1スレ
少年「ボクが世界を変えてみせる」
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/l10
2スレ
カロル「ボクが世界を変えてみせる」
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1385288769/l10
―――あらすじ―――
それは遠い昔のお話
人と人は長い長い争いに身を投じ、互いを許せないまま30年もの月日を互いの血を流すことに費やしました
しかし長い争いはいつまでもいつまでも終わる気配もなく
人を傷付け、愛を蝕み、心は枯れて、命は絶えて、いつしか疲れ果てて……やがては目的さえ見失ってしまいました
そんな終わらない争いの果てに一つのきっかけが巡るのです
それは人と人との争いに無関心だったホビット族に原因があると唱える迷信でした
その迷信はあまりにも唐突で、あまりにも不自然な内容でしたが痩せ細って震える人々、争いに疲れきった国々はホビットに全てを擦り付けて争いを終わらせようと決めたのです
戦争が鎮まった後、各国に迷信を掲げた王国は大規模な宗教団体を立ち上げました
その団体は教団と呼ばれ、戦争を納めた功労者であるノワール・バントン司祭を筆頭に教徒達による布教活動が開始されました
布教の内容はホビット族が人間から゙癒しの力゙と呼ばれる特別な能力を奪ったというもので……
これを軸に様々な悪評を並べ立てて人々の心にホビット族への憎しみを焼き付けます
ありもしない神の作り話にいざなわれ、人々は信者へと洗脳されていきました
それから約40年の間、教団による布教活動は続き、思惑通り人々は順調にホビット族を差別していました
人間はことごとくホビット族の住み処を侵略し、奴隷にしてみたり、愛玩用に飼い慣らしてみたり、時には残酷な拷問を加えて見世物にしたり、罪深き種族と罵って横暴の限りを尽くします
497: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/17(火) 18:07:29 ID:DGaa3FR.z2
カロル「…お母さま」
母「なぁに?坊や?」
カロル「あれで…よかったのかな」
母「争わなくて済んだんだからよかったじゃない?」
カロル「…でも族長さまが……」
母「えぇ、たぶんあのままだと、じきに集落を追放されるでしょうね」
カロル「そ、そうなの…!?やっぱり戻ろうよ!」アセアセ
母「戻ってどうするの?」ジッ
カロル「」ビクッ
母「今度こそ争いに利用されて多くの犠牲を見守る事になるわよ?」
カロル「っ…!」
母「受け入れなさい…。族長さんもおっしゃってたでしょう?」
母「『どうしたって意見は衝突する。なにもかもが一致して納得に落ち着く事なんてありえない』って?」
カロル「で、でも…あんなに…がんばってたんだよ?みんなの為に…すごく悩んでたのに……」
母「えぇ…でもそんなに伝わってなかったみたいね」
カロル「……!」
母「あの方たちの言い分は少し冷たく感じたけど、あたし達は何もしてあげられない…」
カロル「族長さまを悪者にして…仲間はずれにして…そんなのって……」
母「…もう考えるのはよしなさい?」
カロル「?」
母「辛くなるだけよ…」
カロル「……」
母「今は歩きましょう。あたし達にはあたし達の目的があるんだから?」ポンッ
カロル「…はい」シュン
498: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/18(水) 19:33:33 ID:2wdwrIx/L.
〜〜〜1ヶ月後〜〜〜
―――王都(会議場)―――
高官1「…と、このようにね!なっておると?えー…どなたかここまでで質問、意見などはございませんか?」ペラッ
高官2「ううむ…この西の採掘場についてだが人がなかなか揃わんそうじゃないか?」
高官3「あぁ、私も聞きましたよ。西の首都で領主を務めるディーグ侯爵が鉄鉱石の収集に向けて事業を開拓したらしいが…肝心の採掘場が人里から離れた場所だけに敬遠されてるとか」
高官1「えー…それに関しましては未だ目処が立っておりませんな。
各斡旋所の方にも優先的に紹介するよう指示してありますが」
高官4「それからここ!教団がそこら中で協賛金を募るんで各地の領主が国に納める税金分と領地の財政に苦心していて市政の幅を広げられないとか!」ペラッ
高官5「それもねぇ…困ったものですよ。孤児院と学習院の維持費ばかりに注いで…」
高官6「ですが教団は難民を預かって各地の新事業に豊富な人材を寄越してくれますし、あまり言えませんよねぇ」
役人2「……」ドキドキ
アーダコーダ アージャナイコージャナイ
役人2「(す、すごいなぁ…。これが役人の会議かぁ…。矢継ぎ早に意見を出し合って…全然付いてけない)」
役人2「(役人さん達がこんなに真面目に取り組んでたなんて知らなかったなぁ…。
この前まで国の文句ばっか謳ってたのがなんだか申し訳ないや)」
ヒメ「……」ペラッ カリカリ
役人2「(陛下は何をしてるんだろ?さっきから発言しないで紙に書いてるけど…あ、そうか。
陛下も付いてけないから落書きでもしてるんだ!あんな子供だし、まだしょうがないよな?)」
499: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/18(水) 19:36:02 ID:NA5BbxDVyU
高官1「…だから!そこをどうするんだと聞いてんでしょうが!?」ドンッ
高官2「他人にばっか聞いてないで自分も意見を出したらどうなんだ!?」
高官3「それよりここをどうするんだよ!?
教団から今度は学習院に修学旅行制度を付けさせたいと依頼が来てるぞ!?」
高官4「馬鹿者!そんな無駄な事に予算を使えるか!?」
高官5「税を滞納する輩が増えてるが……」
高官6「あぁ、滞納金もかさんで計画していた予算案にだいぶズレが生じてるな…」
役人2「(お、おいらも何か発言しなきゃ…!)」
役人2「あ、あの!」
高官's「」ジロッ
役人2「さ、さっきの採掘場の件なんですけど…」
高官1「誰か意見はないのか!」
高官2「だから貴様が出せと言ってるんだ!」
高官1「なんだと!?」
高官3「では教団の依頼は却下ですな」
高官4「あぁ!今はどうでもいいだろ!それよりも……」
ギャーギャー ギャーギャー
役人2「(え…?き、聞こえなかったのかな…)」
役人2「あのですね!私が考えますに……」
ギャーギャー ギャーギャー
役人2「……」
役人2「(も、もしかして…無視されてる?)」
ヒメ「……」カリカリ
役人2「(…新米だし、しょうがないかぁ。最初の内は黙って聞いてよ。陛下みたいに落書きでもしてよっかな)」ハァァ
500: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/18(水) 19:39:07 ID:NA5BbxDVyU
ギャーギャー ギャーギャー
高官1「はぁ…どいつもこいつも!陛下はどのように思われますか!?」
役人2「(わぁ…意地悪だなぁ?こんなちっちゃい子に分かる訳ないのに?)」
ヒメ「……はぁ、最終的な判断も出せずにもう僕に喋らせるのか?」
高官1「し、しかし…なかなか意見がまとまらないもので」モゴモゴ
ヒメ「…とりあえず一つずつ消化するか」ピラッ
役人2「(消化…?意味分かって言ってるのかな?)」
ヒメ「採掘場の人員が不足してるなら鉱山付近の環境を改善してみたらいいんじゃないか?」
高官1「改善…とは?」
ヒメ「そうだな…。手っ取り早く労働者専用の居住区を作るなり、採掘場との行き来に関する問題を取り除くとか…」
高官1「は、はぁ…しかし今からとなると時間も労力も……」
ヒメ「その手間を惜しむ間は人員不足は解決を見ないぞ?
すでに問題点が明確化されてるのだから、その改善に努めろ?」
高官1「うっ…」
ヒメ「とりあえずは衣食住の保証からだな。あとは作業の安全性をしっかりと伝えて労働内容に見合う契約条件を検討して……」ペラペラ
役人2「(あれ?す、すごくしっかりしてる…?)」ビックリ
高官2「お、お言葉ですが建設に取り掛かる費用や毎月の出費を考えれば、まだそこまでの余裕は……」
ヒメ「毎月の出費だと?」
高官2「そ、それはそうでしょう!生活の全てをまかなった上で賃金まで出していたら莫大な費用に…」
ヒメ「…あのな?無償で国が全面負担なんて、そんな都合のいい話があるか?
そんなこと始めたら、どこもそうしなきゃいけなくなるし財政が破綻するぞ?」
高官2「で、ではどうするので…?」
ヒメ「居住区を提供するに当たって掛かる負担は労働者の賃金から引くに決まってるだろ?」
高官2「おぉ、なるほど!」ポンッ
ヒメ「時計塔の建設から錬金術なんかの鉄工技術は間違いなく発展しようとしてるんだ。
必要資源の確保は今まで以上に広げないといけない分野で…その為には積極的に労働者の負担を減らした現場環境を作らないと……」クドクド
役人2「(…こ、こんなちっちゃいのに…これだけの役人達と対等以上に渡り合ってる?)」
501: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/18(水) 19:43:54 ID:2wdwrIx/L.
ヒメ「…ていうかな?おまえら、さっきから問題点ばかり挙げてるけど改善策を全く用意してないってどういう事なんだ?」ジロッ
高官's「」ビクッ
ヒメ「毎回口酸っぱく言ってるよな?問題提起はいいけど自分の頭で熟考してから議題に挙げろって?
これだけ頭数が揃ってるんだし誰かが考えてくれるだろ…とでも思ってるのか?」
高官2「そ、そんなつもりは…?」
ヒメ「他人任せで無責任な考え方はするなよ?なんの為の議論だ、これは?」イライラ
高官3「そ、それは当然、現段階で取り組んでいる事柄に……」
ヒメ「だったら時間泥棒するなぁ!?」ダンッ
高官's「ひぃぃっ!」ビクビク
ヒメ「新体制になってから何回目の会議だと思ってるんだ?おまえら何年、役人やってきたんだよ?
毎回毎回リルラ政務官頼りで自分たちは消極的な意見しか出さないじゃないか!?」イライラ
高官1「も、もちろん…考えてはいますが…やはりまずは意見を集めてから…」モゴモゴ
ヒメ「で、結果はどうだ?まともに意見も出さずに問題だけばら蒔いて…口を開けば不毛な言い争いや揚げ足取りばっかり…!
たまに案が出ても失敗したら徹底的に落ち度ばかりを突く……おまえら一体なんなんだ!?」ガタッ
高官's「」ワナワナ
ヒメ「父上が嘆いていたのがよーく分かった!
自分は何もしないクセに他人の足ばっか引っ張るんだな!?
おまえら本当に役人として働いてたのか!?
政務官が抜けた途端になんだよ、この腑抜けぶりは!?」ガミガミ
高官's「……」イライラ
ヒメ「…なんだよ?何か言いたいのか?」
高官1「い、いえぇ…?べつにー?」ヒクヒク
高官2「あーすみませんね?はいはい?」ケッ
ヒメ「言い返せないからってふてくされるなぁ!?」バンッ
高官's「ひえぇっ!?」アタフタ
ヒメ「そうやって都合が悪くなると考えるのをやめて自分の世界に閉じ籠る!?
甘やかされておだてられたお坊ちゃんのまま大人になったおまえら貴族が楽に過ごす為に与えられた席がここか!?
そんな奴らのツケを精算してやるのが民の務めか!?」クドクド
役人2「(ふ、不思議な光景だなぁ…?子供が議場で先頭に立って、これだけの大人を叱るなんて?)」
502: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/18(水) 19:49:18 ID:NA5BbxDVyU
ヒメ「僕はただただ悲しいよ!おまえらなんかに嘲られて無念の内に死んだ父上が……今も国の歪みを産み出した戦犯として民に忌み嫌われているんだぞ!?」ググッ
ヒメ「だから僕が…変えなきゃいけないんだ!
父上がやりたかった事を…民に胸を張っていける国を作らないとダメなんだ…!」
役人2「(…そっか。お父さんを見てるから必死なんだな。
確かに前国王時代は悲惨だったもんなぁ。おかげで暮らしが窮屈だっておっ父とおっ母がいつも愚痴ってたっけ…)」
ヒメ「こんな調子じゃ何も決まらないぞ!
意見が無いにしろ事前に考えを整理してから議題を通せ!
不備を見つけるだけなら誰でも出来るんだよ!?
ここは対策案を検討する為の場だ!!」バンッ
高官's「……」マゴマゴ
ヒメ「つっけんどんに突っかかってヤジ飛ばすのがおまえらの仕事か!?
そんな奴らに民は賛同しないぞ!?税金の滞納!?当たり前だ!!
こんな不透明で無意味な政策に金なんか出してたまるか!?」
高官5&6「むぐ……」プイッ
ヒメ「教団の方がよっぽどよくやってるよ!未だに民は国を信用してないぞ!
それが今のバラついた流れを生み出してるんだよ!?」
高官2「う、うぅん…おほんっ?」
ヒメ「おい!おまえ!教団からの依頼は却下だそうだな?根拠はなんだ?」ジロッ
高官4「ほ?あ、いや…うーん、前向きに検討した結果、無駄な予算と判断……」ペラッ
ヒメ「その書類、貸せ!」バッ
高官4「(や、野蛮なガキめ…!なにも引ったくらんでも…?)」ブツクサ
ヒメ「」バサッ ペラペラッ
503: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/18(水) 19:53:22 ID:2wdwrIx/L.
ヒメ「ふん…修学旅行、か。どういう意図で必要と判断したか、この制度がどのように実を結ぶか…この書類にはなんて書いてあった?」ジロッ
高官4「え?いやいや、陛下が持ってる書類に書いてあ……」
ヒメ「いいから答えろ?」
高官4「は…?で、でしたら一度書類を返していただ……」
ヒメ「前向きに検討したんだろ?なら内容ぐらい理解してるよな?」
高官4「そ、そこまでは覚えてませんよ?」アセアセ
ヒメ「……バカにするのも大概にしろよ?」
高官4「バカになど…?」ムッ
ヒメ「ロクに目も通さずに検討した?趣旨も理解せずに却下?おまえ、活動費用しか見てないだろ?」
高官4「」ギクッ
ヒメ「おまえはどうなんだ?ちゃんと理由があって却下に納得したのか?」
高官3「そ、それは…彼が決めましたので私は一切関与……」アタフタ
ヒメ「ふざけるなぁ!?」ブンッ
高官3「うひっ!?」バッサッ
ヒメ「他人が決めたから自分は関係ない!?じゃあなんの為の話し合いだよ!?
ここで出された議題におまえら全員で向き合って一致した意見を元に政策を作るんだぞ!?」
高官3「ひぃぃっ…」ウルッ
ヒメ「本来ならおまえらが決めた政策の是非に決断を下すのが僕の役目だぞ!?
それなのになんだよ、この体たらくは!?
意見がまとまらないから後はお願いしますだって!?
だったらおまえらがいる意味はなんだ!?
どういうつもりで、その席に座ってるんだ!?」
高官's「……」
ヒメ「…おまえら大人だろ?僕みたいなガキにこうまで言われて悔しくないのか?」
シーン
504: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/18(水) 19:57:36 ID:2wdwrIx/L.
ヒメ「…頼むから、あんまり言わせないでくれよ。
こんな口汚い国王とずさんな役人を見たら民を更に落胆させるぞ?」ハァァ
役人2「……そんなこと、ないです」ボソッ
高官's「」ピクッ
ヒメ「……?」チラッ
役人2「陛下かっこいいです!すんげー立派です!」ガタッ
ヒメ「……」ポカーン
役人2「おいら…正直言って役人や王族なんて怠けモンで贅沢ばっかしてる嫌な連中だと思ってた!
でも陛下はちっこいのにしっかりしてて!もう熱が伝わるくらい張り切ってて!感動したです!!」
ヒメ「ち、ちっこい…?」イラッ
高官1「お、おい!口を慎まんか!」アセアセ
役人2「口汚いのだって全然気にならねーです!おいらだって本当は田舎っぺだから言葉遣いなんか知らんですもん!」
ヒメ「…こいつは?」
高官1「先日、執り行われました選挙で一般市民の投票によって選出された役人でして…この通り、はしたなく無知な愚か者ですが」
ヒメ「ふーん…」
役人2「ネバルって言うんです!よろしくしますです!」ペコッ
ヒメ「…ここまでを通してネバルはどう感じた?」
ネバル「へ?えーっと…なんだかたくさん喋っててスゲーなと!」
高官2「それが陛下に対する口の聞き方か!なんたる下品な…」
ネバル「す、すんませんです」シュン
ヒメ「いい。気にするな。それで?」
ネバル「あ、えと…スゲーなとは思ったんだけど…正直、話に入りにくかったし、いっぺんに色々話すからごっちゃごちゃで難しいです」
高官3「くっ…分かった風な口を…!」ギリッ
ヒメ「…ふふ」クスッ
ネバル「?」
505: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/18(水) 20:01:38 ID:NA5BbxDVyU
ヒメ「僕は次の予定があるから席を外すが…もう一回、話し合え?
一応、気付いた事や僕個人の意見はこの紙に書いておいた。行き詰まったら参考にしてくれ」スッ
ネバル「(あ…!さっきから書いてたのって落書きじゃなくて…会議の経過と意見をまとめてたんだ!?)」ハッ
ヒメ「まったく…普段の会議では政務官がどれだけキレイに仕切ってまとめてくれてたか痛感したよ。おまえ?」ビッ
高官1「え?」
ヒメ「ネバルの言う通りだぞ?議題が一つにまとまらないで意見がバラバラに飛び交うから縺れて訳が分からなくなってた。全員の意識を一つの議題に集中させろ?」
高官1「うっ…はい…!」
ヒメ「それからおまえらは問題の打開策を出す前に次の話に移るのをやめろ。
一度に多くの議題を掲げるのは効率がいいように思えるが、おまえらの能力じゃそれだけの話を合理的にこなせないだろ。時間の無駄だ?」
高官's「くっ…!?」
ヒメ「最後に…おまえ?」
ネバル「はっ…!?」ビクッ
ヒメ「もっと自信を持って発言していいんだからな?その為の会議だぞ?」
ネバル「は、はい……!」ドキドキ
ヒメ「先月に選出されたばかりだし、平民だったおまえからしてみれば慣れない場かもしれないが…発言権は平等にある。
ややこしく難しい言葉はいらない。平民の代表として今まで感じてきた不満や、この先に必要だと思う事を素直に言ってくれ?」
ネバル「わ、分かりました…」
ヒメ「"平民"に発言権を持たせないと考える頭の悪い役人がいるなら…それを議題に挙げるのも手だぞ?」フフン
高官's「」ビクッ
ヒメ「身分なんて飾りに負けるな?民から得た票の数だけ、おまえは信頼と期待を背負ってるんだから!」ニコッ
ネバル「…ははぁっ!!」
高官's「」オロオロ
ヒメ「じゃあ話がまとまったら書類に清書して提出してくれ。後で目を通して吟味しておくよ」ガタッ
ヒメ「…国が繁栄するかどうかはおまえら自身の熱意に懸かってる。時間は有意義に使うんだな」スタスタ
ネバル「(…お、おいら…誤解してたなぁ)」
ガチャッ バタンッ
ネバル「(あんなに頼もしい人が国王だったんだ…。こりゃもっともっと頑張らなきゃな!
おいらが生活を豊かにしてやるって故郷のみんなにも約束したし…うん!頑張るぞ!)」
506: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/18(水) 20:06:05 ID:2wdwrIx/L.
〜〜〜夜〜〜〜
―――城(王宮)―――
ガチャッ
ヒメ「待たせたな?」ストッ
政務官「いえ、とんでもございません。本日の公務もご多忙を極められたかと存じます。
疲れも癒えぬ内から、お呼び出ししてしまい、まことに申し訳ない」ペコッ
ヒメ「うん。この歳で肩こりと偏頭痛に悩まされるとは思わなかったよ。ほんっと疲れるんだな。国王って?」コキッコキッ
政務官「今は亡き父君もさぞ誇らしいでしょう。若き陛下が立派に務めてらっしゃるのですから」
ヒメ「どうかな…?父上は僕に厳しかったから?」
政務官「…現段階での経過ですが」つ【書類】
ヒメ「ん…うん。ご苦労だったな。あちこち飛び回ってもらってさ」パシッ
政務官「お構い無く…とりあえずは平和協定に参加している国々に赴き、交渉して参りましたが…」
ヒメ「…どうせ知らん顔するんだろ?」
政務官「はっ…お察しの通りで」
ヒメ「先日の国連協議でもそうだった。あいつら…僕を子供だと思ってバカにして…!」ギリッ
政務官「南の国は比較的、親しみやすかったのですがね…。
外交官を通さず国王が直接、対話を許してくださいましたし距離を置こうとする動きも見えませんでしたな?」
ヒメ「あぁ、あの国王か!協議の最中、正面に座ってたから言葉を交わす機会も多かったんだ。
あの方はとても親身になってくださるし、物腰も穏やかで話しやすかった!」
政務官「ふむ。我々も離れた席から見守っておりましたので話が弾んでいたのは確認しておりました。親交を深められていたようで何より?」
ヒメ「まぁな…。でもなんで協議の場なのにパーティー風の催しだったんだ?
初めて出席したが…立食形式で普通に酒を飲んでる役人や貴族みたいのもちらほら見たし…あれって普通なのか?」
政務官「基本的には…まぁ協議とは名ばかりのご機嫌伺いですな。
真剣な協議は大きな問題でも起きない限り、滅多に行われませんよ。
陛下の苦手とする貴族のパーティーと同一視してよろしいかと?」
ヒメ「…どこもやる事は一緒なんだな。暇なのか?」
政務官「無論、そういった場に出席する事で様々な要人と交流し、国家間の協力関係を円滑にする意味もありますが。
たとえば皆様が金銀財宝をあしらえた装飾品などを好んで身に付けるのも自国の隆盛ぶりを見せつけ、価値を高く思わせて取り入りやすくするといった手法でもあるのです」
ヒメ「へぇ…」
507: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/18(水) 20:12:51 ID:2wdwrIx/L.
政務官「じきに必要なたしなみとなりましょう。陛下もそろそろ自国のパーティーに出席なされては?」
ヒメ「あのバカ貴族共とか?苦痛でしかない!」
政務官「貴族だからと一括りに侮ってはなりませんぞ。
多彩な教養を受けているだけあり、知識に富んだ方も多くおられる。
特に代々続いている名家ともなれば、その見聞は非常に優れ、世界情勢や流行にも詳しいので外交の上でも役立ちましょう」
ヒメ「近付いてくるのが俗っぽいのばっかだからなぁ…」
政務官「それは残念だ…。では話を戻しましょう。
東の国も外交官伝いでしたが同じく良好な関係を保てそうで……」
ヒメ「うっ…東の国王か」
政務官「…なにか?」
ヒメ「途中で隣の席に着いたんだけど…なんだ、その……妙に肩や腰に触れてくるし息も荒かったし…だらしのない顔で、なんていうか…」ウーン
政務官「でしょうな」
ヒメ「ん?なんか知ってるのか?」
政務官「あのお方は小さな男児を愛でる性癖の持ち主でしてな。美少年だけで構成された東の国の聖歌隊などは有名です?」
ヒメ「……冗談だよな?」
政務官「本人は隠しているつもりでしょうが、いかんせん爪が甘く…。
噴水に全裸の美少年が小便をしているサマを模した像を造らせるなど、異常性癖が各国に筒抜けになっているので、たびたび話題に上がりますな」
ヒメ「……」ドンビキ
政務官「あぁ、そうだ?今度、是非二人きりで食事会をとのお誘いが?
良い機会です。そろそろ陛下も自ら国家間の親善活動に取り組むべきでしょう。
東の国は石膏技術が盛んで町々を繋ぐ道も我が国のように土壌の畦道ではなく、ストーンパネルと呼ばれる石床を敷いた通路に……」
ヒメ「ちょっ…政務官、ちょっと黙れ」
政務官「いかがなさいました?」
ヒメ「まだ整理出来てない。ていうか冗談だろ?」
政務官「はて?冗談?」
508: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/18(水) 20:16:40 ID:2wdwrIx/L.
ヒメ「うん。なんかその…性癖?おかしくないか?
国王ってあれ爺さんだろ?それとも立派な髭蓄えたお婆ちゃんなのか?」
政務官「陛下こそ、ご冗談を?どう見ても男性でありましょう?」
ヒメ「……その、なんだ、つまり、あれか?」シドロモドロ
政務官「重責を負うと色々と不自由になりますしな。
国王ともなればなおさらだ。趣味に夢中になってしまうのも致し方……」
ヒメ「変態、なのか?」オソルオソル
政務官「平たく言えば?」
ヒメ「……じゃあ気安く触れてきたのは…そういうことなのか?」
政務官「収集した情報によりますと東の国王は世界初の"少年王"誕生記念祝典を企画しておられ、画家と彫刻家と建築士を集めて彫像を造る計画を進めているとか」
ヒメ「そんな気色悪い彫像なんか造らせるか!?即刻、抗議しろ!?」ゾゾゾッ
政務官「いや愛されてますな、陛下。おそらくは会食の日を予定しておられるでしょうから祝典にもお呼ばれされるかと。
東の王の好みに関する情報も収集済みですので当日のお召し物は一流の仕立て屋に依頼しておきました」
ヒメ「まてまてまてまて!?なに勝手な事言ってんだよ!?断るに決まってるだろ!?」
政務官「なにをおっしゃる?向こうから親交を計らってくださっているのですぞ?」
ヒメ「願い下げだ!だいたい…東の王妃はどう思ってんだ?」
政務官「東の王妃は生粋の少女愛好家でしてな。
互いに割りきっておられますし、趣味に夢中ですので円満な夫婦関係を保てているそうで?」
ヒメ「ひ、ひ、ひが…東の国は無法地帯か!?西のファルージャがまともに思えてきたぞ!?」
政務官「西の国とは大いに異なる?東の国は至って健全な国家ですとも?」
ヒメ「どこがだ!?」
509: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/18(水) 20:19:45 ID:2wdwrIx/L.
ヒメ「ていうかなんでオレなんだよ!?中性的でもないし、愛嬌もないぞ!?」アタフタ
政務官「まぁ子供ならではの愛嬌やあどけなさとは無縁ですな…。
私はそういった趣味は持ち合わせておりませんので理由は分かりかねるが…?」
ヒメ「そんな気持ち悪い奴と食事なんか出来るか!?」
政務官「……」ジーッ
ヒメ「な、なんだよ?」タジッ
政務官「陛下が着任なされて早2年にもなりましょうか。そろそろ自覚をお持ちいただかねば?」
ヒメ「自覚…してるよ。オレだっておまえに負けないくらい頑張ってるつもりだ」
政務官「本来であれば貴族を毛嫌いし、交流を拒むなど、とんでもない話ですぞ?
上流層の人間は少なからず国に貢献を重ねた功労者であり、国の財政にも大きく影響を及ぼす重要人物達なのです?」
ヒメ「……」
政務官「ただでさえ今は伝承の偽りを公にし、国内外から糾弾を受けているのです。
信用を取り戻し、確固たる協力関係を築かねばならない状況で他国の王からの誘いを断るなどありえませんな!」
政務官「もしこの状況を西の国が知れば…よもや遠慮はしますまい。
貿易など破棄し、根こそぎ奪おうと侵攻を開始するでしょう」
ヒメ「……分かってる。だから…おまえに一任して…」
政務官「私ではなく陛下!貴方が先頭に立っていただかねば!
最後に評価基準となるのは王の器!配下がいかに能力を示そうと諸国は認めないのですよ!?」
ヒメ「っ……」
政務官「王国の権威を示し、対等な国家として渡り合えるよう、私も身を削って各地を飛び回っているのです。貴方にも努力していただきたい」
ヒメ「…分かったよ。東の国王との食事も行くし、パーティーにも顔を出すようにする」シュン
510: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/18(水) 20:23:26 ID:2wdwrIx/L.
政務官「…それからもう一点、申し上げたい懸念事項がございます」
ヒメ「ま、まだあるのか…?」オロオロ
政務官「陛下が捜索している、あのホビットについてですが」
ヒメ「カロルがどうかしたのか…?」
政務官「諦められてはいかがですか?
憲兵団の人員も不足している訳ですし、無駄な労力だ…?」
ヒメ「そ、それとこれとは…」
政務官「2年ですぞ?あれから2年?いい加減に気付いておられるのでは?」
ヒメ「…で、でも!南の領土の港町で見つかってるし、南西の山脈で山間の村から目撃情報も届いて……」
政務官「無駄ですよ、無駄?無意味?不毛?不要?価値のない労力?
貴方が気に掛けるべきは…そんなどうでもいい事ではない?」
ヒメ「なっ…!」カッ
政務官「この国は貴方に懸かってるのですぞ!!」カッ
ヒメ「」ビクッ
511: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/18(水) 20:24:50 ID:2wdwrIx/L.
政務官「確かに巡礼の内乱では…例のご友人に多大なる恩を受けました。
しかしそれも今となってはどうでしょうな?」
ヒメ「なにが…だよ!」ワナワナ
政務官「何も告げずに姿を眩ませ、ことごとく捜索の手を掻い潜り、挙げ句の果てには海に飛び込んでまで逃走……はたして貴方と彼の間に友情は残っているのやら?」
ヒメ「……!」ググッ
政務官「本気で友情があるなら、なぜ姿を消した?なぜ逃げ回る?」
ヒメ「事情が…あるんだ。きっと…しかたのない事情が……」
政務官「ありませんよ。そんなもの?」
ヒメ「」ピシィッ
政務官「事情があるなら伝えておけばいい。それすらしないのはつまり…その程度の関係でしかないと」
ヒメ「あいつはそんな奴じゃない!?」ガタッ
政務官「……」
ヒメ「っ…い、一緒に戦った僕には分かる。そんな奴じゃないんだ」
政務官「…よほど信頼しておられるのですな?」
ヒメ「お、おまえは…よく知らないだろうけどさ。本当に違うんだ…。あいつは他の奴とは違う。
僕に媚びたり、愛想笑いしたり、嘘を付いてまで仲の良いフリなんかしないんだよ…」
ヒメ「バカじゃないのかって思えるくらい素直で世間知らずだしさ…。
自分の事はないがしろにするクセに他人には『自分を大事にして』とか言ってるようなお人好しなんだぞ…?」
ヒメ「だから…なんだろうな。ありきたりな表現だけど…いい奴なんだよ。すごく…いい奴だ」
政務官「…いい奴、ですか」
512: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/18(水) 20:27:36 ID:2wdwrIx/L.
政務官「巡礼の内乱ではホビット族を率いて我々を滅ぼそうとしたそうですがな?」
ヒメ「あ、あれは…しょうがないだろ?あいつのせいじゃない…!」
政務官「しょうがない?あそこまでしておいてしょうがないで済まされると!?」
ヒメ「だったらおまえはどうなんだよ!?アントリアにそそのかされてたんじゃないのか!?」
政務官「っ…そ、それは…」
ヒメ「アントリアみたいな悪党に操られて様々な問題を見てみぬフリしたよな!!
国の歪みも謂われなき差別も…知ってて許容してきたのはおまえらだ!?」
政務官「……!」
ヒメ「これ以上、僕とあいつの関係に口出しするな!?」
政務官「……」
ヒメ「はぁっはぁっ」ワナワナ
政務官「…分かりました。陛下に対する数々の無礼、及び失言をお詫び致します。申し訳ございませんでした」ペコッ
ヒメ「はぁっ…いいよ。僕も興奮しすぎた。
さっきも高官達を叱り付けたばかりだったから感情が抑えられなかったのかもしれない…」
政務官「…そうでしたか。国内の問題は彼らに任せきりですので…私にも責めはありましょう」
ヒメ「いや、おまえはよくやってるよ…。少ない人数で難しい外交をこなしてくれてるのは感謝してる」
政務官「…恐縮です」
ヒメ「おまえの言い付け通り、僕も積極的に親善に取り組むよ。
だから…捜索については…もう少し続けさせてくれないか?」
政務官「構いません。忠告程度に留めるつもりが踏み入った発言になってしまいましたが…陛下が満足なさるまでお続けください」
ヒメ「……東の国王と会食する日取りは?」
政務官「追って伝者を寄越すそうです」
ヒメ「分かった…」
政務官「…では次の予定が入っておりますので、今回の外交成果は先ほど手渡した書類に記載しておきました。ご確認願います」ガタッ
ヒメ「……」ペラッ
政務官「失礼致しました」スタスタ
ガチャッ バタンッ
513: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/18(水) 20:40:43 ID:2wdwrIx/L.
ヒメ「……僕も公務に戻らないとな」ハァァ
ヒメ「暇はないし…年上の役人をまとめなきゃだし…知りもしない奴や変態にまで愛想よく接待しなきゃならないし……」
ヒメ「ほんっと…楽じゃないな。国王って……」フッ
ヒメ「(なぁ、カロル。おまえは今…どこで何をしてるんだ?)」ボーッ
ヒメ「(おまえがいたら、無責任でぜんっぜん中身のない前向きなだけの励ましをくれるんだろうな…。能天気だし?)」クスッ
ヒメ「(そういう奴だよな、おまえは…?宣教師や僕たちを…嫌ったりしないよな?)」ズキンッ
ヒメ「……もう一頑張りするか」スクッ
ヒメ「まずは給仕にイチゴジュースを作らせて…いつも通り、自室で仕分けしよう」スタスタ
ヒメ「途中退席してしまったけど…あいつら順調に話し合えたかな…。
さんざん叱っといたから、さすがにやってるよな。出来上がった書類を確認しないと…」ガチャッ
ヒメ「……」ピタッ
ヒメ「…いろいろ考えすぎておかしくなりそうだ」ハァァ
ギィィ バタンッ
514: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/26(木) 22:02:09 ID:RCXCl5If6k
―――西の領土(関所)―――
パカラッパカラッ
守衛1「む…そこの馬!止まれぃ!?」ザッ
ザザッ ヒヒーン
???「」スタッ
守衛2「通行許可証と身分証明書を?」
???「……」スッ
守衛2「…問題ないな。よし、門を開けろ!」
ギィィィィッ
???「」スタスタ
守衛1「……?ちょっと待て?」
???「」ピタッ
守衛1「……」スンスン
守衛2「どうした?」
守衛1「こいつ…妙に臭うな?」ジロッ
守衛2「た、たしかに…鉄の錆びたような匂いが鼻に突く?」スンスン
守衛1「怪しいな…。所持品を改めさせてもらおうか」
???「」バッ
ヒヒーン パカラッパカラッ
守衛1「うおっ!?」ズサァッ
守衛2「き、貴様!くそっ!門を閉めろ!」
守衛3「お、追え!奴はおそらく例の残党だ!?」
???「クッカカカ…!」ファサッ
マドラス「バカヤローがざまぁねぇな!?」ゲラゲラ
マドラス「待ってろよ、賞金首…!俺からさんざん逃げ回った悪運の強さ…まさか溺れてくたばったりはしねぇだろ!なぁ!?」パカラッパカラッ
マドラス「潮の流れは西の方角…だいたい見当は付く。今度こそケリ付けてやるよ…!クッカカカカカカ!!!」パカラッパカラッ
515: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/26(木) 22:03:42 ID:RCXCl5If6k
―――西の領土(カーリンの町)―――
ズォォォォン
修道女「」ビクビク
教徒「…なん、だ…これ…」アゼン
バッ ドサッ バッ ドサッ
教団員1「はい、こちらへ積んでください!」サッサッ
修道女「ひぃっ…!し、死体が荷物みたいに積まれて…?」
教徒「ひどい匂いだ…。うっ…吐きそう」ウプッ
憲兵5「よし!こっちはあらかた終わったな?向こうを手伝うぞ?」
憲兵6「清掃活動はお任せを…教団の方々は死者の埋葬をお願いします」
教団員2「はい。お任せください」
教団員1「…司祭様に供養していただかないと?君たち、司祭様は?」
修道女「あ、はい!そ、その…?」
教徒「あそこに…?」ビッ
教団員1「悪いが呼んできてもらえるか?」
修道女「分かりました…」
教徒「おえっ…お、お腹痛くなってきた」キリキリ
516: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/26(木) 22:09:47 ID:RCXCl5If6k
ムワァァァァン
修道女「し、司祭様…!」スタスタ
宣教師「…どうしました?それから私は宣教師です?」
教徒「死者の供養をお願いしたいと…」
宣教師「…そうですか」
修道女「あ、あの!」
宣教師「なんですか?」
修道女&教徒「……」グッ
宣教師「黙りこんでいては分かりませんよ?」
修道女「どうするん…ですか?」
宣教師「?」
修道女「こんな事になっちゃって…本当にそれでもホビットを受け入れるんですか?」
宣教師「…どういう意味ですか?」
修道女「だって…これ……見てくださいよ!」
教徒「あ、あちこちに切り離された残骸が落っこちてて…ここまでするのっておかしくないですか?」ブルッ
修道女「頑是無い幼子も老人もお構い無しに矢が刺さって…町中、血の匂いで覆われちゃってるんですよ!?」
宣教師「……」
修道女「これ全部…ホビットの仕業だって言うじゃないですか!?」
宣教師「えぇ、とても…悲しいですよ」
教徒「それに言いたくないですが…この惨事の責任は司祭様に問われると思います。もちろん僕たちはそんな風に思いませんけど…」
修道女「うん…。多分、色んな人が教団の教えに異議を唱えるよ。
だって…今までホビットを遠ざけてきたのに…歩み寄った途端にこれじゃ…?」
宣教師「では諦めますか?」
修道女「え…?」
教徒「諦め…る?」ポカン
宣教師「こんな事になるなら、いっそやめてしまいましょうか?」
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