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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】
[8] -25 -50 

1: ゆったりペースになりますが! ◆WEmWDvOgzo:2014/11/16(日) 20:09:52 ID:N4jwCkModw
1スレ

少年「ボクが世界を変えてみせる」

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/l10

2スレ

カロル「ボクが世界を変えてみせる」

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1385288769/l10

―――あらすじ―――

それは遠い昔のお話
人と人は長い長い争いに身を投じ、互いを許せないまま30年もの月日を互いの血を流すことに費やしました

しかし長い争いはいつまでもいつまでも終わる気配もなく
人を傷付け、愛を蝕み、心は枯れて、命は絶えて、いつしか疲れ果てて……やがては目的さえ見失ってしまいました

そんな終わらない争いの果てに一つのきっかけが巡るのです
それは人と人との争いに無関心だったホビット族に原因があると唱える迷信でした
その迷信はあまりにも唐突で、あまりにも不自然な内容でしたが痩せ細って震える人々、争いに疲れきった国々はホビットに全てを擦り付けて争いを終わらせようと決めたのです

戦争が鎮まった後、各国に迷信を掲げた王国は大規模な宗教団体を立ち上げました
その団体は教団と呼ばれ、戦争を納めた功労者であるノワール・バントン司祭を筆頭に教徒達による布教活動が開始されました

布教の内容はホビット族が人間から゙癒しの力゙と呼ばれる特別な能力を奪ったというもので……
これを軸に様々な悪評を並べ立てて人々の心にホビット族への憎しみを焼き付けます
ありもしない神の作り話にいざなわれ、人々は信者へと洗脳されていきました

それから約40年の間、教団による布教活動は続き、思惑通り人々は順調にホビット族を差別していました
人間はことごとくホビット族の住み処を侵略し、奴隷にしてみたり、愛玩用に飼い慣らしてみたり、時には残酷な拷問を加えて見世物にしたり、罪深き種族と罵って横暴の限りを尽くします


216: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/17(水) 22:56:53 ID:02Flk6/uEY
宣教師「私が院を見る際に決め手としているのは子供たちの表情です」

宣教師「子供は良くも悪くも素直で無垢なもの…。楽しければ笑いますし、つまらなければ退屈そうにしています」

宣教師「…そして辛ければ浮かない顔をするものです」

院長8「……」

宣教師「敷地内を見渡してごらんなさい」

キャッキャッ キャッキャッ

院長8「……」

宣教師「隅々まで笑い声が響き、走り回る子供たちの姿が見えますね」

院長8「…は、はい」

宣教師「彼らにとって、ここは素晴らしい人生の始まり…。
前向きに生きていく上で欠かせない…喜びに満たされている」

宣教師「良いか悪いかを決めるのは私ではありません。もしも運営に迷いが生じた時は子供たちの表情を見てください?」

宣教師「大人のようにうまく嘘を付けない彼らは正直な答えを出してくださいますよ?」

院長8「…は、はい!」パァァ

宣教師「……?」

院長8「ど、どうかなさいました?」

宣教師「どなたか敷地内に入ってきましたが…確か昨日の…?」

院長8「……あっ!領主の召し使いです!また…!」

宣教師「領主の?なぜこちらに?」

院長8「じ、実は……」
217: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/17(水) 22:59:16 ID:.ni3VxVP3g
宣教師「なんですって…!?この院を取り壊して大型の宿泊施設を…!?」

院長8「そうなんですよ…。維持費に食費、学育費のかさむ孤児院は町にはいらないと言われまして」

宣教師「そんな横暴がまかりますか!子供たちの居場所はどうなるのです!?」

院長8「ここは国を通さず直接、領主の援助で運営しておりますし…町の財政を握ってるのは領主なのでなんとも……」

宣教師「…何が周辺の援助も惜しまない、ですか!」ギリッ

ガチャッ

司会「仕事もせずに屋上でダラダラ無駄話ですか。いいご身分ですよねぇ?」スタスタ

院長8「あ、いや……」アセアセ

宣教師「」キッ

司会「ん?あんた誰だ?」

院長8「こ、この方は司祭様です!」

司会「あぁ…約束の時間に遅れてきたクセに金を無心して、おまけにご主人様を怒鳴り付けた偽善者か」

宣教師「……!」

司会「まだいたのかよ?やっぱりご主人様に貰える金が惜しいか?」ニヤリ

宣教師「誰が…!」イラッ

司会「まぁいいですわ」プイッ

宣教師「……!?」イラァッ
218: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/17(水) 23:00:24 ID:02Flk6/uEY
司会「それよりいつになったら立ち退いてくれんの?てかガキ増えてね?」ジロジロ

院長8「あ、いや、そのぉ…なんとかなりませんかね?」オロオロ

司会「ならない、ならない。もう決まっちゃったから」

宣教師「当事者の院長さんを通さずにもう決まったとはどういう事ですか!」

司会「いや、うるさいから。関係ねぇから」

宣教師「関係ない…!?」ヒクヒク

司会「とりあえず3日以内にどっか行ってよ。なんなら別の町に行ってくれてもいいし、てかその方が楽だし」

院長8「そんなぁ…?困りますよ……」オロオロ

司会「いや、困るのこっちだから。ここにいられると予定が遅れるのよ?
それにご主人様も援助打ち切ってるから運営無理でしょ」

宣教師「お待ちなさい!そのような勝手は私が許しませんよ!」

司会「は?なに?まだいたの?」

宣教師「院長の意向を無視して無理やり立ち退かせるなんてとんでもない話です!
この院が無くなってしまったら子供たちは行き場がなくなるのですよ!?」

司会「」シッシッ

宣教師「はい…!?」

司会「話に入ってこないでもらえる?てか邪魔?」

宣教師「はぁ…!?」イライラ

院長8「……」オロオロ
219: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/17(水) 23:01:49 ID:.ni3VxVP3g
宣教師「あ、あなたねぇ…!?」

司会「なんかもう変なのいるから話になんないわ。んじゃ立ち退いてくれるって感じで報告しとくからよろしく」スタスタ

院長8「え!?」

宣教師「〜〜〜!?」ワナワナ

ガチャッ バタンッ

宣教師「あ、あれはなんなんですか…!?」プルプル

院長8「す、すみません!司祭様まで巻き込んでしまって…!?」オロオロ

宣教師「あなたは悪くありません!それよりもあの男、全く話が通じないじゃないですか!?」

院長8「そうなんですよね…。領主側の人達って理屈とか良識がないんで…あれこれ言いたい事だけ言って後は強引に押し進めちゃうんですよ」ガックリ

宣教師「今までたくさんの人を見てきましたが…あそこまで救いようのない性格は初めてですよ…!
言い逃れや屁理屈を並べるのであれば、まだ正せますが…あれではそもそも会話が成立しないじゃないですか!」イライラ

院長8「まぁあの人達に限らず、最近はそういうの多いですよ。我慢するしかないんです…」ションボリ

宣教師「いいえ!我慢なりません!宿泊施設の建設などやめさせます!」プンスカ

院長8「出来るんですか…?一応、民家や商店以外の町の施設は領主の管理に委ねられてますし、よほどしっかりした反対理由がないとごり押しされてしまいますよ…?」

宣教師「っ…確かに観光客が賑わうこの町には大きな宿が必要でしょうし反対する理由もないでしょうが…!
それにしたってあんな一方通行なやり方が許されていい道理はありませんよ!」

院長8「…そうなんですけど実際、町民の賛成意見も多いんですよね。
領主の采配で貧しかった町にお金が流れて皆の生活も豊かになったんで…もっと贅沢出来るかもと期待してるようで」

宣教師「その為に子供たちがどうなっても構わないと!?」

院長8「……」

宣教師「あなたもあなたですよ!なぜ強く言い返さないのですか!?
子供たちを守ってあげたくはないんですか!?」

院長8「そうなんです。自分が不甲斐ないばかりに……」ションボリ

宣教師「…でしたら訴え出ましょう。こうなれば徹底抗戦です!」

院長8「は、はいぃ…」モジモジ
220: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/17(水) 23:04:12 ID:02Flk6/uEY
〜〜〜夕方〜〜〜

―――憲兵団・ホルウィの町支部―――

憲兵2「…うーむ」

院長8「」ドキドキ

憲兵2「…申し訳ないんですが我々は市政に関わってないので…」

院長8「そ、そうですよね…」ガックリ

憲兵2「役場に行っていただいて明確な反対理由を詳細にまとめて提出し、反対の署名を集めるのがいいのでは?」

院長8「わ、分かりました…!ありがとうございます!」ムクッ

憲兵2「いえ、頑張ってくださいね?」

院長8「はい!」
221: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/17(水) 23:05:01 ID:.ni3VxVP3g
―――町役場―――

受付「あぁ……ダメですね。もう申請が通ってるんで?」

院長8「え!?」

受付「この書類をご確認ください」ペラッ

院長8「……!」マジマジ

受付「手続きも無事に済んでますし」

院長8「し、しかし自分はサインなんてしてませんよ!」

受付「(めんどくせぇなぁ)」

院長8「お、お願いします!このままでは預かってる子供たちも一生懸命働いてる職員も路頭に迷ってしまうんです!」

受付「無理なもんは無理です。お帰りください」

院長8「そんなぁ…!」ウルッ
222: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/17(水) 23:05:54 ID:02Flk6/uEY
―――ホルウィの町(住宅地)―――

町人1「はぁ?孤児院を残したいから署名してくれ?」

院長8「み、皆様の一筆が子供たちを救うんです!どうかお願いします!」ペコペコ

町人1「嫌だね!あそこのガキんちょがうるさくて昼寝出来ないんだよ!」

院長8「そ、そんなぁ…お昼以外はお勉強や教本の読み聞かせ、お祈りに食事に就寝と院内に籠ってますし…」

町人1「うるせぇもんはうるせぇんだよ!」

町人2「ふん…あんたらが変な規律を作るからウチの子は孤児院の前を通れないんだよ!
おかげで毎回、遠回りして修道院に通ってんだぞ?」

院長8「そ、それは…前に町の子たちが柵越しに集団で院の子供をからかったので…立ち入りを禁じないと」

町人2「からかった!?ウチの子がからかったってか!?」

院長8「あ、いや…その…」マゴマゴ

町人3「大体よ!あんたらは俺達の税金で運営してんだろ!?
なんで俺達が働いた金でどこの誰だか分からん他人のガキを養ってやんなきゃなんねぇんだ!?」

院長8「い、いや、あの…た、助け合い……」シドロモドロ

町人4「助け合いかぁ。じゃあ俺達、生活苦しいし金に困ってるから院を潰してくれよ。そうすりゃ負担が減るから」

町人1「そうだよ!それがいいよ!」

町人3「でかい宿が出来れば観光客も増えるし町全体が活気立つよな!」

町人2「金ばっか掛かる孤児院なんかいらねぇよ!領主様に任せりゃいいんだ!」

院長8「そ、そんなぁ〜…!?」ウルウル
223: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/17(水) 23:06:39 ID:.ni3VxVP3g
〜〜〜夜〜〜〜

―――ホルウィの町(教会)―――

院長8「ダメでしたぁ…!」グスッ

神父2「まぁまぁ?気を落とさずに?」

院長8「自分が優柔不断だから…!もっと早くに対応してたら…!」グズグズ

神父2「そんなことないですよ?
いつも散歩がてら拝見してますが院長として、しっかりやってるじゃないですか?」

院長8「でも…!全然…なんにもできなくて…!」ヒーン

ガチャッ

神父2「おや、司祭様。おかえりなさい」

院長8「ひぃっ!?すみません!すみません!ダメダメですみません!」ペコペコ

宣教師「え?ど、どうしたんですか?」オロオロ

神父2「駆けずり回ってみたそうなんですが…あまり芳しくなかったようで」

院長8「自分のせいで子供たちがぁ!職員がぁ…!もうおしまいだぁ!?」ヒーン

宣教師「…薄情な方ばかりですね。『自分が良ければそれでいい』ホルウィの精神が根付いてしまってますよ」

神父2「かわいそうですが…このままでは本当に……」

院長8「言わないでくださいぃ…!お願いだからぁ…!」ウワーン

宣教師「……」

ガチャッ

司教「ただいま戻りました」

修道女「遅くなってすみません!」

教徒「言われた通り、町の方々に聞いて回りましたよ!」

宣教師「ご苦労様です。ではお茶を入れて一息付きましょうか?」ニコッ

院長8「え…?」ポカン
224: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/17(水) 23:08:25 ID:.ni3VxVP3g
院長8「そ、そういえば皆さん…今までどちらに?」オロオロ

神父2「町民の皆様に領主の話を伺っていたそうですよ」

院長8「そ、そうなんですか?」

宣教師「言いましたよね?徹底抗戦すると?」

院長8「は、はぁ」

宣教師「何か分かりましたか?」

司教「それがもう…」

修道女「じゃんじゃん出てきましたよ?」

教徒「黒い噂があちこちに散らばってましたね」

宣教師「やはりそうですか。あのような人柄で慕われている訳がありませんよね」

司教「あくまで噂なのですが…毎月行われる様々な大会。
町民の間では領主が勝敗を操作してるんじゃないかと疑われているようで」

宣教師「と言いますと?」

司教「…仮装大賞も舞踊コンテストも審査員は領主の息が掛かった連中だそうで。
剣術大会は審査員こそいませんが毎回、ウッド・ヴァージスという猛者が優勝しており、そのヴァージスが領主邸に出入りするのを何度か目撃してる町民もいると」

宣教師「あぁ…決め付けはよくありませんが絶対にやってそうですね」シラー

教徒「お金に物を言わせて女の人を取っ替えひっかえしたり、高級な装飾品や衣類を買い与えてるとも聞きました」

宣教師「これはまた想像通りな……」シラー

修道女「あと外の方の情報ですと元は北の領土で商いをしてたみたいで…ごろつき崩れを率いて押し売りをしたり、安物の果実酒などを言葉巧みに高額な値で売り付けたり悪質な商売をしてたそうです」

宣教師「…詐欺師じゃないですか。お金を稼ぐ努力が聞いて呆れますね……」シラー

院長8「そんな奴に自分の孤児院が潰されるなんてぇ…!?」ワシャワシャ

神父2「まぁまぁ?司祭様がなんとかしてくださいますよ?」

宣教師「えぇ、とりあえず有力な情報も得ましたし、なんとかしてみましょう」

院長8「ほ、本当ですか!?」

宣教師「えぇ。先ほど手紙を送って強力な助っ人も呼びましたので」

院長8「じ、自分よりお若いのになんて頼もしい…!」

宣教師「まずは三日後…取り壊しをさせないように交渉しなければなりませんね」
225: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/17(水) 23:11:00 ID:.ni3VxVP3g
〜〜〜朝〜〜〜

―――ホルウィの町(領主邸)―――

ホルウィ「なぁにもこんな早朝に訪れずとも…」ムニャムニャ

宣教師「……」

院長8「……」

ホルウィ「先日のお詫びでしたら床に這いつくばってあたくしの足の指の汚れを一本ずつ丁寧に舐め取っていただくだけで結構ですよ?
そうすれば協賛金の寄付も、もう一度だけ考えて差し上げても……」フフン

宣教師「あなたバカですか?」

ホルウィ「は…!?」ビキィッ

宣教師「協賛金はいらないと申し上げた筈です。今日は折り入って相談があって来ました」

ホルウィ「ん、んだと…このアマァ…!?」ビキビキ

宣教師「孤児院の取り壊し計画を中止していただきます」

ホルウィ「はぁ!?」

宣教師「孤児院の運営に関しては教団でも資金提供しておりますので例え町の資産であっても私を通さなければいけませんよね?」

ホルウィ「ぐむっ…!だ、だがあくまで運営者の意向が重要だろ!」

院長8「じ、自分は反対です!孤児院を続けたいです!」

ホルウィ「誓約書にサインしたじゃないか!?」

院長8「してません!勝手に書かれたんです!」

ホルウィ「ひ、開き直りか?見苦しい奴だ!」

宣教師「見苦しいのはあなたです。おおかた町役場の役員も手懐けているのでしょう?」

ホルウィ「し、しし知らんなぁ?なんのこっちゃ分からん?」

宣教師「いけませんよ。ズルは?
私は憲兵団とも親しくしてますので、いざとなれば偽の誓約書を暴いてあなたを牢屋送りに出来ますからね?」

ホルウィ「むぐぐ…!」ギリギリ
226: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/17(水) 23:13:49 ID:.ni3VxVP3g
院長8「決して保身的になってる訳じゃありません!子供たちの為に必要なんです!」

ホルウィ「だ、黙れ!ガキたちが必要でも町には要らないんだよ!」

院長8「どうか御慈悲を!この通りです!」ガバッ

ホルウィ「土下座したって一銭にもならないんだよ!そんなに残したきゃ教団だけで運営しろ!」

宣教師「そうしたいのは山々なのですが生憎、こちらもそこまでの余裕はありません」

ホルウィ「じゃあ諦めろ!どっちみち俺が金を出してやらなきゃ潰れんだからよ!」

宣教師「そこでもう一つ相談です」

ホルウィ「は…!?」

宣教師「毎月、開催されている大会…あれに私達も出たいのですが?」

ホルウィ「なんだとぉ…!?」

宣教師「特に参加制限はありませんよね?」

ホルウィ「勝手にしろ!どうせ優勝なんか出来ねぇよ!」

宣教師「そこで私達が勝ったら…孤児院の取り壊しを撤回してください」

ホルウィ「あぁん!?」

宣教師「おやおや?それは自信の無さから来る虚勢ですかね?」ニコッ

ホルウィ「…だ、誰が!?」

宣教師「いえいえ、いいのですよ。こちらが出場して賞金を総取りされては叶いませんもんね?」ニコニコ

ホルウィ「だぁぁ!うるっせ小娘がぁ!?やれるもんならやってみろ!?」

宣教師「ではその方向で?」ニコニコ
227: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/17(水) 23:15:29 ID:02Flk6/uEY
ホルウィ「(審査員は俺の手下だし、剣の部門にはヴァージスが控えてるんだ…。こいつらの優勝はありえねぇ!)」ニヤリ

院長8「だ、大丈夫…なんですか?」オロオロ

宣教師「余裕ですよ。この肉まんをぎゃふんと言わせましょう?」ビッ

ホルウィ「誰が肉まんじゃボケおらぁ!?」ガァーッ

宣教師「あなたですけど?」

ホルウィ「くぁwせdrftgyふじこlp!!!!」ビキビキ

院長8「ひぃっ!やめましょ?もう帰りましょうよ!」アワアワ

宣教師「やーい、肉まん」

ホルウィ「ウボロロロロ!!!!!」ガシッガシッ

院長8「とうとう鈍器を持ち始めましたよ!?まずいですって!?」

宣教師「逃げましょうか。それでは1ヶ月後にまたお会いしましょう?」ガタッ

ホルウィ「卯がぁららららからカラカラ!!!!!」ブンッ

ドンッ

院長8「ひぃっ!?カップとか灰皿投げてきてますよ!?」タタタッ

宣教師「オチャメが過ぎましたね」テヘッ

ガチャッ バタンッ ドンッ ドンッ
228: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/17(水) 23:16:40 ID:.ni3VxVP3g
〜〜〜夜〜〜〜

ヴァージス「わざわざ呼びつけて…どうしたんです?」

ホルウィ「ふーっ…ふーっ…!」イライラ

司会「」カチャカチャ

メイド「」カチャカチャ

ヴァージス「ずいぶん荒れてますねぇ、旦那?使用人総出で片付けですか?」キョロキョロ

ホルウィ「殺せ…!」

ヴァージス「…は?」

ホルウィ「来月の大会に教団の連中が出場する…!殺しちまえ!?」

ヴァージス「…お断りだ?いくらなんでも殺しは出来ねぇよ?」

ホルウィ「優勝賞金…やる!お前に!」

ヴァージス「……?」

ホルウィ「来月の賞金は返さなくていい!まるごとくれてやる!」ギョロリ

ヴァージス「目が血走ってますぜ?」クククッ

ホルウィ「試合とはいえ決闘だ…!不慮の事故は仕方ねぇだろ!誰も殺したなんて思わねぇよ!?」

ヴァージス「……」

ホルウィ「どうすんだよ!?おぅ!?」

ヴァージス「……金と引き換えに人殺し、か」

ホルウィ「出来ねぇたぁ言わせねぇぞ!?今までどんだけ金を積んできたと…!?」

ヴァージス「引き受けよう」

ホルウィ「…お、おう?そ、そっかぁ!だよなぁ?うんうん!」アセアセ

ヴァージス「大金積まれちゃ断り切れませんわ?人の命は金に劣りますからねぇ…?」クククッ

ホルウィ「やっぱりお前は分かってるよぉ…!」ニタァァ
229: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/17(水) 23:18:08 ID:02Flk6/uEY
〜〜〜大会当日〜〜〜

―――ホルウィの町(広場)―――

司会「さぁあああああお待たせしましたぁああああああああ!!!!
今月も各部門毎に大会を開催したいと思いますぅうううううう!!!!!」

ワーワー キャーキャー

司会「まぁずは恒例の仮装大賞!!今月はどんなおもしろ爆笑びっくりドッキリな仮装を拝めるのでしょおおおおおおぉぉか!!!!」

ワーワー キャーキャー

司会「では早速いってみましょおおおお!!!エントリーナンバー1番!パッパラパーさん!!!どおおおぅぞおおぉぉ!!!!」

バッ

パッパラパー「」ジャーン

司会「おおおお!!髪の毛を毛糸のカツラで真緑にし、上から下まで赤い物を着飾ってる!!これはトマトかニンジンかあああ!!何はともあれ爆笑間違いなしいいいい!!!!!」

シーン

宣教師「(フリがあまりにもひどすぎる)」パチパチ

パッパラパー「うわーん!」ダッ

司会「はい逃げましたね!失格です!優勝なし!賞金よりも羞恥心!この大会に腰抜けは入りません!
来月まで後ろ指差されながらみじめに明日を生き抜いていただきたいと思います!
それではエントリーナンバー2番!ポップティスさん!」

宣教師「(なんかもういろいろひどい)」

ジャーン

シーン

ウワーン

ダダダダダダダッ

ハイ ツギノカター

宣教師「(もうやめてあげてと言ってしまいたい)」
230: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/17(水) 23:19:28 ID:02Flk6/uEY
〜〜〜夜〜〜〜

―――教会―――

院長8「ひっく…ぐすっ…ダメダメだぁ…!自分なんか…自分なんか…!」グズグズ

神父2「まぁまぁ?しょうがないですよ?仮装のおもしろさなんて好みに左右されるんですから?」

司教「あの空気の中、よくやったと思いますぞ?」

修道女「もうお嫁にいけない…!」シクシク

宣教師「大丈夫ですよ。あなた程の器量良しなら選り取り見取りです」ナデナデ

教徒「はぁ…カラスの衣装を着てモノマネまでしたのに…」ズーン

宣教師「モノマネは少し余計だったかもしれませんね」

教徒「!?」ガーン

宣教師「まだ明日の舞踊コンテストがありますから?」

司教「し、しかし踊りなど誰も……」

宣教師「ご安心を?私に秘策があります?」ニコッ

司教「ひ、秘策…?」

宣教師「明日が楽しみです!」ニコニコ
231: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/17(水) 23:20:40 ID:02Flk6/uEY
―――領主邸―――

ホルウィ「ぶははっ!やっぱりダメだったか?」ゲラゲラ

司会「いやひどいもんでしたよ?
まあ最初から公平に審査なんかしてませんから関係ないっすけどね?」

女「超ウケる〜!はい、ホルウィちゃん?」トクトク

ホルウィ「おう!んっ…」グビグビ

ホルウィ「ブハーッ!酒がうめぇなぁ、おい!?」ダンッ

女「あたしも飲みた〜い?」トクトク

ホルウィ「飲め飲め!瓶一本で牛3頭は買える高級葡萄酒だぜ!ぶははっ!」ゲラゲラ

女「やたっ!愛してる〜!」チュッ

司会「この調子じゃ明日も同じでしょうね?」

ホルウィ「ヒッヒッヒ!大口叩いた割にゃザコだったなぁ?相手になりゃしねぇ?」グビグビ

司会「最初っから勝ち目なんかなかったんすよ?」

ホルウィ「そりゃあそうか!?ぶはははは!!」ゲラゲラ
232: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/17(水) 23:21:48 ID:.ni3VxVP3g
〜〜〜朝〜〜〜

―――ホルウィの町(広場)―――

司会「さぁあああああ!!!今日は舞踊コンテストだぁぁ!!どいつもこいつもヒップホップステップジャンプぅうううううう!!!
床を鳴らせぇええええ!!!大地を揺らせぇええええ!!!歓声の嵐を雄叫びやがれぇええええ!!!!!」

ワーワー キャーキャー ヒューヒュー

宣教師「…エントリーナンバーは21番、中途半端な位置ですね」

司教「し、司祭様…昨夜は秘策があるとおっしゃいましたが誰もエントリーしていませんよ?」

宣教師「いえ、してますよ。すでに舞台裏で待機させてます」

司教「は…?し、しかし…」キョロキョロ

院長8「自分はしてないです…」ズーン

修道女「私も……」ズーン

教徒「昨日の今日だと精神的にキツい……」ズーン

神父2「おやおや、皆さん疲れが見えますな?」

司教「やはり誰も……」

宣教師「まぁ見ていてください」

司教「……」
233: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/17(水) 23:23:00 ID:02Flk6/uEY
タンッ クルッ パッ

司会「はーい。エントリーナンバー20番、ガーネットおばさんの準備体操…じゃなくて素敵なダンスでしたぁー。皆さん惜しみ無い拍手をー」ボーヨミ

パチパチ パチパチ

司会「さて、お次はエントリーナンバー21番!おぉ!なんと大会初のお二人での参加になります!
それでは出てきてもらいましょう!ライオネル&リッチーさんです!どうぞ!!」

シャッ シャッ

オオオオオオオオオオオオ

ライオネル「あぁ…なんてことなの?ダーリン?まさかあたくし達がこんな素人に混じって踊らされるなんて!」タタンッ カッカッ

リッチー「僕も同じ気持ちさ、ハニー?だが国王に頼まれたんだ。セレブとお近付きになれるチャンスだよ?」クルルッ シュタッ

ワアアアアアアアアア

ライオネル「そうね、ダーリン?いずれは世界を制するエンターテイナーとして…地べたに足を付くのも経験かしら」シュッ バババッ

リッチー「」スッ パシッ

グルグルグルグル バッ ババッ

ヒューヒュー ブラボー!!

リッチー「そうさ、ハニー?一流の舞踊家たる者、彼らのように地の底で蠢く哀れな亡者たちにも真剣に向き合わないとね?」ヒュッ カカンッ カッカッ

ライオネル「えぇ。さながらあたくし達は地の底に舞い降りし神の化身!」タッ タンタタタンッ

リッチー「貧しく弱々しく愚かしく生臭い有象無象の群れにすら愛を落とす悪戯な堕天使!!」バッ バババッ

ライオネル「手を握って!ダーリン?」ヒュッ クルルッ スッ

リッチー「観客に最高の瞬間をプレゼントしよう!ハニー?」パシッ グワッ

グルグルグルグル パッ ピョンッ

ウオオオオオオ!!

ライオネル「フィ……」シュタッ

リッチー「ナーレ!!」シュタッ

ワアアアアアアアアア!!! ウオオオオオオ!! ヒューヒュー!! キャーキャー!!!

パチパチ パチパチ パチパチ パチパチ
234: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/17(水) 23:25:04 ID:02Flk6/uEY
司会「」ポカーン

司会「」ハッ

司会「す、すみません!あまりに魅入ってしまい、我を忘れてました!
それでは審査していただきましょう!ライオネル&リッチーの点数ははたして!?」

審査員's「」ババッ

司会「……!?で、出たああああああああああ!!!
なんと史上初の最高得点、全員一致で満点!1000入りましたあああああああああ!!!!」

ライオネル「当然よね、ダーリン?」ダキッ

リッチー「当然さ、ハニー?」ギュッ

司会「(こ、こいつら素人じゃねぇだろ、絶対……てかまずいなぁ。なにやってんだよ審査員共!)」アセアセ

宣教師「予想以上でしたね?」パチパチ

司教「いやぁ人間技とは思えませんよ」パチパチ

院長8「感涙してしまいました…!」ボロボロ

修道女「あとでサインもらっちゃお!」キラキラ

教徒「司祭様のお知り合いなんですか?」

宣教師「いえ、まったく知りません。私は国王に手紙で助っ人をお願いしただけですので?」

教徒「へぇ…全然知らないけど、あんなすごい人達がいるんだなぁ」

宣教師「知名度の割にお忙しいようでして…大会が終わったらすぐに王都へ戻るみたいですよ」

司会「さ、さぁ…続いてはエントリーナンバー22番……あれ?棄権ですか?じ、じゃあ…その次も棄権?えーっ!?」
235: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/17(水) 23:26:30 ID:.ni3VxVP3g
〜〜〜夜〜〜〜

―――領主邸―――

ホルウィ「はぁ〜!?なんじゃ、そりゃあ!?」

司会「し、審査員共が点数を操作すんの忘れて満点出しちゃいまして」アセアセ

ホルウィ「バキャロー!?なにやってんだ!このクソバカが!?」

司会「す、すんません!」

ホルウィ「チキショー!あのアマァ〜…!まさか本物の舞踊家を持ってくるたぁな…町の催しなのに何考えてんだか!?」

司会「も、もしかしたら明日の剣術大会もスッゲーのを呼んでくるんじゃ…?」

ホルウィ「くそっ!あり得るな…!ヴァージス!大丈夫なのか!?」

ヴァージス「ふ〜ん…?助っ人ねぇ…?」キュッキュッ

ホルウィ「剣の手入れなんかしてる場合か!?」

ヴァージス「」ギラッ

ホルウィ「」ビクッ

ヴァージス「楽しませてくれんのかねぇ?」クククッ

ホルウィ「お、おぉ…!なんか頼もしいな!」

司会「ご主人様!ヴァージスさんは元王国兵の中でも優秀な剣術家にだけ与えられる騎士の称号を持った剣士っすよ!」

ホルウィ「そ、そうだよなぁ!楽勝だな!うん!」

ヴァージス「遊びばっかじゃつまらねぇからなぁ…?たまには昔の感覚で切り結びたいものだぜ…?」ギラッ

ホルウィ「ぶははっ!これなら小娘が誰を連れてこようがお構い無しだ!」
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うpろだ
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