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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】
[8] -25 -50 

1: ゆったりペースになりますが! ◆WEmWDvOgzo:2014/11/16(日) 20:09:52 ID:N4jwCkModw
1スレ

少年「ボクが世界を変えてみせる」

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/l10

2スレ

カロル「ボクが世界を変えてみせる」

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1385288769/l10

―――あらすじ―――

それは遠い昔のお話
人と人は長い長い争いに身を投じ、互いを許せないまま30年もの月日を互いの血を流すことに費やしました

しかし長い争いはいつまでもいつまでも終わる気配もなく
人を傷付け、愛を蝕み、心は枯れて、命は絶えて、いつしか疲れ果てて……やがては目的さえ見失ってしまいました

そんな終わらない争いの果てに一つのきっかけが巡るのです
それは人と人との争いに無関心だったホビット族に原因があると唱える迷信でした
その迷信はあまりにも唐突で、あまりにも不自然な内容でしたが痩せ細って震える人々、争いに疲れきった国々はホビットに全てを擦り付けて争いを終わらせようと決めたのです

戦争が鎮まった後、各国に迷信を掲げた王国は大規模な宗教団体を立ち上げました
その団体は教団と呼ばれ、戦争を納めた功労者であるノワール・バントン司祭を筆頭に教徒達による布教活動が開始されました

布教の内容はホビット族が人間から゙癒しの力゙と呼ばれる特別な能力を奪ったというもので……
これを軸に様々な悪評を並べ立てて人々の心にホビット族への憎しみを焼き付けます
ありもしない神の作り話にいざなわれ、人々は信者へと洗脳されていきました

それから約40年の間、教団による布教活動は続き、思惑通り人々は順調にホビット族を差別していました
人間はことごとくホビット族の住み処を侵略し、奴隷にしてみたり、愛玩用に飼い慣らしてみたり、時には残酷な拷問を加えて見世物にしたり、罪深き種族と罵って横暴の限りを尽くします


753: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/5(金) 22:27:10 ID:LvDIsWFtb.
〜〜〜夕方〜〜〜

―――団長の屋敷(居間)―――

ラキア「母上!おかわりを!!」バッ

団長の妻「はいはい、おかずも足さなきゃね。急に帰ってきたと思ったら、よく食べるんだから?」カチャッ スタスタ

ラキア「粗食では強くなれませんからね!」ガツガツ

母「たくましい息子さんですわね?」ニコニコ

ラキア「た、たくましいだなんて…俺なんかまだまだですよ!」テレテレ

母「そんなことありませんよ?体つきも立派ですし?」ニコニコ

ラキア「(救い主様の母君は若くてキレイだなぁ…。瞳の色なんか気にならない…。
普段むさ苦しい兵営で過ごしてるからか、いろいろと新鮮な気分だ)」ドキドキ

団長の妻「お父さんは一緒ではなかったの?」

ラキア「父上は本部に立ち寄って所用を済ませると言ってました」

団長の妻「ふーん…はい?」コトンッ

ラキア「かたじけない!」ガツガツ

カロル「いいなー?ボクもラキアさんみたいにおっきくなりたい…」ジーッ

ラキア「ハハハ!そんな?救い主様はまだ幼いですから!これからですよ!」

団長の妻「そうそう?今にお母さんを越えるくらい伸びていきますよ?」

カロル「そうかなー…」ウーン

母「それはどうかしら…」

カロル「?」

母「あたしたちホビットの成長は10歳くらいで止まっちゃうから…老いてはいくけど身長は伸びないかもしれないわ?」

カロル「え……」ガーン

ラキア「救い主様はおいくつなのですか?」モグモグ

カロル「…じゅ、16歳」モジモジ

ラキア「えっ」

団長の妻「えっ」
754: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/5(金) 22:29:37 ID:QXDk5G3aL6
カロル「どうしよう…。ボクちっちゃいままなの?」ウルッ

母「あ、でも坊やには夫の血も入ってるから分からないわよ?
たしか人間は20歳まで成長するって聞いたし…」

カロル「じゃあまだ伸びるのかな!」パァァ

母「ごはんを残さず食べて、早く寝れば伸びるかもしれないわね」ニコッ

カロル「ボクいっぱいおかわりするよ!ちゃんと早く寝るもん!」

母「そうね?それをずーっと続けなくちゃダメよ?」ニコニコ

カロル「うん!続ける!おばさま!ボクもおかわりしていいですか?」

団長の妻「はいはい?たんと召し上がってくださいね?」ニコニコ

カロル「えへへ、ありがとう!」ニコッ

団長の妻「本当に無邪気でいい子ですね?」ニコニコ

母「まぁ…そんな?」ニコニコ

ラキア「(お、俺と二つ違い…10歳以上離れてるのかと思ってた)」

団長の妻「(ま、マリーさんっていくつなんでしょう…?ずっと20台だと思って話してたけど……)」
755: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/5(金) 22:33:27 ID:QXDk5G3aL6
〜〜〜深夜〜〜〜

ガチャッ

団長「帰ったぞ」

団長の妻「お仕事、ご苦労様?遅かったですね?」

団長「本部に戻り、一連の後始末をしていてな。後は部下達に任せてあるが…」

団長の妻「そうでしたか。上着、預かりましょうか?」

団長「おう、すまんな。お前だけか?」ファサッ

団長の妻「ラキアもマリーさん達もぐっすり眠ってますよ?」パシッ

団長「そうか…。まぁそうだろうな」

団長の妻「救い主様をお連れしてたみたいですけど何かあったんですか?」

団長「大したことではない」

団長の妻「……。そういえばラキアがあなたに同行出来ると張り切ってましたよ?」

団長「それなんだが…いつ頃からあいつはあんな性格になってしまったのだ?」

団長の妻「はい…?」

団長「いや、正義がどうこうとのたまってな。
子供染みたというか度が過ぎているというか…少々変わった方向に進んではいないか?」

団長の妻「あなたに似たんじゃないですか?」クスッ

団長「ば、バカを言え?ワシはあんなではなかっただろうが?」

団長の妻「そっくりですよ。若い頃のあなたと?」

団長「冗談もほどほどにしろ…!?」

団長の妻「あなたもさんざん語ってくださったじゃありませんか?」

団長「な、なにぃ…!?」

団長の妻「若さ任せに途方もない夢を恥ずかしげもなく口にして私から見たら全く一緒?」

団長「む、むぅ…!」
756: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/5(金) 22:38:05 ID:LvDIsWFtb.
団長の妻「たとえば20年以上前にまだ見習い同然だったあなたが手紙で城下の公園に私を呼び出して……」

団長「う、うぅおっふぉん!!!」ゲフンゲフン

団長の妻「なに照れてるんですか?こんな歳にもなって?」

団長「こ、こんな歳だからだ!その先は言うな…!?」アセアセ

団長の妻「そんなに恥ずかしがらなくても?情熱的で素敵な告白……」

団長「ぬおーっ!!だから言うな!?」

団長の妻「…ふふ」ニコッ

団長「まったく…」

団長の妻「あの子、本気であなたを尊敬してるんですよ?」

団長「? そうなのか?」

団長の妻「えぇ、子供の頃から『父上みたいな正義の味方になる』と口癖のように?」

団長「そ、それはいくつまでの話だ?」

団長の妻「小さい時からずーっと…あぁでも今は正義の味方じゃなくて正義の使者になると言ってますよ?」

団長「やめさせんか!恥ずかしい!」

団長の妻「心配しなくても大丈夫ですよ。あの子はあの子で決めた道がありますから…」

団長「そ、そうは言うがな…!?」

団長の妻「私もあなたの夢を支えると決意するまで時間が掛かりましたよ?正義の王国兵様?」クスッ

団長「うっ…」

団長の妻「背中を押してあげましょう?希望を閉ざすにはあの子はまだ若すぎるわ?」ニコッ

団長「……勝手にしろ!」ムスッ
757: 爆発的に投下します! ◆WEmWDvOgzo:2015/6/10(水) 22:28:41 ID:kh6s4Xhrmc
―――王都領(王国軍の砦)―――

バッ

兵長「さぁ!赤の旗が上がったぞ!攻の陣を展開せよ!!」

ザザザザザザッ

バッ

兵長「黄色の旗だ!全軍突撃!!」

ダダダダダダダダッ

ブォォオオオン

兵長「ホラ貝の音色を聴き分けろ!!」

ザザザザザザッ

兵長「そうだ!一時撤退の合図だ!」

バッ

兵長「ふむ!緑の旗!守の陣!!」

ガガガガガガッ

モクモク モクモク

兵長「軍事演習、終了の狼煙だ!!一同、初期位置に整列!!」

ワラワラ ワラワラ
758: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/10(水) 22:30:59 ID:SfPoNrhlRE
兵長「いかがですか!両軍長!?我が兵の統率力は!?」

フィクサー「良い見晴らしだ」

兵長「は…?見晴らしでございますか?」

フィクサー「砦の最上階に部屋を設けた甲斐がある。兵の動きがよく見渡せた?」

兵長「…おほん!ドレッド軍長はどのように思われましたか?」

ドレッド「あれで兵営上がりの見習い軍人か。号令も把握し、命令にも忠実だ?基礎はバッチリだな?」

兵長「さすが目が肥えてらっしゃる!」

フィクサー「行儀の良さだけでは戦場には立てんよ」

兵長「…おほん!訓練に訓練を重ね、完成された我が軍の指揮系統は兵を預かり、統率する指揮官によって著しく形を変える!
王国軍が誇る両軍長の特性に応じ、自由自在に兵法を扱えるのです!」

フィクサー「ほうほう、なるほど?」

兵長「両軍長にはそれぞれ5000の直属兵が備わっておられますが…。
このわたくしめが育成してまいりました2万の兵を加えて新たに一つの部隊を編成していただきます!」

ドレッド「政務官殿も豪勢に振る舞ってくれたもんだ?
こりゃ責任重大ですな?フィクサー総軍長殿?」

兵長「まこと!!勝利は総軍長殿に掛かっておりますぞ!?」

フィクサー「敗れれば責任も何もないがね」
759: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/10(水) 22:31:23 ID:kh6s4Xhrmc
ドレッド「なんせ終わらない争い以降、全軍総出で戦闘準備なんて初の試みだ?
その全軍総指揮に任命されたとありゃこの上ない名誉だな。勲章がいくつあっても足りんわ?」

兵長「とうとう我が王国軍の力を発揮する時が訪れたのです!勝利を期待しておりますぞ!」

フィクサー「といってもな…あれらは長年お飾り同然だった訳だが血を見た事はあるのかね?」

兵長「ご安心を?和解する前はホビットで経験を高めておりました!」

ドレッド「ホビットねぇ?今さらだが哀れだよなぁ、あいつらも?和解するまでに何匹刈り取ってきたか?」

フィクサー「とうに過ぎた事だ。気に病む必要はなかろうよ?」

ドレッド「まぁな…。大仰に軍と名乗っても所詮はお役人に飼われる馬同然だ。手綱を引かれりゃそれまで…ってな」

フィクサー「怖じ気付いたか?」

ドレッド「まさか?むしろその逆だよ?」

フィクサー「……」

ドレッド「勝利を掴めば後世に名を残す英雄ってよ!俺の名が世界に轟いちゃうぜ?」

フィクサー「さぞ気持ちいいだろうな?勝者の眺めともなれば…?」

ドレッド「はッ!何者かになりたくて軍でのし上がってきたんだ?戦わなくちゃ意味がないってな?」

フィクサー「それもそうだ?西の国を生け贄に勝ち上がってやろうじゃないか?」ニヤリ

ドレッド「俄然みなぎってきたぜ…!」グッ

兵長「しかし…それは総指揮を執る貴方様に掛かっておりますぞ?」

フィクサー「まぁ任せておけ?悪いようにはせんよ?」
760: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/10(水) 22:33:35 ID:SfPoNrhlRE
ガチャッ

騎兵1「失礼!!演習の最中に大変申し訳ございません!!」

兵長「なんだ、貴様!?」

フィクサー「わたしの部下だ」

兵長「そ、それは失礼しました!」アセッ

騎兵1「例の男が軍長を訪ねて参りまして…只今、尋問室に通してございます!!」

フィクサー「分かった」スクッ

ドレッド「ん?まだまだ打ち合わせにゃならん事は山ほどあるだろ?そんな大事な客か?」

フィクサー「先に進めてくれていい。すぐに済む用事だ」スタスタ

ドレッド「おいおい、あんたは総軍長なんだ。いきなり足並み乱されちゃたまらんぜ?」

フィクサー「…それは失礼?だが戦場に立てば貴方もわたしの右腕として責務を果たす立場だ。
わたしの不在時にろくろく兵を動かせないような指示待ち人間では困る?」

ドレッド「ぐっ…!」ムッ

フィクサー「後はよろしく?」ニヤッ

騎兵1「ではご案内を!!」スタスタ

スタスタ スタスタ ガチャッ バタンッ

ドレッド「ちっ…!なに考えてんだか?食えねぇ男だな?」

兵長「…このままフィクサー殿に任せておいてなんとかなりましょうか?」

ドレッド「…さぁね?政務官殿に聞いてくれ?」

兵長「私は少々、不安に思えますが…」

ドレッド「噂じゃ大した軍師らしいが…無能者だったら引きずり下ろして俺が指揮権を握ってやるさ!」

兵長「おぉ!なんと頼もしきお言葉!!」

ドレッド「いざともなれば覚悟はしとけよ…?総軍長さんよ?ククッ!」ニヤリ
761: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/10(水) 22:36:59 ID:kh6s4Xhrmc
―――王国軍の砦(尋問室)―――

マドラス「あんな化け物、聞いてねぇぞ!?」ダンッ

フィクサー「無駄に時間を費やすほど暇をもて余してはいない。結果のみを速やかに報告しろ」

マドラス「ちぃっ…!」

フィクサー「どうした?報告だ?」

マドラス「失敗だ!文句あっか!?」

フィクサー「…失敗?」

マドラス「あんな化け物だとは聞かされてなかったぞ!いっぺん雇い主に会わせろや!?」

フィクサー「」パチンッ

バァンッ! ザザザッ

マドラス「うおぉ!?」ビクッ

副官「軍長、後は我々にお任せを?」ジャキッ

騎兵's「」ジャキッ

マドラス「お、お、おい?待てよ?なんだってんだ!?なぁ!?」ビクビク

フィクサー「床を汚すなよ?」スクッ

副官「承知しました」ジリッ

マドラス「おい!?」ガタッ

フィクサー「」スタスタ ガチャッ

マドラス「おいぃぃ!!」

バタンッ

副官「取り押さえろ?」

騎兵's「ははぁっ!!」ダッ
762: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/10(水) 22:39:11 ID:SfPoNrhlRE
バババッ ガシッ ガシッ ガシッ ガシッ

マドラス「なにすんだよ!?離しゃがれ!?」ググッ

副官「ちょうど訓練用に欲しかったんだ。死んでもいい人間かホビットが?」

マドラス「ンだとぉ…!?」

副官「名誉な事だぞ?国に命を捧げられるのだから?」

マドラス「い、いのっ…ち…!?」ブルッ

副官「兵営上がりのお坊っちゃん達は、まだあまり本番に馴染みが無くてね?」

マドラス「て、てめぇ…まさかっ…!?」ハッ

副官「生の鮮血、肉感、断末魔…いぃ〜い訓練になるぞぉ〜?」ニタァァァ

マドラス「う、うぅ嘘だろぉ…?嘘だって言ってくれやぁ!?なぁ!?」ブルブル

副官「安心したまえ?なにも君一人で新兵らの刃を負えとは言わない?」

マドラス「っ…!?」

副官「こないだ大量にホビットを収穫してねぇ〜?
もちろん訓練に使用するんだが…君のようにみすぼらしく土臭い乞食にはお似合いじゃないだろうか…?」

マドラス「はぁ…!?」

副官「心中する相手としては…だよ?土臭いという辺りがしっくりクる?」ニタニタ

マドラス「ば、ばばば…ばバッカヤロー…!冗談じゃねぇぞ…!?」ガチガチ

副官「連れていけ?早速、訓練を実施しようじゃないか?」クイッ

騎兵's「ははぁっ!!」グイッ

マドラス「うああぁぁああ!!!やめっ…やめろぉ!?あぁああぁあああ!!!」ジタバタ
763: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/10(水) 22:41:14 ID:SfPoNrhlRE
―――城下町(団長の屋敷)―――

仕立屋「ちょっと寸法測りますからね、バンザーイしてください?」

カロル「はーい!」バンザイ

仕立屋「はい、どーも。じゃあ次は腰から足首までの長さになりますよー」スッスッ

母「い、いいんですか…?あたし達の為にわざわざ仕立屋さんまで呼んでいただいて…?」

団長「ハッハッハ!いや、ワシもうっかりしておりましてな?
この前は気にもせなんだが城に入るのに薄手の布服一枚では…やはり少々、問題がある?」ポリポリ

団長の妻「かといってウチにお二人の背丈に合った礼服もないですし…。
せっかくですからこれを機会に新調してしまいましょうと相談したんですよ?」ニコニコ

母「ご、ご迷惑おかけしてすみません」ペコペコ

団長「いやいや、これくらいはさせてくれ?小童を含め、君たちホビットには償い切れぬほど迷惑を働いた?」

母「そ、そんな…ルフィアスさんが悪いわけでは?」

団長の妻「遠慮なさらなくていいんですよ?」ニコニコ

母「で、ですが…」オロオロ

仕立屋「はい、奥様も寸法計りましょうか」スッ

母「お、奥様だなんて…?」カァァ

カロル「マルクはどんなお洋服になるのかな?」ワクワク

マルク「わんっ!!」シッポフリフリ

仕立屋「え?ワンちゃんはちょっと…」

カロル「マルクはダメなの?」

母「だ、ダメに決まってるでしょ!」

仕立屋「い、犬のは扱ってないんですよねぇ?」ポリポリ

カロル「そうなんだ…」シュン

母「マルクはいい子でお留守番出来るものねー?」ナデリ

マルク「きゃんっ!?」ガガーン
764: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/10(水) 22:42:57 ID:SfPoNrhlRE
〜〜〜夕方〜〜〜

団長「いや、実に喜ばしい!もうすぐ陛下が帰還なされるのだぞ!」ニコニコ

団長の妻「あなたったら昨夜も同じ話をなさってましたよ?」

団長「お、そうだったか?これは失敬!」ハハハハハ

カロル「ボクも王子さまに会えるの楽しみ!」ニコニコ

団長「あぁ、ワシもようやっと肩の荷が降りるというものだ!
陛下は君との再会を何よりも待ち望んでおられたからな!」

カロル「そ、そうなんだ…!」テレッ

母「よかったわね?」ニコッ

カロル「えへへ…うん!」テレテレッ

ラキア「…ふん、国王の帰還がそんなにめでたいか?」モグモグ

団長「ぬ!?」

ラキア「あーあーいいですね、国王様は?誰からも気にかけられて?」ヘッ

団長「何を子供みたいに拗ねとるんだ!?陛下はお前にとっても未来の君主となるお方であろうが!?」

ラキア「えーえーせいぜいゴマ摩ってくださいよ?出世が早まりますからねー?」

団長「このっ…!」ガタッ

カロル「だ、団長さんっ」アワアワ

母「ぼ、暴力はいけないわ!?」オロオロ

ダァンッ!!!

団長&カロル&母&ラキア「」ビクッ

団長の妻「…食事中ですよ?」ジロッ

シーン
765: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/10(水) 22:44:59 ID:kh6s4Xhrmc
団長の妻「私の作った食事は喧嘩したくなるほど不味いと?」

団長「あ、いや…」オロオロ

ラキア「美味しい…です」オロオロ

団長の妻「なら静かに召し上がって?料理が冷めてしまわれますわよ?」パクッ

団長&ラキア「はい…」ショボン

団長の妻「みっともなくてごめんなさいね?おかわりはいかが?」ニコッ

カロル「へ、へいきですっ!」アセアセ

母「あ、あたしもお腹いっぱいで?」ヒクヒク

団長の妻「そうですか」ニコニコ

団長「…そ、そうだ!一応、こちらで必要な物は準備したが…二人はなにか個人的に支度しておきたい事などはあるか?」

母「い、いえいえ!そんなご面倒はかけられませんから…」アセアセ

カロル「あ!」ピコンッ

団長「なにかあるのか?」

カロル「アイスキャンディー!」

団長「アイスキャンディー?」

カロル「うん!王子さまとね、約束したの。また一緒に食べようって?」

団長「陛下との約束…!すぐに用意せねば!?」ガタッ

カロル「い、今じゃなくていいよ?早く買っても溶けちゃうもの?」アセアセ

団長「それもそうだな…。では城に入る直前に購入しておこう」

カロル「ありがとう!」ニコッ
766: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/10(水) 22:46:42 ID:kh6s4Xhrmc
ラキア「……」パクッ

団長の妻「ラキアはお父さん達と同行するの?」

ラキア「そうしたいところですが…」

団長「なんだ、来ないのか?てっきり同行させろとわめき散らすかと思っていたが?」

ラキア「兵営の方からお達しがありましてね。
訓練生も王国軍の砦に集まり、軍事演習に参加するようにと?」

団長「…なぜまだ未熟な訓練生まで?」

ラキア「分かりません。ですがこれは願ってもない絶好の機会です!
これを機に己の見聞を広げ、兵としての資質を磨いてまいる所存!!」

団長「まぁ好きにするがいい?近衛のワシには無関係だしな?」

ラキア「くっ…!言われなくとも好きにしますよ!」イラッ

カロル「がんばってね!ラキアさん?」ニコニコ

ラキア「ありがとうございます。救い主様!」ニコッ

団長「(…軍事演習、か。どうせ見学止まりだろうが良い経験になるだろう)」パクッ
767: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/10(水) 22:49:19 ID:kh6s4Xhrmc
〜〜〜数日後〜〜〜

―――王国軍の砦(演習場)―――

ズラァァァァァアアアア

ワラワラ ワラワラ

兵長「これより軍事演習を開始する!!
一切の私語、挙動を禁止とし、破った者には相応の罰を下す!!良いか!?」

シーン

兵長「ではオドアイル副官、どうぞ壇上へお上がりくださいませ?」

カツンカツン カツンカツン

副官「んあぁ〜…っほん!えぇ、ご紹介に預かりました」ザッ

副官「先日、王国軍、総軍長に任命されたアーディス・フィクサー軍事指揮官にお仕え致しております?
副官のオドアイル・バジルと申します。
本日付けで軍に加入された新兵ならびに兵営在籍中の訓練生諸君、どうぞお見知り置きくださいますよう?」ペコッ

兵長「今から本日の訓練内容についてオドアイル副官が説明なされる!!
最前列に整列する者共は無論、最後尾に並ぶ者まで一語一句たりとも聞き逃すな!!」

シーン

副官「あぁ、あぁ、いい。いいんだ、いいんだ?そんなに萎縮しなくて?」マァマァ

兵長「は…?」

副官「適度な緊張は必要かも分からんが真面目に取り組んでくれたら、それでいいからね?
えぇ、なんせ君らにとっては慣れない場でもあり、不安や強い意気込みも持ち寄ってしまう事だろう?」

副官「や、しかしね、私はむしろ気楽に肩の力を抜いて前向きに臨んでもらいたいんですよ?」ニコッ

新兵1「(優しそうな教官だ)」

新兵2「(とても厳しい兵長だと聞いてたから不安だったけど、あの仏顔の副官が付いてくれるなら心強いなぁ)」
768: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/10(水) 22:51:10 ID:kh6s4Xhrmc
兵長「そ、そのようなぬるい感覚では演習の意味がない!!緊張を張り巡らせ、集中力を高めねば!?」カッ

副官「やれやれ、君はお堅いなぁ?この調子では若い新兵らも窮屈させられてるようだ?」

兵長「なっ…!?」

副官「これは我が君主、フィクサー様の受け売りだがね。
ああだこうだと余計な雑念は持たぬべきですよ?」

兵長「わ、我々はいざとなれば命を擲ってでも戦わなければならないのだ!
そんな日和り見思考を植え付けては身を滅ぼしましょうぞ!?」

副官「そうおいそれと命なんか捨てられるものか。
貴殿の望まれる覚悟など、どれだけ訓練を積もうとも芽生えはしませんよ」

兵長「そんな気持ちで兵が務まるかぁ!?国に忠誠を誓うと決意した時点で命など捨てたつもりでいろぉ!!?」ガァーッ

副官「ほう?しからば貴殿は兵を束ねる長として国の為ともなれば、いついかなる場合においても身命を賭す所存で?」

兵長「当然である!!」クワッ

副官「それは頼もしい心意気ですな?なれば身命を賭していただこう?」ニヤリ

兵長「なにっ…!?」
769: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/10(水) 22:52:39 ID:kh6s4Xhrmc
騎兵1「仰せ付け通り、杭に捕縛致しました!!」ピシッ

副官「うん、手際がいいね。新兵諸君も見習うように?」

兵長「グヌォオオオ!!!何をするかぁああ!!?」ジタバタ

ザワザワ ザワザワ

副官「本日の訓練内容についてだが…兵長殿が身を以てご教授くださるそうだ。勇気ある行いに惜しみない拍手を?」パチパチ

騎兵's「」パチパチ

新兵's「」オロオロ

副官「聞こえなかったかなぁ…?」ギロッ

新兵's「」ビクッ

騎兵1「拍手を!!!」パチパチ

パチパチ パチパチ

新兵1「(な、何をするんだ…?)」ビクビク

新兵2「(なんだか雲行きが怪しくなってきたなぁ…)」ビクビク

兵長「くそっ!!ほどけぇ!?俺を誰だと思っているぅ!?」ギシギシ

副官「では…そうだな。そこの君、前へ?」クイッ

???「はいっ!!」ザッ

副官「お!いい返事だ?名は?」

ラキア「ダパーシ・ラキアと申します!!」

副官「ダパーシ……はて?どこかで聞いたような?」
770: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/10(水) 22:54:05 ID:SfPoNrhlRE
副官「あぁ、あぁ、そうだ。そうだ。そうだった?
ダパーシといえば王国には一人しかいない!あのルフィアス団長の息子さんか!」

ラキア「ま、まぁ…一応」

新兵1「(ルフィアス団長…!?)」

新兵2「(かつての巡礼でとんでもない活躍を見せ、たった一人で国王の危機を救ったとされる英雄じゃないか!)」

副官「これは期待していいのだろうか?才能の程を見せてもらうよ?」

ラキア「はいっ!!期待してください!!」

副官「ほう?大きく出るじゃないか!」

ラキア「父上など比ではないと知らしめたく存じます…!」ググッ

副官「…いやぁ分かるよ?偉大な父を持つと子は必然的に重荷を背負う?
されどその負荷を苦にせず、一人立ちしようと努力する君はお父上を越える逸材となろうさ?」

ラキア「お教えください。何をすれば…?」

副官「難しい訓練ではないよ。おい、渡してやれ?」

騎兵1「はっ!これを使え?」つ【剣】

ラキア「どーも…」パシッ

副官「じゃあやってもらおうか」

ラキア「……?」チャキッ

副官「兵長殿!心の準備はよろしいか?」

兵長「はぁ!?いいから解放しろと言うんだ!?縄が食い込んで手足が痺れてきたぞ!?つつっ…!」ギシギシ

副官「では望み通り苦しみから解き放ってさしあげよう。ラキア君?」

ラキア「はい…?」

副官「兵長殿を斬りなさい」

ラキア「えっ」

新兵's「!?」ザワッ
771: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/10(水) 22:56:18 ID:SfPoNrhlRE
ラキア「す、すみません。おっしゃる意味が…?」オロオロ

副官「あぁ、あぁ、説明不足だったか。別に斬っても刺してもいい。とりあえず殺しなさい?」

ラキア「っ…!?」ゾクッ

兵長「なんだと…キサマぁあああ!!!」ギシギシ

副官「これが本日の訓練内容です。諸君にも別の素材でやってもらうからね?」

新兵's「……!?」ゾワァッ

兵長「やめろぉぉおおお!!!命令だぁっ!!?」ギシギシ

副官「さぁ元気よくいってみようか」

ラキア「い、いや…しかし!」アセアセ

副官「やらないという選択肢はない。やるしかないんだよ…?」ギロッ

ラキア「うっ…!」ゾクッ
772: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/10(水) 22:58:19 ID:kh6s4Xhrmc
ラキア「…できません!」プイッ

副官「なんだ、なんだ。君は期待を大いに裏切ってくれるなぁ〜?」

ラキア「訓練なのに命を奪えなんてめちゃくちゃだ…!」

副官「めちゃくちゃ?」

ラキア「無抵抗の相手を一方的に刺し殺せと言われて、はいそうですかと出来ますか…!?」

副官「そういうお仕事ですよ?」キョトン

ラキア「……!そ、それではただの人殺しだ!?」

副官「はい、そうです。人殺しです。大正解!」ウンウン

ラキア「違う!!我々は国を守り、民を!土地を!文化を保護する誇り高き守護者だ!?」

副官「違わない、違わない。個人か集団か、はたまた国かの違いだけで大まかに言えば我々は大量殺人の実行者でしかございません」

ラキア「ふざけるな!!そんな…そんなものじゃない!俺達は正義の為に…!」

副官「いや、君の言う事も最もだよ?本当はそう教えなきゃいけない?」

ラキア「本当はだと…!?」
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うpろだ
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