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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】
[8] -25 -50 

1: ゆったりペースになりますが! ◆WEmWDvOgzo:2014/11/16(日) 20:09:52 ID:N4jwCkModw
1スレ

少年「ボクが世界を変えてみせる」

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/l10

2スレ

カロル「ボクが世界を変えてみせる」

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1385288769/l10

―――あらすじ―――

それは遠い昔のお話
人と人は長い長い争いに身を投じ、互いを許せないまま30年もの月日を互いの血を流すことに費やしました

しかし長い争いはいつまでもいつまでも終わる気配もなく
人を傷付け、愛を蝕み、心は枯れて、命は絶えて、いつしか疲れ果てて……やがては目的さえ見失ってしまいました

そんな終わらない争いの果てに一つのきっかけが巡るのです
それは人と人との争いに無関心だったホビット族に原因があると唱える迷信でした
その迷信はあまりにも唐突で、あまりにも不自然な内容でしたが痩せ細って震える人々、争いに疲れきった国々はホビットに全てを擦り付けて争いを終わらせようと決めたのです

戦争が鎮まった後、各国に迷信を掲げた王国は大規模な宗教団体を立ち上げました
その団体は教団と呼ばれ、戦争を納めた功労者であるノワール・バントン司祭を筆頭に教徒達による布教活動が開始されました

布教の内容はホビット族が人間から゙癒しの力゙と呼ばれる特別な能力を奪ったというもので……
これを軸に様々な悪評を並べ立てて人々の心にホビット族への憎しみを焼き付けます
ありもしない神の作り話にいざなわれ、人々は信者へと洗脳されていきました

それから約40年の間、教団による布教活動は続き、思惑通り人々は順調にホビット族を差別していました
人間はことごとくホビット族の住み処を侵略し、奴隷にしてみたり、愛玩用に飼い慣らしてみたり、時には残酷な拷問を加えて見世物にしたり、罪深き種族と罵って横暴の限りを尽くします


334: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/3(土) 19:00:23 ID:kvfU/LDo0A
ナラ「ひっ…ひっ…」ポロポロ

孤児1「あー兄ちゃん、なかしたー」

孤児2「いーけないんだーいけないんだー」

ルーボイ「う、うっせぇ!こんぐらいで泣きべそかくとかダッセェし!?」アタフタ

ラム「……ルーボイ!」カチャッ

ルーボイ「な、なんだよ?」

ラム「君は言っていい事と悪い事の区別も付かないのかい?」ジッ

ルーボイ「う……お、お前に言われたくねーよ!?」

ラム「……?」

ルーボイ「あんな事したクセに!お前のせいでたくさん死……」

ラム「……!」カッ

パシンッ

ルーボイ「いっ……!?な、なにすんだよ!?」ヒリヒリ

ミシング「頭冷やして来よっか?」ジィッ

ルーボイ「……」ムッ

ミシング「煽っちゃったあたしも悪いよ。でもやっちゃったと思ったら、すぐ謝んなきゃ?」

ナラ「ごめん、ね…?わたし…きにしてないよ?」グシッ

ルーボイ「……」

ラム「謝りなよ?」ジトッ

ルーボイ「っ…!」ダッ

ガチャッ バタンッ
335: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/3(土) 19:02:18 ID:kvfU/LDo0A
―――森―――

ルーボイ「なんだよ、あいつら…!俺ばっか…!?」ググッ

ルーボイ「うっぜぇな!」ゲシッ

ルーボイ「……っぜぇ、な」ウルッ

ルーボイ「っ…っ…!」ポロポロ

ルーボイ「(俺だって…本当は……あんなこと…言いたくなかった…!)」ポロポロ

ルーボイ「ご、めん…!ごめん……」グシグシ

「いいわよォ〜ん?」ザッ

ルーボイ「」ビクッ

女装家「声を殺してかくれんぼ…男の子の頬から流れ落ちる涙は春風吹く季節の知らせネェン?」

ルーボイ「な、なんだよ、おっさん?」ビクビク

女装家「……おっさん?」ピクッ

ルーボイ「なんでおっさんがフリフリのドレス着てんだよ…。気持ちわりぃ……」ドンビキ

女装家「かぁぁぁなしぃぃわぁあああああん………」ガクッ

ルーボイ「は?な、なに?」ビクビク

女装家「切なげに潤む瞳を見ると慰めてあげたくなるのぉ……」ユラリ

女装家「アタシもまた…叶わぬと知って儚い恋に取り憑かれた悲しい乙女なんだもの?」ジィッ

ルーボイ「(なんだ、こいつ)」シラー

女装家「出ておいでぇん?アタシのしもべ達……」バッ

ザザザッ ザザザッ

ルーボイ「は……?」ピクッ

女装家「素直になれないお年頃…しょうがないわよネェン?思春期じゃ?」ニィィ

ルーボイ「マジで…誰だ、お前?」ポカーン

女装家「親愛でダメなら…恐怖で問わせてもらうわぁん?兵隊ちゃーん!」

バババッ

ルーボイ「お、おい…やめっ」
336: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/3(土) 19:04:28 ID:kvfU/LDo0A
―――辺境の教会―――

ナラ「……」グスンッ

ホビット1「あ、あの…ルーボイさん、帰ってきませんね」オドオド

ミシング「ふーんだ?今頃どっかで拗ねてんじゃなーい?女の子を泣かすなんてバッテン満点なんだから?」ジャブジャブ

ホビット1「探しましょうよ…。外も暗いし一人じゃ危ないし……」オドオド

ミシング「……ほっとけばー?頭冷やしたら帰ってくるよ?」キュッキュッ

ナラ「わたし…いく」ガタッ

ミシング「…ナラちゃん、あんま甘やかしちゃダメ?男の子って調子に乗りやすいんだから?」カチャッ

ナラ「わたしが…わるいの。なきむしだから…わるいの」グズグズ

ミシング「……」プイッ

ホビット1「い、行きましょう!僕も一緒に探しますから!」ガタッ

ナラ「ありがと…!」パァァ

ミシング「ダーメ!二人まで迷子になったらどーすんの!」クルッ

ホビット1「で、でも…!」

ナラ「」シュン

ミシング「…交代!洗い物頼んだよ!」タタタッ

ナラ「え?」

ミシング「夜にお散歩していいのは大人だけなのです!えっへん!」ガチャッ

ナラ「ミシングさん…」

ミシング「という訳でお留守番よろしくー!」ダダダッ

ホビット1「あぁ!ちょっと…!」

ナラ「……いってらっしゃい」

ホビット1「一人で大丈夫ですかね…」

ナラ「ミシングさん、じょうだんがすきだけど……ほんとうはせんきょうしさまのつぎに、たよりになるひと」ニコッ

ホビット1「……そうですね」ニコッ
337: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/5(月) 00:05:59 ID:8Hk72Pbgdw
〜〜〜夜〜〜〜

―――森―――

ルーボイ「なぁにすんだよぉ!?縄ほどけよぉぉおお!!!」ジタバタ

女装家「だぁから言ってるじゃないのぉ〜ん?
素直に孤児院の場所を教えてくれたら帰してあげるってぇ〜?」

ルーボイ「うるせぇ!おっさん怪しいんだよ!どう見ても!」

女装家「そうねぃ?アタシの妖しい魅力に共鳴して輝石ルナムーンの指輪が一層美しく光るわぁん?」キラン

ルーボイ「気持ちわるっ…男のクセにジャラジャラすんなよな…」ドンビキ

官吏3「シャルウィン様……」ガサッ

女装家「はぁ〜い?」

官吏3「遊んでいる暇はありませんよ」

女装家「なぁ〜に焦ってんのよぅ?」

官吏3「…ここはあくまでも癒しの力、探索の通過点です」

女装家「堅物ネェン…。娯楽は大事よぉ〜?」

ルーボイ「癒しの力!?」ピクッ

女装家「あらん?らららん?らららのらん?何か知ってるの?」

ルーボイ「お前らカロルを知ってんのか!?」

女装家「カロル?」
338: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/5(月) 00:07:13 ID:5dajqmm1tg
官吏3「おそらく癒しの力を持つホビットの名では?」

女装家「あぁ〜…そういうこと?」

ルーボイ「あいつどこにいんだよ!?」

女装家「アンタのお知り合い?」

ルーボイ「そうだよ!なんも言わずにいなくなりやがって…みんな心配してんだぞ!」

女装家「そぉう?お友達なのねぇ〜?」

ルーボイ「あの野郎……会ったらぶん殴ってケチョンケチョンにして踏んづけてぶん投げて叩きつけて泣かしまくってやんだ!」プンスカ

女装家「……」

官吏3「……」

ルーボイ「あームカつくな…!
あいつの為にみんな頑張ったのに…なんでいなくなんだよ…!」ワナワナ

女装家「…ねぇ、これってどうなの?」コショコショ

官吏3「…どうなんでしょう」コショコショ

女装家「こいつさぁ〜…アタシら側っぽくない?」コショコショ

官吏3「おそらくなんらかの形で仲間割れしたんでしょうな。
うまく取り込んで例の孤児院に案内させましょう」コショコショ

女装家「そうネェン…。こいつ一応、癒しの力と顔馴染みらしいし他の仲間からも情報を……」コショコショ
339: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/5(月) 00:09:29 ID:5dajqmm1tg
ルーボイ「なにコショコショ話してんだよ!?」ギシギシ

女装家「あらん!ごめんあそばせ〜?兵隊ちゃん、縄外したげちゃって?」

西の兵1「はっ!」シュルッ

ルーボイ「……!」パラリ

女装家「手荒くしちゃってゴメちょ!仲直りしましょっか?」スッ

ルーボイ「はぁ!?いきなり木に縛り付けといて…!」カッ

女装家「ヘイ!」バッ

官吏3「はっ!」ゴソゴソ

ルーボイ「な、なんだよ?」

官吏3「最高級の菓子折にございます。どうぞ院の皆さんとお召し上がりください?」つ【菓子折】

ルーボイ「か、かしおり?」パシッ

官吏3「何を隠そう、こちらの御仁は西の宝石商ミスター・シャルウィン…」

女装家「マダムよ、おバカ!」

官吏3「おほんっ……し、失礼しました。このお方は慈善活動家としても広く知られており、今回はそちらの院を見させていただこうと……」

ルーボイ「……」ボケーッ

女装家「…こいつなーんにも分かってないわよ」

官吏3「…とりあえず責任者に会わせていただきたいのですが」

ルーボイ「へ?あ…宣教師様ならいねーぞ!」

女装家「宣教師…?司祭じゃなくて?」

ルーボイ「おう!宣教師様だぜ!」

女装家「……ま、まぁどうでもいいんだけど?じゃあ誰が孤児院を管理してるの?」

ルーボイ「え?ミシ……」

ガサガサ
340: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/5(月) 00:11:08 ID:8Hk72Pbgdw
ガサッ

ミシング「ルーボイくん、見ーつけた!」

女装家「?」チラッ

ミシング「あれれのれ?どちら様?」キョトン

女装家「…宝石商を営んでおります、慈善活動家のシャルウィンと申します?アナタは?」

ミシング「あ、ご丁寧に…?あたしはこの子の保護者です?」ペコッ

女装家「」ニンマリ

ミシング「?」

女装家「そうでいらしたの?
いえね、実はおたくの孤児院を見学させていただこうかと思いまして遠い西の国から遥々やって参りましたのよぉ〜?」ニタニタ

ミシング「そうだったんですか。ご足労くださり、ありがとうございます」ニコッ

女装家「…つきましては院でお話を伺いたく存じますの?道案内をお願いできますかぁ〜?」

ミシング「いいですよ!案内します!」ニコニコ

女装家「」ニンマリ

ミシング「あ、でも…あんまり広い敷地ではないのでお連れの兵隊様には……」

女装家「えぇ、もちろん?」

官吏3「近くで待機させますか…?」コショコショ

女装家「とりあえず、さっきの町でいいわよん。
孤児院なんてガキと女しかいないんだから必要ないでしょ」コショコショ

官吏3「お前たちは橋の向こうの町で待機だ!いいな?」

西の兵's「はっ!」ザザッ
341: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/5(月) 00:14:26 ID:5dajqmm1tg
ルーボイ「……」ムスッ

ミシング「ルーボイくんも一緒に帰ろ?みんな怒ってないから?」

ルーボイ「このおっさん怪しいぞ!」

女装家「……あらーん?」

ルーボイ「俺を木に縛り付けたり、癒しの力がどうこう言ってた!」

ミシング「…そうなんですか?」チラッ

女装家「あら、やぁねぇ…?アレはアレよぉ?森の中に子供一人でおかしいと思ったからぁ〜?」

ルーボイ「そんだけで縛ったりするか、ふつー!?」

女装家「だからすぐにほどいてあげたじゃなぁ〜い?お詫びに菓子折も渡したでしょ?」

ルーボイ「そ、そう…だけど」モゴモゴ

ミシング「ルーボイくんは人を見た目で判断しすぎだよ!変態に見えても立派な人だっているんだから?」

女装家「へ、変態…?」ヒクヒク

ミシング「ごめんなさいね、ウチの子が粗相したみたいで?どうぞ付いてきてください!」スタスタ

女装家「だ、誰が変態よ…!あのブスぅ…!?」ワナワナ

官吏3「まぁまぁ。こらえて、こらえて」ドウドウ

女装家「男から言われるのはまだいいけど…同性に言われるのはムカつくぅ…!!」ギリギリ

ルーボイ「」ジーッ

女装家「……?な、なぁ〜に?」ニンマリ

ルーボイ「」プイッ スタスタ

女装家「な、な、ナニよ、あのガキぃ〜…!?」プルプル

官吏3「不信感を持たれているのでしょう。先ほどを振り返ってみれば当然かと」

ミシング「どうかしました?」クルッ

女装家「あ、いえ〜?な、なんでもござんせんのよぉ〜?」ヘラヘラ

官吏3「よくぞ耐えてくださいました…」

女装家「ムカつくけど…これもオネェ様の為よ」

女装家「オネェ様の……」
342: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/5(月) 00:15:58 ID:5dajqmm1tg
〜〜〜回想(シャルウィン)〜〜〜

ボタッ ボタッ ボタッ

宝石商「へ、陛下…!」パッ

ガシャンガシャン

死体「」

宝石商「皇帝陛下ぁぁああああ!!」

ファルージャ「騒ぐな」

宝石商「」ピタッ

ファルージャ「そやつは腐った肉じゃ?皇帝ではあるまいに?」

宝石商「ふぁ…るーじゃさん?」ビクビク

ファルージャ「"さん"ではなかろうが?痴れ者め?」ヒタヒタ

宝石商「こ、これはいったい…何事で…!?」

ファルージャ「…何事かと問われれば国の一大事と言う他あるまい?」ピトッ

宝石商「ひぃっ!?」ズザッ

ファルージャ「……」サワサワ

宝石商「あっ…へ…あ?」ビクンッ

ファルージャ「…そなた、なかなか艶のよい肌をしておるな……」

宝石商「へあっ…?あ、はぁ…宝飾品を扱う商売柄、見た目には気を使っておりまして…?」

ファルージャ「…ふむ」

宝石商「……?」

ファルージャ「妾に仕えさせてやってもよいぞ?」ニヤァァ

宝石商「……!?」

ファルージャ「そなたの肌は男とは思えぬ程に麗しい?その美容術は妾の物じゃ?」

宝石商「(な、なんだ、この状況は……すぐそばに皇帝陛下の亡骸があるというのに血まみれの女に口説かれている…!?)」

宝石商「(あ、あぁぁれぇぇ……な、なんだかとろけて………)」ボーッ
343: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/5(月) 00:22:21 ID:8Hk72Pbgdw
ファルージャ「……」

宝石商「(あぁ…なんて美しいお顔立ち……醜い私とは大違い……同じ人間と思えない……。
でも……私の肌はこんなにも美しい女性に認められている……。醜い私が……美女に求められている……。
おぞましく異常な空間……皇帝を殺害した女の誘い……迷うべきなのに……まるで答えが決まっているかのように……。
彼女に視線を奪われた時から……自然と言葉が紡ぎ出されている……)」グワングワン

宝石商「お仕え…いたし…ます」ボーッ

ファルージャ「…さようか。名はなんと申す?」

宝石商「シャルウィン…です」

ファルージャ「ほう…シャルウィンか。なんとも愛らしい名よ?」クスクス

宝石商「……ありがたき、しあわせ」ボーッ

ファルージャ「そなたの美しさから学びたい。妾を最高級の女にしておくれな、シャルウィンよ?」

宝石商「私が…美しい?」

ファルージャ「うむ。そなたは美しい。妾の知る誰よりも美しい肌をしておる」

宝石商「……!」

ファルージャ「……?」

宝石商「醜いと言われ続けた私が…このような讚美を受けて……ただただ光栄にございます…!」ウルッ

ファルージャ「…世の中、価値の分からぬ愚者ばかりじゃ。誰も本質を見ようとはせぬ。
美しく生まれようとも家柄や身分に左右され、不当にも愛人の一人にさせられてしまう悔しみ…まことに嘆かわしい…。」

ファルージャ「そなたの気持ちは妾も知るところじゃ。シャルウィンよ」

宝石商「お、おぉ…!」ワナワナ

ファルージャ「…目を綴じるがいい?」

宝石商「は…!?」

ファルージャ「妾に仕えると決意を示したそなたに褒美をとらせよう?」スッ

チュッ

宝石商「っ……」

ファルージャ「クスス……」ニヤニヤ

宝石商「は、ははは…あはぁ〜ん」クラァッ ドタッ

………………
344: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/5(月) 00:25:54 ID:8Hk72Pbgdw
―――辺境の孤児院(居間)―――

ミシング「粗茶になります」コトンッ

女装家「どーも…(粗茶ならいらねーわよ、ブスが!高級な茶葉で淹れろや!)」

ミシング「他国のお客様ということで、まずご説明からさせていただきたいのですが…。
その前に一つ、教団についてはどのような認識を持たれていますか?」

女装家「ま、まぁいろいろぉ〜…?」

ミシング「いろいろ、ですか?」

女装家「えー…あ、アンタなんとか言いなさいよ!」

官吏3「…過去はホビット族の罪深さを世界中に広く知らしめておられましたが、ここ最近でまた見方が変わったとか」

ミシング「はい。私達は間違いを伝え、ホビット族への差別を促してまいりました。
それは何故かと言いますと前司祭様と高官の陰謀が関係しておりまして……」ペラペラ

女装家「(なんの話よ?どうでもいいわねぃ……)」

ミシング「現在では新たな司祭が真実を伝え、こうした貧困救済、みなしごの育成といった活動に向き合って正しく導こうとしております」

女装家「そぉ〜う?素晴らしい活動でいらっしゃいますのネェン?」ニタニタ

ミシング「そこでお伺いしたいのが…この活動への支援をなさる皆様の意思が本物であるか、ということなんです」

女装家「本物、本物ぉ〜?ガチリアルですことよぉ〜?」ニタニタ

ミシング「では簡単な質問をさせていただいてもよろしいですか?」

女装家「……?」

ミシング「貧富の差について、どうお考えになられていますか?」

女装家「それはそのぉ〜…アレよぉ?もうやんなっちゃうわよ?ネェン?」

官吏3「…これから先も抱えていく重要な問題でしょう」

女装家「そうよ、そうよ!もうヤバいんだから!」

ミシング「……」ジーッ

女装家「な、なに?」アセアセ

ミシング「失礼ですけど…本気で考えてくださってますか?」

女装家「(考えてる訳ないじゃないのよ、バカチンが。どうでもいいってのよ)」
345: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/5(月) 00:29:15 ID:5dajqmm1tg
―――2階(子供部屋)―――
ルーボイ「ナラ…さっき、ごめんな」シュン

ナラ「いいの。わたしもわるいから」

ラム「ナラは全然悪くないよ?ルーボイがすぐムキになるからさ?」

ルーボイ「お、お前には関係ねーだろ!俺とナラの話なんだから!」

ラム「僕にまで悪態付いといてよく言うよ?」ジトッ

ルーボイ「なんだよ、コノヤロー!お前がいっつも生意気だからだろ!?」

ラム「生意気ってなに?君より5つ年上なんだけど?」

ルーボイ「うっせー!年上のクセにチビじゃんかよ!」

ラム「うん、そうだね?ホビットの僕じゃ身長も伸びないから君に見下されるかもね?
でも精神的には君なんかよりずっと成長してる自信があるし、君に負ける要素なんか一つもないと思ってるよ?」

ルーボイ「なんだと!」

ナラ「ふたりともやめて!」

ルーボイ&ラム「……」

ナラ「もうなかなおりしたから…」

ルーボイ&ラム「ふん!」

ナラ「あ、そうだ…。ルーボイ、おかしもらったんでしょ?」

ルーボイ「おう!これ!高級なお菓子なんだってよ!」

ナラ「へぇ…!あしたがたのしみだね?」ニコッ

ルーボイ「今、食っちゃおうぜ?」

ラム「ダメだよ?明日のお昼にみんなで分けるんだから?」

ルーボイ「うるせーな!俺がもらったんだからいいだろ?」

ラム「そういうことじゃないだろ?君が受け取っただけで相手はみんなにあげてるんだから?」

ルーボイ「あーもう!いちいち突っかかんなよ!そんなんだからお前、町でしょっちゅう絡まれんだよ!?」

ラム「…じゃあ好きにすれば?明日のお昼にみんなから言われるのは君だしさ?」

ナラ「ルーボイ?ラムのいうとおりだよ?あした、みんなでなかよくたべよ?」

ルーボイ「分かったよ!」プンスカ
346: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/5(月) 00:30:52 ID:5dajqmm1tg
ナラ「ところで、あのひとたち…だれなの?」

ルーボイ「ん?あぁ、あの変態親父か?知らねー?」

ラム「知らねーって…君が連れてきたんだろ?」

ルーボイ「ちげーよ!」

ラム「…慈善活動家って言ってたけど、なんか全然そんな感じじゃなかったよね」

ナラ「うん…。ちょっとこわい」

ルーボイ「そーいや、あのおっさんさ!カロルのこと知ってたぜ?」

ラム&ナラ「えっ」

ルーボイ「癒しの力がどうとか言ってたからカロルを知ってんのかっつったら急に優しくなってよ」

ラム&ナラ「……」

ルーボイ「なんだよ?二人して黙って?」

ラム「おかしいと思わないの?」

ルーボイ「なにが?」

ナラ「いやしのちから…きょうだんと、おうこくのナイショだよ?」

ルーボイ「そうだっけ?」

ラム「…他の国から来た人間がなんで今さら癒しの力に興味を持つのさ?」

ルーボイ「知らねー」ホジホジ

ナラ「せめて…ちりがみ、つかって?」ドンビキ

ラム「…なーんかイヤな感じがするなぁ。気のせいだといいけど」

ナラ「うん…」

ルーボイ「考えすぎだっつの」ピンッ

ラム&ナラ「きたないっ!!」

ルーボイ「」ビクッ
347: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/5(月) 00:32:13 ID:5dajqmm1tg
―――居間―――

ミシング「……では質問は以上になります」

女装家「(あぁ〜疲れた。質問多すぎなんですけどぉ……)」ゲッソリ

ミシング「最初に断っておきますが当院での里親募集は行っておりません。
資金援助といった形でしたら協賛金に組み込み、出資者のお名前を大聖堂の礼拝堂にある掲示板に記入させていただきます。
そうする事で活動家の皆様の多大なる貢献を世間一般の皆々様にもお伝えできる運びとなっております」

女装家「…そうですか」ゲッソリ

ミシング「いかがしますか?」

女装家「じゃあそれで……」

ミシング「いや、それでじゃなくてですね?
資金援助か、もしくは他の院を見ていただくかという事になるんですけども?」

女装家「……」イラッ

官吏3「では資金援助でお願いします」

ミシング「ありがとうございます。では書類をお持ちしますので、どうぞおくつろぎになってお待ちください」ガタッ

スタスタ ガチャッ バタンッ

女装家「なんなの、あいつ……ちょぉ〜ウザいんですけど?」イライラ

官吏3「とりあえず出資者という立場で恩を売って円滑に話を切り出しましょう」

女装家「兵隊ちゃん、連れ戻して脅した方が早くなぁ〜い?」

官吏3「一応、貿易の名目で来ていますから、あまり派手には動けませんよ」

女装家「ちっ…いいじゃない。こんな森の中にある孤児院が無くなったって誰も気付きゃしないわよ?」

官吏3「司祭が直接運営しているのですからまずいですよ」

女装家「じゃあ戦争よ?戦争?文句言うなら国ごと潰しゃいいのよ?」

官吏3「ですから王国は平和協定を結んでおりまして…戦争となれば6国の軍から総攻撃を受けてしまうのですよ」

女装家「…分かってるわよ、そんなの!ジョークに決まってんでしょ!?」
348: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/5(月) 00:34:56 ID:5dajqmm1tg
ガチャッ

ミシング「お待たせしました。こちらが契約書になりますのでご記入お願いします」スッ

女装家「はいはい…」サラサラ

ミシング「ありがとうございます」

女装家「で、さぁ〜?ちょっと聞きたいんですけどぉ〜?」

ミシング「はい?」

女装家「このホビットってどこにいるか知ってますぅ〜?」つ【人相書き】

ミシング「ホビット……あぁ、救い主様ですね!」

女装家「心当たりがあったら話してほしいんですけどぉ〜?」

ミシング「……?なぜ宝石商のシャルウィン様が?」

女装家「アレよ、アレアレぇ〜?癒しの力に興味があってぇ?」

ミシング「え?」

女装家「持ってんでしょ?そのホビットが?」

ミシング「……あなた何者ですか?」

女装家「は?アタシはチャーミング&ビューティーなシャルウィンちゃんだけど?」

ミシング「癒しの力なんてありません」

女装家「は?は?」

ミシング「以前にも同じような噂が流れて救い主様が狙われていました。
癒しの力という幻に踊らされて多くの人間とホビットが犠牲になったんです」

女装家「……」

ミシング「救い主様に癒しの力なんてありませんし、そんな力自体、存在しません。
前司祭様が考えたありもしない作り話です。諦めてください」

女装家「ちょ、ちょっと待ちなさいよぉ〜?」アセアセ

ミシング「最初から、それが目的だったんですね。どうりでおかしいと思った?」キッ
349: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/5(月) 00:38:15 ID:5dajqmm1tg
女装家「……アタシはねぃ?たしかな情報を掴んでるのよぅ?
実際に見たっていう人物にも会ってんだからぁ〜!」

ミシング「じゃあその人が嘘付いてたんでしょうね?」

女装家「あ、アンタねぇ〜!しらばっくれんじゃないわよぉ〜!!」ガタッ

ミシング「癒しの力なんてありません。お帰りください」

女装家「はぁぁ…!?」プルプル

官吏3「シャルウィン様…一度、町へ戻りましょう」

女装家「なぁにいっちゃってんのぉ〜う?
このブス、八つ裂きにしなきゃ気が済まないわぁ〜ん!?」ビキビキ

ミシング「本性表したね。あんた、どこの詐欺師?」

女装家「アタシ〜?アタシは西の国の女帝、魔性のファルージャ様に仕える誇り高き三銃士の一人、女装家シャルウィン様よぉん?」

ミシング「……!?」

女装家「オネェ様に永遠の命をプレゼントする為に派遣されたってワケ?」

ミシング「(ファルージャって確か……悪の魔女っていうおとぎ話の元にもなった暴君女帝……)」

女装家「テンテンパーのツルツルリンなオツムでも事の重大さが分かったよぉネェン?」

官吏3「シャルウィン様…!陛下の名前を出しては……」アセアセ

女装家「問題ナッシング・ガナ・ストップ・マイ・シャインよ!?どうせ今んとこ王国は強く出らんないんだから!?
さぁ吐きなさい!癒しの力はどこ!?どこにいんの!?」ダンッ

ミシング「し、知らないよ!癒しの力なんてないって言ってるでしょ!?」アセアセ

女装家「あぁ〜そ!?あくまでしらばっくれちゃう?じゃあこっちにも考えがあるわよん?」

ミシング「な、なによ、考えって!?」

女装家「兵隊ちゃん達呼び戻して全員ぶっ殺したげる!?」ギンッ

ミシング「は…!?そんなことしてタダで……」

女装家「済むわよぉ〜ん?だって誰が殺ったかなんて分かんないじゃない?」ヘラヘラ
350: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/5(月) 00:40:12 ID:5dajqmm1tg
ミシング「ここには子供たちもいるんだよ!?なんとも思わないの!?」

女装家「かわいそぉ〜って思うけど…ま、いっか!って思っちゃう?」キャピッ

ミシング「サイッテー!!」

女装家「じゃあ優しいシャルウィンちゃんから最後のチャンスあげちゃうわぁん?」

ミシング「……!」

女装家「癒しの力は…どこ!?」

ミシング「し、知らないって言ってるでしょ!?」

女装家「往生際が悪いわネェン?」

ミシング「救い主様のことはみんな探してるけど…本当に見つからないの!」

女装家「あ〜やだやだ?平気でウソつくなんて最低?」

ミシング「あの子はずっと行方知れずになってるの!!」

女装家「……?」

ミシング「巡礼でホビットと王国の争いが収まった直後に姿を消したんだから!?」

女装家「ウソ…?」

ミシング「こんなこと言いたくないけど…生きてるかどうかも分からない…!」

女装家「なに…それ?」

ミシング「分かったでしょう!もう諦めてよ!?」

女装家「ウソじゃ〜なさそうネェン?」

ミシング「ウソなんか付かないよ!
むしろあたし達だって、どこにいるのか知りたいよ!?」

女装家「はぁ〜…めんどくさっ!それじゃしらみ潰しに当たるしかないワケぇ〜?」ゲンナリ

官吏3「そうなりますね」

ミシング「……!」
351: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/5(月) 00:42:10 ID:8Hk72Pbgdw
女装家「じゃあもうアンタに用なんかないわよ!?戻りましょっ!?」

官吏3「はっ!」ガタッ

ミシング「自分の国に帰ってよ!?」

女装家「はぁ〜?帰らないわよ、おバカ?」

ミシング「あんた達みたいに欲の皮突っ張らした人がいるから…なんにも悪くないカロルくんが苦しむのよ!?」

女装家「なにそれ?よく分かんないんだけど?」

ミシング「永遠の命なんてないし癒しの力もない!
あんた達の欲にあの子は関係ない!もうこれ以上巻き込まないで!?」

女装家「……なにこいつ」イライラ

官吏3「……」

女装家「…お仕置きしちゃおっかしら」ビキビキ

ミシング「……!」キッ

女装家「アンタは兵隊ちゃん、呼び戻して?」

官吏3「はっ!」スタスタ

バァンッ!

女装家&官吏3&ミシング「」ビクッ

ルーボイ「そうはいかねぇぜ!」

ナラ「ねーぜ…!」

ラム「話は聞いたよ?」

女装家「あら、かわいいみなしごちゃん達?」

ミシング「み、みんな…!危ないから部屋にいて!?」

ルーボイ「やだ!悪い奴はぶっ飛ばす!」

ナラ「とばす…!」

ラム「……ここはみんなの居場所。僕たちも一緒に守るよ」

ミシング「……!」
352: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/5(月) 00:43:57 ID:5dajqmm1tg
女装家「どうしましょん?ちょぉ〜泣けちゃうんですけどぉ〜!?」シクシク

官吏3「では町から兵を呼んでまいります」スタスタ

トトトッ

ルーボイ「行かせねぇよ!」バッ

ラム「」バッ

ナラ「」バッ

官吏3「どけ!クソガキ!?」ブンッ

ルーボイ「おっ!あぶねっ!」サッ

ラム「」ダッ

官吏3「っ!?」ハッ

ラム「」シュッ

キーン!!

官吏3「あっ…はぐぅ…!?」バタッ

ルーボイ「お、おぉ…!き、金蹴り…!」

ラム「これが一番、楽に仕止められるからね」

官吏3「おっ…おうっおうっ」モゾモゾ

ルーボイ「ひぃ〜…!俺だったら絶対やだ!」

ラム「」パシッ

ナラ「まだ…なにかするの?」

ラム「うん。トドメ刺さなきゃ?」ブンッ

ヒュッ ガツンッ!

官吏3「ぐげっ!?」バタンキュー

ルーボイ「蹲ってるおっさんの頭にガラスのコップぶん投げやがった……」ドンビキ

ナラ「や、やりすぎ…じゃない?」

ラム「どこが?やる時は徹底的にやらなきゃ意味ないでしょ?」

ルーボイ&ナラ「……」
353: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/5(月) 00:45:26 ID:8Hk72Pbgdw
女装家「あらーん?たいしたお坊っちゃん達だこと?」

ミシング「あ、あんたも痛い目に遇いたくなかったら降参しちゃえば?ウチの院の子達は強いんだから!」

女装家「やーよ?こんな恥欠かされて帰れるワケないじゃなぁーい?」

ラム「ナラ!ルーボイ!僕がなんとかするから町の憲兵に知らせてきて!」

ナラ「…え?でも……」

ルーボイ「お前、一人で平気かよ!?」

ラム「平気だよ。このくらいの場面なら、たくさん経験してきてるから」

ナラ「」ゴクッ

ルーボイ「……!」

ラム「ここで子供3人で大人一人を倒すより、食い止めて憲兵を呼んだ方が確実だよ!」

ナラ「わかった…!ラム、きをつけてね!」ガチャッ

ルーボイ「ミシング姉ちゃんを守ってやれよ!」

ラム「うん。ナラは君が守ってあげてね。ルーボイ?」

ルーボイ「任しとけ!」

ナラ「すぐよぶね!」タタタッ

ルーボイ「」タタタッ

ラム「……」ジッ

女装家「…友情ネェン?青春ネェン?」

ラム「カロルくんもここも…お前なんかに奪わせない!」

女装家「…うーん、ハンサム?将来が楽しみネェン?」

ミシング「あ、あたしだっているんだから!」

女装家「うっさいわね?ブスは引っ込んでなさいよ?」

ミシング「あ、あんたに言われたくないもん!」

女装家「ふん…。ま、いいわ。アンタらを片付けて、さっさと町へ戻るとしましょっ?」
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うpろだ
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