、おくるもの』:2014/6/18(水) 06:13:12 ID:5bTJlOpxzA
「……暇ね」
「平和な証拠ですね」
 麗らかな昼下がり。アンティーク調で揃えられた店内で、二人の男女が静かにお茶を飲んでいた。
「平和な証拠、ね。こっちは商売上がったりだわ」
「まあ、たまには良いじゃないですか。暇。ああ、素晴らしき言葉かな」
「魔族や蛮族が暴れまわってるよりは、まあ、マシね」
「でしょう。いつもが忙しい分、こういう時に休まなければ」

 淡々としたやり取り。振り子時計の時を刻む音だけが耳に届く。
 ――無色の水晶亭。将来の英雄候補が集う、冒険者たちの場。
 いつもであれば騒々しい店内も、ほぼ全員が依頼先へと出はからっている今日に限り、どこか物寂しい雰囲気を漂わせていた。

「……無事に、帰ってくるかしら」
「大丈夫ですよ。彼らは強く、覚悟もあるのですから」
「その覚悟が良い方向にばかり行くとは限らないわ」
「仰る通り。でも、大丈夫ですよ」

 男は、静かにティーカップを口元へ持っていく。琥珀色の液体を数秒
、口の中で転がした後に言葉を続ける。
「貴女が信じてあげないで、誰が信じるんです」
「分かってるわよ……それでも、心配なのよ」
「気持ちは分かりますがね。私も、何度か経験しましたしね」

 ふふ、と自らの瞳を指しながら男は優しく微笑んだ。
 彼女は何とも言えない表情でそれを眺める。金色に縁どられた黒目と、常人よりも少し大きく開いた瞳孔。明らかな異常。

「私たち冒険者が持つ覚悟は、若いと余計に悪く進みがちですからね」
「あの子達は、若いなんてレベルじゃないわ」
「ええ、若いどころか、蒔かれたばかりの種でしょう」
「それなら」
「だからこそ。……貴女に出来ることは、芽が出るまで、木になるまで、実になるまで、そしてその実が再び種になるまで。辛抱強く待つことなんですよ」
「……」

 ティーカップが両者の唇に触れ、離れる。

「ずるいわ。そんな風に言われたら、待つしかないじゃない」
「それでいいんですよ。帰る場所があるから、私たちは戻って来れる」
「戻って来れる、ね」
「ええ。私なんか『死に戻り』までして此処にいるんですから」
「洒落になってないわよ、もう……」
「半分は洒落じゃないんですけどね。――おや、そろそろ帰ってくるようですよ」
「本当! 皆無事かしら!」
「反応が……3、いや4? ちっこい剣士君が何か拾ってきたみたいですね」
「草妖精の彼ね。ああ、一番の心配が消えたわ」
「ふふ、だから大丈夫だと言ったんですよ。さあ、出迎えの準備をしなければいけませんね」
「ええ!」

 時が巡るように、命が廻るように。
 水晶亭は今日も忙しなく、表情を変える。
 帰る者を受け止めるために。
 還る者を受け入れるために――。
8: 『冷めた熱』:2014/6/18(水) 11:40:30 ID:rktzNjJhRM

 誰もいない屋上は居心地がいい。あざ笑ったり陰口を叩く人がいないから。

 放課後の校舎は、昼間の喧騒がうそのように静まり返る。水平線に沈む夕日、かすかに届く波の音。

(きっと母さんは気づいてる)

 娘がいじめにあっていること。親に心配かけまいと、元気の仮面をかぶっていること。

 今、その仮面はボロボロで、きっと少しの衝撃で崩れてしまう。私は我慢しすぎてしまった。

(他人の笑い声が怖くなったのはいつからだろう)

 右腕に浮かんだ大きな痣をぎゅっと押さえ、ため息をついた。これはさすがに隠せない。

(全部、無くなってしまえばいい)

 体中の傷、見てみぬふりの教師、陰湿なクラスメイト。喧騒にあふれた教室の中で、私の周りだけは静かだった。

 本当は自分以外を消してしまえたら楽なのだろうけれど、それは無理な話。だから自分が消えるしかない。  

 ゆっくりと柵を乗り越える。ゆっくりとゆっくりと、大切な命とやらを惜しむように。

(ごめんなさい、母さん)

 私は空への一歩を踏み出した。 



(なんで死んでないんだろう)

 恐る恐る目を開け、息をのんだ。

 空中に放り出したはずの足は、しっかりと何かを踏みしめている。まるで、透明な道がそこに存在しているかのように。

(この道はどこまで続いているんだろう?)

 さっきまでの死にたかった気持ちが、一瞬で消えていた。

 行ける所まで行ってみようか。


end
9: 名無しさん@読者の声:2014/6/18(水) 18:04:34 ID:gLC12rS63M
上の方つかってる最中かな??
気にすんなよ!って感じだったら少し多めに場所を頂いても構わんかな
10: 名無しさん@読者の声:2014/6/18(水) 18:28:30 ID:g8YwCO2HnY
どうぞー
11: 9:2014/6/18(水) 19:33:43 ID:gLC12rS63M
>>10
ありがとう!

10レス程度になると思うんだけど、いただきます!

・・・・・・・・・



 もしもし、そこのお嬢さん。三仲通りの古書店をご存知かな。
 あら、しらない? それだったら教えてあげよう、行ってみればいい。なぁに、簡単な道順だ。ただし、忘れないようにね。

 三仲通りはしっているかい。苔むした石畳がずらっと地面を覆った、涼しい通りだ。そうそう、お狐様の。あぁ、よかった。それなら話が早い。
 三仲通りの三つ目の赤ポストの脇を入って、そこから真っ直ぐ。最初の角を右に、次の角は無視して直進、その次の角を今度は左に曲がって、その次は右、その次は左、その次は無視して、その次はまた左。
 それから直進が続いて行き止まりだから、一度その場で回ってみる。そして柏手を二回。これが必要だ。柏手を打ったら元の道を戻って、一つ目の角を無視して、その次の角を右に曲がる。その通りの突き当りにあるのが、件の古書店だよ。

 なになに? 面倒くさくてとても行きたくないって? あぁ、そうだろうねぇ。でも、行ってみるといい。何か困りごとがあるときや、本当に退屈なときには。
 ただし、道順は間違えてはいけないよ。

12: 名無しさん@読者の声:2014/6/18(水) 19:35:39 ID:gLC12rS63M

 苔むした石畳を軽快に駆け抜ける。三貴コーヒーショップと書かれた前掛けをした青年は、迷うことなく三仲通りを進み、その店に辿り着いた。常連が営む古書店である。古い木の看板には、青原古書店と達筆で書かれていた。

「こんにちはー、村瀬です。阿久津さーん?」

すりガラスの引き戸を開けながら、店の奥に向かって叫ぶ。本に溢れる店内は静まり返っており、窓から差し込む日差しが溜まり溜まった埃に輝いてちょうど不思議な空間を作り出していた。誰もいないらしい。

 タイミングが悪かったか、と村瀬はコーヒー豆の紙袋を片手に頬を掻いた。よく青原古書店にはコーヒー豆の配達に訪れるのだが、タイミングが悪いときはいつも道に迷って辿りつけなくなる。ここまで来られたということは、店主である阿久津がいてもおかしくないはずなのに。

 弱り切った村瀬は本棚の隙間からこちらを覗く小さな頭を見つけた。つい、にこりとする。

「こんちは、白花」

声をかけても彼は村瀬を無視した。茶色がかった癖毛をふるりと揺らし、白花はそっぽを向く。

 愛想の無い少年は紛れもなくこの店の子で、阿久津と村瀬が話しているときによく邪魔をしてくる。年齢は10歳程度だろうが、正確な年齢も阿久津との関係もよく知らなかった。

「ねぇ、白花。阿久津さんはどこにいるかな。知ってる?」

白花は村瀬の問いかけにきつく眉を顰め、ふんっと鼻を鳴らす。

「知ってるけど教えない」

可愛げのない子だ。

 弱った村瀬は暫し考え込んだ。このままここで阿久津を待っていてもいいが、それでは店が心配である。店主は競馬に夢中で、碌に働きやしない。常連たちからは村瀬がいないとどうにもならないと泣きつかれていた。

 もしここで阿久津を待っていれば、きっと店は大変なことになるだろう。そう思うと、長居はとても出来なかった。

 困った末に村瀬は白花の口を割らせることにする。どうしても教えてくれないのかと尋ねれば、白花はバカにしきったように笑った。ちょっと腹が立つ。

「クッキーあげようか?」

ポケットからお菓子を取りだしてみても、

「いらない」

とにべもない返事。遊んであげようか、と誘っても、

「村瀬いらない」

と冷たい視線。いらないと言われれば、村瀬の心も折れる。仕方がない、一度帰ろう。そう決めて腰を上げれば、知らぬ間に近寄っていた白花に前掛けの端を掴まれた。

待って、と言われてちょっとばかり心が躍る。振り返った村瀬に、白花はこれ以上ないというくらい可愛い顔で笑って見せた。

「面白い話聞かせてくれたら教えてあげる」

面白い話、と言うとなかなか難しいものがある。了承したものの、一体何がいいのかと村瀬は頭を悩ませた。白花は何せまだ小学生程度の少年だ。どんな話だったら彼が喜ぶのか、考えた挙句、村瀬は朝、常連と懐かしんだ話を思いついた。

13: :2014/6/18(水) 19:37:03 ID:gLC12rS63M

「白花はさ、10年くらい前に幼稚園児が消えた話知ってる?」

白花は首を傾げる。そりゃあそうだろう。10歳くらいの彼がそのことを知っていたら驚きだ。村瀬はあの頃を思い出しながら、自分は中学に上がるか上がらないかだったな、と考える。

「ウソかホントかはちょっとわからないんだけどね」

そう、彼は前置きをしてから語りはじめた。

 10年ほど前の秋ごろの事だ。遠足中の幼稚園児16人が忽然と姿を消した。

 遠足と言っても遠出はせず、市内のやや大きな公園が現場だった。

 その公園には小川が流れていて、昼食後、そこで遊んでいた16人が消えた。小川は足首が隠れる程度の物で、子どもだからと言っても溺れる深さはない。小川の終着地は池になっていたが、それは公園の外れにあり、高い柵によって囲まれていた。園児がそれを上って池に入ることなど、ありえない高さの柵だった。

 公園は広い原っぱと若干の丘で出来ており、見晴らしが非常によく、隠れる場所はどこにもない。そうであるから当時、警察は誘拐を疑った。次に公園の外に出たことを疑ったが、こちらは公園の管理人が否定したことで可能性が消える。

公園の敷地内は柵で囲まれており、入り口と出口には管理者が常に見張っていた。その日は遠足ということで子供がたくさんいたため、特にしっかりとチェックしていたのだという。

「だから誘拐なんだって言う話になって、すごい騒ぎになったんだよ。僕もその時子どもだったから学校に連絡が来てさ、帰りは集団下校になったんだ」

それはよく覚えている、と村瀬は語った。白花はふむふむと頷き、話の続きを強請る。

 警察と周辺の住人が総出で子供たちを探し回った。引率していた教諭は泣きだし、周辺は一時騒然としたと言う。

「二時間、みんなで探したんだ。でも一人も見つけられなかった。ところがその16人は日暮れ前にひょっこりと、全員戻ってきたんだよ」

「ウソだ」

「ホントだって」

疑り深い白花に村瀬は苦笑する。本当だよ、ともう一度念を押すように言い聞かせた。もちろん村瀬だって信じられない話だ。100人近く大人がその場を探し回ったって見つけられなかったと言うのに、ひょっこりと全員見つかるなど。

「これも不思議なんだけど、もっと変なのがさ、子どもたちがいた場所なんだよ」

大人たちは安堵し、歓喜してから子どもを叱った。どこにいたのか、と尋ねた大人たちに子供たちは口をそろえて“橋の向こう”と答えた。

 その橋と言うのは、小川にかかった小さな橋のことである。当然、岸から反対側がしっかりと見渡せる。間違っても橋の向こうにいたからと言って、隠れられる場所ではなかった。そもそも、反対岸まで隅々と捜索されたのだ。けれども園児は一人もいなかった。

「でも、子どもは頑として橋の向こうにいたって言い張ったんだ。そこでずっと遊んでいたって。けれどもそれはありえない話だった」

結局事件は夢でも見たんだろうと言うことで片が付いた。無事に戻ってきた子ども達の存在に、大人はそれ以上の追及を必要としなかった。

 その直後は幼稚園の責任問題や、件の公園が心霊スポットとして栄えるなど様々あったが、結局どれも人々の中からは忘れ去られた。数年たって村瀬が高校生には、いつの間にか件の幼稚園が無くなっていたりもしたが、全てが昔の話になってしまった。

14: 名無しさん@読者の声:2014/6/18(水) 19:39:01 ID:gLC12rS63M

「でもね、僕はたまに考えるんだ。あの公園は不思議の国に繋がっていて、あの時だけ子供たちは違う世界にいたんじゃないのかって、ね」

そう落ちをつけて村瀬は話を締め括る。どっとはらい、そう言って手を叩いた彼を白花は不服そうに見上げた。話の落ちが気に入らなかったのかもしれない。歳を考えると信じられないほど難しい顔をした彼に、村瀬はちょっとばかり笑ってしまう。

「さてさて、約束だよ。白花。阿久津さんは?」

ぶすっと不貞腐れて白花がそっぽを向く。村瀬は腰に手をやって息を吐けば、それが癪に障ったらしく噛みつきそうな勢いで白花が振り返った。お外、と彼は心底不機嫌な声で答える。

 不機嫌な白花のことはもういいが、それより外とは。やはりタイミングが悪かった、と村瀬は髪を掻きあげる。出直すべきか、と膝を伸ばした時、後ろから覚えのある草履の足音が聞こえてきた。

「おう、村瀬。悪いな」

阿久津がちょうど帰ってきたのである。彼は呑まれそうなほど大きな欠伸を見せ、横をすり抜けて、奥に向かった。途中、白花の頭を撫でてぐしゃぐしゃにしてしまう。彼は憤慨したものの阿久津には弱く、結局頬を綻ばせて彼に付いて行った。

「村瀬、おかえりなのね」

残された村瀬にかけられた声が一つ。そちらを見やれば、引き戸から顔を半分のぞかせた仲木戸がフレンチグレイの瞳をにっこりとさせていた。釣られて村瀬も笑みを浮かべる。

長身でいい大人なはずの彼は下手をすれば白花よりも幼く、その言動はしばしばおかしかった。見た目も日本人にはない髪と瞳の色に、口元を常にマスクで覆っているのでちょっとした不審人物である。しかし彼のその人懐っこさに、付き合う人は全て絆されていた。

「それ、食べるの?」

村瀬の持つコーヒー豆の袋を見て、仲木戸はいつも首をかしげた。毎度否定すると言うのに、彼は全く覚えてくれない。違うよ、と言ってから村瀬は袋からクッキーの箱を取りだした。

「でもこれは食べられる」

そう言って渡すと、仲木戸は瞳をキラキラと輝かせ、その場で小躍りした。村瀬に礼を言い、箱を引き裂く勢いで開ける。

「悪いな、村瀬。ほら、今回のお代」

茶封筒に入った代金を阿久津が奥から投げてくる。なかなか見つからなかったと言う彼の肩には、白花がしがみ付いていた。そのままこちらによってきた阿久津が仲木戸を見下し、更に村瀬に礼と謝罪をする。何食ってんだと、眉を顰めた彼に仲木戸は首を捻る。

「春ちゃん、半分ちょする?」
「いらん」

クッキーを一枚、阿久津に差し出した仲木戸に、彼は首を振ってそれを断った。受け取って貰えなかった仲木戸は聊かしょんぼりとし、クッキーを齧る。そんな様子を、白花がバカにし、村瀬は少し笑った。

「そう言えば、白花から聞いたけどこいつの相手してくれてたんだっけ? 重ね重ねすまんな」
「あぁ、全然。相手って言っても話してだけなんで。ちょっと怪談話的なあれですよ」

そうして村瀬が笑うと、阿久津は存外真面目な顔をした。どこの話だ、と尋ねられ、この街のと村瀬は応える。

「それはいつの?」
「結構昔ですね。10年くらい」

10年と言う言葉に阿久津は黙り込んだ。詳しい内容を請われて、村瀬は白花に語った話をかいつまんで説明する。ふむ、と顎を掴んだまましばらく考え込んだ阿久津は、ふと思い出したように、

「そもそもなんでその常連は今更その話を?」
と尋ねた。言われて見れば不思議なことである。そんな流れに何故なったのだったか……。考えを巡らせて、村瀬は一つの答えを思い出した。

15: :2014/6/18(水) 19:40:11 ID:gLC12rS63M

「そうそう、その例の公園、改装されるらしいんです。それでだったかなぁ」

曖昧なことを謝れば、とんでもないと阿久津は首を振った。彼の真面目な調子に白花も仲木戸を罵るのをやめ、阿久津を窺っている。時折、退屈そうに彼の服の袖を引っ張るも、阿久津に冷たく無視されていた。仲木戸だけが、それまでと変わらぬ様子でクッキーをむさぼっている、と思いきや。 

「ねぇねぇ、村瀬。先生の前でね、みんな消えたの?」

そんな事を尋ねてくる。いやに皆、この話に興味を持つな。村瀬は各々の反応に首を捻りながらも、それはよく覚えていると答えた。

「一瞬だけ、目を離したらしいですよ。その日は僕も覚えていますけど、国道の方で大きな事故があって、その物音に気を取られたんですって」

そして振り返ったそのとき、つい先ほどまで遊んでいた園児が消えていた。その光景を見たとき、彼女は何を思っただろう。まだ若かったはずだ、と村瀬は当時を思い返して考える。

 そんな彼の思考を阻むように、前掛けのポケットでケータイが震えた。取り出してみると店からのメールである。帰宅を迫る常連客の言葉に村瀬は苦笑いし、すいませんと阿久津に頭を下げた。

「そろそろ帰らないと。店長が仕事をしないもんで」
「あぁ、引き留めて悪かったな」
いえいえ、と言いつつコーヒー豆の袋を渡す。仲木戸がにこやかに手を振ってくれた。

「その公園ってどこにあるんだ?」
手を振り返して店を出た村瀬を、不意に阿久津が呼びとめる。半端な格好で立ち止まった彼に阿久津は訊いた。阿久津も知っているはずだと村瀬は前置きしてから、公園の名を告げる。
「邑楽公園ですよ、森の方の」


 さて、阿久津春は現存する中で、およそ最も真面に力を扱える祓い師の一人である。

 青原古書店は彼の母方の祖父の店であり、唯一阿久津を理解してくれた存在だった。それ故に祖父が亡くなった際、売り払われるはずだったこの店を守るため、この店の主になったのである。そう言う訳があるので、古書店としての役割はほとんど果たしていない。

「春ちゃん、ホントにやるの?」

アイスクリームを食べながら、仲木戸が傍に寄ってきた。この大食漢は……、阿久津はそろそろ呆れて言う言葉もない。白花も同じだったようで、阿久津の背中に引っ付いたまま、じっとりと仲木戸を見る。仲木戸はきょとん、と首を傾げ、二人の視線の意味が分かっていないらしかった。

 仲木戸を無視して阿久津は資料を探す。古書店のいいところは、資料に困らないところだ。村瀬の言う10年前の話を思い出しつつ、それにふさわしい資料を何冊か、そして祖父が趣味でスクラップしていた新聞記事を集める。横から覗き込んでいた白花がくしゃみを一つ漏らした。

 新聞記事によると、この街で起きた国道の事故はトラックの横転が原因らしい。漏れだしたガソリンに引火し、結構な規模の火災が発生したようだ。こちらもまた、街を騒然とさせたに違いない。

 公園の園児の方は、事故に比べると記事が小さかった。結局、夢と言うことで話が終着してしまったからかもしれない。特に新しい情報は無く、村瀬が語った方がむしろ詳しいくらいの内容だった。

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