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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】
[8] -25 -50 

1:🎏 ゆったりペースになりますが! ◆WEmWDvOgzo:2014/11/16(日) 20:09:52 ID:N4jwCkModw
1スレ

少年「ボクが世界を変えてみせる」

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/l10

2スレ

カロル「ボクが世界を変えてみせる」

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1385288769/l10

―――あらすじ―――

それは遠い昔のお話
人と人は長い長い争いに身を投じ、互いを許せないまま30年もの月日を互いの血を流すことに費やしました

しかし長い争いはいつまでもいつまでも終わる気配もなく
人を傷付け、愛を蝕み、心は枯れて、命は絶えて、いつしか疲れ果てて……やがては目的さえ見失ってしまいました

そんな終わらない争いの果てに一つのきっかけが巡るのです
それは人と人との争いに無関心だったホビット族に原因があると唱える迷信でした
その迷信はあまりにも唐突で、あまりにも不自然な内容でしたが痩せ細って震える人々、争いに疲れきった国々はホビットに全てを擦り付けて争いを終わらせようと決めたのです

戦争が鎮まった後、各国に迷信を掲げた王国は大規模な宗教団体を立ち上げました
その団体は教団と呼ばれ、戦争を納めた功労者であるノワール・バントン司祭を筆頭に教徒達による布教活動が開始されました

布教の内容はホビット族が人間から゙癒しの力゙と呼ばれる特別な能力を奪ったというもので……
これを軸に様々な悪評を並べ立てて人々の心にホビット族への憎しみを焼き付けます
ありもしない神の作り話にいざなわれ、人々は信者へと洗脳されていきました

それから約40年の間、教団による布教活動は続き、思惑通り人々は順調にホビット族を差別していました
人間はことごとくホビット族の住み処を侵略し、奴隷にしてみたり、愛玩用に飼い慣らしてみたり、時には残酷な拷問を加えて見世物にしたり、罪深き種族と罵って横暴の限りを尽くします


812:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/6/17(水) 23:22:34 ID:Qm.q8qFlDs
ヒメ「イーチゴ〜…イーチゴ〜…真っ赤に熟ーれたイーチゴ〜…ほんのり酸っぱいイーチゴ〜…だから大好きイーチゴ〜…」イジイジ

給仕1「(変なの歌ってる…。陛下のこんなお姿見られる城の召し使いなんて私だけだろうなー)」

カロル「食べないの?」

ヒメ「どっかの誰かさんのせいでな!?」キッ

カロル「えー?誰だろー?」ニコニコ

ヒメ「くっ…!いいさ!僕は国王の権限で専用の苺畑を所有してるからな!いつでもどっさり取り寄せて食べられるんだ!」

カロル「いいなー!ボクにも分けてよ!」キラキラ

ヒメ「おまえになんか絶対やんないからな!」ドヤァッ

カロル「えー…たくさんあるんでしょ?1個でもダメなの?」シュン

ヒメ「あの農園のイチゴは土から肥料から栽培法まで徹底して研究された特別製なんだぞ!いいだろー?」

カロル「……」ジュルリ

ヒメ「羨ましいか?食べたくなってきただろ!」ニヤニヤ

カロル「うん!ちょうだい?」ニコッ

ヒメ「ぜーんぶオレのだよ!バーカ!?」ベロベロバー

カロル「……!」ウルッ

ヒメ「えっ」

カロル「」ウルウル

ヒメ「お、おい!貯蔵庫から持ってきてくれ!」アセアセ

給仕1「かしこまりました!」タタタッ
813:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/6/17(水) 23:26:24 ID:Qm.q8qFlDs
カロル「……」

ヒメ「ほ、ほら!持ってこさせたから?な?」スッ

カロル「わーい!ありがとう!」パシッ パクッ

ヒメ「あ!?おまえ、さっきのわざとだな!?」

カロル「んぅー!あまーい!」キラキラ

ヒメ「くっ…い、いいけどさ!ほんっと、よく食うな!?」ブツクサ

母「ぼ、坊や…あんまりわがまま言っちゃダメよ?」オロオロ

団長「構いませぬよ。ああ言っておられるが…実は半年に一度、民への慰労と称して程よく実った特製の苺を城下で無料配布してらっしゃるのだ?」

母「そうなんですか…!?」

団長「うむ。我らが国王陛下は私利私欲という言葉から最もかけ離れた人物だ」

母「へぇ…どうりで?」

団長「む?」

母「いえ…様々な人里を渡り歩いてみると、とても大きな変化を感じましたけれど…この国王様が取り組んでたんだと思うと納得してしまいました?」ニコッ

団長「…そうであろうな。幼い頃より剣術指南役としてそばで見守ってきたワシにしてみれば…息子の成長を差し置いても誇らしく思うよ」ニコッ

母「こんなに素敵なお友達や仲間を作ってきたなんて…なんだか坊やが大きく見えるわ?」

団長「差別の激しい時代によくやったものですな」ウンウン

母「(その素敵なお友達と分かつ筈だった大切な時間を…あたしが奪ってしまったのね)」ズーン

団長「それもこれも…ひとえに貴女の教育の賜物と言えましょう?」

母「え?あ、あたし…ですか?」キョトン

団長「子は親を写す鏡であると、どこかで耳にしました。
良き親の下に良き子は育つ。貴女はもっと己を誇るべきだ?」

母「……!」

団長「誰も貴女を責めてはおらんよ。後ろ暗そうに俯く必要など一切ござらん?」

母「…ありが…とう……ございます」ウルッ

団長「うむ……」
814:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/6/17(水) 23:29:41 ID:/alaW15cT.
〜〜〜夜〜〜〜

カロル「それでね!お母さまったら村人さんにボクのお姉ちゃんと間違えられたんだ!」

母「い、いいじゃない!別に!たまには若く見られることだってあるでしょう!?」アセアセ

ヒメ「ハハハハ!たしかに並ぶと姉弟に見えないこともないな?」クスクス

団長「陛下!そろそろお時間が…」ボソッ

ヒメ「…もうそんな時間か」フッ

カロル「え?」

ヒメ「話を切る形で悪いけど今日のところはお開きだ!」

カロル「もっとおしゃべりしたかった…」シュン

母「……そうね。名残惜しくなるわ?」ジッ

ヒメ「また今度、暇が出来たら招待してやるよ」フフンッ

カロル「うん!楽しみにしてるね?」ニコッ

ヒメ「……」

カロル「?」

ヒメ「…楽しかったか?」

カロル「うん、とっても!」ニコッ

ヒメ「ふふ…そうか?」ニコッ

カロル「…ヒメくん、どうかしたの?」

ヒメ「ん?なんで?」

カロル「ううん…。なんか…すごく寂しそうに見えたから」

ヒメ「ちょっとな…。まぁでも次があるし今日はもういいだろ?」

カロル「そうだね…」

団長「今晩はワシの屋敷に泊まらせ、明日の朝にでも宣教師の院まで送り届けましょう」

ヒメ「あぁ、そうしてやってくれ?じゃあカロルとお母様、またいつか?」スクッ

カロル「うん。またね!」

母「今日はありがとうございました」ペコリ
815:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/6/17(水) 23:31:24 ID:/alaW15cT.
―――王宮(寝室)―――

ヒメ「……」ボーッ

ヒメ「…あいつ、本当に何も変わってなかったな」ボフッ

ヒメ「捜索を掻い潜ってきたのも避けられてた訳じゃなかったのか…ふふ」ニヤニヤ

ヒメ「……」

ヒメ「それにしてもなんでファルージャなんかがあいつを……」

ヒメ「はぁー…」ゴロン

ヒメ「癒しの力なんて…どうでもよくなるくらい、いいヤツなのに?
なんでどいつもこいつもあいつを追い詰めようとするんだよ…!」ギュウッ

ヒメ「……初めての友人がホビットで癒しの力を持ってる、か。めんどくさいのを選んでしまったかな」

ヒメ「…僕が守ってやらなきゃな。そうしないと…あいつはきっと誰にも頼らない」

ヒメ「僕が…まも……る…」ウトウト

ヒメ「」スヤスヤ
816:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/6/17(水) 23:32:39 ID:/alaW15cT.
―――城(地下牢獄)―――

カツンカツン カツンカツン

政務官「……」ザッ

牢屋番1「ご苦労様です!」ピシッ

牢屋番2「ご苦労様です!」ピシッ

政務官「…開けろ」

牢屋番1「し、しかしこの先は誰も通してはならぬと陛下から……」

政務官「私に指図する気か?」ギロッ

牢屋番1「い、いえ…差し出がましい物言いでした」カチャカチャ

ガチャンッ ギィィィイイイイ

牢屋番1「どうぞお通りください」

政務官「」ゴソゴソ ポイッ ポイッ

牢屋番1「おっ!」パシッ

牢屋番2「ど、どうも?」ジャラッ

政務官「…いつもすまんな」カツンカツン

牢屋番1「いえいえ!お駄賃を頂いてますから!」ヘコヘコ

牢屋番2「こ、こちらこそ、いつも助かります?」ヘラヘラ

カツンカツン カツンカツン……

牢屋番1「しかし…いいのかねー?」ジャラッ

牢屋番2「受け取っちまった以上、報告する訳にゃいかんだろ?」

牢屋番1「へっ…まぁ小遣いになるからいいけどよ?」ヘッ
817:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/6/17(水) 23:34:32 ID:/alaW15cT.
カツンカツン カツンカツン………

政務官「…起きているか?」

???「やあ、リルラ君?こんばんは……でいいのだろうか?
光の届かない地の底に埋もれていると昼夜の境も認識出来なくてね」

政務官「今は深夜だ…」

???「そうかね?では子供はもう寝る時間だ。どこかの幼き国王もぐっすりと夢を見ていることだろう」

政務官「……」

ガシャンッガシャンッ

政務官「」ビクッ

初老の女「だじでぇ…!おねがいよぉ…!?」ボロボロ

政務官「ちっ…!」

???「アリアス君も長い独房生活が堪えたのか、見る影も無くなってしまったね。知り合いとしては寂しく感じるよ」

政務官「…全ては貴方の思惑に従って進んでいる」

???「それはきっと誰よりも愛国心に篤い君の努力によるものだよ。さすがだと言わせてくれ?」

政務官「……」

???「…まだ僕が必要かね?」

政務官「……はい」ボソッ

???「他ならぬ君の頼みだ。協力は惜しまないが……君はそれでいいのかね?」

政務官「なにが…言いたい?」

???「いや、深い意味はないさ。あまり長居はさせられないからね。助言をしてあげよう?」

政務官「……」
818:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/6/17(水) 23:36:53 ID:Qm.q8qFlDs
政務官「助言、感謝する。アントリア神官」

???(アントリア)「よしてくれないか?僕はとうに位を下ろされた罪人だ?」

政務官「では失礼…」カツンカツン

アントリア「良い夢を?」

カツンカツン カツンカツン………

アントリア「……」

初老の女「だじでよぉ…!?」ガシャンッ

アントリア「クックッ…」

アントリア「(出会った瞬間から彼は僕の操り人形だった…)」

アントリア「(自分で考える事は出来ても、自分で答えを出す事は出来ない。そういう風に作り替えてあげたのは僕だ?)」

アントリア「あの甘い甘い少年に一国の王が務まるとは考えにくい。
それを取り巻く彼らもまた無能……このままではいけない。誰かが助けてやらないとねぇ?」

『……貴方の意見を頂戴したい』

アントリア「…国王もアレを側近に据えてしまったのは大きな間違いだったようだ?」

アントリア「そして…僕を生かしておいた甘さも致命的…?」

アントリア「旧王国、影の支配者たるラーダ一族…僕を最期にその血は渇れるだろうが……」

アントリア「この独房から国を操り、最後に一花咲かせてみせるのも悪くはないかな?」

アントリア「クックッ…フハハハハハハハ!!!!」

ハハハハハハハ………
819:🎏 遅くなってすみません ◆WEmWDvOgzo:2015/7/6(月) 22:29:02 ID:pVDsoKENpE
〜〜〜1ヶ月後〜〜〜

―――ミラルドの町―――

ザッ

団長「着いたぞ」

ザワザワ ザワザワ

団長「ここはミラルド…田舎ではあるが、まぁそこそこの規模を誇る町だ」ウンウン

団長「この辺りは以前暮らしていた君達なら勝手知ったるといったところだろう。何も不安はあるまい?」クルッ

母「……」ズーン

カロル「……」ズーン

団長「?」

母「あたしたち…人間の町に馴染めるかしら」

カロル「みんな…許してくれるかな」

マルク「くぅーん…?」

団長「……」

ジロジロ ヒソヒソ

母「(視線で分かるのよね…。あの町人達の目は…あたしたちを受け入れてない)」

カロル「……」

団長「…うむ、わだかまりを消すには時を要するだろうな。
だが君達には強い味方がいることを忘れてはならん?」

「あ、いたいた?早かったじゃーん!」スタスタ

母「え…?」

カロル「あっ…」
820:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/7/6(月) 22:30:21 ID:7U1LvGZmu.
ミシング「ヤッホー!迎えに来たよー?」

カロル「宣教師さまのおともだちだ!」パァァ

ミシング「だいせいかーい!相変わらずちっちゃくてかわゆいねー!撫でていい?」ニコッ

カロル「(ちっちゃくて…!?)」ガーン

ミシング「お母さんもはじめまして!院長代理のミシングでーす?」

母「ど、どうもはじめまして?」ニコッ

ミシング「そんな緊張しなくていいですって?リラックス!リラックス!」ポンポン

母「(宣教師様のお友達にしては…なんていうか、気さくな方ね…?)」ヒクヒク

ミシング「おっ!マルクちゃん!やっぱりカロルくん達といたんだー?
あんたまで突然いなくなっちゃうから、みんな心配してたんだよー?」ヨシヨシ

マルク「アンッ!アンッ!」スリスリ

ミシング「じゃれちゃって、もーかわいいな!あ、団長さん?」ヨシヨシ

団長「この二人をよろしく頼む」

ミシング「いいですよー!その代わり…」

団長「ん?」

ミシング「団長さんのお知り合いに渋味たっぷりのダンディー系なおじさまっていません?」ヒソヒソ

団長「…さ、さぁ?どうだったか?」

ミシング「もし心当たりがあったらー?紹介してほしいなーなんて?」キャピキャピ

団長「心当たりがあれば、な…?」オロオロ

ミシング「やっりー!ちゃーんと探しといてくたさいよー?このこのぅ?」ウリウリ

団長「あ、あぁ…承知した」

ミシング「本当は団長さん狙いだったんだけど…奥さんがいたなんて残念?」チラッチラッ

団長「(うーむ…この娘はどうも苦手だ)」ポリポリ

ミシング「まぁそんなのはさておき!早速、院に案内しちゃおっかにゃー!」ビシッ
821:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/7/6(月) 22:32:50 ID:pVDsoKENpE
団長「ではワシはこれで失礼する…」

ミシング「えっ!?」

団長「二人を見守ってやりたいのは山々だが王都に戻らねばならんのでな」

カロル「…団長さん、帰っちゃうの?」

団長「うむ。ワシの付き添いもここまでだ。後は君達の好きなようにするといい?」

母「今までたくさんしていただいてありがとうございました…」ペコッ

団長「いやいや?責任を果たしたまでだ?」

カロル「団長さんがいなかったら、きっとみんなに会えなかった…。
ここまでずっと助けてくれてホントにありがとう?」

団長「礼などいらんよ?」ポンッ

カロル「へ…?」パチクリ

団長「…過ごした時間こそ短いものの、君達と共にした苦楽はワシの人生において何よりも濃密であった」ナデナデ

カロル「……」

団長「まだまだ問題は山積みだ…。この国も未だ変化の途上にある?
しかし…いずれは君達にも平等な暮らしが約束される。必ずだ?」

カロル「うん…!」パァァ

団長「月並みな台詞だが…元気でな?」スッ

カロル「団長さんも?」ニコッ

ミシング「ちぇー…もう帰っちゃうんだー?」ムスッ

団長「…さらばだ」スタスタ

母「お達者で!」フリフリ

カロル「またねー!」フリフリ

ミシング「……じゃ、あたしらも行こっか?」ニコニコ
822:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/7/6(月) 22:36:01 ID:pVDsoKENpE
―――ミラルドの町(孤児院)―――

カロル「」ドキドキ

ミシング「ありゃ?カロルくん、大丈夫?さっきから動きがカチコチだよー?」

カロル「…!」ドキドキ

母「うふふ?坊やったら王様に会う時より緊張してるわ?」クスクス

ミシング「だーいじょぶだってば?さ、入っちゃうよー?」ガチャッ

カロル「う、うん…!」スタスタ

母「お邪魔します」スタスタ

マルク「わぅん!」ルンルン

バタンッ

ミシング「ただいまー」

ザザザッ

カロル「……!?」

母「あらま」

ルーボイ「やい、カロル!」

ナラ「…!」ブワァッ

ラム「おかえり?」ニコッ

カロル「る、ルーボイくん…!ナラ!ラムくん!?」ウルウル

ルーボイ「このっ…バッカヤロー!!」バッ

カロル「わっ!?」グイッ

ルーボイ「なにやってたんだよ!さんざん待たせやがって!?」グリグリ

カロル「い、いたっ…いたいよ!ルーボイくん!」アタフタ
823:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/7/6(月) 22:40:56 ID:pVDsoKENpE
ナラ「ひ…んっ…えぐっ」ポロポロ

ルーボイ「ほら!お前が待たせるからナラが泣いてんだろ!?」ドンッ

カロル「わわっ…そ、そうだったの?」ヨロッ

ナラ「う…ぅん?うれ…しい?」ポロポロ

カロル「……?」

ナラ「カロル…かえってきた。ほんもの…だよね?」グスッ

カロル「……!」

ナラ「もう…どこにも…いかない、よね?」ジーッ

カロル「っ…!」ブワァッ

ルーボイ「はぁ…!?」

ラム「あーあ?」

カロル「ひっ…ん…うえぇぇん…!」ポロポロ

母「まぁ…?」ウルッ

ミシング「嬉しいに決まってるよ、そりゃ?」ニコニコ

カロル「ごめ…ごめっ…なざい…!」ポロポロ

ナラ「っ…んぅ…あやまらなくて…いいよ!」ダキッ

カロル「ひっく…ふえぇぇん!」ギュッ

ルーボイ「いちいち泣くなっつの!つかなにどさくさ紛れにナラに抱き付いてんだよ!?」ギャーギャー

ラム「それって焼きもち?」クスクス

ルーボイ「うるせぇ!そんなんじゃねーし!?」プンスカ

カロル「ホントに…ごめんね」シュン

ナラ「いい…よ。もう…いいの?」サスサス ポンポン

ラム「そうそう。帰ってきたんだから、それでいいんじゃない?」クスクス

ルーボイ「ちっ!しょうがねーな!許してやんよ?」フンスッ

カロル「ゔんっ…!ふえっ…ありが…と」グシッ

母「っ……」グスッ
824:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/7/6(月) 22:45:56 ID:7U1LvGZmu.
〜〜〜夕方〜〜〜

ワァーワァー キャッキャッ

ミシング「はーい、今日から新しい家族が増えましたー!みんな拍手ー!」パチパチ

パチパチ パチパチ

カロル「〜〜〜!」モジモジ

母「歓迎会なんてお母さんも生まれて初めてよ…?坊やは本当に良い縁に恵まれたのね?」ニコニコ

マルク「アゥン!」ハッハッ

ミシング「今日は好きなだけ飲んで食べちゃってー!みーんな遠慮しないから料理は早い者勝ちだよー?」

イタダキマース!

パクパク ガツガツ ムシャムシャ

ルーボイ「はぶっ…んぐっ…もがっ!」ガッガッ

ラム「がっつきすぎ…」シラー

ミシング「さっすが〜?食い意地だけなら王国1ー!」

ルーボイ「うるへっ!?」ブバッ

ラム「うわっ!?口に入れたまま喋るなよ!?こっちにかかったじゃないか!?」

孤児1「ルーボイおにいちゃんバッチぃー!」

カロル「あははは!」

ルーボイ「あっ!なに笑ってんだよ!?」

ラム「だから飲み込む前に喋るなって言ってるだろ!」

母「うふふ?」クスクス
825:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/7/6(月) 22:47:56 ID:7U1LvGZmu.
ナラ「か、カロル?」チョンチョン

カロル「うん!なに?」ニコニコ

ナラ「このショートケーキ…あたし、つくったんだ?」ドキドキ

カロル「そうなの?すごーい!ナラって器用なんだね?」マジマジ

ナラ「そ、そ…かな?」ドキドキ

カロル「食べてみていい?」ワクワク

ナラ「う、うん!たべて?はい、あーん?」スッ

カロル「んっ!」パクッ

ナラ「えへへ…」ポッ

ルーボイ「んーっ!?」ブッ

ラム「っ!?」ベチャッ

孤児1「きゃはははは!ラムお兄ちゃんベチャベチャー!」ケラケラ

カロル「うん!甘ふて…ふわふわひてて…おいひいよ?」モグモグ

ナラ「ほんと…?よかった!あ…クリームついてるよ?」

カロル「んっ…ごめんね?ボク、ケーキ食べるの初めてだから、あんまり慣れてなくて…?」ゴシゴシ

ナラ「(カロルがたべる、はじめてのケーキ…わたしのなんだ。えへへ…)」テレッ

カロル「いつも作ってるの?」

ナラ「た、たまにミシングさんにおそわるんだ?きょうは…カロル、かえってくるから…はりきった?」テレッ

カロル「そうだったんだ?うれしい!」ニコッ

ナラ「えへへ…!」テレテレ

ルーボイ「な、なにやってんだよー!?」ガタッ

カロル「へ?」キョトン

ルーボイ「あ、あーんって…!こ、この…!?」プルプル

ナラ「……!」カァァ

ミシング「きゃー!二人とも隅に置けないにゃー!」ニヤニヤ
826:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/7/6(月) 22:53:36 ID:7U1LvGZmu.
ルーボイ「そ、そういうのは…す、す、好きなヤツにするアレなんだぞぉ!?」ガァーッ

ナラ「うぅ…!な、なんでそーなるの!」キッ

ルーボイ「だってそーじゃんか!あーんして食べさせるなんて普通しねーだろ!?」ワタワタ

カロル「(好きな人に…?)」

ルーボイ「お、おぉお前、俺にはそんなんしねーじゃん!?」

ナラ「な、なんで…ルーボイに…しなきゃいけないの!」ムッ

ルーボイ「べ、べべ、べ…別にアレだけどよ!か、カロルだけ…おかしいだろ!?」アワアワ

ミシング「いいよ、いいよー!このままグダグダでつまんないシリアスなんかやめてラブコメに突入しちゃえー!」ヒューヒュー

母「み、ミシングさん、何をおっしゃってるの?」チンプンカンプン

カロル「ねぇねぇ、ルーボイくん!」

ルーボイ「あぁ!?なんだよっ!?」キッ

カロル「はい、あーん?」スッ

ルーボイ「……は?」

カロル「ルーボイくんもケーキ食べたくて怒ってたんだよね?ごめんなさい、ボクばっかり…?」

ルーボイ「ち、ちげーよ、バカ!ってか男同士であーんとか気持ちわりーっつの!?」アタフタ

カロル「え?どうして?」

ルーボイ「どうしてって…分かんだろ!」アセアセ

カロル「だってボク、ルーボイくんのこと好きだよ?」ニコニコ

ルーボイ「……!」ピシィッ

ナラ「えっ…」パッ カランッ

ミシング「さすがラブコメ展開!さっそく先の読めない三角関係発生ー!」キャー

母「あ、あの…ミシングさん…?ラブコメって…?」チンプンカンプン

ホビット2「ははは…今夜はにぎやかでいいですね?」ニコニコ

ラム「どうでもいいけど誰か手拭い取ってくれない?」ベチャァァ

ホビット3「あ、はい。大丈夫?」つ【手拭い】

ラム「はぁ…ありがとう」パシッ ゴシゴシ
827:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/7/6(月) 22:58:16 ID:pVDsoKENpE
ルーボイ「お、おま、おまえ…!それ、どういう意味だよ…!?」ワナワナ

カロル「どういう意味って?」

ルーボイ「だ、だから…好きってどういう…」

カロル「? 気持ちに意味なんてあるの?」キョトン

ルーボイ「……!」ドッキン

カロル「?」

ルーボイ「…き、気色わりーんだよ!?」ガタッ

カロル「え…?」

ルーボイ「なにがあーんだ、ふざけやがって!」ケッ

カロル「……」

ナラ「ルーボイ…そんないいかた、しなくても」オロオロ

ルーボイ「だって変だろ!男にあーんとか好きとか!?」

ミシング「修羅場ですよ、お母さん!」バシバシ

母「あらあら…?」

カロル「……」ウルッ
828:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/7/6(月) 22:59:08 ID:pVDsoKENpE
ラム「あのさぁ。なにか勘違いしてるみたいだけど、たぶんカロルくんが言うのは……」

カロル「そう、だよね…」カタッ

ルーボイ「え?」

ナラ「……?」

ラム「カロルくん?」

カロル「ボクなんて…ともだちじゃないもんね…」ズーン

ルーボイ「だ、誰がそんなこと言ったんだよ!?」アタフタ

ナラ「ともだちだよ!ともだち!」アワアワ

カロル「いいよ。無理しないで…?」ニコッ

ルーボイ「な、なんだよ、その悲しい笑い方!俺たちがいじめてるみてーじゃんか!」アセアセ

ナラ「むり、してない!ほんとだよ?」アセアセ

カロル「だって…ボクにあーんされるのやだって…」

ルーボイ「あぁもう!じゃあしろよ!?すればいいだろ!?」

ナラ「ほら、あーんって!?」アセアセ

カロル「いいよ…。イヤなのにしたらかわいそうだもの」

ルーボイ「あー分かったよ!頼むから!好きでもなんでもいいからあーんしてくれよ!お前にしてもらいたいよ!?」ヤケクソ

ナラ「ね!ルーボイもしてほしいって?」アセアセ

カロル「ホントに…いいの?」ジッ

ルーボイ「いいっつってんだろ!あくしろよ!?」アーン

カロル「う、うん!」パァァ

スッ パクッ
829:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/7/6(月) 23:00:30 ID:7U1LvGZmu.
ルーボイ「……」モグモグ

カロル「えへへ!おいしい?」ニコニコ

ルーボイ「う、うん…つかナラが作ったケーキだし」モグモグ

カロル「じゃあナラも!あーん?」サクッ スッ

ルーボイ&ナラ「えっ」

カロル「あっ…イヤだった?」オロオロ

ナラ「う、ううん!うれしいよ!んっ!」パクッ

カロル「ふふ…よかった?」

ルーボイ「お、おまっ…俺が好きなんじゃねーのかよ!?」ガタッ

カロル「え?うん。好きだよ?」キョトン

ナラ「る、ルーボイだけじゃ…ないんだね?」モグモグ

カロル「みんな大好きなともだちだもの?」ニコッ

ルーボイ&ナラ「っ!?」ガクンッ

カロル「?」

ルーボイ「(そういう意味だったのかよ。紛らわしいな…!)」チッ

ナラ「(あせって…かんちがいしちゃった)」カァァ

ラム「(普通にそうでしょ)」シラー

ミシング「きゃはははは!!」ゲラゲラ

ルーボイ「わ、笑うなし!?」アタフタ

ミシング「これだからお子ちゃまは可愛いんだよねー?いろいろ意識しちゃうお年頃かにゃー?」ニヤニヤ

ナラ「……!」カァァ

カロル「はい、ラムくん!あーん?」スッ

ラム「んっ…ありがとう?」パクッ モグモグ

母「(…坊やがそういう感情に目覚めるのはまだまだ先になりそうね。
せめて生きてる間に孫の顔が見られるといいけれど)」シミジミ
830:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/7/6(月) 23:03:18 ID:7U1LvGZmu.
孤児1「ナラ姉ちゃん!ケーキたべたい!」

孤児2「ぼくもー!」

カロル「あ、どうしよう!もうなくなっちゃった!」ハッ

ナラ「あ…ひとつしか…つくらなかったから…」シュン

孤児1「えー!?」

孤児2「ケーキー!!ケーキケーキケーキー!!」カンッカンッ

ミシング「そんな時にはコレ!!」バンッ

全員「???」

ミシング「ミシングちゃんの特製焼き菓子!コレさえあれば間違いないんだから!」エッヘン

マフィンの山「」ズラァァァ

カロル「やったー!」バンザイ

孤児1「わーい!」キャッキャッ

孤児2「おいしそー!!」キャッキャッ

ルーボイ「……ったく!全然変わってねーし」

ナラ「ね?」クスクス

ホビット2「聞いてた通り、いい子そうでよかった?」

ホビット3「うん。これならすぐ仲良くなれそう!」

ラム「なれるよ?カロルくんは誰とだって友達になっちゃうから?」パクッ

マルク「わんっ!!」ペロリ

ルーボイ「うわっ!?なんだ、マルクいたのかよ!?」ビクッ

ミシング「はいはい!あんたの分もたくさん用意してあるから!」スッ

母「(……)」

ワイワイキャッキャッ アハハハハ!
831:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2015/7/6(月) 23:04:41 ID:7U1LvGZmu.
ゴチソウサマー!

ミシング「ひゃー?お鍋が空っぽ?みんなよく食べるにゃー?」カラッ

母「後片付けはあたしがしておきますからミシングさんは休んでいてくださいな?」スクッ

ミシング「えー!いいんですかー!?」パァァ

母「えぇ、お世話になるんですから、これくらいはさせてちょうだい?」ニコッ

ミシング「すっごく助かりますー!じゃあ、あたしは日誌付けちゃおっかな!」スタスタ

母「どうぞ、構わずお仕事なさって?」カチャカチャッ

ミシング「(今まで一人でやってたから大変だったけど、これからはちょこっと楽出来ちゃうかも?)」ルンルン

ルーボイ「ババ抜きやろーぜ!」

カロル「うん!」

ラム「またババ抜き?大富豪にしない?」

ナラ「7ならべ、やりたい」

ルーボイ「じゃあババ抜きで勝った奴が次やるの決めようぜ!」

ホビット2「いいですね!そうしましょう!」

ホビット3「負けないぞー!」

バタバタ バタバタ

母「」クスッ
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うpろだ
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