1スレ
少年「ボクが世界を変えてみせる」
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/l10
2スレ
カロル「ボクが世界を変えてみせる」
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1385288769/l10
―――あらすじ―――
それは遠い昔のお話
人と人は長い長い争いに身を投じ、互いを許せないまま30年もの月日を互いの血を流すことに費やしました
しかし長い争いはいつまでもいつまでも終わる気配もなく
人を傷付け、愛を蝕み、心は枯れて、命は絶えて、いつしか疲れ果てて……やがては目的さえ見失ってしまいました
そんな終わらない争いの果てに一つのきっかけが巡るのです
それは人と人との争いに無関心だったホビット族に原因があると唱える迷信でした
その迷信はあまりにも唐突で、あまりにも不自然な内容でしたが痩せ細って震える人々、争いに疲れきった国々はホビットに全てを擦り付けて争いを終わらせようと決めたのです
戦争が鎮まった後、各国に迷信を掲げた王国は大規模な宗教団体を立ち上げました
その団体は教団と呼ばれ、戦争を納めた功労者であるノワール・バントン司祭を筆頭に教徒達による布教活動が開始されました
布教の内容はホビット族が人間から゙癒しの力゙と呼ばれる特別な能力を奪ったというもので……
これを軸に様々な悪評を並べ立てて人々の心にホビット族への憎しみを焼き付けます
ありもしない神の作り話にいざなわれ、人々は信者へと洗脳されていきました
それから約40年の間、教団による布教活動は続き、思惑通り人々は順調にホビット族を差別していました
人間はことごとくホビット族の住み処を侵略し、奴隷にしてみたり、愛玩用に飼い慣らしてみたり、時には残酷な拷問を加えて見世物にしたり、罪深き種族と罵って横暴の限りを尽くします
707: 投下終了 ◆WEmWDvOgzo:2015/5/13(水) 22:42:42 ID:8AFkZ.RUD6
団長「……」コトンッ
団長「待ってる…か。そう言ってもらえるからこそ心置きなく職務に専念出来る」
団長「…会えない時間は待たせているワシまで寂しくなるがな」フッ
ガチャッ
団長「……?」
護衛1「団長!今しがた手紙が届きました!」つ【手紙】
団長「手紙だと?こんな夜中に誰からだ?」パシッ
護衛1「見知らぬ町人風の男で…身元を伺ったところ頼まれたから届けに来ただけだと」
団長「……?」ビリッ カサッ
団長「ふむ…ご苦労だった」スッ
護衛1「いえ!」
団長「…明日は厳重に警戒体勢を敷いてくれ。ワシは屋敷を空けるが彼らに危害が及ばんようにな?」
護衛1「どちらへ行かれるのですか?」
団長「ヤボ用だ。気にするな」
護衛1「失礼しました!」
団長「……!」ググッ
手紙『お前の息子は預かった。助けたければ明日の朝、7時にバックヤードのヘマトバザール跡地まで一人で来い』
団長「(ヘマトバザールの残党か…!よくも…!)」ギリッ
『危なくなったら…ボクより家族を守ってあげてね?』
団長「……くっ!」スクッ
708: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/13(水) 22:46:21 ID:tvS/hVrMQc
>>687
支援ありがとうございます!頑張ります!
>>688
お待たせして申し訳ないです!
必ず完結させますので最後までよろしくお願いします!
709: 名無しさん@読者の声:2015/5/13(水) 22:47:38 ID:78/DFcHTqM
どうしよう団長さんにさりげなく死亡フラグが…カロルの為にも団長さんには死んで欲しくない
支援
710: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/14(木) 21:47:29 ID:ZxZMJt5S/g
>>709
団長がいなくなったらいよいよ主人公サイドの戦闘要員が0になりますねw
はたしてどうなってしまうやら…w
この窮地を切り抜けられるかでカロルの今後も大きく変わります!
遅くなるかもしれませんが乞うご期待!
支援ありがとうございました!
711: 爆発的に投下します! ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 21:38:50 ID:zzTcWJdqRE
〜〜〜朝〜〜〜
―――団長の屋敷(廊下)―――
護衛1「おはようございます!救い主様!」ピシッ
護衛2「救い主様!」ピシッ
護衛3「救い主様!!」ピシッ
カロル「おはようございます!」ニコッ
護衛's「」キュンッ
カロル「マルク!お庭で遊ぼ?」スタスタ
マルク「わんっ!」スタスタ
護衛1「癒されるなぁ…」ホンワカ
護衛2「普段は気難しい上級役人や貴族ばかり警護しているせいか、とても新鮮だ」ホンワカ
護衛3「しかし愛らしいな。あんな娘が欲しい」ホンワカ
母「ふわぁ…あっ…?」ハッ
護衛1「おはようございます!」
母「お、おはようございます…!」ペコッ
護衛1「よく眠れたようで!」ピシッ
護衛2「何かございましたら、いつでもお呼びだしください!」ピシッ
護衛3「すぐさま駆け付けます!!」ピシッ
母「あ、ありがとうございます…」カァァ
護衛's「」ドッキュン
スタスタ スタスタ
護衛1「あの子供にして、この親ありか…。あくびをしているところを見られて恥じらう仕草がなんとも言えん」モンモン
護衛2「着崩れた寝巻き姿が妙に色っぽかったな…」モンモン
護衛3「ホビット族と結婚も…ありだな!」ギンッ
712: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 21:40:17 ID:zzTcWJdqRE
―――団長の屋敷(庭)―――
カロル「なにしよっか?」
マルク「あんっ!」
カロル「あ、木の枝!」ヒョイッ
カロル「これで遊ぼう?」
マルク「ハッハッ!」シッポフリフリ
カロル「じゃあ投げるね!いっくよー?」
カロル「えいっ!」ブンッ
ピューン
マルク「」タタタッ
マルク「」パクッ クルリッ
マルク「」タタタッ
カロル「よしよし!おりこうさんだね!」ナデナデ
マルク「クゥン…!」スリスリ
団長「」スタスタ
カロル「あ、団長さん!おはよう!」フリフリ
団長「む?おぉ、早起きだな?感心!感心!」ニコッ
カロル「お出かけするの?」
団長「うむ。急な仕事が入ってな?すぐ戻るから心配は入らんが、あまり一人で出歩くんじゃないぞ?
庭先とはいえ、いつどこから刺客が現れるか分かったものではないからな?」
カロル「はーい!」ピシッ
団長「…では行ってくる」スタスタ
カロル「お仕事がんばってねー!」フリフリ
713: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 21:44:06 ID:zzTcWJdqRE
―――団長の屋敷(居間)―――
団長の妻「すみませんね!お客さんなのに家事手伝いみたいなことさせちゃって?」パッパッ
母「いいんです?他人様のお家で寛いでいるより、こうしてた方が気が楽になりますから?」フキフキ
団長の妻「ホント助かりますよ?この広いお家をいつも一人で掃除してますから?」
母「大変ですのね…?」
団長の妻「と言っても夫は外で働いてますし息子も兵営に住み込みで通ってますから…実際は楽をさせてもらってるんですけどね?」
母「じゃあこんな広いお家に実質一人で住んでらっしゃいますの?」
団長の妻「そうなんですよ!贅沢でしょう?ご近所の奥さん方からも羨ましがられてて?」
母「うふふ…でもちょっぴり退屈ですよね。一人だと持て余しそうですし」
団長の妻「そうですねぇ…」ピタッ
母「?」
団長の妻「近所の奥さん達を招いてお茶なんかしてますとね、言われるんですよ」
母「なにをですか?」
団長の妻「やれ『旦那や子供がいると大変だ』とか『こんな大きな家が欲しい』とか『あなたは楽でいいわね』とか……」
母「家事や育児に悩まされてる人からすると、やっぱり羨ましくなっちゃうんでしょうね?」
団長の妻「分かりますけどね…。分かるんです。恵まれてるんだなって自分でも思いますよ?」
母「そ、そんな…恵まれてるとまでは言いませんけど?」アセアセ
団長の妻「私からしますとね、あの奥さん達が羨ましいんですよ」
母「へ?」
団長の妻「1日の間に必ず誰かが家にいるんだと思うと…羨ましくてたまりません」
母「まぁ…?」
団長の妻「送り出す事も出迎える事もなく…誰もいないお家で掃除やお洗濯、食事の支度をして…」
団長の妻「広い食卓に一人前の料理を並べてみると…無気力になってしまいます。
誰もが羨む贅沢な暮らし…家での苦労がない生活…。
悠々自適だなんてお思いでしょうけど意外と面白味に欠けますよ?」
母「……」
団長の妻「もっと子育てに奔走してみたり家事に追い回されたり夫婦間で気苦労を重ねてみたかったな…とかちょこっと思うんですよね?」
714: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 21:46:43 ID:zzTcWJdqRE
団長の妻「…贅沢過ぎる悩みですよね。他の人に聞かれたら怒られちゃいそう?」クスッ
母「…そんなことないですよ?」
団長の妻「え?」
母「共感できます。あたしも家族を亡くしてから…何度も無気力になりかけましたもの?」
団長の妻「……」
母「時が空けるほど恋しくなりますものね…。
ふと思い出を懐かしんだりして…滲んだ記憶をなぞるたびにやりきれなさが募る」
母「あたしには坊やがいてくれた…。だから自棄にならずにいられたのかも…。
そうじゃなかったら今頃どうなってたか…恐ろしくなるわ?」ブルッ
団長の妻「……マリーさんのお子さん、朗らかでいい子ですね」
母「……?そうですか?」
団長の妻「はい。さっきも素敵な笑顔で元気に挨拶してくれて…とても気持ちのよい性格なんだなと?」
母「…ま、まぁ親バカなんですけど…自慢の子です?」テレッ
団長の妻「ふふ…私もね、主人と息子を愛してるんですよ」
母「えぇ、分かります?とても嫌い合ってるようには見えませんもの?」
団長の妻「そばにはいないけれど…いつも想ってます。だから辛くても頑張れるんでしょうね?」ニコッ
母「そうですよ?そうでなきゃ、こんなに広いお家を一人で清潔に保てませんわ?」
団長の妻「いつ帰ってくるか分かりませんからね。気は抜けません?」ニコニコ
母「うふふ!こっちの苦労も知らないで勝手ですものね、男って?」ニコッ
団長の妻「そうなんですよ!聞いてくださる?」
母「もちろん!聞かせてほしいです!」
ペチャクチャ ペチャクチャ
アハハハハハハ!
715: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 21:53:17 ID:zzTcWJdqRE
―――城下裏通り(廃墟)―――
団長「…来てやったぞ!?ワシも暇ではない!さっさと姿を現せ!?」
カツンカツン カツンカツン
「クッカカカ!わざわざご苦労なこったなぁ?」ザッ
団長「む!?仮面の男…?まさか昨夜の刺客は……」クルッ
「あぁ、この面が気になるか?俺もだ?視界が狭くて前が見えねぇよ?」
団長「…ならば外せばいいだろう?」ジッ
「それもそうだな…」バッ
ポトッ
団長「……!」
マドラス「クッカカカ!ザッと、こんなツラさ?」ズォォォン
団長「(ちらほらと古傷が目立つが、一際凄まじいのがあるな…)」
マドラス「そうジロジロ見るなよぉ?照れちゃうだろうが?なぁ?」ニタニタ
団長「刀傷が眉間から左目を通して頬骨まで達しておるが…よく動けるまでに回復したものだな?」
マドラス「あぁ、コレか?スゲーよなぁ?自分でも驚いちゃうぜぇ?
こんなバッサリ斬られちまって生きてんだもんなぁ?笑っちゃうよぉ?」ニタニタ
マドラス「コレよぉ…アレなんだわ?バンブルっつー南の港町でよぉ…11人とチャンバラやって付けられた傷なんだわ?」
団長「……!?」
マドラス「クク…俺様とした事が失敗だったなぁ?ありゃ良くねーわ?
賞金首は取り逃すわ、仲間に斬られて惨めにトンズラこくハメになるわ…いやぁ失敗したなぁ…」
団長「き、貴様は……」
マドラス「失敗続きで汚名を背負ってよ。自慢のツラも傷だらけで見ちゃらんねぇ?
片目を失い、犯罪者に仕立て上げられ、追う側だった筈がいつの間にか追われる側だぁ…」ブルッ
団長「やはりそうか…!」
マドラス「南の賞金王と呼ばれた、この俺様が…ホビットごときにしてやられてザマぁねぇわ…!なぁ!?」バッ
シュボッ ボッ ボッ ボッ ボッ ボッ
団長「(一斉に明かりが灯った…!?)」ピクッ
716: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 21:57:53 ID:zzTcWJdqRE
ラキア「んーっ!んーっ!」モガモガ
団長「ラキア!!」ハッ
マドラス「おっと?よく見なよ?」
手下1「」ギランッ
団長「っ…!?」
マドラス「動けば息子の命はねぇ…ってな?言ってみたかったんだ、こういうの?ククク!」ニタニタ
団長「き、貴様ぁ…!仮にも剣士だろう?誇りはないのか!?」ワナワナ
マドラス「ほー?やっぱり親子ってなぁ似るんだなぁ?おめーの息子も同じようなこと言ってたわ?」
団長「…今すぐ息子を解放しろ!?さもなくば地獄に突き落とすぞ!?」
マドラス「地下で怒鳴るなよ?響くだろうが?」
団長「たかが10人そこらのゴロツキまがいなどワシに掛かれば1分でカタが着くぞ…!?」ギロッ
マドラス「1分か…。そんだけありゃ人質を刺し殺すには余裕だぜ。なぁ?」
手下1「」ピトッ
ラキア「!?」ビクッ
団長「ぐぬっ…!?」
マドラス「ま、そう焦んなって?まずは要求を言わせてくれや?」
団長「救い主の首…か?」
マドラス「話が早くて助かるぜぇ…」ニタァァァァ
717: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:02:58 ID:zSdvgd11Jg
団長「やめておけ」
マドラス「あ?」
団長「たとえ首を奪ったとしても賞金など下りんぞ。辛い牢獄生活が待っているだけだ」
マドラス「……」
団長「陛下が帰国なされば彼は正式に民として迎え入れられる。遅かれ早かれ、懸賞金など取り下げられるのだ。もはや彼を付け狙う必要はなかろう?」
マドラス「…クク!」
団長「?」
マドラス「あのホビットの歯を砕いてよ?口いっぱいに油を注いで火を点けてやんだ?考えだだけで最高だろぉ?」ニタァァァァ
団長「……!?」ゾクッ
マドラス「金じゃねぇんだよなぁ…。ここまでコケにされちまったんだ…?ヤれる事ヤっとかねぇとよ?」ニシシ
団長「そんな事をしてなんになる!?罪が重くなるだけではないか!?」
マドラス「罪が重かろうがなんだろうが…ここまでくりゃ死刑だろ?」
団長「……!」
マドラス「どうせ死ぬんだ。やりてぇようにヤるさ?」
団長「は、早まるな!ワシが便宜を図ってやってもいいぞ!?」
マドラス「ヒヒヒ……」クックッ
団長「!?」
マドラス「ヒャハハハハハハ!!!」ゲラゲラ
団長「な、なんだ…?」
マドラス「おい、ラキアちゃんよ?聞いたか?親父が堂々と不正を働こうとしてやがるぜ?」
ラキア「……」モガモガ
団長「くっ…!」
マドラス「ありがたい申し出だがよぉ?いらねーわ?」ニタニタ
団長「なにぃ…!?」
マドラス「あのホビットにコケにされたまま生きてられるほど寛容じゃねぇし…そこまでこの世に未練なんざねぇよ?」
団長「(話し合いは無駄か…。隙を見てラキアを取り戻すしかなさそうだな)」
718: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:06:30 ID:zSdvgd11Jg
マドラス「さぁて…そろそろ本題に入るか?」
団長「貴様の要求を呑む気はないぞ!」
マドラス「あーそう?」パチンッ
手下1「」ヒュッ
ラキア「むぐーっ!?」ズブッ
団長「き、貴様ぁぁ!?」ダッ
手下2「動くな!」バッ
手下3「止まれ!?」バッ
団長「邪魔だぁぁぁ!!!」ブンッ
ドゴッ バギィッ
手下2「ぶべらっ!?」ズザァッ
手下3「おんぐっ!?」ドシャッ
手下4「くっ…!ぜ、全員でかかるぞ!?」
マドラス「おい、よく見ろや!?」
団長「許さんぞ…!」スラッ
マドラス「ちっ…よく見ろってんだよ!?」
団長「あぁ…!?」ジッ
ラキア「うっ…むぐーっ…!」タラァァ
団長「……!」ハッ
マドラス「浅く刺しただけだろうが?大事な人質をそう簡単に手放すかよ?」
団長「よ、よくも息子に傷を…!」
マドラス「息子ったって18だろ?自立してるような歳じゃねぇか?肩を刺したぐらいでわめくなよ?」
団長「ゲスめ…!目の前で家族を痛め付けられて歳も何もあるか…!?」ギリッ
マドラス「へっ…まぁいいさ?こっからは楽しい時間だ?ちょっとした遊びをしようぜぇ?」ニヤリ
団長「なんだと…!?」
719: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:11:14 ID:zSdvgd11Jg
ラキア「っ……っ……」タラァァ
マドラス「傷は浅いが血を流してらぁ…?ほっときゃ死ぬぜ?」
団長「今すぐ血止めを施せ!?」
マドラス「あ?命令すんじゃねーよ?今すぐ殺ったっていいんだぜぇ?」
団長「やってみろ…!ここを貴様らの墓場としたければな…!?」ピキピキィッ
手下's「」ブルッ
マドラス「はっ…救い主を連れてこいや?」
団長「何度も言わせるな!?貴様らの要求など呑まん!!」カッ
マドラス「クッカカカ…!」ヘラヘラ
団長「? なにがおかしい!?」
マドラス「いいぜ?呼びたくなきゃ?」
団長「はぁ?」
マドラス「さっきも言ったがよ…?このまま血を流し続けりゃ息子は死ぬぜ?」
ラキア「……」サァァ
団長「(か、顔色が真っ青に…!?)」
720: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:12:04 ID:zSdvgd11Jg
マドラス「真っ白になっちまう前に決めてやんな?」
団長「そ、その手は喰わん!いいから血止めを……」
マドラス「いいのか?無駄に時間を消費して?」ニタニタ
団長「は…!?」
マドラス「息子が血を流してゆっくり死んでいくのを見届けるか…。
救い主と引き換えに助けるか…息子の前で選んでやれよ?」
団長「ぐぬぬ…!」ワナワナ
マドラス「それとも一か八か俺達に攻撃を仕掛けてみっか?
全員を倒す頃には十中八九、息子は殺されてるだろうぜぇ?」ニタニタ
団長「がっ…ぐぅ…ぎぎぎ!」ギリギリ
マドラス「どっちみち片方しか助からねぇ…愉快痛快な死の遊びさ?カカカ!?」ゲラゲラ
団長「き、き、貴様ぁぁああ!!!」ブチィッ
マドラス「ヒヒャハハハハハハ!!!!」ゲラゲラ
団長「……!」プルプル
マドラス「凄むねぇ?俺を脅しても無駄だぜぇ?失うもんなんざねぇからよ?」
団長「っ……」グッ
マドラス「救い主を差し出すにも今から間に合うかぁ〜?
てめぇの屋敷まで何分掛かるか知らねぇが急いで決めてやんなきゃなぁ〜?」ニタニタ
団長「くぅっ…そ…!」ギリッ
721: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:14:18 ID:zzTcWJdqRE
―――団長の屋敷(門前)―――
団長「……」ズーン
護衛1「おや、団長!お早いおかえりで?」ピシッ
団長「…小童はおるか?」
護衛1「はっ!庭で遊んでおりますよ!警備も抜かりなく!」
団長「そうか…」
護衛1「…団長、どうかなさいましたか?」
団長「む?」
護衛1「いえ、顔色がよろしくないので…」
団長「(顔色…!?)」ピクッ
『真っ白になっちまう前に決めてやんな?』
団長「(迷ってはいられん!)」スタスタ
護衛1「……?」ポカン
722: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:16:14 ID:zzTcWJdqRE
―――団長の屋敷(庭)―――
女の子「はい、あなた?おやつのレーズンパンよ?」スッ
男の子「えー泥だんごだよー!食べれなーい!」ペイッ
女の子「レーズンパンなの!いいから食べるフリしてよ!」グッグッ
男の子「犬!おまえにやる!」ポイッ
カロル「わんっ!」ピョンッ
女の子「ダメ!犬なんだから食べれないでしょ!」
男の子「やだー!泥だんご食えないもん!」
女の子「おままごとなんだから泥だんごでいいの!」
カロル「わん?」
団長「……君たち、何をしているのだ?」
カロル「あっ!団長さん!おかえりなさい?」
女の子「犬なんだからしゃべったらダメ!」
カロル「あ、ごめんなさい…わんっわんっ!」
男の子「庭広いからかけっこしようよ!」
女の子「ダメ!おままごとするの!」
団長「……」
護衛2「あ!団長!おかえりなさいませ!」ピシッ
団長「…なぜ見知らぬ子らが邸内におるのだ?」
護衛2「奥様がご近所の方々とお茶会をしておりまして?私がお子様方のお守りを?」コショコショ
団長「…なるほどな」
723: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:18:15 ID:zSdvgd11Jg
マルク「あんっ!」タタタッ
女の子「あ、おかえりなさい。修道院は楽しかった?」ナデリ
マルク「あんっ!あんっ!」シッポフリフリ
女の子「そう。よかったわね。あら、あなたお仕事は行かなくていいの?」
男の子「仕事?」
女の子「お城の兵士さまでしょ!」
男の子「……?ちがうよ?」キョトン
女の子「お城の兵士さまなの!!」ガァーッ
男の子「う、うん…」タジタジ
女の子「もう!オタンコナスな夫を持つと苦労するわ?ねぇダルメシアン?」ナデリ
カロル「わんっ!」
団長「どういう配役だ、これは…?」
護衛2「えー…お嬢さんとお坊ちゃんが夫婦で救い主様が飼い犬、マルクくんが犬ですけど二人の息子という設定のようで?」
団長「いろいろとおかしいが…まぁそんなものか。あー君たち!」
女の子「あら、なーに?ノックもしないで?不審者は憲兵に通報よ?」
団長「あ、いや…そうじゃなくてだな?その小童…」
女の子「コワッパ?うちにコワッパなんて名前の人はいませんわよ?ねーダルメシアン!」ナデナデ
カロル「わんっわんっ!」
団長「だ、ダルメシアン…をお借りしたいのだが」
女の子「ダメ!ダルメシアンを知らない人にあげれないわ?」
団長「いや、だから…くっ!だ、黙ってないでお前もなんとか…!」クルッ
護衛2「団長…無理ですよ。私、お家の柱の役なんで動けないし喋れないです。話しかけても無視されますし」
団長「じ、時間がないのだ!遊びもいいが一度……」
団長の妻「まぁまぁ、あなた?いけませんよ?声を荒げては?」
団長「……!」ハッ
724: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:23:09 ID:zzTcWJdqRE
団長の妻「みんな?甘いアップルパイとお紅茶の用意が整いましたよ?おやつにどうぞ?」
男の子「おやつ!?」パァァ
女の子「甘いの!」パァァ
カロル「やったー!」ピョンッ
マルク「はっ!はっ!」シッポフリフリ
団長の妻「ふふふ?さ、中でいただきましょう?」
男の子&女の子「わーい!」タタタッ
団長「」ホッ
カロル「わーい!」タタタッ
団長「お前は待て」ガッ
カロル「ひゃっ」グンッ
団長「すまんが君に頼みがある」
カロル「……?」キョトン
725: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:24:24 ID:zzTcWJdqRE
団長の妻「なにかあったんですか?」
団長「あぁ、ちょっとな…」
団長の妻「」ジーッ
団長「案ずるな?」ニコッ
団長の妻「…あなたの事だから心配はなさそうだけど」
団長「あぁ、お前が不安に思う事はない?」ニコニコ
団長の妻「……」
団長「中でご婦人方を待たせておるのだろう?早く戻ってやんなさい?」ニコニコ
団長の妻「えぇ、そうします…」スタスタ
団長「ふぅ…」ホッ
カロル「団長さん…そろそろ下ろしてほしいな」ポツーン
団長「お、おぉすまん!うっかりしていた!」スッ
カロル「ううん?それよりボクに頼みたいことってなに?」ストッ
団長「…悪いがそれは付いてから話す。一刻の猶予もないのだ。走る事になるが大丈夫そうか?」
カロル「うん。へいき!」
団長「よし!行くぞ!」ダッ
カロル「(いっこくのゆうよってなんだろう…?
団長さんってたまにむずかしい言葉使うなぁ…)」ダッ
726: ◆WEmWDvOgzo:2015/5/20(水) 22:25:45 ID:zzTcWJdqRE
―――城下裏通り(廃墟)―――
カツンカツン カツンカツン
カロル「ねぇ、団長さん。ここって…」スタスタ
団長「知っておるのか?」スタスタ
カロル「…うん。覚えてる。赤い水玉の床とか苦しそうな人の顔がびっしりな柱…ウォルターさんが泊めてくれたところだよ」
団長「ここはヘマトバザールの跡地だ」
カロル「……」
団長「……」ガチャッ
カロル「……」
団長「地下に降りるぞ。薄暗い階段なので気を付けなさい」
カロル「…ボクはなにをすればいいの?」
団長「……」
カロル「団長さん、ずっと怖い顔してる…」
団長「ワシを信じて付いてきてくれ」ジッ
カロル「…はい」
カツンカツン カツンカツン
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