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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】
[8] -25 -50 

1: ゆったりペースになりますが! ◆WEmWDvOgzo:2014/11/16(日) 20:09:52 ID:N4jwCkModw
1スレ

少年「ボクが世界を変えてみせる」

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/l10

2スレ

カロル「ボクが世界を変えてみせる」

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1385288769/l10

―――あらすじ―――

それは遠い昔のお話
人と人は長い長い争いに身を投じ、互いを許せないまま30年もの月日を互いの血を流すことに費やしました

しかし長い争いはいつまでもいつまでも終わる気配もなく
人を傷付け、愛を蝕み、心は枯れて、命は絶えて、いつしか疲れ果てて……やがては目的さえ見失ってしまいました

そんな終わらない争いの果てに一つのきっかけが巡るのです
それは人と人との争いに無関心だったホビット族に原因があると唱える迷信でした
その迷信はあまりにも唐突で、あまりにも不自然な内容でしたが痩せ細って震える人々、争いに疲れきった国々はホビットに全てを擦り付けて争いを終わらせようと決めたのです

戦争が鎮まった後、各国に迷信を掲げた王国は大規模な宗教団体を立ち上げました
その団体は教団と呼ばれ、戦争を納めた功労者であるノワール・バントン司祭を筆頭に教徒達による布教活動が開始されました

布教の内容はホビット族が人間から゙癒しの力゙と呼ばれる特別な能力を奪ったというもので……
これを軸に様々な悪評を並べ立てて人々の心にホビット族への憎しみを焼き付けます
ありもしない神の作り話にいざなわれ、人々は信者へと洗脳されていきました

それから約40年の間、教団による布教活動は続き、思惑通り人々は順調にホビット族を差別していました
人間はことごとくホビット族の住み処を侵略し、奴隷にしてみたり、愛玩用に飼い慣らしてみたり、時には残酷な拷問を加えて見世物にしたり、罪深き種族と罵って横暴の限りを尽くします


722: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:16:14 ID:zzTcWJdqRE
―――団長の屋敷(庭)―――

女の子「はい、あなた?おやつのレーズンパンよ?」スッ

男の子「えー泥だんごだよー!食べれなーい!」ペイッ

女の子「レーズンパンなの!いいから食べるフリしてよ!」グッグッ

男の子「犬!おまえにやる!」ポイッ

カロル「わんっ!」ピョンッ

女の子「ダメ!犬なんだから食べれないでしょ!」

男の子「やだー!泥だんご食えないもん!」

女の子「おままごとなんだから泥だんごでいいの!」

カロル「わん?」

団長「……君たち、何をしているのだ?」

カロル「あっ!団長さん!おかえりなさい?」

女の子「犬なんだからしゃべったらダメ!」

カロル「あ、ごめんなさい…わんっわんっ!」

男の子「庭広いからかけっこしようよ!」

女の子「ダメ!おままごとするの!」

団長「……」

護衛2「あ!団長!おかえりなさいませ!」ピシッ

団長「…なぜ見知らぬ子らが邸内におるのだ?」

護衛2「奥様がご近所の方々とお茶会をしておりまして?私がお子様方のお守りを?」コショコショ

団長「…なるほどな」
723: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:18:15 ID:zSdvgd11Jg
マルク「あんっ!」タタタッ

女の子「あ、おかえりなさい。修道院は楽しかった?」ナデリ

マルク「あんっ!あんっ!」シッポフリフリ

女の子「そう。よかったわね。あら、あなたお仕事は行かなくていいの?」

男の子「仕事?」

女の子「お城の兵士さまでしょ!」

男の子「……?ちがうよ?」キョトン

女の子「お城の兵士さまなの!!」ガァーッ

男の子「う、うん…」タジタジ

女の子「もう!オタンコナスな夫を持つと苦労するわ?ねぇダルメシアン?」ナデリ

カロル「わんっ!」

団長「どういう配役だ、これは…?」

護衛2「えー…お嬢さんとお坊ちゃんが夫婦で救い主様が飼い犬、マルクくんが犬ですけど二人の息子という設定のようで?」

団長「いろいろとおかしいが…まぁそんなものか。あー君たち!」

女の子「あら、なーに?ノックもしないで?不審者は憲兵に通報よ?」

団長「あ、いや…そうじゃなくてだな?その小童…」

女の子「コワッパ?うちにコワッパなんて名前の人はいませんわよ?ねーダルメシアン!」ナデナデ

カロル「わんっわんっ!」

団長「だ、ダルメシアン…をお借りしたいのだが」

女の子「ダメ!ダルメシアンを知らない人にあげれないわ?」

団長「いや、だから…くっ!だ、黙ってないでお前もなんとか…!」クルッ

護衛2「団長…無理ですよ。私、お家の柱の役なんで動けないし喋れないです。話しかけても無視されますし」

団長「じ、時間がないのだ!遊びもいいが一度……」

団長の妻「まぁまぁ、あなた?いけませんよ?声を荒げては?」

団長「……!」ハッ
724: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:23:09 ID:zzTcWJdqRE
団長の妻「みんな?甘いアップルパイとお紅茶の用意が整いましたよ?おやつにどうぞ?」

男の子「おやつ!?」パァァ

女の子「甘いの!」パァァ

カロル「やったー!」ピョンッ

マルク「はっ!はっ!」シッポフリフリ

団長の妻「ふふふ?さ、中でいただきましょう?」

男の子&女の子「わーい!」タタタッ

団長「」ホッ

カロル「わーい!」タタタッ

団長「お前は待て」ガッ

カロル「ひゃっ」グンッ

団長「すまんが君に頼みがある」

カロル「……?」キョトン
725: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:24:24 ID:zzTcWJdqRE
団長の妻「なにかあったんですか?」

団長「あぁ、ちょっとな…」

団長の妻「」ジーッ

団長「案ずるな?」ニコッ

団長の妻「…あなたの事だから心配はなさそうだけど」

団長「あぁ、お前が不安に思う事はない?」ニコニコ

団長の妻「……」

団長「中でご婦人方を待たせておるのだろう?早く戻ってやんなさい?」ニコニコ

団長の妻「えぇ、そうします…」スタスタ

団長「ふぅ…」ホッ

カロル「団長さん…そろそろ下ろしてほしいな」ポツーン

団長「お、おぉすまん!うっかりしていた!」スッ

カロル「ううん?それよりボクに頼みたいことってなに?」ストッ

団長「…悪いがそれは付いてから話す。一刻の猶予もないのだ。走る事になるが大丈夫そうか?」

カロル「うん。へいき!」

団長「よし!行くぞ!」ダッ

カロル「(いっこくのゆうよってなんだろう…?
団長さんってたまにむずかしい言葉使うなぁ…)」ダッ
726: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:25:45 ID:zzTcWJdqRE
―――城下裏通り(廃墟)―――

カツンカツン カツンカツン

カロル「ねぇ、団長さん。ここって…」スタスタ

団長「知っておるのか?」スタスタ

カロル「…うん。覚えてる。赤い水玉の床とか苦しそうな人の顔がびっしりな柱…ウォルターさんが泊めてくれたところだよ」

団長「ここはヘマトバザールの跡地だ」

カロル「……」

団長「……」ガチャッ

カロル「……」

団長「地下に降りるぞ。薄暗い階段なので気を付けなさい」

カロル「…ボクはなにをすればいいの?」

団長「……」

カロル「団長さん、ずっと怖い顔してる…」

団長「ワシを信じて付いてきてくれ」ジッ

カロル「…はい」

カツンカツン カツンカツン
727: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:29:39 ID:zzTcWJdqRE
―――廃墟の地下(廊下)―――

マドラス「よーう?遅かったなぁ?待ちかねたぜぇ?」ニヤニヤ

団長「……」

カロル「わっ…」タジッ

マドラス「ン!?ヒャハハハハハ!!イョッシャアアアア!!!」ガッツポーズ

カロル「……!」ビクッ

マドラス「会いたかったぁ!お前に会いたかったぜぇっ!!クッカカカカカカカ!!!!」ギンッ

カロル「…だれ、なの?」ビクビク

マドラス「覚えちゃねぇか!無理もねぇ?こんな傷だらけじゃ見分けも付かねぇさ?なぁ?」

カロル「……?」

マドラス「ひ、ひひ…シシシシ!俺ぁお前を忘れたりしないぜぇ?
顔面ぶった切られてドバドバ血が溢れやがった時でさえ…ずぅぅっとお前の事だけを考えてたぁ?」ニタァァァァ

カロル「っ…」ヒシッ

団長「…大丈夫だ。なにも心配はいらん」ナデリ

マドラス「さぁ!そいつを寄越してもらおうか!?」

団長「…息子を解放しろ」

マドラス「あぁぁ!?バカか!?テメェが指図してんじゃねぇよぉ!?
いいから寄越せってんだよぉ!?息子の首を跳ねっぞ、ゴラァァァ!!!」ブチブチィッ

団長「分かった。だが約束は約束だ。まずは息子の傷を手当てさせてもらう。それまでは絶対に手出しするなよ?」

マドラス「ギャアアアア!!!うるっせぇ!!!
早くしろやぁああ!!!3秒以内にこいオラァァ!!!!」ダンッダンッ

手下's「」ビクビク

カロル「……!」ブルブル

マドラス「さぁ〜〜ん……にぃぃ〜〜…いぃぃ〜〜ち………はぁあはぁはぁ」フシューフシュー

団長「(小童を確認した途端、あからさまに態度が一変し、冷静さを失った…。付け入るとしたらここしかあるまい)」ジッ
728: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:34:58 ID:zzTcWJdqRE
ラキア「」グッタリ

カロル「あの人間…倒れてるよ?」ピクッ

団長「ワシの息子だ」

カロル「え?」

団長「奴らの人質にされ、傷を負わされている。君の力で癒してやってほしい」

カロル「うん!わかった!」グッ

団長「(即答か…)」

マドラス「あぁあぁあだあああ!!!!ぜろぉ!!ゼロゼロぜろだってんだろがボケぁっ!!!?」ダンッダンッ

カロル「今いくよ」タッタッ

団長「(怪我人を発見するやいなや、あれだけ引きつっていた表情から恐怖が消え失せた…)」

マドラス「ヨシヨシヨシヨシ!!!こいこいこいこい!!!」ハァッハァッ

団長「(…なぜそうも簡単に選べる。自分を顧みない選択を…?)」

ラキア「」グッタリ

団長「(巡礼の場でもそうだった。ワシらがなんとかしてやらねばならん事態で、まず立ち上がったのは勇敢な子供達だったか…くっ!)」ギリッ

カロル「」スタスタ

団長「(…負担を押し付けてしまってすまない。必ず君も助けるからな!)」ググッ
729: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:37:30 ID:zzTcWJdqRE
ラキア「」ウツラウツラ

カロル「…もう大丈夫だよ?」ニコッ

マドラス「……!!!」ハァッハァッ

手下4「だ、ダンナ!抑えて!」ガッ

団長「……」ジーッ

カロル「……」ピトッ

フワッ

ラキア「」フッ

団長「癒せたのか!?」

カロル「うん。でも気を失ってるみたい?」スッ

バッ ガシッ グイッ

カロル「えっ…?」グンッ

マドラス「シャアっ!!!首ぃただきぃっ!!!」ガバッ

カロル「っ…!っ!」ギュゥゥッ

団長「貴様ぁ!!」ザッ

マドラス「動くんじゃねぇ!!!」カッ

団長「……!?」ピタッ

カロル「くるっ…し……」ジタバタ
730: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:38:57 ID:zzTcWJdqRE
マドラス「縄ぁ切れ?」ジロッ

手下1「は、はい!」ブツッ

ラキア「」ハラリ

手下4「起きろォラァ!!!」シュッ

ラキア「ぐふっ!」ドカッ

団長「何をするかぁ!?」

マドラス「人質の交換だよぉ…なぁ?ラキアちゃんよ?」

ラキア「げほっ…!ま、マドラス…さん?」ムクッ

マドラス「オメーはたった今から自由の身だ?」ニヤリ

ラキア「…き、傷が消えてる?」サスサス

手下4「大好きな父ちゃんが待ってるぜ?」

ラキア「ち…ちうえ」ハッ

団長「ラキアよ!こっちに来い!」

ラキア「……」ジロッ
731: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:40:04 ID:zzTcWJdqRE
ラキア「」スラッ

団長「……?」ピクッ

ラキア「父上、剣を抜いてください」ジャキッ

団長「なっ…!?」

ラキア「さぁ…!」ジリッ

団長「な、何を言っているのだ…!?」

ラキア「抜かないのであれば…一方的に攻めるのみ!」ジャッ

ヒュンッ ガキィンッ!

ラキア「さすが王国最強の剣術家…居合いから瞬時に防ぐとは並大抵の腕ではありませんね!」ギギッ

団長「ま、待て!自分が何をしているか分かっておるのか!?」ギギッ

ラキア「無論!!」ギャリィィンッ

団長「くっ…!」ザザッ

ラキア「歪んだ正義は排除する…!たとえそれが実の父であったとしても!」

団長「……!?」メダパニ

ガチャッ バタンッ

団長「(こ、小童が奥の部屋に…!?)」ハッ

ラキア「ハァァアア!!」シュバッ

団長「ぬぅっ!!」ガキンッ

ラキア「よそ見をなされるとは随分余裕がありますね!?」ギギッ

団長「目を覚ませ…!お前は奴らに騙されている!?」ギギッ

ラキア「騙してきたのはあんただろ…!?」グンッ

団長「むおっ!?」ガクッ

ラキア「は…ハハ!息子の俺に鍔迫り合いで押し負けるなんて…腕が鈍ったんじゃないですか!?」グググッ

団長「こ、このっ…!」プルプル
732: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:41:57 ID:zzTcWJdqRE
―――廃墟の地下(独房)―――

ブンッ ドサァッ!

カロル「いっ…たぁ」ヒリヒリ

マドラス「ウラァアアアッ!!!」シュッ

カロル「あっ…がはっ…!」ドフッ

カロル「う…えっ……ぅっ…!?」ゴロゴロ

マドラス「こんなモンじゃねぇ…こんなモンじゃ済まさねぇ?」ギョロリ

カロル「ひぅっ…ふっ…?」ズキズキ

手下1「ダンナ!遊ぶのもいいがよ!さっさと首切って依頼人に渡しちまおうや?」

手下4「あの怪物をラキアが食い止めてる内によ!」

手下5「おうよ!俺たちゃ金貨2000枚の報酬が入るってぇから協力してやってんだぜ?」

マドラス「」スラッ ビュバッ

ザンッ!

手下1「え………」ポトッ

コロンコロン

手下's「」ポカーン

手下1「」プシャアアアアアア

手下1「」バタッ

手下's「」ハッ

ウワアアアアアアア!!! ヒエエエエエエエ!!!

マドラス「ガタガタ…ガタガタ…うるっせぇわ?」ピシュッピシュッ

カロル「な…にして…るの?」ブルブル

マドラス「あぁ〜ん?」ニタァァァァ

カロル「っ…!」ガクガク
733: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:43:57 ID:zzTcWJdqRE
マドラス「俺ぁよ?前に仲間の裏切りに遇って大ケガした?言っただろ?」ヌラリ

手下4「へ、へい…!」ブルブル

マドラス「だから今度は仲間を大事にしてやりてぇ…。そう決めたんだよ」フッ

手下5「(い、言ってる事とやってる事が噛み合わねぇ…!)」ガクガク

マドラス「だからよ、俺を怒らせねぇでくれ?大事な仲間を傷付けたくねぇんだ?」ニヤッ

手下6「(い、いぃ意味が分からん…!こいつ頭おかしいんじゃないのか!?)」パクパク

マドラス「分かるだろ?分かるよな?なぁ?なぁなぁなぁ?」ギョロリ

手下's「はははいぃぃぃいいっ!!!!」アセアセ

マドラス「分かってくれたらいいんだぜ…?
やっぱ仲間ってのはこういう連帯感が必要だわ…なぁ?」

マドラス「俺様を中心に全員の意識が一致し、団結する…!これが真の連帯感だぜぇ…!」アヘアヘ

手下's「(どこがだよ…!?)」オロオロ

マドラス「おーし?仲間の団結も深まったとこだ?」ギョロリ

カロル「……!?」ビクビク

マドラス「今までの恨みを晴らさなきゃなぁ?ヒャーっハっハっハ!!!」ゲラゲラ

カロル「!」キュッ
734: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:47:40 ID:zzTcWJdqRE
―――廃墟の地下(廊下)―――

ガキンッ キンッ ギギッ ギャリィィンッ

バッ バッ

団長「はぁ…!はぁ…!」

ラキア「どうしました?この程度で息切れなさるとは貴方らしくもない?」ニヤッ

団長「(小童を発見し、王都に送り届け、警護してきたこの2週間弱…。
ほとんど睡眠を取らずに気を張り巡らせてきたのが仇となったか…!
目が霞む…!身体が思うように動かん…!)」ゼェゼェ

ラキア「それとも貴方の見ぬ間に俺が腕を上げすぎたか…?」ニヤニヤ

団長「うぬぼれるな…!悪に心奪われるような半人前の分際で…!」

ラキア「悪を見過ごしてきた貴方に言われる筋合いはない」ジャキッ

団長「何を聞かされたか知らんが…いい加減にせねば息子とて容赦せんぞ!?」ジャキッ

ラキア「一端に父親ヅラですか…?イイ気なもので?」フフンッ

団長「お前を救った彼の想いを無下にしおって…!?」

ラキア「彼…?」

団長「刺された傷がなぜ塞がったと思う!?」

ラキア「そ、そういえば…不思議には感じてましたが?」

団長「お前の命を救う為に先ほど連れていかれたホビットが治癒を施したのだ!?」

ラキア「え…?」ピクッ

団長「今、彼はお前の身代わりとなっているのだぞ!!」

ラキア「なっ…!」

団長「ワシが悪を見過ごしていると言うのなら…悪を助長するお前はなんなのだっ!?」

ラキア「ま、マドラスさんは…フィクサー軍長に紹介された方だ!俺に国の現実を教えてくれた!」アセアセ

団長「あの男は金の為なら人殺しもいとわん悪人だ!!南の領土で大量殺人を犯し、救い主の首を付け狙ってきたんだぞ!?」

ラキア「そ、そんな…嘘だ!この計画は…堕落した憲兵団の意識を再生する…正義の行いだ!!」

団長「ほう!?人質になり、あわや命を奪われかけ、助けに駆け付けた父を騙して襲い掛かり、無関係の者の首を賞金稼ぎの悪党に引き渡すのが貴様の正義か!?」

ラキア「ぐっ…!くっ!」タジッ
735: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:50:08 ID:zzTcWJdqRE
団長「そんな息子に育てた覚えはないぞ!?」カッ

ラキア「あ、あ…あんたが言うな!?」

団長「!?」

ラキア「俺だって育てられた覚えなんかねぇよ!?ほとんど家にもいなかった…あんたなんかに!?」キッ

団長「…ら、ラキア」

ラキア「あんたが家にいないのは国の平和を守ってるからだって母上が言ってた…!
寂しかったし、修道院でも片親だってからかわれたけど…正義の為に戦い続ける父上を小さい頃から尊敬してたんだ!!」

団長「……」

ラキア「だけど実際は…何も守れてなんかいなかった!
俺や母上をほったらかすだけじゃなく…正義や責任までほったらかして国王に尻尾振ってたんだろ!?」

ラキア「あんたは出世欲に駈られた意地汚い奴だ!!
母上は今もあんたを信じて孤独に耐えてるのに…お前はそれを踏みにじってきたんだ!!」

団長「…そんな風に思われていたのか」

ラキア「あんたの言葉なんか信じてたまるか!!偽善者め!!」

団長「すまなかった…!」ペコリ

ラキア「っ……!」

団長「お前の言う通りだ。ワシは親としての責任を放棄し、なにもかも妻に任せきりにしていた…」

ラキア「今更どういうつもりだ!わざとらしいんだよ…!」ギリッ

団長「…また今度、ゆっくりと話せる時間を作ろう。すまんが今はこれ以上…彼を危険にさらしたくない」ザッ

ラキア「あんたと話す事なんかない!ここで縁も命も断ってやるよ!?」ジャッ

ヒュンッ シュバッ ガインッ!

ラキア「(俺の剣が…弾かれた!?)」ビリビリ

団長「過ちは教訓なり。これからも精進するがいい?」ググッ

ラキア「わ…わっ…わわっ!?」ビクッ

団長「ふんっ!!」ブンッ

ゴキィンッ!!

ラキア「ぶきゃらっ!?」ズサァァァ
736: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:53:22 ID:zzTcWJdqRE
団長「…父の拳は重かろう?」コキッコキッ

ラキア「ぶっ…く…く……」ブクブク

団長「初めて真正面からお前と語り合えた気がするな…」ニコッ

団長「また話す機会が楽しみでならんよ…。さて?」クルッ

団長「…奥の部屋に入っていったな」ダッ

ダダダッ

ガチャッ ガチャッ ガチャッ ガチャッ

団長「くっ…!この地下、元は大量にホビットを押し込めておく為に造られたのだったな?
独房と思わしき扉が無数に混在しておる…!これではどの扉にいるか特定が……」

ゴキィッ ギャアアアアアアアアア!

アアアアアアア………

アアアアア………

団長「小童っ!?」ダッ

ダダダダッ
737: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:54:41 ID:zzTcWJdqRE
―――廃墟の地下(独房)――

カロル「っ……っ……」ポロポロ

マドラス「おいおい、泣くなよぉ?可哀想過ぎてこっちまで泣きたくなるじゃねぇか?」ガッ

カロル「はぁ……あう…」ダラーン

マドラス「手足や指はあらかた折ったしなぁ…?殴る蹴るは飽きたし芸がねぇ?
かといってどっか切り落としても気ぃ失われて、いつの間にか失血死もつまんねぇ?」ウーン

カロル「っ…うぅ…」

マドラス「そろそろやりたかったアレ…いってみっか!なぁ?」

手下4「は、はぁ…」

カロル「……」

マドラス「オメーの歯をぶち砕いてよぉ…瓶一杯の油を飲まして火を放つんだ?」ニヤニヤ

カロル「……」クタァッ

マドラス「反応しろや?おもしろくねぇ…なっ!!」ブンッ

カロル「はぐっ!」ベシャァッ

手下4「あ、あの!ダンナ!んなことして顔に大火傷負わしちまったら判別付かなくなって首の価値が無くなるんじゃ…?」

マドラス「ン?なんか言った?」チラッ

手下4「い、いや、ですからね?」アセアセ

マドラス「なんか言ったか…?」ギョロリ

手下4「な、なんでもござんせん…」ゴクリ

マドラス「すぐ消火するさ?なぁ?」

手下4「うっす…」シブシブ

マドラス「その後は…そうさなぁ?手足ちょん切って頭の皮剥いで目ん玉潰して……」

手下4「(目的が変わってんじゃねぇか…!こっちは金になるってぇからやってんだぞ…!?)」ギリッ
738: 名無しさん@読者の声:2015/5/20(水) 22:57:56 ID:FJZjMsKbIA
マドラス貴様アアアアアッ!!
CCC
739: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:58:44 ID:zzTcWJdqRE
ガチャッ バァンッ!

マドラス「ン…?」

団長「〜〜〜!?」ワナワナ

マドラス「なんだよ、もう息子をぶっ殺したのか?仕事が早いなぁ〜?正義の憲兵様はよぉ〜?」

カロル「ひゅっ…ひゅっ…」グッタリ

団長「き…さま!小童にな、何を……」ガチガチ

マドラス「何をも何もまだ始まってすらねーだろうが?な……」

ジャッ ヒュンッ ズバババババッ

手下's「」プシャアアアアアアア

マドラス「あ?」キョトン

バタバタバタバタッ

団長「…ワシの不始末だ!」ギリッ

マドラス「ン?ン?」キョロキョロ

団長「彼が傷付くという事は…すなわち陛下を傷付ける大罪だ。
切羽詰まった状況だったとはいえ、危険だと分かっておりながら、ここに連れてきてしまったのはワシだ」

マドラス「…やるねぇ〜?噂は伊達じゃねぇ…ってか?」スラッ

団長「そもそも貴様のような悪党に息子が付け入られたのも言うなればワシの教育不足に他ならん!」

マドラス「だが…俺も南の賞金王と呼ばれた男だ。死線は何度も越えてきた?」ジャキッ

団長「この件を終えたらありのままを陛下に報告するとしよう。場合によっては…自決も覚悟せねばな」フッ

マドラス「昨日今日と連戦を強いられたんじゃ疲労困憊だろうが?なぁ?」ジリッ

団長「しかし貴様だけは許さん…!存分にやらせてもらうぞ…!?」ジャキッ

マドラス「ちっ…会話が噛み合わねぇなぁ?ボケてんのか?」

団長「かかってくるがいい…!」ジリッ

マドラス「…おっさんはもう休んでなぁ!?」ダッ

団長「抜かせっ!!」ダッ
740: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 23:06:36 ID:zSdvgd11Jg
ガキィッ ギャリンッ キンッ キキンッ

団長「(や、やはり疲労は隠せんな…!平常時であれば、この程度の使い手など…クッ!)」シュバッ

マドラス「(この親父…手強いな!年寄りの冷や水も大概にしろや!)」ギィンッ

団長「せあぁっ!!」ブォンッ

マドラス「けっ…こんな重てぇ一撃、いちいち止めてられるか!」サッ

団長「ぬっ!?」バッ

マドラス「しゃらっ!!」ビュンッ

スカッ

団長「ふん!素振りか?稽古熱心なことだ?」ニヤリ

マドラス「へっ…片目はやりづれーな…!距離感も外すわ、視界が狭いわ……」ストッ

団長「ぬああああ!!」ダッ

ピシャッ ズルッ

団長「なっ…!?」ドタッ

マドラス「お!床の血溜まりで滑ったか?マヌケ親父が!?」ニタニタ

団長「(ま、まずい!)」

マドラス「もらったぁぁぁあああ!!!」バッ

ガッ コケッ

マドラス「ぁぁあわがふっ!?」ドサッ

団長「ぐおっ!?ど、どけっ!?」ズシッ

マドラス「し、死体に足引っ掛けちまったい!クソが…だがこのまま乗っかって串刺しに……」スッ

ピトッ

マドラス「うおっ!?」ビクッ

団長「(なんだ…!?まぁいい!奴が飛び退いた隙に体勢を整える!)」ムクッ

マドラス「だ、誰だ!俺の右目を塞ぎやがった……」バッ

カロル「」チョコン

マドラス「のは……ン!?」ギョギョッ
741: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 23:14:30 ID:zzTcWJdqRE
マドラス「は!?お前、両手両足へし折ってやったよな!?なぁ!?」チンプンカンプン

カロル「うん。痛かった!」コクッ

マドラス「……は?なんだ、これ?意味が分からねーわ?夢か?」ポカーン

カロル「夢じゃないよ?ホント?」

マドラス「じゃあなんでてめぇはピンピン……」

団長「だぁああっ!!」ブォンッ

バシュッ

マドラス「し…でっ……!?」ドバッ

団長「トドメだ!!」バッ

カロル「待って!」バッ

団長「小童…どけ!?そいつを許す必要はなかろうが!?」

カロル「…ボクの為にしてくれてるならいいよ?もうやめよ?」ジーッ

団長「き、君は…あれだけの拷問を受けて…それでも許すのか!?」

カロル「痛みの大きさは関係ないよ。小さな痛みだから許していいわけじゃないでしょ?」

団長「…だがこいつは君だけでなく息子をも傷付けたのだ!親として許す訳には……」

カロル「そうしたいの?」

団長「なっ…!」

カロル「やり返してみたらスッキリするかも?
だけどそうやってスッキリさせるのに慣れちゃったらやり返さないとスッキリできなくなっちゃうよ?」

団長「その理屈は間違っている…!過ちを繰り返してきた者に罰は必要だ!どけ!?」

カロル「どかないよ?」

団長「〜〜〜!!」ワナワナ
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うpろだ
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