1スレ
少年「ボクが世界を変えてみせる」
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/l10
2スレ
カロル「ボクが世界を変えてみせる」
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1385288769/l10
―――あらすじ―――
それは遠い昔のお話
人と人は長い長い争いに身を投じ、互いを許せないまま30年もの月日を互いの血を流すことに費やしました
しかし長い争いはいつまでもいつまでも終わる気配もなく
人を傷付け、愛を蝕み、心は枯れて、命は絶えて、いつしか疲れ果てて……やがては目的さえ見失ってしまいました
そんな終わらない争いの果てに一つのきっかけが巡るのです
それは人と人との争いに無関心だったホビット族に原因があると唱える迷信でした
その迷信はあまりにも唐突で、あまりにも不自然な内容でしたが痩せ細って震える人々、争いに疲れきった国々はホビットに全てを擦り付けて争いを終わらせようと決めたのです
戦争が鎮まった後、各国に迷信を掲げた王国は大規模な宗教団体を立ち上げました
その団体は教団と呼ばれ、戦争を納めた功労者であるノワール・バントン司祭を筆頭に教徒達による布教活動が開始されました
布教の内容はホビット族が人間から゙癒しの力゙と呼ばれる特別な能力を奪ったというもので……
これを軸に様々な悪評を並べ立てて人々の心にホビット族への憎しみを焼き付けます
ありもしない神の作り話にいざなわれ、人々は信者へと洗脳されていきました
それから約40年の間、教団による布教活動は続き、思惑通り人々は順調にホビット族を差別していました
人間はことごとくホビット族の住み処を侵略し、奴隷にしてみたり、愛玩用に飼い慣らしてみたり、時には残酷な拷問を加えて見世物にしたり、罪深き種族と罵って横暴の限りを尽くします
132: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/1(月) 21:38:11 ID:h173FRh8P2
母「…お母さんね?実はずっと前から気付いてた?」
カロル「へ?」
母「あの時……黙って姿を消した後、坊やのしてきた事を台無しにしてしまったって…」
カロル「そんな…そうじゃないよ」
母「けれどまたこうなって…やっぱり人間の本質は変わらないのかもしれないと疑いもしたわ?」
カロル「……」
母「それでも…お爺さんと食事をした時に見せたあなたの笑顔が…とても煌めいていて頭から離れないの」
母「繋がる相手がいれば…坊やはその分、たくさんの幸せに満たされる」
母「こんな孤独感の中で本当の気持ちを隠し続けていたら…暗く沈んだ未来にしか辿り着けないわ」
母「今度こそ…あたしも強くなる。
怯えて逃げ出すのは簡単だけど…恐怖を乗り越える勇気を持たないとあたし達はいつまでも差別に病めるホビットのままですもの」
カロル「…ふふ!」クスッ
母「会いに行きましょう?何かを得ては失ってを繰り返してきたあたし達だもの。なるようになるわよ!」ウインク
カロル「うん!また始めからやり直そうよ!」
133: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/1(月) 21:40:12 ID:hTsbsopuA2
―――山間の村(診療所)―――
医術師「……」トクトク
医術師「」グビグビ
医術師「ふぅぅ〜…」コトンッ
ガチャッ
医術師「……」チラッ
???「お邪魔します。先生」トンッ
医術師「…やあやあやあ、これはこれはこれは偉大なる村の救世主、クーペ様じゃあございませんか?
こんな寂れた廃墟寸前の診療所に入ってこられるとは驚きですよ?」
クーペ「…先生」
医術師「先生?とんでもない?わたくしなど、しがないヤブ医者に過ぎませんよ?
偉大な偉大なクーペ様に先生なんて呼ばれちゃ〜虫酸が……いやいやむず痒くて困りますわぁ」トクトク
クーペ「……いつからお酒を飲まれていたんですか?」
医術師「朝から晩まで毎日飲んでますよ?いやに寝付きが悪いもんでね?」グビッ
クーペ「…いつ患者さんが訪れるとも限らないのですから控えた方が……」
医術師「かぁ〜…ぺっ」ブッ
クーペ「」ビチャッ
医術師「あぁ〜すいません?深酒し過ぎたせいか痰がね?わざとじゃあござんせんよ?」ヘッ
クーペ「……お気になさらず」フキフキ
134: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/1(月) 21:41:50 ID:h173FRh8P2
医術師「いやぁ医者の不養生というやつですよ?なんせヤブ医者なもんで?」ケッ
クーペ「…もしよろしければ、これを」スッ
医術師「なんです?その薬包紙は?」
クーペ「酔い止めです。独自に調合した物ですが効き目は保証します。
薬餌ですのでお食事に混ぜていただいても効果は得られますよ。そのまま飲むと少し苦味がくどいかもしれませんが…」
医術師「へぇ〜クーペ様がじきじきに調合なされた薬ですかぁ?そりゃもうとびっきり効果抜群の特効薬ですわなぁ?」ヒョイッ
クーペ「……」
医術師「あ、手がすべった」ブンッ
クーペ「っ……」バシッ
医術師「いやぁ飲みすぎたなぁ。手元が狂って大事な大事なクーペ様からのありがたぁ〜い薬包を投げつけてしまうなんて…後悔してもし足りないなぁ」ヘラヘラ
クーペ「…先生はわたしを憎んでおられるのですか?」
医術師「憎んだりしませんよぉ。村の救世主様を憎むなんて畏れ多い?」
クーペ「…先生の受け持っていらっしゃった患者様を独断で治療してしまったのは本当に申し訳なく思ってます」
医術師「いいんですよぉ?結果、オレなんかより遥かに速く…しかも負担なく治癒してしまったんですからねぇ?」
クーペ「……!」
医術師「クッカカカ!そりゃあね?村人は全員クーペ様に頼るでしょうよ?
未だに切ったり縫ったりしてる時代遅れなヤブ医者より薬だけで治しちまう頼もしいクーペ大先生にねぇ?」ジロッ
クーペ「…すみません」ペコリ
医術師「せん……じゃねぇだろ!?」ブンッ
クーペ「きゃっ」サッ
バリンッ
135: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/1(月) 21:45:15 ID:h173FRh8P2
医術師「…わざわざこんなとこに来て同情する暇があんなら患者の相手でもしてろよ?余所者のホビットが!?」フゥーフゥー
クーペ「せん…せい……」
医術師「うざってんだよ!?」ガタンッ
クーペ「」ブルッ
医術師「ホビットがぁ…!?お前のせいで5年もここで患者を診てきたオレが…ヤブ医者の悪党扱いだ!?」
クーペ「…し、自然界に暮らしてきましたので薬草や動植物の効能を多少学んでいたのです…。独学ではありますが…。
…和解したと聞き、教団の方から紹介していただいたこの村で…何か一つでもお役に立てたらと」フルフル
医術師「あぁ立派に役立ってるよ?代わりに役立たずが一人あぶれたけどな!」
クーペ「…こ、この村の方々は…皆さん、すごく暖かくて…ホビットのわたしともすぐに打ち解けてくださいました。
特に…先生は気さくで…人当たりも良くて…わたし…感謝してるんです」フルフル
医術師「はんっ!よく言うよ?」
クーペ「…え?」
医術師「最初はみんな物珍しさにたかってただけさ!
教団の長がわざわざ山登りしてまで村長を説得してよ、図々しく何匹かのホビットが村にやって来たんだから…」
クーペ「…宣教師様はわたしの恩人です。思い付く限りの言葉を並べても…全然伝えきれないほど感謝してます」
医術師「あーそうですか。最初みーんなお前らをバカにしてたけどな?
濁った黄色い瞳を目玉焼きだって陰口叩いてからかってたんだぜ?」
クーペ「…今は誰もそんなひどい事、口にしません」
医術師「そうですねー。謎の病に苦しむ農家のオッサンを粉薬だけで治癒したんだから…そりゃみんな掌返しますよねぇ?」
136: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/1(月) 21:47:54 ID:hTsbsopuA2
クーペ「…ですが今まで先生がいなければ助からなかった患者様も大勢いらっしゃいます」
医術師「あぁ〜そうさ?だが連中はどう思った?
治療でさんざん怖い想いしてきたのにホビットの調合薬であっさり治ったら?」
クーペ「……」
医術師「あいつは患者を切り刻むヤブ医者だ?そう思われても仕方ないよなぁ?」
クーペ「…すみません、すみません!」ペコリ
ガチャッ
村人1「クーペちゃん、ここにいたのけ?山菜売りの婆ちゃんが風邪引いたってよ?」
クーペ「…あ、はい」クルッ
村人1「またこんなとこ来て…ダメじゃねが。仕事もしねぇで飲んだくれてるヤブ医者の相手なんかしちゃ」
医術師「……」グビッ
クーペ「や、ヤブ医者なんかじゃありません!先生は名医です!」
村人1「どごが…?たかだかかすり傷で針縫ってるようなヤブ医者が…?クーペちゃんなら痛みなしに薬だけで治しちゃうべな?」
クーペ「薬での治癒には限界があるんです!大きな外傷や骨折には対応できません!」
村人1「またぁ〜?そんなこと言っても薬で痛み無くして添え木しとけば治せっぺ?」
医術師「はんっ!素人が適当にやったら骨が歪んでくっつくぞ?
曲がりくねっただらしねぇ腕ぶら下げてみっともないったらありゃしない」コトンッ
村人1「ちっ!ヤブ医者が…!さっさと村から出てけ!」
クーペ「……!?」
医術師「……すいやせんね、ヤブで?」グビッ
医術師「ゲェェェ……」ゲップ
村人1「うっ…くさ!?」
クーペ「先生……」
医術師「失せろ。二度と顔見せんな!目ん玉に箸ぶっ刺して食っちまうぞ!?」ダンッ
クーペ「……」
村人1「な、行くべ。こんなのほっとけばいいべ」
137: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/1(月) 21:50:23 ID:h173FRh8P2
〜〜〜夜〜〜〜
―――山間の村(入り口)―――
マルク「あんっ!」スタスタ
カロル「あ、ここかな?」スタスタ
母「まぁ…大きな村?前に住んでた森の近くよりずっと大きいわね?」スタスタ
カロル「うん。もしかしたら教団の人に会えるかも!」
母「でも遅い時間だから門が閉ざされてるみたい?明け方に出直しましょうか?」
ガララッ
カロル「あ、開いたよ?」
門番1「おや?ホビット……」
母「(そういえばここで捕まったらどうするか考えてなかったわ…!)」ハッ
カロル「こんばんは!」
門番1「こんばんは?ようこそ、山間の村へ?」ニコッ
母「えっ」
門番1「警戒なさらずとも、この村はホビットの方でも歓迎しますよ?」
カロル「そうなんだ!よかったね、お母さま?」
母「そ、そうね…?てっきり捕まるかと思っちゃったわ?」ヒクヒク
門番1「ははは!実は帰り支度をしてたんですけど話し声が聞こえたもので…決して用心して門を開いた訳じゃありませんよ?」
母「」ホッ
門番1「どうぞお入りください?」
カロル「はーい!ありがとうございます!」スタスタ
母「(はぁ…善は急げって言ってもあまり考えなしに動いちゃダメね…)」スタスタ
マルク「あんっ!」スタスタ
門番1「では夜も遅いですし教会へ案内します。あそこでなら一晩は無料で寝泊まりさせてくれますから」スタスタ
母「…何から何まですみません」スタスタ
138: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/1(月) 21:52:10 ID:hTsbsopuA2
―――山間の村(教会)―――
神父1「ようこそ、山の教会へ。寒空の下、体を冷やしてしまわれた事でしょう。今宵は暖かい布団でお休みください」
カロル「ありがとうございます!」
母「…ここは優しい人ばかりね」
マルク「わふん!」シッポフリフリ
神父1「いえいえ、すべては司祭様による教えの賜物。我々は悔い改め、より良い世界へ歩もうとしているまで」
カロル「司祭さま…?司祭さまってたしか……」
母「余計なこと言わないの…?」ポンッ
カロル「う、うん…」
神父1「どうかなされましたか?」
母「い、いえ!司祭様はあたし達のようなホビットにも優しいんですね?」アタフタ
神父1「はい。とてもお優しい方ですよ?少々厳しい一面もございますが生真面目で何事にも真剣に向き合う素晴らしい方です」
カロル「…宣教師さまみたいだね?」コショコショ
母「まさか?宣教師様は組織をまとめるとか嫌がりそうじゃない?」コショコショ
神父「この村にもあなた方と同じように隠れ暮らしていたホビットの方が何人も住んでるんですよ」
カロル「へぇ…!」パァァ
神父「現司祭様が取り組むようになってからホビット族との関係性は極めて良好になりました。
それもすべては巡礼のあの日……あるホビット族の少年たちが我々の目を覚ましてくれたおかげです」
カロル&母「」ギクッ
神父「残念ながら後ろの方にいた私には少年の姿が見えなかったのですがね…。
あの直後に行方を眩ましたと聞きますし、いったいどこへ行ってしまわれたのやら」
母「お、おほほほ……」ヒクヒク
カロル「あは……は」ヒクヒク
マルク「クゥン?」
139: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/1(月) 21:54:24 ID:h173FRh8P2
〜〜〜朝〜〜〜
神父「もう行かれるのですか?」
母「えぇ、色々と見て回りたいので…泊めていただいてありがとうございました」ペコリ
カロル「ありがとうございました!」ペコリ
神父「いえいえ、もしこの村に住む気がありましたら役場で住人登録をしてもらうといいですよ。
ホビット族の方でしたら身分や生まれなど面倒な項目を除いて簡単に手続きを受けられますから。
なんでしたら私から紹介状を書いてもいいですし?」
母「お気持ちはありがたいんですけど…目的のある旅なので」
神父「そうですか…。残念ですが仕方ないですね」
カロル「あの…神父さまは宣教師さまを知りませんか?」
神父「宣教師…ですか?宣教師でしたらこの村にも何人かおりますが」
母「宣教師様は役職だから…名前を言わないと分からないわよ?」
カロル「……あ、そっか。名前……」
母「……」
カロル「……知ってる?」
母「……坊やも知らなかったの?」
カロル「……う、うん」
母「……会えたら最初に謝って名前を聞きましょうね?」
カロル「そうだね…。ずっと宣教師さまだったから……」
神父「?」
マルク「わふん…」ヤレヤレ
140: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/1(月) 21:59:03 ID:h173FRh8P2
―――市場―――
ワイワイガヤガヤ
カロル「人がたくさんいるね。こういうの久しぶりだから、なんだかワクワクする!」スタスタ
母「そうね…。変装もいらないし、すごく解放感があるわ?」スタスタ
惣菜屋「お!お姉さん、見ない顔だべな?」
母「」スタスタ
惣菜屋「え?ちょ…ちょっと?無視だべか?」アセアセ
カロル「お母さまのこと?」ピタッ
母「へ?あたしは違うわよ。どう見たって、もうおばさんだもの」
惣菜屋「お、お母ちゃんかぁ!姉弟かと思ったべ!」
母「……え?」
カロル「お母さまがボクのお姉ちゃんに見えたの?」
惣菜屋「うんだ、全然違和感がなかったもんで」
カロル「あはははは!」ケラケラ
母「…そ、そんなに笑うことないでしょ!」アセアセ
村人2「お!惣菜屋さん、いい歳して口説いてんか?」
惣菜屋「ち、ちがうべ!たまたま見かけないホビット族さおったから新しい住人かと思ったんだべ!」
村人2「そういえばそうだっぺな!どごから来たんだい?」
母「あ、あたし達は旅の者でして…人を探してるんですの」
惣菜屋「こんな山の上で誰を探すんだべ?」
母「教団の宣教師様なんですけど…名前が分からなくて…」
惣菜屋「う、うーん…宣教師だけじゃ分からんべな」
村人2「そんな人、結構おるがんなぁ」
母「ですよねー…」
141: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/1(月) 22:01:52 ID:h173FRh8P2
村の青年1「へい!へい!ナウいべっぴんさん!おらと遊ばねが?」
母「え、遠慮します…」
村の青年2「そう言わねぇでよぉ!付き合ってけろ!」
カロル「けろ…けろ…分かった!一緒にカエルごっこするんだ!」ピコーン
村の青年2「ちげぇべ!?田舎者バカにすっど承知しねぇど!?」
母「あ、あたし達は旅の者ですから!村の人とはお付き合いできません!通してください!」
村の青年1「なぁにぃ…?」カチンッ
村の青年2「標準語喋っからってお高く止まりやがって!ムカつくべさ!」
母「え?い、いえ…そんなつもりじゃ…」アセアセ
クーペ「揉め事…ですか?」
村の青年1「あぁ?あ…クーペちゃん!」
村の青年2「ちがうべ!こいつらが尋ねるから答えてやっだんだ!」
クーペ「そう…ですか?あまり人に慣れてない方もいるので大きな声は怖がるかもしれませんよ?」
村の青年1「いやぁわりわり。クーペちゃんみたいに純朴な娘っ子ばかりじゃねもんな?」
142: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/1(月) 22:02:55 ID:h173FRh8P2
村の青年2「そだ、クーペちゃん!これから甘味処で茶ぁしばかねが?」
クーペ「回診中ですから、また次の機会に?」ニコッ
村の青年1「そかそか!頑張ってな!」
クーペ「ありがとうございます。それじゃ…」スタスタ
母「あ、あの……」
スタスタ スタスタ
母「あ…行っちゃったわ」
村の青年1「いいべ、クーペちゃんは」
村の青年2「お前らと大違いだべ」
母「むっ…だ、誰なんですか?あたし達と同じホビットだったみたいですけど?」
村の青年1「この村の守り神だべ!どんな病も治しちまうお医者様だ!」
村の青年2「んだな!最近、この村は流行り病に悩まされてるんだが…クーペちゃんの薬であっさり解決だべ!」
母「へぇ…すごいのねぇ」
カロル「ねぇ、まだカエルごっこしないの?」
村の青年1「一生しねぇべ!?」ガァーッ
143: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/1(月) 22:12:35 ID:h173FRh8P2
これから年末に入って来年もどんどん忙しくなりそうです…。
もしかしたら無言で更新が止まるかもしれません…。
万が一、どこかで1ヶ月以上放置してしまっていたらお手数ですが未完庫にお願い致します…。
もちろん全力で更新に励む前提のお話ですが…ひょっとしたら休みや家での時間も仕事に縛られそうなので……ご迷惑おかけしましたら本当に申し訳ございません。
あとどうでもいいことなのですが…もし良ければ宣教師の名前募集したいです。
3スレ目で今さらですけどメインキャラの一人なのに名前ないのはやっぱりおかしいかなと…。
暇な時で結構です、なければ適当に付けますのでスルーしていただいて構いませんw
早めの更新を目指しますので、どうかお付き合いいただけたらと思います!
失礼しました!
144: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/3(水) 21:35:53 ID:BXUEK2.5u2
―――山間の村(居住区)―――
村婆「ありがとうねぇ、おめぇさの薬のおかげで調子がよくなっただ」
クーペ「また咳や発作が出たら言ってください。症状を診て合いそうな薬を処方しますね?」
村婆「助かるだよぉ…。ほんにどっかのヤブ医者と全然ちがうべ」
クーペ「…では次の家に訪問しなければなりませんので失礼します」スタスタ
村婆「いってらっしゃい!」
クーペ「……」スタスタ
村人3「お、クーペちゃん!今日も回診け?えれぇなぁ?どっかのヤブ医者たぁ大違いだぁ」
村おばさん1「いつもご苦労さん!うちで採れた柿、よかったら持ってけ?」
村娘1「この村はクーペちゃんのおかげで安泰だべな。あんなヤブ医者いらねぇだ」
クーペ「……」
ヤブイシャ ヤブイシャ ヤブイシャ
クーペ「(ヤブ医者…ヤブ医者…)」グワングワン
クーペ「わたしが…出過ぎたマネをしたから……」グワングワン
クーペ「……」スタスタ
145: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/3(水) 21:38:03 ID:BXUEK2.5u2
―――山間の村(修道院)―――
ワイワイ キャッキャッ ウフフ アハハ
カロル「教会の前で子供たちが遊んでる?」スタスタ
母「そうねぇ…。ホビットの子も一緒に遊んでいるわ?本当にいい村ね、ここって?」
タタタッ タタタッ
母「あら、子供たちがこっちに来るわ?」
子ホビット「お兄ちゃんも一緒に遊ぼ!」
村の子「遊ぶべ!」
カロル「うん、いい……」
母「役場に話を聞きに行くんでしょ?」ポンッ
カロル「あ、そっか……ごめんなさい。今は遊べないんだ?」
子ホビット「えー」
村の子「そーなの?」
教師「みんなー!休み時間はおしまいよー!お勉強しましょうねー!」
子ホビット「ちぇー!お勉強だってさ!」
村の子「あ〜あ、つまんねーの」スタスタ
カロル「……変わったね」
母「…本当ね?ホビットがこんなに人間と打ち解けてるなんて…?」
カロル「…王子さま、約束守ってくれてるんだ」
母「ここも教団関係の施設でしょうし、宣教師様もどこかで同じように頑張ってるのかもしれないわね?」
カロル「うん、きっとそうだよ!」
146: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/3(水) 21:39:58 ID:4a/V8q7lfc
―――山間の村(村役場)―――
役員「…宣教師さん、だべか」ポリポリ
母「は、はい…。名前が分からなくて申し訳ないんですけど…」
役員「ちょーっと待っててほしいべ。憲兵さんに確認してみるべ」スッ
母「す、すみません…」
役員「いやいや、気にしなくていいべ。小さな村の役場なんてすることもねぇし暇なんだべ」スタスタ
母「ありがとうございます」ペコッ
役員「おーい、憲兵さん!ちょーっと聞きてぇ事があんだけども」ドンドン
母「あら…受付の後ろの部屋に?」
役員「この村は最近、憲兵さんが来たもんで、ちゃんとした施設をまだ作ってねぇですだよ」
ガラッ
憲兵1「はいはい、どうかしましたか?」
役員「あぁ、すまねぇだがそこのホビットさんが人探しをしてるらしいだよ」
憲兵1「はぁ…人探し?」ジッ
母「」ペコッ
147: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/3(水) 21:40:54 ID:4a/V8q7lfc
憲兵1「えーっと…どなたを探してるんですか?」
母「二十歳くらいの女性の宣教師様なんですけれど…」
憲兵1「お名前は?」
役員「それがわからねぇから困ってるだよ」
憲兵1「うーむ…ちなみにどういった理由で?」
母「…い、以前お世話になりましたのでお礼がしたくて」
憲兵1「なるほど…協力してあげたいんですが多分ここにはいないかもしれないな。
宣教師はいるにはいますけど全員、男性ですからね」
母「どこにいるかだけでも分かれば、そこに向かうんですけど…?」
憲兵1「それこそ難しいかなぁ…。宣教師っていうお役目は各地を渡り歩いて布教するものだし居場所は限定できないと思うんですよ?
確かに女性で宣教師というのは珍しいんですけど…それでもちょっと難しいですね…」
母「…そうですか」ショボン
憲兵1「我々より直接、教団の人に聞いた方がいいと思いますよ」
母「ありがとうございます。そうしてみます」ペコッ
憲兵1「あぁ、そうだ。気をつけてくださいね」
母「はい?」
憲兵1「最近、ホビットを狙った事件があちこちで多発してるらしくて…なんでも手配書に載ってるホビットを捕まえたら懸賞金が貰えるとかって……」
母「」ビクッ
憲兵1「実際は懸賞金なんか付いてないんですけどねぇ…。見かけたら報告をとは書かれてますが…」
母「へ!?」
憲兵1「どうやら偽の手配書が出回ってるみたいでして…とにかくホビットってだけで捕まえようとする危ない人もいますし、貴女も旅を続けるなら用心した方がいいですよ?」
母「わ、わかり…ました」
148: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/3(水) 21:42:34 ID:BXUEK2.5u2
役員「力になれなくてすまねぇだ…」
母「いえ、とんでもないです…?こちらこそ無茶言ってごめんなさい?」
役員「お詫びとしちゃなんだけんど…もう少し滞在するんならオラん家の物置さ貸すから、この村を観光していってほしいべ」
母「そ、そんな…お気になさらず…?」
役員「実はオラ、ここの村長なんだべ。
やっと国がこの村のことさ、目ぇかけてくれたんだが…実のところ、今までとそんなに変わってないべ」
役員「農業さ精出して、いっぱい家畜や作物を生産するけんど…国が注目してんのは村の周辺にあるオイールの樹ばかりで…この村自体が潤う話じゃねぇだよ」
役員「オラ…村さ、でかくしてぇ。んだからホビットもすんなり受け入れたべ。
変化に対応しねぇで古い風習にとらわれちゃ時代と共に老朽化しちまうかんな」
母「……」
役員「んで、ちょーっとばかし面倒かとも思ったんだが…いざ一緒に暮らすといい奴ばっかしだべ。
自然物に詳しいから農業の参考になんし、非力だが人間よりよっぽど素直で働きモンだ」
役員「しかもその辺の草花や昆虫、獣のエキスでホビット独自の調合薬なんかを作ってくれてな。
医術に不足してた村としては大助かりだべ!」
役員「欲を言うと…もっとたくさんのホビットに来てほしいだよ。
差別してきたオラ達がわがままかもしんねぇけど…本当にありがてぇ」
母「」ニコッ
役員「だから旅先であんたらが住み処に困ってるホビットを見かけたら、ここの事さ教えてやってほしいだ!
んで、その為にも…この村を観光して、良いとこも悪いとこも知ってってくんねが?」
母「…喜んで?」ニコニコ
149: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/3(水) 21:48:28 ID:BXUEK2.5u2
〜〜〜夕方〜〜〜
―――山間の村(牧場)―――
母「搾乳を体験させてもらえるなんて良かったわね?」
カロル「うん!初めてやる!」ニコニコ
家畜商「観光してくっても鍬持たす訳にゃいかねぇかんな!ウチの牧場で我慢してけれ!
んじゃぼうず!まずは牛の乳をそーっと握るだ!牛を怒らせねぇようにな?」
カロル「こう…?」ギュッ
家畜商「うんだ!力強く!だけんど優しく!母ちゃんのおっぱいだと思って揉むだ!」
カロル「お母さまのおっぱい……こうかな?」ギュッ
母「あ、あの…他に例えようがなかったんですか…?」カァァ
家畜商「母ちゃんのおっぱいなら傷付けねぇっぺ?そういうこった!」
母「そ、そうでしょうけど…!」
ベルメロ牛1「ンモーッ!」ピシャッピシャッ
カロル「あ、出たよ!お母さまのおっぱい!」キャッキャッ
母「あたしのじゃないでしょう!?」
家畜商「がはははは!ぼうずは筋がいいだな!」
カロル「もう一回!」ギュッ
ベルメロ牛「ンモーッ!」ピシャッピシャッ
家畜商「がはははは!んだんだ!その調子で搾りまくってやるだ!」
母「(な、なんかイヤ……)」ズーン
150: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/3(水) 21:50:20 ID:BXUEK2.5u2
マルク「ばうっ!ばうっ!」タタタッ
羊の群れ「メェ〜!」サササッ
家畜商「おー!あの犬っころ、やるでねぇか!遊び足りてねぇマープ羊達がおとなしく柵に入っただ!」
カロル「マルク〜!すごいって!」フリフリ
マルク「わふー!」エッヘン
家畜商「いやー!たまげた!うちの猟犬達も見習ってほしいべ!」
母「…うふふ」ニコニコ
家畜商「すまねぇだな!シーズンだったらマープ共のふかふかの羊毛で帽子か首巻きでも編んでやったんだが」
母「十分楽しませていただいてますから…」ニコニコ
家畜商「向こうで干し草を積んでるホビットがいるべ?」
ザクッザクッ バサッ
母「えぇ…ここで働いてるんですか?」
家畜商「んだ!あいつは見込みがあるべ!物覚えがいいし力仕事は遅いがマジメにコツコツ働いてくれるだ!」
母「へぇ…」
家畜商「オラな、あいつやクーペさ見るとムカッ腹立つべ!」
母「へ!?」
家畜商「オラたちはなんであんないい奴らを差別してきたんだか…教団のでっち上げさ信じた自分を殴りたくなんだ!」
母「……」
家畜商「これからは腹空かしてるホビットさ雇いまくって腹いっぱい食えるようにしてやんべ!それがオラの罪滅ぼしだ!」
母「…素敵な牧場になりますわ。きっと」
家畜商「ははは!やめてけれ!自分で言ってこっ恥ずかしくなっただ!」テレッ
151: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/3(水) 21:53:51 ID:BXUEK2.5u2
家畜商「犬っころさ、戻してくんねが?マープ共は柵に収まったべ」
母「(あぁ…知らない間に世界が変わってる。とても素晴らしい世界に)」チラッ
カロル「マルク〜!そろそろいいってー!戻っておいでよ!」
母「(未だに信じられないけど…坊やが人間の心を開いたからなのよね?)」
母「(……その坊やを授かれたのもまた、人間だった夫があたしの心を開いてくれたから)」
母「(誰も許せずに塞ぎこんでいたのはあたしだけ……本当に愚かで…どうしようもなかった)」
母「(…憎むのをやめるだけでこんなにも素敵な世界が生まれる……差別のない、助け合える世界が)」
母「……」
カロル「お母さま!」
母「」ビクッ
カロル「? どうしたの?」キョトン
母「な、なんでもないわ?」ニコッ
カロル「おじさまがさっき搾ったミルク飲んでいいよって?」
母「あら!いいんですか?」
家畜商「がはははは!ぼうずが搾ったんだからぼうずのモンに決まってるだ!
金はいらねぇから飲んでってけろ!乳クセェかもしんねぇがな!」
母「お言葉に甘えていただきますわね?」ニコニコ
カロル「やったー!」ワーイワーイ
マルク「はっ!はっ!」シッポフリフリ
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