1スレ
少年「ボクが世界を変えてみせる」
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2スレ
カロル「ボクが世界を変えてみせる」
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―――あらすじ―――
それは遠い昔のお話
人と人は長い長い争いに身を投じ、互いを許せないまま30年もの月日を互いの血を流すことに費やしました
しかし長い争いはいつまでもいつまでも終わる気配もなく
人を傷付け、愛を蝕み、心は枯れて、命は絶えて、いつしか疲れ果てて……やがては目的さえ見失ってしまいました
そんな終わらない争いの果てに一つのきっかけが巡るのです
それは人と人との争いに無関心だったホビット族に原因があると唱える迷信でした
その迷信はあまりにも唐突で、あまりにも不自然な内容でしたが痩せ細って震える人々、争いに疲れきった国々はホビットに全てを擦り付けて争いを終わらせようと決めたのです
戦争が鎮まった後、各国に迷信を掲げた王国は大規模な宗教団体を立ち上げました
その団体は教団と呼ばれ、戦争を納めた功労者であるノワール・バントン司祭を筆頭に教徒達による布教活動が開始されました
布教の内容はホビット族が人間から゙癒しの力゙と呼ばれる特別な能力を奪ったというもので……
これを軸に様々な悪評を並べ立てて人々の心にホビット族への憎しみを焼き付けます
ありもしない神の作り話にいざなわれ、人々は信者へと洗脳されていきました
それから約40年の間、教団による布教活動は続き、思惑通り人々は順調にホビット族を差別していました
人間はことごとくホビット族の住み処を侵略し、奴隷にしてみたり、愛玩用に飼い慣らしてみたり、時には残酷な拷問を加えて見世物にしたり、罪深き種族と罵って横暴の限りを尽くします
892: ◆WEmWDvOgzo:2015/7/30(木) 22:59:49 ID:rR12EivkCY
ヒメ「…役者が揃ったな」ボソッ
アリアス「!?」クルッ
政務官「これは…いったい?」ポツン
ヒメ「遠方視察、ご苦労だったな。戻ってきて早々になるが付き合ってもらうぞ?」
アントリア「…リルラ君」ジッ
政務官「な、なぜ貴様が…!?」ハッ
ヒメ「静かにしろ」
政務官「陛下…!」
アントリア「……」
ヒメ「アリアス、おまえに聞きたい」
アリアス「え?」ビクッ
ヒメ「これまでアントリアは地下で政務官と何を話してきた?」
政務官「なっ…なんのことだ!?」アセアセ
団長「知らばっくれても無駄だ!すでに調べは付いておるわ!!」カッ
政務官「だ、黙れ!そんな罪人に何が証明出来る!?」
ヒメ「アリアスは地下でアントリアの隣に閉じ込められてたんだ。当然、会話は聞こえてたよな?」
アリアス「……」
団長「正直に言え!?」ズイッ
アリアス「ひっ」ビクッ
ヒメ「よせ、団長!」
団長「は…!」スッ
ヒメ「…頼む。僕の力になってくれ」ジッ
アリアス「!!!」ポッ
政務官「くっ…!」ギリッ
893: ◆WEmWDvOgzo:2015/7/30(木) 23:01:54 ID:rR12EivkCY
政務官「よ、読めたぞ!貴様ら、この女に好条件を持ちかけ、私を貶める証言を言わせる気だろう!?」
団長「何を言う!?陛下が卑劣な手段を用いたとでも言うのか!?」
政務官「こんなものは茶番劇に過ぎない!絶対に認めんぞ!?」
団長「えぇいっ!見苦しい奴め!それ以上しのごの抜かすと叩っ切るぞ!?」
ヒメ「落ち着け!!」
シーン
ヒメ「…アリアスはただ聞いたままの事を話すだけだ。おまえの疑いを晴らすには絶好の機会だろ?」
政務官「そちらが虚偽を促している可能性がある以上、この場においてのやりとりは公平ではない!!」
団長「なにを貴様ぁぁ!?」
ヒメ「アリアスは昨夜まで精神的に衰弱していて会話もままならなかった。それは城の人間全員が証明してくれる」
政務官「だ、だが…!」アセアセ
ヒメ「今のアリアスは絶対に嘘はつかない」
政務官「なぜそう言い切れる!?」
ヒメ「過去の罪を懺悔して心を入れ換えたからだ!」
アリアス「」キュンッ
政務官「そんなのは何の意味も成さん!罪人の言葉など信じられるか!!」
アリアス「(陛下………)」ドキドキ
ヒメ「アリアス!おまえは真実を知ってるんだろ!包み隠さず全てを話せ!?」
アリアス「…い、いいわよ。私の知ってる限りでよければ話してあげても?」テレッ
政務官「なに…!?」ギロッ
アントリア「……」ジッ
ヒメ「アリアス…!」パァァ
894: ◆WEmWDvOgzo:2015/7/30(木) 23:06:59 ID:XBpzw2ybEc
アリアス「アントリアはその男より前に大臣と会っていたわ」
団長「大臣…!?あの豚か!?」
アリアス「えぇ、そうよ」
政務官「あ、アントリア…どういう事だ!?」ジッ
アントリア「……」
アリアス「…話の内容はほとんど理解してないけれど、ある指示を促していたのは覚えてるわ」
ヒメ「それは?」
アリアス「永遠の命にまつわる癒しの力と伝説の大樹の情報を…西の女王に聞かせてやれ、と」
ザワッ
アリアス「その後、何度かそこの政務官と会っていたのはぼんやり覚えてるけれど…。
それについては正直、話せる事はないわ。あの時にはもう…私は正気でなかったから」
ヒメ「十分だ。よく打ち明けてくれたな。助かったよ?」ニコッ
アリアス「!!!」ドッキュン
政務官「き…さま…!い、今の話は本当か…!?」ワナワナ
アントリア「…あぁ、そうそう。そうだった。思い出したよ?」
政務官「……!?」
アントリア「このままでは領地と財産を没収され、果ては追放されてしまうと…憔悴しきった大臣から助言を頼まれたものでね?」ニヤリ
団長「またしても…!」ギリッ
ヒメ「僕らは全員、こいつに踊らされてたようだな」
政務官「おのれぇぇええ!!」ガッ
アントリア「ぐっ…!」ギシッ
ヒメ「団長、止めろ!」
団長「やめんか、貴様ら!?」バッ
政務官「離せぃ!!殺してやる!?こいつは……」ジタバタ
団長「こらえろ!陛下のご命令に従えんのか!?」ガッチリ
アントリア「まったく困ったものだ?」ゴホッゴホッ
895: ◆WEmWDvOgzo:2015/7/30(木) 23:11:15 ID:rR12EivkCY
ヒメ「よくもまぁ懲りないよな?」シラー
アントリア「……」
ヒメ「カロルを始末させようとしたのも、西の国とこじれさせたのも…復讐を狙っての事か?」
アントリア「…クックッ!復讐?そんな生易しいものではないよ?」ニヤニヤ
ヒメ「?」
アントリア「君たちは無知で無力で無価値な無能そのもの…。
烏合の衆が依り集まって治世の真似事をしてみたところで…この国は滅びを待つばかりだ。ならば滅んでしまえばいい」
政務官「なんだとぉ!?」ジタバタ
団長「くっ…!」ガッ
アントリア「僕は君たちに一度、敗北を喫した。それは認めてやってもいいが…あんな勝利は言うなれば偶然だ?」
アントリア「たまたま君たちに都合のよい出来事が重なっただけであって…知恵も采配も何もかも全て僕が上回っていた?」
ヒメ「相変わらずくだらない奴だな?」
アントリア「認めたまえよ?全てを失い、誰一人味方さえ居なくても…僕の才知は君たちの遥か上を行くと証明されたのだ?」
アントリア「もう西の国との衝突は免れまい?君たちは敗北したのだよ。この僕に!?」ニタァァァァ
政務官「ぐっ…く…!?」
団長「っ……たったそれだけの理由で…こんな事態を招いたと言うのか!?」ギリギリ
アリアス「な、なんて…おぞましい……!?」ゾクッ
アントリア「さぁ閉じ込めるなり殺すなりどうとでもするがいいさ!間抜けな敗北者諸君!?」
団長「陛下!ここはワシに…!」
ヒメ「ふん…」
896: ◆WEmWDvOgzo:2015/7/30(木) 23:15:07 ID:rR12EivkCY
団長「陛下!ご命令を!?」
ヒメ「殺したところでこいつの思うつぼだ」
団長「し、しかしそれではまたいつ何をしでかすか…!?」
ヒメ「…西の国と王国をぶつけて滅ぼすのが目的だったんだろ?」
アントリア「そうさ。出来れば最期まで見届けたかったがね」
ヒメ「なら…この勝負、おまえの敗けだ?」
アントリア「…なに?」ピクッ
ヒメ「王国はこれからも続いていく。おまえの起こした些末な問題など苦にせずな?」
アントリア「どうやって…!?」
ヒメ「それはこれから考えていくさ?そうだろ、政務官!」
政務官「は…!?」ビクッ
団長「も、もしやリルラまでも許されようとなさって…!?」
ヒメ「…甘いのは分かってるよ。けど今は一人も欠けていられないだろ?」
団長「し、しかしですな!?」
ヒメ「しかし、しかし、うるさいな!決めるのは僕だ!?」ムキーッ
政務官「よ、よろしいのですか…!?」
ヒメ「…頼る相手を間違えただけで国を良くしたかった気持ちは変わらないんだろ?」
政務官「…は、はい。陛下のお側に仕え、王国の繁栄に尽力したいと願っております」
ヒメ「なら、もう一人で先走るな!頼るべき王はここにいる!」
政務官「陛下……」
ヒメ「子供だろうと経験が浅かろうと関係ない!おまえの君主は僕だ!」
政務官「……!」
ヒメ「もしそれでも頼りないと感じるなら…おまえら役人が団結して僕を素晴らしい国王に盛り立てろ!?」
政務官「……ははーっ!!!」ザッ
団長「ははーっ!!」ザッ
897: ◆WEmWDvOgzo:2015/7/30(木) 23:18:11 ID:XBpzw2ybEc
アントリア「ハハハハハハ!!!」
団長「む…?何がおかしい!?」ギロッ
アントリア「まったく成長しないものだ…?」クスクス
ヒメ「成長してないのはおまえだ。いつまでも同じ事を繰り返してみじめにならないのか?」
アントリア「クックッ…みじめな末路を辿る君たちに言われる筋合いはないよ?」
ヒメ「おまえの思い描く予想なんて軽く覆してみせるさ?」
アントリア「君では無理だと思うがね?」
ヒメ「僕一人の力じゃない。全員の力で解決してやる!」
アントリア「皆で造り上げる国家か…。君が最初に掲げた政策だったね」
ヒメ「…そうさ。必ず実行に移してみせる!」
アントリア「…いいだろう。楽しみにしているよ。君たちがどこまでやれるのかをね?」ニヤニヤ
ヒメ「…おまえが負けたらどうする?」
アントリア「……?」
ヒメ「もしこの問題を解決したら僕の命令を一つ聞いてもらうぞ?」
アントリア「…国王が罪人に何を命じると言うのだね?」
ヒメ「…空白の歴史を埋めてもらう」
政務官「……!」ハッ
アントリア「……!…なるほど、君もそういった物に関心を持てる程度には視野が広まったか?」ニヤリ
団長「な、なんだ!空白の歴史とは?」
政務官「おそらく70年前に起こった終わらない争い…その抹消された歴史を蘇らせようとなさっているのだろう…!」
団長「終わらない争い…!?」
政務官「その時代を生きた人間の中でも…ラーダ家の者は特に関わりが深かった筈だ」
898: ◆WEmWDvOgzo:2015/7/30(木) 23:20:55 ID:rR12EivkCY
ヒメ「腐ってもノワール司祭とおまえは元歴史学の権威だったんだろ?
ならこれくらいの頼みは快く引き受けてくれるよな?」
アントリア「…もちろんだとも?」
ヒメ「誓ったな?」
アントリア「口約束でいいのかね?」
ヒメ「これはおまえが仕掛けた勝負だ。決着がどうあれ勝敗は潔く認めてもらうぞ!」
アントリア「…クックッ!」
団長「貴様、なにがおかしい!?」
アントリア「…やはり成長が見られない。だが…それでこそ、なのかもしれないね?」ニヤリ
ヒメ「なに言ってるんだ、おまえは…?」キョトン
アントリア「せいぜい無意味なあがきを続けてくれたまえ。
地上から断末魔の悲鳴が上がるのを…地の底で聞き耳たてながら待っていてあげよう?」ニヤニヤ
ヒメ「…それまでにおまえの寿命が尽きなければいいけどな?」フンッ
アントリア「クックッ…減らず口ばかり達者だね」ニヤニヤ
ヒメ「衛兵!そいつを地下に戻せ!」
衛兵1「はっ!来い!」グイッ
アントリア「っ…!扱いが乱暴じゃないか…!?」ギシッ
衛兵2「この者はいかがなさいますか?」
アリアス「えっ」ビクッ
ヒメ「そいつは今日から晴れて自由の身だ。住居が見つかるまで客間に宿泊させてやれ」
衛兵2「ははっ!」
団長「まことによろしいので…?」コショコショ
ヒメ「約束は守るさ。それが出来ない奴は罪人よりも罪深い」
団長「…承知しました」
アリアス「あぁぁ…!陛下ぁぁ……」ウットリ
899: ◆WEmWDvOgzo:2015/7/30(木) 23:22:57 ID:XBpzw2ybEc
政務官「…大変申し訳ございませんでした」
団長「まったくだ!貴様、なぜあんな奴に助言など求めた!?」
政務官「……」
団長「はっきりせんか!?」
政務官「昔から…そうだったのだ」ボソッ
団長「あぁ!?なんだ、聞こえんぞ!?」
政務官「私の家柄は爵位が低く…役人となった後も様々な隔たりに悩まされた」
団長「だからどうした!」
政務官「奴しか頼れなかった…。ラーダの名を冠するアントリアの力を借りなければ…意見はおろか発言の一つも認めてもらえなかったのだ!」ダンッ
団長「!?」
政務官「…まさか奴の支配を逃れてさえも容易く操られてしまう程、自分という物を確立出来ていなかったとは…!」ググッ
ヒメ「もういい。さっさと切り替えろ」
政務官「……!」
ヒメ「こんな所で突っ立ってたって何も解決しないだろ?」
政務官「…はっ!」ウルッ
900: ◆WEmWDvOgzo:2015/7/30(木) 23:25:00 ID:XBpzw2ybEc
団長「ではワシも力になれるよう奮闘するとしますかな…」スッ
ヒメ「あぁ団長、ご苦労だった。おまえはしばらく休んでいいぞ?」
団長「は!?」ギョギョッ
ヒメ「休暇をやるから、たまには家族と過ごせ」
団長「な、なりませぬ!この恐ろしい状況下でワシだけが……」アタフタ
ヒメ「だってなぁ…?」ポリポリ
団長「な、なんだと言うのです!?」
ヒメ「西の国との問題は頭を使う事になるし…そうなるとあんまり役に立たないじゃん?」
団長「んなっ!?」ガーン
政務官「ここはひとまず我々に任せておけ」ポンッ
『あんまり役に立たないじゃん』
『あんまり役に立たないじゃん……』
『あんまり役に立たないじゃん……………』
団長「そん……な…バカな………」ズーン
ヒメ「じゃあ政務官、行くか!団長、とりあえず1ヶ月、ゆっくり静養しろよ?」スタスタ
政務官「よかったな。ではまた後程…」スタスタ
団長「……」
スタスタ スタスタ…………
団長「」ガクッ
団長「なぜワシばかり、こんな仕打ちをぉぉ…!」シクシク
団長「うおおおおお!!!!」ダンッ
ダンッダンッ ダンッダンッ
901: ◆WEmWDvOgzo:2015/7/30(木) 23:32:16 ID:XBpzw2ybEc
>>888
優しい人に介護させた方がアリアスを改心させるのも違和感ないかなーと思って意地悪な侍女は一人だけにしましたw
感想ありがとうございます!
ところで容量が1000に達しそうなのですが…もしかして1000を越えると書けないんですかね?
次スレ立てた方がいいんでしょうか?
902: 名無しさん@読者の声:2015/7/30(木) 23:39:43 ID:6iwqECQfdc
1000を越えると書けなくなりますので、次スレをたてるのが良いと思いますよ
すごく面白いから、次スレがたったら絶対に読みます!!
903: ◆WEmWDvOgzo:2015/7/31(金) 08:26:20 ID:L1eSiQSdPw
>>902
ご親切にありがとうございます!
かれこれ次で4スレ目になってしまいますが、それでもお付き合いいただけるなんてものすごく嬉しいですw
ではこのスレは保管庫依頼して次回の更新と同時にスレを立てさせていただきますね!
ここまで読んでくださってありがとうございました!
904: 名無しさん@読者の声:2015/8/6(木) 15:27:44 ID:f00VG4nklY
次スレも見るよ!C
905: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/7(金) 22:23:26 ID:ZFPiUvN3BQ
>>904
ありがとうございます!
おかげさまでモチベーションがMAXに達してますw
次スレで完結させてみせます!
906: 真・スレッドストッパー:停止
停止しますた。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
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