1スレ
少年「ボクが世界を変えてみせる」
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/l10
2スレ
カロル「ボクが世界を変えてみせる」
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1385288769/l10
―――あらすじ―――
それは遠い昔のお話
人と人は長い長い争いに身を投じ、互いを許せないまま30年もの月日を互いの血を流すことに費やしました
しかし長い争いはいつまでもいつまでも終わる気配もなく
人を傷付け、愛を蝕み、心は枯れて、命は絶えて、いつしか疲れ果てて……やがては目的さえ見失ってしまいました
そんな終わらない争いの果てに一つのきっかけが巡るのです
それは人と人との争いに無関心だったホビット族に原因があると唱える迷信でした
その迷信はあまりにも唐突で、あまりにも不自然な内容でしたが痩せ細って震える人々、争いに疲れきった国々はホビットに全てを擦り付けて争いを終わらせようと決めたのです
戦争が鎮まった後、各国に迷信を掲げた王国は大規模な宗教団体を立ち上げました
その団体は教団と呼ばれ、戦争を納めた功労者であるノワール・バントン司祭を筆頭に教徒達による布教活動が開始されました
布教の内容はホビット族が人間から゙癒しの力゙と呼ばれる特別な能力を奪ったというもので……
これを軸に様々な悪評を並べ立てて人々の心にホビット族への憎しみを焼き付けます
ありもしない神の作り話にいざなわれ、人々は信者へと洗脳されていきました
それから約40年の間、教団による布教活動は続き、思惑通り人々は順調にホビット族を差別していました
人間はことごとくホビット族の住み処を侵略し、奴隷にしてみたり、愛玩用に飼い慣らしてみたり、時には残酷な拷問を加えて見世物にしたり、罪深き種族と罵って横暴の限りを尽くします
538: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/8(日) 21:30:07 ID:bKCYR0A6ec
―――草藪の池―――
マルク「」パシャパシャ
カロル「んっ…」チャプッ ズズズ
母「はぁ…おいし?」ゴクッ
カロル「お水があってよかったね?」
母「えぇ、あのまま歩き続けてたら、いつか干からびちゃうわ?入れ物もあったら、もっとよかったけど…」
カロル「…海に飛び込んだ時にぜんぶ流されちゃったもんね」
母「ああしなきゃ逃げられなかったんだからしょうがないわよ?」ナデリ
カロル「牧場のおじさまにもらったミルクの瓶があったら…お水持っていけたのになぁ」シュン
母「…それはちょっぴりもったいなかったかも」ガクッ
マルク「」クンクン
母「あら、何か見つけたの?」
マルク「」ハッハッ
母「あぁ、それはシラナ草よ?害はないから食べても平気だけど水洗いして土を払っておきましょうか」ブチッ
カロル「なんでシラナ草って言うの?」
母「どこにでも生えてるから誰でも一度は目にしてるけど、意外と広く知られてないからシラナ草(そう)って言うのよ?」ジャブジャブ
カロル「えー!ヘンなの?」クスクス
母「あたしも夫に教えてもらうまで、よく知らなかったんだけど…聞いてみると面白い名前よね?」クスクス
マルク「あぅぅん…」モジモジ
母「はいはい?キレイにしたから大丈夫よ?召し上がれ?」スッ
マルク「あんっ!」パクンッ ムシャムシャ
母「うふふ?普段は草なんて食べないのに…よっぽどお腹が空いてたのね?」
カロル「1日ぶりのごはんだもん?お腹ペコペコだよね?」ナデリ
マルク「あんっ!」ペロリ
ガサガサ
母「!?」ピクッ
539: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/8(日) 21:33:34 ID:51.WaVWWTg
旅のホビット1「同族だぞ!」ガサッ
ガサガサ
旅のホビット2「ホントに?」
旅のホビット3「」ヒョコッ
カロル「……?」キョトン
母「ま、まぁ…?」ビックリ
マルク「」ゴクゴク
旅のホビット1「あ、ごめんなさい。挨拶もしないで…分かると思うけど僕達もホビットです?」
カロル「はじめまして!カロルって言います!」ニコッ
母「母親のマリーです。あなた方もお水を?」
旅のホビット1「あ、ご丁寧にどうも…そうなんですよ。休憩がてら飲み水を補給したくて?」
旅のホビット2「まさか同族がいるなんて思わなかったよ?」
母「ふふ、そうですね。あたし達もびっくりしました?」ニコッ
旅のホビット1「よかったですよ…。また人間に出くわしたらどうしようかとヒヤヒヤして…」ホッ
母「人間がどうかなさったんですか?」
旅のホビット1「へ?」
旅のホビット2「おたくらも追い出されたんじゃないの?」
母「追い出された?うーん…まぁそうなるのかしら?」
旅のホビット1「やっぱり……」
旅のホビット2「大変だね?親子二人で野ざらしなんて…」
母「いえいえ、意外と慣れてるんです。こういうの?」
旅のホビット1「へぇ…見かけよりたくましいんですね」
旅のホビット2「あ、とりあえず水分けてもらっていい?」
母「どうぞ、どうぞ?元々あたし達の物でもないですから?」ニコニコ
540: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/8(日) 21:38:46 ID:bKCYR0A6ec
旅のホビット2「ありがとね。じゃあちょっと失礼するよ」チャプッ
カロル「あっ!入れ物だ?」
旅のホビット1「? ウッドボトルがどうかしたのかい?」
母「実はあたし達…水を見つけたはいいんですけど入れ物を持ってなくて?」
カロル「どうしようって話してたんだよね?」
旅のホビット2「へー…じゃあ一つあげるよ?旅するのに飲み水がないと困るだろうし?」スッ
母「いいんですか!?」パァァ
旅のホビット2「うん。いいよな?」
旅のホビット1「もちろん?先客はそっちだし、ボトルのストックはあるから遠慮しないでください?」
母「催促しちゃったみたいですみません…」パシッ
カロル「ありがとうございます!」
旅のホビット2「いいよ、いいよ!困った時はお互い様だから?」
カロル「親切な仲間に会えてよかったね!お母さま!」ニコニコ
母「えぇ、ホントに助かったわ?」ニコニコ
旅のホビット1「い、いやぁ?」テレッ
旅のホビット2「それほどでも?」テレテレ
541: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/8(日) 21:41:59 ID:bKCYR0A6ec
旅のホビット3「」シュン
カロル「? どうしたの?」
旅のホビット3「」ビクッ
旅のホビット2「あぁ、大丈夫、大丈夫。その子はちょっと臆病でさ?
追い出された時の事がトラウマになってるみたいなんだ?」
母「そうでしょうね…。あんなに乱暴な事をされたら怖くもなるでしょう?」
旅のホビット1「そうですよ…。最初はニコニコして迎えてくれたのに…急に豹変して」
旅のホビット2「…しょうがないよ。あんな事が起きちゃったら、そりゃ?」
母「あんな事って…何かあったんですか?」
旅のホビット1「え?知らないんですか?」
母「す、すみません。そういうのに疎くて…」
旅のホビット2「謝ることないけどさ。最近、大勢のホビットが人里を襲ったんだ?」
カロル&母「えぇっ!?」ビックリ
旅のホビット1「ひどいものだったと聞いてますよ。
一斉に矢を飛ばして町の住人たちを混乱させて…なだれ込んだホビットが石槍やこん棒で無抵抗の人々を執拗に攻撃したんですって?」
カロル「ど、どうして?」
旅のホビット1「実際に見た訳じゃないから分からないけど…やっぱり遺恨だろうね」
旅のホビット2「うん。正直、こっちだって全部を許した訳じゃないし…」
母「……」
カロル「そんなの…理由にしちゃダメだよ…」
旅のホビット1「……?」
カロル「昔のことを理由にしたら…いつまでも終わらないじゃない。
全部を許せる訳じゃなくても…許せるところを探さなきゃ…」
旅のホビット2「うーん…まぁね」ポリポリ
旅のホビット1「なんだかんだ言いながら僕達も人里でお世話になってましたしね」
旅のホビット3「……」
542: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/8(日) 21:48:03 ID:bKCYR0A6ec
母「難しいのよね?たった一つの出来事でもずーっと心に残っちゃう事ってあるから…。
その前まで我慢出来てた事が急に我慢出来なくなってモヤモヤしちゃう時もあるでしょうし…」
カロル「そうかも…しれないけど」シュン
母「もちろん残さないように清算するのが一番よ?
でもその時にうまくいかなくて長引いてしまうと…だんだんと歯止めが効かなくなっていくの」
旅のホビット1「そうなんですよね…。些細なきっかけから生まれたわだかまりが後々になって尾を引くんですよ」
旅のホビット2「僕達のいた町だけかもしれないけど…人間ってわりとことなかれ主義っていうか…あんまり助け合おうって感覚がないもんな?」
旅のホビット3「……僕も」
旅のホビット1「え?」
旅のホビット3「許せない…。僕達は…なんにもしてないのに」
旅のホビット2「あー…そうだね。うん、ちょっとやりすぎだったよね」
カロル「……?何かされたの?」
旅のホビット1「僕達は教団を通じて同じ町に越してきた仲間だったんで…まぁ追い出された時も一緒だったんですけど」
旅のホビット2「うん…。急にさ、言われたんだよ。『お前らもグルなんだろ?』って」
母「? グルって…別にその町で起きた訳じゃないんでしょう?」
旅のホビット1「はい。当然、僕達も否定しましたけど…全然信じてもらえなくて?」
旅のホビット2「それまで一緒に働いたり、ご飯食べたり、遊びも教えてくれたり楽しくやってたんだけどね…。なんでああなったかな」
旅のホビット3「わけ分かんなかった…。他のみんなも…そうだったと思う」
母「そうねぇ。思い込みが激しいものね、人間って…」
カロル「ホントに誰も庇ってくれなかったの…?仲良しだったんでしょ…?」
旅のホビット1「最初は庇ってくれてた人も少なからずいたんですが…領主っていう偉い人が決めた途端に知らんぷりしちゃって」
旅のホビット2「うんうん。掌返して出てけーなんて言ってた奴もいたよな。人間不審になるよ、あれは」
旅のホビット3「僕達だって…されてきた事、我慢して…普通に暮らそうって…してきたのに」
カロル「…そうなんだ」フイッ
543: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/8(日) 21:54:48 ID:bKCYR0A6ec
カロル「分かんないね…。どうして争いたがるのかな」
母「…なぜでしょうね」
旅のホビット2「こんな事言いたくないけど…こうしてみると人間の町が襲われたってのも、なんかスカッとするよな?」
旅のホビット1「ん?んぅぅ…う、うん…不謹慎だけどね」
カロル「え…?」
母「…いけませんよ?誰かの不幸を喜んだりしたら?」
旅のホビット2「も、もちろん本気じゃないけど…いきなり放り出されて間もないから、ちょこっとね」
旅のホビット3「カーリンとかいう…町だったよね。襲われたの?」
旅のホビット1「あ、うん。そうだよ?それがどうしたの?」
旅のホビット3「カーリンからハーブを売りに来た行商が…僕を見るなり唾を吐きかけたんだ。あんな奴…いなくなってよかった」
旅のホビット2「え!?そんなことされてたのか?」
旅のホビット1「それ誰かに言った方がよかったんじゃないかな…。
いくらなんでもひどいよ。頑張って人間の町に馴染もうとしてたのに?」
旅のホビット3「教団の人が見てて…注意してくれたからだいじょうぶ」
母「まぁ?優しい人間もいたんじゃない?」
旅のホビット3「しかたないからだよ…。司祭様が厳しいから嫌々やってたんだ」
カロル「司祭様って…教団の?」
旅のホビット3「うん…。司祭様はだいすき。僕達をまっすぐ見てくれるから…」
カロル「へー…いい人間なんだね」ニコッ
母「前の司祭とは大違い…?」ボソッ
旅のホビット1「あの人は僕も好きだなぁ?気が強くて、しっかり者で頼りになるよ?」
旅のホビット2「たまにちょっと抜けてるところもあるけどな?」ニヤッ
旅のホビット3「…初めて人間の町に来た時、全然馴染めなくて…ダメかなぁって思ってたら、司祭様が何度も様子見に来て励ましてくれたんだ」
544: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/8(日) 21:57:07 ID:51.WaVWWTg
〜〜〜回想〜〜〜
『まだ慣れないでしょう?いいんですよ、急がなくて?』
『話し相手ができない?ふむふむ、それは気まずいですね…』
『同族の皆さんも意外と早く打ち解けてきたみたいで…人間を交えた輪には入りづらいでしょうしね…』
『もし…嫌じゃなければ…私がキミのお友達になりたいんですがどうでしょう…って聞くものではないですよね?すみません?』
『私もなぜだかワガママな国王様のせいで各地を飛び回されていて、なかなか気の合う相手がいないものでして…?
こうして訪れる町々でも不安な想いに駈られたりするんです?』
『……本当ですか!?ありがとうございます!とっても嬉しいです!』
『あぁ…よかった。これから、この町に来る楽しみが増えました?』
『次に訪れる時には…人々がもっと優しく暖かい心でキミたちとの絆を深めていると信じてます?
またしばらく会えなくなりますが…キミもこの町の人々を信じて、たくさんの喜びを養っていけるよう頑張ってくださいね?』
『約束ですよ?ふふふ!』
…………………
545: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/8(日) 22:01:35 ID:51.WaVWWTg
旅のホビット3「……司祭様、会いたいなぁ」
母「いい人ねぇ…。ホントに前の司祭とは大違い?」
カロル「……」ウーン
旅のホビット2「……?」
旅のホビット1「どうかしたのかい?」
カロル「もしかして…司祭さまって女の人なの?」
旅のホビット3「うん、そうだよ?」
カロル「!」パチクリ
母「あっ…坊や…!」ジッ
カロル「うん…!宣教師さまかも!」パァァ
旅のホビット1「宣教師!?」ハッ
旅のホビット2「あ、そうだな…。司祭様ってなぜか自己紹介する時は宣教師って名乗ってた?」
旅のホビット3「司祭様って呼ぶと宣教師ですって言うよね…?」
カロル「やっぱりそうだよ!」
母「宣教師様が司祭になってたのね!道理で聞き回っても分からない筈だわ?
それなら最初から教団の人に頼んで司祭様に会わせてくださいって言えばよかったのね…」
カロル「あはは…しょうがないよ?
司祭様になってたのも知らなかったし、名前も知らなかったんだもの?」タジタジ
546: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/8(日) 22:03:50 ID:bKCYR0A6ec
旅のホビット1「司祭様とお知り合いなんですか?」
母「えぇ、ちょうど探していたところで?」
旅のホビット2「おー!それなら僕達と一緒だよ!」
カロル「3人も宣教師さまを探してるの?」
旅のホビット3「うん…。帰る場所もないし、このままじゃいられなかったから」
母「じゃあ…もしかしてどこにいるのかも分かってるんですか?」
旅のホビット2「いや、色んなところに忙しく飛び回ってるから場所は分からない。だから聖堂に行ってみよっかなって?」
カロル「せい…どう……ってなに?」キョトン
旅のホビット1「言ってみれば大きい教団の支部ですね。
行き場のないホビットや人間を預かったり、修道院みたいに教養を身に付けさせたり、教団の幹部の人達が各地の領土問題に当たる大事な場所だと教わりました?」
旅のホビット3「僕達も移住先が決まるまで、そこにいたんだ…?」
母「なら聖堂に行けば宣教師さまに会えるかもしれないのね!」
旅のホビット1「はい!さすがに教団の人は僕達を追い出さないでしょうから!」
カロル「〜〜〜!」ワクワク
母「よかったわね!坊や?」
カロル「やったー!!」バンザーイ
旅のホビット1「!?」ビクッ
旅のホビット2「すごい嬉しそうだね!」
旅のホビット3「……」ニコッ
母「あたし達も聖堂まで付いていっていいですか!」
旅のホビット1「もちろん!一緒に行きましょう!」ニコッ
母「よかった…!これでやっと長かった旅も終えられるのね…!」ジーン
カロル「マルクー!宣教師さまに会えるよ!」ダキッ
マルク「わうん?」スリスリ
547: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/8(日) 22:18:29 ID:51.WaVWWTg
>>532
惜しかったですね!正解は変態な東の国王をヒメの魅力で味方に付けるでした!
政略結婚……よくよく考えたらその手があったか!と…よくよく考えるまでもなく普通思い付きますよね。
バカな頭でややこしい話考えちゃダメですね…。
もういろいろおかしいとは分かってても面白いかなーなんて安易な気持ちで書き進めちゃいましたorz
親しげだった南の国と政略結婚の方がしっくり来ますねー…でももう投下しちゃいましたし時すでに遅しですw
548: 名無しさん@読者の声:2015/3/8(日) 22:24:44 ID:OGBUeoyU8o
すみません、話の流れをぶった切るような真似をしてしまって…
お詫びしえん!
549: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/8(日) 22:41:26 ID:YxTIExa6U6
>>548
とんでもございません!
こちらとしては展開を予測してもらえてすごく嬉しかったので一向にかまわないですw
そもそも自分が一回一回投下する前に誤字や言い回しを手直ししててダラダラしちゃうんで投下終了の区切りが分かりづらいですよね!
次から名前欄に投下終了と打ち込むようにします!
支援ありがとうございました!
550: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/9(月) 21:46:35 ID:XiUVsR3VT.
―――西の領土(名もなき村)―――
ヒューン ザザザザザザッ
バスッ グサッ ドスッ ズンッ
ヒエエエエエエエエ ワーキャーワーキャー
谷のホビット1「ヒィッヒッヒ!どうだ、人間め!思い知ったか?」ケタケタ
谷のホビット2「ハハハ!腑抜けた生活をしてるお前らと違って俺らはでかい獣相手に狩猟してたんだ!
たかだか木の矢とバカにするなよ?狙った獲物は外さない研ぎ澄まされた狩人の牙だ!?」ヒュンッ
名もなき村人1「ごえっ!?」ズンッ
バシュッ バシュッ ドサッ ドサッ
谷のホビット2「お、干物がなんか抱いて震えてんな?」チラッ
名もなき村の老人「お、お許しくだされぇ…!ま、孫はまだ年端のいかぬ無垢な幼子ですじゃ!」ガバッ
名もなき村の子供「わーん!わーん!」ビエー
谷のホビット2「こ、子供……」ズキッ
名もなき村の子供「わー……ぴげっ!?」バゴッ
名もなき村の老人「あぁっ!?」ギョギョッ
イフィート「へっ…ベーベー泣きやがってみっともねぇ…んだよっ!?らぁっ!?」ブンッブンッ
名もなき村の子供「」ボグッ ベシャッ
名もなき村の老人「は、はは…はぁぁあああ!!?」ガクッ
イフィート「おめぇもだ?ためらわずにやれよ?シヴァだって言ってたろうが?」
谷のホビット2「す、すいません」アセッ
名もなき村の老人「な、ななんとむごたらしいマネを……き、貴様ら!天罰が下るぞ!?」カッ
イフィート「おお?そりゃどういうこった?」ニヤッ
名もなき村の老人「な、なんじゃと!そんなことも分からんのか!薄汚いホビットめが!?」
イフィート「あのよぉ…じいさん…っても俺より年下か?人間は老けるのがはえーなぁ?」ニヤニヤ
名もなき村の老人「ぐっ…!」ギリッ
551: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/9(月) 21:49:10 ID:XiUVsR3VT.
イフィート「まぁなんでもいいがよ?おめぇは自分らのしてきた事に反省はねぇのけ?」ジリッ
名もなき村の老人「何を反省すんじゃ!?お前らのやっとることの方が最低じゃろうが!?」
イフィート「かわいい孫を殺られて悔しいか?え?」ジロッ
名もなき村の老人「……!」ワナワナ
イフィート「俺達がお前らにされてきた事ってのはなぁ…。その悔しさの積み重ねだよ…!
数と文明に物言わして無抵抗な俺達をさんざん苦しめやがった…!」ギリッ
名もなき村の老人「そ、そんな昔の話を今さら……」
イフィート「昔の話…?おいおいおいおい?まだ2年も経ってねぇぞ?
とぼけてんのか?それともボケてんのか?どっちにしたって虫酸が走る言い種だなぁ…!?」イラッ
名もなき村の老人「そりゃこっちのセリフじゃあ!?いきなり村を襲って大事な孫を奪いおって!?
お前らなんぞどうせ無駄に長生きすんじゃから我慢しとりゃええんじゃ!?
ちょっとやそっと差別された時期があってもいいじゃろうが!そうすれば何も起こらんのじゃ!?」ギャーギャー
イフィート「はぁ…!?」ビキビキィッ
名もなき村の老人「終わったことを陰気臭くグチグチと…本当にどうしようもない奴らじゃな!差別されてとう…」
イフィート「ウラァッ!!」ブンッ
名もなき村の老人「ぶきゃっ」グシャッ
イフィート「はぁっ…はぁっ…はぁっ…はぁっ…」プルプル
谷のホビット2「い、イフィートさん…大丈夫ですか?」
イフィート「ふっ…く…くく!こいつら…やっぱりイカれてんな?」ブンッ
名もなき村の老人「」ボグッ
イフィート「あー…ダメだ。こいつをあと750回は殺してぇ」フッフッ
谷のホビット2「ま、まだまだいますから…」
イフィート「おう、そうだよな…。けどよ、せめて一人につき10回は死んでもらわねぇと割りに合わねぇよ」
イフィート「そうしねぇと息子達も浮かばれねぇだろ…!?」ギロッ
谷のホビット2「は、はい…」タジッ
552: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/9(月) 21:53:12 ID:sL1tEWAnpc
ガタガタ ガシャンッ
ズブッ ブショッ ドサッ
名もなき村の青年「」バタッ
名もなき村の使用人「」プシャアアアアアア
名もなき村の娘「」ボタボタ
名もなき村の村長「あ、あぁあぁ」ガタガタ
シヴァ「……」ジリッ
谷のホビット3「ざまみろバカ!調子乗ってるからだ!」ジャキッ
名もなき村の村長「い、いの…命は…命だけは!?」ハァッハァッ
シヴァ「」シュッ
名もなき村の村長「ぶほっ…」ズブッ
シヴァ「」ブシュッ
名もなき村の村長「お…ぐふっ」ブバァァァ
シヴァ「あっけないものだな」
谷のホビット3「イフィートさん達も終わらせたんじゃないですか?」
シヴァ「…そうだな」ザッ
名もなき村の村長「」ピクピク
553: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/9(月) 21:57:13 ID:XiUVsR3VT.
イフィート「おう、シヴァ?外にいた連中は殺っといたぜ?民家は今、同胞達がパーっとお片付け中だ?」ニヤニヤ
シヴァ「そうか。で、裏切り者は?」
イフィート「そこだ?囲んで地べたに座らせてある?」クイッ
シヴァ「」ジッ
名もなき村のホビット's「」ブルブル
谷のホビット4「裏切り者が…!」ジャキッ
谷のホビット5「よく人間なんかと住めたもんだな?」ジャキッ
名もなき村のホビット1「な、なんで…こんなひどい事を…」
シヴァ「ひどい…?」キョトン
名もなき村のホビット1「や、やっと…村にも馴染んで普通の暮らしが出来ると思ったのに」
谷のホビット6「はぁ!?バカ言うなよ?お前ら、それでもホビットか!?」
イフィート「なぁにが普通の暮らしだよ?浮かれやがって甘ったりぃ?」ケッ
名もなき村のホビット2「あ、あんたらは知らないけど…僕達はこれでいいと思ってたんだ!」
シヴァ「……それはすまない事をした」
イフィート「あ?」
名もなき村のホビット's「え?」ザワッ
シヴァ「だが我らにもこうしなければならない理由があった。それだけは分かってほしい」
名もなき村のホビット's「……」
554: 投下終了 ◆WEmWDvOgzo:2015/3/9(月) 22:01:29 ID:XiUVsR3VT.
シヴァ「…そしてもう一つ残酷な事実を告げねばならぬ」
名もなき村のホビット's「???」
シヴァ「我らの報復の為に君たちにも戦ってもらう」
イフィート「イヤだっつったら…分かるよな?」ジャキッ
名もなき村のホビット's「……!」ブルッ
シヴァ「これは小さな仕返しなどではない。戦争だ」
名もなき村のホビット1「せ、戦争って…いきなり言われても」ブルブル
シヴァ「失われた同胞達の無念を晴らすには…他にない」
イフィート「おめぇらだってあいつらにゃさんざんヤられた恨みがあんだろ?おう!?」
ザワザワ ザワザワ
シヴァ「手を貸してくれ。共にホビット族の無念を晴らそう」
名もなき村のホビット4「わ…かったよ」スクッ
名もなき村のホビット1「あ…ちょっ…」ハラハラ
名もなき村のホビット5「ぼ、僕も戦う。人間に…数えきれないくらい虐げられてきたし、こんな暮らし…なんか違うと思ってた」スクッ
名もなき村のホビット1「み、みんな…」
スクッ スクッ スクッ スクッ
イフィート「よーし!それでこそホビットだ!」
谷のホビット7「ほとんど脅迫ですけどね?」シシシッ
イフィート「っしゃあ!シヴァよ!次はどこをやる!?」
シヴァ「…村長の家から地図を手に入れた。ここから近い人里を襲撃しよう」
イフィート「おう!おめぇらも気合い入れろよ!?」
オオオオオオオオオオオオ!!!
シヴァ「(…娘よ。儂は間違っているだろうか?)」
シヴァ「(お前を救ってくれた少年の言葉を意に介さず、報復に反対した同胞達を始末し、全ての同族までもを巻き込もうとしている……。
…お前の為に戦う父を誇りに思ってくれるか?それとも…お前を言い訳に争う儂を蔑むか?)」
シヴァ「(父親でありながら…最後までお前の気持ちが分からないままだったな。
ただ今は…どんな形でもいい。お前の望む事をしてやりたいんだ)」フッ
555: 今夜は爆発的に投下しまくります! ◆WEmWDvOgzo:2015/3/17(火) 22:26:42 ID:JWS0.T.mIE
―――西の領土(聖堂)―――
宣教師「ふぅ……」ポフッ
司教「お疲れ気味ですな?」
宣教師「いえいえ、なんのこれしき…まだまだ休んでなどいられません?」ゴロン
司教「ソファーに横たわって言われても説得力が…?」ヒクヒク
宣教師「すみません…ここ数日、寝付きが悪いもので?」ウツラウツラ
司教「それは良くありませんな…。若さに頼って無理をなさらず?お身体を労ってくだされ?」
宣教師「ご心配痛み入ります。ですが問題ありませんよ。今のところ不調は感じませんから?」ニコッ
司教「どうかご自愛ください…。それで…頼まれた件なのですが」
宣教師「…えぇ、どうなりました?」
司教「憲兵団に協力を依頼し、各支部で捜索させました。
無事に偽の王国兵と思わしき賞金稼ぎ達を捕らえる事に成功しております」
宣教師「…とりあえず一安心ですね」
司教「ところが一人、取り逃したようで…その人物がこちら西の領土に逃亡したと…」
宣教師「憲兵団の包囲を逃れて…?いったい何者ですか?」
司教「今回の件の主犯格であり、主に南の領土で賞金稼ぎをしていたマドラスという男なのですが…追っ手を切り破り、馬を奪って逃走したようです」
宣教師「凶暴な人ですね…。出来れば被害が出る前に探し出してしまいたいですが…万が一教団員の身に何かあってはいけませんし…」ウーン
司教「それだけでなく…」
宣教師「他に何か?」
司教「…いや、詳しくは団長殿が説明なされるでしょう。私も正直、把握出来ておりませんでな」
宣教師「? 団長さんが?」キョトン
司教「はい。聖堂の警護を担当する為、憲兵を率いて、こちらに向かっておられます」
宣教師「け、警護…?そのような話は伺ってませんよ?」
556: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/17(火) 22:29:36 ID:JWS0.T.mIE
司教「…カーリンのみならずホビットの襲撃による町々の被害が広まっておるのです。ここも安全とは言えません」
宣教師「ま、また…!?お、王国の方で対策していなかったのですか!?」ムクッ
司教「一応、王国軍が討伐する予定だそうですが…それまで無防備でもいられません」
宣教師「と、討伐ですって!?なりません!?
そんな強引な手段では根本的に……そもそも国王が許す筈が…!」
司教「なにやら国王を始めとした役人も数名、国外へ出払っているようで…」
宣教師「!?」
司教「…確かに強引ではあるが被害を増やさない為にも必要な決断だったのではないでしょうか」
宣教師「そ、そんな…!それでは……何も変わらないじゃないですか!」
司教「しかし西の領土に住まう人々はいつ襲撃を受けるか分からない不安に怯えておりますぞ…」
宣教師「もちろん彼らの暴挙は止めなければなりません!
その上で法に則って裁き、罪を償わせるべきだと言っているのです!」
司教「し、しかし…あれだけの事をしてしまった以上、死罪は免れないでしょうから…」
宣教師「そういうことではないでしょう…!
討伐など…まるで一方的に駆除するような名目では人間とホビットの格差が埋まらない…!
あくまで人と同じように裁き、人と変わらない償いをさせなければ平等ではありません!」
司教「びょ、平等?」アセッ
宣教師「…当たり前でしょう。ホビットもこの国の民なのですから!」
司教「は、はぁ…」
宣教師「団長さんにも事情を伺わなければなりませんね…。なにかイヤな予感がします」
557: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/17(火) 22:32:48 ID:JWS0.T.mIE
〜〜〜2日後〜〜〜
―――聖堂(談話室)―――
団長「ホルウィの町以来だな。元気にしておったか?」
宣教師「はい。その節はどうもお世話になりました」ペコリ
団長「いやいや、頭など下げんでくれ?ワシも力になれて良かったと思っている?」
宣教師「おかげさまで修道院の方も順調に続けられているそうですよ?」ニコッ
団長「おぉそうか!領主の不在で町の財政も苦しくなっていたようだが…。
君らが積極的に支援活動に取り組んでくれたとあって今は新しい領主を軸に持ち直しているらしい?まったく頭が下がる話だ…?」タハハ
宣教師「いえいえ、そちらも色々と込み合ってるようですから…助け合うのは当然ですよ?」
団長「まぁ…な。はぁっ…!」
宣教師「疲れが見えますが大丈夫ですか?」
団長「いや…大丈夫だ。今回は少し急だが…西の領土全体を憲兵団で警護する運びとなった。
むさ苦しい連中に囲まれて鬱陶しさを感じるかもしれんが我慢してくれ?」
宣教師「それは構いませんが…ホビットを討伐する動きがあるというのは本当なのですか?」
団長「む?あ、あぁ…そうだな?」オホンッ
宣教師「……」ジトッ
団長「…言いたい事は分かる。だがその件にワシは関われんのだ」ポリポリ
宣教師「王国軍で討伐するのであれば陣頭指揮を取るのはあなたでは…?」
団長「いや…ワシは近衛と憲兵の長だ。王国軍はまた別の軍長が仕切っている」
宣教師「? 王国軍って分かれてるんですか?」
団長「うむ。前王政のややこしい制度でな。反王族勢力が派閥を強くする為に正規軍の指揮権を奪ったのだ」
宣教師「正規軍…とは?」
団長「いわゆる軍の中枢…我ら近衛とは段違いに規模の大きい最大勢力だ。
その行使権は高官が預かっており、豚(※大臣)やアントリアが町や集落を焼き払う時に使っていたのは主にこの王国軍だな」
宣教師「え!?てっきり団長さんがやらされていたのかと!?」
団長「やってたまるか!?なぜワシが罪無き民を殺さねばならんのだ!?」ガァーッ
宣教師「す、すみません…?」アセッ
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