1スレ
少年「ボクが世界を変えてみせる」
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/l10
2スレ
カロル「ボクが世界を変えてみせる」
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1385288769/l10
―――あらすじ―――
それは遠い昔のお話
人と人は長い長い争いに身を投じ、互いを許せないまま30年もの月日を互いの血を流すことに費やしました
しかし長い争いはいつまでもいつまでも終わる気配もなく
人を傷付け、愛を蝕み、心は枯れて、命は絶えて、いつしか疲れ果てて……やがては目的さえ見失ってしまいました
そんな終わらない争いの果てに一つのきっかけが巡るのです
それは人と人との争いに無関心だったホビット族に原因があると唱える迷信でした
その迷信はあまりにも唐突で、あまりにも不自然な内容でしたが痩せ細って震える人々、争いに疲れきった国々はホビットに全てを擦り付けて争いを終わらせようと決めたのです
戦争が鎮まった後、各国に迷信を掲げた王国は大規模な宗教団体を立ち上げました
その団体は教団と呼ばれ、戦争を納めた功労者であるノワール・バントン司祭を筆頭に教徒達による布教活動が開始されました
布教の内容はホビット族が人間から゙癒しの力゙と呼ばれる特別な能力を奪ったというもので……
これを軸に様々な悪評を並べ立てて人々の心にホビット族への憎しみを焼き付けます
ありもしない神の作り話にいざなわれ、人々は信者へと洗脳されていきました
それから約40年の間、教団による布教活動は続き、思惑通り人々は順調にホビット族を差別していました
人間はことごとくホビット族の住み処を侵略し、奴隷にしてみたり、愛玩用に飼い慣らしてみたり、時には残酷な拷問を加えて見世物にしたり、罪深き種族と罵って横暴の限りを尽くします
301: 書き納めです。皆さま、よいお年を ◆WEmWDvOgzo:2014/12/31(水) 23:54:40 ID:hTsbsopuA2
ドンッ
神父3「ふぎゃっ!?」ベシャッ
母「マルク!噛みつきよ!!」
マルク「ばうっ!」ガブッ
神父3「ンギャアアアアア!!!」ピョイッ
カロル「……あ、あぁちょっと…!」アワアワ
母「坊や!こっちに来なさい!変態神父はマルクが退治してくれるわ!?」
ガブッガブッ ギャァッ イテェッ
カロル「…マルクっ!!」
マルク「」ピタッ
母「マルクっ!!!!」
マルク「」ガブガブ
神父3「はんぎゃあああ!!いだだだだっ!!!」
カロル「(ごめんなさい、おじさま……)」ガクッ
神父3「イッタァァウウィィイイイ!!!」バタバタ
カロル「(お母さまを説得したら治すから…ちょっとだけ我慢しててね?)」ハラハラ
母「骨まで噛み砕きなさい!坊やに変な気起こしたお仕置きよ!!」プンプン
カロル「(時間掛かるかも……ホントにごめんなさい)」
イタァァァッ!! ガブガブ イタァァァッ!!
302: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/1(木) 00:07:05 ID:Gs0K8eI9OM
>>290
気になったのでPart3まで見てみました!
ただただ商人にムカムカしてます!
グズのエンカウント率が高すぎて僧侶が不備です!
ことごとく善意を利用されて悪者にされていくサマに心底腹立たしさを感じました!
最後まで読んでみます!面白いSSを教えてくださってありがとうございます!
このSSでまとめの名作を連想していただけたなんて光栄です!
支援ありがとうございました!
あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いいたします!!
303: お返事、誤字だらけですみませんm(__)m ◆WEmWDvOgzo:2015/1/1(木) 14:30:59 ID:V/E4S4pAY2
〜〜〜朝〜〜〜
―――港の賭場―――
あらくれ1「んじゃ振りますよ!」ヒュッ
カランコロン
チンピラ「」ドキドキ
あらくれ1「はい、丁です!偶数の方は掛け金、銀20枚ずつの取り分になります!」ジャラジヤラ
チンピラ「んっ…か…かかきき…!」ギリィッ
あらくれ1「では次の勝負、掛け金は銅1000からになります!さぁ丁方ないか!半方ないか!」バシッ
チョウ! チョウ! ハン! ハン! チョウ!
チンピラ「(銅1000だぁ…!?くそっ!足らねぇよ!)」ジャラッ
チンピラ「(夜中に忍び込んでカカアのへそくり抜いた上に義理のオヤッサンに仕事探すから斡旋所に払う紹介料くれっつって頭下げてもらった金だ…。
しくじったら、またうるせぇ小言言われちまう!)」モヤモヤ
チンピラ「(し、しゃあねぇ…。こうなりゃまた親分に……)」
ガッ
チンピラ「んぴょおっ!?」ビクッ
親分「あ?」ヌオオン
チンピラ「ひぃっ!?」
親分「なんだ、なんだ、てめぇ…そんなに俺の顔面が気持ちわりぃと?」クククッ
チンピラ「あ、いや!ちょ、ちょいと負けが込んでたもんで!」アセアセ
親分「だなぁ…。おめぇ、思い詰めた顔してんもんなぁ?」
チンピラ「そ、そこで物は相談と言いますか…?」ビクビク
親分「まぁた借金か?」ジロッ
チンピラ「へ、へぇ…」ゴマスリ
304: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/1(木) 14:33:05 ID:V/E4S4pAY2
親分「…朝っぱらからうちの賭場で遊んでくれんなぁありがてぇし賭場開いた甲斐もあるってもんだ。
おめぇは常連だし、ちょっとやそっと便宜を図ってやっても気は痛まねぇ…」フムフム
チンピラ「マジっすか!?」パァァ
親分「だがよ。今日ばかりはやめときな」
チンピラ「えっ」
親分「どうせカカアや親族からタカった金だろ。借金ばっか増やしてよ…。あんまりカミさん泣かすもんじゃねぇや」
チンピラ「…お、親分にゃ関係ねぇでしょうよ」
親分「おめぇの為に言ってんだぜぇ…?わりぃこたぁ言わん。帰って土下座してよ。まともに職を探しな」
チンピラ「あ、あんたにまで…んな説教されたかねぇっすわ」
親分「まぁなぁ…。俺も札付きのワルだし、おめぇにとやかく言いたかねぇや」ボリボリ
チョウ! ハン! チョウ! チョウ!
チンピラ「(くっ…うぜぇな…!もったいぶってねぇで貸せよ!ケチなギャングスターが!?)」
親分「…おめぇ分かってんのかぁ?次のコマ銭回したらよ……ドボン!だぞぉい?」ヌオオン
チンピラ「…勝ちゃいいんでしょう?」
親分「勝てんのけ?」
チンピラ「勝ちますよ…!」
親分「今までの貸し賃、締めて銀350…ここ過ぎりゃ強制回収の限度額、つまりはドボンだ」チャラッ
チンピラ「……!」ゾクゾク
親分「…いいんかね?今まではおめぇなんぞ、ここ以外に行き場がねぇとタカぁ括って勝ち分から、のんびり回収すりゃいいやと大目に見てやったが……」
チンピラ「いいから!貸してくれ!?」
親分「負けりゃカミさん一家も地獄見るぜ?オヤッサンの小料理屋も潰す気か?」
チンピラ「……俺はやんなきゃなんねぇんだよ!?早いとこ金がいるんだ!?」
305: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/1(木) 14:35:03 ID:V/E4S4pAY2
親分「…なんぞ事情があるんか?」
チンピラ「事情なんかねぇよ!!勝たなきゃ次の勝負が出来ねぇだろうが!?」
親分「ん?」
チンピラ「金が無きゃ博打打てねぇ!だったら取り返して金賭けねぇとよぉ!?」ギンッギンッ
親分「よく広がる目ん玉だなぁ?ギンギンじゃねぇか?」
チンピラ「へへっ!金じゃねぇんだよ!博打してぇんだ!?
生活とか責任とか家族とかかったりぃんだわ!!
コレにのめり込んでりゃ楽しいよなぁ!!楽しいんだからいいよなぁ!?」ハァッハァッ
親分「……」
チンピラ「金寄越せ!?やってやる!勝ちまくってやらぁ!?」ギンッギンッ
親分「…ツキがあるといいな」ジャラッ
チンピラ「あるさ!なきゃねぇで構いやしねぇ!次勝ってやんだ!?」ゴソッ
親分「(おめぇに次はねぇよ)」チラッ
あらくれ1「」コクッ
チンピラ「丁だ、丁!丁!丁!いい感じ!丁!丁!丁!いい感じ!」ジャラッ
ヒュッ カランコロン
306: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/1(木) 14:37:15 ID:bUMFwMnkxE
―――漁港市場―――
ワイワイガヤガヤ
神父3「(お、俺はなんで…こんな所に…)」
カロル「だからね、神父さまは悪い人じゃないんだよ!」カクカクシカジカ
漁師「ふんふん」
カロル「みんなにも教えてあげてほしいんだ?神父さまはいい人だよって!」
漁師「分かった、分かった。港の漁師連中にゃ俺から言っとく」
カロル「うん!ありがとう!」ニコッ
漁師「いいってぇことよ!海の男は義理人情に厚いんだ!」
神父3「(なんでこの少年は俺の為にこんな事を…人探しの旅とは無関係なのに)」
漁師「神父さんよ、安心しな!ここは海の男が背負って立つ港街バンブルだ!漁師が割って入りゃ心配いらねぇさ!」
神父3「は、はぁ…私などの為に感謝いたします」ペコリ
カロル「じゃあ次は広場に行こうよ!」
神父3「…は、はい」
漁師「坊っちゃん、今日はお母ちゃんと一緒じゃねぇんか?」
カロル「うん。お母さまは教会でお留守番!誰かいないと壁に落書きされるんだって?」
漁師「みみっちぃ奴らだなぁ?それとも悪ガキの仕業か?」
神父3「……」
漁師「元気出しなって!もうイタズラなんかさせねぇからよ?」
神父3「はい…」
漁師「頑張ってな」
神父3「……すみません」グシッ
307: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/1(木) 14:40:09 ID:bUMFwMnkxE
―――岸辺の洞穴―――
チンピラ「こ、こりゃ一体なんのマネで?」ギシギシ
あらくれ1「黙りやがれ!」ガッ
チンピラ「ばぐっ!?」バシャンッ
親分「言ったろ?ドボンだよ?」ギィギィ
チンピラ「ぶっうぅ…!」ブクブク
親分「一応、聞いといてやるが返済のあてはあるんか?」ギィギィ
あらくれ1「うらぁっ!?」グイッ
チンピラ「がふっぷぁ!はぁぅ…あぁぁあ」ザバァッ
親分「俺が長剣を研ぎ終えるまでに答えた方が身の為だぞぉい?」ギィギィ
チンピラ「……だ、ダチに」
親分「ほー?分別付かなくなって方々で無心してたおめぇを助けようなんてぇ奇特なダチがまだいるんか?」
チンピラ「……」グッ
親分「よーく考えて物言え?ここが踏ん張りどこってやつだ?」ギィギィ
チンピラ「どう…する気だ?」ハラハラ
親分「腕か足か目か耳か、どれでもいいが一つもらうぜ」ギィギィ
チンピラ「はぁ!?ふざっ」
あらくれ1「らぁっ!!」ガッ
ジャブンッ
チンピラ「」ガボガボ
308: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/1(木) 14:41:59 ID:V/E4S4pAY2
親分「ちっこい国王様が決めたんだとぉ…どっかしら障害持った奴は役場に届け出りゃ毎月、お国のガマ口から補助支援金が下りるとかよぉ…」ギィギィ
あらくれ1「へっ!」グイッ
チンピラ「ぶやぁっ!?」ザバァッ
親分「…よっしゃ。こんなモンだぁな?ギンギラギンにさりげない輝きだぜ?」ギラッ
チンピラ「やめっ…!」ビクッ
親分「んじゃまぁどこにする?選ばせてやんぜ?」スッ
チンピラ「か、勘弁…してください!」ガチガチ
親分「ならねぇな?俺はちゃーんと忠告したぜ?」
チンピラ「一生懸命に…働きます!お金…たくさん稼いで……かえし、ますから!?」ガタガタ
親分「無理だな」
チンピラ「!?」
親分「30過ぎて…妻子もいて…ダチや親族に迷惑かけて…それでもケロッとしてプラプラ遊び歩いてた半端者が長続きするかよ?」
親分「おめぇは口だけだ。そんな野郎は信用しねぇし、そもそも返済を待つ気もねぇ」
チンピラ「後生だ…!」プルプル
親分「おめぇは奈落に落ちるどころか、光の届かねぇ深い海の底に沈むんだ?」
チンピラ「あひぇっ!あふぅわぁあぁうぅぅ……」ポロポロ
親分「言ったろ?ドボンだとよ?」グシシ
309: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/1(木) 14:44:37 ID:bUMFwMnkxE
チンピラ「こ…ころ…り……」ボソッ
親分「どこがいい?なるたけ早めに決めてくれよ?まぁ決まんなきゃ決まんねぇでいいが?」
チンピラ「…心当たりがあるっ!?」バッ
あらくれ1「でけぇ声出すな!?外に漏れんだろうが!?」ガッ
チンピラ「はぶふぅ!?」ジャブンッ
親分「んならぁがっ!?」ブンッ
あらくれ1「ぐぎゃっ!?」バキッ
親分「ぺっ!さっきから話の腰折るんじゃねぇよ?」
あらくれ1「ず……ばぜん」ボタボタ
親分「おい、チンピラ!言ってみろ?」
チンピラ「ぶはあっ!ほ、ホビット!ホビットだ!金2000枚…だっ!!」ザブッ
親分「あぁ、知ってるぜ。俺んとこにも回って来た。そんだけか?」
チンピラ「……」ググッ
親分「とりあえず左腕にするか。派手な方が分かりやすくていい」グイッ
チンピラ「見たんだ!!そのホビットを!?」
親分「」ピクッ
チンピラ「手配書の人相書きと瓜二つだった!!」
親分「…どこにいんだ?」
チンピラ「〜〜〜!」ワナワナ
親分「今さら出し渋るんじゃねぇ!!両腕いくか!?」ギラッ
チンピラ「漁港市場だ!!俺っちの昔馴染みが働いてんとこで見かけた!!」
親分「……!?」ニカッ
310: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/1(木) 14:49:28 ID:bUMFwMnkxE
親分「…間違いねぇか?」ヌオオン
チンピラ「……!?」
親分「間違いねぇんだな?」ギロリッ
チンピラ「……!」コクコク
親分「…あ〜そう?」グフフ
チンピラ「頼む!俺にも協力させてくんないか!?」
親分「ん?」
チンピラ「…分け前はそっちに任せるんで、お願いします!」ペコッ
親分「……」ウーン
親分「(分け前をくれてやっても、こいつはどうせウチに金を落とすしな。協力させて恩を売っとけば後々、脅迫材料になりそうだ…?)」
親分「いいだろ。で、そいつはまだ街ん中にいんのかい?」
チンピラ「わ、わかんねぇ!昨日の晩に宿やら路地裏まで探し回ったが、どこにもいなかった!」
親分「…おう、こら?いつまでもくたびれてんじゃねぇよ?」クイッ
あらくれ1「へ、へい!」ボタボタ
親分「集合かけろ!なんとしても見つけ出すぞ!?」
あらくれ1「あいあいさー!!」ダッ
親分「…チンピラ!てめぇは俺と来い?昨日いた辺りをもっぺん聞き込むぞ!」
チンピラ「ういっす!!」
チンピラ「(うひひ!俺っちにも、まだツキがあるぜ…!)」ニシシ
チンピラ「(分け前さえもらったら、また博打三昧だ!遊びまくるぞーう!)」
311: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/2(金) 23:27:25 ID:kTp6neQotk
―――海沿い広場―――
ゾロゾロ ゾロゾロ
あらくれ1「おう、いたか!」
あらくれ2「いや…ちらほら見たとは聞くんだがよ…」
あらくれ3「おぉい!?しらばっくれんじゃねぇぞ!?」ガッ
通りすがり「し、知りませんよぉ!?」ヒィィ
あらくれ4「居どころが分かったぞ!?」タタタッ
あらくれ1「なにぃ!?どこだ!?」
ザワザワ ザワザワ
あらくれ4「海沿い広場で見かけたってよ!」
あらくれ1「そうか!…ん?海沿い広場はここじゃねぇか?」
あらくれ4「おう!だから捕まえに来たんじゃねぇか?」
あらくれ1「ボケ!隈無く探してみたがいねぇよ!?」
あらくれ4「なにぃ!?神父と一緒だっつわれたぞ!」
あらくれ1「神父?」
あらくれ5「じゃあ教会か!お前、ちょっくら付いてこい?」
あらくれ6「うっし!!」
あらくれ1「んぁ!?てめぇら抜け駆けは許さねぇぞ!?」
あらくれ5「あぁん!?早い者勝ちに決まってんだろうが!?」
あらくれ7「へへ!」ダッ
あらくれ1「あー!?」
あらくれ5「待てコラァ!?」ダッ
ダダダダダッ
312: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/2(金) 23:29:00 ID:kTp6neQotk
―――港の教会―――
母「ふんふふ〜ん」トントン
マルク「」ブルブル
母「待っててね、マルク?ごはん、すぐに出来るから?」トントン
マルク「」ガクガクブルブル
ガシャンッ バリィッ
母「」ビクッ
ズカズカ ズカズカ
あらくれ1「おらぁ!!ホビット出てこいやぁ!?」ズカズカ
あらくれ2「ふん縛ったらぁ!?」ズカズカ
母「な、なに?なんなの?」ビクビク
マルク「」グルルルルル
あらくれ3「お、ホビットだぜ?」
あらくれ4「なんだ、なんだ、メスじゃねぇか!ムラッとすんなぁ、おい!?」
母「な、なんですか!あなた達は!?」
あらくれ5「へへ!賞金は頂いたな!」
あらくれ1「おうおう、待てよ」ガッ
あらくれ5「あぁ!?なんじゃい、ボケコラァ!?」ギロッ
あらくれ1「だぁれダボがぁ!!例のホビットはオスのガキだぁ!?」
あらくれ5「にゃぁにぃをぉぅ…!?」ビキビキ
313: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/2(金) 23:31:05 ID:kTp6neQotk
ガチャッ
親分「おう、見つけたってなぁこいつけ!?」
あらくれ1「違いやす!」
母「だからなんなんですか!?いきなり入ってきて、こんな…憲兵に訴えますよ!?」
親分「メスか…」ジッ
母「…な、なに?」ジッ
チンピラ「親分、こいつ例のホビットの母親だ。昨日会ったから間違いねぇ!」
親分「ほーう?んじゃこいつを人質に取ればガキはゲットだな?」
母「あ、あの……」
親分「あん?」
母「よ、よかったら…お食事召し上がりませんか?息子もすぐに帰ってくると思いますので?」
親分「はぁ?おめぇ状況分かってんのか?」
チンピラ「よく見りゃうまそうな魚がたっくさんあんじゃねぇの!」オホッ
母「漁師の方々から分けていただきまして…あ、お酒もありますのよ!」
あらくれ1「お、気前がいいなぁ?」
あらくれ2「ただ待つのもつまらんし前祝いに酒盛りといきましょうや!」
チンピラ「そういや俺っち、ここ2日、なんも食ってねぇんだよなぁ」グゥゥ
母「お仲間さん達もこうおっしゃってますし?」ニコッ
親分「…言っとくが媚びても勘弁しやしねぇぜ?」
母「…すぐに用意しますね?」ニコニコ
314: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/2(金) 23:33:31 ID:kTp6neQotk
〜〜〜夜〜〜〜
ガチャッ
カロル「ただいまー!修道院まで回ってたら遅くなっちゃった?」
神父3「ホビットの君が言ってくれたおかげで説得力があったようです。
街の人達も分かってくれたし本当に助かりましたよ」
母「あ、おかえりなさい?」
ウグゥ〜 ゴロゴロ ジタバタ
神父3「ひぃっ!?な、なんですか!このあらくれ者たちは!?」
母「あたしもよく分からないんですけど突然押し掛けてきまして…?」
カロル「苦しそう…」ジーッ
母「あぁ、ダメよ?せっかくやっつけたんだから!」
カロル「へ?」
親分「ぢぐじょ〜!おめぇハァメやがったなぁ〜…!?」プルプル
母「昨日会った漁師さん達からお魚とお酒いっぱいもらったでしょう?
それにクーペさんが作ってくれた薬を混ぜて振る舞ったの!」
カロル「な、なんで?」オロオロ
チンピラ「腹いてぇよぉ…!なに…飲ませやがったぁ!?」ギリギリ
神父3「なんなんだ、あんたら…。ここは神聖な教会ですよ?」
親分「そ、その…ガキだなぁ…!?」ギロッ
カロル「」ビクッ
母「坊やになにか用?」
親分「そいつ…捕まえりゃ…金が…!?」ググッ
母「(山間の村の憲兵さんが言ってた偽の情報かしら…?)」
神父3「なにか落ちてますね?」スッ
母「坊やを狙ってる人間が回した手配書らしいんです」
神父3「え?なぜカロルさんが……おぉ!?き、金貨2000枚!?」ビックリ
315: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/2(金) 23:51:17 ID:kTp6neQotk
神父3「(よく見たら酒瓶しか空になってない…。黒焦げの何かが並んでる…)」シゲシゲ
カロル「じゃあもうここにもいられないね」シュン
母「えぇ、早く街を出ましょう」
神父3「え!?今すぐですか!?急ぎすぎじゃあ…!?」
母「仲間が来るとも限りませんから…申し訳ありませんけど後始末、お願いできますか?」
神父3「そ、それは構いませんが……」
母「ありがとうございます。それじゃ……」スッ
神父3「あ、待ってください!それならいい方法がありますよ?」
母「……?」
神父3「港から船が出てます!それに乗れば追っ手も来れませんよ!」
カロル「ふねってなに…?お母さま?」
母「川や海を渡れる乗り物よ?」
カロル「へー!乗ってみたーい!」
母「でも都合よく乗せてもらえるかしら…」
神父3「お二人は漁師さん達から好感を持たれてましたから頼み込めばなんとかなりますよ!」
母「…その方が良さそうね」
神父3「……」
母「…なにか?」
神父3「あ、いえ…なんでも。私は憲兵団に報せなければならないので同行できませんが…お気をつけて」
母「お世話になりました…」
カロル「街の人達とがんばってね!」
マルク「あんっ!」
神父3「こちらこそお世話になりました」ペコリ
ガチャッ バタンッ
親分「うぅ〜…腹いでぇよぉ……」ゴロロロ
神父「……」
316: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/2(金) 23:53:56 ID:7Z2YiUeokA
―――船着き場―――
母「ここかしら…?」キョロキョロ
カロル「誰もいないよ…?」キョロキョロ
マルク「クゥン…」クンクン
ザザザッ ザザザッ
母「え…?」クルッ
憲兵's「」ゾロゾロ
母「……なんで?」
カロル「な、なに?すごい数…?」
憲兵2「見つけました!」ザッ
憲兵長「おぉ!間違いないか!」ザッ
憲兵3「ご協力、感謝します!」ペコリ
神父3「いえいえ、人として当然の事をしたまでですよ?」ニヤニヤ
カロル「あ、神父…さま」
母「どうして…?」ジッ
神父3「君を売って金をもらえば一生、贅沢三昧出来る?救い主に奪われた貴重な時間をやり直せる!?」
神父3「あなた方には恩がありますが…こうなってしまった以上はしかたない!」
神父3「私の人生を取り戻す為に尊い犠牲となっていただこう!?」
母「最低ね、あなた…!?」
神父3「悪いですか?私だって一人の人間です?自分が一番かわいいに決まってる!!」
カロル「……」
317: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/2(金) 23:56:59 ID:7Z2YiUeokA
神父3「許してくださいね…?カロルさん…?」ニヤニヤ
カロル「お金のことはボクには分かんないや…。でも…」
神父3「なんです…?」
カロル「お金があると幸せになれるんだよね?」
神父3「そ、そうですよ!お金は最も簡単に人を幸せにする魔法の道具です!」
母「ぼ、坊や…!このまま捕まったら宣教師様にも会えなくなるわよ!?」
カロル「ボクね、幸せになろうとしてきたけど、そのせいでいっぱい後悔してきたんだ」
神父3「だ、だからなんです?」
カロル「前よりずっと恵まれてるはずなのに…後悔すると、なにかちがうのかなって思っちゃうの」
神父3「……」
カロル「それってホントに幸せなのかな」
神父3「くっ…!け、憲兵さん!早く捕まえてください!逃げられたら懸賞金が……」アセアセ
憲兵長「」スタスタ
母「な、なによ?あたし達がなにしたって言うの!?」
憲兵長「ご無事で何よりでございました!救い主様!!」バッ
母「えっ」
カロル「……?」
憲兵長「我らが主、ヒメ国王が貴方様を国に迎えたいと申しております!」
神父3「す…くいぬ…し?」アゼン
318: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/2(金) 23:58:52 ID:7Z2YiUeokA
憲兵長「無論、貴方様のご意思を尊重致します故、無理にとは申しませぬ!
しかし国王陛下は1日も早く貴方様にお会いしたいと、この1年間、我ら憲兵団を通して捜索してまいりました!」
憲兵長「どうか我々に付いてきていただきたく存じます!」
憲兵's「」バババッ
母「憲兵さん達が…坊やに膝ま付いて…る?」ポカーン
神父3「ど、どうなってんだ…?」
憲兵長「救い主様!どうかお願い申し上げます!!」
母「……ぼ、坊や?」
カロル「……王子さまが探してるんですか?」
憲兵長「いかにも!!」
カロル「なにも言わないで…いなくなったから?」
憲兵長「そうです!!」
カロル「……」
憲兵長「……?」
カロル「…王子さまはボクを嫌ってますか?」
憲兵長「は…?」
カロル「ボクは……ともだちになってくれたみんなを裏切ったんだもの…」シュン
憲兵長「はて…?そのような話は聞いておりませんが?」
カロル「だって…ボク……」
憲兵長「我々は貴方様が国王陛下の"親友"であると伺っております!」
カロル「え?」
憲兵長「この捜索活動も国の行いではなく、国王が個人的に依頼したものであって…貴方様が拒まれた場合は手出しせぬよう仰せつかりました!」
カロル「…ほん……とですか?」
憲兵長「そもそもお怒りなど感じておられぬ様子でしたが……」
カロル「……!」
319: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/3(土) 00:00:52 ID:kTp6neQotk
カロル「あ…う…!」ブワァッ
母「……」ウルッ
カロル「…うっ…えぇぇん……」ポロポロ
憲兵長「救い主様!?」
カロル「よかっ…たぁ!ボク……ずっと、ずっと…えぐっ…!」グシグシ
憲兵長「……!?」
カロル「ひっ……うぅ…」ゴシゴシ
母「坊やも会いたがってたものね…?」ナデリ
カロル「ゔん…!だって…きらわれてたら、どうしようって…!こわくて…!」グズグズ
憲兵長「…この国を変えてくださった貴方様を誰が忌み嫌いましょうか?
陛下のみならず我々にとっても貴方様は感謝の対象にございます!」
カロル「……っ」グスッ
母「…罪人として指名手配されてたんじゃなくて探してくださってただけだったのね」ナデナデ
カロル「お…かあさま」ジッ
母「なに?坊や?」
カロル「会いに…いきたい?」ウルウル
母「行きたいじゃなくて…行くのよ?」ニコリ
カロル「…えへへ」ニコッ
母「もうあなたに我慢なんてさせないわ?自分の思うままにすればいいの?」ニコニコ
カロル「うん…!」ニコニコ
憲兵長「おぉ!それでは……」
カロル「王子さまに会わせてください!!」
憲兵長「もちろんでございます!!」
スクイヌシサマ! スクイヌシサマ! スクイヌシサマ!!!
神父3「あ…あ……あぁ」ヘナヘナ
320: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/3(土) 00:04:04 ID:7Z2YiUeokA
憲兵長「では明日の朝に王都へ向けて出発しましょう!こちらで手配致しますので!」
母「よろしくお願いします」ペコリ
カロル「おねがいします!」ペコリ
マルク「わんっわんっ」シッポフリフリ
神父3「お、おれ……なんてことを…」ズシャッ
神父3「また…やってしまった…」ズーン
ズバッ ドバッ ギャアアアアア
ドサッ ドサッ バタッ
神父3「え……」ゾクッ
憲兵?「」ニヤリ
憲兵長「……なんだ?何かあったか!?」クルッ
憲兵2「き、貴様…いきなり何を……ぐはっ」ザシュッ
ドサッ
マドラス「……何をも何も予定通りさ?なぁ?」ピシャッピシャッ
憲兵?「はい」ジャキッ
憲兵長「……!」
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